知事記者会見の概要(平成20年4月25日(金))

最終更新日 2008年4月16日ページID 005908

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平成20年4月25日(金)
10:30~11:30
県庁 特別会議室
 


 記者会見


 【知事】
 まず、平成20年度の各部局長との「政策合意」についてお話します。4月15日から協議を行いました。お手元の資料のとおり、このほど合意を結びました。

 この「政策合意」は、マニフェスト「福井新元気宣言」の年次実行計画に相当するものであり、各部局長がそれぞれの職務に関わる目標を設け、責任を持って互いにその達成に向けて努力することを私と合意するものです。
知事就任の平成15年度以来、毎年度結んでおり、今回は新しいマニフェストに基づく2年目の「政策合意」ということになります。

 「新元気宣言」は、1期目のマニフェストの成果なども踏まえ、県民の「生活の質」という一段とレベルの高いものを目指そうとするものです。昨年度は、「生活の質」向上に向けて「新元気宣言」の政策を速やかに実行しました。各部局長・職員の努力の結果、一定の成果を上げており、既にご報告しているところです。

 マニフェストの中身と実行は、絶えず進化をしていく必要があります。それにはまず、独自の統計データや県民アンケートなどによる県民の暮らしぶりや実感をよく知り、常に新たな課題の発見と施策の実行に努めなければならないと考えています。

 また、大学やビジネスの現場で活躍している皆さんから、最先端の知識や経験あるいは情報を得て、全国のモデルとなり得るようなリーディング的政策を新たに立案、実行していく必要があると考えています。

 そこで、今回の「政策合意」についてポイントを申し上げます。まず、「福井新元気宣言の進化」ですが、これには2つ意味があり、一つは県民生活の実態把握です。今申し上げました最先端の知見を活用し、全部局長もそうした努力をして、新しい政策の立案、新たな計画の策定を進めるということです。

 特に今回は、「長寿学(ジェロントロジー)」という独自の高齢者総合政策を企画立案することを考えています。具体的には、大学の研究部門と共同研究を行うということです。

 もう1つは、重要計画の策定です。環境、観光、農業の重要分野について、本年度半ばで策定するものもありますが、この3つをはっきりさせ、専門家や関係者の幅広い意見を反映したいと思っています。

 さらに、「福井新元気宣言」の進化にも関わることですが、今回の「政策合意」の目標についてです。合意項目は、19年度は240項目でしたが、今回は16項目減って224項目になっています。そして、目標数値は、昨年は97項目でしたが、今年はちょうど100項目となっています。目標の追加が4項目、削除が1項目あります。加えて目標の上方修正が14項目入っています。

 今回は、この目標の作り方を県民の最終利益(アウトカム)の指標により高めたいと考えました。「アウトカム」というのは、住民あるいは納税者の立場から見て、何が成果として上がってくるかということです。これとやや意味合いの違うのが「アウトプット」です。行政側が何をやったかという「アウトプット」ではなく、できるだけ「アウトカム」指標になるようにしたということです。

 そして、主要課題の全庁推進(政策合意(全部局))ということです。全庁的、全行政的に連携が必要な課題については、出先機関と本庁の連携を一層強化するなど、県の総合力を発揮して一体的に進めていくとしたものです。

 特に、この中でふるさと納税やふるさと貢献、ふくいブランド推進、新ふくい人の誘致という3つの課題については、部長はじめ担当職員に対して新たに業務命令を行っており、各担当部長の責任において全力で取り組んでもらうことになっています。

 さらに、「政策合意」に関わる政策を進めることはもちろんですが、県民生活全体に関わる社会経済の情勢に常に注意を払い、速やかに対応することが重要だということで、臨機応変にやっていこうということもあわせて付記しました。
これから原油あるいは原材料費の高止まりの問題、保険や医療の問題などさまざまな議論があると思いますし、食品の安全や災害などの課題があると思いますが、そうしたことに臨機応変に対応し、対策も講じていこうという心構えで臨もうというものです。

 なお、今回、会計局についても新たに「政策合意」を追加して会計管理者と結びました。

 また、これとあわせ、先ほど出先機関の話をしましたが、産業支援センターや観光連盟、県の関係する団体の行う事業がいろいろありますが、これについては県の政策と整合性をもって一体的に行われる必要があります。各団体が主体的にその役割を適切に発揮していただくことが必要ですので、そのことも主要課題の全庁推進(政策合意(全部局))に書いてあります。

 以上が「政策合意」の概要です。

 なお、これから時間が経過すると、新幹線の問題などで、いろいろなことがあり得るわけですが、そうした場合には、必要なもので大きい課題については「政策合意」を修正、見直すということもあり得るかと思っています。

 それから、2点目は、例のガソリン税など道路特定財源暫定税率の復活に伴う県民の皆さんへの呼びかけ、PRの問題です。暫定税率が今月末の衆議院での再議決により復活をする方向と聞いているわけですが、ガソリンについては元売業者やガソリンスタンドにおいて暫定税率の復活を見越して品切れ防止対策などの動きも出始めていると聞いています。県民の皆さんには、冷静にこうした問題にも対応していただかなければなりません。

 また、ガソリンなどは引火性の高い燃料であり、消防法上の規制など、さまざまな問題もありますので、買いだめなどによる保管は安全に関わることになります。そうした点についても適切な対応をしていただかなければなりませんので、違法な保管は控えていただかなければなりません。

 第8回目のガソリン税・軽油引取税暫定税率の期限切れに伴う連絡会議を、本日2時半から開きますので、これを踏まえて県としても対応を進めていきます。

 3点目は農業問題で、地域農業サポート事業の本格実施についてです。農地集積が困難なために国の水田経営所得安定対策の対象とならない中山間地域、都市近郊の農地をどう維持・支援していくかが今後の農政の課題です。このため、昨年から本県独自の地域農業サポート事業体制を全国に先駆けて導入する準備を進めてきました。

 昨年は、越前町の糸生地区でモデル的に先行して実行していますが、今回は全県的に展開を図る年です。いよいよ田植えが始まる連休前後から活動をスタートする予定です。既に大野市、勝山市、池田町において、この4月からサポートセンターの設置や地域マネジャーの配置を行い、中山間地域からの農作業委託の要望の相談にのったり、春先からの農作業を受託するサポーターの募集・登録などを開始しています。

 全国初の試みであり、センターの業務内容を十分知っていただく、また条件不利地域や農業者の実態把握をするなど、今後やるべき課題は多いわけですが、各集落との情報交換を密にしながら、将来的に中山間地域の営農の継続につながるように努めていきます。実験的、先駆的な事業ですので、さまざま問題点なども出てくると思いますが、そうした問題点を改善して展開をしていきたいと思います。

 なお、大野市または池田町で行われる5月の田植え作業の受委託の実施時期が明らかになった段階で、現地の活動開始について情報提供を行う予定ですので、取材などご協力をいただければ大変ありがたく思います。

 4点目ですが、県の女性医師支援センターの開設です。5月10日に、福井県医師会の協力を得て医師会館1階にオープンする予定です。開所式は、その日の1時半からの予定です。現在、オープンに向け、以前から女性医師のネットワーク化を進めている元県保健所長を専任コーディネーターに委嘱し、県の医師会の女性医師の皆さんとともに準備を進めています。

 今申し上げたコーディネーターのほかに、県医師会の女性担当理事、それから女性医師対策委員会などが連携をしながら情報交換し、女性医師の相談、あるいは就職や職場復帰などについてのさまざまな相談、研修を行い、子育て、あるいは再就職への支援ができるように努めていきたいと考えます。今後、ますます女性医師が増加するように見込まれていますが、診療現場で活躍できる環境を整備していきます。

 5点目は、「新ふくい人」の誘致の問題です。「新ふくい人」の誘致については、これまで大都市圏における田舎暮らしフェアなどでのPRや相談、県ホームページによる定住促進サイトの情報提供を行ってまいりました。平成19年度は、県外から福井県への定住者の総数は、こうしたシステムで把握している数字で170名という成果を上げています。前年度、18年度は99名でした。

 「新ふくい人」招致の新しい政策として、東京銀座にふるさと暮らしを希望する方へのいろんな相談の窓口として「ふるさと暮らし情報センター」が全国的なセンターとしてありますが、そこに福井県のブースを設置しました。これまでにブース展開をした都道府県は6県で、福島、秋田、群馬、宮崎、広島、そして福井県ということになります。

 今後、このセンターにおいて、本県の定住情報の提供や、センターの相談員による定住相談会を行う予定です。センターでは、全国的な定住推進組織である「NPO法人ふるさと回帰支援センター」と連携し、さまざまな紹介業務を行うと同時に、ふるさと暮らしセミナーを定期的に年3回、開催をする予定であり、第1回は7月26日の開催予定です。

 6点目ですが、新しい分野における県外大手企業との展示商談会を引き続き行います。今年度は、既に自動車分野である株式会社スズキでの実施を予定していますが、さらに、成長の著しい情報家電等の企業を新たなターゲットとして働きかけたところ、このたびシャープ、コマツを対象に展示商談会を開催することとなりました。

 これまで本県の産業と関わる分野が多いことから、18年度にはトヨタ自動車、19年度は伊藤忠商事、デンソーで実施しており、成果を上げているところです。今回、新たに行う予定の3社については、5月中旬を目途に参加企業を募集する予定です。開催時期、場所などについては、現在、相手企業と調整中であり、ビジネスチャンスを拡大するように努めていきたいと思います。

 7点目ですが、このたび、県内の名木・名花を集めた福井の名木・名花ブックを作成しました。ホームページにも、ほぼ同様のものが掲載されています。多くの方々に本県の特色ある樹木・花を季節ごとに知っていただき、そういうものを楽しみながら、ご自身の庭やガーデニングに役立て、また、自然全体を大事にしたり、教育などさまざまなことに継続的に役立てていただきたいと思います。

 来年の全国植樹祭は第60回として節目の植樹祭ですので、一過性のイベントに終わることなく、県民一人ひとりが福井県全体で花や緑を大事にする運動を行い、後世に引き継ぐ必要があることから、そうした本を作成しました。このブックには、天然記念物に指定されている名木や、地域で親しまれる美しい木・花が全270カ所の情報として掲載されていますので、ぜひ季節をお見逃しなくご覧いただければと思います。

 また、早目にそうした様子もPRしていただき、新聞やテレビなどでご覧いただいた県民の方が土日に見に行こうという気になるとありがたいと思います。新聞で見て、何日かあとに行くと花が盛りではなかったということがありますので、できるだけ取り上げていただければと思っています。

 8点目ですが、今年は浙江省との友好提携15周年であることから、この節目に浙江省の招待により、10周年記念以来5年ぶりに、5月25日から6月1日の日程で中国を訪問する予定です。浙江省では、呂祖善省長との会談、旅行業者を対象にした観光説明会のPR、福井県・浙江省経済交流促進機構関係者の経済懇談会のほか、中国の若い学生の皆さんを対象とした福井県のPRや講義もできればと思っています。なお、中国からの来訪も調整していますが、可能であれば来られることになると思います。

 最後に、北陸新幹線についてです。来週30日に、富山・石川両県知事および北経連会長を直接訪問し、敦賀までの延伸が北陸圏全体の利益となることを伝え、概算要求前にスキームが見直され、敦賀までの一括認可と早期整備が図られるよう、一致協力した推進を改めて両県に要請したいと思います。

 去る4月12日には、県選出国会議員と県議会、沿線、市、町、経済会の関係者と連絡調整も行ったところであり、運動方針についても意見を統一しているところですが、北陸全体として改めて気持ちを同じくし、巻き直しながら成果が上がるように努力したいと思います。

~ 質 疑 ~



【記者】
 2期目2年目の今回の「政策合意」についてですが、全体的構成について、どういったところを重点に考えたのでしょうか。

【知事】
 冒頭申し上げましたように、「生活の質」を上げるということと、アウトカム化を図るということが重要と思います。我々が何をしたかということよりも、県民に何がもたらされたかということです。もちろん何かをしなければもたらされないわけですが、その次の上のレベルの指標でできるだけ捉えるということです。特に、環境、観光、農業の分野につい方針を出すということです。また、出すまでの間に、仕事をしないということではなく、仕事と並行しながらそうした問題に取り組んでいくということです。

 既に教育問題については、昨年来、新しい条件のもとで「教育・文化ふくい創造会議」の中で具体的に物事を進めていますので、こうした問題についても「政策合意」で明らかにしているということです。

 また、あわせて、総合力の発揮というのが重要ですので、もちろん県庁内の総合力ということで、3つの項目については、直接、業務命令を出すということも加えています。これと同時に、出先と県庁、また、さまざまな財団などの法人がありますが、これは向こうでやっているからこちらはしなくていい、お互いに譲り合う、あるいは逆に余計な重複がある、ということがないように、皆で全体のことを考えながらやるということを重視していきたいと考えているのが重点項目と考えます。

【記者】
 業務命令というような形で全庁一丸となって、ふるさと貢献などに取り組んでいくという考えですが、これはやはり今までの背景的なことで、ふるさと納税を提唱した県としてやっていきたいという表れだと思うのですが、その点についてもう少し知事の考えをお伺いします。

【知事】
 ふるさと貢献やふるさと納税はもとより、さまざまな福井県の活動なり政策を知っていただくということです。最終的には福井県のことを分かっていただき、福井県に住んでいただく、あるいは企業も福井県に立地する、そうしたことにつながる必要があるわけで、一番大事な仕事ではないかと思います。

 そして、ふるさと納税も福井県から提唱していますので、これは全国的に地域競争の基盤になると思いますから、福井県としてはあらゆるそういう問題の先進的な対応をスピードを上げて、そして他の地域のモデルになれるように努力をしなければならないと思います。ですから、ふるさと貢献、ふくいブランドの推進、新ふくい人の招致というのは、どちらかというと、三位一体的なものであり、相互に関わるということです。

【記者】
 今回、会計局との「政策合意」を結んだことの背景について伺います。

【知事】
 会計局には出納長という特別職の職制はもうありませんが、福井県の予算を各部局間のバランスを持って、また、法の精神に則って、そして、それ以上に効果的に、無駄のないように執行しなければなりません。重要な立場だと思います。
 そうした意識を会計部門も持つと同時に、各部局も単に予算がこう決まっているから、そのとおりやればいいということではないと思います。何かおかしいところがあれば直ちにそこで訂正しなければなりませんし、バランスが悪ければバランスを直さなければなりませんので、そうした意識を改めて持つということです。

【記者】
 産業の商談会の拡充ということで、シャープとコマツとの商談会をするということですが、今まで自動車機器産業と行っていたこうした分野を拡大したきっかけや背景、今後どういった分野の県内の技術を特に中心に売り込んでいきたいと考えているのかを伺います。

【知事】
 特にコマツについては、昨年、野路社長とお話ししましたが、社長は福井のご出身でもあり、福井への思い入れも強いと思います。福井県は組み立てや機械部分については、繊維などに比べると強くない部分があり、そうした分野をもっと強めたいと思っておられるようでしたし、隣の県でもありますので、現状の仕事と直接つながらない企業があっても、できるだけ積極的に参加してほしいという気持ちがあります。

 それから、シャープについては、電気の部品、あるいは情報機器に絡む機械産業などが深くかかわる分野ですが、これも割合弱い部分だったと思いますので、連携を強めたいということです。特に、これから若狭湾のエネルギー研究センターを中心にしたさまざまなプロジェクトもありますが、そうしたものとの連携なども生まれるとよいと思います。

 直接は結びつかないけれどもチャレンジする、相手企業にも「こんな企業があるのか」と認識されるようになるとよいと思います。従来は、自分たち福井県の企業についてこんなことがあるということを示すということでしたが、次第に自分たちの技術はあなたの会社のこれに役立ちそうだという段階になり、さらに、あなたたちの企業のこの部分を作ってみたのでどうですかという第3段階に行くようにしないといけません。単にこういう技術があるといってもうまくマッチングしません。より具体化する方向に強めていくということです。理想としては、産業支援センターや我々もそういうバックアップをするということだと思います。

 ただ、こうした方法も、最近、北陸をはじめ全国的にも広まっていますので、同じことをやっていると他と同じになってしまいますから、次の段階へ進まなくてはいけないと思います。

【記者】
 「もんじゅ」について、先日、県の専門委員会が燃料変更に関して妥当であるという見解を示しましたが、知事の考えを伺います。

【知事】
 「もんじゅ」の問題は、まださまざまな議論があります。1つは検出器の課題がありました。これは我々から保安院に要請をし、それに基づいて保安院もいろんな対応をしていますが、特別な保安検査などを加えたり、スタッフを強化することもあると思います。

 また一方で、燃料の問題については、今月19日に開いた原子力安全専門委員会において、基本的な方針については、さまざまな留意事項などについて指摘が加えられていると思います。しかし、そうしたことをもとに基本的な計画については妥当という判断になっていますので、我々としてはそうした見解も尊重しながら、近々県としての判断をしなければならないという状況です。

【記者】
 初装荷燃料の判断を近々行うということですが、それは特別保安検査の進捗状況とは全く関係がないわけですか。

【知事】
 最終的には全体を判断しなければなりませんが、今の段階では、事柄は別の分野だと思います。

【記者】
 今日午後から、敦賀市の原子力懇談会で敦賀市民の方の原子力に関するご意見を伺う機会があるようですが、ここでの意見の出方も県の判断材料の一つになるのでしょうか。

【知事】
 なると思います。すべてを考慮してやらなければならない事柄ですから。

【記者】
 「もんじゅ」に対する特別保安検査の件について、過去の特別保安検査は、美浜原発の蒸気噴出事故や北陸電力の臨界事故隠し、重大な事故などがあった時に行われてきたものですが、今回のように通報の遅れや組織の体質、職員の意識を問題にして行うのはやや異例だと思います。機構自体が10月の運転再開を目指しているという、本来であれば万全の体制が組まれていないといけない時期に、こうした点が問題視されて特別保安検査が行われるということに関してはどう考えていますか。

【知事】
 この問題については、保安院の考えを直接聞いていただくのが大事だと思いますが、我々としては既に保安院に対して、慎重な上にも慎重な対応という具体的な要請をしています。そうしたことも考えた上で、非常に大事な時期ですから、県民や国民への信頼や安心につながるように重ねて対応しようと思っているのではないかと推察しています。

【記者】
 保安検査をする機構側について、10月の再開を控えたこの時期に、こうした職員の意識などを問題視されているということに関してはどう考えますか。運転再開がこれだけ間近に迫っている時期であれば、本来、通報連絡体制は基本中の基本だと思うのですが、そうしたことがこの時期に問題視されているのは、今頃なのかという感があるのですが、どう思いますか。

【知事】
 あらかじめ決まった日程があるわけではもちろんありません。複雑で大きなプラントでさまざまな課題があるわけですから、その中で発生したさまざまな事態について、その部分の課題について全力で必要なことを行うのは当然のことです。それが直前であろうとなかろうと、実行すべきことだと思います。

【記者】
 例えとして、保安院で特別の検査を行っている期間中に、運転再開の判断をすることはできるのでしょうか。

【知事】
 そうした仮定の質問はあまり意味が分からないのですが、あらゆるものを判断してやらなければなりません。常識的には、検査をしている時にそうした判断があるというのは考えられないと思いますが、総合的な判断が必要だと思います。

【記者】
 検出器の問題に関してですが、これは県として独自の立入検査をするという考えはありますか。

【知事】
 まず機構がしっかりやってもらわなければならないし、それを保安院がチェックするのが基本であり、それを我々として見なければいけません。県としては、そういう事態が生じた中で、全部調査をするよう要請しているわけですから、それに基づいてやっていただくのがまず大事だろうと思います。

【記者】
 福井鉄道福武線問題について、3月末以来、協議が止まっています。利用者からは、このままでは倒産して電車のみならずバスも止まってしまうという意見がありますが、どう考えますか。

【知事】
 今日、福井、鯖江、越前3市の担当者による現状を踏まえての協議を行う予定です。また、5月1日に、3市の副市長、3商工会議所による現状を踏まえての議論を予定しています。そして、これは名鉄や福井銀行の考えもあると思いますが、連休明けに、そうしたことを踏まえて資金繰りの問題や退職金の扱いをどうするか、資産の状況はどうかということを踏まえて議論することを考えています。

【記者】
 連休明けというのは、いわゆる官民協議会を開くということですか。

【知事】
 これまでも開いているもので、一番レベルの高い会議です。そうした作業工程になると思います。

【記者】
 名古屋鉄道は、増資の一部を福鉄の社員の退職金の清算に充てたいと言っていますが、借入金の返済以外に充てることについてはどう考えていますか。

【知事】
 それは既に協議会で議論しています。我々の見解も述べていますから、それを踏まえてどう扱うかということです。

【記者】
 退職金の清算に充てるということはどうですか。

【知事】
 もともと予定していませんでしたし、そういう情報は出ていませんでした。

【記者】
 沿線3市や議会からは県の強いリーダーシップを求める声も出ていますが、県の役割はどういうものと考えていますか。

【知事】
 お互いに抽象的なことを言っても、こうした問題は解決しませんので、具体的に自らやるべきことは何か、相手に要請することは何
かというのを詰めていかないといけません。金額の大きい問題で長期的なことですから、普通の一般的な陳情をしたりという問題ではないと思います。

【記者】
 6月の株主総会を1つの目途にして新経営陣に移行したいという意向があるようですが、県として新経営陣の選考というのを聞いていると思いますが、そうした新しい経営陣の選定時期について知事はどのように考えますか。

【知事】
 できるだけ早い方がもちろんいいと思っていますが、ただ事柄が詰まらないのに何か決められるというわけにいきません。これは、民間の事業者がこういう経営状態になっていて、これをどうするかということです。3市は鉄道をできるだけ利用して、基本的な経営の上下分離方式での支援をするということであり、県としては全体の地域鉄道の立場からそれを応援するということですから、その枠組みの中で物事を決定しないと事柄は決まらないと思います。

【記者】
 その新しい経営陣に望むスキルや資質としては、どのような方が望ましいと判断しますか。

【知事】
 まだその前の段階です。全体の条件が定まらないと、どういう方が実際によいのかということにはならないと思います。もちろん、さまざまな方がおられるということをお互いに考えることは悪いことではありませんが。

【記者】
 県や市を名鉄が支援することは枠組みとして大筋では決まっていると思いますが、まだ支援はしていないわけです。金融機関からつなぎ融資という状態で経営をつないでいる状況で、今の経営陣は名鉄が撤退することですべて撤退すると考えていいと思いますが、非常に中途半端な経営状態だという印象があります。脱線事故がありましたが、ああした事故があったということについてどう考えますか。

【知事】
 それは責任を持って運行している会社の責任です。

【記者】
 だから、新しい経営陣を早く決めなくてはいけないと思うのですが。

【知事】
 私鉄会社がこれから先どうするかというのは、ご自身でまず考えていただいて、それを我々が応援するということです。我々が何か公営企業として鉄道を運営しているわけではありません。できるだけ早く枠組みを決めるのが重要ですが、これは県民のいろんな負担が生じることですから、それをいかに納得していただいてスキームが決められるかということです。基本的な方向は、前回の議会でも了承を得ていると思いますが、まだ完全に意思統一がなされているわけではありませんから答の出ていないところがあると思います。いかに意思統一を図るかということだと思います。

【記者】
 それに関連して、協議の進展具合、新経営陣の選定、名鉄の撤退と、タイミングが重なると、最悪の場合、福鉄が運行停止をしてしまうと思うのですが、運行停止をすることに対してどういう見解でしょうか。民間の会社の話なので、運行停止してしまうのであればそれは仕方ないという態度なのか、それともやはり運行は継続する状態をどうにかして保たなければならないというように、公共交通機関として考えているのでしょうか。

【知事】
 基本的には、福井鉄道を公共交通機関としていろんな手段を尽くして残さなければならないと考えて皆やっているわけですから、そういう前提でこの問題に対応するということです。

【記者】
 残すという前提に、現状は対応していないのではないかと思うのですが、福鉄を今の状況で運行を継続させるというのが県としての認識でいいのでしょうか。

【知事】
 我々は、公共交通機関を福井県として強化し、維持するという立場で臨んでいるわけです。それを行っているのは私鉄としての福井鉄道であり、それを出資しているのは名鉄であり、お金を貸してもらえるのは福井銀行であるということです。それを地元として応援したいのは3市であるということですから、その中で全体としての課題はありますし、それぞれ立場が違いますが、皆が納得していただいて結論を見出すという作業をしているわけです。

【記者】
 例えば名鉄が言い出した、退職金の精算を10億円の中でさせたいということについては、そういう余地はないと考えているのですか。

【知事】
 それをこれからいろいろ協議して、例えば名鉄がもう少し応援できないのか、あるいは福井鉄道の資産状況でどんな方法があるかのか、そうしたことを詰めるのではないでしょうか。これは実務の話です。

【記者】
 新経営陣が地元自治体から出るといった、人材的な支援をされるという可能性はあるのでしょうか。

【知事】
 事柄がもう少し詰まっていかないと次にどうするかという話にはなりませんので、それはご理解いただく必要があるのではないでしょうか。

【記者】
 九頭竜川灌漑排水事業について、費用対便益の関連で、費用のことが問題になっていますが、お米だったらよく収穫が取れるという事業効果、便益の部分も重要だという話が出ていたのですが、改めて考えをお聞きします。

【知事】
 この事業は農業のためにやっているわけであり、そこで何がつくられ、何が売れるかということです。もちろんそこで農業経営をしている農業者の努力が必要ですが、農林水産大臣にも、あるいは農政局長にも、坂井平野における農業政策として、国としての応援、さまざまな技術支援、あるいは助成制度を行ってほしいと言っています。そうした協議の場でも、今言われた便益の方にそれが投入されないといけないと思います。それが基本であり、分母である費用の方をまず言いましたが、分子である便益の方についても言っているわけです。

【記者】
 「もんじゅ」の特別保安検査について、ナトリウム漏れ事故から運転停止して、運転の再開が目前に迫ってきた時期に、また再度こうした通報連絡体制云々が問われ、異例の形で特別保安検査をされるということになっているわけですが、そうした状態で県民の理解あるいは信頼が得られると考えていますか。

【知事】
 要するに、念には念を入れて、そうした検査なりチェックを、国としても、今は大事な時期だからやっていると思いますので、そうしたことがしっかりできるということが県民の信頼につながるのではないでしょうか。

【記者】
 「もんじゅ」や美浜原発の直下を通っている白木-丹生断層を含めた海底音波探査がまだ行う時期がはっきりしていないわけですが、機構が目指す10月の運転再開に音波探査が間に合わなければ、結果を見ないまま運転再開という判断はあるのでしょうか。

 もう1つ、先日、北陸新幹線に関して、自民党国会議員との意見交換があったのですが、それを終えて、現状についての考えとして、「もんじゅ」の運転再開に北陸新幹線の一括認可を条件にする考えがあるのかどうか伺います。

【知事】
 新幹線については、それらは別の事柄だと思います。音波探査については、事務方から詳しくお話した方が分かりやすいと思います。

【原子力安全対策課長】
 ご質問の海域については、保安院に対して海上音波探査を行うよう強く要請しています。保安院もそうした方向で検討するということで、近々明らかにされるものと思っています。

【記者】
 特別な保安検査のことについて、国としては念には念を入れてのチェックをするということですか。しっかりできることは県民の信頼につながると思うということは、保安検査の結果が良好でなければ県民の信頼は得られないということですか。

【知事】
 要するに予定があるわけではないのだから、あらゆるものがうまくいくとこれが可能なのですが、いかなければ可能ではないということですから、すべてのいろんな検査や体制を考慮するということだと思います。特定のことだけをとらえても結論は出ないと思います。

【記者】
 その要素の一つとしては、保安検査は結果が良好だというのも必要であるということですか。

【知事】
 いろんなものがしっかりしていないと物事はできないのではないでしょうか。


── 了 ──

 

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