知事記者会見の概要(平成20年9月12日(金))

最終更新日 2008年4月16日ページID 006782

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 平成20年9月12日(金)
10:30~11:45
県庁 特別会議室

 
記者会見

 【知事】
 今日は平成20年度の9月補正予算案について発表します。


〔参考資料〕資料No.1 予算案の概要

         資料No.2 主要事業

 まず、9月補正予算案の特徴ですが、1つは、今年度に入ってからの原油・原材料価格高騰の問題に対応した追加対策を行っています。もう1つは、国内外で発生した地震災害、中国の四川大地震や東北の地震などの災害の教訓を活かした安全・安心確保対策等を中心とした緊急の対応です。3つ目は、この秋を目途に策定する新しい環境基本計画を見据えた政策であり、主にこの3点に重点を置いています。

 まず第1に、原油・原材料価格の高騰対策です。

 県では7月31日に県独自の原油・原材料価格の高騰対策の緊急対策をつくり、必要な額を専決処分し、つまり、議会にお諮りする前に事前に決定して、後で承認を得るという対応で、緊急対策を既に実施しています。省エネ・コストダウンの緊急診断や、漁業者への無利子融資、畜産関係の国産飼料への転換のための設備導入の支援をする専決処分を行っています。

 この対策に新たに加え、今はまだ秋ではありますが、これから冬に向かうということで、今からの準備が必要です。特に、施設園芸農家が導入する省エネルギー型の設備、ヒートポンプと言いますが、ボイラーなどに併用して電気で使う熱源などに対する県単独の助成等の予算を計上しています。後ほどもう少し詳しく申し上げます。

 それから、2つ目の大きな柱である県民の安全・安心の確保ですが、四川大地震や岩手・宮城内陸地震など、地域住民の避難場所となる公立学校や小中学校などの耐震化の必要が改めて認識されました。

 福井県においては、既に耐震補強工事に対して市町に対する補助制度を設けていますが、全国でこうした制度を設けている県は少なく、静岡県、高知県、香川県と福井県ということです。そうした中で、こうした地震などがありましたので、小中学校の耐震補強のバックアップということで、この6月に国が補助制度で補助率を引き上げているわけですが、それと併せて、今回、市町からの要望を踏まえ、この補助制度の充実と補助対象の上限額、現時点では2,400万円ですが、これをなくし、大きなスケールの施設についても対象にするということです。このほか、私立学校の耐震診断についても補助の増額をし、さらに災害復旧などの安全対策の予算を計上しています。これが2つ目の柱です。

 3つ目は、新しい環境基本計画を見据えた政策です。

 9月10日に環境審議会から受けた答申に基づき、県として新しい計画を策定する予定です。

 これを受けて県独自の新しい環境政策を新年度から本格的に展開する必要がありますので、今回の補正予算では、今年度から準備が必要な事業について予算を計上します。計画の一部実行あるいは準備調整は、リレーで言えばバトンのタッチゾーンに当たるところですが、その何十メートルという中で、今行わないと円滑に物事が進まないだろうということです。計画をつくってから、やおら予算ですべてやるのではないということです。大事なことですから、その方がよいだろうということです。以上が重点の3つです。

 そのほか、今回の補正では、これも安全・安心に関わるものですが、1つはキッズデザイン「子どものまちづくり」の具体化に向けたモデル地区3地区での事業の実施です。さらに、中国や台湾などアジアから本県への誘客の増加に伴う助成の増額、福井鉄道福武線での協議の推移を踏まえた支援などを計上しており、全体として「福井新元気宣言」に掲げた政策のさらなるステップアップを図っていきたいと思います。

 次に、具体的な補正予算の中身に入ります。

 全体の計数ですが、平成20年度9月補正予算の規模は43億4,000万円余、特別会計36億円余、企業会計1億円余、合計で81億900万円余りであり、当初予算を含めた今年度予算の総額としては、昨年度の同時期と比べて一般会計で1.5%の減、3会計全体でも0.8%の減ということになります。

 一般会計の歳入予算ですが、国庫支出金5億円余り、前年度からの繰越金26億円余りを増額するとともに、財政調整基金の取り崩しを7億7,400万円減額することとし、財源不足に対応するため当初予算で見込んでいた73億円の基金取崩しを今回の補正予算で約8億円圧縮することにより、65億円の取崩しとしています。

 なお、今年4月の道路特定財源暫定税率の失効に伴う影響として、福井県としては、県税、地方譲与税の約5億円の減収が見込まれていますが、この減収分については既に国が責任を持って補てんするという表明をしており、今後の具体的な措置内容を踏まえ、追って所要の補正措置を行うことになると思います。

 次に、予算案の主な事業について、少し詳しく申し上げます。

 まず、原油・原材料価格高騰対策の追加実施です。

 省エネ型施設園芸転換事業として、燃料が高騰しているということで、施設園芸農家からは、冬の間、生産を中止しなければならないという声をたびたび聞きます。特に福井県では冬は雪が降りますし、冬野菜の枯渇する時期です。地産地消など、ファーマーズ・マーケットなども一生懸命やっていますが、冬はどうしても県外産のものを売らざるを得ないという問題から、従来からいろいろ応援をしているわけですが、そうした点で問題が生じてはいけないということで、こうした農家において、今回、ヒートポンプの導入をしたいと思っています。

 なお、冬の間、ハウスなどで加温を行っている大型の施設園芸農家は70戸ぐらいあり、県内の主要園芸農家の大体3割ぐらいがそうした方であるということです。

 今、経費に占める燃料や肥料代の割合が全体の4割近くに上がっているという状況と聞いています。4割というのは、以前は3割だったものが40%を占めるようになったという意味です。そういう圧迫要因になることを踏まえてのことです。

 特に省エネ効果の高い設備を導入することによって、ヒートポンプや二重カーテン、多段階のサーモスタットという装置、キノコ生産などをする農家では木質ペレットの加温装置なども導入するということです。

 さらに、省エネ型の導入への無利子貸付融資枠拡大ですが、農業近代化資金、農業経営基盤強化資金があり、それぞれ条件が少しずつ違い、スケールも違うわけです。大きい資金と小さい資金とがありますが、枠を近代化資金は1億円拡大、基盤強化資金は5億円拡大するということであり、実質無利子の融資枠が拡大することになると思います。貸付期間はかなり長期のものです。

 その結果、原油・原材料価格の高騰対策の事業スケールですが、これは融資枠も入っていますから、実質補助制度金のみならず融資枠を含めて今回の9月補正で6.2億円計上しています。既に7月に先ほど申し上げた専決処分で5.3億円、当初予算で218.3億円という規模です。

 安全・安心の確保についてですが、今年6月、国の地震防災対策特別措置法の改正により、小中学校の耐震化への補助が2分の1から3分の2に拡大しました。県としては、同じく6月に、国の支援拡充の対象とならない施設に対し補助率を引き上げるなど、市町の実質的な負担が軽減するような見直しを行いましたが、先ほども説明したように、1棟当たりの補助対象経費の限度額が2,400万円という設定がなされていましたので、これを今回撤廃したものです。

 それから、私立学校や社会福祉施設に対しても、私学が6施設、社会福祉施設22施設、計28施設の耐震診断を追加して支援する予算を計上しています。

 次に、災害復旧、施設などの安全対策です。

 まず、福井港に南防波堤という場所がありますが、冬の間に波浪により破損した防波堤を復旧するものです。国が3分の2の補助を行うものです。それから、7月に道路の法面が崩壊した三方五湖有料道路の事業について、県としても道路公社に復旧経費を支援し、速やかな復旧を図るというものです。

 また、この春に福井城址の西側に御廊下橋復元整備が行われました。その結果、天守台跡への来訪者が前年の8倍近くに増えているということです。天守台跡へ行くには階段を上ることになりますが、階段が急であるとか、雨の日は滑りやすいといったことがありますので、子どもや高齢者が安心して上れる設備などの安全対策を行うことにしたいと思います。

 もう1つは交通安全です。

 国道8号福井バイパス、あるいは福井市のエルパ周辺の市道の整備などの供用開始が進んでいますが、主要交差点6か所について交通事故防止を図るため、信号機の追加をするものです。交差点が6つですから、24基の信号機が要るという計算になるかと思います。

 次に、3つ目の柱ですが、新しい環境基本計画を見据えた政策です。

 9月10日に最終答申をいただきましたので、これを踏まえ、これから県民の皆さんのご意見をいただくパブリックコメントを行い、9月定例県議会での議論を踏まえた上で、この秋に県の計画としてまとめて公表し、実行したいと思います。

 答申に盛り込まれている本県独自の政策については、先ほども申し上げましたように、来年度当初から本格的に実施していくため、今回の補正予算で今年度から準備していく必要がある事業について予算化を行うものです。

 1つは、ふくい環境一貫学習推進事業というものです。

 環境審議会の答申にもありますが、環境を本当に粘り強く改善し、実効性を上げるためには、福井県民自体がそうしたことを考え、よく話し合い、そして行動するということが何としても大事だというのが環境審議会の精神だと思います。そうなりますと、長期的に見て、環境教育を重視しなければ実効性が上がらないと思います。

 そこで、今回の補正予算では、この重要な部分を占める学校教育における環境教育の準備予算を通して、もちろん地球環境などの大きな柱がありますが、できるだけ福井県を例にとって物事を分かりやすく判断できるような工夫をする副読本などをつくり、来年度新学期からスタートできるようにしていきたいと思います。

 特に、環境に特化した学校教育用副読本を小学校低学年から中学生まで作成するのは、全国的には例のない、初めてのことと聞いています。国においても環境を国語や数学などと並ぶ新しい学問や学科にしようとする動きもあると聞いていますので、福井県の環境教育が全国のモデルになるようにしっかりしたシステムをつくっていきたいと考えます。

 次に、環境ふくいCO2削減貢献事業です。

 企業や会社などでは、企業活動の中で自らが排出することになるCO2などの量に応じて算出した資金を社会貢献の一環として地球温暖化防止の事業に役立てようという動きがあります。これは一般的にカーボンオフセットという名前になっていますが、現在、県内にはそうした活動を行った場合の資金の受け皿がありませんので、企業自らが植林などを行ったり、民間の基金などを通じて海外にそのお金が行ってしまうといったことがあるわけです。これを福井の中で活用することにしたいということです。

 また、イベントなどでも入場料などの一部にそういうお金を使おうという動きもあります。そうしたお金が世界的に使われるのももちろんよいのですが、まず、福井でちゃんと使われるのが必要だろうということです。こうした資金の受け皿をつくり、実際に行う地球温暖化防止の活動も県内で目に見える形で本県独自の仕組みづくりを行おうというものであり、システムをつくっていこうということです。

 現在、有識者や企業を交えて、集められた資金の使い道を決めるなどの準備作業に着手をしていきたいと考えます。

 次に、自然再生ふくい行動推進事業です。

 かつてはホタル、メダカ、チョウチョ、トンボなどがどこでも身近に見られたのですが、今は、ごく最近になってようやく、特定の場所で見られるようになったというのが現状かと思います。

 そういう現状ですので、それらをもう少し福井県全体で身近に見られるとか、一緒に生活ができるといったことが必要であろうということです。普通の家庭の庭、公園、小川などでどのようにそうしたことができるかということを、いろんな専門家とも、そのやり方や手法などを検討し、来年度以降の本格展開につなげていく事業です。

 それから、「環境ふくい県民会議」の設立です。

 先ほど教育の問題がありましたが、いろんな運動をこれから進める場合に、県民、事業者、関係団体、行政など、さまざまな組織や団体、グループなどが個別に実施したいろんな事業があります。そうしたものをまとめて一体的に意見を交わし合いながら、共通するところは共通のもの、独自なものは独自なものということで活性化し、パワーアップを図る必要があるということで、こうした県民会議の設立を目指したいと思っています。

 現在、「LOVE・アース・ふくい」、「おいしいふくい食べきり運動」など、さまざまな環境運動がありますが、そうした問題と一体的に進めていきたいと思います。

 その他の施策の展開ですが、1つは学校マネジメント改革の具体化です。

 事柄が2つほどあります。先月29日に学力・学習テストの公表、調査が発表され、全国的に最上位の水準であることが明らかになったところであり、こうした子どもたちの学力をさらに伸ばし、実際的に世の中を力強く渡っていくための教育支援はますます重要であると思います。

 そこで、昨日は「教育・文化ふくい創造会議」から第二次提案をいただいたところですが、まず学校支援ボランティア活動推進事業を強化したいということです。これまで、低学年の授業あるいは登下校の見守りなど、地域や家庭が応援しているのですが、中学校においては地域の人材が十分活用しきれていない状況もあるわけです。現在、ボランティアなどの調整・受入れは、通常、先生が行っているわけですが、地域の人材をさらに活用するため、地域と学校を結びつけるコーディネーターを中学校に配置し、保護者やボランティアの学校運営への協力を通して教育活動を支援したいということです。全市町での実施を念頭に置いていますが、今年度は先行して、現在希望の出ている坂井市、大野市、若狭町の3市町から開始したいと思います。

 もう1つは、ゼロ予算事業で、教育支援機能の強化です。

 授業の質を高め、教員の教科指導力を全体的に向上させることが重要です。これまでは先生一人ひとりがいろんな教材や教具、指導ノウハウを考えるという感じでしたが、これではなかなかパワーアップもできませんし、時間的にも大変ですので、県教育研究所が中心となって、教員同士がそうしたものを持ち寄ってさらによいものにしていくという組織的な教材研究支援システムの体制を強化したいということです。

 また、各学校においては会議時間を短くするとか、打ち合わせは書類の配付で済ませるというような一学校一改善事業なども進めていくことを教育委員会で考えています。

 次は、子育てに関することで、キッズデザイン「子どものまち」づくり事業です。

 子どもへの応援については、先ほどの見守り活動や、いろんな施設を充実するとか、子育ての財政支援を強化するといったこともありますが、その地域、町全体が子ども用にできているということが重要です。現在のそれぞれの地域は必ずしもそうではないわけですので、県内のモデル地区での実践活動を支援するということです。また、子どもが外であまり遊んでいませんので、子どもたちが安心して活動できるようなまちづくりにしたいということです。住民による見守り活動、交通安全、車の通行抑制など、さまざまな取組みも組み合わせ、子どもたちが安全に外出したり、遊べるような環境を整え、そこへ行くとそうした感じだとわかるような地域にしたいということです。地区としては福井市社南地区、鯖江市神明地区、永平寺町御陵地区で行いたいと思います。さらに、これらに並行して、小浜市今富地区、大野市和泉地区でも新しく検討を始めていると聞いています。

 次に、産業の関連で観光についてです。

 観光計画の「ビジットふくい推進計画」は5年が経過し、現在、見直しを行っているところです。年内に取りまとめる予定ですが、この中でも特に、年々増加しているアジアからの誘致促進は重要なことであり、特に今年度は、この3月に小松‐上海便が3便から4便に増便になっています。6月には、週2便で小松‐台北便の定期便が就航しました。
中国、台湾を中心にアジアからの観光客が大きく伸びているわけです。そこで今回、本県へ観光客を送客する旅行会社に対する助成があるわけですが、現在、8,000人分を用意しています。いろんな状況を見ますと、そうした需要が高まっていますので、さらに本年度の後半、3,000人分のプラスアルファをして、この機を逃さずアジアからの旅行客の増加を図りたいと思っています。

 そして、これは主に国内ですが、旅行会社は来年度の春夏の観光シーズンを既に用意しているわけですが、先ほどのいろんな旅行商品への応援をしています。来年度用の予算を用意する債務負担行為というものです。普通の予算の計上の仕方とは少し違いますが、来年度当初予算では春に間に合いませんので、来年度前半の誘致確保のための債務負担行為を用意したいと思っています。

 次に、地域交通、福武線についてです。

 福武線の再建に向けては、再建方向に基づいて支援を行おうということです。今回の補正予算は、福井鉄道が行う安全確保のための必要な線路や鉄橋などの整備に対する支援です。協議会の支援策の考え方と協調しながら、国の負担も合わせて助成をすると同時に、福井鉄道の負担分についても県が追加して支援を行えるような予算を準備するということであり、9,200万円になると思います。

 最後ですが、ジェロントロジー(総合長寿学)の研究を生かした高齢化集落の調査です。

 これはゼロ予算ですが、近年、人口減少、高齢化の進行に伴い、中山間・農村地域の集落の維持が課題になっています。これは新しい社会現象であり、一般的に対応することのほかに、さらに、より別の研究を加えて実施することが有効ではないか、新しい対策も考えられるのではないかということです。まず現地調査を行うということで、市町と協力し、東京大学ジェロントロジー部門の研究者も一緒に現地の聞き取りを行うなどして、できるだけ新しい対応ができないか考えたいと思います。

 現在、いわゆる限界集落、つまり、65歳以上の高齢者が5割以上の集落は、県内で99集落あるということです。これは絶対的なものではありませんが、一例として申し上げれば、このうち半分近くは公共交通機関が確保されていないという現状にあると思います。

 そこで、こうした集落の実態を把握するために、人口、世帯数、年齢構成などについて基礎調査を行い、集落を類型化し、その上で、各類型、タイプごとに特徴がよく表れている代表的集落を選び、モデル的に生活実態などについて現地調査、ヒアリングを行い、農林業の様子、暮らしぶり、どのような収入でどう生活しているか、家族関係やどんな応援があるのかなどを可能な限り調査して、実効性のある対応が必要ではないかと思っています。

 以上ですが、最後に、公共事業に関する補正があります。

 これは国の補助事業の内容を踏まえて決定したものの追加などです。なお、ゼロ県債についてですが、これは県単独公共事業について、年間を通じての工事の平準化、早期発注
による効果的な執行を図るため、本年も10億円のゼロ県債を設定し、工事の早期発注ができるようにしたいと思っています。
 

~ 質 疑 ~
 

【記者】
 今回の原油・原材料の高騰対策ですが、こうした原油・原材料価格の高騰を受けて、県自体が対策を打つのはなかなか難しい中でいろいろ取り組んでいるのですが、こうした一連の事業の考え方を改めて伺いたいと思います。資源の省エネルギー化への転換などが柱になっていると思うのですが、今後、エネルギー問題の動きを見ながら、中長期的にそうした体質改善を図るという狙いでやっていくという考え方でよいのでしょうか。

【知事】
 今回の原油・原材料高騰というのは、長期的には一種の新しい価格体系に移行する話ではないかと思います。一方では、物価高騰という2つ目の局面を持っていますが、新しい価格の状況に応じて省エネ的なことをやるのが基本的に世の中に合っていることですし、必要なことだと思いますので、それを地元の中小企業や農業などの局面で対応するということです。そして、この場を融資などいろいろなものでしのぐと同時に、大げさに言えば、新しい生産技術体制への移行を県レベルで行うということです。

 もちろん、国の方でもっといろいろやっていただくとありがたいのですが、それを待ってもおられませんし、地域の企業を応援するというメッセージを送らなければならないということです。

【記者】
 CO2の排出企業からのカーボンオフセットの受け皿をつくるという話について、海外を含めてカーボンオフセットはかなり進んでいるようですが、中には、こうしたシステムをつくったがゆえに、逆に企業の方が、お金を出しているのだからよいということで、排出量が増えてしまったという傾向もあったようですが、その辺は何か歯止め策のようなものも現時点で考えているのでしょうか。

【知事】
 これは、排出量取引のような大々的なシステムとはレベルが違い、地域レベルで、普通の住民の目から見えるタイプのものを地域で活かそうというものです。大きな話は、いろいろな評価がありますし、一律にこれがすべて正しいとか、よいというわけにはいきませんが、この話は、地域である程度完結して、そして、県民の人が分かるものにして活かしていこうという意味です。

【記者】
 福鉄について、福鉄の再建問題に1年かかって県としての具体的な支援に入ったということで、知事の今の考えを聞きたいと思います。

【知事】
 新しい経営者もほぼ決まった段階ですので、その方を中心に、いよいよこれから課題である再建策、あるいは経営のこれからの長期的な方針、継続的に福井鉄道を間違いなく再建・運営できるかということを決めていく体制づくり、計画づくり、こうしたことを特に我々は期待しています。それを前提にこの資金を用意しているということですので、具体的なことはこれからかと思います。

【記者】
 さきほど言われた三本の柱について、今の経済や社会の情勢を考慮して、そこに込めた思い、考えを改めてお話しいただけますでしょうか。

【知事】
 大きく言いますと、景気対策やさまざまな安全問題などの緊急に行うもののタイプと、それから、これも急ぐといえば急ぐものですが、環境問題など長期的な課題のタイプのものについて、今回、継続性をもって着手する、その2つが大きな柱としてあるように思います。そのほか、事情が変更しているから9月補正で対応するものを措置したと私は思っています。

【記者】
 環境基本計画について、福井環境一貫学習推進事業ということで、県独自に県内の事例なども盛り込んだ副読本をこれから製作するわけですが、知事の意向として、福井県内の事象でこうしたものを盛り込んだら子どもも分かりやすいのではないかといったものがありますか。

【知事】
 環境問題は勉強するだけではいけないわけで、子どもでも大人でも、少しでもアクション(行動)を起こさないとよくならないわけです。ですから、こうしたあらゆる教育の中で、行動の起こせるようなこと、例えば、福井県は動植物の南限北限の地理的あるいは気象的に宝庫のようですから、そうしたものを観察して具体的な行動をするとか、あるいは、学校ごとに雪の深さを絶えず測るなどして、これがどんな意味があって、どうするのか、道の周りの雪は除雪するといった、いろんな日ごろの行動に結びつくようなことが必要です。一例ですが、頭だけでっかちになるようなことは避けなければなりませんから、そうしたことができるようにと思います。

【記者】
 自民党の総裁選が現在華々しく行われています。その裏返しとして、政治空白が生じてしまっているわけですが、現在の国政の状況について、知事はどのように見ておられますか。

【知事】
 重要案件が控えています。新幹線の問題などが福井県の大きなプロジェクトとしてありますので、こうした総裁選、まだ総選挙という話にはなっていませんが、そうしたさまざまな政治過程の中で、福井県の現状や県民の思いが皆さんに伝わり、国政の新しい段階の政策に活かせて実行できるように最大限努力したいと思います。空白云々の議論ではなく、国政はそのために役立たないといけないと思います。もちろん市民生活などさまざまな問題については、今回の予算などにより自治体として自ら守っていくべきことはやっていくということかと思います。

【記者】
 整備新幹線の関連ですが、解散総選挙が秒読み段階に入っているという状況で、仮に10月上旬に解散して11月上旬に総選挙ということになりますと、新しい政治体制が整うまでにさらに2か月ぐらいの政治空白が生じてしまうおそれもあります。そうなると、財源問題が滞ってしまい、年末までに間に合わず、また先送りになってしまうのではないかという懸念もありますが、どのようにお考えですか。

【知事】
 いろんな見方はあるかもしれませんが、実務的な研究は役所が実務的に粛々と進めていけばよいことですし、政治的な判断は、まさにこうした選挙などいろんなレベルがあります。国の重要プロジェクトですから、これを明らかにするというのは大事な政治過程だと私は思います。こうした問題を措いて何か違うものを一般的に論ずる世界ではないと思いますから、この機会に大いにその議論をしていただいて、我々福井県民の思いを受けとめてほしいと思います。

【記者】
 とはいえ、現在、見通しが立っている財源規模としては、2,000から3,000億円と言われていますが。

【知事】
 あの財源は、もちろん貸付料などいろいろありますが、新しい追加的なファクターがいろいろ入っていますから、歳出部門だけです。一面的な物の見方のように感じるところもありますので、そうしたことを我々は実務的にも申し上げなければいけません。

【記者】
 具体的にはどのような財源が考えられるでしょうか。

【知事】
 それはいろいろあります。公共事業は700億円余りありますが、新幹線が今のものが全部できてしまうと、あとはそのお金は浮くというか、対象がないわけだから、そうしたものもこちらへ前倒しで使えるのではないかといったこともあるでしょう。それから、物の値段が上がるというのに、貸付料は上がらないのかなど、総合的に見ていないところがあります。いろんな工夫が何項目もあると思いますから、それは大いに国交省でやっていただかなければいけません。

【記者】
 今後の運動方針についてお尋ねします。財源の見通しが厳しいということもあると思いますが、福井市の9月議会の一般質問の中で、敦賀までの一括認可ではなく、まずは福井までの延伸に戦略を転換すべきではないかといった発言もあったようですが、敦賀までの目標を堅持していくのかどうかお聞きします。

【知事】
 福井市長がどう答弁されているかですが、当然、敦賀までの一括認可という考え方を持って答弁しておられると思いますから、それは変わらないのではないかと思います。

【記者】
 知事の考えとしても変わらないということですか。

【知事】
 はい。

【記者】
 補正予算の中身の教育支援機能の強化ということでお伺いします。指導ノウハウの共有ということで教材研究支援システムを構築するとのことですが、学力テストの話に関係して、先日、秋田県の寺田知事が、学力テスト結果の情報を地域で広く共有して課題克服につなげるべきだという意向で、結果を公表・公開したいとおっしゃっているのですが、知事は福井県内の自治体の結果等を公表するつもりはありますか。

【知事】
 これは、よい効果が公表によって出るかどうかの判断にかかっていると思います。公表してよくなるのであればよいとも思いますが、それは教育委員会も判断しておられるように、さまざまな弊害もあるわけで、今のところ、公表をしなければならないとは思っていません。ただ、問題はむしろ、こうした福井県の教育のよさというものをさらに高める工夫をすることが基本であり、一つひとつ、こういう結果だからこうすべきという手法でやるのがいいのかという疑問があります。私は、今申し上げたような方法の方がいいのではないかということで、知事としては、そうした予算を措置しているということです。もちろん、教育委員会の判断としても、公表するという判断はしていないでしょうから、基本的にそうした考えを尊重しなければならないと思います。

【記者】
 ふるさと納税について、先日、知事も直接PR活動を行った手応えについて、また、ふるさと納税情報センターの反響等に関してはどうでしょうか。

【知事】
 夏休みが終わり、いよいよこれからです。件数も多いし、市町も頑張っておられると思いますので、県としても頑張っていきたいと思います。

【総務部長】
 ふるさと納税情報センターの方はできたばかりでもありますが、幾つかの地域から問い合わせもありますし、ふるさと納税の実際の実績なども報告してもらう形にしていますから、内容を更新していく中で、いろんなニーズに応えていけると思います。現在は、お盆を挟んでそれほど大きな問い合わせが殺到しているという状況ではありません。これから計画的に情報を更新していく中でいろんな反響があると思います。

【知事】
 ふるさと納税情報センターで最近の情報や全国の自治体の様子などを全国に改めてオープンにする時期ではないかと思います。今の質問を聞いてそう思いました。一度オープンにしなければいけないと思いました。

 先ほどの教育の話ですが、福井県の教育のやり方や良さなどをまとめて、もっと全国的にお知らせすることも考えられます。いろいろ悩んでいる自治体もありますし、県内でも悩んでいるところはもちろんあると思いますので、そうした応援の仕方について考えたいと思います。本県が何かをするという話ではなくて、こうしたやり方でやっているとか、こうしたやり方をすればよくなるのではということをお知らせするのが積極的でよい方法かと思います。

【記者】
 例えば、福井県の先生の指導方法などですか。

【知事】
 そうしたノウハウや生活実態などです。日本全体で教育がよくならないといけません。OECDなどの調査で国際競争をやると、結局、平均点が下がってしまうということがあります。福井や秋田などの地域はよくても、全体が悪くて平均が下がってしまうようでは、日本の国力として意味がありません。

【記者】
 都道府県で順位を競うよりも、もっと国全体で底上げをしていくことが重要だということですか。

【知事】
 自分がこれからどのくらい努力しなくてはいけないのかということも必要ではありますが、むしろ、相対的な傾向がお互いに分からないといけないということです。

 

── 了 ──
 

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