知事記者会見の概要(平成20年11月25日(火))

最終更新日 2008年4月16日ページID 007247

印刷
平成20年11月25日(火)
10:30~11:30
県庁 特別会議室

 
記者会見


【知事】
 本日は12月補正予算を中心にお話します。

 昨年からの原油・原材料価格の高騰、また、9月中旬以降はアメリカやヨーロッパなど各国の金融機関の危機や破綻が相次ぎ、世界的な景気後退の兆しが強まっています。
日本においても、株安、また一方で円高が急進するということで、景気の下降曲面が長期化・深刻化するという認識も出ています。福井県内においても、中小企業をはじめ景況感が悪化しており、先般、急遽開催した福井県経済戦略政策会議においても、当面さまざまな課題はありますが、中小企業の資金繰りや雇用の対策が重要だという提言も既に出ています。

 こうした県内の厳しい経済状況に対応し、県として、今回、12月議会に経済対策を中心とする補正予算を提出することにしました。補正予算で経済対策を行うのは平成14年以来です。

 今回の補正予算では、中小企業などの資金繰りを円滑化すること、中長期的な県内経済の活性化の方策、それから、県民生活の安心という3つの柱があります。

 まず中小企業の資金繰りの円滑化ですが、先月、実情把握のために、約150の中小企業、業界団体から聞き取りを行い、先行きの不安感や年末年始を控えての資金繰りの声を聞いたところです。この結果から、県の制度融資である経営安定資金の融資対象者の要件をまず緩和し、利用者の範囲を拡大できるようにしています。これは既に10月31日から実施しているところです。

 さらに今回の予算では、経営安定資金の中に保証料を軽減する緊急保証支援分として50億円の枠を設けたということが1つあります。具体的には、国の一次補正予算で創設された緊急保証枠、これは通常の保証枠とは別に無担保の8,000万円が設定されるわけですが、これを利用して経営安定資金を借り入れる場合、保証料をさらに4分の1軽減するというものです。0.5%の保証料の4分の1を県が負担しますので、0.375%に軽減されるということになります。

 以上の制度融資の拡充のほかに、最近の融資動向、また中小企業の経営実態などについて意見交換を行うため、本日午後から、国、これは金沢の財務局長や日銀、地元の金融機関の代表者に緊急に集まっていただき、福井県の金融対策特別会議を開きます。ここに私も出席し、年末に向けた中小企業への資金繰りの円滑化を図るため、金融機関に協力を要請したいと思います。制度上、円滑化ということはありますが、実際の現場で皆さんがそうした気持ちで中小企業の実情をよく聞いていただき、そうした仕事の仕方をしてもらわなければいけないわけですので、みんなで顔を合わせて意見を統一し、そうした仕事ぶりをするためのものです。

 2番目は、県内経済の少し先の活性化の問題ですが、これは融資を除いたさまざまな政策がありますが、予算、公共事業的な関係では中部縦貫自動車道、勝山-大野間、それから国道8号、これは坂井市-あわら市間ですが、国道8号の4車線化などを実施します。これは事業費として約9億円です。

 県単独の事業と公共的事業としては、来年度の事業を早期に着手できるように契約ができるということです。ゼロ県債を9月補正の10億円に加えてさらにプラス5億円設定し、15億円のゼロ県債枠を設けることにしています。

 それから、公立小中学校の耐震化について、市町村が計画を前倒しして耐震補強工事ができるように県補助事業費の増額補正約1,500万円を計上しています。追加実施する市町村としては、福井市、勝山市、鯖江市、越前市、若狭町の小中学校9棟です。こうした制度を持っているのは、静岡県、高知県、香川県と福井県の4県です。
 
 3番目は、県民生活の直接の雇用、消費などの課題ですが、県内の雇用情勢は今年9月の有効求人倍率が1.1倍で、これは全国第6位ということですが、対前年同月比では15か月連続して減少しています。今後さらに悪化が懸念されますので、労働局などと密接に連携しながら雇用情勢の把握に努めるために、今日は経済全体の会議を行いますが、12月1日4時から、それを受けて県と労働局が共同で県内の経営者・雇用主としての経営団体、労働団体の代表者を交えて「福井県雇用対策緊急連絡会議」を開き、雇用情勢の現状、今後の対策などについて協議をすることにしています。
 
 数か月先のいろんな会社の注文がどのように取れているか、あるいはその値段がどうなっているかということをこれまで以上にスピードを持って把握しなければならないと思います。
 
 9月の有効求人倍率について言いましたが、極端に言えば、毎週の統計が可能かどうか、つまり、いろんな統計を早くとったり、企業の現場でのいろんな実情について、数か月後はどうなるのかについて、何十社かの企業を絶えずフォローするような体制をとり、迅速に問題に当たることが大事ではないかと思っています。これはこれからの仕事になりますが、雇用の場でもそうした情報の早い把握について、国にも要請しなければなりませんし、我々もそのように努めることが必要であり、これまでとは違うようなことを進めないと間に合わないと思っています。

 なお、この雇用の問題については、既に今月4日に来年度就職予定の県内高校生の採用内定の確保と拡大に向けて要請をしていますが、さらにこの動きを強めていきたいと思いますし、離職者や若い方で生活が安定していない方が早く就職できるように緊急就職説明会を福井労働局とも合同で開きたいと考えています。

 それから、この問題と少し離れますが、国の一次補正に対応して、今後の流行が懸念される新型インフルエンザ対策の予算として、県内の病院に個人用のマスクやゴーグルなどの防護資材の配備の予算も組んでいます。

 以上3つを大きな柱とする今回の経済対策の規模ですが、保証料を軽減する融資枠の設定が50億円、その他の事業が27億円ということです。
それから、今回の補正予算では、以上の経済対策のほかに、福井鉄道の再建支援として沿線の3市の支援を行う鉄道用地取得に対して県が3分の2の補助、8億円をあわせて計上をしているものです。

 なお、国においては、既に成立した一次補正予算に続き、二次補正予算を編成すると伺っています。生活対策が中心ですが、これからも県内の経済情勢や国の追加の経済対策に対応して、さらなる経済対策を2月補正予算などで検討します。主なものとして考えられるのは、基幹道路の整備等の公共事業のさらなる追加、学校の耐震化、各都道府県に創設される予定の雇用基金、安心こども基金などを活用した政策になると考えます。

 以上が予算の関係であります。

 次に、環境基本計画についてです。

 環境ふくい創造会議での意見や本年9月の県環境審議会からの答申を踏まえ、県の新たな環境計画を策定するものであり、期間は平成20年から24年の5か年間です。今回の計画の特徴の1点目として、自然環境、生活環境、人づくりの視点ごとに、先駆的な10のプロジェクトを掲げています。環境はさまざまな幅広い分野ですので、それぞれの事柄はこの計画の中に分野ごとに書いてありますが、主立ったものは10ぐらいのプロジェクトです。

 自然環境では、計画の12ページにありますが、自然再生ふくい行動プロジェクトと里地・里山などのプロジェクトの2つです。それから、生活環境では、カーボン・オフセット、環境ふくいCO2削減貢献プロジェクトなど5つのプロジェクトを入れています。人づくりでは、本県独自の環境学習教材を用いた環境教育学習プロジェクトなど3つのプロジェクトを入れています。このうち環境学習推進プロジェクトは9月補正で教材作成の予算を措置するなど、来年度からの本格展開に向けて準備をしているものもあります。

 また、環境審議会からの答申に新たに追加・拡充したものとして6つのプロジェクトがあります。例えば、ストップ乗り過ぎプロジェクトです。福井県は全国に比べると、1割ほど、車に乗っている走行距離が長いものですから、まず5%ぐらいは減らせないかということです。それから、そのための放置自転車の活用や相乗り運動、こうしたことも考えています。そのほか、道路などもよくしていかなければならないと思います。

 そのほか大きなものとしては、県民の知恵や行動力を結集して県民運動を進めていこうということで、人生の節目にさまざまな環境実践活動を行う、あるいは、環境ふくいの活動普及隊を設けるといったことです。全体としては、環境ふくい県民会議を早期に設けて進めていくということが書いてあります。

 3点目は、陽子線がん治療の問題についてです。現在、陽子線がん治療については、契約も行い、施設の整備を急いでいるところですが、現在、これは保険がきかないという問題もあり普及が重要と思います。

 12月9日に、保険会社3社、アフラック、東京海上日動あんしん生命保険、東京海上日動火災保険との間で協定を締結し、こうした陽子線がん治療に役立つような医療費の給付が可能になるようにしたいと思っています。なお、他の保険会社に対しても協定締結に向けて協議したいと思っています。

 いずれにしても、陽子線がん治療については、こうしたこと以外に、市町、医療機関との連携を行い、検診率の向上、さらに、陽子線がん治療施設を整備して、がん対策が治療日本一になるようにしたいと思います。あわせて、県民が特に受けやすいようにしなければならないと思っています。福井県だけの利用者ではありませんが、県民の皆さんには特に利用しや
すいようないろんなシステムを考えています。

 もう1つ、今回、福井の子育てや教育のよさを知ってもらうためのパンフレットを教育委員会が中心となって作りました。学力も全国的に上位にあることから、さまざまな教育関係者や行政・議会の視察、メディアの取材、あるいは個別の学校なども福井に来ておられるようです。わかりやすく、教育委員会的に作った説明のパンフレットであり、全国のいろんな教育大会とか学校などでお配りして、参考にしてもらおうではないかというものです。これ以外に、具体的にどのようにするかを考えなければいけないと感じています。

 最後に、第60回の全国植樹祭において式典がありますが、式典に「ちりとてちん」のヒロインである貫地谷しほりさんに出演してもらうことを決定しています。当日は、「未来へつなごう 元気な森 元気なふるさと」という開催テーマを表現する詩の朗読やメッセージ発信などを貫地谷さんにやっていただくことを考えています。

 なお、4月に作成した福井の名木・名花ブックについて、買いたいというご希望や、どこにあるのかという照会が多いものですから増刷をし、12月1日から希望者の方に販売することにしています。500冊、1冊1,000円ということです。名木も大体、春や夏の写真が多いのですが、今、紅葉のシーズンですから、両方あるといいのではないかと思ったりしています。


~ 質 疑 ~


【記者】
 今回、福鉄の再建に対して8億円の支援を予算措置していますが、今日、新社長も決まります。今後の経営が同じようなことを繰り返してまた債務がたまっていくということは、今後、実際的にはないとは思いますが、知事として今後の経営についてこうしたことをしてほしいという希望があれば、教えてください。

【知事】
 えちぜん鉄道もまた、何年か前に大変な境遇、条件の中にあり、再生を果たしつつあるわけですが、福井鉄道もまた、別の意味で再生を果たしていただかなければならないと思います。新しい経営者の下、えちぜん鉄道とは多少システムは違いますが、それはそれとして、県民の目に見えるようにスピードを持って再建をし、また、鉄道を利用してもらえることが大事です。まずは経営者を中心に一生懸命頑張ってもらわなければならないと思いますが、あわせて、金融機関、住民団体、それから市町、市と連携した応援が重要だと思います。このことが大きな公費を投入していくための不可欠の努力目標だと思っています。

 駅を増やしたり、さまざまな工夫をして、利用者が増えることが大事ですので、行政も公的な資金援助をしていますが、それ以外に、公共団体として市町を含めて、えちぜん鉄道同様、福井鉄道においてもうまく利用できる率先利用も考えてみたいと思います。先ほど、環境基本計画の中で車の乗り過ぎのお話をしましたが、やはり手をつけられるところからつけるということ、例えば、出先の事務所へ行ったり、市役所へ行ったり、また逆のこともありますが、そうした時に極力乗るなど、いろんな工夫がないといけません。みんなが少しずつやりますと、利用者が5%増え、あるいは1割増えるということにつながるはずですから、そうしたことを考えたいと思います。

【記者】
 補正予算の関係ですが、国の方では、二次補正の議論がされていると思いますが、今の国会に出すかどうかということでもめたりしているようですが、国の方の混乱ぶりの収拾を待つ立場の福井県としては、どう見ていますか。

【知事】
 我々としては、自分たちでやらなければならないことはやる、やっているということです。今回の補正予算でも、国の二次補正で予定されることは大体こんなことがあるということであり、これには福井県として積極的に応じる、適切に対応するという事柄も資料の中に一緒に入れています。いろんな政策ですから、国では意見の違いがあったり、多少の混乱もあります。それはそれとして、我々は自治体としてそれを十分に受けとめて、県民の皆さんがある程度予測を持って対応できるということを今回示したということです。こんなことは今まであまりしたことはありませんが、こうしたことがあるということを言っておく必要があると思います。予算ではありませんが、一種の予告的なことです。

【記者】
 定額給付金についてですが、具体的には、市町村が事務を行うとは思いますが、福井県としてできることをしていきたいという考えだと思いますが、具体的にどういうことができそうか、何か考えがありますか。

【知事】
 この制度が決まるということは、使えるものはちゃんと福井県で使えるようにした方がいいと思います。福井県の中でこのお金が使えるようにするとよいと思います。いろんな条件があるとかないとか言っていますが、せっかくもらったものが使えないということではいけません。

【記者】
 市町村がこの事務作業をする上でどういうことが手助けになりますか。

【知事】
 さまざまな話があると思いますから、十分連携をとるように、みんなでどうなのかを配慮したり、混乱をみずから起こさないように段取りをしたいと思います。みんなで合理的に考えて決めたらいいことだと思います。

【記者】
 環境基本計画について、答申があってから発表されるまでに時間があり、答申から追加されている部分がありますが、そこに込められた思いや、なぜそのように時間をかけて追加したのかということを含めて考えをお聞きかせください。

【知事】
 答申がそのまま計画になることもままありますが、答申はその立場でいただくわけであり、もちろん最大限の尊重はしますが、行政としてもある程度の受け止め方が必要です。これから環境は非常に重要ですので、その中でさらに、計画全体について、行政としての整合性、総合性や実効性が上がるように実務的に考えて、項目を多少追加しているという考え方です。

 特に、車の乗り過ぎや、子供が体験するプロジェクトはそうです。そこに山が見えますが、あの山の下に学校があっても、その裏山に子供が登るかといえば、おそらく登っていないのではないかと思います。山へ登ったり、川や田んぼ、そうした身近なところで何かをやる必要があるだろうということです。

 それから、環境は大勢の人たちが、毎日、あるいはいろんな場で進めることですから、そうした人たちが互いにみんなが何をしているか、そして、やっていることを理解して、元気を出してやらなければいけませんから、そうした人をできるだけたくさん増やし、立派なことをしている人たちは、みんなで褒めたり応援することが大事です。そうしたタイプのことが書いてありますのと、あとは、もう1つ、県全体としてさまざまな団体がありますので、そのバランスをみて意見交換の場を設けようといったこともあります。これは実務的な話になりますので、答申を掲げる立場とはまた違うことですから、そうしたものが付け加わっているということです。

【記者】
 定額給付金について、先ほどの発言は、例えば、福井県内で使えるように条件を付けるというように聞こえたのですが、どういう意味でしょうか。

【知事】
 いえ、条件を付けるということではなく、実行する時にはできるだけ福井県に役立つようにしてもらわなければいけないということです。

【記者】
 特に使用時に条件を付けるということではないということですか。

【知事】
 そうしたことではありません。景気対策ですから、福井県内で役立つように、みんなで使えるようにということです。

【記者】
 陽子線がん治療について、今まで県としてかなり普及啓発に努めていると思いますが、さらに保険会社と提携することによってどのようなことが出てくるか、狙いはどこにあるのでしょうか。

【知事】
 治療を受けるのに一挙に150万、200万円かかると、なかなか大変ですから、保険の中にこうしたものが入っていたり、あるいは意識するということが大事です。別の次元としては、保険になるようにやらなければいけないということもあります。そうしたことの全体のきっかけになればいいのではないかと思います。それによって、福井にこうしたものがあることも知ってもらえるだろうと思います。

【記者】
 植樹祭について、式典に貫地谷さんが来られるということですが、多分、「ちりとてちん」や「あんどーなつ」の関係だと思うのですが、どのような理由で招聘するのでしょうか。

【知事】
 植樹祭は、司会などはできるだけ地元の人でやってもらったり、高校生などが頑張ってみんなで力を合わせることも大事ですが、やはり特定の部分では知名度のある人たちにやってもらうというイベント的な性格もあります。そうなりますと、やはり縁のある、皆さんもご存じで、福井のことを思っていただける貫地谷さんにやってもらうのがよいのではないかということでお願いしているということです。全国的にはいろんなやり方があるのですが、オペラを歌う人たちが自然の歌を歌ったり、さまざまな大々的な催しもやりますが、福井県は、できるだけ簡素だけれども、内容のある植樹祭にしたいということですので、貫地谷さんに出演してもらったほうがいいと思い、承諾をいただいたわけです。

【記者】
 やはり福井に縁のあるということで、特段、貫地谷さんに緑のイメージがあるとか、そういうわけではないのですか。

【知事】
 しほりさんというわけですから、緑かどうかははっきりしませんが、温かい感じがありますし、親しみもあります。植樹祭が終わった後もありますから、末永くそうしたつながりが大事だと思います。

【記者】
 この式典では、両陛下と一緒の舞台になるということですか。

【知事】
 前と後に催し物もありますが、大部分は同じです。

【記者】
 貫地谷さんは、詩の朗読とメッセージの発信という2つをされるということであり、司会ではないということですか。

【知事】
 司会は、地元の高校生にしてもらうように準備をしていると思います。他の県では、これも専門家がおやりになることがほとんどですが、福井は、多少アマチュアではあるけれども、若い人に一生懸命練習してもらってやってもらうのがいいのではないかと思っています。

【記者】
 定額給付金について、所得制限の件で、国の方針が、結局、判断は市町村に任せるという結論になりましたが、知事はどのような印象を持っていますか。混乱が起きないように市町村と連携をとっていくということですが、いつごろ検討会を立ち上げて対応するのか、話し合うのか、教えてください。

【知事】
 所得制限については、また国に戻してしまうのではあまり意味がないから、福井県内で使えるようにするといいと思います。だから、所得制限は意味がない感じがします。それだけ論じていても仕方がありませんが、福井県で使えないといけません。皆さんがせっかくもらえるのに、私はいいという人ももちろんいらっしゃるでしょう。それがまたよそへ行ってしまうというのは、気持ちが合わないとは思います。

【総務部長】
 市町との連携については、28日に国の説明がまずあるので、その後、また市町村としかるべき説明会などの中で、いろいろ相談していくということです。

【知事】
 落ちついてやればいいことだと思います。

【記者】
 県内で使えるようにというのは、この給付金を受け取らなかった人の余ったお金を国庫に返さずにおくという趣旨ですか。

【知事】
 そんなことができるかどうかはわかりません。例えば、「おれはいいよ。だれかほかの人に使ってほしい」と言うのに、福井県で使えなくて、またどこかへそのお金が行くのは、ちょっとせつないと思います。

 ただ、一方で景気対策は新幹線などの大きなものもあるから、福井県としては特に、そうしたものがあわせて実現されることが、地域課題としても、国土政策課題としても、今回やることが最大の景気対策だと思っています。両々相まっていかないといけません。

【記者】
 先日、原子力機構の副理事長が来て、「もんじゅ」について、ダクトに応急的な補修をして、その上で運転再開するということを言われました。ダクトを交換せずに応急的な措置だけで運転を再開するということについて、知事は、安全性なども考えて、どのように思っていますか。

【知事】
 ダクトについては、原子力機構が文科省や保安院と調整することですから、その状況を聞いた上で我々は判断しなければなりません。いずれにしても、我々は何か工程について定まったスケジュールを前提にしているわけではありませんし、我々の方から、この時期だからどうだということではありません。この問題については、まず国の責任で十分に判断を加えて、我々もそれに対してまた判断を加えることだと思います。

 ただ、いろんな事柄が重なっていますから、体制なり、いろんな管理方針をしっかりとやってもらわなければいけないと思っています。

【記者】
 組織については、原子力機構が、新しい研究組織の新設に続き、先週、「もんじゅ」の組織の改正策を県に報告したと思いますが、そうした一連の機構の打ち出した方針について、今の段階でどのように評価していますか。

【知事】
 「もんじゅ」については、研究部門を含めて、敦賀本部の組織や人員体制を抜本的に評価するように、機構や文科省に強く要請をしています。今回の案では、充実強化はしていますが、具体的な人員の増強策が必ずしも明確ではありませんし、敦賀本部の職員が現在500人ちょっとです。一方、茨城、東海、大洗だと3,500名おられるわけで、まだまだウエートは低いですし、「もんじゅ」自体の安全管理、あるいは政策決定、そして今、拠点化計画などの研究部門を考えますと、まだまだ敦賀本部の人員については弱いと思いますので、抜本的に増強するように引き続き強く求めていきたいと思います。

【記者】
 補助金の不正支出について、県からOBを出しているということもありますが、今後、どのように対処すべきという認識ですか。

【知事】
 ちゃんとやってほしいという気持ちがありますが、いずれにしても、今回、補助金のいろんなマニュアルなども作成すると同時に、各部局の個別判断ではなくて、会計局など全体でいろんな確認やチェックをし、実効性があるような体制にしたいと思います。もちろん、今回の問題は、OB云々ということではなく、団体自体が事務局も含め、会員みんなで対応してもらうことが必要です。団体ごとにいろいろ違いますが、経理の内容が法律に沿っているか、あるいは事業そのものの効率性もまた議論しなければなりませんが、そうしたことを進められるように我々もチェックしますし、今後、このようなことがないように指導を徹底していきたいと思っています。

【記者】
 全庁を挙げて実地調査をすると決めましたが、どう考えますか。

【知事】
 今年度末の確定検査からそれぞれ実施しますので、実際には、すべての団体について、さらなる調査、決算のチェックがより徹底すると思っています。

【記者】
 知事も出席の予定と聞いていますが、小学館のDIME特別賞を受賞されるということで、自治体でいうと昨年の宮崎県に次いで2例目だということです。宮崎県の場合、知事がトップセールなど派手なパフォーマンスで話題を振りまいていたというのもあると思いますが、去年、宮崎県が受賞して、今年、福井県が選ばれた感想をお聞かせください。

【知事】
 あれは、さまざまな自治体や団体、ふるさと納税などいろんなものが総合的に重なっていることですから、非常にいい結果だと思います。知事もいろいろキャラクターがそれぞれありますから、差はあると思いますが、福井県をちゃんと売り出すことが重要ですし、こうしたブランドや地域の販路拡大、あるいはイメージアップというのは、まず県民の皆さんが先頭に立ってやられる話です。我々は、それを応援するのが基本的な立場でますので、そうした意味で福井らしさが出たのではないかと思っています。しかし、毎年というのはなかなか大変ですから、来年はどうしたらいいかと思っています。またいい知恵をください。

【記者】
 受賞式では、県民を代表して受賞されるということですか。

【知事】
 はい。そういうことです。初めて行くものですから、あまり実感が分かりませんが。

 以前、日経新聞から子育て大賞といった賞はもらいましたが、いいものをまたやらないといけないと思っています。アイデアがだんだん枯れてきますので、皆さんからもまたいろいろアイデアをください。来年は何になるのかよくわかりませんが、「ふるさと納税」も頑張らないといけません。

【記者】
 「ふるさと納税」といえば、以前、「サンデー日経」の特集で、『「超」整理法』の野口悠紀雄さんが「ふるさと納税」を批判していて、高橋洋一氏はよい制度だと評価していたと思いますが、それに関してどう思いますか。

【知事】
 「ふるさと納税」はいい考え方だと思いますが、1年ぐらい経ったら、また制度の改善が要るかもしれません。確定申告との関係や、限度額、5千円の控除などをまた議論をする必要があるかもしれないと思います。

【記者】
 それは知事が提言するということですか。

【知事】
 そういうことがあり得るでしょう。まだ1年経っていませんし、確定申告も終わっていませんから結果が十分出ませんが、そうしたものを見た上で、いろいろ問題点なり改善点を見るのがいいのではないかと思っています。

【記者】
 現時点で、具体的にどのあたりを改善した方がいいといったアイデアがあれば教えてください。

【知事】
 もう少し手続きなどが楽になればということがあります。これも痛し痒しで、あまり楽にすると、納税者意識がどうなるかという関係もありますが、確定申告だけでしか控除できないというのは。年末調整などでもできるなど、何か改善した方がいいのではないと思います。上限額が今は1割ですが、これは大都市との関係がありますから、もう少し何か可能かどうかです。それから、寄付税制に共通の5千円の控除を何か改善できないかといったこともあると思います。

【記者】
 北陸新幹線について、知事は先週、連日のように要請に行かれていたわけですが、その手応えや感触はどうですか。

【知事】
 貸付料も以前、3,000億だったのが6,000億オーダーで出てきていますし、それぞれプロジェクトチームやワーキングチーム、また国交省、与党、そうした人たちの話を聞きますと、何とか年末に向けてやろうという気概を感じますので、手応えはあると思います。ぜひ、この28日にも、東京で大会などもして盛り上げ、何とかしてこの機に目標を達成したいと思います。

【記者】
 28日の大会というのは、具体的にいうとどのような中身ですか。

【知事】
 28日は、我々も行きますし、今言った関係者にも来ていただいて、福井県民の気持ちを伝えるということです。北海道あたりは署名などもやっておられますが、それぞれ地域によってやり方は違うと思います。

【記者】
 政治的な判断を下す時期に差しかかっていると思いますが、与党の中からは、福井までのお金の確保の見通しがついたけれども、そこから先の敦賀まではまだ不透明であるといったことも聞こえていますが、その点についてどう考えますか。

【知事】
 できるだけ遠目にして敦賀までをということです。一方で、いろんな公共事業や予算なども兆円オーダーで出ていますから、何をもって、何十年もやっている重要なものにお金が回せないのかということだと思います。

【記者】
 福井までは当然のことと思いますが。

【知事】
 福井駅も来年2月頃には完成すると思いますから、なおのこと北陸3県で差が生じるようなことがあってはいけません。両方ということです。敦賀までと3県のほぼ同時期での開業というのを目指しているわけです。

【記者】
 福井駅の西口再開発について、先日、福井市の東村市長が、ホテルの誘致が難しいということを発言しましたが、その点についてどう考えますか。

【知事】
 新幹線のいろんな動きもありますが、考え方を市からよく聞いてみないといけません。どういうことができるのか、何があり得るのか、その上での応援になるでしょう。皆さんの意見がある場所ですから、行政だけで決められない世界です。何かやったら、それについての運営とか長期的な問題が生じますから、その中で何をやるかということだと思います。十分また詰めてもらわないといけないと思います。新幹線の動きなどとも関連すると思います。

 

── 了 ──
 

アンケート
ウェブサイトの品質向上のため、このページのご感想をお聞かせください。

より詳しくご感想をいただける場合は、kouhoukoucho@pref.fukui.lg.jpまでメールでお送りください。

お問い合わせ先

知事公室広報広聴課

電話番号:0776-20-0220 ファックス:0776-20-0621メール:kouhoukoucho@pref.fukui.lg.jp

福井市大手3丁目17-1(地図・アクセス)
受付時間 月曜日から金曜日 8時30分から17時15分(土曜・日曜・祝日・年末年始を除く)