中華経済研究院(台湾)における講演 「日台関係の連携強化~福井県の魅力」

最終更新日 2010年10月14日ページID 013190

印刷

 このページは、平成22年10月14日(木)、中華経済研究院(台湾)で「日台関係の連携強化~福井県の魅力」と題して行われた知事の講演をまとめたものです。

(導 入)
221014講演写真1
 皆さん、こんにちは。ただいま紹介をいただきました福井県知事の西川一誠です。

 今日は、台湾の様々な分野をリードする皆さんを前に、私の「ふるさと」である福井県のご紹介と台湾との連携についてお話ができることを、とてもありがたく思っています。

 また、今回の訪問を通して、台湾の皆さんと親しく接することができて大変嬉しく思います。

 はじめに福井県の概要を申し上げます。福井県はほぼ日本の真ん中、日本海に面しており、京都府とも接しています。日本の小学校の教科書には子供たち向けに動物の「ムササビ」の格好をしていると書かれており、また「鍵の形」とも言われています。

 原子力発電所が15基立地しています。また眼鏡枠では95%以上の国内シェアを持ちます。繊維、機械、化学など多分野にわたりオンリーワン技術があります。そして、伝統産業は漆器や和紙、越前焼、打刃物など、1500年以上の長い歴史を持っています。

 また、世界一おいしい越前がにをはじめとする海の幸に恵まれています。日本で一番美味しいお米「コシヒカリ」が誕生した県です。

 福井県は、人口当たりの社長の数が30年近く日本で一番多い県です。起業家のマインドにあふれているということだと思います。そして、先ほど陳博士が紹介されていましたが、高い「出生率」、「子どもたちの学力・体力」日本一、長い「平均寿命」、「世帯当たりの貯金高」日本一、「住宅の広さ」も日本有数と、日本国内トップクラスの豊かな生活が自慢です。


(福井県と台湾の自治体交流)
 また、日本で最初に商業用原子力発電所が立地した美浜町という所がありますが、台湾で最初の原子力発電所ができた台北県の石門郷と1988年に姉妹都市関係を結んでおり、以来20年以上にわたって子どもたちの交流などが進んでいます。


(福井県の魅力を紹介)
 次に福井県の魅力的で面白いところを紹介します。今回の台湾訪問の目的の一つに、多くの台湾のみなさんに福井に来ていただきたいというのがあります。昨年は新型インフルエンザの影響もあり、6000人ほどしか福井に泊っていただけませんでしたが、これからはこの10倍ぐらいにしたいと思っています。

○ ふくいの食「越前がに」
 まず先ほど申し上げたカニですが、台湾の方もカニが大好きと聞いています。11月からこの越前がにを食べることができます。足に黄色いタグが付いているのが本物の福井県のカニの目印であり、これは日本一美味しくて高いカニでありますので、少人数でご旅行して召し上がるのも良いかと思います。
 これは雄ガニですが、あと雌ガニも小さいですが非常に美味しいですし、もっと小さい幼いカニも食べられますので、3種類ありますから楽しみ甲斐があります。

○ 「あわら温泉」
 次に温泉ですが、台湾の皆さんは温泉が大好きと聞いています。台湾にも立派な温泉がありますが、福井で有名なのは「あわら温泉」で、40軒以上のホテルがあり、ここには伝統的なサービスをしてくれる人たちもいます。

○ 世界の三大奇勝「東尋坊」
 それから自然景観では、このあわら温泉に近いところに日本一と言ってもいい「東尋坊」という海岸の絶壁、景観があり、夕日が大変きれいです。このような所は日本にはほとんどありません。

○ 恐竜王国「ふくい」 世界三大恐竜博物館
 それからもう一つ有名なのは恐竜です。ダイナサウルスでありまして、日本で発掘される恐竜化石のほとんどが福井県のものです。恐竜博物館は、アジアを中心に世界から集められた恐竜の全身骨格を40体以上展示しています。世界三大恐竜博物館の一つです。子どもたちにとって、また大人にとっても素晴らしい施設です。一度ご覧いただきたいです。


(福井の教育)
 福井県の教育について申し上げます。日本では、高校卒業までの子育てや教育は地方自治体の仕事です。私は子育てと教育を福井県の政策の最重点に位置付けています。

 台湾には全国学力テストはないようでありますが、日本にはありまして、小学校、中学校ともほぼトップクラスです。

 また、高校の学力は資料には入れてありませんが、日本の大学入試の統一試験である「センター試験」の国語、英語リスニングテストの平均点も国内でトップクラスです。

 福井県は教育が熱心な県ですが、三世代の同居・近居の割合が非常に高く、おじいちゃん、おばあちゃんが孫のしつけや学校の宿題を見てあげる家庭が多いのです。

 昨日、呉教育部長にお会いし、台湾では「祖父母の日」というものを設けるとお聞きしました。非常に参考になりましたので、福井県でも同じようなことができないか考えています。

 なぜ福井の学力が高いかといういろんな事情がありますが、福井県では国が定める学級定員40人よりも少ないクラス基準を設けて、県の税金を投入し、少人数教育を進めていることも大きな背景があると思います。

 先ほど国語のテストの平均点が高いという話をしましたが、福井県では漢字研究の第一人者でありました福井県出身の白川静先生の学問を活用して「白川文字学」という新しい分野を進めています。

 日本では小学校で教える漢字の数は1006文字ですが、福井県はそれをオーバーしてテストの評価もしています。

 昨日、故宮博物館で「すえ文字」の漢字を見ましたが、台湾の言葉や文化の根っこにおいて「白川文字学」と深くつながっていることを理解しました。

 告げるの“告”という字がありますが、何千年もですね、何か牛が口を動かして告げると理解していましたが、白川先生はこの神様の言葉を入れた入れ物に闇をさすという解釈にしました。「口」は「さい」と読むのです。白川先生が発見したのです。神様のお告げを入れた箱を意味します。

 全く新しい漢字体系をつくられましたので、それによって教えています。


(APECエネルギー大臣会合)
 経済問題について幾つか申し上げます。今回の私の台湾訪問の大きな目的の一つは、台湾と福井県の企業交流を進めること。今回の訪問のきっかけを与えていただいたのは、一つは6月に福井県で開催された「APECエネルギー大臣会合」、もう一つは7月に亜東関係協会のご協力で実現した「日本・台湾企業連携訪問団」の福井県への招へいであります。

 APEC大臣会合では、台湾から施顔祥(し がんしょう)経済部長を代表に、総勢15名にのぼる政府関係者が福井県にお見えになりました。

 福井県のような地方の小さい自治体で、なぜAPECのような国際会議が開かれたのかということでありますが、さきほど申し上げた15基の原子力発電所が立地しており、大阪・京都・神戸などの電力の半分以上を福井県から提供している、こういった背景があります。

 先ほど台湾の原子力委員会の皆さんとお会いしました。これから原子力の技術や様々な研究などを共同で進めていきたいと考えます。

 福井県では、原子力は環境関連産業として経済成長の新しいエンジンになるという考えを持っています。アジア各国では現在、数多くの原子力発電所の建設計画があり、福井県がエネルギー人材育成の拠点を目指したいと思っております。

 特に、APECの会合では、施顔祥経済部長が発表された「グリーンエネルギー商品市場の発展力促進への構築宣言」が、各国の支持を得て、福井宣言に盛り込まれました。


(対日経済交流)
 最後に台日、台中経済交流について申し上げます。昨日の経済部長との面談において、福井の企業のミッション団の派遣など、具体的なプロジェクトを推進することで合意をしております。221014講演写真2

 台湾は東アジアの中心、日本の言葉で言いますと「へそ」といいましょうか、ど真ん中に位置し、非常に重要性がありハブ的な機能をこれから発揮すると思います。福井県の企業も台湾の企業の皆さんと手を組み、新しいアジアのネッワークを展開し、あるいは台湾に色々な素材を提供してそこで組み立てて中国に提供する、そういう様々な方法をとることが重要かと思います。

 台湾と日本、あるいは福井県は言語、技術、社会全体にみられるノウハウあるいはシステムなどで非常に親和性といいますか、近似性があります。双方が力を合わせて手を組み発展することにより、アジア地域に大きく貢献ができると思いますので、福井県はそのようなつもりで、これから政治や産業政策を進めていきたいと思います。よろしくお願いします。

アンケート
ウェブサイトの品質向上のため、このページのご感想をお聞かせください。

より詳しくご感想をいただける場合は、までメールでお送りください。

お問い合わせ先

(地図・アクセス)
受付時間 月曜日から金曜日 8時30分から17時15分(土曜・日曜・祝日・年末年始を除く)