第8回福井県科学学術大賞大賞受賞者

最終更新日 2013年3月1日ページID 022728

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本田氏

ほんだかずまさ
本 田 和 正

 福井県立大学看護福祉学部教授  

<略歴>
昭和28年   富山県砺波市生まれ
昭和54年   東北大学大学院農学研究科博士前期課程修了
昭和56年   福井医科大学(現 福井大学医学部)助手採用
平成  5年   福井医科大学(現 福井大学医学部)講師
平成  7年   福井医科大学(現 福井大学医学部)助教授
平成16年    現職

   



 



 業績名 『乳汁射出反射の視床下部内統合機構に関する研究 』

  母乳は、赤ちゃんがおっぱいを吸う刺激が脊髄を通って脳に達し、脳内からホルモンの」種であるオキシトシンが放出され、血液を介して乳腺に作用することで出るようになります。授乳時のオキシトシン放出メカニズムの一端が明らかになり、授乳期の生理機能を考える際の重要な基礎データが得られました。

≪開発研究の内容、成果≫
  ヒトを含む哺乳動物では、授乳の際、赤ちゃんがお乳を吸う刺激によって、乳汁が反射的に出ることが知られています。この「乳汁射出反射」は脳の視床下部と呼ばれる場所に存在するホルモンの一種、オキシトシンにより引き起こされます。
 オキシトシンは視床下部内にある4つの離れた神経核に存在する「オキシトシン細胞」で作られ、血液中に放出されます。オキシトシンが乳腺胞を収縮させてお乳が出ます。授乳の際、赤ちゃんは乳頭を吸い続けていますが、お乳は一定の時間的な間隔をおいてしか出ません。その原因は、オキシトシシの血液中への放出が間欠的に起こるためであり、オキントシン細胞が同時に突発的興奮を繰り返すためであると考えられていますが、なぜオキシトシン細胞がこのような形で興奮するのかはよくわかっていませんでした。
 本田氏は、視床下部のオキシトシン細胞の電気活動を計測する実験方法(写真参照)を用いて一連の実験を行いましたその結果、持続的な吸乳刺激の情報がオキシトシン細胞に送られる前に視床下部の背内側核(はいないそくかく)という部位で突発的・間欠的情報に変換されて、視床下部内の離れた部位に分布するオキシトシン細胞にその情報が分配されている可能性を発見しました(イラスト参照)。
 これらの成果は、これまで不明であった乳汁射出に先立って起こるオキシトシン細胞の突発的興奮の同期化機構の一端を明らかにしたもので、この分野 における大きな発見となりました。本田氏の業績は、家畜の生殖に関する学会である日本繁殖生物学会で高い評価を受け、2002年、学会学術賞を授与されたほか、複数の欧文学術雑誌に発表されています。
 本研究結果は授乳期の生理機能を考える際の基礎データとして大変重要です。例えば人における産後の授乳確立や、乳牛において泌乳量や繁殖成績の向上を試みる際の基礎データとして大変貴重なものとなっています。



 


実験器具
授乳期のラットを麻酔下で脳定位固定装置に固定し、子ラットによる吸入刺激を加えて乳汁射出反射を起こしオキシトシン細胞の電気活動と乳腺内圧を計測。写真は今まさに射乳が起こっている瞬間であり、子ラットは体をピンと伸ばしている。

脳内メカニズム

 

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