知事記者会見の概要(平成21年5月25日(月))
平成21年5月25日(月)
10:30~11:30
県庁 特別会議室
【知事】
6月7日(日)の第60回全国植樹祭まであと2週間弱となりました。
全国植樹祭は、天皇皇后両陛下のご臨席をいただき、一乗谷朝倉氏遺跡を式典会場に、河野洋平衆議院議長、石破農林水産大臣、塩谷文部科学大臣など、県内外から5,500名の参加を得て開催する予定です。
式典会場についてはほぼ完了し、テントや椅子、音響設備などは6月3日頃から設置することになると思います。
多くの県民が参加できるように設置をしている4つの地域会場も準備が進んでおり、当日は各地域の特徴を最大限に活かした体験イベントなども行う予定です。坂井会場のたけくらべ広場では竹田川を使ったウッドレース、奥越会場の越前おおの結ステーションではフットパス体験です。丹南会場では植物園内での自然体験ツアー、嶺南会場の縄文ロマンパークでは火おこし体験などのイベントが行われます。
メイン会場は大体ご存じと思いますが、サブ会場については、それぞれ会場内の竹林の整備や苗木の植えつけの造成などを大体終わっていると思います。特に奥越会場については、駐車場の整備や水路の整備など、ハード的な整備も行っています。丹南のプラントピアについては、天皇皇后両陛下がお歩きになる木道の整備などもほぼ完了している状況です。
なお、全国植樹祭を契機に実施している3つの県民運動については、それぞれ広がりつつあります。1つ目の県民運動「『健康長寿ふくい』の自然を知り、伝えよう」ですが、これは森林内の小道を歩くフットパスコース」を県内14コース設定し、既に約1,600人の参加を得ています。
また、2つ目の県民運動「元気な森をつくろう」については、今月15日に大野市では陽明中学の生徒約450名による「陽明の森」整備、また、16日にはアイシン・エィ・ダブリュ工業株式会社の社員約70名による「エィ・ダブリュ・アイ エコの森」の整備など、森づくりの活動が増えています。
3つ目の、町やご家庭を中心とした「花と緑にあふれるふるさとをつくろう」ですが、これは例えば若狭を例にとると、若狭東高校の生徒と小浜駅の花いっぱい推進グループの連携によって、JR小浜駅周辺の美化運動などを進めています。これからも、それ以外にもたくさんの地域でこうした国土緑化、県土緑化運動を進めていくことになると思います。
次に、新型インフルエンザの問題ですが、兵庫県や大阪府では、既に今日から学校の休校を解除するという動きになっているところです。県としては、対策本部を設けてさまざま対処しているところですが、21日には、石川県、富山県とともに、厚生労働省に対し、実態に合った医療の実施、学校の開校あるいは閉校の問題、集会・イベント等の扱いなどについて具体的な対処方針をできるだけ実情に合った方針に変更していただくという要請もしたところです。こうした中で、翌日22日には、国から新しい長期的な対処方針も出たところであり、この対処方針に沿って、柔軟、弾力的に対応するということです。もちろん、県民の健康の安全を最優先にしなければならないと思っています。
特に県民の皆様には、感染を予防するため、何といっても手洗い、うがいの励行、また万が一、発熱があった場合には必ず発熱相談センターに相談していただくなど、自らの予防策や報道に従った対応をできるだけ着実に実施していただくよう、冷静な行動をお願いしたいと思います。また、報道の皆様にもよろしくお願いしたいと思います。
3点目は、去る4月30日、大阪大学の理学部において、南部陽一郎先生と面談する機会がありましたが、その際、福井の子どもたちにメッセージを、とお願いしたところ、先週、南部先生から子どもたちへのメッセージをしたためた色紙をいただきました。これは本県の子どもたちにとって大いに励みになるものであり、11月に開館予定の福井子ども歴史文化館に設ける南部先生のコーナーに展示し、子供たちはもちろんですが、広く県民の皆さんがご覧いただけるようにしたいと考えています。それまでは県立図書館などで展示することになると思います。
また、新しく創設する「南部陽一郎記念ふくいサイエンス賞」についてもサインをいただいています。副賞のメダルに刻印するなどの活用方法を考えていきたいと思います。色紙は2つありますが、一つは英語で「Boys and Girls Be Ambitious!」とのメッセージに、南部先生のお名前が書いてあります。英語ですから、子供たちが希望を持って生きていこうといった意味だと私は理解しています。「ambition」は「希望」ということではないかと思います。もう一つは日本語であり、これは、「個性をもって生きよう」というメッセージで、自分たちの個性を、自らをちゃんと活かして生きてほしいという意味だと思います。
4点目は、APECエネルギー担当閣僚会議についてです。15日に発表したとおり、来年2010年、APECエネルギー大臣会合が福井県で開催されることに決まりました。競合する自治体もさまざまあったところですが、本県開催が決定したことは、本県の営業、働きかけの大きな成果ではないかと思っています。こうした売り込みの結果、APEC閣僚会議が本県で開催されるわけですが、APECそのものはアジア太平洋地域の経済・社会発展のための重要な会議であり、その中でもエネルギーというのは極めて重要な分野ですので、本県にとってはふさわしい会議ではないかと思っています。
福井に立地しているすぐれた研究機関やエネルギーの先進的な政策の現場を世界各国の参加者にも紹介できる絶好の機会と思っています。県としては、これから国との相談も必要ですが、会場、宿舎など、国際会議にふさわしい環境整備に取り組みます。それから、食や伝統文化の紹介など、観光的な分野もあります。県内のエネルギー研究開発拠点、県関連施設などを見てもらうエクスカーションの準備などをしながら、広く福井県のエネルギー政策、観光情報の県内外への情報発信を進めていきたいと思います。
開催日などの詳細は未定ですが、国に業務分担などを相談し、福井県としての業務量を見極めた上で、できるだけ早く県としての準備組織を設置する必要があると考えており、6月議会前頃までには、議会ともいろいろ相談して、大体の体制を決める必要があるだろうと思っています。
なお、来年のこの会議はもちろん、植樹祭なども同様ですが、一過性のものとしてはいけないわけであり、本県の知名度向上など、次のプロジェクトにつながるよう工夫していきたいと考えています。
次に、新しい計画の策定についてです。
昨年度は、農業、環境、観光の3つの計画を策定したところですが、本年度は、「福井県元気な子ども・子育て応援計画」を見直します。また、森林・林業の計画である、現在の「森林・林業活性化プラン21」という計画を見直します。もう1つは水産業で、現行の計画は「水産振興プラン21」という名前ですが、これを見直して新しい計画を作ることになりました。
まず、子育て計画についてですが、福井県は全国的に子育ての先進県として評価を受けているところです。出生率についても3年連続で上昇しているわけです。しかし、全国の自治体もさまざま工夫を凝らし、また、福井県などの事例も参考にしている部分もあると思いますが、政策がかなり拮抗している状況かと思います。政策ブランドという観点からいえばそうした状況であり、我々としては、福井の子育ての戦略・政策を次のステップに引き上げることが重要だと思っています。先ほど申し上げた「福井県元気な子ども・子育て応援計画」がちょうど本年度は最終年度に当たりますので、新しい計画を策定し、知恵を出して、先進性のある政策を打ち出したいと思っています。
第1回の会議を今月27日(水)に開き、計画は年内の策定を目指したいと思っています。福井県内の委員が主な方ですが、そのほかに佐藤博樹東大社会科学研究所教授などにも委員として入っていただき、男性の働き方の問題、非婚・晩婚化の問題など、幅広く子育ての現代的な課題を中心に議論を進めていくことを考えています。
森林・林業については、植樹祭にも関連しますが、木材価格、これは多少明るくいい面がありますが、かつてに比べるとなお低迷しています。木造住宅の施工件数の減少などもあります。一方で、松くい虫あるいは鳥獣害といったさまざまなマイナス要因も生まれているところです。こうしたことから、山を持っている人たちが森を手入れする意欲が高まるようなさまざまな需要の開拓、森林施業の技術的な改善、あるいは流通などを見直す必要があるわけです。極めて難しい課題ではありますが、この問題に何としても取り組んで1つの方向性を出していきたいと考えています。
第1回会議は6月16日に開き、年度内の計画策定を目指す予定です。
水産業、海についてですが、福井県のおいしいものというとやはり魚ですが、その一方でさまざまな自然環境の問題などもあり、一般の消費者が魚離れになったこともあります。あるいは、漁業資材のコストが高いとか、漁港の問題など課題が多いのですが、観光との連携、漁業者の所得向上、漁家民宿の活性化、地魚の消費拡大など、いろんなことをこの計画の中で見直し、新しい計画をつくっていきたいと思います。
6月10日に第1回会議を開き、年度内の計画を予定しています。
特に森林と水産業については、一般の県民の方にとってはなじみが薄く、直接現場を体験する、船に乗って魚を獲ることを経験されたことはあまりないと思いますし、山の中に入って木を切るなどの現場をご覧になったこともそんなにはないかもしれません。我々が伝統的に教科書で習ったり聞いたりしたこととは現実がずいぶん違う部分もありますので、計画を作る場合に、できるだけ現場が分かるような資料やデータ、それも数字のデータではなく、現場で誰が朝何時に起きて、どういう船に乗って、どこへ行って、どんな魚をどのように何人で獲っているのか、春夏秋冬どんな苦労をして獲っておられるのかというデータ、魚だけでなく山も同じですが、そうしたことをデータとして提示しながら、さまざまなマクロの情報とクロスさせて解決ができる、そうしたアプローチをとってはどうかと思っているところです。うまくいくかどうかは分かりませんが、1つの方法ではないかと思います。
6点目は、大学連携リーグのサテライト講座のスタートについてです。
県内には8つの大学、短大、専門学校があり、学生としては約1万2,000人が学んでおられます。これらの大学が孤立しますと、力が一層弱くなります。県民の参加を得ながら、全体としての研究の向上、人材育成、県民への教育といったことが極めて重要と思っており、平成19年度にこの大学連携リーグを発足したわけです。これまでのさまざまな連携研究などをもとに、今年度からは、アオッサというまちなかにサテライト・キャンパスを開設し、各大学が連携して共通の拠点を市内の学外につくるということです。そこに、すべての学生、一般社会人を対象とした学習の場、学びの場を設けることにしたいと思っています。
今年度からは連携企画講座を開くことになります。これは、各大学等の先生が1人で1つの講座を持つのではなく、1つのテーマのもとに複数の先生が参加して、さまざまな切り口から知見を動員、披瀝していただいて、リレー方式で講義を行うことになります。一例を申し上げますと経済学です。これは、今、世界同時不況ということですが、地域経済ということで、9回にわたり、こうした景気変動、サブプライムローン、福井県の経済、金融、中小企業、会計政策、公共支出などを1つのテーマのもとにターゲットを当ててやろうということです。
私もお話をさせていただきたいと思っており、観光学のテーマで7月2日に講師を務める予定です。
それから、高校と大学の連携授業もスタートするということで、サテライト・キャンパスを活用して、高校生にも大学の話を聞いてもらい、進路を考えたりしていただくものです。高校は高校、大学は大学と分離しているものではなく、連続しているものでしょうから、互いに理解をして、子供たちの進路指導、進路選択の参考にもなると思っています。いずれにしても、まちなかでこうしたことを徹底してやっているところは、全国的にあまりないと思います。
7点目は、足羽川のメインの大橋である幸橋についてです。南北の橋詰めが四隅あるわけですが、これをふれあいの場として利用するものです。また、シンボルとなる、旧親柱のデザインを取り入れた親柱の完成を披露したいと思っています。このデザインは、昭和5年に完成したかつての橋の親柱のデザインになっているものです。今月31日に毛矢町の方の南詰め、下流側で完成式典を行う予定です。
なお、南詰め下流のところに由利公正の住居跡の石碑を復旧、復建しましたので、またご覧いただきたいと思います。九十九橋は、昔から木と石の半々でできていたもので、いざというときには木の方を落とすという防御的なものです。幸橋は綱を伝って船で渡っていたという話がありますが、そうしたいわれのある幸橋です。
最後は、人事委員会からの夏のボーナスの引き下げの勧告がありましたので、勧告どおり実施するということです。臨時の議会を開くことになると思います。なお、一般職、我々の特別職についてもほぼ同様の方針で臨みたいと思っています。今週の29日(金)に臨時議会の条例を提案し、ご審議いただくとことになると思います。
~ 質 疑 ~
【記者】
新型インフルエンザ対策について、植樹祭でも5,000人ぐらいの人が集まるということですが、これについては何か考えていますか。
【知事】
これは、なお状況がさまざま考えられますが、できるだけたくさんの人に参加していただかないといけませんし、その当日あるいは前後の衛生管理といったものについてはさまざまな手だてをして、できるだけ安全に、問題のないようにするように、個別のいろんな方法を考えています。
なお、状況がいろいろ変わると、それによってやり方も変わると思います。そうした決意で臨みたいと思っています。
【記者】
南部先生の色紙について、展示するだけではなく、高校生の励みにするといった面での活用は考えておられますか。
【知事】
子ども歴史文化館の中での活用のほかに、南部先生の業績などをどのように紹介するか、ということです。例えば、南部先生の直筆の名称サインをいただいた「ふくいサイエンス賞」などを成績を上げた子どもたちに受賞していただくといった取組みにも広げたいと思います。また、サイエンス寺子屋や、昨年、白川英樹先生をお迎えしましたが、ノーベル賞学者などをお迎えしてのいろんな実験や研究、講演会といったものを強化して、科学教育、理科・数学教育などの充実を図っていくことではないかと思っています。
【記者】
南部先生の色紙は、具体的にどのような形でいただいたのでしょうか。
【知事】
いただきに参る予定だったのですが、南部先生の方から預かっていたものをこちらにいただいたものです。
【記者】
国際郵便などで届いたわけではないのですか。
【知事】
そうではありません。そのほかにも、また後のタイミングになりますが、子ども歴史文化館に展示する南部先生の身近な品物などをお願いしており、随時いただく予定になっています。また、その折にこうした道具や机など、先生がこれがいいのではないかというものをご披露することになると思います。その場合には、我々が行って運ぶのか、どのようにするのかはいろんなスタイルがあると思います。
【記者】
個性を持てとか、希望や志を持てというメッセージですが、それを南部先生からいただいて、知事が福井の子どもたちに望むこと、こんな風に成長してほしいといった思いを教えていただけますか。
【知事】
いろいろあります。特に名詞でいえば「ambition」が大事でしょうね。「希望」ともいえるでしょうか。希望を実現するためには、それぞれ志も要るし、行動しなければならないし、行動するためには学ばなければならないし、学んでいくと個性も生まれるということだと私は思います。「大志を抱け」というのは「Boys, be ambitious」ですが、その時代の言葉としてはともかく、現代でいえば、「大志」というより「希望」ではないかと私なりに推測します。先生から直接お伺いしているわけではありませんが、おそらく同じお気持ちではないかと推測しますが、また一度、詳しくその辺のところをお伺いしたいと思います。子どもたちが希望を持って行動する、行動して、また希望を生み出すということです。自分が少しでもよくなろうと、あるいは世の中をよくしていこうということで学校で学ぶ、またよい社会人を目指すということだと思います。
【記者】
北陸新幹線について、これまでずっと新規着工という大事な時になってきたと思うのですが、貸付料の一部で既着工区間の前倒しや並行在来線の財源に充てたらどうかという議論もあるように見受けられます。北信越で連携ということで、これまでずっと一緒に歩んできたと思いますが、連携は今後も変わらずにやっていくのでしょうか。
【知事】
それぞれの地域で利害といったものはあるかもしれませんが、貸付料については、これまでどうしても見つけられなかった新規着工の財源として、これがあるのではないかということがようやく出てきたということですから、まずは新規着工の財源として最優先に投入しなければならないと思います。北陸3県、あるいは北陸新幹線すべての地域の境遇としては、条件を同じくした上で、もし何か他のいろんなものに使う余地があるということであれば、そちらに使うことはあり得ると思いますが、まずは優先順位があると思います。そうしたことが、文字どおり目前に来ている福井県の新規着工の認可にとって邪魔にならないようにしていただかなければならないと思います。
【記者】
石川、富山、新潟などと足並みはとれているのでしょうか。
【知事】
少しずつ気持ちは違うとは思いますが、足並みは大事にしていく必要があるのではないでしょうか。互いに他をおもんばかることが大事です。
【記者】
明日、東京で北信越の大会があると思いますが、そこではそうした議論が出るのでしょうか。
【知事】
もしそうしたことが十分理解されていない雰囲気があれば、そこははっきり申し上げたいと思います。なければ、当然のことですから、わざわざ強調することはないと思いますが。
【記者】
幸橋の親柱について、なくなったものを今回新たに復活させたということですか。
【知事】
親柱はどんな橋にも四隅にあるのですが、今回、幸橋を架け替えましたので、これを機に、かつての昭和の初めのスタイル、デザインで復元したということです。
【記者】
きれいにし直したということですか。
【知事】
新たに造ったわけです。以前まで幸橋にあったのですが、橋げたがたくさんあったりしましたので、水害の問題があるということで造り直しました。造った橋には親柱が当然ありますが、その親柱のデザインをかつてのデザインから取り入れて起用したということです。橋は、数か月前に完成しましたが、新しいということです。
【記者】
人事委員会の勧告について、行政職も同様の方針で臨時議会に上程するということですか。
【知事】
はい。
【記者】
これは行政職の方々も皆さん一律でボーナスがカットになるよう配慮するということですか。
【知事】
はい。
【記者】
新型インフルエンザについて、県内では患者が発生していないので、冷静に予防策をとることを重点にして取り組んでいくということですが、現実に滋賀県や京都府という隣接府県で患者が出ています。万が一、県内で患者が発生した場合にどのような対応をとるのかということをもう少し具体的にお聞かせください。特に植樹祭を間近に控えて患者が出たという状況になることも可能性としてはあるわけで、そのあたりの対応をもう少し具体的にお考えでしたらお願いします。
【知事】
既に患者さんが発生した県の状況もありますから、そうした状況を見て、また先般、国の新しい対処方針が決まりましたので、それに基づいて対応することになると思います。市町の一部または全部の学校、県内すべてということではなく、その発生の状況に応じて臨時休業などの要請をするといったことになるかと思います。また、集会、スポーツ大会などの自粛要請はしないで、開催時の感染機会を減らす工夫を要請するなどの工夫があるのではないかと思っています。
【記者】
万が一、植樹祭会場の近くで患者が発生したといった場合も中止にすることはないのでしょうか。
【知事】
仮定の話は申し上げにくいのですが、発生しないようにできるだけ努めたいというのが今の状況です。さまざまなことがあれば、それに応じて危機対策を並行して行いたいと思います。特に手洗い、うがいの励行などを、幼稚園、保育所、小、中、高、大学と、それぞれ要請していますし、また、広報車による市内の衛生の徹底の広報など、そうしたさまざまなことも重点的にやっているという状況です。あらゆる集まりに出れば、手洗い、うがいということを励行する、もちろん、ここにもたくさん来られているし、出たらすぐにやっていただくようにということです。
【記者】
政府の新しい方針が出されたのを受けて、県によっては、それぞれの行動計画を少し見直すなどの動きあるようですが、その点についてはどう考えていますか。
【知事】
行動計画は臨機応変に応用しなければなりません。今回の対応や変更に基づく行動というのは心づもりもありますから、それに基づいてやらなければいけないと思っていますが、今回の場合には対応がさまざまですから、やはり福井県の実情に応じて応用しなければいけないところもあるのではないかと思っています。共働きが多いとか、あるいは幼稚園、保育所はどうかといった、大都市とはまた違う形態もありますし、通学経路なども違いますし、そうしたものは、万が一の時の瞬間に応じてさまざまに応用されるものではないかと思います。
【記者】
ある程度は手直しをしなければいけないということですか。
【知事】
計画をいじるというよりも、今やる事柄をどうするかということが重要ですので、計画に沿ってやっても間に合わないこともあります。突発的に福井で最初に起こっているわけではありませんので、共通のスタイルはだいたい載っていますが、今の事柄に応じてやっていくのが重要だと思います。
【記者】
APECの準備組織について、例えば、規模でいえば、植樹祭と同様のイメージでしょうか。県が準備組織を立ち上げて、大体どういったことができるのかというイメージを今の段階で持っておられれば教えてください。
【知事】
どれくらいの規模かというのは、初めてのことですし、先催県の例があまりないので、国とよく相談して、一定の時期までに決めなければいけないと思っています。いずれにしても、このAPEC会合の支援体制を国と分担して、どの程度行うかということを決めなければなりません。
それから、あわせて関連するイベント、あるいは、いろんなものを見ていただくという付随的な問題があります。また、福井県として、その前後に独自に何をやるか、その時期は、催しは、といったこともありますし、その後のこともありますから、そうしたタイプのことです。これを準備する組織が要るのではないかと思いますし、場合によっては、国も外務省や経産省を中心にもうすぐ組織を作りますので、そうしたところに職員を出さなければいけないかもしれませんし、そうした対応があると思います。
【記者】
新幹線について、長野県の方では、長野北陸新幹線という名前に相当こだわっているようですが、知事としては、やはり北陸新幹線という名称が正しいと思われますか。
【知事】
それは新しい名前にしようという話ですかね。ちゃんとした名前がいいと思いますが。東北新幹線、九州新幹線、東海道新幹線など、もともとあるものも、あまり複雑ではないですよね。
【記者】
先日、知事は原子力関係で塩谷文科大臣に対して要請に行かれましたが、知事が思っておられた意図、今後国に求める対応について伺います。また、その後、国の具体的な動きがそんなに進んでいないと思いますが、そうした国の状況に対しての知事の考え方を伺います。
【知事】
大分前になりますが、「もんじゅ」をこれから動かしていこうという大きな方針を平成16年5月の会議で決めました。当時、文科大臣は現在の河村官房長官です。経産大臣は中川昭一さんでした。その時は、文科大臣が提案をされて、二人の大臣と知事とで考え方をまとめて、「もんじゅ」の着実な推進について責任を持ってそれぞれがやりたいという話があり、私も参加したわけです。県として改造工事を事前了解した経緯は、そうしたことにあります。その際も、それぞれの役所が責任を持つと同時に、大事な時には議論をしていこうということでしたので、そこの原点をもう一度思い出してもらう、思ってもらわないといけません。私は替わっていませんが、大臣は何人も替わっておられますから、その気持ち、雰囲気をちゃんと分かってもらわなければいけないというのがまずあると同時に、その筋道も分かってもらわないといけないということで申し上げました。それから、今どうするかということは、こういうことだということを理解して、確認をしてもらわないといけませんので、念を押すと同時に、これからの対応について強く要請をしたということです。
大臣も、4度にわたって工程が延期されているということは大変遺憾だという気持ちを述べられ、また、これからしっかり指導する、担当省庁として進めていきたいということでしたので、要望の趣旨は分かっていただいたと思います。現在、これを踏まえ、文科省、原子力機構で、「もんじゅ」が改造工事などをして再開するということになる場合に、将来とも着実に運営できる体制、人数、人員、それから、リーダーシップ、運営の統率力といったものを、「もんじゅ」が動くまでの体制では駄目なので、それ以上に着実に動かせるように、その前提として、これからの安全の審査などを全部できる体制にしなければならないということを申し上げたわけであり、具体的な検討をされていて、県にもその考え方をお示しいただけるはずだと私は思っています。
【記者】
5月19日に北陸三県の繊維産業クラスターの会議があり、その協議会の第1回を福井市内で持ちたいということですが、改めて、今こうした時期の中で、こうしたクラスターに込められる期待についてお聞かせ願えますか。
【知事】
繊維と広く言いますと、いろんな分野がありますが、産地として繊維という名のもとに存続して頑張っているのは、唯一、福井などを中心とした北陸地域です。ここが力を合わせて、技術をどう開発するか、販路開拓をどうするか、といったことを進めなければならないわけです。これも国の力が大きいと思いますから、今回、国の応援も得て3県で進めるというのは、まさに厳しい状況の中で重要です。それぞれ分担を踏まえながら、県としては、ちょうど営業的な分野になりますが、主に市場開拓、売り込みをやっていこうということです。第1回会議も福井で開きましたので、3県連携、産学官連携、国と地方の連携ということで、成果をできるだけ高めていこうということです。
【記者】
西口再開発について、先週末、県のオブザーバー参加として、旭副知事が参加すると明言しました。この4者協議で、東村市長は植樹祭の6月初旬ぐらいまでには初会合をしたいという言い方をして、副知事も調整が付けばと語っているのですが、初会合の時期はいつ頃がいいとお考えですか。また、県の方から参加させる人員、部長クラスなのか副知事なのか、といったことも含めて、知事の考えがあればお聞かせください。
【知事】
市の方でも、もう一度原点に立って議論をし、方向を何とかして出そうということですので、県としても、そうした気持ちを受け止め、参加をするということが望ましいと思います。ですから、積極的に参加をして、何としても然るべき方針を出していくということだと思います。気持ちを決めた以上はできるだけ早く始動するということだと思います。
【副知事】
市側の意図もありますので、そうした対応を見ながら、こちらのことを決めていきたいと思います。
【記者】
県の方からどのレベルが参加するのかというのはまだ決まってないのですか。
【知事】
人のバランスもあるでしょうし、できるだけ解決が図れるように参加したいと思います。
【記者】
18日に全国知事会が開かれました。その中で、宮崎県知事や大阪府知事をはじめとして、知事会として政治的なメッセージを表明すべきということで、与党、野党、どちらを支持するか、態度を鮮明にすべきではないかという意見が出たようですが、知事のお考えをお聞かせください。
【知事】
知事会ではそうしたタイプの話が幾つか出て、まとまらない話だと思いました。私は、そうした問題の近づき方を、地方自治体、全国の都道府県が行うことによって、問題を解決できるわけではないと思っています。さまざまな分権なり、あるいは長期的には、憲法の地方自治の規定などの問題もありますが、地方自治はそれぞれ地域全体を総合的に、いろんな考え方の方を統合して、民主的にやる組織ですから、そうしたものを受け止めながら全体として粘り強く問題を解決していくわけで、こっちを支持する、あっちを支持するという話をしても全く問題の核心には触れませんし、解決の糸口にはならないと私は思っています。これまで進めているようなさまざまな方法で、皆と力を合わせてやれるところはやっていくということではないかと思います。
【記者】
与党がいいか野党がいいかというように簡単に決めてしまうのではなくて、個々の事案に対応していくということですか。
【知事】
与党とか野党という話ではありません。佐賀県知事が中心にやってもらっていますが、知事会としては、各政党のマニフェストを全体として厳密に、可能な限り地方自治の立場で評価をして、各政党のいろんな考え方を変えてもらったり、あるいは付け加えてもらうといった作業を地道にここ何年もやっているわけですから、それが知事会としてはオーソドックスな道ではないかと思っています。
【記者】
直轄事業負担金について、今年度の負担金の内訳に関する情報開示が不十分だった場合には、知事会として支払いを拒否すべきではとの意見が相次ぎましたが、改めて知事の考えをお聞きします。
【知事】
知事会でも申し上げましたが、直轄事業の、特に事務費は、分かりにくい、細かいということがあります。これについては、我々も国の直轄事業に事務費の負担をしているし、また補助金については、国が地方に応援、補助をしているということで、互いに持ち合いになっており、両方で分かりにくくなっているということです。事務的にさまざま細かく事柄がありますし、その事柄の、こうしたものは使っていい、あるいは、これはどうだという決め具合の密度も違います。問題の本質は、今決めている中でできるだけ分かるようにしなければならないが、それをお互いに両方で、こっちはこっち、あっちはあっちとやっていると、毎年やらなければいけませんし、すべての事業でやらなければいけませんから、きりのないところもあって、かつ、幾ら聞いても分からないというようなところもあると思いますから、本来は、両方をやめるというのが一番ではないかということです。人も要らないし、また、余計な詮索をする必要もないし、自分でそれぞれ責任を持つということです。国の方は国会、地方は県議会、あるいは我々でやるというのが一番理想ではないかと思います。
特に事務費は、究極的になくすのがいいのではないかと私は思います。もちろん、100%というとなかなか難しいと思いますから、そうしたことをできるだけなくすことが重要だと思います。そのこと自体がかなり互いのロスですから、何年かしたらなくなるというのが一番理想だと私は思います。
【記者】
西口再開発について、この問題を論ずる時に、いつもアオッサの二の舞にしてはいけないという言葉が出てきます。そのアオッサの状況を見ると、公共施設が賑わっているのに、商業フロアは閑散としているということから考えると、これからの議論の中で、公共施設は何を入れるかという議論も大事だと思いますが、民間の力をいかに引き出すかという視点も持続的に発展していく上では重要になってくると思います。知事の考えをお聞きします。
【知事】
その公共的な部分というのが、市なり県なりが責任を持つということですが、民間については、民間の商店やショッピングの企業の方が企業の立場で責任を持たないといけないわけですが、我々がそちらの分野に関与するのは限度があります。民間部門が賑わわない、経営がうまくいかないということが、公共部門にも間接的に影響しているというわけではないが、全体が具合が悪いように思ったり、元気がなくなるというのではいけないですから、それぞれが責任を持ったスタイルにしないといけないと思います。
今回の西口についても、ここからは誰、ここからは民間だといっていると、それぞれ何かやりなさいと言っているのと同じことになってしまうと思います。もちろん、アオッサがうまくいっていないかどうかは、また一定の評価が要ると思いますし、それぞれ頑張ってはいただいていると思いますが、それ以上よくするためには、それぞれが頑張ったことがみんなにいい影響を及ぼすように、また、うまくいかないものが他の方に悪い影響を及ぼさないようにする、うまくいかない時にはすぐ直せるようなシステムが入るようにするというのが、西口の開発にとっては極めて重要ですから、そうしたことも一生懸命、3者か4者かで論じて、いいものをつくるということです。その点について、我々も県として、また全体を考える場合の責任、気持ちを持たなければならないということです。
── 了 ──
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