2016年 新春知事対談

最終更新日 2016年1月3日ページID 031450

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 このページは、平成28年1月3日(日)にFBCテレビで放送された新春知事対談の内容をまとめたものです。
 番組では、就職や進学で県外に在住した後、地元福井で地域の特産品を活かそうと、さまざまな分野で活躍されている皆さんのふるさと福井への思いを聞きながら、西川知事が福井に人を呼び込む方法について語りました。
 ゲストは、若狭町地域おこし協力隊で道の駅三方五湖店長の宇野早希さんと、越前打刃物業界では40年ぶりとなる個人の独立工房を開設した越前打刃物の職人の黒﨑優さん、地元の梅を使って主に飲料を作っているエコファームみかた代表取締役の新屋明さんです。

(ふるさと福井で活躍)
【司会】
 まず、知事、地元に戻ってきて、それぞれの分野で盛り上げていらっしゃる皆さんを前にして、いかがですか。
【知事】
 1回県外に出た後、再びふるさとに戻って、それぞれの分野で大活躍をしている3名を迎え、感謝したいと思います。こういう方が増えるということは嬉しい限りです。
 全体としては、福井県の人口は減少していますので、いろいろな分野で頑張っている方に福井に戻ってきてもらうための応援をするのが我々の大事な仕事だと考えています。
 福井に住んで、あるいは来ていただいて、結婚し、子育てをし、幸せになろうという、全国のモデルになるようなことを皆さんと力を合わせて進めたいと思います。
【司会】
 その幸福の実感についてですが、皆さんが、福井っていいところだな、幸せだなと思うところを伺いたいと思います。
 まず、宇野さんいかがですか。
【宇野さん】
 自然豊かで、海、山、川、湖もあって、海産物が美味しいところがいいなと思います。
【司会】
 食の喜びって、ポイントが高いですよね。
 黒﨑さんはいかがですか。
【黒﨑さん】
 伝統産業が守られていて、きちんと後世へと受け継がれているところ、子育ての環境が整っているところですね。
【司会】
 伝統産業、そして子どもたちって、本当に福井の宝ですよね。
 新屋さんはいかがでしょうか。
【新屋さん】
 全国に誇れる食材が豊富で、一緒に地元の地域の産業を盛り上げていこうという同世代の仲間が大勢いるところですね。
【司会】
 やはり、仲間の存在は大きいですよね。
 知事、皆さんのお話の中に福井に人を呼び込むヒントがありそうですね。
【知事】
 皆さん、それぞれ得意とされている分野が違いますので、お互いの持ち味を活かしながら、力を合わせて、ふるさと創生や人口問題に取り組む大事な時期だと思います。
 今回、県、市や町あるいは経済界、いろいろな団体の方と力をあわせて作った人口減少対策の戦略を、徹底して実行していかなければなりませんし、また時間もかかります。あらゆる分野を総合的に進めていくことが、我々に課せられた仕事だと思っています。

(福井で暮らす)
【司会】
 福井県に魅力を感じてくれる人を増やし、人口減少を食い止めていきたいですね。
 では、皆さんに詳しくお話を伺っていきたいと思います。まずは、若狭町地域おこし協力隊として、道の駅三方五湖で店長をしている宇野さんのお話を伺っていきます。
 宇野さんはレジから商品を紹介するポップづくり、ホームページやフェイスブックの投稿など、お仕事が多岐にわたっていますよね。
 宇野さんが地域おこし協力隊になろうと思ったきっかけを教えてください。
【宇野】
 県外へ進学し、そのまま県外で栄養士・調理師として就職しましたが、いつかは地元若狭町に帰って、食にかかわる仕事がしたいと思っていました。ちょうどその時に、協力隊の募集を見つけて応募しました。
 県外で暮らしている時に、福井のことをまだ知らない県外の友達が多く、もっと福井のことを知ってもらいたいという思いもありました。
【司会】
 知事、宇野さんのように福井に戻ってきてくれる若い人たちが増えるといいですね。
【知事】
 福井にU・Iターンをしてもらうためには、市町と一体となって協力しなければなりません。
 福井駅の東口にUターンセンターを設け、移住者の希望に沿った仕事の紹介をはじめ、住まいや子育てなどを総合的にきめ細やかな支援をしています。
 福井だけではなく、東京、大阪、名古屋にも相談窓口を設け、気軽にUターン、Iターンの相談ができる体制を整えています。
 福井と東京でそれぞれ大学卒業後に就職し、家庭を築いた場合の家計収支差は3,000万円ぐらい、福井でずっと生活された方が有利だと計算をしています。
【司会】
 3,000万円の差って結構な金額ですね。
【知事】
 そうですね、こういう福井の暮らしの良さを数値化し、あわせて特に女性に魅力のある本社機能の誘致も行っていきたいと思います。
【司会】
 宇野さんは、ほかの地域おこし協力隊の皆さんと連携したイベントもされていますが、どうして企画してみようと思ったでんすか。
【宇野さん】
 地域おこし協力隊の活動地域は、自分の任された協力隊の分野にとどまってしまうことが多いので、連携事業を通して福井県全域のことを知るきっかけになればと思ったからです。
【司会】
 いろいろ情報交換をすることで、広がったり、違うところで手を組めたりとか、つながりの強さというのは力になっていきますよね。
【宇野さん】
 はい、新しい発見にもつながると思います。
【司会】
 知事、若い人たちのパワーはすごいですね。
【知事】
 そうですね。U・Iターンももちろん大事ですが、一方で県内の大学に進学した方が、県内で就職していただくことも大事ですよね。
 春には、大学連携センターを設け、県内の大学が連携しながら共通に英語を学んだり、あるいは教養科目とか福井のブランドについて勉強することで、地元定着や県内就職をさらに進めたいと考えています。
 それから、高校生の皆さんの地元進学の意欲を高めてもらうために、オープンキャンパスなども開催し、地元で育ち、学び、就職するという流れを作っていきたいと思います。

(伝統産業を受け継ぐ)
【司会】
 続いては越前打刃物の職人、黒﨑さんにお話を伺います。
 越前打刃物業界の大きな期待を背負っていらっしゃいますね、重くないですか。
【黒﨑さん】
 かなり重いですね。
【司会】
 でも、それがエネルギーになっていきますよね。
【黒﨑さん】
 そうですね。
【司会】
 黒﨑さんの刃物の特徴を教えてください。
【黒﨑さん】
 手打ち感を残すために槌目というのをつけています。それを綺麗に磨いて、宝石のようにきらきら光るおしゃれな包丁を作っています。
【司会】
 黒﨑さんが、独立した後に何か感じられていることはありますか。
【黒﨑さん】
 注文がたくさん来るようになって、徐々に自分の作品に自信をつけることができました。やはり独立できたのは行政の支援があったからです。またここまで支えてくれた親方に、感謝し、今後は若手に伝えていきたいと思います。
【司会】
 黒﨑さんが打刃物の世界に入ったきっかけは何ですか。
【黒﨑さん】
 ものづくりが好きで、鉄を親方が叩いていたのを見学したんですが、それがものすごくかっこよくて私もやりたいなと思いました。
 また、自分の作った包丁やナイフがブランドになる、これがものすごく魅力的だと思います。
【司会】
 お客さんの反応はいかがですか。
【黒﨑さん】
 「よく切れる」といってもらえると、すごくうれしいですね。
【司会】
 創作活動の意欲につながりますね。
【黒﨑さん】
 そうですね。
【司会】
 知事、伝統産業を長く後世に伝えていきたいですね。
【知事】
 福井県は、伝統産業がしっかり残っている県です。伝統工芸に憧れ、また実際、黒﨑さんのように独立されるという、大きな流れができています。安心して独立できるよう、伝統工芸職人塾をつくり、研修の手当や家賃支援などで、応援をしています。塾生の半数以上が県外出身者で日々研修に励んでいます。
 また、サンドーム福井をリニューアルして、伝統工芸職人塾の勉強や、子どもたちが学ぶ拠点にし、デザインの研究もしていきたいと思います。
【司会】
 黒﨑さん、国内外のナイフショーに出展されていますが、反応はいかがですか。
【黒﨑さん】
 越前打刃物は、大人気です。特に海外からのオーダーが殺到しています。僕の注文は9割が海外からなんですよ。
【司会】
 海外からの注文が9割もあるんですか。
【黒﨑さん】
 はい、手づくりなので、注文を受けてから半年待っていただいています。それでも欲しいと言ってくれるので、大変ありがたいと感じています。
【司会】
 越前刃物がほかの産地の刃物と違うところはどういったところですか。
【黒﨑さん】
 やはり切れ味、長く切れますね。あとは鋼材もいいですし、僕は世界一だと思っています。
【司会】
 そして、プラス技術力ですね。
【黒﨑さん】
そうですね。
【司会】
 知事、夢は世界へと広がっていきますね。
【知事】
 もうすでに、世界に広がっているんですよ。昨年10月にミラノ万博がありましたね。日本館は一番人気があり、福井県も出展しました。私も来場者に食と、打刃物、漆器、和紙など食に関係する伝統工芸をPRしました。世界にも自信を持って誇れる技術だと思います。商談会も開催しましたが、こちらも非常に引き合いが多く、これからのビジネスの展開が期待されると思います。
 また、今年の11月にサンドーム福井をメーン会場に伝統的工芸品の全国大会を開いて盛り上げていきたいと思います。

(特産品を活かす)
【司会】
 続いては、新屋さんが地元産にこだわって作っている商品について、お話を伺っていきます。
 梅を育て、加工、販売までをされていますが、どんなことをお感じですか。
【新屋さん】
 13年前から自分たちで育てた梅を加工し販売する6次産業に着手しました。現代人に合った味付けの商品を作り、それをいかに販売するかという付加価値をつけるという面での苦労があります。
 自分たちだけでは限界がありますので、商品開発の専門家の派遣やパッケージのデザインなど県や商工会の支援で1つ1つ商品が出来上がっています。商品の価値が上がれば、原料の梅の価値も上がり、農家の皆さんの所得にもつながります。そういう流れを早く確立させ、梅を栽培したいなという若者がたくさん出てきてくれることを期待しています。
【司会】
 知事、行政の支援があると、心強いですね。
【知事】
 そうですね、農業を支えてくれる人たちがどんどん来てくれるといいですね。現在、園芸を中心に、技術と経営といろいろな戦略を学んでいただく場として園芸カレッジを設けています。特にUターン・Iターンをされる人には定着をしてもらえるように手厚く応援しています。
【司会】
 新屋さんは、東京のイベントなどでも商品の販売や試飲をされていますが、評判はいかがですか。
【新屋さん】
 おかげさまで大好評です。特に飲食店やバーに商品を納めていますが、当社の甘くない梅酒は新規性や話題性があるので、お客さんに勧めやすく、リピーターが増えていると聞いていて、大変ありがたく思っています。
 しかし、今までとは概念の違う梅酒なので、実際に口にしていただいて、味わっていただくというのが大事になってきます。県外の展示会や物産のイベントに出向き、試飲を通して広く紹介しています。
【司会】
 知事、福井の食は都市圏でも人気が高いようですね。
【知事】
 そうですね。福井の食はレベルが高くトップクラスだと思いますね。福井の食材を使った料理を提供する「ふくいゆかりの店」を東京などで増やしていますし、ふくい南青山291や食の國福井館銀座店でも越前がにをはじめとする水産物などの素材そのものの良さを全国に発信しています。ポストコシヒカリの開発も順調ですし、伝統野菜「福井百歳やさい」も広めていきたいと思います。

(今後の抱負)
【司会】
 最後に、皆さんの抱負を伺っていきます。
 宇野さんからお願いします。
【宇野さん】
 県内の食や観光地など、まだ私自身が知らないことが多いので、福井にしかない、ならではの魅力を自分でも発見しつつ、発信もしていきたいです。
 ほかの地域おこし協力隊と連携した目新しい企画も考えていきたいと思います。
【司会】
 黒﨑さん、お願いします。
【黒﨑さん】
 先輩方が700年築き上げてきた越前打刃物をさらに800年につなげていけるよう、若手と一緒に頑張っていきたいと思います。越前打刃物を世界ブランドにしていきたいです。
【司会】
 新屋さん、お願いします。
【新屋さん】
 新しい梅酒をきっかけに、福井梅と福井の魅力を大いに発信していきたいと考えています。商品の付加価値が上がることで、消費が拡大され、原料の産地が活性化することを目指していきたいと思います。今後は梅に関わらず、県内の農産物を使った新商品の開発にも取り組んでいきたいです。
【司会】
 知事、抱負をお聞かせください。
【知事】
 県民が福井に自信と誇りを持っていただくことが大事ですから、市や町とも力をあわせて若い人たちを応援していきたいと思います。
 また、北陸新幹線など高速交通網の整備も急ぎたいと思います。
 国体、またオリンピックなどもありますから、福井がこれから7,8年は盛り上がっていく時期だと思いますので、皆さんの力を得て、ぜひ頑張っていきましょう。よろしくお願いします。
【司会】
 皆さん、今日はありがとうございました。
【一同】
 ありがとうございました。

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