2014年 新春知事対談

最終更新日 2014年2月14日ページID 025733

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 このページは、平成26年1月2日(木)にFBCテレビで放送された「知事対談 日本をリードする福井の英語教育」の内容をまとめたものです。
 西川知事が、神田外語大学の柴原智幸専任講師と、全国に先駆けた福井県の英語教育について語りました。

(求められる英語力)
【司会】
 柴原さん、最近、就職の時に英語力を求める企業が増えてきているそうですね。
【柴原】
 そうですね。社内英語公用語化や、TOEICで何点という基準を設ける企業のは非常に増えていますね。就職活動と英語の勉強がかなり重なってきている部分はあると思います。
 ただ、どういう英語力が求められているのかということは、就職をする側も企業側も明らかにしていく必要があると思います。資格試験で高得点をとる人が欲しいのか、高得点をとれる人の能力が欲しいのかといえば、これは明らかに後者だと思います。英語の資格試験というのは、あくまで英語というツールの基準であり、使える英語、実用的な英語を身につけていかないと本末転倒になってしまうと思います。

(英語教育の必要性)
【司会】
 グローバル社会において、生きた英語がこれからますます求められていくと思いますが、西川知事は英語教育の必要性についてどのようにお考えでしょうか。
【知事】
 これまでは受験に必要だと我々はずっと思ってきたんですね。これは昔の考え方であり、今は受験ではなくて、現実的に必要になってきていると思いますね。2020年オリンピック東京大会の招致のプレゼンテーションでは、総理大臣や走り幅跳びの佐藤選手が立派なプレゼンテーションを国際的な場で行いました。大事なときに、それほど難しい英語ではなくても、しっかり心を込めて英語を話せるという能力は大事だと思いますね。
 それから、福井県の企業でも、ぜひともメールは打ってほしいとか、場合によってはいろんな交渉事のときに、たとえ通訳がいたとしても、相手が話すことは理解してほしいというように、具体的に現実の問題になってきていると思います。

(英語教員の指導力向上)
【司会】
 柴原さん、福井県の小学校でも英語の授業が始まっていますが、英語を教える先生のレベルアップも重要になってきますね。
【柴原】
 そうですね。それは非常に重要な要素になってくるかと思います。特に小学校で教える場合が、中学校に入って英語の勉強を本格的に始めた時点で、もう既に英語が嫌いになっているということがないようにしないといけないと思うんですね。ですから、小学校の英語の勉強では、やはり英語の楽しさということを中心にしていただければと思うんです。もちろんそれはゲームとかだけやっていればいいということではなくて、例えば基本的な発音、こういうふうにやれば上手に発音できるよということは、小学生の方が教えた場合の伸びが非常に速いですから、英語の基礎体力づくりみたいなことを中心にやっていかれるといいのではと思いますね。
【司会】
 柴原先生には、福井県の英語教員への指導をお願いしていますが、どのようにお感じですか。
【柴原】
 潜在能力は非常に高いものをお持ちですね。実際にセミナーなどで教えさせていただきましたが、途中から大化けされるんですよ。つまり、途中で大化けされるということは、もともとかなり実力が高いからこそ、そういう大きな変化があるということなので、最初からこれを覚醒した状態に持っていくことができれば、福井県のお子さんたちにとってものすごく大きなメリットになるのではないかなと思います。
【司会】
 西川知事、先生たちのこれからの頑張りにも期待が大きいですね。
【知事】
 10年前、マニフェストで、高校を卒業したら英語を何とか使いこなせるようにするという約束をしています。ほかの多くのマニフェストは実現しましたが、英語の問題だけが解決していないんですね。ぜひとも先生方に頑張ってほしいと思い、私自身もいろいろな番組をラジオで聞いたんです。柴原先生の番組が大変情熱的で、合理的で、少しずつ積み重ねていくと必ずマスターできるというお話をうかがいまして、研修に来ていただいているわけですね。先生方も楽しみながら生徒と一緒に学び、学校の現場で頑張っていただくというのが大事かなと私は思うんです。
【柴原】
 そうですね。「背中で語る」という言葉がありますが、先生方にはぜひ、英語を勉強すると楽しいんだという後ろ姿を教え子の皆さんに見せていただければと思いますね。ALTといろいろお話をしてみるとか、英語を使って自分がこういう世界を広げてみたとか、それが楽しかったとか、そういうお話をどんどん教え子の皆さんにしていただければと思います。

(中学校・高校の英語教育)
【司会】
 中学・高校の英語教育ではどのようなことが大切になっていきますか。
【柴原】
 もう20年ほど前から日本の英語教育というのはコミュニケーション重視という方向に大きくかじが振れているんですね。これは私の個人的な主観かもしれませんが、ちょっと薬が効き過ぎているところもなきにしもあらずだと思うんですよ。間違いは気にしないでどんどん話そうというのはいいんですけれども、だんだん、別に間違いは直さなくてもいいという感じになっている気がするんですね。先ほど社内英語公用語化の話もありましたが、やはり必要となってくるのは、きちんとした英語、伝わる英語、正しい英語ということですので、ネイティブっぽくなくても意図がしっかり伝わる英語だと思うんですよ。もちろんコミュニケーション重視の方針で英語を教えていただいて構わないんですが、その一方で、少し古い、昔ながらのやり方かもしれませんが、文法だとか構文だとか、あるいは、どういうふうに話したら正しい英語を話せるのかという教育にも力を入れていただければと思います。
【司会】
 西川知事、中学・高校の英語の教育についてはいかがでしょうか。
【知事】
 本当は外国に行っていただきたいのですが、全員というわけにいきませんから、高校生100人を15日間、語学研修で、アメリカに行ってもらっています。それから、先生方も1か月ぐらいの研修を始めています。すると、それをきっかけに、点数も上がりますし、勉強するという意欲が湧いてくるし、他の友達への刺激にもなるわけですね。英語というのは普通の科目と違って、どちらかというとスポーツとか演劇的な部分がありますから、誰でも才能をお持ちだと思うんですね。それを、うまく教材を使って、工夫をして、教室を活性化していくと、きっとマスターできるのではないかと思っています。

(ALTを活用した英語力の強化)
【司会】
 生の英語に触れるためには、ALT(外国語指導助手)と接する機会を増やすということも効果的ですよね。
【柴原】
 そうですね。非常に効果的ですね。福井県というのは全国でもALTの数が多いと伺っていますが。
【知事】
 現在は82名を配置しており、生徒当たりのALTが日本一多い県です。ですから、教室あるいは学校外で、ALTに頑張っていただくようないろんなシステムを導入し、ALTの皆さんを活かして効果的な授業をしてほしいと思いますね。
【柴原】
 そうですね。ALTの先生方には、中高生の皆さんが出会う英語の一番最初の壁になっていただければと思うんですね。つまり、何でもかんでも英語を話して、「good」と言って褒めてしまうのではなくて、伝わらない英語を話していたら、「いや、それはわからないよ」とちゃんと言ってあげるとか、もしくは、英語だけではなくて、一番最初に出会う異文化であってほしいんですね。例えば、動物一つとっても、文化によって得るもの、印象というのが全然違ってくるんですね。色も文化によって全く意味合いが違うんですよ。太陽とか月のイメージも日本とインドなどでは全然違ってきます。ALTの先生方には、そういう異文化に最初に出会うきっかけになっていただければと思います。
【司会】
 西川知事、福井県はALTの皆さんと一緒に学ぶ独自の英語教育をいろいろ行っていますね。
【知事】
 そうですね。イングリッシュ・シャワーや高校生英語キャンプ、ディベートやコンクールの指導、それから教材とか教科書も含めて、問題を直接英語でスピードも変えながら朗読してもらったりしています。こうした現実的なバックアップもしていただいていますが、まだまだ活躍していただく分野は多いと思いますね。

(今年の抱負)
【司会】
 最後に、今年の抱負を、まず、柴原さんからお願いいたします。
【柴原】
 今年は、私の指導している大学での指導にさらに力を入れていきたいです。今までは理念的なことを「こういう方向に行きたい」というところでとまっていましたので、もう少し徹底的に学生たちの力を反復練習で伸ばしていきたいと思います。その成果で得た知見や、いろいろなノウハウなどを、福井県の英語の先生方のセミナーに活かしていければと思っています。
【司会】
 それでは、西川知事、お願いします。
【知事】
 柴原先生は番組の中で、英語の勉強が、努力すればそれが決して無駄にならない、そして、焦らず、たゆまずやると、楽しいというお話をされています。そして、福井らしいモデルをつくってみてはともおっしゃっていますから、日本のスタンダードを福井からつくり出して、日本の教育制度、あるいは世界に売り出していくという決意でやりたいと思います。ぜひ今年も柴原先生に力強い応援をお願いしたいと思います。
 

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