知事記者会見の概要(平成22年1月4日(月))

最終更新日 2009年9月16日ページID 010343

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平成22年1月4日(月曜日)
10:00~11:30
県庁 特別会議室

 
知事記者会見
 

 

【知事】
新年明けましておめでとうございます。

私からまず、発表項目についてご報告申し上げたいと思います。
最初の項目は、「福井県経済新戦略討会議」の設置についてです。
昨年1年を振り返りますと、政治・経済状況とも大きな変化があった年と実感しています。リーマン・ショックを契機に世界的な金融・経済危機の余波が日本にも及び、この問題をどのように解決していくかということが、日本のみならず世界各国の経済・政治の大きなテーマだと思います。
福井県の経済・雇用状況ですが、有効求人倍率が11月は0.64、また7~9月の完全失業率は3.5で、いずれも全国一の業績となっています。しかし、この数値だけで満足したり、安心しているような状況では決してないと思います。新しい年を迎えて、引き続き経済対策を県政の第一の課題にしなければならないわけです。
このため、県内外の経済界の代表からなる「福井県経済新戦略検討会議(仮称)」を設置して、今回の世界同時不況、本県の産業構造の展開、地域経済の活性化という新しい戦略に取り組みます。あるいはむしろ、取り組まざるを得ない状況であるわけです。できれば1月中に第1回目の会議を開く予定です。

具体的なテーマについては、世界市場と福井との産業の関係、成長する分野と福井の産業との結びつき、福井県独自のさまざまな資源や文化と福井県の産業などをテーマに議論を進めるのがよいのではないかと思っています。関係の委員にどう進めるべきか、方向も論じていただくことが重要ではないかと考えています。
 委員の構成としては、県の経済団体連合会長の川田達男セーレン社長や、元経済産業省事務次官の北畑隆生さん、それから伊藤忠商事社長の小林栄三さんといった方々を予定しています。さらに数名の方に委員に入っていただくよう、現在調整を行っているところです。ご多忙な方が多いわけですが、できるだけ委員として今回の戦略の図柄を描けるような人たちに入っていただきたいと思います。その運営に当たっては、有効にご指摘いただけるような体制を考えながら進めたいと思っています。今まさに東アジアの新興市場のグローバルな展開が重要であり、そうしたことを行っている企業のトップ、有識者、県内外の経営の第一線で活躍している方にお願いしたいテーマです。
 
なお、この検討会議においては、来年度以降の経済・雇用対策はもとよりですが、将来ビジョンを検討する別の議論とも連携しながら、本県経済の持続的な発展のための中期的な戦略についても提言をいただくことになると思います。

二番目の項目は、平成30年に予定している第73回国民体育大会に向けた準備についてです。
国民体育大会については、昨年7月に設けた国体ビジョン策定委員会の各分野の専門部会において、基本的な方針を今まとめているところです。今月中には取りまとめのための国体ビジョン策定委員会が開かれ、新しい形での指針となるビジョンが策定されると思います。このビジョンでは、県民が中心となった国体であることが必要である、また、健康長寿につながる国体であるといった方向性も示されると思いますが、何といっても、単に国体を開くということではなくて、そうしたイベントを開くことが福井県の発展にどのような意味を持つのかを大事にしながら、体育大会の開催に向けたさまざまな考え方を整理し、準備することが大事ではないかと思っています。この国体ビジョンが策定された後、文部科学省と(財)日本体育協会に国体開催要望書(内々定の申請)を申請することになると思います。
昨年12月に公表された全国体力・運動能力調査の小中学生の成績が全国トップということを考えますと、子どもたちのスポーツ能力の向上、そこから、秀でたプレーヤー、アスリートなどの発掘と能力の発揮を進める必要があると思っています。
なお、新しい政府においては、スポーツや体育についてさまざまな意見があるようですし、十分に把握していないところもありますが、政府の考え方なども十分確認した上でこれからの対応をしていきたいと思います。

以上が主な項目ですが、今年予定している主な行事について申し上げます。
ご承知のとおり、6月19日、20日に2010年日本APECエネルギー大臣会合が福井県で開催されます。21の国・地域の閣僚や政府関係者が参加するわけであり、それぞれの国のメディア関係の皆さんも出席すると思います。
本県のエネルギー政策、原子力関連の先端技術はもとよりですが、歴史、文化、自然、食べ物など、本県のよさをアピールする絶好の機会でもありますし、何といっても、将来を担う福井県の子どもたちが、こうした会合にさまざまな形で関わって、国際理解を深めることも極めて重要なテーマと思います。
そこで、3月に「APECジュニアフォーラム」を開き、県内各地の中学生にエネルギー問題、参加する国々の地域の政治や経済、歴史、文化などについて、自主的な社会的勉強をしてもらい、その成果を発表してもらう予定です。その際には、APEC参加国・地域の人々に各学校に出向いてもらって交流する機会なども設けたいと思っています。また、子どもたちの自主学習の成果については、大臣会合の場で参加者への提言などの形で伝達できればと考えています。
APEC参加国大使によるリレー講演会等については、ペルー、ロシアについて既に実施していますが、続いて、1月21日(木)に、駐日ベトナム大使のグエン・フー・ビンさんをお招きし、県立鯖江高校でベトナムの歴史や文化についての講演をしていただく予定です。さらに、各国・地域の方々に福井県の関心度をあらかじめより高めてもらうよう、参加国・地域の駐日記者を事前にお招きし、取材を行っていただくプレスツアーを3月に予定しています。若狭湾エネルギー研究センターや永平寺など、本県の代表的な観光地についても取材をしていただいてはどうかと考えています。
APEC開催を機に、福井県が進めているエネルギー研究開発拠点化計画を世界にアピールし、福井県がアジアなどにおける原子力分野の人材育成拠点となるよう、国際原子力人材育成センターの設置準備も進めていく予定です。

2つ目として、今年は県立恐竜博物館開館10周年です。これに合わせて、6月には、地方自治法施行60周年を記念しての、フクイラプトル、フクイサウルスをデザインした記念硬貨が販売されます。1,000円と500円の2種類です。図柄は本県からのアイデアにより、恐竜の形で実現したものです。PRに活用していきたいと考えています。
また、昨年10月に購入したカマラサウルスの全身骨格化石については、復元、組み立てに1年ぐらいかかる予定ですが、クリーニングや組み立て作業等のプロセスを公開して関心を高めていきたいと思います。

3つ目として、今年は、本県出身の文字学、漢字学の研究者である白川静先生の生誕100周年に当たる年です。これまで子どもたちが楽しく漢字を学べるよう、すべての小学校で白川文字学を使った独自の教材の漢字学習を実施しています。100周年を機に白川先生の業績の普及、教育現場での活用をさらに促進するよう、シンポジウムの開催などを検討しています。また、最近は全国各地で、白川文字学に限らず、さまざまな漢字学、文字学などの研究も進んでいるように伺っていますので、そうした人たちに集まってもらうといったこともあり得るのではないかと思います。

4つ目として、将来ビジョンの策定について11月に着手しているわけですが、1年程度でつくっていきたいと思います。県議会、各分野の第一線にある有識者のご意見のほか、10年あるいは20年先の福井県を担う若者たちを中心にした意見もお聞きして、私も一緒になって、全国をリードする先進的なビジョンにしていきたいと思います。
なお、本年は子ども・子育て応援計画の策定、森林・林業、水産業の計画策定を3月頃までにはつくる必要がありますので、予算と並行しながら具体的な計画化を図り、できるものは直ちに並行して新年度の予算に織り込むという方向を目指していきたいと思います。

【記者】
経済新戦略検討会議について、経団連、元経産省の方、伊藤忠の現役の社長ということですが、メンバーの構成として財界と県の方は大体どれくらいになりますか。

【知事】
10人弱でしょうか。県内では経済界の方数名、あるいは県立大学です。県外はなお何人か、別の方に当たっていますが、みんなお忙しい方ですので、この会議の趣旨などをお話しして、ご納得いただき、かつ、できるだけお気持ちに沿わなければいけませんので、そうした調整をやっているところです。

【記者】
会議では、また提言をもらうのか、それとも、何かシンクタンクのような、成長を描いてビジョンをもらうのか、どのような位置づけになるのでしょうか。

【知事】
提言だと思います。ただ、問題が難しいですし、福井県だけでなんでも解決する問題ではありませんので、かなり新しい形になり得るわけです。ですので、今は絵をはっきり申し上げにくいし、まさにそうした絵を描くということだと思いますので、気持ちとしては、先ほど申し上げたような方向でつくってもらいたいと思います。

【記者】
会議の内容について伺いたいのと、提言として中・長期的なビジョンをまとめたいということですが、具体的にどんなところに重点を置いていきたいと思いますか。

【知事】
これは産業政策ですので、主に、福井県の産業、企業の実態を我々なりに把握しながら、アジア、中国などとの貿易について、どのようにすれば成功するのか、どの程度のコンタクトが必要なのかなど、そうした方向が1つあると思います。
これからは、環境や省エネ、CO2削減、健康など、新しい分野が発展分野と思われるわけです。そうしたものをどのようにしてアプローチしていくかということが大きな課題になるのではないかと思います。また全然別の課題が出てくるかもしれません。

【記者】
提言はいつ頃までにはっきりした形にしたいという目標はありますか。

【知事】
これは政策として実行しないといけないものですから、ゆっくりしているわけにはいきませんので、年の遅くに提言をもらうようなことにはならないかもしれません。今の段階で方向がはっきり定められないところがあります。できるだけ早くと思います。

【記者】
少なくとも今年の秋ぐらいまでにはということですか。

【知事】
早くしないといけないとは思います。

【記者】
貿易の交流拡大という話は、やはり中国やアジア方面ということですか。

【知事】
特に、中国、台湾などのアジアでしょう。観光などもあります。中国、台湾などアジアからの来訪はどんどん増えると思いますから。

【記者】
以前、経済戦略会議というものがあり、今この時期に改めて新しい会議を立ち上げるということですが、その背景について詳しくお聞きしたいと思います。
また、将来ビジョンとの連携について、1年かけて将来ビジョンを策定するというお考えですが、提言を戦略会議からもらって、その後で将来ビジョンに反映させるという考えなのでしょうか。

【知事】
将来ビジョンは10年以上のスパンです。姿を描くということですが、戦略会議はもう少し短期的な話になると思います。いかにこれから仕事を進めていくかということになると思います。期間的にはもう少し短いと思いますし、かなり実践的な話になると思います。

【記者】
以前、経済戦略会議があって、今また新たに会議をつくるという点についてはどうですか。

【知事】
福井県や日本の周辺の状況として、経済成長や技術革新が、この一、二年にどんどん変化していますし、また、金融問題などアメリカとの関係を含めいろいろあります。そうした急に変わったことを、以前の計画やビジョンでは必ずしも想定していませんでしたから、新しい状況を前提にやり直さざるを得ないし、やるべきだということです。

【記者】
以前の戦略会議では、メンバーもホンダの吉野社長など日本トップ企業の首脳が加わっていましたが、その過程を見ると、マニフェストをどう実行していくかということで、数値目標と手段、成果などの非常に細かい議論がその中でも交わされたと思うのですが、今回の戦略会議は以前の会議とはまた違う中・長期的なものになるのでしょうか。

【知事】
今申し上げましたように、もう少し短いと思います。実際にやらなければいけないことですし、ビジョンではなくて戦略ですから。それぞれの企業が行動する時に何を考えたらいいのか、それに何が足らないのか、この分野だと行政は応援できるのか、できないのか、企業がどちらの方向を目指すべきかなど、非常に難しい課題ですが、そうしたことを何とか出していけたらいいのではないかということです。
以前の戦略は、もちろん使えないというものではありませんが、状況が変わってきていますので、計画全般にそうしたところがありますが、新しい状況を踏まえるということだと思います。

【記者】
それは、産業支援的な側面が強いのでしょうか。それとも、雇用などの面にも踏み込むお考えでしょうか。

【知事】
主に産業です。物をつくったり、売ったり、あるいは先方から人がどうやって来るかといった話です。

【記者】
賃金がずっと下がってきていたり、新卒の就職の厳しさもありますが、経済会議でできるものは、来年度予算に反映させる部分があるのでしょうか。また、知事の任期中に提言をいただいたとして、その政策は任期中に行う意思があるのでしょうか。

【知事】
時期的には、新年度予算にはほとんど反映できないと思います。いろいろ参考にはなるかと思いますが、直接にはできないのではないかと思います。
任期と県内の中小企業を中心とした産業政策とは無関係です。それは関係ありません。企業のためにやるわけですから。

【記者】
戦略会議の設立はいつになるのでしょうか。

【知事】
1月中・下旬です。

【記者】
メンバーは4、5人ですか。

【知事】
現状ではっきりしている方のお名前を申し上げましたが、10人弱だと思います。

【記者】
そのうち4人ぐらいが県外の方ということですか。

【知事】
はい。

【記者】
そんなに長期のことを見据えたものではなく、とりあえず現状ということなので、いわば今後数年レベルの話ということですか。

【知事】
もちろん、何をなすべきかということですから、かなり見通しは必要ですが、戦略的見通しであり、ビジョンのように10年後にどんな姿になるかということにポイントがあるのではないと思います。

【記者】
会議としては数回ぐらい開くということですか。

【知事】
新年度では2、3回開く感じになるかと思います。

【記者】
一口に対アジアと言っても、切り口がたくさんあると思いますし、企業であればJETROなど、データをもらえば賄える部分もあると思うので、切り口がはっきりしないと単にやっただけで終わりかねないと思います。例えば、そうした企業誘致をするのか、もしくはアジアとの貿易をするならどんな分野を中心にやるのかといったことは、もう少し絞り込まないとなかなか描けないのではと思うのですが、どうでしょうか。

【知事】
さきほど3つぐらい申し上げましたが、いろんな絞り込みや、優先度は何かというのは、この委員会でやってもらうことになります。ともかくやらないと方向が見えないということですから、着手すべきであるし、せざるを得ないということだと思います。

【記者】
その有力なものとして、アジアとの貿易や観光などが今のところは有力だということですか。

【知事】
と私は思っています。

【記者】
その人たちがどういう結論を出すかを待ちたいということですか。

【知事】
はい。

【記者】
福井県に関わる国家プロジェクトが新年から新たな節目を迎えてくると思うのですが、これに対してどのような姿勢で臨むのでしょうか。

【知事】
新しい政権では、いろんな手続きや主張を具体的に展開して、それを受けて方向を出すようなことがシステムとしてはあるわけですから、北陸新幹線なども年明けになりました。国家プロジェクトではありますが、福井県としてのいろんな考え方、地域への利益や将来の使い方などを述べるような機会が早々に来ると思います。我々はそれを確認しなければなりませんが、福井県としてそうした準備をして、十分な説明をすることだと思います。新幹線、道路はそれほどでもないかもしれませんが、ダムなどはそうかと思います。重要なことは、国家のプロジェクトですから、国が責任を持っておやりになる部分がありますので、それを地元としてどう受けるかという立場での説明になると思います。

【記者】
今年は、新幹線がどうなるかということを含めて、原子力、「もんじゅ」をはじめ、敦賀1号機の問題、プルサーマルなどいろいろあります。「もんじゅ」の地元了解、敦賀1号機もそうですが、福井県としてゴーサインを出す時の基準や、安全最優先というのは、県民としても何かはっきりしないと思うのですが、県が考えるゴーサインの基準や条件といったものは、具体的にどのような考えでしょうか。

【知事】
原子力については、一番重要なのは安全性の確認です。これは信頼を確保する意味で極めて重要であり、第一義的には国が責任を持っているわけですが、その手続きが適正に行われているか、手続きが終わったかどうか、その結果を福井県として確認が終わったかどうか、終わるかどうかというのが1つあります。それから、地域住民の合意です。これは、福井県のみならず、県議会、そして、地元の敦賀市などの理解を確認することが2つ目です。3つ目は、地域の恒久的な福祉、振興が十分に確保されているかということです。

【記者】
「もんじゅ」に関していえば地震があります。地盤や耐震などについての国の審議はまだ終わっておらず、4月頃に結果が出るかもしれませんが、それを待ってから判断されるのでしょうか。

【知事】
これは3つのうちの最初の問題です。国の原子力安全・保安院の専門家の意見聴取が必要です。今月中には来られるかもしれませんが、そうしたものがまず終わっていないと、先ほど言った前提にならないわけで、国がちゃんと終わったか、終わったものを我々がまた判断したか、ということですから、「もんじゅ」はまだその途中です。

【記者】
国の方で専門家、有識者が話し合って、その話し合いの結論が出ないと、県としてはオーケーを出せないということですか。

【知事】
当然です。

【記者】
地域住民の合意は、敦賀市であれば市長、ほかの町も首長として、地元の代表者がいいですよと言ったことがすなわち地元の理解と捉えてよいのでしょうか。

【知事】
そう理解しています。

【記者】
国体について、昨年は年頭に誘致を表明してビジョンを策定していく1年だったと思いますが、今年1年の大体の予定として、ビジョン策定後に新たな委員会のようなものをつくって何かを詰めていくなどの予定があれば教えてください。

【知事】
その後は、ビジョン策定委員会で議論されたいろんな県民運動などをどうするのか、さまざまな人材の育成をどうするのか、場所をどうするのかなど、そうした話をしていくと思います。

【記者】
どこの会場で、どんな競技をやるということですか。

【知事】
そうです。ただ、その前提としては、この国体が県民益にどうつながるのかという視点をはっきりして行わないといけません。そんな話にすぐ行ってしまうような話ではないですから。

【記者】
今年は特にどんなところに力を入れて、どういった政策をして、福井県をどのような形にしていきたいかという抱負を一言いただけますか。

【知事】
気持ちとしては、福井という地方から新しい姿をできるだけ出していくということかと思います。それが日本全体にいろんな影響を与えて、他の自治体もそうした努力をして、地に足のついた姿の国づくりをするということだと思います。ともすると逆になり、システムだけを観念的に変えたり、大都市、東京などを中心にした考えになると、本当の意味で地方が発展しません。そうしたことを根本からやっていくということかと思います。そういう機運を盛り上げていくということです。

【記者】
特に県としてどの政策が一番重要だと思っていますか。

【知事】
福井県の強みといえば教育でしょうか。教育や子育て、そうした分野は強いですし、もう1つは、私たちに一番関心のある問題として、医療、健康などかと思います。3つ目はエネルギーかと思います。
特に教育については平均力が高いですが、これをいかに高めていくか、システムというよりも中身をよくしていくということだと思います。

【記者】
春になれば2期目の最終年度に入るわけですが、そうした観点で知事自身の抱負として、どんな仕上げをしていきたいと思いますか。

【知事】
マニフェストをもう一度予算の前によく見返して、何ができていて何が足らないのか、全体の世の中の動きの中でここはこうしたらいいかといったことを見て、できるだけ財源を伴った予算立ての形で実行するということだと思います。
マニフェストでは財源などが伴わないとただの願い事になりますが、私としては財源をつけたマニフェストをつくったつもりですし、それを確認しながらチェックしたいと思います。

【記者】
報道では、新政権が、子ども手当について、高額所得者の方にはふるさと納税という形で寄付するような仕組みを検討するようなこともあるようですが、その点はどう考えますか。

【知事】
ふるさと納税をさまざまな形で活用されるというのはいいことだと思います。歓迎いたします。ふるさと納税については確定申告が必要ですが、サラリーマンの方などについては、年末調整で控除が受けられるように手続きを簡便にすることを要望しています。理想論としては確定申告の手続きを改めるのがいいのですが、日本では数年のうちに確定申告で何でも解決しろというのは無理ですから、しばらくは年末調整などの簡便な方法で寄付などの社会に貢献する国民の行動を励ますことが重要だと思います。
ふるさと納税を含めて、寄付する場合には、税制面では5,000円の控除適用下限額がありますから、そうしたものをなくすということがあります。
それから、個人住民税所得割額の1割を控除額の上限にしていますが、寄付を希望する人は、これを超えるのか超えないのか、神経がそこへ行ってしまいます。2、3割にしておくと、この辺で制度上カバーしてくれるというゆとりを持ってやれるようになります。細い道を自転車で行くような感じで、少し道が太くないと、ゆっくり自転車を走らせることができないわけですから、せめて2、3割の上限にしておけば、この制度が普及すると思います。もちろん子ども手当との関連はいろいろあると思いますが、この制度をきっかけに一般的に普及すべきだと思います。

【記者】
先ほどの年始の職員訓示の中で、新幹線などの高速交通体系や、ダムなどのプロジェクトが具体化するということに言及されました。新幹線を例にとれば、国はある程度の予算の見通しを立てて、例年であれば、年度末に具体的な箇所的なものが示されてもいいはずですが、今回は参議院選挙がありますので、政局も絡んで、新しい政権もどんな思惑で臨んでくるのかが分からないところもあると思います。
その一方で、スピードを上げて整備の実現を図ってほしいという知事の思いからすると、6月の参議院選挙の政局絡みで地方の抱えるいろんな課題が動くことに対して、どう思いますか。

【知事】
優劣を考えて、できるだけ合理的な判断を早くしていただくことを期待しています。あまりそうしたいろんな思惑が入らないことが望ましいと思っています。しかし、政治的なことで物事が進むというのも事実ですから、それはそれとして、根本にあるそうしたことを理解した上で判断してほしいと思います。

【記者】
訓示の中で、地域主権という話の最後に、いろんなことを地方が主張すると、地域の勝手だとかエゴと感じられるという話がありました。地方としては、説得力、イデオロギー、観念を明確に示さないと、国民の理解を得られないという、職員に対する叱咤激励があったのですが、そうした言葉の裏側に、報道などで何かそうした印象を抱いたということがあるのですか。

【知事】
これからは、明瞭で心に届くようなメッセージ、考え方、言葉をさまざまな政策や我々の予算などで打ち出さなければ、理解しづらいですし、全国に通用しないという意味です。それを分かりやすく言ったということです。

【記者】
例えば、整備新幹線や地方交付税の増額についてもということですか。

【知事】
それはまた全然別の問題です。

【記者】
私自身がメディアに身を置く立場として、テレビの方がそうした論調が強いのかもしれませんが、新幹線の整備のあり方にしても、地方交付税の増額にしても、地方側にも無駄がたくさんあるではないかといったことが、東京のメディアではよく語られるのですが、どうですか。

【知事】
それは全体のシステムの話で、また次元の違う別の話です。県の新年度の予算などの政策で、全国の皆さんに分かりやすく伝えて、福井の事例がさらに役立てられるようにしたいといった思いで述べたものです。

【記者】
むしろそちらの方に重点を置いた話だということですか。

【知事】
そうです。交付税や新幹線は、そんな話と関係なく、当然に行うべきことであり、言葉の問題ではないと思います。

【記者】
新幹線について、年明けから早々に具体的な協議が始まっていると思いますが、その中で並行在来線のことや、そうしたこれまであまり議論が本格的にされていなかったことも入ってくると思いますが、どのような姿勢で臨む考えですか。また、これまでのように、これが必要と言うだけではいけないという気がしますが、どうですか。

【知事】
並行在来線については既に方針も出ていますから、地元負担の問題などは、従来の基本的な考え方を主に確認的に申し上げることになるのではないかと思います。特に富山、石川、福井で異なるものではありませんから、共通の課題です。共通してより負担を軽減していただけるとか、そうしたことはこれからの地方のためには大事だと思っています。福井だけが何か違う特別な話があるわけではないと思います。
 

 


── 了 ──
 


 

 

 

 

 

 

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