知事記者会見の概要(平成21年9月7日(月))

最終更新日 2009年9月16日ページID 009724

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平成21年9月7日(月曜日)
10:30~11:30
県庁 特別会議室

 
知事記者会見
 

【知事】
 今日は9月補正予算案についての発表です。私の方から予算案の概況あるいは考え方を申し上げたいと思います。

 昨年秋からの厳しい不況への対応として、県においては21年度の当初予算、6月補正予算において、経済・雇用対策を実施してきました。現在の経済状況については、一部に持ち直しの動きも見られます。しかし、中小企業の多くは依然として厳しい状況が続いていると思います。雇用については、特に失業率で3.8%、有効求人倍率で0.53ということであり、第1次オイルショック以来の極めて厳しい状況かと思います。私が知事に就任した直後のようなケースと大体似ている部分があるかと思います。このような厳しい状況に対し、県としては9月補正予算案においても経済・雇用対策に重点を置いた予算編成を行い、経済・雇用情勢の早期回復を図ることをねらっています。また同時に、私のマニフェストである「福井新元気宣言」について、3年目の折り返し年を迎えているところです。特に教育あるいは福井ブランドの発信などの政策について、ペースをアップすることをねらっているものであり、必要な事業を予算化しています。

 それでは、平成21年度9月補正予算案の中身に入りたいと思います。

 まず、補正予算案の規模ですが、一般会計で152億円を計上し、今年度の一般会計予算は合計で5,180億円。前年度を10.7%上回る規模になっています。このうち、経済・雇用対策については、今回の補正で137億円を計上しています。この結果、経済・雇用対策の予算規模だけを見ますと、6月補正と9月補正を合計して、補正額が362億円となっているわけです。これまでの対策と一体として執行することに努めていきたいと思います。

 次に、財政の構造の問題に関わりますが、国から配分される交付金等を最大限に使い、137億円の予算のうち県の実質的な負担は1億円ということになります。あとは交付金あるいは基金などの財源を使っています。県としては、これからも経済・雇用の状況に応じて機動的に対応したいと思います。特に、これからさらに年末あるいは年度末に向けて、そうしたことが毎月進展していくわけですので、そうした状況をよく見ながら対応する必要があると思っています。

 次に、9月補正予算案の主要事業についてです。

 今申し上げたように、経済・雇用の追加実施、雇用対策が主なものです。全国初めての制度として始めた福井県雇用維持緊急助成金については、厳しい経済状況を反映して、助成を申請する企業が当初見込みで200社程度かと思っていましたが、大幅に上回る1,000社に達しています。ここで、今回3.3億円の大幅増額を行い、当初計上分と合わせて延べの数字ですが、約2万8,000人の雇用維持を図ることにしています。このほか、厳しい就職状況が予想される来年春予定の高校生について、10月に就職説明会を行うことにしています。

 中小企業対策については、当初予算案において中小企業の資金繰り対策として、県の制度融資である経営安定資金500億円分を確保していますが、これは過去最高の水準です。あわせて、この経営安定資金を借りる企業が信用保証協会に支払う保証料の4分の1を県が応援してきたところです。今回、信用保証協会を通して国に支払う再保険料が引き上げられましたので、経営安定資金の保証料がこれに連動して引き上げられることになるのですが、保証料に対する県の支援割合を4分の1から3分の1にアップし、中小企業の負担の軽減を図るようにしています。全体の金利も下がっていますので、企業の実質負担は下がると思います。
 また、同じく県の制度融資である資金繰り円滑化支援資金の要件を緩和して、企業の返済負担の軽減を図ることにしたものです。これは、幾つか融資を受けているものをまとめて一本の借入金にして、据え置き期間を置いて返済金額が平準化するようにするやり方です。
 このほか、県の地場産業である眼鏡産業について、眼鏡協会が鯖江の高速道路のインターの近くにありますが、めがね会館内で直接、眼鏡を見て注文して直せるようなお店を経営する、また、ミュージアムなどもあるということで、観光、販売といったこうした新しいタイプの施設を東京にも昨年つくりましたが、そうした施設を改修してつくりたいということです。これを鯖江市と一緒になって応援することになります。
 雇用の維持あるいは資金繰りの支援に加え、すぐれた技術力を生かして新分野を開拓する企業を応援するために、雇用基金を使った人材支援、展示商談会の追加開催を行います。

 県内経済の活性化ですが、まず観光戦略の強化として、秋、冬に向けた観光誘客対策を進めます。本年12月に福井駅周辺を舞台にそうした場を設けて、県庁のお堀、中央公園、養浩館などのライトアップの実証実験を行い、その効果を実証しながら効果的な夜間景観の形成に努めていきたいと考えています。
 農林水産業では、地産地消を進めるために伝統野菜を「福井野菜」として売り込むことを新たに始めます。また、申請が増えている県産材を使った住宅の建築を支援する増額補正などを予定しているところです。
 次に、グリーンニューディール基金についてです。正確には「地域環境保全対策費等補助金」という名前ですが、普通、「グリーンニューディール基金」と呼ばれています。この基金を使い、一般住宅の二重サッシのリフォーム、省エネ化の応援、あるいは海岸へ漂着する漂流物の回収、太陽光発電装置の一般住宅への導入の増額補正、つまり、環境に関わる多方面の分野の事業をこれで行いたいと思います。
 次に、敦賀港関連の予算ですが、高速道路料金のさまざまな値下げ、将来の無料化といったいろんな動きがありますが、海運事業者への支援として、トラック利用者に対する運賃値引きを県が支援することにしています。敦賀港鞠山南地区多目的国際ターミナルのコンテナヤードの整備をしていますが、これを運営する第三セクターへの出資金がここにあわせて入っています。

 次に、県民生活の安心確保についてです。
 失業者のセーフティーネット対策として、就職活動中の生活資金の無利子貸し付けを行うほか、経済的な理由で就学困難な高校生の授業料の減免、奨学金の貸与があります。これは今の制度がありますが、件数が増加していますので、その増加に応ずるということです。その増加分は国が交付金で追加するということであり、中身が新しいわけではなく、量的に増えているものに対する対応です。
 次に、介護に関係したことですが、介護職員の賃金を上げる事業所に対する助成です。事業所内に保育施設を整備する事業所に対する県独自の支援を新たに行います。それから、介護職員の待遇改善です。厳しい雇用状況の中で、雇用の受け皿として期待される介護分野の支援を重点的に実施します。
 次に、障害者の自立支援に向けた対策の追加実施です。社会福祉施設の耐震化、スプリンクラー等の整備を支援します。
 次に、子育て対策として、本県独自の政策としてママ・ファースト運動というのがありますが、この一環として、子どもを3人以上お持ちの方の優待カードである「すまいるFカード」の広報活動強化です。それから、協賛店舗は、今、845のお店がありますが、1,500店舗に増やそうという事業です。そのほか、保育所の耐震化などの支援も金額としては大きくなると思います。
 次に、自殺の問題です。自殺の防止ということで、こうしたことがないように、みんなで応援をしていかなければなりません。新しく基金を設け、仕事帰り、休日における相談会の開催で、従来より気楽に相談できる体制を整備したいと思っています。多くの方が相談をしたいとか、あるいはできなかったという記録が残っているわけです。民間団体が自殺防止ということで頑張っておられますが、そうした人たちへの間接的な応援を通じて、自殺が極力なくなるように努力したいと思っています。
 次に、医療分野においては、元気長生きがん予防対策として、検診車両、機器等のがん検診体制の整備に対して支援するなど、県民のがん検診受診率のさらなる向上を図っていきます。予算とは直接関係しませんが、県内の17市町の代表の方に、それぞれご自身の町の検診の状況をご理解願い、低いところは少しでも上げていただく、また、高いところもさらにもっと伸ばしていただくように、県としても市町と連携して並行的に進めています。
 次に、新型インフルエンザ対策です。当初予算、6月補正予算において、タミフルの備蓄などの対応をしているところですが、今回さらに、新型インフルエンザウイルスや食中毒の原因ウイルスを迅速に判断するための検査機器の導入のため、2,000万円余の予算を組んでいます。なお、今回の予算では対応していませんが、地域医療の再生、医師確保であるとか小児科の夜間の対応といった問題が全国的に問題になっています。福井県もそうしたことが必要なのですが、そうした地域医療の再生事業、それから救急医療施設の耐震化については、国の交付金が現時点で内容が確定しておりませんので、今後の補正予算で対応することになると思います。特に医療の分野が金額としては大きいと思います。
 次に、消費者行政についてです。消費庁という新しい体制もできるわけですが、県消費生活センターの設備の更新、それから市町が行う相談窓口の整備などの事業を応援することになります。
 
 以上が、今回、追加実施する経済雇用対策の概要です。

 次に、マニフェストに基づく政策の関連です。
 まず教育についてです。先月27日に発表された全国学力学習状況調査においては、福井県は3年連続で小学校が全国第2位、中学校で全国第1位ということで、引き続き全国最上位レベルであることが明らかになったわけですが、これは、子どもたちが頑張っていること、また、福井県が全体として地域の教育環境を支えていることが原因としてあると思います。
 そこで、今回の300万円の福井っ子学力トップレベル推進事業ですが、福井の子どもたちの学力を中心とした基礎的な力の向上をさらに図るためのセンターを新たに設け、子どもたちの学力をさまざまな角度から分析・検証して、学習指導に生かすということです。本県の教育の仕方、モデルを全国にも役に立てていくという仕組みをつくることが福井県の教育の向上にも役立ちますし、他地域への参考にもなるのではないかと思っています。
 次に、11月に開館予定の福井県立子ども歴史文化館について、今、最終的な調整をしていますが、郷土の偉人あるいは達人をわかりやすく理解していくための展示事業について予算を組んでいるものです。
 次に、福井ブランドの発信について、来年6月19日、20日に福井市内を中心に開催が決まったAPECエネルギー大臣会合に向けての準備経費を計上しています。あるいは、その関連経費です。世界的な会合が福井で開かれるということですので、こうした機会を逃すことなく、また将来につなげるということで、福井県を世界にアピールするという予算です。
 次に、ずっと以前から行っている県の電気事業、発電事業、電力供給事業について、行財政改革の一環として新行革プランに基づき、本年度末でこの事業を終わらせたいということです。これに関連して、県内の7つの発電所を北陸電力に売却し、そちらのほうでこの電気事業を行っていただくという予算を電気事業会計に計上しました。金額は、事の性質上、大きいものです。県としては、引き続きそうした行財政改革を行い、スリムな県庁を目指していきます。
 最後に、公共事業関係について、今回は、国の追加内示に伴う補正が中心であり、そのほか、例年、発注量が減少する年度末から年度当初の事業量を確保するためのゼロ県債10億円の設定が主になっています。

 県としては、6月補正において124億円を上積みし、前年度、17%を上回る規模を確保していますので、現在は事業の早期執行に努めている状況です。
 上半期に8割の発注という目標を掲げていますが、8月末までに7割の事業を発注しているところであり、6月分とあわせ、引き続き事業の執行に全力を挙げていきたいと思っています。
 このため、今回は、公共事業は9月予算ではほとんどなく、前倒しをしてしまったということです。以上です。


~ 質 疑 ~


【記者】
 予算案全体について、まず新政権ということで、当然、その前から予算編成については予定されていたと思いますが、その段階で既に民主党政権に移行するのではないかという中での予算編成だったと思います。国の補正予算などは一部執行停止になるのではないかという声もある中で予算編成をされたと思いますが、いろいろな情報があったりなかったりする中で、いろいろ苦労されたと思いますが、所見をお聞かせください。

【知事】
 全国の自治体はそれぞれ同じような心配や懸念などがあると思いますが、いずれにしても、現時点で明確になっていることは、景気対策として実行する必要があると思いますので、予算を計上し、進めていきたいと思っています。
 なお、これから予算内容を組み替えるとか、いろいろなことがあるのかもしれませんが、それはその時にできるだけ情報をとって迅速な対応ができるようにしたいと思います。既に各部にはそうした予算そのものの技術的なこと、それから政策全体などについても、情報をとって対応ができるように指示していますので、県として、県民に迷惑がかからないように、また心配がないようにしたいと思います。
 また一方で、新しい政権に対しても継続的に行うべきもの、それから、国民が期待している政策については、引き続いて実行できるように求めていきたいと思っています。

【記者】
 正直に言って、予算編成する際に困ったと思ったことは何かありますか。

【知事】
 こうした事業が最後までちゃんとできるかどうかということと、まだ不明な事業があります。さきほどの医療などはそうです。それから、137億円の予算のうち、県の実質的な負担が1億円と言いましたが、この予算は動かないのだけれど、負担が1億円ではなくて、増え出すと大変です。そうしたことがないようにしないといけないということです。

【記者】
 県内の市町長は予算編成に当たっては苦労されていたようですが、例えば、全国知事会との連携や県内の市町長との連携は考えておられますか。

【知事】
 まだ新しい政権の体制や具体的な戦略、既存の予算をどうするか、あるいは来年度の予算編成をどうするかということがはっきりしませんから、今すぐに、これがどうだということは申し上げられないと思います。全国知事会、あるいは6団体もありますし、県内のこともありますし、また、今回選出された7名の衆議院議員の皆さんとも、福井県の現状を改めてよくお話ししなければなりませんし、意見交換もしなければいけないと思っています。
 今、衆議院議員の皆さんといつ頃そうしたことをやるかという呼びかけをしており、近々、意見交換が行われると思います。特別国会が始まる前に、まずできるだけ気持ちを合わせておかないといけません。福井県の様子も直接我々から申し上げておく必要があるだろうと思います。選挙あるいはその前からいろんな県民の声はお聞きになっておられると思いますが、行政としての意見はこうだということは申し上げないといけません。

【記者】
 自民党も民主党も両方とも加わるということですか。

【知事】
 新しく選出された議員はすべてです。

【記者】
 仮定の話で申しわけありませんが、民主党政権になったということで、地元の自治体をあずかる知事の立場からすると、こうしたところを止められたり、こうしたことになったら民主党政権に物申すといったことはありますか。

【知事】
 まだ具体的なものではありませんが、特に北陸新幹線や中部縦貫自動車道など、福井県にとっても将来の発展に極めて重要ですが、国家的なプロジェクトは国の責任で行うものですし、仕事を進めている途中で方針が変わってしまうことになると、それこそ大きな無駄です。客観的に見て役に立ち、必要な国レベルの事業についてはちゃんとやってもらわなければいけません。
 原子力エネルギー政策についても、これこそ国家的な問題でもあるし、世界的なエネルギー情勢の中でいかに戦略的に進めるかということですので、こうした問題についても福井県としての考え方を示し、もう一度国の立場で考えてもらわなければなりません。

【記者】
 北陸新幹線について、概算要求が財政省に対して出されたと思いますが、その中で概算要求見直しという発言も一部の民主党幹部から出ていますが、それについてはいかがですか。

【知事】
 概算要求は全部の予算だから、何をどうされるのか私も知りませんが、福井県の県民益に関わることとして、北陸新幹線を例として挙げれば、これまでの予定以上に早くやってもらわないといけないと思います。

【記者】
 県内では鯖江市などで民主党政権になってやり方が変わることに対応する部署を設けたという話がありましたが、民主党政権誕生に関する具体的な中身が見えるような動きはありますか。

【知事】
 新政権の動きについては、既に庁内で二度ほど指示をしており、県庁全体で対応していくことになると思います。それは政策全体についてです。それはさきほどの財源などの問題もあります。

【記者】
 教育について、全国に福井の教育を発信する仕組みをつくるということですが、ある程度具体的に、どのような仕組みを考えているかということと、改めて福井の教育を全国に発信することの意義をお聞かせください。

【知事】
 今、学力・学習調査は2科目、国語と算数・数学です。福井県では主要5科目をずっと調査したり、あるいはテストなどもやっています。そうした福井県の伝統的なよさを生かす必要があるでしょう。つまり、国語と算数だけが学問ではありませんし、理科も社会もありますので、こうしたことを福井として継続的に、全国的にも役立つようにすることは知事の立場で見ても重要だと思います。
 また、学習調査、生活のしぶりや地域の応援などを絶えず継続的にリサーチするということも、全国的に役立ててもらえるということです。
 それから、学校現場での教え方として、教授法、専門的な教科教育法というものがあります。これは福井県が今、白川文字学などを使ってやっていますから、国語、漢字教育はかなり成績がいいようですが、サイエンス教育もますます開拓しなければならない分野だと思います。どのようにするか、これは市場化しない分野ですから、教え方の進歩などをみなで努力しないと上がっていきません。そうしたことを期待しています。

【記者】
 予算に関係して新政権に対応した指示を2回ほど出したということですが、いつ、どのような指示を出されたのでしょうか。その内容は、予算の実質的な政策に関する情報をとるようにということですか。

【知事】
 そうです。8月31日、9月4日に、それぞれ全部局長の会議を開き、新政権の政策についての情報収集や、県への影響と対応策について県庁全体で検討するようにと指示しました。エネルギー拠点化計画などもしっかり進めなければなりませんから、そうしたものにどんな影響があるかなど、個別の問題もあると思います。

【記者】
 北陸新幹線と中部縦貫自動車道の話が出ましたが、新幹線などの進めている仕事を止めると逆に無駄だから、今までどおりやるべきということですか。

【知事】
 もちろん、無駄だから止めてはいけないというわけではありません。無駄ではないし、国家にとって必要であり、国土計画にとって必要だということです。

【記者】
 従来の合意では年内に認可で年度内に着工という方針が出ていましたが、これがどうなるかというのが問題だと思いますが。

【知事】
 だから、いろいろ議論をし、新しい体制になって意思決定の方法が遅れて、全体が遅れないようにしてほしいと思います。意思決定のシステムもやり方が変わるともっと早くできるのではないかと一方では思います。

【記者】
 これまでよりも早くということですか。

【知事】
 むしろ、早くしてもらえることを期待しています。

【記者】
 9月9日に9月議会が始まります。6月議会を振り返ると、副知事人事の話がありましたが、9月議会ではどのように対応するつもりですか。

【知事】
 これは議会の同意が前提ですから、ご意見なども十分お聞きして提出するかどうかを判断したいと思っています。まだそうした段階です。議会もまだ始まっておりませんし、ご意見も必ずしも確定したことを聞いておりませんので、そうした段階にあります。

【記者】
 9月議会中の提案はあり得るということですか。

【知事】
 今の段階でこうだと言うと予断が出ますので、申し上げられません。現段階では、今申し上げたような状況だということでご理解をいただきたいと思います。

【記者】
 先日、敦賀原発1号機で40年過ぎて以降も運転を継続するという話がありました。ほかの老朽化した原発も運転を継続するという動きが出てもおかしくないと思いますが、これにについてどのような考えをお持ちでしょうか。

【知事】
 高経年化の問題については、既に30年経過した原子力発電所は福井のみならず全国にもありますし、今回さらに、敦賀1号機については40年経過という議論になるわけであり、それに対する安全確保の問題については、国あるいは事業者にもさまざま要請をしており、それに基づいて今回、数日前ですが、国の認可がおりたということです。もちろん、それについて我々も福井県の立場からチェックをする予定ですが、いずれにしても、こうした問題については、さらに延びることがないように、新しい原子力発電所3号機などができるまでで終わりなのだという話も申し上げたところですが、こうしたことはこれまでの国の高経年化の運用システムの中で実行されていくべきものだと思います。

【記者】
 安全性がきちんと確認、担保されれば、長期間の運転継続も仕方がないという考えですか。

【知事】
 全般的な感情やフィーリングではなく、それぞれ10年なら10年ごととか期間を持って、原子力発電所それぞれのプラントごとにチェックするようなシステムを要請していますし、プラントごとに応じて考えてほしいということです。それは大ざっぱに延びてもいいということではなく、個別に厳密にチェックして、何か問題があれば直ちにそこでさまざまに対応するというスタンスです。

【記者】
 民主党政権が社民党と連立を組むということですが、社民党は脱原発を主張していて、この点に関して何か不安もしくは心配していますか。

【知事】
 民主党は反原発ということではないと思います。政党によって多少考え方は違いますが、世界的なエネルギーのさまざまな事情が背景としてあるわけですし、原子力発電は大きな役割を担っているわけですから、その中で判断願うということでしょう。それはよく見なければなりませんし、我々も状況を申し上げなければなりません。

【記者】
 今回、民主党政権になるわけですが、福井県を見て、全国で民主党が圧勝する中、3区とも自民党が小選挙区で勝利したことについて何か感想はありますか。

【知事】
 これは各選挙区の有権者お一人お一人が判断された結果ですので、これをどうだと申し上げる立場ではありません。地域の人間関係やそれぞれの候補者との関係といったものをよく理解しながら投票されたという土地柄もあるのではないかとは思います。
 いずれにしても、7名の衆議院議員の皆さんが選出されたわけですから、それぞれの政党のマニフェストなり、あるいは立場もあると思いますが、ぜひ福井県のことをよく考えていただいて、いろんなものが少しでもよくなるように頑張ってほしいと思います。我々もそうしたことをいつも要請しなければならないと思います。地域に地盤を下ろしていただきたいという希望を抱いています。

【記者】
 全国的な圧勝を見て、民主党の勝因をどう分析していますか。

【知事】
 それは政治談議になりますので、ちょっとコメントは差し控えたいと思います。

【記者】
 新政権に一番期待することはなんでしょうか。

【知事】
 1つは、地方の状況をよくわきまえ、把握して政策を実行してほしいと思います。東京などから、何かこんなものではないかという感じでやられると、地方のいろんな生活が脅かされるおそれがあります。
 それから、国家的な政策は、意思をはっきりしていただいて、スピードを持って進めてほしいということです。これは、さっき申し上げた北陸新幹線などの問題です。一方で、農業にしろ、環境にしろ、あるいは産業にしろそうですが、これは外交であると同時に、あらゆる分野の国家戦略ですから、こうしたものに明瞭な意思を持って進めていただくことが重要だと思います。これは地方自治と直接は関係しませんが、そのように思っています。

【記者】
 地方の状況をわきまえてというのは、例えばどのようなことですか。

【知事】
 特に分権についてです。地方分権は、権限移譲のみならず、権限のおりているものについても、いろんな関与があるとか、そうしたことがあります。それから、私は道州制に慎重ですが、そうした問題についてもよく地域の声を踏まえて、その意味を考えていただければと思います。

【記者】
 JR福井駅西口再開発について、事業委員会で分棟案という案が出てきましたが、この説明によると、今まで1つだったものを2つか3つに分けて低層化することで公共施設を入れやすくなるだろうという言い分になっています。例えば、こうした分棟案が決定すれば、今まで県として公共施設で床取得は応じないということだったと思いますが、変更はあり得るのでしょうか。

【知事】
 どのような案であれ、西口がよくなるということであれば応援したいという気持ちは強くあります。それがうまく意思決定されて、みんなでこれがいい案だとなることが前提ですので、私はそういう気持ちです。分棟であれ、合築であれ、どちらでなければならないというものではありませんが、それが合理的で、これからあの地域のために経済的にも問題ないということであれば、ちゃんと応援したいと思っています。

【記者】
 場合によっては床取得もあり得るということですか。

【知事】
 それは具体的に物事が決まっていかなければなりませんが、直ちにこの床がどうだという話にはまだなりません。どういう形であれ、福井県として基本的には応援をしなければならないと思っています。

【記者】
 今の段階では、床取得というところまではまだ行っていないということですか。

【知事】
 まだ物事がそうなっていないから、床といってもどの床だという話になるでしょう。

【記者】
 「もんじゅ」をはじめとする核燃料政策について、国が前面に立って維持すべきだということで、これまで大臣などにお会いして要請もされてきましたが、新政権になって改めて国の考え方などを確認する考えはありますか。

【知事】
 あります。

【記者】
 核燃料政策について、新政権について期待されている点や不安な点があればお聞かせください。
 それと、地方自治に関して、民主党政権の公約として、国と地方の協議の場の設置だとか、権限移譲などがありますが、一方で道路財源なども暫定税率に影響するような部分もあります。これからの国と地方のあり方について、期待と懸念を具体的にお聞かせください。

【知事】
 原子力については、まず新しい地元の国会議員の方にも申し上げなければなりませんし、拠点化計画などの意味もよくわかっていただかなければなりません。それをしっかり実行しなければなりません。
 それから、原子力についてさまざまな考えが出てくるかもしれませんが、引き続き、福井県としての考えを国に対してもこれまで以上に申し上げなければいけないだろうと思います。ずっと地元としてさまざまな協力をして、県民の安全確保に努めているわけですから、それが変な方向に行かないようにしなければならないと思います。何かありましたらちゃんと発言して、福井県として物を申さなければならないと思います。道路財源についても同様です。
 分権の協議機関がどうなるかはまだ不明ですが、そうした場でも議論がされると思いますし、それだけでは万事解決もできないと思いますから、これまでの自民党政府との関係と同様に、粘り強くこの問題に取り組んでいくということだと思います。ただ、そうした新しい協議組織もつくられるということでしょうから、そうした問題を通じても進む可能性はあると思います。
 究極的には、地方自治というのは憲法上の保証がないわけであり、法律に書いてあるだけです。そうした問題も長期的にはさまざまな議論がなされなければならないと思います。
 道路財源については、個別具体の道路事業の財源問題になりますから、これは自民党時代のいろんな議論と同じように、議論していかなければならないと思います。この事業はどうなるのか、我々のこの道路は必要だという話もしなければいけません。抽象的に何か論ずるわけにはいかないと思います。必要な、基幹的な道路、国土の基本となる道路は、10年以内にできるぐらいでないといけないと思います。そうでないと日本にとって不都合です。

【記者】
 北陸新幹線について、地方の側の運動のやり方として、これまでは、どちらかというと自民党議員と歩調を合わせた形で要望活動をしてきた部分が大きかったと思いますが、政権が替わったという状況になり、民主党政権は陳情や要望には冷たいという話もあります。今後、運動の仕方という点で何か変わる点があるのかをお伺いします。
 
【知事】
 まだ姿が見えませんので、なんとも言えません。小泉政権の時も、要望をあまり聞かないという雰囲気が少しありましたが、民主主義の世の中では要望なきところには何も生じないかもしれません。抽象的に何か物がつくられたり、戦略が生まれるわけではありませんので、あらゆる地域、あらゆる国民の中の要望や需要が政策に反映されるべきと思いますから、要望の受け方や聞き方が少し変わってくるかもしれないとは思いますが、そうした基本的な問題はちゃんとしないといけないと思います。

【記者】
 東京に行くとか、要望活動のやり方そのものは変わるものではないということですか。

【知事】
 互いのやりとりですから、まだ見えませんが、要望そのものがなくなるわけではないと思います。民意というのをどこかで汲み取らなければいけないわけですし、場合によっては、なくても喚起しなければならないかもしれませんし、そこに何か地域の声というのがしっかり届かないといけません。そうでないと、物事のバランス、平等やバランス、調和というものが出てこないと思います。

【記者】
 民主党は、直轄事業負担金を廃止することを揚げていたので、これから具体的にどうなっていくかはわかりませんが、こうした方針を掲げていることをどう捉えていますか。

【知事】
 直轄事業負担金については、基本的にはなくなって、地方の負担がなくなればいいのですが、それ自体は悪いことではないと思います。これにあわせて、他の事業がもっとひどく減ったりしてはいけませんし、先ほどの話と関連しますが、あるところで何かを行う時に、地域の負担が全くゼロというのはどうなのかという問題もあります。大きい人口を持っていて声の大きいところでは、いろんなものが負担なしにできてしまうようになるのもどうかと思います。バランスのとれた、ある程度の負担をする用意はあるけれども、やるべきことがうまくいかないという懸念をわずかながら感じているということを以前も申し上げたかと思います。つまり、要請のないところに物事はできないというのが民主主義の基本的な事柄と思います。声のないところに物事は起こらないと思います。
 ある直轄事業をどこでやるかという時に、バランスをどうやってとるかということだと思います。その時に、負担がどんな意味を持つかということです。これもあまりオール・オア・ナッシングで考えるのもどうかという感じもあるのですが、そういうことです。

【記者】
 新政権の原子力の考え方について、連立政権に入るであろう社民党は、昨夜も福島党首が、「もんじゅ」運転再開に関して、これまで動いていなかったのに巨額のお金が使われてきていると述べていました。それが今さら本当に必要なのかという発言もありましたが、どう思われますか。それに関連して、改めて「もんじゅ」運転再開に関して新政権に言いたいことがあればお伺いできますか。

【知事】
 それは、国家政策として継続性をもって行われるべきものと思いますし、間もなくそうした再開の動きも出てくるわけです。ですから、もちろん安全などの問題は考えなければなりませんが、国のエネルギー政策が変わるようなことはあってはならないと思います。

【記者】
 政権交代によって、国と自治体との間に「ねじれ」が生じたりなどして、今回の衆議院選で当選された議員と地元市町との関係にも緊張が生じたりしているのではと思うのですが、これについての所見はいかがですか。

【知事】
 議員との意見交換会の際にお気持ちをお伺いしたいと思います。やはりそれが前提です。そうした様子についても、私は直接聞いておりませんので、いずれにしても、みんなで気持ちを落ちつけてやっていかなければいけないと思います。

【記者】
 政権交代に対応して、戦略室などの特別な部署を設置される予定はありますか。

【知事】
 そうした性格のものになるかどうかはちょっとわかりませんが、みんなで集まってやるのがそれに当たるかもしれません。別に名前をつけなければならないものでもないと思います。災害のようなタイプのものではないですから。県民にそのことをわかっていただいて、みんなで運動しなければならないといったこととは違いますので、そうしたやり方もあるかもしれませんが、今はそこまでは思っていないということです。


── 了 ──

 

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