開催日:平成20年7月25日

1 包括的案件

〈審議事項〉

(1)銃砲規制等の在り方に関する意見書の概要
 県警察から、昨年12月に長崎県佐世保市で発生した散弾銃使用殺傷事件を受け、警察庁において有識者委員で構成される「銃砲規制の在り方に関する懇談会」を開催し、その方向性等をとりまとめた『意見書』の概要報告があった。
 また、今後は、警察庁において同『意見書』を公表しパブリックコメントにより一般国民の意見を募集するとともに、国家公安委員会の指示のもと各都道府県公安委員会委員等の意見を聴取し、今後の法改正の検討に反映させる旨の説明があった。
 委員から
「銃の複数所持についての規制が困難であるとのことであるが、銃を所持することの必要性を含め、所持数が制限できないこと自体おかしいと思うし、規制すべきだと思う。」
旨の発言があり、県警察から
「所持数の制限については、どの辺で区切るかが難しく、現行制度の運用では、許可申請の際に複数所持の必要性や管理の適正等について厳格に審査する必要があると認識している。」
旨の説明があった。委員から
「本来、銃は危険で所持すべきでないと言われている一方で所持数の制限もできないのでは、何を規制するのかという感じがする。」
旨の発言があった。委員から
「銃を所持させないことが原則なのだから、銃の所持数を含め色々と厳しい規制をし、所持者の責任と義務を果たしてもらう必要があると思う。また、欠格事由の期限も5年から10年に延ばすということではなく、一度、不適格者になったら永久に所持できなくするなどして、曖昧なところをなくすべきだと思う。」
旨の発言があった。委員から
「必要により銃を所持する場合には、必ず猟友会等の母体となる組織に所属させ、母体組織は規則に基づき年に数回の確認や報告を行うなど、警察との連携の下、自己管理を徹底させる仕組みを構築する必要があると思う。また、欠格事由等の各規制については、厳しくする必要があると思う。」
旨の発言があった。また、委員から不適格者の発見と排除に関する質疑として
「銃の所持者の情報を公表していないので、一般人からの情報提供は期待できないのではないか。」
旨の発言があり、県警察から
「都市部では困難であるが田舎ではそうでもない。」
旨の説明があった。委員から
「必ず猟友会等の組織に所属させ、その組織の許可がなければ、銃や実包を買うことも所持することもできないようにし、また、販売店も同組織に所属しているか事前に確認しなければ売れないようにして、売買等の申告義務を負わせてはどうか。」
旨の発言があり、県警察から
「現行では、実包を購入する場合、公安委員会の許可が必要となる。また、販売店は、許可証を確認し、同許可証に販売数等を記載するとともに備え付けの販売台帳にも記載するなどして管理している。」
旨の説明があった。委員から
「個人情報の保護に十分注意する必要があるが、販売店に対して実包の売買状況等の実績を電子申告させる制度を導入すれば、個人の消費量や全国の販売状況が自動的に、しかも容易に確認できるのではないか。」
旨の発言があった。委員から
「公安委員会に猟銃の所持許可や更新の申請があった場合、警察で本人等に対する調査を行っているが、猟銃を持つ人は必ず猟友会に加入させて、猟友会においてある程度把握できるような仕組みにしてはどうか。また、警察での調査に当たっては、猟友会からも不適格者かどうかの意見を求めるようにしてはどうか。」
旨の発言があり、県警察から
「猟友会は任意団体であり、現行では猟友会に入らなければならない法的規制はない。また、猟銃の所持許可者に関しては、警察においてしっかり管理している。」
旨の説明があった。委員から
「銃を所持する者には、猟をするとか、スポーツを行うなど、必ず目的意識があることから、それ以外の者には銃を所持させないことが必要だと思う。そのためには、銃を所持する者は必ず猟友会等の母体となる組織に加入し、その組織から警察に報告させる義務を負わせる必要があると思う。そして組織に加入していない者については、銃の所持許可を取り消すなどの厳しい規制が必要だと思う。また、各組織において、警察が立合いの下、定期的な会議等を開催し必要な情報交換や銃の使用状況等の実態把握に努め、技術向上のための教養等も行い自己管理を徹底させる仕組みを考えていく必要があると思う。」
旨の発言があった。

〈報告事項〉

(2)売春周旋罪及び不法就労助長罪の検挙
 県警察から、福井市内において不法滞在の外国人4名を不法に雇用し売春をさせていた無店舗型性風俗特殊営業(通称デリバリーヘルス)の中国人経営者を出入国管理及び難民認定法違反(不法残留)で逮捕、同法(不法就労助長)並びに売春防止法違反(周旋)で追送致した旨の報告があり、事件概要、捜査経緯等について説明があった。
 委員から
「今後も徹底した取締りをお願いしたい。」
旨の発言があった。
(3)平成20年上半期の警察安全相談
 県警察から、平成20年上半期における警察安全相談の取扱い状況等の報告があり、相談総件数3,677件(対前年比373件増加)の主な特徴(「振り込め詐欺などの相談」が601件で最も多く、次いで「契約・取引関係等の金銭トラブル」、「迷惑行為・いたずら等」、「職場・近隣トラブル、家事問題」と続いていることなど)及び女性特有の相談(ストーカー及びDV事案)の現状等について説明があった。
 また、今後も関係機関との連携、相談しやすい環境作りの整備など適切な相談業務に努める旨の説明があった。
 各委員から、各種相談内容等の確認があるとともに
「女性特有の相談の相談件数と認知件数の差が多いように思うが、認知されない相談についても相談者が納得できるような対応に努められたい。」
旨の発言があり、県警察から
「今後も相談者の立場に立って、相談者が納得できる対応に努めるよう指導する。」
旨の説明があった。
(4)平成20年上半期の少年相談
 県警察から、平成20年上半期における少年相談の取扱い状況等の報告があり、相談総件数347件(対前年比43件増加)の主な特徴(「非行問題」が58件で最も多く、次いで「サイト関連」、「犯罪被害」、「交友問題」、「家庭問題」、「学校問題」と続いていることなど)及び少年・保護者に対するサポート活動の実施状況等について説明があった。
 また、増加傾向にある「メール関係のトラブル」や「オークション詐欺の売買トラブル」について、教育現場と連携し「ひまわり教室」等において高校生を重点に指導を強化するとともに、補導活動等を通じ少年に対する啓発活動を強化する旨の説明があった。
 委員から
「教育委員会との意見交換会の時にも話題になったことだが、メール関連の相談が増加しているようであり、教育現場と連携して子供に対する知識の向上に努めるとともに、被害者が相談しやすい体制づくりをお願いしたい。」、「IT化が進み、これに関連する問題等が増加しているが、子ども達に対し事例をあげて徹底して教えることが大事だと思うのでよろしくお願いしたい。」
旨の発言があった。
(5)平成20年上半期の少年非行の概要
 県警察から、平成20年上半期における少年非行の概要報告があり、非行少年の総検挙・補導人員277人(対前年比15人減少)の主な特徴(初発型非行が全体の約8割、罪種別では窃盗犯が全体の約6割、中・高校生で全体の約7割を占めることなど)及び不良行為少年の総補導人員1,599人(対前年比255人減少)の主な特徴(深夜はいかい、喫煙で全体の約9割、高校生が全体の約4割を占めることなど)等について説明があった。
 また、中・高校生による自転車盗や万引き等が依然として多発しており、若い世代の規範意識が欠如していることが危惧されることから、今後は、次の重点活動を推進し少年の非行防止に取組む旨の説明があった。

  【重点活動】
   @ 関係機関・団体と連携した自転車盗、万引き防止対策の強化
   A 少年の溜り場や深夜はいかいを重点とした街頭活動の強化
   B 小、中、高校における非行防止教室(ひまわり教室)の拡充
   C 学校内での非行防止に向けたスクールサポーターの効果的活用
 委員から
「福井警察署協議会に出席した際に、高校生の自転車盗の抑止対策について協議されていたが、高校生に対して意識付けをすることが大切であるとの共通認識であった。そして、そのことを繰り返し徹底して行うことが大切だと思う。是非、抑止対策に重点をおいた取組みをお願いしたい。」
旨の発言があった。
(6)脅迫文により区民体育会を中止させた威力業務妨害事件の検挙
 県警察から、本年5月24日に坂井市内の自治会長宅に区民体育会の中止を要求する脅迫文が届けられ、同体育会の中止を余儀なくされた威力業務妨害事件については、その後の捜査により、坂井市内の男性被疑者を逮捕した旨の報告があり、事件概要、捜査経緯等について説明があった。
 各委員から
「犯人が捕まって非常に良かった。」
旨の発言があり、県警察から
「時間はかかったが、今後、同種犯罪の抑止効果になることを期待している。」
旨の説明があった。
(7)福井市内における連続強制わいせつ事件の検挙
 県警察から、平成19年の秋頃から連続発生していた福井市内における強制わいせつ事件については、本年2月13日に福井市内の男性被疑者を福井県迷惑行為等の防止に関する条例違反で現行犯逮捕し、その後の捜査により、一連の強制わいせつ事件等16件を検挙・解決した旨の報告があり、事件概要、捜査経緯等について説明があった。
(8)広域空き巣事件の検挙
 県警察から、本年3月14日に福井市内で発生した民家侵入事案で職質により現行犯逮捕された住所不定の男性被疑者について、その後の本部捜査第一課、福井南警察署及び福井警察署の合同捜査により、3管区10県下における主にアパートを対象とした広域空き巣事件等130件(被害総額780万円相当)を検挙・解決した旨の報告があり、事件概要、捜査経緯等について説明があった。
(9)北陸自動車道日野川橋梁工事に伴う対面通行交通規制
 県警察から、本年8月25日から9月12日までの間、北陸自動車道の日野川橋梁工事に伴い対面通行交通規制が実施される旨の報告があり、工事概要、規制方法及び事前広報の実施方法等について説明があった。
(10)県交通安全協会が実施する実車講習において無登録車両を公道で移動させた事案
 県警察から、県交通安全協会が実施する実車講習において無登録車両を公道で移動させた事案の概要等について口頭報告があった。
(11)第1四半期の監察結果
 県警察から、平成20年度第1四半期に実施された中部管区警察局長が行った総合・随時監察及び警察本部長が行った総合監察の結果報告があり、いずれの監察についても特に非違事案に直結するような指摘事項はなかった旨の説明があった。
(12)平成20年上半期の苦情受理状況
 県警察から、平成20年上半期において県警察が受理した苦情の受理状況について報告があった。
(13)警察職員採用試験に関する対応
 県警察から、警察職員等の採用に関する対応について口頭報告があり、受験者に合格通知を発出した後に問い合わせのあった県議会議員に対して合否の結果を電話で回答した事実はあったが、それが受験者の合否に影響するものではなかったこと、また、今後、公平性を確保するため同様の問い合わせに対して回答を一切行わない旨の説明があった。
 委員から
「今後は、あらぬ疑いが掛からないよう、厳正に対応願いたい。」
旨の発言があった。

2 個別的案件

〈審議事項〉

・ 運転免許更新処分に対する異議申立て
 運転免許更新処分に対する異議申立て(平成20年5月20日受理)について審議し「棄却する」旨の決定をするとともに、決定書(案)を決裁した。

3 運転免許の処分関係

 本日(7月25日)実施した道路交通法違反に関する意見の聴取等の実施結果と処分内容に関する説明を受け、原案のとおりこれを決定した。

4 個別決裁

(1)警察本部長に対する情報公開請求の決定等
 警察本部長に対する情報公開請求(7月7日付け)について、公開決定等の報告があり、これを了承した。
(2)交通事故に係る知事専決処分について
 平成20年6月に発生した警察職員による交通事故について、地方自治法等の法令に基づき、知事専決処分の手続を経て和解を図る方針である旨の報告があり、これを了承した。
(3)運転免許停止処分に対する審査請求の受理について
 平成20年7月に決定した運転免許停止処分について、同処分の取消しを求める審査請求書の提出があり、これを受理した旨の報告を受け了承した。
(4)猟銃等所持者に対する許可取消処分について
 本日、銃刀法違反者に対する行政処分(所持許可取消処分)に係る聴聞を実施したが、同人欠席のため、同行政処分とすることを決裁した。
(5)風俗営業者に対する行政処分に係る聴聞の実施について
 福井市内の風俗営業に係る行政処分(営業許可停止処分)について、被処分者に対する聴聞を原案のとおり実施することを決裁した。
(6)風俗営業者に対する行政処分に係る聴聞の実施結果について
 福井市内の風俗営業に係る行政処分(営業許可停止処分)について、被処分者に対する聴聞(7月9日実施)の実施結果報告があり、同行政処分とすることを決裁した。
(7)地域交通安全活動推進委員の辞職承認について
 平成20年6月20日付けで坂井西地域交通安全活動推進委員から辞職願いが提出されたことについて報告を受け、解嘱することを承認した。
(8)自動車運転代行業の認定申請について
 認定申請者に対する調査結果の報告を受けて、申請者を自動車運転代行業として認定することを決裁した。
(9)特定交通安全施設等整備事業を実施すべき道路の指定に係る意見について
 交通安全施設等整備事業の推進に関する法律に基づく特定交通安全施設等整備事業を実施すべき道路の指定内容について説明があり、特に意見なしとして回答することを決裁した。
(10)平成20年第7次交通規制の実施について
 合計24箇所の平成20年第7次交通規制を原案のとおり決裁した。
(11)県外特別派遣部隊の援助要求に対する同意について
原発警備に係る第90次県外特別派遣部隊の援助同意を受け、これを決裁した。
(12)公安委員会宛電子メールの対応
 福井県公安委員会宛電子メール(6月30日、7月15日付け受理)の対応等について説明を受け、これを決裁した。

公安委員会の開催概要(〜平成20年〜)へ
前回(平成20年7月11日)へ
次回(平成20年7月31日)へ