日本商工会議所昼食懇談会での講演

最終更新日 2010年2月4日ページID 000398

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 このページは、平成19年6月21日(木)、東京商工会議所ビルで開催された、日本商工会議所昼食懇談会での知事の講演をまとめたものです。
 講演では、ふくいブランド大使ハンドブックで、福井のブランドを紹介するとともに、本年3月に策定した「コンパクトで個性豊かなまちづくりの推進に関する基本的な方針(ガイドライン)」を説明しました。
  国の「まちづくり三法」の改正により大規模集客施設の立地規制が強化される中で、今後、施設の立地に関して、自治体間の利害が対立する場合があります。本県のガイドラインは、これに真正面から取り組んだものとして評価され、今回の昼食懇談会に招かれたものです。
 西川知事は、全国の商工会議所会頭等約150名の前で、本県の郊外化の実情とコンパクトなまちづくりの必要性を訴えました。

 【西川知事】
190621講演写真 本日は、山口会頭様もご臨席の中、お招きいただきましてありがとうございます。
 「福井県のまちづくりの基本的な方針」についてお話させていただきます。

 福井市の中心市街地は、半径600メートルくらいのエリアでありますが、そこの居住人口は、昭和55年から平成17年の25年間で8,164人から4,453人とほぼ半減しています。
 また、住んでいる人の3割が65歳以上の高齢者でいらっしゃいまして、県内の大野市や鯖江市などはもう少し高いと思いますが、高齢化が特に進んでいる状況にあります。

 大雑把ではありますが、県内の商業地区を中心市街地型、郊外型、住宅地その他型に分けると、郊外型の商業地区のシェアが35パーセント、中心市街地型のシェアが15パーセントで、郊外型の比率が全国で最も高く、中心市街地型は低いほうから3番目です。お手元のパンフレット「コンパクトで個性豊かなまちづくりの推進に関する基本的な方針」の最後のページのグラフをご覧ください。縦軸に郊外型商業地区の販売額のシェアを、横軸に中心市街地型商業地区のシェアをとっておりますが、郊外型のシェアが高い福井は一番左上にあります。鳥取県や富山県、三重県などがよく似た状況にあります。逆に東京は一番右下にあり、中心市街地型であることがわかります。

 さらに福井市内では、幹線道路沿いのいわゆるロードサイド型の商店街が全商店街販売額の3分の2くらいまでに拡大しています。ちなみに、福井市中心市街地の「地価」は、平成18年で1平方メートル当たり34万円で、郊外型商業地区の地価が7万円ですから、まだ5倍近くの較差があります。

 福井県には11の都市計画区域がありますが、そのうち市街化区域と市街化調整区域とに区分しているのは県都の福井市の1つだけで、残り10区域は区分がありません。
 また、福井県内では、幹線道路沿線や新市街地等都市の郊外部において準工業地域が広く指定されておりまして、用途地域の面積に対する割合が21パーセントを超えて全国で最も高い状況にあります。最も低いのが沖縄県の6パーセントで、千葉県や神奈川県も6パーセント台で低く、東京は13パーセントという状況であります。
 福井県では、こうした土地利用規制の緩い準工業地域に、大規模な商業施設が立地するケースが多く見られ、27の大規模集客施設のうち準工業地域に11施設が立地しており、もう少し外側の白地地域に7施設が立地しています。

 パンフレットの地図をご覧ください。地図の上から、福井市、鯖江市、越前市が並んでいます。紫色の濃い部分が準工業地域ですが、赤い中心部分の商業地域から少し離れたところで、この準工業地域が郊外や幹線道路沿いに広がっているのがお分かりになると思います。そして、先ほど申し上げた白地がその外側にあります。このような規制の緩い地域に多くの大規模集客施設が立地しておりますので、われわれはこの無秩序な開発を何とかしたいと思っております。

 平成18年の都市計画法の改正により、大規模集客施設の立地が制限される地域が増えますが、準工業地域については大規模集客施設の立地規制の定めはありません。
 しかし、県内において準工業地域が郊外部に多く指定されていることや、その区域内で大規模集客施設が多く立地している状況を踏まえると、コンパクトなまちづくりを推進するためには、一旦大規模集客施設の立地を制限した上で、都市計画の手続を経て適正な立地を確保していくことが必要であります。

 そこで、福井県では、準工業地域と指定されているすべての区域においても大規模集客施設の立地を制限することを原則とし、県内市町に対して要請したところであります。

 また、白地地域についても、今回の都市計画法等の改正で、大規模集客施設がつくれなくなりました。

 こうして、市や町が大規模集客施設を一旦つくれなくなったところに、その地域の市町長がショッピングセンターをつくるために規制を解除したり、用途変更をするといった場合に、県が広域調整をするということになります。
 市長が解除しようと言っても、周辺の市町がダメだという場合があります。このように広域的に調整する場合の手続等について、平成18年10月に開催しました「福井県中心市街地活性化懇話会」から提言をいただき、基本的な方針を定めました。
 その基本的な方針の中で、県の策定するまちづくりに関する計画との整合性とか、立地市町の策定するまちづくりに関する計画での位置付けとか、周辺関係市町のまちづくりへの配慮とかいう項目によって判断をしていくとしております。

 これは、大規模集客施設の立地を禁止するとか、今後絶対にできなくするというのではなく、ガイドラインをあらかじめ示して、地域の判断を反映した適切な立地を図ろうというものです。
 昨年実施した県民アンケートでも、回答をいただいた1,356名のうち、街の中心部の再生を推進することについては76パーセントが賛成で、郊外の大規模集客施設の立地規制についても56パーセントが規制すべきとの回答でした。

 私もこの春に2回目の当選をしましたが、県内を選挙カーで周って、気になったのは商店街の現状です。私のマニフェストにも「商店街の再生」と掲げましたが、商店街の振興については特効薬がないのが正直な話です。

 福井市では、現在高架化や福井駅部の工事が進められている北陸新幹線の整備と合わせて中心市街地の整備が進められ、また、敦賀市でも、昨年、長浜までであったJR新快速が敦賀に乗り入れしたこともあり、まちづくりの整備が進んでいくと考えております。

 商店街の再生については、自治体も参加して、テント市のような商店街に人が集まってもらえるような取組みができないかと考えております。幸い、市や町の人たちも、観光面やブランド化など街を中心にという機運が高まってまいりました。この機運を自治体として、どのようにしてまちづくりにつなげていくかが課題だと考えております。
 例えば、主要駅、県庁、市役所そして百貨店の4つを直線で結んで、その距離の合計をとってみると、福井市は全国の県庁所在地の中でこれら4つが最も近接しています。
 このように、いろいろと工夫しながら、市町との連携や公共交通機関の利活用などを進め、また新幹線の整備につきましては、福井県だけの話ではなく日本全体のネットワークの話ですので、山口会頭様をはじめ皆さんのお力もお借りして、ぜひとも完成していかなくてはならないと思っております。

 私が提唱している「ふるさと納税」は地方で育った人間が都会で働いて税を納めるときにふるさとにも一部を納めるというものですが、もっと大事なことは、大都市圏と地方との税収の較差を解消するといいますか、バブル期以降、国の施策が中央一辺倒になっておりますが、国土形成上、均衡ある発展のため、大都市圏と地方との較差の解消のため、国ももっとバックアップしていただきたいと考えております。 



 

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