北陸経済連合会と北陸3県知事との懇談会での知事発言要旨

最終更新日 2010年2月4日ページID 009149

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 このページは、平成21年7月29日(水)にホテル日航金沢(金沢市)で行われた、北陸経済連合会と北陸3県知事との懇談会での知事の発言要旨をまとめたものです。懇談会には、西川知事のほか、石井隆一富山県知事、谷本正憲石川県知事、新木富士雄北陸経済連合会会長など約100名が出席しました。本県経済界からは、川田達男副会長(セーレン㈱代表取締役会長)、山崎幸雄常任理事(福井テレビジョン放送㈱代表取締役会長)、川上正男常任理事(福井県商工会連合会会長)などが出席しました。
 西川知事は、「北陸と福井の方向」といった観点から次のとおり意見を述べました。

 Ⅰ 冒頭のあいさつ
 Ⅱ 環日本海交流時代を見据えた人流・物流の結節点『北陸』の構築に向けて
 Ⅲ 北陸地域の自立と持続的発展に向けて

【Ⅰ 冒頭のあいさつ】 

(北陸地域の一体的発展)
210729発言要旨写真1 北陸3県の一体的な発展のためには、インフラ整備、物流、産業振興など、地域全体がまとまって取り組んでいくことが不可欠であり、官民の連携や協働がますます重要となってくる。特に、北陸新幹線については福井までの延伸が絶対に必要であり、年内の早い時期での認可を強く訴えていきたい。
 各県の経済・雇用対策については、ほぼ同じような状況かと思う。当初予算では、福井県が4,808億円、石川県が5,023億円、富山県が5,317億円。補正予算では、福井県が220億円、石川県が227億円、富山県が382億円。
 2週間ほど前に全国知事会議が開催され、各県知事と意見交換を行った。人口が増えて発展している地域というのは、大都市のいろんな影響を受けて、地域のアイデンティティや今後の方向性について悩んでいるような印象を受けた。一方で、疲弊をしていて今後の十分な見通しが立たない地域も見られる。
 北陸3県については、厳しい状況ではあるが、夢や希望など、将来性がある地域だと自らの3県を思った。今後とも経済界の皆さんと一体となって地域の発展に取り組んでいきたい。

(営業力の強化)
 福井県では、この4月に、県庁の組織の中に「観光営業部」を設置した。これは観光を営業するということだけではない。福井県を売り込んでいこう、福井県を全国に知ってもらう、そしてその営業の一環に観光というものもあるという意味である。全国あるいは世界に向けてどれだけできるか分からないが、はっきり意識して組織的に福井県を売り込んでいきたいと考えている。

(APECエネルギー大臣会合)
 来年、APECエネルギー大臣会合が本県で開催されることが決まった。日程については、国で6月開催に向けて調整中である。
 エネルギー分野であるため、原子力など3県互いに関係がある。また、新エネルギーの問題や環境問題も深く関わるので、経済界の協力も必要。3県が連携して取り組んでいきたい。
 なお、9月4日に敦賀市でキックオフイベントを開催する予定であり、多くの方々にご参加いただければと思う。

(「ふるさと政策」の推進)
 福井県が進めている「ふるさと政策」について、「ふるさと納税」、「ふるさと帰住」など、全国の自治体にも広がりを見せている。
 地方から国を変えていくというか、国は地方が行うことを応援することが大事。国が何か枠組みを作って地方がそれに合わせるという、そういう発想の世の中ではなくなってきている。
 「ふるさと」を大事にしていきたい。

【Ⅱ 環日本海交流時代を見据えた人流・物流の結節点『北陸』の構築に向けて】


(広域交通ネットワーク)
 北陸新幹線については、先ほども述べたとおり、福井までの延伸が絶対に必要であり、一日も早く認可されるよう強く訴えていきたい。敦賀まで整備されることにより、東京に向けてはもちろん立地条件が良くなるが、大阪に向けても富山から1時間、金沢から40分、それぞれ短縮されることを頭に入れる必要がある。
 中部縦貫自動車道については、一部の区間で事業化されたが、残りの区間についても早期に事業化されるよう国に働きかけていきたい。この道路が整備されれば、東海北陸自動車道や北陸自動車道、名神自動車道と一体となった環状ネットワークが形成され、産業・観光面での相乗効果が期待される。

(港湾等の整備促進)
 港湾については、各県それぞれに立派なものがある。敦賀港は、かつて、ウラジオストクまでの連絡船とシベリア鉄道を介し、ヨーロッパと結ばれており、世界に開かれた日本の玄関口として大きな役割を果たした。現在、国際ターミナルの整備を進めており、来年秋の本格供用を目指している。また、福井港については、主にロシアへの中古車輸出の減で厳しい状況にある。
 経済界の皆さんには「この港のこの機能はこれ以上整備しなくてもよい」、「この荷物はこの港を使いたい」などの意見を率直に述べてほしい。利害関係があって100%は受け入れられないかもしれないが、投資や整備に無駄がなくなる。
 空港については、小松空港を本県の空の玄関口と考えており、空港連絡バスのルートを変更して時間短縮を図るなど、これまでも空港の利便性向上を図ってきた。今後とも、福井県の空港でもある小松空港の利用促進を図るため、ぜひ協力してPRしていきたい。また、富山空港も含め、北陸全体で無駄のないように使わせていただきたい。

(観光戦略)
 恐竜は福井県の主要ブランド。先の6月補正予算で、恐竜博物館の目玉となる世界最大級のカマラサウルスの全身骨格化石を購入する予算を計上した。約2億8千万円と高価であるが、来館者の増加と特別料金などによる増収で賄いたいと考えている。
 中部縦貫自動車道が整備されれば、恐竜博物館への来館者が大幅に増加し、観光面で大きな効果が期待される。

(原子力技術によるアジアとの交流)
 これからの日本は、アジア諸国に対し、技術指導や技術支援など、貢献していくことが重要になる。
 本県は、これまでアジア諸国からエネルギー関連の研究者や研修生を多数受け入れてきた。今後も受入れ拡大を図るつもりである。
 APECを契機に、本県の先進的なエネルギー政策の現場を国内外に発信し、エネルギー人材育成の一大拠点化を目指していきたい。

【Ⅲ 北陸地域の自立と持続的発展に向けて】

(産業振興など活力あふれる地域の創造)
210729発言要旨写真2 先の国の平成21年度補正予算で、科学技術振興機構が各都道府県に産学官研究拠点を整備することとなった。国はこの拠点整備について推進委員会を設置し、具体的仕組みなどを検討することとしており、私も委員となっている。
 明日、第3回目の会議が開催され、事業の基本方針や公募要領などについて議論がなされるが、私も出席し、経済的に厳しい地域への配慮や地域経済活性化のための有効活用などについて要請したい。

(地方分権改革の推進)
 道州制については、これまで幾度となく全国知事会議で議論されてきた。賛成の知事がいる一方で、消極的であったり反対する知事も相当おられる。地方自治の根幹を担う全国町村会も、組織として道州制導入に明確に反対の意を示している。
 このようにさまざまな動きがある中、全国の自治体の考えは大体こういうバランスにあるということを、各政党に申し上げる必要があると考えている。明日、兵庫県の井戸知事とともに、道州制には慎重に対応するよう、自民党、公明党、民主党の各政務調査会長等に対して要請し、その際、今回の趣旨に賛同する各県知事の意見も併せてお伝えしたい。
 地方分権を進める上で、道州制で万事解決できるという考えは危険であり、十分な注意が必要である。万能薬は世の中にはないのであり、一つひとつの課題に正面から向き合って解決していかなければならない。経済界の立場でも、全国でいろんなブロックがあるが、地域の問題をじっくり考えていただくのが重要かと思う。
 自治体の運営は、そこに人々がいるのであって、機械のように組織体ではない。試行錯誤を繰り返しながら民主的に物事を考え、生活を良くしようとするのが地方自治の歴史であるし、ありようだと思う。
 道州制の議論には、大都市圏側の拡大主義の考えも出ている。つまり、その都道府県に指定都市が含まれ、行政が重複し、その存在意義あるいは自治体として何をしたらいいかということが問題になる中で、大都市問題を解決しないまま物事を広げて処理しようという動きである。これは大都市として解決すべき問題であり、道州制で解決できるものではない。
 全国でこの道州に近いものとして北海道がある。北海道の地域構造は、中心都市の札幌市に一極集中し、周辺地域は疲弊して置いてきぼりになっているのではないか。中心都市自体も政治として幸せかというと必ずしもそうではないと思う。
 北陸3県が合体して頑張ろうというのは、心意気としてはいいのだが、仮に北陸州になったとしても、人口はたったの300万人。300万人で何ができるか。道州間の競争になったとき、他州に勝てず、経済が破綻する可能性もある。
 日本全体にとっても、道州制で地域がいくつかに分かれ、それぞれ経済政策を進めていくということになると、国家としての統一性が損なわれ、国際競争力が衰退し、厳しい国際環境の中、他国と渡り合って勝ち抜いていくことはできない。
 これまでの都道府県という行政区域によって、住民に対してしかるべきサービスができているというのが我が日本の現状かと思う。都道府県がなくなると、地方の政治もアイデンティティもなくなるだろう。

 なお、道州制については、各県知事とも次のとおり慎重、反対の意見を述べました。

<谷本石川県知事>
 道州制については言葉だけが独り歩きし、中身は何も進んでいないのが実態。三位一体改革では交付税が3兆円削られるなど騙された。まずは分権改革を進めることが大事。これだけ成熟した社会で大革命は起こせない。中身を一つひとつ実証し、本当に地方の自立を前提にした道州制になるのか、よくよく見極めないといけない。

<石井富山県知事>
 道州制は国の形を全く変える話。市町村合併とは本質的に違う。今のまま税源移譲を行うと、東京が一人勝ちし、地方との格差が広がる。処方箋があれば道州制に絶対反対ではないが、国は示してこなかった。よほど議論して進めないといけない。



 

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