開催日:平成21年8月21日

1 個別決裁

(1)交通事故に係る知事専決処分
 平成21年5月及び6月に発生した警察職員による交通事故について、地方自治法等の法令に基づき知事専決処分の手続を経て和解を図る方針である旨の報告があり、これを了承した。
(2)自動車運転代行業の認定申請
 認定申請者に対する調査結果の報告を受けて、申請者を自動車運転代行業として認定することを決裁した。
(3)自動車運転代行業の認定取消に係る聴聞の実施
 福井市内の自動車運転代行業者に対する行政処分(認定取消処分)に係る聴聞について、原案のとおり実施することを決裁した。
(4)県外特別派遣部隊の援助要求に対する同意
 原発警備に係る第103次県外特別派遣部隊の援助同意を受け、これを決裁した。
(5)公安委員会あて苦情等の対応
 公安委員会あて苦情等(7月28日付け受理1件、8月13日付け受理1件)の対応等について説明を受け、これを決裁した。

2 包括的案件

〈審議事項〉

(1)「児童ポルノ根絶ふくいプログラム(案)」の策定
 県警察から、『児童ポルノ根絶ふくいプログラム(案)』の策定趣旨について、「現在、インターネット上には大量の児童ポルノが流出し、ファイル共有ソフトを通じて不特定多数の者が容易に閲覧又は売買できる状況にある。また、被害児童の約1割が小学生以下であるなど低年齢化している現状にあり、国民からは、特にインターネット上の児童ポルノ事案に対する対策強化を求める声が高まるとともに、国際的にも日本の責任ある対応が求められている情勢にある。このような危機的な状況の下、要請に的確に対応するため、児童ポルノ事犯の取締りを効果的に推進するとともに、流通防止対策及び被害児童支援を推進し、もって児童ポルノを根絶させ被害児童の人権を回復するための『児童ポルノ根絶ふくいプログラム(案)』を策定した。」旨の説明があり、審議の結果、次の重点推進事項のとおり実施することを決定した。

  【重点推進事項】
   @ 取締りの推進
    ○ 「児童ポルノ根絶ふくいネットワーク」の新規構築等、取締り態勢の強化
    ○ 取締りに精通するための専門的な捜査員の育成
    ○ 児童ポルノ愛好者グループの徹底検挙
    ○ 積極的な事件広報の実施
    ○ 捜査員や部外者に対する賞揚の実施

   A 流通防止対策の推進
    ○ サイト管理者に対する指導・警告等、流通防止に関する指導等の徹底
    ○ 県警ホームページ、各種広報紙等を活用した広報啓発活動の実施

   B 被害児童支援の推進
    ○ 児童保護医療機関ネットワークの医師等と連携したカウンセリングの実施

 また、本プログラムに基づき、県内の関係機関・団体による「児童ポルノ根絶ふくいネットワーク」連絡会を本年9月3日に開催し、情報の共有化と対策面の連携強化を図る予定である旨の説明があった。
 委員から
「『児童ポルノ根絶ふくいネットワーク』連絡会の構成メンバーについて伺いたい。」
旨の質疑があり、県警察から
「児童保護医療機関ネットワークやサポートアドバイザー、インターネットプロバイダ及びインターネットカフェ関係者、そのほか県関係者等の参画を予定している。」
旨の説明があった。また、委員から
「児童ポルノ被害の現状として、実際に被害児童からの被害届出はあるのか。児童本人の被害認識の問題もあり判断が難しいのではないか。」
旨の質疑があり、県警察から
「被害届は少なく、インターネットに流出している児童ポルノの被害児童の特定が困難な状況にある。児童の多くは巧妙に騙されて被害に遭っていると考えている。」、「インターネット上での児童ポルノの氾濫ぶりは危機的状況にあり、被害児童数も計り知れず、大きな社会問題となっている。今後、所要の態勢で検挙活動や広報活動を最重点に取り組み、根絶に向けて注意喚起していかなければならないと考えている。今回のプログラムでは、まず、その基盤となるネットワーク関係者の協力を得て連絡網を構築することとしている。」
旨の説明があった。委員から
「インターネット上の児童ポルノを閲覧した場合には、違反にならないのか。」
旨の質疑があり、県警察から
「児童ポルノを提供する目的で、児童ポルノを製造又は陳列したり、あるいは所持した場合には違反になるが、閲覧するだけでは違反にならない。」
と説明し、委員から
「例えば県条例等で閲覧についても規制できないのか。」
旨の質疑があり、県警察から
「インターネットの閲覧について規制をすることは、事実上困難である。また、児童ポルノであることを立証するためには、医師による鑑定や端緒情報の収集など地道な作業が必要となる。」
旨の説明があった。委員から
「我々も児童ポルノの実態を知り、認識を新たにした。このプログラム原案のとおり各種対策を積極的に推進し、児童ポルノの根絶に万全を期していただきたい。」
旨の発言があった。

〈報告事項〉

(2)マイカーローン融資名下の詐欺事件で暴力団幹部ら詐欺グループを逮捕
 県警察から、本年8月20日に、本部組織犯罪対策課、福井警察署、福井南警察署、あわら警察署、坂井警察署、坂井西警察署及び鯖江警察署の合同捜査により、自動車の購入意思がない者を契約者としてマイカーローンを悪用し、同融資金を騙し取った暴力団幹部ら詐欺グループ5人をマイカーローン融資名下の詐欺事件で逮捕した旨の報告があり、事件概要及び逮捕経緯等について説明があった。
 各委員から、事件概要等について確認があるとともに、
「今回の詐欺事件は、福井県銀行警察連絡協議会からの情報提供が発端であり、同協議会が機能した好事例だと思う。また、そのことが新聞でも報道され、暴力団排除に対する警察と金融機関との緊密な連携が県民に周知できて大変良かった。」
旨の発言があった。
(3)裏サイト利用による偽造運転免許証密売事件の検挙
 県警察から、平成20年12月26日に、シートベルト取締中の坂井警察署員が偽造運転免許証を提示した被疑者を無免許運転により現行犯逮捕し、その後、本部交通指導課と坂井警察署が北海道警及び長野県警との共同捜査により、インターネットの裏サイトを利用して不特定多数の顧客相手に偽造運転免許証を密売していた北海道在住の被疑者を通帳詐欺や偽造運転免許証作成等の事実により逮捕した旨の報告があり、事件概要、逮捕経緯及び今後の捜査方針等について説明があった。
 各委員から、事件概要等について確認があるとともに、
「シートベルト取締中に偽造運転免許証を見破った坂井署員は、表彰に値すると思う。」、「運転免許証は、身分を証明する上で最も簡便で確実性がある。今回の事案は、公安委員会が発行する運転免許証の信用性を大きく損なう重大な事件であると思う。」
旨の発言があり、県警察から
「この種事案は、捜査を進める上で密売元にたどりつくまでには相当な労力と時間を要するが、今回は捜査員の地道な努力でうまく被疑者を割り出すことができた。」
と説明し、委員から
「日本警察にとって大手柄であったと思う。偽造運転免許証が振り込め詐欺等の犯罪組織に利用される可能性が高く、今後、徹底した捜査をお願いしたい。」
旨の発言があった。
(4)街頭犯罪等抑止対策の推進状況
 県警察から、街頭犯罪等抑止対策の推進状況報告があり、自転車盗難防止対策及び侵入犯罪防止対策を強化した結果、特に自転車盗などの乗り物盗の発生が大幅に減少したことにより、刑法犯全体の認知件数が本年7月末現在で3,722件で、対前年同期比230件減少したこと、また、罪種別では、「車上狙い」、「自転車盗」、「万引き」及び「器物損壊」の発生が多く、今後、これらの犯罪を防止するための対策を強化しなければならないことなどについて説明があった。
 また、「万引き」の防止対策としては、特に10代の若者や65歳以上の高齢者による発生が多い実態を踏まえ、規範意識の向上及び遵法精神の啓発に努めるほか、関係機関・団体との連携及び管理者対策を強力に推進する旨の説明があった。

   【刑法犯認知件数(平成21年7月末)】
    ○ 刑法犯合計         3,722件(対前年同期比230件減少)
    ○ うち街頭犯罪8類型合計 1,402件(対前年同期比171件減少)
     〈内訳〉
     ・ 車上ねらい         426件(対前年同期比6件増加)
     ・ 自販機ねらい         49件(対前年同期比12件増加)
     ・ 自動車盗           35件(対前年同期比4件減少)
     ・ オートバイ盗         54件(対前年同期比9件減少)
     ・ 自転車盗          620件(対前年同期比198件減少)
     ・ 空き巣            105件(対前年同期比27件減少)
     ・ 忍込み            41件(対前年同期比22件増加)
     ・ 住居侵入           72件(対前年同期比27件増加)
    ○ その他件数の多い犯罪
     ・ 万引き           448件(対前年同期比±0)
     ・ 器物損壊         422件(対前年同期比14件減少)
 委員から
「『万引き犯捕捉に係る諸経費請求制度』を導入している店舗では万引きの抑止効果が現れているということであるが、実際に福井県内で実施している店舗はあるのか。」
旨の質疑があり、県警察から
「既に大型スーパー店や書店等で導入しているところがある。店舗の店頭入口に『万引きをした場合は損害賠償を請求する』旨を表記することで、抑止効果があると聞いている。」
と説明し、委員から
「隙を与えないことが大事なので、同制度の導入店舗を拡大するなど、抑止する活動を積極的に展開する必要があると思う。」
旨の発言があった。また、委員から
「万引き被害の対象品目など、その実態について伺いたい。」
旨の質疑があり、県警察から
「万引きの被害は、品物別では、食料品が最も多く、次いで化粧品関係や文具類となっている。また、被害場所別では、スーパー、デパートが最も多く、動機別では、生活困窮によるものが多い。」
旨の説明があった。委員から
「今後も万引きや自転車盗など、発生状況に応じた各種抑止対策を推進願いたい。」
旨の発言があった。
(5)夏期における暴走族総合対策の実施結果
 県警察から、夏期における暴走族総合対策実施結果報告があり、本年も敦賀・疋田検問所及び小浜・熊川地籍における大検問、また、「福井フェニックスまつり」開催期間中の主要交差点等における検問等を所要の体制で実施した結果、県外からの暴走族等の流入や県内における暴走行為等を未然に防止することができた旨の説明があった。
 委員から
「暑い最中、長時間にわたり大変だったと思うが、県民にとっては非常に有り難く、安心を与えたものと思う。お礼申し上げる。」
旨の発言があった。
(6)国道27号における交通事故抑止対策
 県警察から、国道27号における交通事故抑止対策の報告があり、今年に入り国道27号での交通死亡事故が激増(死者数6人〜対前年比5人増加)し、危機的状況にあることを踏まえ、関係機関・団体が共同で交通死亡事故現場の点検を行うとともに、「交通死亡事故緊急対策会議」を開催し、交通環境の整備や交通指導取締り、広報啓発活動など、各種交通事故抑止対策を検討し、強力に実施することとした旨の説明があった。
 委員から
「交通量が少ないので、かえって安心してしまうことが主な事故の原因ではないかと思う。県警から説明のあった道路におけるランブルストリップスの設置などは、効果があると思う。」
旨の発言があった。

3 運転免許の処分関係

 本日(8月21日)実施した道路交通法違反に関する意見の聴取等の実施結果と処分内容に関する説明を受け、原案のとおりこれを決定した。

4 業務報告会

 刑事部から、各所属の主な分掌事務や重要課題等について報告があった。

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