FM福井「Life Is」

最終更新日 2013年1月15日ページID 022360

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 このページは、平成24年10月19日(金)放送のFM福井の「Life is」での知事の発言をまとめたものです(インタビュアーはFM福井の飴田彩子アナウンサーです)。

【飴田アナ(聞き手)】
  今日のこの時間は西川一誠知事をお招きしまして、福井県の子どもたちの学力について伺っていきたいと思います。
  それでは、よろしくお願いいたします。
【知事】
  よろしくお願いします。

【聞き手】
  今日は金木犀の花をお持ちくださったんですが。
  秋の象徴ですよね。いろんなところから香ってきますね。
【知事】
  香りだけしまして、どこにその木があるのかわかりにくい木ですけれどもね。

【聞き手】
  そうですね。今日は実際に枝をお持ちくださいました。
  それでは知事、今日は「やっぱり福井の子どもたちは頭がいいんだな」というお話を伺っていきたいと思っているのですが、今年はもう学力調査の結果は出たんでしょうか。
【知事】
  8月に発表されました。学力調査というのは正式には「全国学力・学習状況調査」と言いまして、毎年小学6年生と中学3年生を対象に行われています。
  今年も福井の子どもたちはよく頑張ってくれまして、今回も全国のトップクラスの結果が出ています。
  学力調査は平成19年に始まり5回目を数えますが、連続してトップクラスになっています。
  子どもたちの学力は、安定して実力を発揮してくれていると思います。

【聞き手】
  福井県の子どもたちがずっと成績が優秀ということは、やはりただの偶然ということではないような気がするんですね。
  福井県での教育は、どういった点が優れているのでしょうか。
【知事】
  まず地域が安定していることが重要です。その他、ご家庭でおじいちゃん、おばあちゃんなどにも参加していただいて、よく子どもたちの面倒を見ておられる。それから、それぞれ小中学校の授業で先生がしっかり取り組んでおられるという、そういう家庭・地域・学校の全体で子どもたちのバックアップができているからだと思いますね。
  そして、私自身も知事に就任して以来10年近くになりますが、教育の分野はとくに大事ですから、力を注いでおり、予算も投入しているということも影響しているのではないですか。

【聞き手】
  以前にも西川知事には教育の話を伺っているのですが、英語教育のお話を伺ったときにも、子育てや教育にかける熱い想いというのが伝わってきたと記憶しています。それで、福井県の学校教育も変わってきたのではないかと感じるのですが、これまでどんなことに取り組んでこられましたか。
【知事】
  やはり教育委員会、あるいはそれぞれの学校が頑張っていただくことが大事なのですが、大きな項目を幾つか申し上げますと、次のようなことが言えます。
  1つは、福井県独自の少人数学級を編制してきたことです。2つ目は、日本語には大切な漢字などです。白川文字学なども使って、興味を持って漢字教育など国語教育を進めています。3つ目は、理科あるいは数学など、サイエンス教育を充実させていることです。4つ目が英語教育。とくに言語能力です。よく話せるといいますか、よく聞くと、よく話す、そういうことを今進めています。

【聞き手】
  白川文字学を使った漢字教育、少人数学級、サイエンス教育、それから英会話を挙げていただきました。こういった福井県独自の教育政策が子どもたちの学力向上に結びついているということですね。
【知事】
  そうですね。例えば今年の算数の問題でコンパスを使った問題が出ているのですが、福井県の子どもたちの正解率は、全国平均を大きく上回っています。これは、実際に子どもたちが自分の手で作業に取り組んでいるからであり、1つのクラスが比較的少人数であるために、先生が行き届いた授業、あるいは指導ができるからこそ、こうした結果も出るのかなと、思っています。

【聞き手】
  やはり1クラスの人数が少なければ、それだけ先生が丁寧に教えることができるということですね。以前に、福井県では白川文字学を使って漢字を教えているから漢字の書き取りもしっかりしているんだというお話も伺いましたね。
【知事】
  小学校のつまずきの一つは、やはり漢字ではないかと思います。ですから、できるだけおもしろく興味を持っていただくことが大事です。
  それから、最近ではよく「理科離れ」「数学離れ」などと言われますけども、サイエンス教育も同じように、いかに興味を持つかという問題があります。そこで、福井県では理数系の学問に興味を持ってほしい、今回、ノーベル医学生理学賞を山中先生が受賞されましたけれども、南部陽一郎先生が何年か前にノーベル物理学賞を受賞されたことを記念した「南部陽一郎記念ふくいサイエンス賞」や「ふくい理数グランプリ」などを開催して、児童・生徒がチャレンジしたり、興味を持ったりしていただくようなシステムをつくっています。
  そのほか、小さいお子さん向けには「サイエンス博士」を派遣し、公民館など身近なところで科学実験などを行い、遊びの延長の中でサイエンスを身につけるというようなことも以前から続けています。
  そのため、今回の学力調査でも理科が初めてテストの科目に追加されているのですが、福井県の小学生は全国2位、中学生は1位という成績を上げました。

【聞き手】
  なるほど。成績が上がる仕掛けがあるということですね。
【知事】
  ただ、全国の都道府県も福井に負けないようにと追っかけてきていますので、油断しているわけにもいきません。

【聞き手】
  この福井県の学力の高さが評判になって、県外からの視察が相次いでいるんですよね。
【知事】
  昨年1年間に全国の39の都道府県から1,170名余りの教育関係者がお見えになりました。【聞き手】
  たくさんいらっしゃっていますね。
【知事】
  これは子どもの学力もさることながら、実は子どもの体力テストもあるんですが、これも断トツで福井が1位ですから、文武両道的なことに関心を持ってお見えになっているのでしょう。

【聞き手】
  計算しますと大体1日5、6人が視察に来ている計算になるらしいですね。
  やはり皆さん、福井県の教育政策には驚かれて帰られるんでしょうか。
【知事】
  国が学力調査を始めたのは平成19年ですが、実は福井県では、それ以前、昭和26年から独自の学力調査をずっとやっております。これは全国的にも注目を浴びていますが、いろんな流れがしっかりできているので、視察に来られた方が驚いておられるのではないかと思います。
  メディアによりますと、他県ではあまり活用していないということもあるようですが、それは非常にもったいないことですので、福井県では学力調査を授業改善に活かそうと毎年ノウハウの蓄積をしております。それぞれの問題について分析をして、生徒たちの弱点がわかるようにして、これをまた授業に反映させるようにです。例えば足し算で「1+1.5」という計算と「1.5+1」という計算では、小数を前か後ろのどちらにもってくるかで正答率が変わってくるのです。子どもというのは大人が考えられないところにつまずくことがありますから、そのつまずくところを大人が、あるいは先生がよく把握するということが大事だと思います。

【聞き手】
  それにしても、福井県の教育がこれだけ注目されますと、他の都道府県の模範になっているようで、これは誇らしいですよね。
【知事】
  私は3期目のマニフェストに「福井で実行している教育を日本のモデルに発展させたい」と書いています。そして、生まれて0歳から小中学校を経て、高校の18歳まで、一貫性のある「福井型18年教育」を目指したいということもマニフェストに掲げたのです。
  そこで、18年教育のスタートとなる幼児教育が極めて重要であることから、11月には、幼児教育支援センターを生活学習館にオープンしたいと思っております。これは直接幼児を支援するのではなく、幼児を応援する保育所や幼稚園の先生をバックアップするセンターなのです。

【聞き手】
  具体的にはどういったところになりますか。
【知事】
  幼児の時代は心のできる時期ですから、家庭や保育所、幼稚園で生活教育を充実させて、これはしてはいけないとか、早く起きるとか、ご飯をしっかり食べるとか、さらには規則正しい生活習慣を育むことが大切です。そこで、このセンターが支援拠点となり、保育所、幼稚園の先生が小学校のカリキュラムを学んだり、あるいは幼児教育、家庭教育に関する合同研修をそれぞれ受講をしに行ったり、系統的に研修を行うことによって、先生のレベルを向上させようと思っています。

【聞き手】
  小学校に上がる前からしっかり育てていこうということですね。
【知事】
  小学校になったころには性格や生活のスタイルがある程度できてしまっていますから、できるだけよい方向に持っていくことが大事です。
  また、今度は全国トップレベルの小・中学校の高い学力を、いかに高校につなげていくかも重要です。そのため、中高一貫教育についても別途検討を行っています。

【聞き手】
  中高一貫教育というのは、中学校と高校が一緒になっている学校ですか。
【知事】
  そうです。併設型の中高一貫教育校では、高校受験がありませんので、6年間系統的に勉強できます。
  大都市では私立が中心ですが中高一貫の高い学力を誇っている学校が多く、福井の子どもたちは大学入試や就職といった場面で、彼らと同じ競争の場に立たされることになります。
  そこで、学力、体力のトップレベルである福井県なりに、今、その研究をしているのです。福井県の実情に合ったものとするにはどうすればよいか、というような検討をしています。
  併設型の中高一貫教育校では、学習指導要領に縛られず弾力的に教育課程を組むことができますので、とくに中学3年生の段階で高校の学習内容を先取りできるようなことがメリットに挙げられます。

【聞き手】
  国の基準に縛られずにカリキュラムを組んで、より学力向上を目指そうということですね。
【知事】
  もちろん中高一貫校でなくても、今のやり方でもっと弾力的に学校の現場でやれることもあると思いますので、その研究も一方で必要です。
  そこで今年の5月に、学力向上センターを教育委員会につくり、学力の分析や教員の授業力の向上、独自の教材の開発などを進めています。
  そのほか、外部の有識者による効果的な授業の進め方についての研修などを行っています。例えば英語ですと松本茂先生、数学ですと秋山仁先生など、こういう方などにおいでいただく予定です。

【聞き手】
  より実践的な研修ということですよね。
【知事】
  また、進学希望の生徒のために学力向上センターがいろんな講座を開くことにしています。
  福井県は私立大学の情報が比較的少ないですし、予備校がたくさんあるわけではありませんので、難しい大学を受験するにあたっての出題傾向や答案作成のポイントなどの情報もそんなにありませんから、そういうところで後れを取ってしまわないように気をつけたいと思っております。

【聞き手】
  ただ、進学ばかりではなく、高校を卒業して就職される方もいらっしゃいますよね。
【知事】
  もちろんです。実際、福井の生活経済、そして社会全体を支えてくれるのは地元に残っている諸君だと思いますので、そういう人たちに立派な教育を受けていただくことが一番大事なことです。それは進学以上に、大都市に行く以上に大事なことですから、職業系教育の向上に力を入れております。
  そこで今年から新たに、県内の工業系あるいは農業系高校の生徒たちに、夏休みを利用して企業の現場に10日程度実務的な研修を受けてもらい、さらに先生方も学校で教えるだけではなくて、いろんな企業あるいは農業試験場や工業技術センターなどで研修をしていただいています。
  それから、企業からアドバイザーを迎えて授業に助言をいただくなど、産業界との連携を深め、社会のニーズに対応した教育を充実させていきます。

【聞き手】
  福井県では、進学・就職にかかわらず子どもたちへの教育をしっかりしたものにしていきたいということですね。
  以前もお伺いましたが、西川知事は外国語教育にも力を入れていらっしゃいますよね。
【知事】
  これからの世の中はグローバルな時代を迎えると思い、外国語によるコミュニケーション能力は進学系の高校あるいは職業系の高校にかかわらず必要だと、以前から感じていました。さらに、外国語で会話するということは、「勉強」というよりはむしろ、料理をしたり、あるいはなにか芸事をしたりすることと同じで、ある意味で生活に即した能力だと思います。
  そこで「受験に必要な英語」にとらわれず、実際に話せる力、外国で活用できるコミュニケーション能力が役に立つ。最近の受験もようやく、こうした実践的な会話重視になってきたように思います。

【聞き手】
  つまり、「使える英語」ということですね。
【知事】
  そういうことです。福井県は、子どもたちの数に対するALT(外国語指導助手)が日本一多い県なのです。こうした外国教師と一緒に食事をしたり、あるいは外国の映画を見たりして、生の英語をシャワーのように浴びる「イングリッシュシャワー」という取組を進めています。また、高校生をニュージャージー州や中国の浙江省に派遣したほか、英語の教員を1か月間アメリカへ長期派遣して授業方法などを学ばせるなど、先生も生徒もいろいろな体験をすることによって、外国語を本当に使いこなし、身につくような外国語教育を進めたい。

【聞き手】
  これからの時代というのは、ますます外国語というのは必要になってくるでしょうね。
【知事】
  そのほか、外国語でメールを打てるというのが、企業の皆さんは期待されるようですから、そのためには先生がそれこそ外国語をちゃんと書いたりしゃべったりすることが大事ですから、例えば、授業は英語でするなど、先生にはとくに頑張ってほしい。

【聞き手】
  今日は、福井県の子どもたちはなぜ優秀なのかというお話を伺ってきましたけれども、優秀な理由がわかるような気がしました。それだけの政策を行っているということですよね。
  今日は、福井県知事 西川一誠さんに福井県の教育政策について伺ってきました。
  今日はどうもありがとうございました。
【知事】
  ありがとうございました。

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