知事記者会見の概要(平成21年11月18日(水))

最終更新日 2009年9月16日ページID 010011

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平成21年11月18日(水曜日)
16:00~17:00
県庁 特別会議室

 
知事記者会見
 


【知事】
今日の主たる発表事項は、平成21年度12月補正予算案、こども歴史文化館の開館、南部先生関係の資料の提供、東京の明治大学でのシンポジウムなどについてです。

それに先立ち、事務処理問題について申し上げます。

今回、このような事務費の問題が生じたことに対し、県民の皆様に改めてお詫びを申し上げます。
外部委員会を設け、会計検査の対象とならなかった部局を含めたすべての事業について、他県に先駆けて調査結果を明らかにしました。
今回の問題は、担当職員およびそれを決裁する管理職員の法令意識が低かったことに加え、予算の物品調達、検査の体制、国庫補助金のさまざまな仕組みなど、制度面の問題も原因としてあったように思います。私的な流用などは見られなかったものの、法令や規則に則り、適正に、几帳面に事務処理をするのが仕事の基本ですが、そうしたことができていなかったことについては、まことに残念であり、私自身、責任を明らかにするとともに、職員に対し厳正に処分するなど、他県と比較して厳しい対応をしていきたいと思います。
調査結果公表後、直ちに各部局長、所属長に対し、この問題について訓示をし、発生原因、再発防止策を各所属長から全職員に周知したところです。さらに、重ねて全職員に対し、メールにより服務規律の確保、適正な経理処理の徹底を求めました。直接、口頭やメールなどにより、この徹底を求めていますが、今後さらに全職員を対象とした公務員倫理と会計事務に関する研修を年内中に実施し、職員の意識改革を行っていきたいと思います。
また、来年度予算編成に際し、事務費の必要額の精査を行うほか、事務費を節減した場合、事務費の節減額を翌年度の政策予算に加算する仕組みといったものを導入するとともに、物品調達の一元化や検査体制の見直しを行っていきたいと考えます。
なお、報告書でも改善について見直しなどの方向を示していますが、それを含め、さまざま可能なことを実行し、予算執行に無駄のないように、県民の信頼が得られるように努めていきたいと考えています。


それでは本題に入らせていただきます。12月補正予算についてです。

まず概要についてです。県では、これまで当初予算、さらに6月補正予算、9月補正予算において、総額362億円の経済対策予算を編成し、早期執行に努めてきたところです。途中、新政権が誕生し、国の補正予算の一部凍結方針が出される中で、地方向けの基金事業の取扱いなどについて国の方針が定まらず、執行が滞る事業もありました。しかしながら、10月中旬に国の方針が示され、県が予算化したすべての事業について凍結の対象から外されたことから、県としては、国との手続きを急ぎ、事業の早期執行に全力を挙げているところです。
現在、県内の経済・雇用情勢については、有効求人倍率も0.60と、電子部品、デバイスなどの分野での受注回復等の動きと相まって、回復基調にある状況です。また、県が独自に調査を開始した県内の完全失業率についても、9月末が3.6ということで、数値上は全国で最も低い水準になっている状況にあります。
これまでの県の経済・雇用対策が一定の効果を上げているということかもしれませんが、年末、年度末に向けては、中小企業を中心に資金繰りが厳しくなるおそれがありますし、雇用情勢についても予断を許さない状況にあると思います。
県としては、このような状況に万全を期すため、中小企業等の資金繰りの円滑化、県単独の公共事業の追加など、経済・雇用対策の追加を内容とする12月補正予算を今回編成することにしました。
一般会計の補正予算の規模は、98億円です。そのうち、経済・雇用対策予算としては118億円です。給与の減額を行っていますので、補正予算の規模は98億ですが、それを差し引きますと、118億円の経済・雇用対策という計算になります。
これにより、当初予算、6月補正、9月補正を合わせた今年度の経済・雇用対策予算規模は、836億円となります。当初予算が356億円、6月、9月でそれぞれ225億円、137億円です。今回、118億円の補正ということです。しかし、22億円は給与の減額によるものですので、予算規模を表面で表すと98億円になるということです。
なお、今回の経済・雇用対策についても、国からの交付金を活用し、県の負担は生じないように配慮しています。
今申し上げた期末勤勉手当の引き下げ、4.5月分を4.15月分にする人件費の減22億円があるということです。

12月補正予算の主要事業については、第1に、中小企業対策の資金繰りの円滑化です。県の制度融資、これは経営安定資金といいますが、当初予算で過去最大の500億円の計上枠を設定しています。これまでの実績は、10月末現在で約6割の290億円が実行されています。しかし、過去の状況を見ますと、上半期に対して下半期は、普通の時でもさらに3割、4割増加します。つまり、1.3倍、1.4倍ぐらいは増えるということです。そうしたことを考えると、特に資金需要が年末、年度末に拡大することが予想されますので、経営安定資金については、さらに500億円に150億円を今回追加し、650億円の融資枠を設定するということになっています。

第2は、県内経済の活性化です。公共事業については、経済対策として当初予算、6月補正予算で合計約913億円であり、これは前年度比で17%増ですが、特に当初予算については、10月末現在で、契約の執行が91%になっています。6月補正分についても、50.7%の事業が既に着手している状況です。
このように例年以上に事業の前倒しをしていることから、年度末における事業量が減少する見込みですので、今回、国から県に交付された経済危機対策交付金、これは全額で68億円ですが、残額が6億円残っていますので、そのうち5億円をこの公共事業に使うと同時に、ゼロ県債を5億円設定して、年度末までに県単独の事業量をさらに追加するということです。6億円のうち残り1億円は、先ほどの経営安定資金融資枠の拡大の保証料負担に回すということです。
なお、県単独事業などについては、まず河川の伐木があります。中州などに木が生えていて、流量を疎外している場所の伐木を34か所行います。それから、道路への落石防止対策です。これを5か所行うなど、これも予定より繰り上げてこうしたものを今回実施することになると思います。
この結果、県単独の公共事業については、合計150億円と、前年度を1.73倍、73%上回る数字になるということです。

第3は、県民生活の安心確保です。今回のさまざまな経済対策で基金ができていますが、その1つは医療施設などの耐震化を促進するための基金が25億円、医師確保など地域医療強化のための基金が50億円あります。国からの交付金をまず予算上計上し、その基金を活用した具体的な事業については22年度からこれを実行するという予算を用意しています。
以上が今回の主な経済・雇用対策ですが、先般、専決処分を行い、新型インフルエンザに対する低所得者の助成も既に計上しています。


2番目の発表事項は、こども歴史文化館の開館についてです。
こども歴史文化館がこのたび展示工事を終了し、今月28日に開館し、式典を行う予定です。
2階には、杉田玄白、松平春嶽など歴史上の人物、3階には、南部陽一郎博士、故白川静博士、伝統工芸などの分野で活躍している現代の達人について紹介をするものです。2階展示の歴史上の人物については、歴史の専門家、学校関係者などで構成する専門委員会や議会の意見も伺いながら、特に著名な人物21人を選んでいます。今後、この21人に限らず、できるだけ多くの人物を紹介したいと思います。常設展示については、これからも資料、情報を収集し、定期的に更新する予定です。
開館日の28日から、開館記念事業として、南部、白川両博士が育った頃の福井ということで、1910年から1937年にかけてをテーマに特集展示を行い、両博士の少年時代や当時の福井の様子などを紹介します。
このこども歴史文化館を通して、子どもたちに本県ゆかりの先人たち、業績を学んでいただき、子どもたちのこれからの励み、目標、希望、郷土への誇り、自信につなげてもらいます。


この話と関連して、3番目の発表事項として、南部先生からのノーベル賞メダルのレプリカと、学生時代や大学の教員時代などに使っておられたノートの実物6冊を提供していただきました。
これは、4月30日に大阪大学で南部先生と懇談をした際、本県の子どもたちの励みになるようなものをご提供いただけないかとお願いしたことを受けて、提供いただいたものです。
このメダルは、表がノーベル氏の横向きの上半身の肖像、裏は科学の女神が自然の女神のベールをはがそうとする図柄になっています。ノーベル賞のメダルは、本物のほか、数個のレプリカも受賞者にあわせて贈呈するもので、その1つです。
ノートの内容について申し上げると、まず、最初の3冊は、東京帝国大学の学生時代に先生が受けた授業の内容を書きとめたものです。そのうち2冊は微分積分学の授業、もう1冊は電磁気学と物性論という物理学の分野の授業の内容が書いてあるものです。
次の2冊は、東京帝国大学の先生の時代に、学生の演習、ゼミナールの授業を行うために使われたものであり、1冊目の内容は物理学演習20回分であり、その中身は力学、電磁力学、熱力学です。2冊目は数学の演習30回分であり、微分積分、無限級数、ベクトル解析です。
6冊目は、大阪市立大学教授時代に量子力学の論文執筆の下書きに使われたものです。見ていただくと分かりますが、どのノートも整然と記載されていて、あたかも清書をし直したような感じで書かれており、初めからちゃんと理路整然とノートができているということで、先生の素晴らしい才能と人柄が伝わってくると思います。
いずれも大変貴重な資料であり、先にいただいた子どもたちへの「個性をもって生きよう」、「Boys and Girls Be Ambitious!」という日本文、英文の二つのメッセージとともに南部先生のコーナーに展示する予定ですので、ご覧いただきたいと思います。


4番目の発表事項は、福井ブランド、歴史・文化に関わるものです。
11月23日(祝日)、明治大学のリバティ・アカデミーで「幕末維新期の福井藩―松平春嶽とその周辺―」と題したシンポジウムを開きます。
明治大学でこうした講演会を行うのは、2年前の平成19年11月25日に、継体大王即位1500年記念で行った「歴史・伝承・ロマンとしての継体天皇」以来2回目です。これは、明治大学の創始者の一人である福井県出身の矢代操先生との縁もあり、今回も明治大学で行うものです。
ちょうど今年が安政の大獄150年、横井小楠先生生誕200年という節目の年であり、幕末福井のプロジェクトを進めているところであり、県内外で講演会をシリーズで開き、本県ゆかりの地で幕末のパネル展などを行っています。その一環ということです。
このシンポジウムは、1部は詩吟、2部は講演ということで、詩吟朗詠については、福井県詩吟連盟の方に出演をお願いしており、講演は越前市(旧武生市)出身の猪飼隆明大阪大学名誉教授にお願いしています。
今後もこうした活動を通して幕末期に大きな役割を果たした福井の活躍を県内外に広くアピールし、福井を舞台とする小説やドラマなどの実現にもつながるようにしたいと思います。

なお、このシンポジウムと相前後して、福井県の特産と観光PRのため、「ドーンと福井in神楽坂 越前・若狭まつり」を新宿区神楽坂通りで21日から23日まで開催する予定です。
神楽坂を上りきりますと、小浜藩の藩邸があったところであり、現在は杉田玄白先生の石碑が作られているということで、それを地元の皆さんに守っていただいています。
この神楽坂でのイベントでは、小浜藩酒井大老登城行列の神楽坂行進、恐竜全身骨格模型の展示などの催しを行いますので、PRをお願いしたいと思います。


~ 質 疑 ~


【記者】
不適正経理について、年内に職員を対象にした会計の実務や服務についての講義を行うということですか。

【知事】
はい。さらに、具体的なモラル、事務のいろんな技術的なテクニックなどをよく理解していないと抜本的な解決になりませんので、まずそういうことをやるということです。

【記者】
全職員を一度にはできないと思うので、部局ごとになると思うのですが、そうですか。

【知事】
対象は全職員です。

【記者】
知事の認識でも、どちらかというと、会計処理についての認識が甘かったということですか。

【知事】
理解を十分にしていないとか、几帳面に仕事ができないといったことですので、やるべきことはそういうことだと思います。

【記者】
そうしたことが大きな要因だということですか。

【知事】
はい。国の補助金とのいろんな関係もありますが、それは制度の問題であって、別途解決すべき問題です。まず自分たちが当たり前のことをできないといけないということです。

【記者】
予算について、地域医療の医師確保対策は、具体的には、例えば山間部や過疎が進んでいるところが中心になるのですか。それとも、全県的にということですか。

【知事】
これは具体的にどの部分でどうやるかという問題ですが、主にそうした場所ですけれども、必ずしもそうとも限らないし、まちなかにも起こっていることだと思います。

【総務部長】
基本的には、2圏域、つまり、福井・坂井地域と嶺南地域を想定していますが、それだけに限らずやろうと考えています。具体の事業は、来年度当初予算案に計上させていただきます。

【記者】
不正経理に関して、他県に比べても厳しい対応をとりたいということですが、処分内容を具体的に教えてください。例えば、職員の処分人数のめどについて、大体このぐらいといったものがあれば、教えていただきたいと思います。
また、厳しい対応をとる背景として、旅費問題などの過去の事例を踏まえてやるということなのか、あるいは別に理由があるということか、お聞かせください。

【総務部長】
まだ精査中ですが、数百人から千人規模になると想定しています。

【知事】
旅費の問題もありますが、福井県が先進的に政策などを進めている一方で、その前提として、毎日実行している平常の仕事がちゃんとできていないのでは話にならないわけです。そのことを組織としても職員としても自覚してもらわないといけないと私は思っています。

【記者】
昨日、行政刷新会議の事業仕分けで、「もんじゅ」の事業費、関連費が仕分けの対象として議論されました。結果がオープンの場ではよく分からない形で終わり、結局、どうやら「もんじゅ」の本体の運営費、来年の運転再開に関わる費用は確保されそうな状況になっているようです。この結果について、知事はどのように理解し、認識されていますか。
また、昨日の事業仕分けの中で民主党の枝野議員もおっしゃっていましたが、そもそも「もんじゅ」をどうするかということは、仕分け対象にそぐわないのではないかということがあります。この場に上げたことは失敗だったともおっしゃっていたのですが、民主党の事業仕分けの仕方について、どのように認識していますか。

【知事】
私自身、既に9月25日の時点で、川端文科大臣、直嶋経産大臣に、「もんじゅ」などを含めた原子力の政策については継続的に責任を持って実行していただきたいし、そのつもりですねということを申し上げ、そのとおりだという回答でした。ですから、そのとおりにならなければならないし、なっているとまず考えています。
仕分けというのは、どのような前提で、どんな思想で、また、何を対象にして行うのかということが、必ずしも十分に意味を理解できるわけではありませんが、やはり大事なものはあまり不安定な状態にしておいてはいけません。何を論ずるかというのは一番大事なことであり、その次に、どう論ずるかということですので、論ずべきものとそうしたタイプのものではないということは、よくわきまえて議論をやっていただきたいと思います。もちろん、議論をすることはそもそも大事なことですが、事柄の性質をよくわきまえてやっていただかないといけないと思います。

【記者】
ということは、「もんじゅ」については、そもそもあの場で事業仕分けの対象となるべき話ではないという認識だということですか。

【知事】
仕分けそのものがどのような思想なのかよく分かりません。あまり短時間にそうしたものを論ずべきものではないと思います。何十年にわたる事業で、日本のエネルギーの根幹に関わることであり、地元の我々が非常に苦労してやっており、かつ、大都市が原子力の供給を電力会社の努力によって一瞬たりとも中断することなく受けているわけです。そうしたことを認識された上でこうした議論をされないといけないということです。何か特定の事業を捉えて論じるようなものとは全然性質が違いますので、その基本が大事だということを申し上げているわけです。

【記者】
昨日、実際に「もんじゅ」の運転再開費については、減額といった意見は少なかったという前提で話が整理されたわけですが、知事としても、それは当然の結論だという受け止め方ですか。

【知事】
現象だけ捉えればそうです。

【記者】
北陸新幹線について、昨日、新潟県知事が直轄負担金を明確に拒否するような意見を出していましたが、これに対して、金沢までの開業が遅れるという意見も聞かれます。これについてどう思われますか。

【知事】
私としては、早く福井県まで認可していただきたいという気持ちです。個々のいろんなことがあるとは思いますが、一定の効果のある範囲の中で方針をはっきりしていただいて、速やかに完成してほしいというのが私の気持ちです。

【記者】
そもそも新潟県のあのような対応が、延伸を含めて今後与える影響について、どのようなところを懸念していますか。新潟県知事に対しても、早く何とかしてほしいというところがあるのではないですか。

【知事】
一つひとつ論じていてもどうにもならないところがありますが、やはり国家プロジェクトであり、できるだけ早く全体的につないでいくというのが国の責任でもあるし、また長年、沿線の自治体が協力してやってきたわけですから、そうした精神で、みんなで進めていくということではないでしょうか。
もちろん地域のいろんな関心事や利害はあるかもしれませんが、全体のことを進めるという強いエネルギーを持って国も進めようとしていますし、我々としては、先ほど申し上げたように、敦賀ということであれば敦賀まで早く方針を出して、どこからでも工事をするぐらいの迫力で仕事を進めていただかなければならないと思います。

【記者】
事業仕分けの中で、地方交付税についても議論され、結論として抜本的見直しという判定を示されました。仕方がないと考えると減額が懸念されるわけですが、こうした判定についてどう考えますか。

【知事】
地方交付税というのは、経費ではなくて地方の固有の財源、税源なのです。税制の歳入なのです。それぞれの地方団体が合理的に使用できるものであり、そうしたご負担を国民からいただいているものですから、事業仕分けというものになじむようなものかどうかという点では非常に問題があると思います。疑問に思いますし、金額としても、またシステムとしても、地方自治の根幹に関わるわけですから、これもまた、何十分で議論するというものでは全然ないでしょう。

【記者】
新政権は一方で「地域主権」を掲げていますが、具体的な制度設計などはまだ残念ながら見えていません。地方交付税や新政権が目指す一括交付金について、「地域主権」を実現するという見方でどのようにあるべきだとお考えでしょうか。

【知事】
地方交付税の問題もそうですが、東京などの大都市から物事を見て、地方交付税は田舎の方にお金が行くのだから無駄だとか、そうした議論が多いと思います。それは全く違うわけで、行革であれば国がもっともっとやらなければいけません。それは数字を見ても分かります。ともかく地方の実情とその意味をよく分かっていただいた上でやらないと、偏ったバイアスのかかった見解になりますし、よくないと思います。

【記者】
新幹線について、以前、前原国交大臣に会われた時に、福井県の実情を伝えたと聞きました。政府予算が決まるまでにもう少し時間があると思いますが、それまでに福井県として何をやっていきたいかをお聞かせください。

【知事】
新しい民主党政権は、おそらく、いろんな財源をどうやって確保し、無駄なところがあるということであれば、それをどう削減して見通しを立てるかということで今精一杯の状況です。そうしたものがある程度見通しが判断できて初めて、日本の国土をどうするのか、その時に新幹線がどうなるのかという話になるわけですから、できるだけ早くそうした認識に立ち至っていただき、方向を出していただきたいというのが我々の考えです。そろそろ少し余裕が出始めると思いますから、我々はその間、時間も少しはあるわけですし、地道に訴えていく、理解を求めていくということです。

【記者】
地方の声を届ける方式として、民主党は陳情の受付け方をだいたい固めてきたようです。幹事長室に一元化して、基本的には県連を通してやってもらうと言っているようですが、これに対して、地方の側から見てそうした方式がどのように見えるかお聞かせください。

【知事】
それで解決していただければよいですが、すべてがそういうわけにはなかなかいかないかもしれません。ですから、できるだけ有効な方策を講じなければなりませんが、そうした方法でできるだけ努力されたいということであれば、情報を十分提供して、そのチャンネルをできるだけ効果が上がるようにしていただきたいと私は思っています。それで足らざることがあるのであれば、十分ご相談して、別途並行して我々としても行っていくということです。

【記者】
ほかのチャンネルは閉ざされてしまうわけではないと考えているということですか。

【知事】
そんなに決まっているものではないと思いますし、全部がそれでやれるというのであれば、やっていただければよいですが、民意を酌むという問題については、実際問題として、なかなかそうもいかないのではないですか。できるだけ陳情はあまりないように物事が解決すれば、それはそれでありがたいことですが、意欲を持ってやっていただければと思います。

【記者】
先日、中部縦貫自動車道の永平寺・大野道路で、近畿地方整備局長が、勝山-大野の平成24年度中の開通が難しいのではないかという見方を示したと思います。半年も経たないうちに国が難しいといったことを言ってくるのは極めて異例だと思います。例えば民主党の地域戦略局などに中部縦貫自動車道の早期整備を求めていると思いますが、求めていっても逆のことになっている気がするので、このままでは平成24年中にできるという確証が得られず、福井県にとっても問題だと思います。今後、ほかのチャンネルを含めて、中部縦貫自動車道についてはどのように対処されていくのでしょうか。

【知事】
近畿整備局長にも申し上げましたが、道路やダムもありますし、ほかの事業もありますが、まだ十分でないのは地方です。同じ近畿といっても、大阪と福井は全然違いますから、財源はある程度限られているのかもしれませんが、優劣や重要性の差をちゃんとメリハリをつけてやっていただかないと困るということです。みんな同じように減らすというわけにはいかないだろうと思います。福井県内でも、これが重要なのかどうかという判断はある程度あるわけですから、そのように申し上げました。
窓口という問題については、先ほど申し上げたように、あらゆる手段を尽くして地域の必要性を訴えて物事を実現するというのは、私や福井県議会を含めての仕事ですから、そんなに拘泥することなく必要なことは何でもやるということです。

【記者】
地域戦略局に要望を上げても、福井県の思いどおりに成果が上げられなければ、地域戦略局ではなく、全く違う方法でもアクションを起こすということですか。

【知事】
一生懸命やっていただけるものと思いますから、あまり仮定の議論はしにくいのですが、地域戦略局の皆さんもいろんな方法を併用しなければならないという認識だと思います。そのようにおっしゃっていたと思います。

【記者】
「もんじゅ」の事業仕分けについて、技術的な部分は文科省が所管、エネルギー系統全体は経産省ということで、経産省にすべて一元化したらどうかという話も出ていましたが、その点に関してはどう考えますか。

【知事】
そうした一つひとつの意見には答えにくいですね。おっしゃっている方が全体性を持って論じておられるのであればよいのですが、思いつきとは言いませんが、お感じになったことを断片的に言われたものに対して、私があれこれ言うのもいかがかと思います。ともかく、「もんじゅ」をはじめ、原子力政策については今いろんな局面に達していますから、信頼感を持てるように、責任を持って日本のエネルギー政策をやっていただかねばなりません。そのように進めてほしいというのが私の主張です。

【記者】
昨日、削減しろという仕分け人が少なくて、ほとんどがそのままという意見だったのですが、これは当然ということですか。

【知事】
その点では電気やエネルギーの意味を分かっておられるのではないかと私は思います。電気は止まれば暗くなるわけですから、ざっくばらんに言いますと、止まったら関西でも一日のうち半分は暗くなってしまうわけです。生活に即した議論が要ると思います。もちろん議論は大事ですが、あまり空疎な議論をされてもいけないと思います。そんなことはしておられないと思いますが。

【記者】
昨日の仕分けの議論の中で、仕分け人の一人から、「もんじゅ」や高速増殖炉開発の意義について国民の中で合意形成ができているかというと、まだではないかと思うといった趣旨の発言がありました。一般の感覚ではそうなのかという見方もできると思うのですが、そうしたことに対して、国民とまではいかないまでも、県内の合意形成ができているかという認識についてはいかがでしょうか。

【知事】
できているとは思いますが、いろんなお考えを持っておられる方が全くいないかというと、そういうわけではないと思います。しかし、程度はいろいろありますが、基本的な問題については理解していただいていると思うし、そうした方向でこれから進めなければならないと私は思います。

【記者】
福井駅西口の再開発について、先日、福井市がNHKに誘致を要請するということで、事業そのものも新たな局面を迎えていると思います。これについての印象と、これからの県の関与のあり方について伺えればと思います。

【知事】
以前から駅前については県として重大な関心を持っておりますし、またしかるべき応援をしなければならないということはいつも申し上げているところです。これからだんだん話を詰めていく必要がありますし、今回、NHKの話が出ているということですが、これはそうしたメディア、テレビを中心に、中心市街地に集客などの安定した賑わい創出や情報発信につながるということかと思います。NHKの立場でもいろいろお考えかと思いますので、一つの期待というのはあると思いますから、これから何が問題なのか、そうしたものを詰めながら県としての応援をどうするかということになると思います。

【記者】
福井市や地権者の方からは、県の床取得を求める声が上がっていますが、NHKの誘致が進められると、県として床取得を検討していくという考えはありますか。

【知事】
今のこの動きをもう少し全体性をもって見ながら話を詰めていかなければなりません。もちろんNHKの真意についてもさまざまな形で確認することも必要ですし、条件もあるでしょう。そうした中で県としての考えを明らかにしていく話であり、入り口の段階に達し始めたということでしょう。

【記者】
オブザーバーという立場ですか。

【知事】
オブザーバーというのは、事業の主体か主体でないかという意味での言い方であり、オブザーバーだから何もしなくていいということでは全然ありません。立場を明らかにして参画をしていくということです。

【記者】
予算が昨年度比12.5%増ということですが、雇用対策について実際にどれくらいの効果が実感されているかをお聞きします。

【知事】
先ほど申し上げた失業や有効求人倍率は、全国的に見て劣っているどころか、上位にありますし、大規模な解雇が生じているといったことはないわけです。そうした意味では効果が上がっていると思いますが、いろいろな指標等を見ますと、特に製造業以外のサービス業のいろんな売り上げの動きが鈍いといった議論がありますし、個々の企業のいろんなヒアリングなどを通しても、大分よくなったとはっきりおっしゃる方はいないということですから、予断を許さない状況にあると思います。ですから、今の段階でやれることをまず用意しておいて、また次に備えなければならないと思います。

【記者】
具体的に、今のうちからどんなものが用意できると思いますか。

【知事】
今回の融資などの予算措置です。それから、既に9月で何本かの借入金をまとめて一本の借入金にして、条件を緩和して繰り延べして返していただくというやり方も入れておりますし、マル経資金というのは非常に小さい企業に対する借り入れの金利を上乗せということですから、0.04%程度の無利子に近い、全国に例のない施策をやっています。雇用助成金も福井県独自でやっていますから、ある程度そうした支えはしていますが、それがどの程度効果があるか、これから年末を見ていかないといけないと思います。
それから、産業問題をどうするかというのが課題です。これは次の段階の課題です。これは景気だけではなくて国全般の問題でもありますが、方向がはっきりしませんから、県としてこれをどのようにもっていくかというのは、ある程度早目に考えなければいけないと思っています。

【記者】
南部先生からの提供物について、4月30日に大阪大学で知事が南部先生とお会いになって依頼されということでしたが、その際、南部先生の意思はどのような形で表現されていたのでしょうか。

【知事】
ノートとはおっしゃいませんでした。いろいろ考えさせていただくということでした。今回、貴重な物をいただきましたので、これからもさまざまな機会をできるだけ得て、子どもたちに励みになるものをと思います。あまりいただくという話ばかりしてもいけないのですが、いただくもの以外にもいろんなやり方があると思いますので、そうした努力をしたいと思っています。これはその一環です。

【記者】
寄託などではなくて、いただいたということでいいのでしょうか。

【知事】
正式には、期限なしでお借りしているということです。

【記者】
仕分け作業自体に対してやや否定的な感情を持っておられるようですが、そうですか。

【知事】
仕分けというのは、何か抽象的なものではなく、何を対象にするかというのがやはりあるのではないでしょうか。先ほども言いましたように、ものを分けるというのは、いろんなランクを付けるということですが、ランクを付けるものを選ばないといけません。例えば、極端に言えば、マニフェストを仕分けするわけにいかないのではないですか。物事に応じてちゃんと区別してやらないといけないということはあると思います。ですから、事柄の前提をはっきりさせないといけません。仕分けをする議論の時間や仕分けをする人たちの判断などがありますから、それにふさわしいものを選ばないと、せっかくのその意図がうまく実現できません。逆に弊害や副作用を及ぼして、狙いがそのまま実現されないという問題があると思います。

【記者】
事業仕分けに「もんじゅ」が入っていることについては、知事はおかしいという意見でしょうか。

【知事】
「もんじゅ」については、何を議論したのかが分かりません。「もんじゅ」の何を仕分けたのか理解できません。


── 了 ──
 

 

 

 

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