開催日:平成21年12月17日(移動公安委員会〜坂井西署)

1 東尋坊における自殺防止対策状況視察

坂井西署の案内により、東尋坊における自殺防止対策の状況について現地視察を実施した。

2 包括的案件

〈審議事項〉

(1)東尋坊における自殺防止対策
 坂井西署から、東尋坊における自殺防止対策の現状について「平成18年10月の自殺対策基本法の施行等を契機に、年間3万人を超える自殺者の減少に向けた対策の強化を望む世論が高まる中、坂井西警察署協議会から『東尋坊周辺における自殺防止対策として、関係機関等が一体となった取り組みを行うことが必要』との提言を受けて、平成19年7月に、地元自治会、観光協会、坂井市などで構成する「安全で安心な観光地づくり対策会議」を設立し、会議を重ねる中、決議した各種対策を実施した結果、自殺の未然防止に一定の効果が現れるに至った。しかし、一方で自殺企図者の保護件数が大幅に増加している現状に鑑み、今後は自殺企図者の減少をも図る各種対策を強化することとなった。」旨の説明があった。

 【これまで実施してきた対策】
   ○ 合同パトロール〜平成20年4月以降週3回(地元、市、警察)
   ○ 照明設備の設置〜「救いの電話」付近に計4基増設
   ○ 陶板作品の掲示〜命の大切さを呼びかける作品の掲示
   ○ マスコミへの要望〜要望書提出

  【対策の効果】
   ○ 自殺とみられる変死取扱い数の減少
   ○ 「救いの電話」付近での保護の増加
   ○ 保護取扱い件数の増加

  【問題点】
   ○ 自殺企図者の大幅増加(経済不況とマスコミ報道等の影響)

  【今後の対策】
   ○ 夜間立入禁止措置(看板の設置等)〜坂井市長への要望書提出
   ○ タクシー協会等との協定の締結
 委員から
「全国的に自殺が増加している中、東尋坊における自殺が減少しているのは警察を始め関係機関・団体による防止対策が奏功している証左である。保護した自殺企図者から実際に話を聞くことがあるのか。」
旨の質問等があり、坂井西署から
「自殺企図者から事情聴取を行っているが、その原因や動機は多様かつ複合的で、中には警察での保護を拒否する者もいる。」
と説明し、委員から
「自殺の原因や動機がはっきりしていれば、比較的立ち直りの可能性は高いが、精神障害等の場合は、自殺を思い止まらせることが困難で徒労に終わることが多い。」
旨の発言があった。委員から
「東尋坊での自殺企図者の保護が大幅に増加していることで、警察署の業務負担が高くなっていると思うが、警察ではどの程度まで保護しているのか。」
旨の質問があり、坂井西署から
「自殺企図者は、親族等に引き渡すまで警察の保護下に置いている。また、身寄りのない者については、関係機関との連携により、状況に応じた必要な措置を講じている。」
旨の説明があった。委員から
「自殺企図者の保護については、警察だけに任せるのではなく、専門機関の設置など社会全体で体制を整える必要があると思う。」
旨の発言があり、県警察から
「自殺の増加が社会問題となっている中、自殺企図者と接する機会が多い警察としては、如何に効果的で適切な自殺対策を講じるかが喫緊の重要課題であると認識している。」
旨の説明があった。また、委員から
「東尋坊の自殺対策では地元の協力が不可欠であるが、行政はどのような支援を行っているのか。」
旨の質問があり、県警察から、国及び地方公共団体の支援状況等について説明があった。委員から
「東尋坊では行政や地元関係団体等の積極的な活動により、相当の効果が現れているように、自殺対策は、行政を主体として社会全体が連携し総合的に取り組まなければ効果がない。特に、自殺企図者の保護や自殺を思い止まらせる対策を充実していく必要がある。」
旨の発言があった。
以上、今後の方針等について審議の結果、効果的な自殺防止対策の構築について関係機関・団体等に積極的に働きかけるとともに、連携強化による総合的な取り組みを継続推進することを確認した。


〈報告事項〉

(2)坂井西警察署の概況報告
 坂井西署から、警察署の事務概況報告があり、施設概要、体制、管内の治安情勢、治安向上に向けた警察の活動状況、その他坂井西警察署協議会の取組状況等について説明があった。
 各委員から、坂井西警察署管内における刑法犯発生状況等について確認があるとともに、
「福井港からの中古車の輸出が減少している要因は何か。」
旨の質問があり、坂井西署から
「近年の経済不況やロシアの自動車関税の引き上げ等の影響により、外国船舶の入港数が例年比約半数となり、中古車の輸出が大幅に減少している。」
と説明し、委員から
「昨年、福井港を視察した際は、外国船の入港数が急増し、上陸する外国人船員数や中古車を始めとする輸出入の取引量が増加の一途を辿っていた。そこで港の治安対策の一環として、「福井港対策ネットワーク」を設立し、地域の安全確保に向けた福井港対策を推進していたと記憶している。現在は治安上、特に問題となるようなことはないのか。」
旨の質問があり、坂井西署から
「昨年と比べると福井港の環境は平穏化し、特に問題となるようなことはない。」
旨の説明があった。委員から
「兵庫郵便局における強盗事件では、事件発生直後の適切な初動捜査により三国町内において容疑者を緊急逮捕し事件をスピード解決できたことが印象に残っている。」
旨の発言があり、坂井西署から
「隣接署管内での重要事件発生であったことから、迅速に全署員で検問・検索に当たったことが功を奏した。」
旨の説明があった。委員から
「坂井西警察署では、正月の成田山雑踏警備や夏の三国花火雑踏警備のほか、東尋坊における自殺防止対策などがあり、少ない態勢で大変だと思うが頑張って欲しい。特に来年はAPECエネルギー大臣会合を控えており、福井港や海岸対策に万全を期していただきたい。」
旨の発言があった。
(3)職務質問による犯罪検挙強化月間の実施結果
 県警察から、本年10月から11月にかけて実施した地域警察官の職務質問による犯罪検挙強化月間の結果報告があり、罪種別の検挙実績、月間中に取り組んだ主な実績向上方策及び犯罪検挙事例等について説明があった。
 各委員から、期間中における犯罪検挙事例等について確認があるとともに、
「職務質問を行う際は、受傷事故防止に十分注意願いたい。」、「職務質問が犯罪検挙に結びつく確率はどれくらいか。」
旨の質問等があり、県警察から
「昨年の実績から算出すると僅か数%である。」
旨の説明があった。委員から
「月間に限らず、年間を通じて積極的に職務質問を行うようお願いしたい。」
旨の発言があった。
(4)雪氷期における幹線道路交通確保対策
 県警察から、本年11月16日から翌22年3月31日までの間の雪氷期における幹線道路を中心とした交通路確保対策の概要報告があり、交通確保重点路線、気象状況に応じた特別体制、近年の降雪・障害状況及び平成18年豪雪時の反省教訓を踏まえた主な渋滞対策等について説明があった。
 委員から
「降雪期、高速道路の敦賀・今庄間は特に危険だと思うが、道路利用者に対して凍結状況等の道路情報は提供されているのか。」
旨の質問があり、県警察から
「トンネル出口付近やサービスエリア等において、逐次道路情報の提供を行っている。」
旨の説明があった。委員から
「寒い中大変であるが、交通事故には十分注意していただきたい。」
旨の発言があった。
(5)APECに備えた対処能力向上
 県警察から、2010年のAPECエネルギー大臣会合に備えた各種テロ対処能力訓練の実施概要及び警護態勢の強化状況等について説明があった。
 各委員から、訓練実施概要等について確認があるとともに、
「APECエネルギー大臣会合まで半年余りとなったが、本番までにあらゆる事態に対処できるよう警備力を高めていただきたい。公安委員会としても訓練状況を視察し、激励したいと考えている。」
旨の発言があった。

3 運転免許の処分関係

 本日(12月17日)実施した道路交通法違反に関する意見の聴取の実施結果と処分内容に関する説明を受け、原案のとおりこれを決裁した。

4 個別決裁

(1)平成21年第12次交通規制の実施
 合計38箇所の平成21年第12次交通規制を原案のとおり決裁した。
(2)ICカード化運転免許証導入に伴う申請者支援業務委託に係る一般競争入札参加申込業者の業務履行能力等の審査確認
 ICカード化運転免許証導入に伴う申請者支援業務委託に係る一般競争入札参加申込業者に対する審査の結果、業務履行能力等を有することを認定した。
(3)公安委員会表彰の決定
 殉職警察官に対する公安委員会表彰の上申を受けて、福井県公安委員会表彰規程第5条の規定に基づき審査するとともに、同規程第3条第1項2号の規定に基づき、被上申者2名に対して公安委員会表彰(表彰状)を授与することを決定した。

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