平成22年度課長級研修での講話

最終更新日 2010年7月27日ページID 012498

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 このページは、平成22年7月27日(火)に県職員会館で行われた、平成22年度課長級研修での講話をまとめたものです。

 本日お集まりの皆さんは課長級ですから、所属の仕事の管理のみならず、人の管理もあることをいつも念頭に入れておいてください。また、自分自身と自分の時間も管理する立場になったことも合わせて憶えていただきたい。
 特に、時間というのは仕事の目標管理、成果に深く関わりますので、自らの能力の管理や健康管理にもご留意いただきたい。
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 まず、職員の健康管理について管理者の立場で気をつけていただきたいことは、悩みや身上など、部下の様子をよく把握してほしいということです。これはお節介やプライバシー侵害でなく、人として部下をどう思うかということで、これをないがしろにすることは責任逃れになります。できるだけ部下の身上を把握し、その人のために良いことができるよう努めてほしい。偶然部下と同じ職場になったのかもしれませんが、部下の幸福のため役に立つことをするのは上司の務めです。自分の能力の範囲内で、やれることをすることが大事ですので、無頓着にしないでほしい。自分は課長で彼はグループリーダーだが単に同じ部屋にいるだけというようにならないでほしいと思います。

 二つ目に、職員の服務管理です。勤務時間や休暇など様々な服務管理がありますが、これがいい加減では他のことをいくらよくやっても、世の中には認めてもらえません。仕事はきちんとやっているから服務管理は大目に見てくれと言っても、昔のようには世の中が許さないということです。法律を守ったり、時間を守ったりということを上司として指導してほしいし、自らもそのように努めてください。

 三つ目に、職場の雰囲気づくりですが、元気のない職場ではいけません。元気が出るようにしてほしい。何か指摘するとすぐ「うーん」と思ったりする人もいますが、仕事のために指摘しているだけで人格を貶めるためでなく、仕事のため論じ合うのですから、そのつもりで元気に論じ合いながら、仕事をしてほしいのです。そのためにも、消極的にならず活力を持ってほしい。

 以上申し上げました職員の健康管理、服務管理、そして活力ある職場づくり、これが大事です。このことを意識してください。

 さらに加えると、皆さんは長年の業務経験がありますから、自分のスタンスが固まり、人の意見を余り聞かなくなる場合があると思います。ある程度仕方がないかも知れませんが、部下の言う事に出来るだけ耳を傾けてください。

 その他、現場主義、縦割りをなくす、消極的権限争いをなくす、常識的な考えで当たり前の仕事をしない、決まった事を超えていく、必要以上に完璧主義をとらない、ということがレジュメに書いてあります。完璧というのは、本当の完璧ならよいのですが、皆さんの考えの中での完璧ですから、それが世の中の人に完璧と思ってもらえるかどうかは保証の限りではありません。ですから、ある程度アバウトに進めながら直していく、というのが一番のポイントです。パーフェクトよりスピードを重んずるのが、これからの時代に必要だと思います。

 次に現場主義の考えですが、これはなかなか難しい。例えば、私が「現場をよく見てくれ」と申し上げて、後日確認すると、指示した者以外の者が現場を見ていることが多いのです。「あなたが行ったの?」と尋ねると「いや、担当に行かせました」というようなことが多い。できるだけ本人が行くようにしてほしい。全部見る必要はありませんが、そうすることにより「現場主義」で判断できるようになるからです。

 もう一つ気をつけてほしいのは「現場へ行った主義」では困るということです。現場の様子を見たりいろんな人から話を聞いたりして学ぶことが大切で、現実をよく把握しなければなりませんし、それに意味を与えなければなりません。

 私は家庭菜園をしていますので、例えばキュウリを例にとりますと、上司が部下に「これちゃんと洗ってある?」と聞いた時「はい、洗ってあります」あるいは「いや、まだ洗ってない」というのが正しい答えですね。それを「このキュウリはきれいですよ」というような答えをする人が非常に多い。洗ってあるか、洗ってないかが大事なのに「きれいです」と答えたときは、洗ったからきれいなのか、もともときれいなのか、きれいだと見えるように思っているのか、そのいずれかが分からないので、気をつけてほしいと思います。

 仕事上の失敗はいいことではありませんが、それをごちゃごちゃと複雑にするのがさらに悪いことです。仕事するときにはあっさりとやることが大事です。

 仕事を進める際には、壁だけでなく階段もなくすというのがあります。縦割りをなくし各部で連携せよということ、つまり階段をよく上れということです。以上が所属の長としての役割や心掛けていただきたいことです。

 次に、私のホームページのエッセイから特に仕事に関わるものをお話しします。

(公務と私事)
 公の仕事、これは皆さんの仕事ですが、全体の奉仕者とか公僕などというように、不公平にならないように仕事をするわけです。それは事務を執ろうと、物を作ろうと、犯人を追いかけようと、防災の仕事をしようとみんな同じで公の仕事ですが、これについて、自分の家の仕事のように考えてほしいということです。
 例えば、この会場の照明が切れているとします。自分の家であれば気になります。これが県庁だったらそう思わないかもしれない。「直しておいてくれ」と課長が言うなら大したものですが、何日も放ったらかしにすることもある。そういうことをやめてほしいということです。公の仕事を自分のこととして考えることが大切です。
 逆に、自分の仕事、自分のことを公のようにやってはいけません。これも誤りです。公のことは自分のことのように、自分のことは公平にやるということです。
 公の仕事は熱心に、自分のことはそれほどには熱心にしないようにしないといけません。

(関心について)
 「関心」、これは仕事で一番大事なことです。何に関心を持つかは極めて重要で、これがずれていると仕事がいい方向に行きません。
 仕事を行う時、優劣、あるいは何をなすべきか、がずれていると良いスタートが切れず、結果も良くないと思います。
 皆さんは上司ですから、部下から思いつきで物を言っていると思われる事もあると思いますが、それは仕方ないことです。皆さんと部下の関心が同じなら、皆さんは課長である必要がないのですから。
 部下には、あなたと私の関心はここが違う、ということを明瞭に伝え、仕事をいい方向に持って行ってほしいと思います。
 部長の関心と皆さんの関心についても同様。自分が課長としてこれだけ一生懸命説明しているから、自分と部長は同じ関心のはずで、まして、知事は言ったとおり思ってくれるだろうというのは大間違い。全然違うことがあり、やはりずれてきます。
 ですから、関心事を正しく自覚し、組織的にいい方向に向けなければなりません。

(助言社会)
 4、5年前に「ふくい2030年の姿」というレポートを県庁の若い人につくってもらいました。20年後あるいは25年後の福井県がどんな姿であるか、あるいはどういう人間像が望ましいかということが書いてあります。
 レポートの中で、助言し合い、話し合ったことを立場にとらわれず率直に受けとめ、今よりも少しでも自分を高め合う関係、こうした人間関係で生きていく社会を「助言社会」と名付けています。
 「助言をする」、これはただ物を言うのと比べて少しレベルが高く、小言よりもレベルが高いのです。部下にこのレベルまで関与するのが皆さんの仕事だと思います。
 万事につき助言することは困難ですが、いざ一つでも助言をする際には、心を込めてはっきりと言ってあげてください。何回助言しても解ってくれないのは残念ながら本人の責任ですし、そういう人は諦めるしかないです。助言された人がちゃんと後は改めてくれると、助言が役に立っているのです。
 人から助言を受けた際「なるほど」と思う社会が大事です。これは学校の先生と子供、先生とPTA、校長と教員もみんな同じで、県庁でも同じです。
 ゴルフを例にとりますと、そもそも貴方のスイングは腰が曲がっているとか、体重移動が悪いとか、そういうことを教えるのではなくて、「打ったときに向こうに行ったのはなぜだろうか。それはこういうことだと思うよ」と言ってあげるということです。
 助言を受けるのは若い時ほど役立ちます。50歳では10年間しか役に立ちませんが、40歳だったら20年間役に立ちます。
 あわせて、皆さん自身も誰かから助言を受けることを厭わないでほしい。

(注意について)
 助言の中にも注意という意味合いがあります。個別的なことを言うことを注意といいます。助言は本質的なことで、ここを直すと本人にとって非常に具合がいいということです。部下に「この書類はこうだ」とか「こういう資料はちょっと具合が悪い」と言うことは「注意」です。
 例えばイベントの際前の席が空いていて後ろが詰まっている場合、職員に「前へ案内しなさい」と指示を出す。「前へお詰めください」と放送しても前へ来ない。誰かが会場へ出て「こちらへ」と誘導しないとなかなか前へ来ません。
 それをある個人の例に直して考えると、注意されて「自分がだめだった」と思って、それだけの話になってしまうことが多いです。次の年もまた同じことを別の人がするわけです。
 ですから、この仕事のこの部分に問題があったから、こういうふうに処理して仕事を良くしようと、直さないといけない部分は組織として客観的に直してしまう。皆で次の年から改善しよう、共通の理解を持とうという認識を持てば、組織として仕事がうまくいくのではないかと思います。

(アイディアの固定について)
 「アイディア」というのが、今一番管理職に求められています。「アイディア」は大事です。これは政策にも関わり、仕事を良くすることにも関わりますが、非常に難しい。
 皆さんも日々悩んだり、勉強したりして、情報を仕入れているとも思いますが、そういう努力がないと「アイディア」は生まれません。「アイディア」はもともと自分だけの考えですから、あまりはっきりしないのです。
 頭の中でふわふわしていると思いますが、メモするなりして貯め込んでください。すると、違う情報が入った時に、「これはこう直す」とか「これと組み合わせたらいいかな」となります。自身が思っている事が一番大事な「アイディア」ですから、それを活かしてほしいと思います。
 私は皆さんにお話していますが、これは私が考えたことなので、皆さんはその何割かしか頭に入ってこないと思います。220727講演写真2
 自分で考え、頭へ入れた後、何かもやもやしているままでもいいので、メモをとるなり絵にするなり「アイディア」にしてほしいのです。そうすると、ボンヤリしていたものが何か形になるかも知れません。

 皆さんがいい事を思いつき、今のポストにおいて立派な仕事を実現してくれることを期待しまして、私の講話を終わります。

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