知事記者会見の概要(平成21年1月5日(月))
平成21年1月5日(月)
10:00~10:45
県庁 特別会議室
【知事】
明けましておめでとうございます。新しい平成21年、気持ちを新たにして県政に取り組んでまいりたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
今年は、知事として2期目の折り返し年に当たります。様々な経済の問題、雇用の問題など、自治体は厳しい状況にあるわけですが、今こそ元気を出してこうした問題に取り組む必要がある時期だと思っています。気持ちを新たにしながら難局に当たるという心構えでいきたいと思います。気合いを入れて前向きに進んでいきたいと思います。
昨年1年間、福井県の様々な底力というものが知られたと思いますので、これに自信を持ち、逆に地方から国を応援していく、支えていくという気概で、仕事を進めていきたいと思います。特に経済問題は、これから予算などの対応をし、また、国などと協力して、経済界のいろんな意見も聞きながら確実に進めていきたいと思っています。あまり引っ込み思案になってはいけませんので、前向きにこうした状況に当たっていきたいと思っています。
なお、昨年は、北陸新幹線などの方向性が出ましたので、次の新しい段階の行政を展開することが可能になりました。また、私自身としても、より行動がとりやすい状況になりましたので、新しい様々な分野にも取り組んでいかなければならないと思います。まさに経済的な考え方や歴史の転換点という時期かと思っていますので、新しい価値観やシステム、新しい地方自治ということを考えながら、新年以降、行政に当たっていきたいと思います。
特に、福井駅整備の問題、中部縦貫自動車道、舞鶴若狭自動車道など、他の交通体系と関連する事業につきましては、着実に進めていかなければなりませんし、農業、環境、観光など計画がほぼ整いつつありますので、これらの計画に基づいて実行していきたいと思います。
また、文化については、教育委員会において、第3次の「教育・文化ふくい創造会議」を進めています。夏ごろ、あるいは、もう少しかかるかもしれませんが、会議としての報告も作られると思いますから、そうした問題に取り組まなければなりません。
一番問題なのは、都市と地方との関係、格差などの議論があるわけですが、新しい転換点に立っている現状において、都市から地方への流れをつくっていかなければならないと思います。私はこれまでふるさと納税を提案するなど、先駆けてふるさとの大切さや都市と地方の格差縮小などを主張してきました。これからさらに、ふるさとに人が戻ってくる、あるいは地域で学び、働く、そして生活をするという動きを進めなければなりませんので、福井の産業、農業なども含めて、何かよい知恵がないか、新年度の予算の中でぜひ考えてみたいと思います。非常に難しい課題ですし、永遠の課題でもありますが、何とか1つの方向が出せないか努力をしていきたいと思います。
また、教育についても、全国的に高い水準にありますし、子育てあるいは健康長寿なども他県をリードする立場にありますので、さらに、ジェロントロジー(総合長寿学)や希望学など、大学との連携や新しい知見なども取り入れて、先進的な事例を作り出していきたいと思っているところです。
次に、福井県として今年予定している行事や出来事について申し上げたいと思います。1つは、6月7日に、全国植樹祭があります。あと5か月余りです。その準備に万全を期したいと思います。
それから、福井豪雨災害からの復興も1つの節目を迎え、いわゆる激特事業が大体終わります。木田橋は昨年末に開通しましたが、泉橋が2月ごろに供用予定です。また、美山地区の国道364号の高田大橋も3月に完成しますので、ぜひ通行していただきたいと思います。さらに、砂防激特事業の個別の堰堤や渓流の保全工事も約50か所ありますが、ほぼ今年度内に完成する予定です。災害復興・復旧事業が概ね本年で終わることになると思います。
新たな施設の利用などができるものとしては、まず、中部縦貫自動車道です。上志比-勝山間8キロ、これは直轄事業で進められているところです。それから、国道27号美浜バイパス、これは約2キロですが、それぞれ3月、年度内に供用開始されると思います。
福井駅周辺のまちづくりは、駅東口において高速バス、空港間連絡バスの発着、タクシーを利用する広場が6月までに整備されると思います。
幸橋は既に供用開始していますが、両方の南北の橋詰に「交流とふれあいの場」という広場をつくる予定です。また、親柱なども造らなければなりませんが、南北、左右を入れますと4カ所になりますが、6月にはできると思います。
また、春の4月には陶芸館がリニューアルオープンすることになります。旧県立図書館に整備を進めている子ども歴史文化館についても、本年中に開館をしたいと考えており、福井の先人たちの業績を紹介していきたいと考えます。
次に、県立病院のがん医療センターの開設です。このセンターでは、胃がんの専門外来を病院の2階にオープンします。また、血液・腫瘍内科を新設し、化学療法の専門医による外来診療を始めます。それから、県立病院の10階北病棟に49床のがん専門の病棟を設置する予定です。これが、2月1日にセンターとして開設するということです。また、がん治療の3つの柱である手術、放射線治療、化学療法を専門とする複数の主治医によるチーム医療を導入し、来年度以降、大腸、肺などの主ながんについても、順次、臓器ごとのチーム医療を導入することになります。こうしたチーム医療により、全国に向けて先進的ながん医療水準の高さをPRしていきたいと思います。
なお、県立病院で整備を進めていた立体駐車場ですが、これはPFI方式によるものであり、本来は4月からの供用予定でしたが、2か月早められることになり、2月1日から供用を開始する予定です。駐車台数は584台ということで、従来よりも61台増えます。これにより、立体駐車場から連絡道を通って病棟本棟に直接入れることになると思います。
次に、第60回全国植樹祭の実施計画についてです。
昨年11月に県民から公募した一般参加には2,000人の応募があり、極めて高い関心を寄せていただいています。天皇・皇后両陛下をお迎えして行われる記念式典、輸送、宿泊などの大会運営を円滑に行うための実施計画案を取りまとめたところであり、2月に正式に決定することになります。また、大会を円滑に運営するため、県と福井市で組織する実施本部を設置したところです。大会は、プロローグ、記念式典、エピローグの3部構成となっています。
福井県の植樹祭の特徴を挙げますと、従来は、司会や音楽隊、演技者などの出演者をプロに依頼して、華やかな感じでしたが、福井県としては司会も高校生にやってもらいます。それから、両陛下のお手植え等の介添えに小学生の皆さんに参加してもらいます。また、吹奏楽と合唱の音楽隊を結成するとともに、様々な演舞も学生や県内で活動している演奏家にお願いするということで、県民の手づくりによる簡素で親しみやすい式典にしてもらいたいと考えています。
最後に、国体のことを申し上げます。
国民体育大会については、昨年1月に国体検討懇話会を設け、開催の是非を含めて、県民にとっての望ましい国体のあり方について、県民代表の委員の皆さんに検討を進めていただき、昨年12月22日にその報告を受けたところです。
また、県議会においてもスポーツ促進議員連盟が設けられ、国体誘致に関する体制が議会として整い、年末に議会からの要請をいただいたところです。
国体開催については、懇話会の報告にもあるように、開催県の厳しい財政状況や国民の国体に対する関心の変化など、様々な課題が実際にはありますが、このような課題を踏まえながら、国体開催による効果、県民の中での国体への期待感などを総合的に判断して、県議会の皆さんのご意見、また、さまざまな状況を考えて、県として平成30年開催の第73回国民体育大会を誘致したいと考えます。
今後、本県の厳しい財政状況を勘案し、簡素化を図りながらも、福井県としての新しい形での国体の開催に向けて準備を進めなければならないと思います。開催の仕方、あるいはお金の使い方について、無駄がないようにしなければなりませんし、これまでの国体運営についての様々な反省点が先催県の中にあるはずです。
また、体育団体をはじめ、スポーツを支える新しい指導者の育成や組織づくり、こうしたものも新しい国体に沿ったものでなければならないと思いますし、県民の皆さんの常識に沿ったスポーツの振興に役立つものでなければならないはずです。特に、福井県の健康長寿、また、福井の風土に合ったスポーツに力を入れていくことが県民の期待かと思っています。
いずれにしても、新しい形で開催をするということになりますと、先般の懇話会の報告を受けながら、具体的にどのようにするかについて、しばらく期間をかけて具体化しなければなりませんし、国などに対しても、様々な要請もする必要があると思いますので、そうした方向で臨みたいと思います。
国体検討懇話会の国体改革の提言として、競技実施数や施設の基準、国の支援やメディアの皆さんとのタイアップなどいろんなことが書いてありますので、そうしたことも含めて、県として開催をするに当たってどうしたらいいかを具体的に検討する必要があると思っています。
~ 質 疑 ~
【記者】
経済・雇用情勢が厳しさを増したまま新年を迎えたわけですが、県民の暮らしへの不安が広がっている状況であり、対策が求められている中で、知事の決意を改めてお聞きしたいと思います。
【知事】やはり元気を出して進めなければならないと思います。「新元気宣言」は今回の経済危機を見越して考えたわけではありませんが、まさに元気を出して取り組むということが一番大事ではないかと思います。
先ほども申し上げましたが、幸い、福井県内のいろんな地域の元気が昨年からいろいろ出ておりますので、そうしたものを大事にして、落ち込むことなく積極的に進めていかなければならないと思います。行政はそうした活動を応援したり、条件を整備したりすることが任務ですから、そうしたことで頑張っていきたいというのが私の思いです。
【記者】
知事は、今年の4月で2期目の折り返しを迎えるわけですが、「新元気宣言」の成果をより発展させるためのメニューを盛り込む新年度当初予算案の編成方針の考え方をお聞きしたいと思います。
【知事】
今やりつつあるところですが、環境計画はまとまり、今、農業や観光は計画をまとめつつありますので、その中で、重点的に力強くやる施策とそれに関連する施策を仕分けして物事を進める必要があると思いますし、スポーツ、文化もこれからのテーマだと思います。そして、根底には経済・雇用問題がありますから、情報をよく把握しながら、国の政策も活用して進めていく必要があると思います。状況も一月あるいは半年経てば次第に分かってくると思いますので、そうした中でこの経済・雇用問題に取り組むということだと思います。これを次の当初予算の中で具体化したいと思います。
【記者】
福井国体について、決断に至った理由と、また、懇話会の方では最終報告書の中で県民一人ひとりの健康長寿と既存施設の有効活用といった新しい国体像を打ち出していて、知事も先ほどそうしたことをおっしゃいましたが、全国的にもモデルケースとなるような、その新しい国体像について考えをお聞かせください。
【知事】
懇話会で大体の方向はいただいておりますので、これからさらに、行政として、実施する団体の立場として具体化を図ることになると思います。いずれにしても、スポーツや健康、体づくり、レクリエーションというのは、これから非常に大事なことですし、これによってまた元気が出ると思います。しかし、従来型ではなく新しい形でこの問題に取り組む必要があると思います。実際、スポーツをしたり、体を動かす人の立場になってこの問題に取り組む必要があると思います。そうした意味で、新しい違いをいかに打ち出していくかということです。これも県民の皆さんの期待に沿って行えば新しい形に必ずなると思いますので、そうした方向でこの問題に取り組んで元気を出していくということです。また、その間、様々なインフラの整備なども、極力無駄のないようにしながら実行することが必要だと思っています。
【記者】
これまでの国体は一部のスポーツ選手だけのための開催であったようなところもありましたが、県民一人一人がそれぞれ楽しむということですね。
【知事】
そうですね。
【記者】
知事と県体育協会、県教委などが連名で日体協に内々定のための要望書を出す手続が必要かと思いますが、そうした今後のスケジュールはどうなっていますか。
【知事】
開催は10年先ですから、申請書は5年前に出すようになっていて、3年前に正式に決定するということですので、そうした話はまだ大分先になると思いますが、詳細は教育委員会にお聞きいただければと思います。
【記者】
当面のスケジュールとしては、先ほどおっしゃったように、この前出てきた報告を具体化する作業がこの1年の中で続くということですか。
【知事】
そう思います。
【記者】
その具体化に当たって、プロジェクトチームのような検討部会を立ち上げるというようなお考えはありますか。
【知事】
プロジェクトというより、県だけでなく、競技団体、あるいは、健康などの問題になると医学や医療の分野がありますし、何といっても常識的な考えで物を進めなければいけません。福井県の国体がその時どのような名前になっているかは知りませんが、新しい形のスポーツ、あるいは健康を増進するイベント、競技大会でなければならないと思いますので、そうした初回となるようにしたいと思います。
従来型のものではないということが大事だと思います。もちろん、基本的なものがいろいろあることはありますが、そうした努力をしたいと思っています。
【記者】
雇用情勢について、他県では自治体が直接雇用をしたり、年末にそうした動きもありましたが、なかなか年を気軽に楽しく越せない人が多い状況です。知事が先ほどおっしゃったように、元気を出してというのはよくわかりますが、なかなか元気を出せない人もいると思います。そうした人たちに対して県としてもう少し具体的に検討されていることは多々あると思いますが、いかがですか。
【知事】
いろんな手段を用意してあります。それをいかに具体的に出動させるかというのはありますが、それは雇用とか失業の状況を見て、皆さんに最も役立つようなものでなければなりません。単に一時しのぎで1か月アルバイトをしたといったものでは困りますので、民間などで働くということが必要ですし、長期的であることが大事ですし、また、将来の技術などにつながることが大事ですから、そうしたものを総合的に見ながら、いろんな手段を発動したいと思っています。何でもぱっと出していいものでは決してないと思います。出し惜しみをしているわけでは決してないということは、ご理解願いたいと思います。ただ、いろんな準備はしておかなければなりませんから、機動的に出せるように努力したいと思います。
【記者】
都市から地方への流れを何か作っていきたいとのことですが、何か考えておられるわけですか。
【知事】
特に人の移住ですね。ふるさと移住といいましょうか。今一生懸命考えているところであり、うまくいくかどうかはまだ分かりませんし、1つの政策だけではできないかもしれません。皆さんの行動にかかっていますから。ふるさと納税もそうですが、行政だけで仕組みをつくって、それでうまくいくというわけでもないところがありますので、少しでもそうした動きがとれないか、新しい方法に挑戦してみたいと思っています。
【記者】
地方分権について、今年は地方分権に関する法案が提出される年でもあるし、衆議院選挙が行われて、国と地方の関係が大きく変わる転換点になる可能性もありますが、改めて知事の地方分権に対する考え方をお聞きしたいと思います。
【知事】
あまり観念論になって枠組みだけをセットして、内容が伴わないのが一番困ります。地方分権になったのかと思うとなっていないということが、これまでの三位一体の改革であり、それ以降、十分目的が達成されていません。絶えず新しい法律や制度などができますから、あるものをセットしても次から次へと新手が出てくる、そうすると、そこだけでも不十分なのに、また別のところが中央集権的なものでは困りますから、内容のある事柄が要りますし、そうしたものになるような協議の仕組みや地方の意見が出せて成果があるようなシステムが要ります。国と地方の協議や、出先をどうするかという動きがありますが、そうしたものに実態、実質を与えるという努力を、知事会をはじめ皆さんと特にやりたいと思っています。新幹線やいろんな問題が進みましたので、そうした活動も私自身としてもこれまで以上にしやすいのではないかと思いますので、努力したいと思います。
【記者】
今日、「転換点」という言葉が何度か出てきていますが、今日の年頭のあいさつで職員に向かって「中央主義の行き過ぎからの転換点の年だ」ということを述べられましたが、その意味をもう少し詳しくお聞かせいただきたいと思います。
【知事】
お金や金融などが独り歩きするという世界、そうした場合、実質に及ばなければなりませんから、経済思想や経営思想が変わっている転換点だという風にまず思います。
福井県自体も、立地条件の点で新幹線などいろんな方向も出つつありますから、ここ5年、10年先になるかもしれませんが、それの1つのスタートの場所に立っているのではないかと思っています。それが1つです。
それから、福井県自体のいろんな政策なども目に見え始め、知られつつあるのではないかと、そんな印象をいろんなところに行って感じつつあります。従来はあまり福井県のいろんなことが理解されなかった点が多いですし、そうしたことを分かり始めていただいているのではないかと思いますので、これに拍車をかける1つの新しい時期ではないかと思います。
年末、ちょうど新幹線が通っている長野県の佐久あたりを通りましたが、やはりインフラの有無で大きく町ごとの立地条件が変わる、小諸と佐久の違いや、観光地を支えている人たちの物の考え方というのは、十分我々も学ぶべきところがあるように思いました。そうした意味では、我々自身もそうですが、物の考え方を変えて仕事を進めないといけません。観光にしても農業にしても環境にしても、人がやるものですから。箱物や道路などは、造ると、それで皆さんが利用するということで話がほとんど済みますが、今申し上げたような様々な文化やスポーツもそうですが、人間がやることですから、それがうまくいかないと、何を準備しても目的が半分以下になってしまうということになりかねません。人づくりや、みんなでやっていくという機運を盛り上げることが重要だと思います。福井県は教育の水準が高いですが、それを具体的に役立てる動きが大事だと思っています。
── 了 ──
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