第4回福井県科学学術大賞受賞者
すぎもと ひでひこ |
業績名 『液体窒素冷却超電導モータの研究開発』
物質の内部を電子が抵抗なく流れる「超電導」技術を利用した超電導モータは、世界各国で開発競争が行われていますが、世界に先駆けて実用性の高い超電導モータの開発に成功しました。
この超電動モータは従来のモータに比べて効率性の向上、CO2削減による省エネ、地球温暖化防止効果や、低騒音化に貢献する技術であり、船舶用モータでの実用化が目前になっています。
≪開発研究の内容≫
「超電導」とは、特定の物質を超低温に冷やしたときに電気抵抗がなくなる現象です。電気抵抗がゼロになれば、通電した場合のエネルギーロスがなくなること、大きな電流を流すと強力な磁界を作り出せること、発熱がないため自然界への悪影響が少ないことなどの大きなメリットがあります。
このような特性から、超電導についての研究が世界中で盛んに行われています。しかし、1986年に高温超電導材料が開発されてから20年以上が経過していますが、現在まで産業的に実用化した例は、まだありません。
このような中、杉本氏は㈱IHIなど複数企業との産学グループの一員として、構想発案や電気・磁気回路設計など、基礎的部分を担当し、共同開発の先導的役割を果たしました。その結果、世界で最も実用化に近い超電導モータの開発に成功しました。
開発した超電導モータは次のような特徴を有し、世界的課題を解決したものです。
①従来の冷媒と比較して高温だが安価な液体窒素の使用により、格納容器の断熱層を薄くでき、小型・軽量化と製作コストの低減が可能になった。
②超電導モータの主要部品であるコイルの中心に高透磁材料(FLC:磁化された鉄の棒)を配置して、磁束を集中的に通すことで、超電導の障害となるコイルへの磁気の影響をなくした。これにより、従来は直流コイルのみを超電導化していたが、交流コイルも超電導化でき、発熱の抑制とモータ効率の向上が可能になった。
③従来は回転していた超電導部分を固定化することで、故障等の発生が低減され、信頼性が高まったほか、モータの接続が可能となり出力容量の向上が可能になった。
開発されたモータは、小型・軽量化(容積1/10、重量1/5)、効率性向上(10%以上)による省エネ効果、CO2削減(10%以上)など、優れた特性を持つ“世界初の夢の超電導モータ”です。
この超電導モータは、まずは船舶用モータでの産業化を目前にしていますが、将来的には、工作機械や建設機械などの動力源としての用途も見込まれます。
「液体窒素冷却超電導モータを用いた船舶用2重反転プロペラ推進装置」
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