知事記者会見の概要(平成20年6月23日(月))

最終更新日 2008年4月16日ページID 006189

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 平成20年6月23日(月)
10:30~11:45
県庁 特別会議室

 
記者会見

 【知事】
 今日は6項目について申し上げます。

 岩手・宮城内陸地震の関連、国への提案・要望、ふるさと納税、少子化・結婚対策、スポーツ大好きっ子育成事業、全国植樹祭についてです。

 まず、地震ですが、今月14日に岩手・宮城内陸地震がありました。被災者の方々にお見舞いを申し上げる次第です。また、関係県にお見舞い金を今日、明日に東京事務所を通じてお渡しする予定です。

 また、福井県内の小中学校の耐震化という問題があります。先月の四川大震災においても、国の状況は全然違うかもしれませんが、学校の防災が問題になったところです。我々としても、5月23日に学校施設の耐震化について全国に先駆けて国に緊急要望をしたところです。こうしたことを踏まえ、国において今月11日に地震防災対策特別措置法の改正を行い、地震による倒壊の確率の高い、耐震度の弱い学校校舎に対する財政支援を3年間で集中的に実施するということです。補助率を従来2分の1だったものを3分の2にすることや、3分の1の地元負担に対して地方債を発行し、交付税措置を行うことを行っており、地元負担が実質は2割弱まで低くなるということです。県としては、国のこの制度なども受けて現行の補助制度の見直しを行い、市や町の財政負担の一層の軽減を図ろうということです。

 耐震工事に県単独の支援制度を持っている県はあまり多いわけではありません。福井のほかに静岡県と高知県の2県が持っているわけですが、これを福井県としてはさらに拡充したいということです。この支援は今年度実施する事業から対象とすることにしており、当面、耐震化を急がなければならない約160棟について、すべて支援を実施した場合の県の支援総額は2億5,000万円ぐらいになると見込む必要があると考えています。

 いずれにしても、急ぐことも必要ですし、工事の工夫も要ると思います。今、子供たちの数が減っていますので、地域によっては建物の3階部分を壊して2階と1階だけにする、あるいは、できるだけ急ぎたいということで、採光をあまり気にする必要のない場所については窓を小さくするなど、いろんな工夫で予算を有効に使おうという動きがあるようです。必ずしもそうした工夫がベストとは思っていませんが、いろんな工夫を市町の教育委員会に考えていただきながら、我々が制度の応援をするよう努めたいと思います。

 なお、今回のように災害は突然にやってくるものです。地震災害のみならず、土砂災害などにもこれから十分備える必要があります。土木事務所あるいは農林総合事務所では直接危険箇所等の点検確認を行うとともに、市や町に対しても同様の対応を求める通知を出したところであす。市や町では特にがけ崩れなどへの注意が重要だと思いますが、地元の町内会などにいつどのように注意を喚起したかなどについて、お互いに共有するという仕事を今進めているところです。

 また、今日は新聞、テレビなどメディアの方がいらっしゃいますが、皆さんを通じながら、また、県の広報やホームページなどを通じて注意喚起も行っているところであり、皆様方にもご支援をお願いしたいと思います。

 なお、既にお知らせしていますが、福井震災に当たる日の6月28日(土)に、福井震災60周年ということで、フェニックスプラザにおいて「地震防災セミナー」を開く予定です。多くの県民の皆さんに参加していただき、また、この行事を知っていただいて、身近な防災意識を高める機会としてほしいと思っています。当日は、講演、シンポジウム、福井震災の記録映画等の上映、あるいは非常食品の試食の体験なども行う予定になっています。

 次に、国への提案・要望についてです。今月26日(木)に、関係省庁、大臣などに対し平成21年度の予算に関する提案・要望を行う予定です。

 要望する項目は、地方分権改革の推進から暮らしの質の関係、文化振興まで全部で16項目になります。特に、地方分権、北陸新幹線早期建設の問題などについては、最も重要な事項と位置づけています。

 今回の提案・要望の特徴としては、1つは、地方と都市との地域間格差の解消という観点から特に要望をしており、北陸新幹線あるいは中部縦貫自動車道などについては、地方の立地条件格差を解消するものとして、ぜひともこれから10年前後で完成をしたいという強い願いもあります。

 そのほか、国の補助金や制度の中には、人口の多い都市を基準にしてつくられている制度が意外と多いものであり、福祉や教育などにもそうしたものがあります。例えば、何人以上という基準が多いのですが、それでは地方ではなかなか使えません。全国の予算はそれで枠が決まってしまうものが多いので、地方が不利益をこうむらないようにしたいと思います。

 一例ですが、保護者のいない子供たちが高校を卒業した後に、自立して生活を過ごすための自立支援ホームという制度は、5人以上のお子さんがいないと補助の対象になりませんが、人口が少ない福井県のようなところでは、なかなか5人揃うことにならないので、実際は県独自で5人未満も対象にせざるを得ないわけです。そこで、人数をあまり考えないで、各都道府県ごとにうまく利用できるようにしてほしいと思うわけです。

 また別の面ですが、地方においては、都市部に比べて子供たちが本物の芸術や文化に接する機会が多くないので、地方でも十分に鑑賞の機会があるように要望する項目も入っています。国内には、オーケストラなどが約30団体あるようですが、このほとんどは大都市で演奏を行っており、なかなか地方にお越しいただく機会がないという問題があります。我々も努力していますが、お越しいただけるように要望をしたいと考えています。

 さらに、本県独自でノーベル化学賞を受賞された白川先生に県内での実験や講義を行っていただくよう依頼しています。昨日ですが、事前の準備のためにお見えになりました。こうしたすぐれた成果を上げた研究者などを地方に派遣する制度も国においてつくるよう要望します。“夢特使”派遣制度の創設として、科学や芸術、スポーツの競技力などの分野で要請をしていきます。

 2点目は、本県独自の政策を国が全国でも広く行う観点からの提案です。福井県はこれまで、独自の学級編制基準の引き下げ、子供を3人以上持つ世帯への支援、中山間地域における農業サポートなどの政策を実施しています。さらに、本年度からは家族時間の拡大、かかりつけ医と副かかりつけ医が連携したチーム医療制度の普及などを進めていますが、こうした本県の政策を国の政策として採用するよう提案しています。

 3点目は、防災・地震対策など、県民の安全・安心の確保にかかる基本的な要望です。耐震化基準の引き上げ、原子力発電施設の地震対策の拡充などの要望がここに入ります。これと関係して、原油・原材料の高騰など、中小企業や漁業などに大きな影響が出ているため、緊急の生活防衛としての経済対策を求めています。医師確保などについてもここに含まれます。

 4点目は、将来に向けて国が行うべき政策への提案であり、具体的には農業、環境、観光などの提案です。世界的な食糧不足、あるいはWTO交渉など、国際環境の変化に対応した新しい農業政策の展望を国において示すこと、あるいは環境対策の観点から、CO2削減量の「見える化」として、県民・国民にわかるような方法を進めることを要望しています。

 さらに、福井県は、地形的にも、雪の関係や山脈の関係からも、日本海と太平洋側との関係からも、南限と北限の生物が多いことから、セミや蝶など身近な生き物の変化を長期的に調査し、地球温暖化が生態系に与える影響を多くの人が実感できるように提案します。「生き物センサス」という名前をつけています。

 地球温暖化と抽象的に言ってもなかなかわかりませんし、南極や北極と言っても普通我々の目にはなかなかとまらないわけですので、そういう身近なところでこうした試みを国として実施してほしいというアイデアです。

 また、観光についてですが、国が展開する「ビジット・ジャパン」という施策がありますが、どうしても紋切り型の観光や都市圏志向の観光のあり方になりがちです。我々が外国へ行く時もそうかもしれませんが、外国の方も日本に来られると大都市中心の定番観光になることが多いわけです。そこで、地方独自のさまざまな日本文化を楽しむ観光に転換を図る「フィール・ジャパン」という観光戦略を展開することを国に提案します。

 現在、福井県の観光計画をつくっているところですので、そうした趣旨も活かして福井県としても観光政策を進めたいと思います。

 3項目は、ふるさと納税に関連することです。

 ふるさと納税制度の開始から6月20日現在までに、市や町も含めて68件、550万円余のご寄附をいただいており、2か月弱である程度の実績が上がっています。今後は制度の提唱県として全国的な先導県、モデル県として仕事を進めなければならないでしょうし、また、全国にさまざまな情報も提供する必要があります。その1つとして、ふるさと納税にかかるさまざまな情報を集約した「ふるさと納税情報センター(仮称)」をできるだけ早い時期に開設したいと思います。

 ふるさと納税制度については、全国の状況を見ますと、制度発足間もない中で、比較的早いところは窓口をつくったり、活動を開始して熱心にやっておられたり、東京事務所に何人かの職員を派遣するなどいろいろなことをしていますが、まだこれからというところもありますし、ばらつきもあり、各自治体はまだ制度の運用などについても手探りの状況にあるかと思います。

 そこで、福井県内の募集の工夫や実績をお知らせすると同時に、全国の自治体の様子も可能な限りまとめてお知らせすることで、ふるさと納税の普及を図るとともに、より納税者に信頼されるシステムにする必要がありますので、広く制度の仕組み、内容をPRしたいと思います。国民の意見を聞きながら、センターでお知らせする情報、内容の充実を図っていきたいと思います。

 陸上競技にたとえて言いますと、かなり長期間を要する事業ですので、まず出だしでスピードをかなり上げておく必要がありますから、先導役を果たしてスピードを上げ、皆さんにも上げてもらうという感じでしょうか。全体にゆっくり走っていますと、なかなか関心も高まらないと思います。最初、少し先導しながら、ある程度皆さんが頑張っていただければ、それで役割は果たせると思います。今のうちからさまざまな情報を発信、収集する必要がありますが、来月頃にはこうした体制を整えたいと思います。

 4項目は、少子化・結婚対策の推進についてです。

 このたび、男女の縁結びの政策の一環として、民間の団体や企業が実施する出会いの場の創出、あるいは結婚のイメージアップの活動に対して支援を行うこととし、4月初めから5月半ばまで募集を行いました。

 それぞれいろんな工夫があり、多数の応募がありましたが、今回はその中から男女の出会いの機会となる文化・スポーツイベント、セミナーなど、12の企画について応援を決定し、それぞれのアイデアを生かしていろんな集いなどを行ってほしいと思います。

 県としては、少子化の流れを変え、安心して結婚し、子供を産み育てるという社会の推進に当たっていきたいと考えています。

 5項目は、スポーツ大好きっ子育成事業についてです。

 北京オリンピックが間近に迫っていますが、福井県の子供たち(小学生)を見ますと、3割はスポーツ少年団において常時スポーツ活動を楽しんでいる一方で、残りの7割近くは運動を行う機会が少ない状況にあります。

 このため、運動習慣を持たない子供たちが、学校において放課後、週1回程度、学校においては週二、三回実施するところもあるようですが、身近なドッジボールやソフトバレーなど、さまざまなスポーツを体験して次の段階に行くという、スポーツ大好きっ子を育成する事業を今年度から実施しており、8市町の8つの小学校で開始をしています。

 指導者には、教師のみならず、地域スポーツクラブなどの指導者に協力を求めて実施することになっています。

 最近の様子ですが、例えば、神明小学校はグラウンドゴルフなどを始めており、春江の東小学校はフライングディスクという室内の簡単なスポーツから始めているようです。

 今後、高浜町の高浜小学校、福井の社北小学校、越前市の武生東小学校、小浜市の内外海小学校、越前町の常磐小学校、おおい町の本郷小学校で実施する予定です。来年度はすべての市町でこの事業を進めるため、そのガイドラインも作成したいと思います。

 ウェイトリフティングの新谷選手やバレーの清水選手、荻野選手も今回のオリンピックにも出られるわけですので、さまざまな機会に子供たちの関心を深めていきたいと思います。

 6項目は全国植樹祭についてです。

 今月15日に、秋田県立北欧の森公園で開催された第59回全国植樹祭に次の開催県として出席し、秋田県の寺田知事から植樹祭のシンボルを引き継いで歓迎のあいさつもしてきたところです。これから準備を1年間かけて進めていきたいと思います。

 来年の大会は第60回という節目の大会であり、1万人以上の人がお見えになると思いますので、十分な対応をしたいと思います。

 なお、式典会場となる一乗谷朝倉氏遺跡においては、今月末から関連の工事などを開始します。また、県内4カ所の地域公園、坂井市のたけくらべ広場、大野市の亀山公園周辺、越前町のプラントピア、若狭町の縄文ロマンパークについても開催準備を計画的に進めていきます。

 この大会を県民とともに盛り上げていくために、これまでキャラバン隊によるPR、また、3月、6月、9月のクリーンアップ作戦と共同したフラワー大作戦など、県民運動を展開すると同時に、花壇アドバイザーの派遣などによって県民運動を展開しています。

 また、小中学生による花のホームステイ、高校生による花のプランターづくりなどを実施しており、7月から主な駅などに植栽をしていきます。
 

~ 質 疑 ~
 

【記者】
 ふるさと納税情報センターを再来月頃に開くということですが、これは主にホームページを使っての情報発信なのでしょうか。

【知事】
 ホームページだけではありません。手紙やメールのやりとりをして情報をいただいたり、また、お知らせするようなことになると思います。半年に1回ぐらいで状況を知らせるなど、いろんな方法があり得ると思いますので、場合によっては、何か通信冊子のようなものが要るかもしれません。あまり定形を考えているわけではありませんが、想定されるのはそうしたことです。
 情報をみんなで共有したり、よいプロジェクトや取組みなどを紹介することです。

【記者】
 「ふるさと納税情報センター」ということであれば、全47都道府県の情報を集約できるのがベストと思いますが、このセンターに情報提供や何らかの協力をしていただける都道府県は、既に幾つか決まっているのでしょうか。

【知事】
 いえ、まだこれからです。協力も求めると同時に、オープンになっている情報を集約して収集することがまず可能だと思いますので、それも並行してやらなければなりません。もちろん、お聞きして情報をいただくのも基本と思いますが、ホームページや新聞などから、それぞれの地方の情報をとることも可能でしょうから、オープンになっている情報をまとめるということも大切です。

【記者】
 福井県が、全自治体、都道府県を集約するセンターを設けるという意味や理由は何でしょうか。

【知事】
 まず、この制度をよくしたいということです。また、福井県が提唱したものだということがあります。おそらくどの自治体もやってくれないとも思うからです。余計な情報のやりとりは無駄ですから、そうしたことをしなくてもよいようにと思っています。

【記者】
 情報を集約する機関がどこにもないということも、福井県でやる理由の1つになるということですか。

【知事】
 そうです。要するに、福井県ということが重要ではなくて、全体に関わることをするということです。ある程度落ちつくと自動的に動くのかもしれませんが。

【記者】
 今後、他の都道府県に対してどういうことをやっていきたいと考えていますか。まず、こちらから集めるということになると思いますが、センターを設けたということをどうやって各都道府県に伝えていきたいと思いますか。

【知事】
 まずはご案内を出すのが大事だと思います。

【総務部長】
 全国に知らせる方法はいろんな方法があります。その点については、それほど懸念を持っているわけではありません。一番大事なことは、各都道府県あるいは地域の自治体と情報を早くやりとりできるようにうまく持っていくことだと考えています。もちろん、本県で集約することも重要ですが、それを活用して、いろんな自治体がふるさと納税をよい制度として活用していくということです。各自治体がよい制度を設けたら、福井県もそれを活用していくという、お互いによい制度にするために活用し合うことが大事だと思いますので、そうした切磋琢磨がお互いにできるような制度が、うまく展開していくような工夫をこれから考えていこうと思います。

【知事】
 オリンピックの1万メートル競争でいえば、途中はゆっくり走り、最後の順番の人が頑張って全体に記録がよくなるというように先導していかないといけません。みんなが分からなくて、何となくやっているというのではいけないでしょう。

【記者】 
 知事はこの基本制度をよくしたいと言っておられましたが、制度が始まってから数か月経ち、全国で行われているふるさと納税の取組みに関して、福井県だけでなく、全国の都道府県あるいは自治体の取組みに関してどのような印象を持っていますか。また、それを踏まえてどのようによくしたいという考えかをもう一度お聞かせください。

【知事】
 出だしは、皆さんも頑張っておられるし、うまくスタートしたと思っています。一方で、国民、納税者にはまだ十分知れ渡っていない部分もあるのではないかという印象もありますので、普及していかなければいけませんし、逆に、過度の寄附募集なども必ずしも望ましいことではありませんから、バランスのとれたやり方で進めていくことがこれからの注意事項ではないかと思います。

【記者】
 ふるさと納税で寄附をすると見返りがあるという形でのPRは、本来進むべき方向ではないという考えでしょうか。

【知事】
 出だしはいろいろ試行錯誤があるでしょうから、皆さんで何がよいかを考えていただくことが大事です。これは絶対に駄目だといったことを出だしから言うようなことではなく、全体に量的にも広がっていき、だんだん質をよくしていくことではないかと思います。

【記者】
 このセンターは男女参画・県民活動課内に設けるということでしょうか。また、窓口を使った68件、550万円について、ある程度実績が上がっていると言いましたが、もう少し詳しく、どう評価しているかをお聞きします。

【知事】
 まずは男女参画・県民活動課に事務局を置かなければと思います。また、夏休みの頃からが1つのピークになるのではないかと思っています。都市にいる人が田舎へ帰ってくるなど、関心を持つ時期ですので、それまでに準備をするということではないかと思います。

 金額は、すべての都道府県をこれから把握しないといけませんが、多いと思っています。潜在的な可能性はかなり大きい分野ですから、もっと広げていくことが重要だと思います。何十億といった額も可能だといったことを言った知事もおられたと思いますが、それはともかくとして、可能性が広いですから、皆さんがいい気持ちを持って寄附していただくというのが重要ですし、これからだと思います。

【記者】
 地方分権改革推進委員会による第1次勧告が提出され、それを受けて先週末には政府が地方分権改革推進要綱を決定しましたが、政府の方の要綱は内容が後退したのではないかという部分があると思います。福井県として政府の要綱についての感想および意見等があれば教えてください。

【知事】
 分権推進本部は、すべての閣僚で構成されている場ですので、そうしたところで決定したことということは、方向としては前進だと思いますし、評価しています。
 ただ、具体的な内容は今後検討しなければ実績は上がりません。いつもお話しているように、仕事がまず来るということになりますが、それだけではいけないわけで、本当の決定権限、財源の3つが必要ですので、今後、分権推進委員会の2次以降の勧告に出てくると思いますが、さらに期待しなければならないと思います。
 ただ、三位一体の改革の時にも同じようなことがありましたが、名前だけが先行して、実質がなかなか伴っていないという問題がこうした分野には絶えず起きますので、そこを十分注意して、全国知事会としても進めていくということではないかと思います。
 これもいろんなレベルがあり、決定権や財源といったさまざまな程度や水準がありますので、形式的に決定権が一部来たといっても、全部でないと本当の決定権限ではないということがあります。いろんな仕事があり、複雑な仕事、たくさんの仕事がある中でのものですし、一方では、毎日のように新しい仕事が地方に来るということも実際にあるわけですので、そうした中での対応ということになると思います。

【記者】
 福井鉄道についてですが、福鉄の新しい経営陣について進捗状況をお聞かせください。
 先般、福井鉄道の株主総会があり、山内社長が、6月の株主総会の際に、できれば新しい経営陣を紹介したかったといったことを言っておられたのですが、それができずに、また幾らかスピードダウンしているのではないかと話していて、県になるべく早くお願いしたいということを言っておられました。
 いつまで今のままなのかと不安に感じている利用者もいるのではないかと思いますので、現在、全くめどが立っていないのか、それとも、ある程度進みつつあるのか、進捗状況を具体的に教えてほしいと思います。

【知事】
 経営陣についてのイニシアチブは、ご自身の会社のことですから、福井鉄道が持たなければいけないと思います。我々はそのアレンジをしたり、サポートをするという立場です。その局面でどういうことになるのかという話になると思います。
 間もなく県議会も開かれるところですが、今言われたように、名古屋鉄道の増資について、効果があったといったことや、行政の支援がどうなるのかということについて、今議会でいろんな議論もしなければなりません。この最終的な確認が、これから生じると思います。これはさまざまな行政的な約束ごとをしていかなければいけないことですから、そうした状況を押さえる必要がありますし、沿線3市の鉄道用地の取得についても、今議論がなされており、もう1週間ぐらいで各市の議会も終わると思いますが、そこでの決定事項、あるいはその負担割合などについて見通しが立つことが必要です。そうした中で、これからの福井鉄道の経営に対しての出資などのさまざまなバックアップや、その中で経営をどうするかということの中で決まっていくことではないかと思います。我々はその全体の調整をしていくということではないかと思います。県が経営陣を決める立場にあるわけではありませんし、主体的にそれをやっていただく、それを我々は応援する、環境を整えるということではないかと思っています。

【記者】
 今回の株主総会で、社長が終わった後に会見をして、経営陣についての決定権というのは自分たちには全くなく、県が決めていることだという福井鉄道としての考え方を述べました。経営陣を決めるに当たって、だれが先頭に立って引っ張っているのかというのがいまひとつ見えづらいのですが、もう1度改めて、知事の考えとして、県として引っ張っていく、県が中心となって経営陣を決めていくという姿勢でいるのか、あるいは、あくまで福井鉄道の問題であって、福井鉄道が中心となって考えてもらい、県はあくまでサポート役に徹するという考えなのか、認識をお聞かせください。

【知事】
 物事の筋だけはそうしたことだということで押さえていただかないと、話が違う方向に行くでしょう。さきほど申し上げたことが基本的な筋です。その中で、みんなで相談して、協議会を持って決定していくということでしょうから、県がそうしたことを決めるという立場にあるわけではありませんが、経営陣をみんなで決めていく、我々は応援するということです。そこでいろんな財政支援やさまざまなことを我々は一生懸命やっているということだと思います。
 今申し上げたように、6月の沿線市の議会で維持修繕費などを予算計上されることが最終的に決まらなければなりませんし、利用促進団体がつくられていますから、それぞれの応援体制がさらに組織化されることになるかと思いますし、福鉄の再建には国の補助が必要です。これからの投資部分について、この議論も進んでいくでしょうから、こうした動きを県議会などで議論し、そして県として、最終的に経営の議論も含めて、方針が決まっていくだろうと思います。
 なお、その際、これからの福井鉄道が安定的に経営できるためのさまざまな問題がまだ残っていると思いますから、出資の問題などを含めて、全体として決まっていくのではないかということです。福井鉄道という会社があるわけですから、抽象的に、県が決めないから決まらないといった話では全然ありません。

【記者】
 経営陣の決定というのは、官民協議会と県議会の話し合いで進んでいくという知事のお話でしたが、次回の官民協議会の開催はいつ頃を考えているのか教えてください。

【知事】
 今のところまだ決まっていません。まず、3市の状況が市議会で大体セットされるでしょうから、基本的には、そうしたことがなされた後だと思います。

【記者】
 先週から採血器具の問題が出ていますが、06年3月時点の国の通知は、県としては、看護協会、医師会など4機関を通じて各方面に通知してもらうというスタンスだったわけですが、結局、看護協会や医師会は何の連絡もしていなかったと分かりました。そうしたことについて、県として、今後の通知のあり方や、また、この問題に対する責任や対応の仕方を知事としてどう考えていますか。

【知事】
 基本的には、医療・保健の現場では、さまざまな医療行為をさまざまな技術と器具や機械を使って行うわけですから、今の法律の基本的な制度では、そうした器具を作っている製造販売業者と医事従事者との間で、指示事項の中でこうしてはいけないといったことが決まるわけです。そこで基本的に解決しなければならない事柄だと思っています。
 また、あらゆることを細かく万事にわたってこうすべしと言うわけにはいきません。これは、医療従事者の皆さんの「こうしたことが問題ではないか」「ここはどうなのか」という意識が重要だと思いますから、そこは長期的に絶えず医療行政の中で水準を上げていくことが大事だと思います。
 本日、厚生労働省にも、もう一度要望をしなければならないと思っています。製造販売業者への指導の徹底をしなければなりませんし、器具の使い方の注意や、絶対してはいけないことの指導事項の区別など、さまざまなことを明瞭化しなければならないと思いますし、医療従事者への指導方法については、これからさまざまな問題が起きてくると思いますから、その指導方法をさらに強化する必要があります。さらに、文書通知の明確化について、「これは駄目だ」「注意してください」というさまざまなレベルがありますが、それがはっきり分からないといけませんし、誰にどの範囲で通知するのか、その根拠は何か、といったことがあると思いますから、これを機に、万事これですべて100%うまくいくかどうかわかりませんが、少しずつ直していくことが重要かと思いますので、そういう努力をしたいと思っています。

【記者】
 県内でもそうした不適切な使い回しの事例の対象となった方が1万人以上いるとのことですが、どう思いますか。

【知事】
 それぞれの機関が情報を持っていますから、きちんとお知らせをし、ご心配の方には検査をしていただくなど、いろんなことを今進めていますが、これが一番大事だと思います。

【記者】
 まだ検査に行っていない方は自分がどうかも分からないと思うのですが、改めて県民のトップである知事として、対象者の方に対して直接、こういった考えで臨んでいくといった何かメッセージなどはありませんか。

【知事】
 情報は十分提供していますが、これもうまく伝わらなければいけませんし、病院や医療機関からもさまざまな方法でお知らせし、また、お調べいただくということをしっかりやりたいということです。
 まずは十分情報を提供し、チェックしていただくということが重要ですので、そうしたことを医療関係者に今言っていますし、彼らもそのつもりで今やっているところだと思います。

【記者】
 県としての情報提供は、どうした媒体を通じて情報提供したいと考えていますか。

【知事】
 直接には病院など医療関係から連絡をしています。皆さんもメディアの立場でその状況を報道してほしいと思います。

【記者】
 例えば、県の広報誌にそうした話を載せる、ホームページに常に分かっていることの一覧表を載せるといったことはどうですか。

【知事】
 まだ調査の途中ですから、そうした結果を受けて、いろんな工夫をしたいと思います。

【記者】
 最終的にまとまった形を県としてホームページに掲載するといった考えはありませんか。

【知事】
 掲載することが目的というよりも、ご心配の方にきちんとフォローしてもらわないといけませんから、それに合った方法を考えたいと思います。最終的な調査も月内には終わると思いますし、全国の医療機関共通の課題でもありますから。


── 了 ──

 

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