「平城遷都1300年記念東アジア地方政府会合」リージョナルレポートでの知事発言要旨

最終更新日 2010年10月7日ページID 013355

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 このページは、平成22年10月7日(木)に奈良県新公会堂で行われた、「平城遷都1300年記念東アジア地方政府会合」リージョナルレポートでの知事の発言要旨をまとめたものです。
 リージョナルレポートには、西川知事のほか、青森県知事、島根県知事、韓国扶余郡市長、フィリピンオーロラ州知事など、6か国27地方政府代表が出席しました。


 福井県知事の西川です。本県の観光地はさきほどお配りしたパンフレットに記載されていますのでご覧ください。221007知事発言要旨1

 福井は日本のほぼ真ん中にあり、日本海側に面しております。古くから開けており、6世紀には高句麗からの国使が、7世紀後半からは新羅の国使が来航し、そこから奈良や京都に連絡をしていました。
 平城京跡地から発掘された木簡というものがありますが、福井県からはさまざまな美味しい食べ物を奈良の都に送っていた形跡があります。現在でも、日本一美味しくて、その結果値段も一番高いのですが、カニが本県の特産としてあります。

 それから、福井県は古来から都や大陸との関係が深かった立地条件のため、47都道府県の中で、人口あたりの神社とお寺の数が最も多い県であります。
 オバマ大統領で有名になりましたが、福井県の小浜市は海のある奈良と呼ばれ、ご当地奈良市と姉妹提携を結んでいます。大昔、小浜から、赤ん坊が大きな鷲に連れ去られ、現在の東大寺がある場所の大きな杉の木に置き去りにされたという伝説があります。その赤ちゃんが成長し、後に東大寺の初代の住職「良弁僧正(ろうべんそうじょう)」になったという言い伝えもあります。このように奈良とは長いつきあいがあります。

 さて、文化遺産を活用した観光振興のための地方政府の役割について述べます。
 1つ目は、基本的なことでありますが、まずは、地方に残された文化財を開発から守り、その保存と活用を行うということであります。
 その代表例として、15世紀から16世紀にかけての戦国時代の遺跡でありますが、一乗谷朝倉氏遺跡についてお話しさせていただきます。ご覧いただいている写真の左側が整備前の状況ですが、地面の下に遺跡が埋もれていました。その土地を土地改良して大きな田んぼや畑にするという計画がありましたが、よく調べたところ、下に15世紀か16世紀の遺跡があるということが分かりました。いろんな議論を重ねてこれを右のような形に保存をし整備をしていったという実例です。福井県には当時、あまり専門家がいませんでしたので、奈良県の国立文化財研究所の協力を得て、発掘が行われたところです。

 それから2つ目は、地方政府が先導的に地方で発見し保全活用している文化財を明らかにし、全国に発信することです。
 福井県の農村部では、白壁に格子がある切妻屋根や漆喰塗りの壁、土蔵のある民家が各地で見られます。写真のような物です。これを放っておくとどんどん少しずつ無くなります。福井県としてはこの原風景ともいえる姿を、認定制度を設けて、改修したり保存したりしています。現在では700戸余りの住宅が伝統的民家として登録されています。
 その他、郷土の偉人の発掘なども重要でありまして、明治政府のマニフェストである五箇条のご誓文を書いた由利公正の草稿を購入したり、あるいは「東アジアよ目覚めよ」ということで、植民地時代にアジアの覚醒ということを言った岡倉天心先生の「茶の本」の初版本なども買っています。

 最後に3つ目として、これらの仕事は住民と地方政府が協同することです。221007知事発言要旨2
 さきほど朝倉氏遺跡の話をしましたが、この地域では遺跡を復活するのみならず、住民がさまざまなイベントを行っています。昨年は、天皇陛下をお迎えし全国植樹祭を開催しました。平成16年には水害にも遭ったのですが、その復興もみんなで行ったところです。このように住民と地方政府が協力しながら文化財を保存するということが大事だと思います。

 以上3点、地方政府と観光の問題についてお話しさせていただきました。



 

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