知事記者会見の概要(平成21年2月20日(金))

最終更新日 2009年3月2日ページID 007932

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平成21年2月20日(金)
10:30~12:00
県庁 特別会議室

 
記者会見



【知事】
 今日は21年度当初予算を中心にご説明申し上げます。

 今回の予算編成に当たり、福井県を取り巻く状況を考えますと、昨年来の経済雇用情勢の悪化に県として迅速に対応する必要があったということです。いかにこの経済危機を乗り越えていくかが大きなテーマであると思います。特に雇用に関しては、既にご承知のとおり、12月に有効求人倍率が平成16年5月以来、4年8か月を経過して1を下回る0.93という状況になっており、対策を強める必要があるということです。

 振り返りますと、私が知事に就任した平成15年も景気の低迷が続く中でしたが、その当時は失業率が4%台でした。何とかして2%台にしたいということで、1万5千人の雇用を4年間で創出するという目標を立て、2.3%という日本一失業率の低い県を達成したわけですが、また別の社会的な経済要因によって再び厳しい経済雇用情勢に直面しています。とかく暗い、厳しい話題が多くなりがちですが、このような時にこそ、いま一度元気を取り戻して1日も早い県内経済の回復を目指していきたいと考えます。

 こうした考え方から、新年度予算は、厳しい財政状況にありますが、経済雇用対策に重点を置いた、不況対策を第一とする予算です。景気対策というよりも不況対策であり、どん底になるのを防がなければいけませんから、そうした意味の予算と考えていただければと思います。

 一つ目としては、新年度の一般会計予算総額は4,808億円、前年度比で3.7%増です。予算規模が前年度を上回るのは平成10年度以来11年ぶりです。その時の伸びは大して高くなかったと思いますが、3.7%という割合を超えたというオーダーは、その1年前の4.8%という数字がありましたので、12年ぶりの高さになるということです。平成10年度以降はずっと予算がマイナスになっており、大体1、2%減の数字が続いていました。

 2つ目は、新年度の当初予算と2月補正予算を一体として編成し、事業規模で740億円、予算総額としては274億円の不況対策を盛り込みました。国の事業などは、県の予算としては負担金額の大きさになりますが、事業規模になると国のお金や融資なども入りますので、740億円になるということです。この結果、2月補正の経済雇用対策予算を含めた21年度全体の予算規模を全体として見ると、4,908億円、前年度比で5.9%増となります。この5%を超えたオーダーの数字は、先ほど11年ぶりと言いましたが、さらに15年前の平成6年に9%という数字があり、それ以来の高さになると思います。また後ほど割合の数字をご覧いただきたいと思います。

 3点目ですが、職員数の削減、手当などの見直しにより人件費を32億円減らすなど、引き続き、いわゆる行政改革を実施していきたいと思います。
 
 4点目ですが、歳入については県税収入が法人住民税、法人事業税、いわゆる法人二税の減を中心に250億円余の減であり、税収全体としては906億円です。平成11年が265億円の減でしたので、それ以来の大幅な減になります。それまでにずっと上昇していたものが、平成11年にぐっと減った時の様子とかなり近い減です。

 このため、県債発行額は883億円となり、224億円の増になっています。この883億円の約半分は、交付税措置される臨時財政対策債で賄っています。この部分は、財政の健全化指標の計算上は除外というか特別扱いになりますから、健全化指標は大きく悪化しない見込みです。それ以外の種類の通常の起債の発行額は横ばいということです。

 6点目ですが、なお収支不足が生じる部分については、基金を98億円取り崩しましたが、新年度現在での基金残高は134億円という新行革プランの想定額の中にとどめてあります。財政の規律というのは当然図らなければなりません。しかし、こうした状況ですから、積極的な経済雇用対策、不況対策を行ったということです。

 主要事業としては、まず経済雇用対策について、1万4,000人の雇用維持という年間の目標を立てています。5年前の「福井元気宣言」での目標は失業率を下げていくという意味の具体的な人数を割り振って1万5,000人としましたが、今回は現在雇用されている人が解雇されないように、雇用が継続されるようにと、そうした役割を果たすように主に計算している雇用維持確保予算です。以前の目標とは積算も多少違いますが、心構えとしてはそうしたことで計算をし、わかりやすく1万4,000人という目標を立ててあります。

 経済雇用対策の2つ目の柱は、中小企業の経営安定基金の枠を550億円拡充するなど、中小企業の経営安定です。3つ目は、県単独公共事業の30%増の実施と、これによる県内経済の活性化です。4点目は、一例でありますが、学校施設の耐震化など県民生活の安心確保などを要素とした経済雇用対策を行うということです。以下、この4つについてお話しします。

 雇用対策としては、新たな雇用の創出であり、まず雇用基金を活用して、県が先行して約半年間の臨時職員を採用する予算があります。図書館の資料整理など、そうしたものも中に入っています。そのほか、県が民間事業者に事業委託して、介護、農林水産業の分野など、職を失った方を1年以上長期に雇用し、その後の就職につなげるというものです。短期と長期、2つのタイプの雇用確保があります。これは雇用基金を活用した雇用創出事業ということになります。

 第2に、職を失った方の技能訓練、こうした問題と介護などの仕事とのミスマッチを解消するということで、職業訓練の定員を倍以上増やすと同時に、その間に奨励金を支給する事業があります。これらの事業により、合計2,650人の新たな雇用の創出になるとお考えください。

 第3に、現に雇用されている方の雇用の安定のために、福井県雇用維持緊急助成金を新たに設けるものです。売り上げの厳しい企業、休業を実施しながら従業員の雇用を守っている企業に対し、国の助成金が中小企業5分の4、大企業3分の2の助成金がありますが、それにさらに県が上限100万円で上乗せし、全国で初めて県としての支援策を追加するということです。これにより、公共投資の追加の効果も含めて1万1,350人の雇用を守るということになります。これには入っておりますが、こうした方法をとります。

 3番目ですが、雇用対策の整備ということで、ジョブカフェによる就職支援、緊急就職説明会、高校生の就職支援、ハローワークプラザと同じフロアに「福井県求職者総合支援センター」を労働局と合同で設けるという予算が入っています。

 以上、いろいろなものを加えて1万4,000人の雇用を確保したいと考えます。

 次に、中小企業の経営安定であり、経営安定資金の550億円の融資枠の拡大です。

 また、ビジネスチャンスの創出として、農商工連携、大手商談会の開催による販路拡大などを進めていきます。

 特色的なのは、県内消費の起爆剤として、ふるさと消費元気フェアを新年度開催したいと思っています。消費の下支えや販路拡大にもつなげるということです。

 3点目ですが、県内経済の活性化として、公共事業については、当初予算と2月補正予算を合わせて前年度を上回る規模の事業費ベースで4%増の予算を確保しています。特に県単独事業は3割の増額になります。主に単独事業については、いわゆる保全の事業として、橋梁の耐震・塗装、河川の浚渫、農業用排水施設の補修の前倒しなどを行うことにしています。

 なお、国の2次補正を受けて、中部縦貫自動車道の整備促進など、国直轄事業あるいは公共事業についても前倒しで実施したいと思います。なお、先日発表した入札制度の改正を今回実施する経済対策から適用するということで、県内の建設事業あるいは県内活性化に努めていきたいと思います。

 次に、県民生活の安心確保という意味からの経済対策ですが、学校施設の耐震化を促進したいということです。金額もかなり大きいものです。県立学校の耐震化と小中学校の耐震化、私立高校や幼稚園、県有施設を合わせると42棟の耐震工事を今回実施することになります。信号機の整備、JR武生駅などのバリアフリー化、エレベーター設置なども入っています。

 それから、県内の経済雇用情勢はなお予断を許さず、かなり機動的に対応する必要がありますので、6億円の経済・雇用対策予備費を計上して弾力的な対応をしたいと思います。今回、国のいろんな交付金などを使った経済雇用対策は大体60億円ありますので、この1割を予備的に留保して弾力運営をするということになっています。国においても10兆円の同じスケールのものがありますが、大体1割が同じような扱いになっています。

 次に、さまざまな新年度の予算の中から、特に観光・農業・環境を特に抜き出して申し上げます。

 まず観光ですが、「新ビジットふくい推進計画」の策定に基づく年間観光客を100万人増加、1割増加するということであり、観光消費額を200億円、つまり2割増加するという計画を発動するわけです。さまざまな政策が必要ですが、恐竜博物館については、平成20年度の入館者が40万人となる見込みです。3月中には開館以来延べ300万人の入館者になる見込みです。

 平成22年度が開館10周年になりますので、それに向けた展示内容を充実させていきたいと思います。具体的には、恐竜映画館(ダイノシアター)のオープン、子供たちに人気の高いティラノサウルス発掘現場を屋外に再現するといったことです。夏休み期間中は毎日、名古屋などから博物館への恐竜ラッピングバスを走らせるといったことを考えています。

 一方、観光客の増加につながるように、美術館や博物館などの魅力を高める上で、収蔵物・コレクションの充実を図ることが重要です。そうしたいのですが、公共施設は民間のように即時オークションに応募するというのは法的な制約もあり、つい対応が遅れがちです。社会教育施設的な意味もありますが、地域を代表する観光施設でもありますので、ブランド性を高めなければなりません。そこで、民間的な考え方を導入し、本県独自の新しい仕組み、名前を「ミュージアムアップバリュー制度」を導入したいと考えます。収蔵品について機動的に先行投資を行い、それに伴い入館料をアップして回収するという仕組みです。入館者の目標を明確にして、博物館としても営業に努力するシステムにしてはどうかということです。本制度を活用して恐竜博物館10周年の目玉となる恐竜の全身骨格の化石や、美術館であれば日本の近代美術の代表作品などを探すといったことがあり得るのではないかということです。制度のデザインを今やり始めようというところです。例えば、500円の入館料を600円にさせていただき、いいものを購入するということです。一般の値上げとは少し違うということです。

 それから、営業力の強化ですが、観光誘客を進めるためには、県全体として営業力を高めなければなりませんので、さまざまなコンベンションなどの準備業務などをサポートする誘致支援員を福井観光コンベンション協会に設置し、全国規模のコンベンションを誘致したいと思います。

 さらに、北陸新幹線の開業、これは金沢、そして福井ということになりますが、首都圏での営業を強化したいと思います。戦略的な首都圏誘客推進事業ということになりますが、JRの特別車両を首都圏から福井県へ直通専用で運行することを準備中です。それから、JR東日本と連携をし、日本一利用客の多い新宿駅構内において恐竜博物館など本県の観光資源を紹介するなどの事業があります。

 続いて、農業です。先月22日に「福井の農業あり方検討会」から提言を受け、具体的な計画化を図っていますが、福井県の農業については稲作が盛んな一方で、園芸や畜産とのアンバランスが問題になっていますので、こうした中でプロの農家の育成、福井米のブランド価値向上、さらには今申し上げた園芸などとの関連で、サトイモ、水仙など園芸・畜産の元気を回復したいと思います。そこで、園芸・畜産の元気回復プロジェクトとして、サトイモ、ラッキョウなどの園芸農家に対してビニールハウスや生産管理施設の支援を行ったり、越前水仙についても球根の植え替え作業を県が応援するというものです。余った越前水仙の球根については新たな観光地周辺の道路沿道に植えていき、この作業を雇用対策の基金を使って地元市町が人を雇用して実行するといった施策を加えたいと考えています。

 次に、消費者と支え合う農業ということで地産地消の推進です。今回、食育・地産地消コーディネーターを20名お願いして推進体制をつくりたいと思います。

 また、地産地消の供給体制を強化したいと考えます。中山間地域の高齢化が進んでいる、いわゆる限界集落などと呼ばれている地域は、出荷もされないし自家消費もされない農産物があるわけですが、これを有効に使いたいというわけです。農林水産部では、5,800トンぐらいあるという推計もしていますが、直売所に出荷して「ふるさと畑」集荷システムをつくりたいと思います。

 さらに、小学校、中学校の近くに学校給食に地元農産物を供給するための「学校給食畑」を新たに設けるということです。全県的にこうしたことをするのは例がないと聞いています。ここでつくられたものを学校給食に提供するとともに、給食畑で農業体験を子供たちが行うと、食育にも効果があると思っています。いずれにしても、これからは福井県の農業をある程度継続的に支えるものとしては、学校給食あるいは施設の給食であり、こうしたところへ絶えず地産地消的に農産物が届くような仕組みを強化したいと考えます。

 次に、鳥獣害ですが、山際を中心に、イノシシ、鹿、猿による農産物被害が広がっており、平成19年度で1億円近い被害が出ているわけですが、集会などで多くの方から意見をお聞きしますと、農産物をつくる意欲もなくなる、何とかしてくれないかという声が非常に高く、切実な声であるわけです。そこで、新年度は鳥獣害対策の予算を前年の約3倍、1.2億円を計上して対策を強化したいと思います。被害が発生している約1,430キロの山際の電気柵、恒久柵の整備を今後3年間で完了したいと思います。電気柵の設置後も被害が継続する地については、新たに山際緩衝帯を設けるということです。これは山の木を切って、それを積み上げて、そこでバリアをつくるという試行実験などを行いたいということです。また、雇用基金を活用して捕獲を効率的に実施するための捕獲隊の補助員を新たに雇用し、鳥獣害のない里づくりを進めていきたいと思います。

 次に、ふるさと農地活用プロジェクトとして、希望する農用水排路の部分的な改修を進めたいと考えています。

 環境問題ですが、「環境ふくい県民会議」を先日17日につくりましたが、福井県内に活動しておられるいろんなグループ、ボランティア、NPOなどたくさんいらっしゃいますから、さらにそうした人たちの輪を広げて本格的に実行したいと思います。

 次に、太陽光発電について県の補助制度を復活したいと思います。県が最大15万円を助成し、市や町、国の助成と合わせて48万円の助成金額になると思います。前回の助成措置と同じレベルになると思います。

 次に、福井型のカーボンオフセットの展開として、企業などがCO2排出に応じて社会貢献として算出した資金をいただき、それを環境貢献活動につなげるということです。県も民間の立場と同様にオフセット資金300万円をこの事業に提供するということで、民間の皆さんの活動も広めていきたいと思います。

 次に、地域と共動した子ども自然体験推進事業ということですが、昨年、子供用の環境副読本をつくりましたが、さらに今年から、山登り、海での船乗り、里地での農業体験などを実際にやってもらうということです。自分の住んでいる場所の近くの山へ登ったこともない、海の近くにいても船に乗ったこともないといったことが多いわけですので、それを次に実行したいと思います。

 次に、「福井新元気宣言」のステップアップですが、その柱としては、まず教育について、子ども歴史文化館が今年11月下旬にオープンの予定ですので、そのための予算を計上しました。

 それから、大学連携リーグについては、アオッサにサテライトキャンパスを設置したいと思います。

 これは非常に重要な事業ですが、放課後子どもクラブについては、全県の208校の小学校のうち194校で設置されるまでに拡大していますが、小学4年以上も参加したい、あるいは施設が狭いなど、いろんなことがありますので、空き教室を利用する場合、校舎や教室の改修などの市町の負担を少なくしながら拡大していきます。また、さまざまな人たちの利用にも供するということです。

 次に、子育て支援充実については、福井県安心子ども基金を設け、妊婦健診の助成、保育所の耐震化、増改築などを行いたいと思います。また、妊婦健診について、14回分までの健診費用を無料化にしたいと思います。

 次に、北陸新幹線については、できるだけ早く認可をいただかなければなりませんので、そのつもりで進めます。また、中部縦貫自動車道については、3月28日に勝山インターから上志比インターまで7.9キロが開通します。これで大野までは4割以上が供用開始できるということです。

 なお、予算とは関係ありませんが、3月22日(日)に、今回の開通を記念して中部縦貫自動車道を歩いてもらうというハイウェイウォークを実行する予定です。そのほか、国道27号線の美浜東バイパスについても2キロ区間が3月29日に開通し、全線が供用開始できることになると思います。

 昨年は福井県がいろんな意味で関心を持たれたところですので、さらに越前がにや恐竜、子供の学力・体力日本一を前面に打ち出して本県の魅力を向上させていきたいと思っています。

 今年は、橋本左内、梅田雲浜が安政の大獄で没した150周年であり、横井小楠が生まれて200周年という節目の年でもありますので、首都圏でのシンポジウムの開催、また新進の小説家への歴史題材の提供などを行い、幕末福井の偉業を広めていきたいと考えています。

 次に、中山間地域において、大学のジェロントロジー(総合長寿学)との連携を行い、さまざまな対応を進めているところですが、集落支援員を越前町と池田町にモデル的に導入しながら進めていきたいと思います。

 ふるさと納税の推進ですが、県分だけで申し上げますと、12月末で3,200万円ということです。寄付金については、放課後子どもクラブの応援、部活などをしている高校生への応援、先ほどの農業、漁業、山登り体験などの応援、植樹祭を契機とした県民全体による花いっぱい運動の展開、福井ゆかりの作家の作品を購入して、ふるさと文学コーナーを充実する事業などに活用します。ふるさと納税はこれからもずっと、2年目についても続くわけですので、寄付を増やしたいと思いますし、この制度が利用しやすくなるようにしたいと思います。1年が終わりましたので、その充実について税制調査会をはじめ国に要請をする時期になると思います。例えば、確定申告などの手続きがちょうど始まりますが、あまり難しくないようにする、年末調整でできるようにする、といったことです。寄付額は住民税の1割が上限ですが、もっと上限を緩くし、2割にできないかなど、いろんな使いやすさがこれからの普及の鍵だと思いますので、そうした努力をしたいと思います。

 それから、ふるさと帰住についてです。これは非常に難しい課題ですが、究極の課題です。何とかして福井県に就職をしていただき、あるいは東京や大阪にいた方で福井に戻りたいという希望を叶えられるように、あるいは福井に勤務しておられる方が福井は住みやすく、住みたいけれども、こうした条件があるので東京に戻らざるを得ないなど、いろんなことがあるわけですので、そうしたものをできるだけなくすための政策です。特効薬はなかなか出ないのですが、いろんな政策を加えて頑張りたいと思っています。

 新年度は「ふるさと帰住元年」という意味になると思いますので、さまざまな工夫と努力をし、また日々新しいプロジェクトを考え出していきたいと思っています。特に、春休みやゴールデンウィークなどに県内で実施する就職説明会に合わせ、都市圏から本県への無料のUターンバスを出して帰りやすくするといったことも考えているところです。

 最後に、福井県の部制に関する条例の一部改正についてです。2月議会に4月1日からの部制条例の改正案を出しました。福井県の魅力を国内外に売り込む営業力を強化し、さまざまなブランド、観光などの売り込みをしなければなりませんし、ふるさと帰住を進める上でも必要です。そういう意味で、新しく観光営業部という部を設置する条例を出していきたいと思っています。あわせて企業局を廃止し、公営企業関係業務、テクノポートの事業、工業用水の事業を産業労働部に移管するということです。企業局が廃止されますので部局の数は全体として増やさないということです。


~ 質 疑 ~


【記者】
 今回の当初予算案に込めた意気込みについて、改めてお聞かせください。

【知事】
 今回は不況対策が重要です。もちろん日々の県民生活に直結する予算、あるいは将来の発展のための基盤整備、インフラの整備、新幹線なども入っておりますし、また「福井新元気宣言」に基づく事業もありますが、あわせて大きな問題として不況対策がありますので、今回、2月補正と一体的に編成をして機動的な対応をしました。また、それ以前にも、さまざまな経済・雇用に関する連絡会議などを国も含めて行いました。これまでと違って、国の出先機関の長、金融機関のトップなども入っていただく体制でやっておりますし、先ほどの具体的な案件に対しても対応しなければなりませんので、そうした意味での予算になっているのが特色かと思います。

 一方で、こうした経済対策では、国の責務、役割が極めて重要であり、国民は国を挙げての対策を求めていると思いますし、それをやっていただく必要があります。政府あるいは与野党一丸となって、この問題に取り組むべきだと思いますし、我々も自治体の立場で進めていくということです。そうした国政レベルでの政策を最大限活用しながら県としても地域の問題を考えながら当初予算を計上し、これからも追加的にいろんなことがあると思いますから、全力で進めたいという気持ちでおります。

【記者】
 経済・雇用対策で特に力を入れた点と、実効性を高めるために工夫を凝らした点がいろいろあるかと思いますが、この点で知事の考えをお聞かせください。

【知事】
 国、地方が協力してやるものは財源的にはかなりありますが、雇用の維持、つまり離職者を出さない対策というのが大事です。全国的にはないと思いますが、国の助成金に県が上乗せする雇用維持緊急助成金を加えたということです。もう一つは、雇用保険の対象とならない人が職業訓練を受けられる場合に、その間に、毎日2,000円から3,000円の奨励金を受けとってもらう、職業訓練受講奨励金を出して、ともかく雇用の安心というか、次に備えるということを県としても応援したいと思います。

 それから、県内経済の活性化についてはさまざまありますが、当面の話として、県内消費を支え、県産品の販売促進を図るふるさと消費元気フェアなどで県内のいろんな品物を売ってもらって、買ってもらうと同時に、消費する、下支えをする、販路拡大をするということが支援策としてあると思いますし、公共事業系統では、単独事業も含めて増額を図っています。今まさに、そうした耐震化や補修、浚渫、小規模な施設などのさまざまな整備をやるべき時期だと思っています。さらに、観光・農業・環境については特に力を入れて、これが景気対策や事業化にもつながるということを考えています。

【記者】
 今回の予算については、きめの細かい部分がたくさん盛り込まれていますが、そうした点で特に苦心した点がありましたら、おっしゃってください。

【知事】
 子どもの学力・体力の水準が高いですから、先ほどの子どもクラブや学校給食畑など、さまざまなきめ細やかな政策をもって、学校、子どもを中心とした政策を充実するということです。あとは、ふるさとに帰ってもらいたいという帰住政策も進めたいと思うのですが、なかなか決定的なアイデアが十分思いついていないところがあり、なお研究をしたいと思います。福井に立地しておられる企業などの皆さんともいろいろ意見を交換して、何を打破することができるかといったことを考えていきたいと思っています。

【記者】
 部制について、厳しい経済情勢の中で観光営業部という新しい部署をつくるということですが、改めて知事の狙いと求めている役割をお聞きします。

【知事】
 ここ数年、福井のブランド力も上がりつつあると認識しています。今まさにこうした不況の経済状況ですので、福井県全体が元気を出して売り込んでいかなければなりません。そういう意味で、観光あるいは営業が重要ということです。「営業」という言葉を使っている県はないと思いますが、部の中であえてこうした企画販売あるいは販路開拓、宣伝、売り込みなど、あらゆる努力を、汗をかいて動き回るというエネルギッシュな組織が理想ですが、そういうことをやるべきではないかと思っています。もちろん各部局もそれぞれ営業的な部分、売り込み的な部分はありますし、重要だと思います。それは残るわけですが、こうした部が先頭に立ってやることによって全体性が出てきますし、農林部、産業労働部などそれぞれが活性化することが大事です。教育委員会でもそうですが、文化などを売り込む、あるいは子どもたちの教育について、よい水準だということをみなに知ってもらうというのも一つの売り込みですが、そうした各部のもともと持っているものについても活性化するのではないかということで、よい循環をつくるということを考えているわけです。

記者】
 「営業」という名のつく部署をつくるのは珍しいということですか。

【知事】
 他県にはないと思います。

【記者】
 あえて営業というものを掲げられた意味合いというのは、どういうところにあるのでしょうか。

【知事】
 今の意味です。

【記者】
 売り込みもさらにやっていくということですか。

【知事】
 何となく物を待っているといったことではなく、積極的に物を売りこんでいくということではないかかと思います。

【記者】
 まだ思案中かもしれませんが、観光営業部には具体的にどういった課を主体に持ってこようとお考えでしょうか。

【知事】
 観光はもちろん、国際交流といったセクションです。ブランドなどもあります。そのほか、そうした傾向のものをさらにまとめていくということかもしれません。あとはふるさと納税やふるさと帰住などのセクションもこの中に含まれていると思っています。これから新幹線などの時代にもなりますから、首都圏からの誘客というのは重要だと思いますし、コンベンションの誘致、ドラマなどの番組の誘致、「ちりとてちん」などもその一つでしたが、そうしたこともあると思います。

【総務部長】
 課については、これからいろいろなものを集める中で再編したりなどしなければいけないので、まだそこは課の形も決まっていないということです。

【記者】
 それと付随して、汗をかいて動き回るとおっしゃいましたが、役所の中にいないで外にどんどん出なさいということだと思います。そうなると職員も外に出て自分の足で稼ぐということが必要であり、民間の営業マンはそのようにやっていると思います。そうした意識改革も求められると思うのですが、どのようにお考えでしょうか。

【知事】
 組織が変っても、やっている人が変わらないといけないわけですので、本当は人が変わりさえすれば組織は要らないぐらいなのですが、そうもいきません。組織も変えて人も変わるということです。もともと才能を持っている人はいると思いますし、気持ちによっても変わりますので、そうした人たちが必要です。地味でも成果を上げればいいわけで、派手だからどうだというわけでもないのですが、元気があって骨身を惜しまずそうしたものをやってもらうという心構えで、そうした人たちに集まってもらうということだと思います。

【記者】
 先日、中部縦貫自動車道の国土交通大臣への要請などの中で、金子国土交通大臣が東海北陸自動車道のことを例に挙げて、名古屋から大勢の人が富山のほうにブリを買いに行く、しかも、福井を横目に見ながらどんどん富山にブリを買いに行くというものすごい光景を見ているという話を知事も直接お聞きになったかと思います。これは福井にとっては穏やかに聞いていられる話ではないと思います。誘客に力を入れていくと言っておられましたが、中部縦貫自動車道の一部が来月に開通しますが、肝心の大野油坂道路は一体どうなるかわからないという状態でもありますし、まず金子大臣の発言をどう感じたかということと、それも踏まえた上で誘客についてのお考えをお聞かせいただけますか。

【知事】
 新幹線の話もしましたが、中部縦貫自動車道、それからもう数年経ちますと今度は舞鶴若狭自動車道も完成します。まさにあらゆるインフラが、福井県からというか、福井県に向かって整備されるわけですから、今まさにそのタイミングです。もちろんブリなのか越前がになのかフグなのか、いろいろありますが、それは冷静に福井県の良さをPRして、東海北陸も福井県に影響がないわけでもないですし、特に隣県との連携が重要です。先般は郡上市長にわざわざお願いして一緒に参りましたが、観光などは石川県、岐阜県、滋賀県など隣県との連携を強めてお客さんを呼ぶ、売り込むといったことを観光営業部などを中心にして率先して先頭に立ってやるということであり、そうした機運を高めていきたいと思っています。

【記者】
 ブリに魅力があるならかににも魅力があるわけですね。

【知事】
 いえ、かにの方が魅力があると思いますし、お客様はたくさん来ているはずですが、もちろんブリやほかの魚に負けないようにすることが必要です。

【記者】
 中部縦貫自動車道について、平成28年ぐらいまでの全線開通を目指していくということですが、これからの見通しについてお聞きします。

【知事】
 先般も東京で決起大会を行い、何としてもまず大野から油坂峠について今回方針が出るように個別にも要請しています。金子大臣などの話はわりあい前向きで積極的な意味に受けとめましたが、方針が出るようにしなければならないと思っています。残された方針の出ていないものは中部縦貫自動車道だと思いますから、全力で取り組みたいと思っています。B/Cなどの数字も決して悪くない地域だと思っていますので、観光あるいは国土政策的な意味からも、全国のいろんな予定路線の中で劣るものではないと思っております。

【記者】
 先ほど出た環境の新しい計画づくりについて、今回の予算で事業化を図っていると思いますが、それについて、福井としての目玉事業、観光ならばこれがいい、農業ならばこれがいいというものを挙げていただけますでしょうか。

【知事】
 観光は計画をつくっていますが、今申し上げた組織をつくって、実態面からバックアップします。問題は、3つ計画がありますが、観光についても環境についてもメニューが非常に具体的でたくさんありますので、これを誰がどう実行するか、その中で重点化をするのがどうだといったことをこれからやらなければなりませんから、そこを注意したいと思います。

 観光については観光営業部を設け、環境は環境の会議をつくっておりますが、先日集まってもらった方がすべてではありませんから、実際にやっておられる方、こうした人たちに素早く輪を広げて現場で自然に活動ができるような動きを重視したいと思います。もちろんそれぞれプロジェクトはありますが、そうしたものを入れていくということだと思います。

【記者】
 いろいろメニューはありますが、それをいかに活用していくかというところを今考えているということですか。

【知事】
 考えてこれから始めるということです。特に観光は恐竜などが大きな材料としてあると思います。農業は学校給食と結びつける政策です。それから、お米の品質の向上が大事だと思っています。

 環境については、仕事を進めていきますと、一例として、電気自動車などはどんどん日々事業が進んでいくと思いますから、計画を進める中で強く進められるものをよく見極めながら進めていくということかと思います。さらに、環境はみなでやらなければなりませんから、先ほど子供たちの環境意識、山や海、里と言いましたが、そうしたものを地道に広めていくのが体力・学力と同じであり、10年ぐらい経つとそれがものになってくるということかと思います。

【記者】
 雇用対策について、地域の雇用の創出の目標としている2,650人というのがあると思いますが、有効求人倍率が下がっている状況の中で、この2,650人というのが実現すると、県内の雇用環境にどのような効果があると感じているでしょうか。

【知事】
 県内の労働力は約40万人であり、1%というと大ざっぱに言えば4,000人です。その中で今回の政策は失業している人たちを助けるというよりも、今ここで働いている人たちが職から離れないようにというタイプの予算です。さらに、これから想定される離職などに備える予算ということであり、今回のプロジェクトによりどれくらいの雇用が発生するかといった方向で計算しているわけです。5年前は失業者が失業率を2%上げるための人数や、その職場について、あるいはプロジェクトについて何人出るかということで、これで4から2減らす、そういう計算をしたものですから、少し接近方法が違います。そこは一概には言えないのですが、大体そうした数字できていますから、例えば4,000人だったら1%ぐらいの影響が関連的にはあるのですが、直ちにそれで失業率が1%防止されたとはなかなか言いにくいところもあると思います。つまり、期間もそれぞれ違いますし、仕事の性質も違いますので、そうしたものを止めていくという発想です。もう少しいろいろ研究したいと思いますが、現状ではそのように思っています。ともかく今はこれくらいの大きさで止めていくということかと思います。

【記者】
 公共事業について、県の単独事業としてやるということだと思いますが、一時的な現状に対する避難ということで、それなりに救済は十分と考えているのでしょうか。これまでずっと景気が低迷してきていますので、方向転換的な意味もあるのかと思いますが、いかがでしょうか。

【知事】
 こうした事態ですので、当面的な部分はあると思います。ただ、これからの国の経済政策や国土政策も、従来型の仕方で公共事業はすべて民間に任せるという意味ではないですから、そうした方向転換の傾向は2つあると思います。

【記者】
 中長期的に建設業界が占める存在感が大きいと思うのですが、施策としてどういうものを中長期的に描いていくことができるかという点で、もしお考えがあればお聞かせください。

【知事】
 建設業の事業転換、あるいは契約、今回は入札制度も一部直していますが、できるだけ小さい企業がより高度な事業に挑戦できるような枠組みをつくるなど、さまざまなことをやっています。これは民間のいろんな産業の部分ですから、こちらがあちらがという言い方はできませんが、我々としては単に保護するということではなく、具体的な仕事の中で、入札制度の公正を守る中で頑張ってもらうということだと思います。いろんな役割を持っておられますから、地域の防災などさまざまな保全系の事業がこれから増えてきますので、そうしたものをやっていただくのは中小の建設事業です。そうした方向がこれからあるのではないかと思います。さらには、農業との連携など、さまざまな動きも出ていますから、そうした方向で頑張ってほしいと思っています。

【記者】
 観光営業部について、具体的な部の体制はどうなるのでしょうか。

【知事】
 具体的な課がいくつ入るのかなどの議論がありますので、もう少し時間がかかります。

【記者】
 何人ぐらいの職員になるのかという点はどうですか。

【知事】
 だいたい課が4つか5つありますと、それぞれ20人ぐらいいるということになれば一定の数になります。

【記者】
 100人ぐらいですか。

【知事】
 そこは今まだやっている最中です。

【記者】
 100人と言っては駄目ですか。

【知事】
 総務部長が今、熟慮しているところですから。

【記者】
 部長、どうですか。

【総務部長】
 知事が申し上げたように、産業労働部の観光振興課、国際マーケット戦略課、総合政策部のブランド推進室などのほか、ふるさと納税やふるさと帰住を所管するところが入ってくることが想定されます。ただ、課の名前や、具体的に何人の職員になるのかということは、もう少し精査していかなければいけませんので、今は端的に申し上げるのが難しい状況です。

【知事】
 大規模な部ではないですが、部の組織になるわけですから、それなりの対応になります。

【記者】
 ふるさと帰住について、知事も強く打ち出していくという考えを聞けたらと思いますが。

【知事】
 いろんな背景がありますが、国民の心がそのように動いているというのが一つあります。経済、雇用の状況を考えると、これから農業やいろんなものが重要になってくると思いますので、そうしたものが比較的優位なのは地方です。さらには、ふるさと納税なども福井県から先進的に進めていますが、お金によって、あるいは気持ちによってふるさとに対する思いを実現するものですが、実際に一人ひとりの人があそこに住もうとか、時々あそこにいるのだとか、いざという時には福井で何かをするのだといった動きは究極的な政策でしょうから、やりがいもあるし、何かを進めたいという背景があるということです。

【記者】
 これは定住促進策になると思いますが、人口増加延命策と言えばよいのでしょうか。

【知事】
 人口増加という効果ももちろんありますし、定住ということであれば、その前に両方で住むとか、ちょっとだけ住むとか、東京と福井の両方で住むとか、あるいは主に東京だけれども、いざという時には福井にちゃんとした場所を設けて時々来るとか、あるいは休みの時は子供たちを絶えず1週間ぐらいは年に数か月連れて帰るとか、そうしたいろんなレベルがあります。逆に福井に住んでいる人が東京に戻らないという逆もあるでしょうし、レベルがいろいろあると思います。一挙に全面的にすぐ来るというわけにはいかないと思います。

【記者】
 予算の中で財政指標を決めていると思いますが、いわゆる行財政のスリム化の取組みも限界に来たという状況にあると思うのですが、今後の財政運営の考え方と分権改革の必要性について考えをお聞かせください。

【知事】
 福井県は、職員数は全国の都道府県の中で日本一少ないと思います。今回も20数人のスリム化をしながらやっていますので、できるだけ簡素な組織で進めたいと思っています。分権については、1次改革、2次改革を進めていますが、それぞれ節目を設けて改革を進めなければなりませんが、三位一体の時も、あるいは1次改革でも、節目ごとの成果が我々の思うほどに上がっていないわけです。これは継続的に進めるのが基本ですし、地方からいろんな政策を打ち出して、地方の力でいろいろ制度が変わるということも全国の都道府県が頑張っていかなければならないと思っています。

【記者】
 木原建設への対応についてはもう少し詳しくお願いできますか。

【知事】
 先ほど会議を行いましたが、民事再生法申請に伴う対応として、まず取引企業の相談窓口の整備と相談受付をしっかりしていかなければなりません。丹南土木事務所に当面できるだけ充実した体制をとっていきたいと思いますので、そこを中心に取引後の相談に応じ、安心をしていただかなければいけないということです。つまり、連鎖倒産防止です。それから、中小企業庁にセーフティネット保証というのがあり、これによって従来の8,000万円の枠に追加できない枠が加わりますので、こうした場合に、中小企業庁長官に早期指定を要請したいと思います。本日午前中ぐらいにできると思います。

 さらに、各金融機関に要請に行っており、副知事が今出席していないのはそのためですが、そうしたことも金融機関に適切な対応をしていただくようお願いしたいと思っています。また、金融機関や商工会議所などとの連絡会議や労働局との会議なども今日中に行い、この問題に対応したいと思います。

 なお、公共事業関係については、部分払いや精算払いの速やかな執行、それから県発注工事の品質確保、工期内完成に向けての指導監督を行いたいと思います。また、該当建設会社との緊密な連携体制も責任者を決めていただき、いざという時にいろんな問題があると思いますから、そうしたことをしたいと思っています。

【記者】
 とりあえず現状維持、連鎖倒産を防止するというのが一番の目的ということですか。

【知事】
 それから雇用問題です。

【記者】
 とりあえず営業を続けるわけではなく、雇用ということですか。

【知事】
 木原建設と関連する企業についても安心してやってもらわなければいけませんから、雇用不安があってはいけないという問題です。

【記者】
 丹南土木などの相談会でというのは、その先には何があるのでしょうか。

【知事】
 産業支援センター、県の産業労働部にそれぞれ窓口が据えてありますが、今後しばらく数日の状況は、一度は丹南土木のところに必要な人を集めておいて応急的な対応をする必要があると思います。ないかもしれませんが、なければそれでよろしいかと思います。

【記者】
 資金繰り的な内容になるということですか。

【知事】
 資金繰りは銀行がもう十分いろんなことをしていますので。

【記者】
 経営的なことですか。

【知事】
 経営のことは銀行がよくご存じですから、それはやっておられると思います。

【記者】
 取り継ぐような役割を果たすということですか。

【知事】
 そのほか、取引企業は気になることがたくさんあると思いますから、そうしたものがあれば対応するということであり、全体に用意しておかなければいけないと思います。何もなければそれで結構ということです。

【記者】
 木原建設の関係で、特に周辺の下請などへの影響が当然予想されるわけですが、改めて県内経済に与える影響などについてどうお考えですか。それから、県としても幾つか公共工事の発注をしていると思いますが、そうした工事への影響は出てくるのか、また影響が出てくればどのような対策をとっていきたいか。さらに、これから木原建設の事業再生を進めていくと思いますが、国を中心に事業再生に当たってほしいということで、県として望んでいる点は何でしょうか。

【知事】
 下請け関係についても申し上げましたが、今日、また関係機関が集まり情報を改めて収集して、今申し上げたいろんなことを含め、対応すべきものがあるかどうかを議論したいと思います。我々はだいたいつかんでおりますが、そういうことです。それから、影響については今申し上げたように、まず既に執行している工事については早く部分払いをしなければなりませんし、下請けを含めた建設事業者のための相談体制をとることです。自分たちがお金を払ってもらえるのかどうかなど、いろんなことがありますが、それは今申し上げたように、丹南土木事務所でその体制をとります。それから、既に発注している工事の品質が確保されなければなりませんから、全体としては数億円の工事だと思いますが、それについて指導監督を強化しなければなりません。この法律制度においては継続的な事業をやるようなシステムではあるけれど、念のためにそうしたことをやるということになります。

 それから、民事再生法申請の問題については検討事項そのものであり、民間としてこの対応をするわけですが、ぜひ再生するように頑張ってほしいと思っています。

【記者】
 県内経済に与える今回の件の影響としては、どうですか。

【知事】
 まだこれから、さらに詳しく、よく把握しないといけません。今のところは申し上げた状況ですが、特に下請関連企業がどのくらいあってどんな状況なのかなど、雇用の問題も含めてです。

【記者】
 福井駅西口再開発ビルの県の床取得について、福井市が県に対する協議項目にすると思うのですが、現時点で知事の考えをお聞かせください。

【知事】
 事業の方向性がまだ十分に決まってないようなところもありますので、これからの賑わいや、そうした意味の議論が十分でないという印象を持っております。こうした点については、市と準備組合だけではなく、経済界も含めてよく議論していただく必要があると思います。さらに年末からは新幹線の動きも具体的に関わってくるし、再開発のみならず、駅前広場あるいは鉄道高架下をどうするかなど、さまざまな課題がありますし、そうした中で再開発問題自体は市が責任を持って議論を進めていかなければなりません。県としても、こうした動きを全体的に支える立場にありますから、もしご相談にお見えになれば、具体的にお話を聞いて議論したいと思います。

【記者】
 国の直轄事業負担金について、今回の予算でも負担額が前年に比べて15%ほど増えています。例えば大阪の橋下知事は、そうした負担金の中で2割を予算計上しないという姿勢を打ち出し、新潟県の知事は新幹線の増額分に難色を示しています。負担金のあり方についてどう考えていますか。

【知事】
 あらゆる事業について補助金を出したり、あるいは逆に、誰かがやるのに負担金をもらったりとか、そうしたことはこの事業の性質上あるわけですが、それが十分具体的な議論なしで物事が決まったりするのはよいことではありませんので、私も全国知事会でこれまでいろんな提言をしています。例えば、そうした事業を自治体がチェックするやり方がないか、あるいは地方議会が関与してもう少し直轄事業について審査できないかなど、そうしたことも知事会で提言しています。現に足羽川ダムの事業費削減や九頭竜川のパイプライン事業でもそうですし、数日前もありましたが、コスト縮減の検討会議なども全国に先駆けて実行しています。ですから、そうした議論と同時に、具体的にその事業がどうだということを国と話をして事業費を削減するといったことをしないと話は始まりません。福井県はそうしたやり方で、ほかの県がやっていない段階から既に数年前からやっているのが事実です。もちろん制度そのものをもう少し見直す部分というのは、国、県、あるいは市町村や各団体を含めそれぞれあるとは思います。そのように進めていくべきではないかと思います。

【記者】
 西口再開発について、先ほどの答えの中で、市が責任を持ってやらなければいけないことではあるが、県は全体として支える立場なので、福井市からお話があれば話したいという趣旨と思うのですが、現状としては、福井市は床取得については方針を示したようですが、中身についてはまだ正式に決まっていません。そうした中で、県の方に持ってこられても、県議会に出しても方針が示されないといったこともあると思うのですが、知事はどう思われますか。

【知事】
 それはおっしゃるとおりです。そうした点はありますが、お見えになったらお考えはいろいろお聞きしたいし、直接お聞きするのはやぶさかではないと申し上げたわけです。十分もっと幅広く議論してほしいと思っています。

【記者】
 あえて注文を付けるということですか。

【知事】
 まだお見えになっていないから注文もできません。どのような考えなのかと思っているわけです。もう少し幅広く、これはこうだと決めてしまうのではなくて、新幹線などいろいろ状況が変わってきて、何十年にわたる事業でしょうから、そうした考えもあるのではないかと思いますが、だからこそ、まだ方針が十分に出ていないということではないかと思っています。

【記者】
 直轄負担金について、議論なしで決まるのはいいことではないというポイントがありましたが。

【知事】
 議論なしで決まるというか、議論もなしで決めないように、福井県では既にやっているという意味です。

【記者】
 見直すべきところもあるということですが、具体的にはどのようなことですか。

【知事】
 ですから、福井県は既に具体的に一つひとつ見直しているわけです。この話はあまり抽象的に言っても仕方のないことでしょう。観念的に議論してもいけないと思うわけです。具体的にそれぞれ地域ごとに議論されればいいのではないかと思いますが、毎年チェックして、県民の目でも見てもらって、何が問題かということを、福井県は既にやっているということです。それを制度にするかどうかということになれば、それはまた議論したらよいということだと思うし、知事会でもそうしたことを既に申し上げているということです。

【記者】
 先日、日本原電が敦賀原発1号機について、2010年以降の運転を継続することを検討したいと表明されましたが、過去に10年での運転停止という約束があった中で、改めて知事としてこの点をどう考えるかお聞かせください。

【知事】
 3、4号機の建設時期が延びているということも影響していると思いますが、3、4号機の運転開始時期や、運転期間の延長のいろんな考え方も変わってきていると思います。いずれにしても、こうしたものを認めるかどうかは、日本原電のいろんなお話を今の段階で十分聞かなければなりませんし、地元敦賀の意見や県議会の議論も踏まえなければなりませんから、現段階で継続されるかどうかということを議論すべき状況ではないと思っています。

【記者】
 状況が変わってきているという認識を知事自身は持っているのでしょうか。

【知事】
 3、4号機が遅れているという現状はもちろんあります。だから延長するという話でもないですし、それはまた別の事柄だからと思うわけです。十分お聞きしなければなりません。

【記者】
 直接お聞きになるような機会を設けることは考えておられますか。

【知事】
 私が直接お聞きするかどうかはまだわかりません。


── 了 ──

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