知事記者会見の概要(平成22年2月19日(金))

最終更新日 2009年9月16日ページID 010828

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平成22年2月19日(金曜日)
10:30~12:00
県庁 特別会議室

 
知事記者会見
 

 【知事】 
今日は、22年度の当初予算案および本年度2月補正予算案の内容について申し上げたいと思います。

22年度の当初予算は、私にとって2期目の4年目における通年予算であり、マニフェスト「福井新元気宣言」に掲げた政策も締めくくりの段階です。この予算の編成にあたっては、最近の新しい情勢を踏まえて提言をいただいた「子育て」、「文化」、「水産業」、「林業」の政策に加え、いま一度、全体としてマニフェストの各項目を確認し編成しました。
特に、「子どもたちの学力の向上、体力向上」や、健康・長生きにかかわる「がん対策」、「スポーツ・体育の振興」、「次世代産業の育成」、「雇用の問題」などに力を入れたところです。

一昨年秋からの経済不況については、一部業種において受注が回復するなど明るい兆しが見えている一方で、福井県は失業率が日本一低い状況にあり、あるいは有効求人倍率も全国に比べるとかなりの高さです。ただ、不況が継続化し、はっきり好転の動きがなく低いままの状態ですので、経済・雇用対策は基本的に大きな課題だと思います。また、給与水準などもなかなか上がらず、物を買う動きが極めて弱いという状況でもあります。

そうしたことを踏まえ、雇用、中小企業を中心に厳しい状況が続いていると判断せざるを得ないわけであり、こうした問題に対していかに予算の面で対応できるかというのは、我々も十分努力する必要がある分野だと思います。昨年同様、今回が2回目ですが、当初予算と2月補正を一体的に経済・雇用対策を実施して、一日も早く広い意味での元気を回復することを目標にした予算を編成したということです。
ですから、「ふるさと福井の元気再生予算」ということになります。

今回の予算を要約すると、以下の大体8つの項目になると思いますので、それに応じて申し上げます。

新年度の一般会計予算総額は4,997億円、ほぼ5,000億円です。前年度比は3.9%増、2年連続で予算規模が前年度を上回るということです。最近では、平成9年度、10年度と2回上がっていますが、ずっと低下傾向にありました。今回、21年度、22年度と2年連続で増加傾向であり、平成10年度以来、12年ぶりに2年連続で予算を増加させているという姿になると思います。

予算の特徴ですが、新年度の当初予算と2月補正を一体として編成しており、21年度当初予算を2割強上回る、事業規模で913億円、予算規模で375億円の経済・雇用対策を実施することにしました。そして、今ほど申し上げましたように、年度内に策定する新しい「水産」、「林業」、「文化」などの計画の事業、それからマニフェストに関連する予算が組まれているということです。この中には融資がありますので、事業規模は予算に対して3倍近くの数字になると思います。

一般会計で、22年度と21年度の差が大体188億円ですから、200億円弱を増加したわけです。200億円ぐらいといいますと、人口が5~6万人の市の予算ぐらいのスケールであり、県の予算に増加分として上乗せしたということになると思います。
歳入の状況ですが、実質県税収入は946億円。実質という言葉が入っていますが、これは法人関係の税を大都市と地方で再配分する分を入れているわけです。名前が法人譲与税になっていますから、本当は地方の税のはずですが、技術的にそういう名前になっていますので、実質、地方税に相当するものということで946億円、前年に対して73億円の減になるわけです。この法人譲与税を除く県税は804億円ということになります。102億円の減ということです。

一方、地方交付税ですが、地方財政計画においては地方交付税の増額となり、1,166億円、プラス82億円です。これは全体として、県税、交付税、地方の一般財源という地方が自由に使えるお金が増えたわけです。
県債、借入金ですが、21億円減の862億円です。これは性質が2つに分かれ、通常の建設事業に使う通常債、それから、いろいろなお金が足りないということもあり、後年度交付税措置がされる臨時財政対策債の発行を行っています。通常分については国の公共事業の減少があって105億円の減ですが、財源措置が後年度あるものについては増えています。

次に、行政改革関連について参考に申し上げますが、厳しい税収減などの財政状況に対し、職員数の削減により人件費を11億円削減するなど、引き続き行革を徹底しているところです。また後ほど詳しく申し上げますが、新行革プランに追加してさらなる行革を行うということで、財源振り替え、事務費や職員の手当を振り替えて、子どもたちの医療費の軽減に向けるというやり方を今回行っているものです。

なお、収支不足が生じますので、県の貯金を35億円崩して対応することになります。来年度末時点で貯金残高が176億円という状況です。数年前につくった新行革プランでは108億円を残そうという計算になっていましたが、70億円ぐらいはまだ余分にあるという状態です。この金額が多いか少ないかはいろいろあるのですが、先ほどの県税収入と地方交付税で合わせて2,000億円ぐらいになり、これに対して176億円が県にあるという数字になったということです。

それから、歳出、政策について申し上げます。
まず経済・雇用対策ですが、先ほど申し上げた数字で、事業規模は900億円台、予算規模は375億円。参考に、前回よりも事業規模で約200億円近く大きい、予算規模で100億円ぐらい多いということです。
なお、財源ですが、税金や交付税など一般財源は37億円、そのほかは、国からの基金、国庫補助金、融資などで対応しているという状況です。

雇用対策の具体的な内容については、年間4,000人の雇用の創出ということで、有効求人倍率は12月現在0.63倍、全国第2位の水準ですが、依然として1倍を下回っている状況は変わりません。そうした状況が継続しているのは事実ですので、年間4,000人の雇用を創出し、特に失業中の人たちへの雇用・就業機会を確保したいと思っております。さまざまな事業で雇用するということになります。

それから、学生の就職支援です。昨年に比べますと、新規学卒者の、特に大学・短大でまだ見込みの立っていない方が150人ぐらいおられるということですので、一時的に雇用を確保するなど、継続的な就職活動ができるように支援すると同時に、高等学校について公立・私立共通に、就職コーディネーターが25人いるのですが、50名に倍増し、個々の企業に個別に具体的に当たっていくということになります。
なお、雇用維持に努力している企業に対しては、国の雇用助成金に県が上乗せして、助成を引き続き実施したいと思います。

次に、中小企業の経営安定です。資金繰り支援ですが、全体で602億円ということになります。2年目ですが、個々の非常に小さい企業に対する利子補給は、新しい福井県独自の政策です。
特にここは、借り換えをして何種類もの借金をしている企業に対して、まとめて10年間の新しい融資に借り換えをして次に備えるといった資金を特に増やしているということです。前年度は60億円でしたが、100億円増えているという状況です。

それから、お金のやりくりだけでは将来がありませんから、新しい成長分野、環境エネルギー、福祉、医療などの分野に対する応援制度も充実したいと思います。物を開発してからつくって売るまでの支援になると思います。

公共投資、消費拡大ですが、公共事業については、全国伸率が81%に対して84%と、強めに組んでありますので、これから予算を確保しなければなりません。国に対して、この額が極力確保できるように努力しなければならないということです。しかし、国の事業、公共事業だけでは景気対策としては厳しいものですから、県単独事業について、さらに55%伸ばしているということです。

消費関係では「ふるさと商品券」についてですが、10%のプレミアムのついた商品券を県内15万冊、県外者に対して1万冊を販売して、地元の商店街などの消費につなげます。また、さまざまな宣伝用のツールを作成して応援したいと思っています。

そのほか、環境と自然はこれからの大きな拡大分野だと思いますが、太陽光あるいは電気自動車などについての政策です。また、県内企業の省エネ改修工事支援などを行います。

県民生活への安心の確保ですが、これも景気対策の一環という色彩を帯びると思います。特に、一番大事なのは学校の耐震化です。県立学校はこれでほとんど解消すると思います。特に市町村では耐震基準がDやEというのはほぼ解消します。C段階でまだ残っているものが少しありますが、これで大体大きな流れができると思います。また、福祉施設などについても強くなると思います。

医師確保に向けた先行投資、これは医師不足、特にへき地などの医師不足、公的病院でもそうした状況がありますので、8名程度派遣します。
それから、救急医療が大きな課題ですので、県立病院には周産期母子医療センターがありますが、福大附属病院にも設置します。小児用の初期救急センターは民間の医師も協力しながら行うものですが、23年度設置に向けて検討を始めます。
それから、心の医療について、24時間相談体制をとることになると思います。

なお、いざというときの予備費を昨年と同額で6億円計上し、必要に応じて投入をすることになると思います。

それでは、次に、新しい「子育て」、「文化」、「水産」、「林業」の計画についての内容です。

「子育て」については福井県が全国に先駆け先導的にやっています。子ども手当などいろんな制度が国で行われましたが、理論的には県の「3人っ子応援プラン」などと重なるという考え方もあるのですが、引き続き福井県の独自の制度はまず継続するということです。

もう1つは医療費助成の拡充です。県庁での行政的な事務費や職員の手当を3億2,000万円削減して、これを振り替えて、子どもの医療費助成に回すという方法をとりました。財源がなかなか捻出できませんので、あえてこの経費を削減して振り替えるということであり、全国的には医療面での子育ての充実ができるのではないかと思います。

今までは学校へ行く前まででしたが、やはり3年生ぐらいまでは病院にかかることが多いので、医療費の負担をより軽減します。それから、小学校までについても、市町が実際はこれを行って、県はその一部を応援していましたが、県の応援を強化することによって市町の財政負担が軽くなるということですので、二本立てで行っていくというものです。
なお、就学前から3年生までについては、今、学校へ行くまでの自己負担は、子どもの場合2割、小学校に入りますと3割になります。ちょうど1割の差がありますから、小学3年までは自己負担として500円だけいただくという方法をとって、この制度を運用したいと思っています。

医療費助成については、全体で県として5億円です。既存の医療費支援が、お子さんが1人や2人の場合にはゼロ歳から3歳まで、3人目については入学前までにかかる経費の応援は引き続き県として行いますので、それを含めると5億6,000万円になります。これは毎年行わなければならないものですし、この経費も毎年、削減しない、戻さないということになると思います。

放課後子どもクラブについて、福井県の場合には共働き家庭が非常に多く、4年生を超えると、学童保育、放課後子どもクラブに入れなくて、かぎっ子になったり、何となく行くところがないなど、県民の皆さんの要望が非常に強かったものですので、6年生まで学校などの施設を活用しながら勉強したり、いろんなことをしたりして、安心して活動できるようにしたいと考えています。

それから、保護者の負担軽減の強化です。保育園でお子さんが急に熱を出すなどして、保育士さんがすぐに病院に送迎したい時、予算がないなどの理由で送迎できないと、子どもたちの健康に差し支えることがありますので、応援するということです。
こういう制度は、結局は企業がもう少し休みを簡単にとらせたり、理解があると、ちょっと1時間休む、2時間休む、午前中休んで子どもを連れて行くなどで解決できるので、相互に関係があります。企業の勤務制度がうまくいくと、保護者負担軽減の予算はあまり要らなくなるわけですので、どちらも強めていきたいと思います。会社の経営者と従業員がお互いに約束して、短時間勤務などを導入してはどうかということです。

独身者の婚活については、これは究極の課題であり、福井県が先進的にやっています。ポータルサイトを開設して、出会いができるようにし、また、引き続き女性の皆さんの力による縁結びなどもするということです。

次に、教育・文化の関係です。これまでも数年にわたり実施していますが、福井県民の子ども、小学校全員が県立音楽堂に必ず行けるようにし、文化に触れ、こういうものだとわかってもらえる機会を提供するということです。
加えて、福井県の伝統文化、文化財の整備を行います。今年は白川先生の生誕100年に当たり、白川文字学というのは全国的にも知れ渡っています。福井の子どもたちの学力にも深くかかわるキーポイントになるだろうということから、強化していきたいと思っています。

農林水産業の関係では、特に漁業者のハード・ソフト両面の支援を直接行うのを強化したいと思います。また、中学3年の学校給食に「せいこがに」や地場産水産物を提供します。それから、漁業環境の整備、資源保全です。特に、海女さんなどの応援、漁業資源に深くかかわる人たちへの活動支援などです。

次が林業です。林業はさまざまな支援を行っていますが、「山の境界がわからない」、「地権者の協議が調わないから間伐とか枝打ちができない」という意見が多いので、村ごと全体で、境界がはっきりしなくてもみんなで間伐するといった方法をとっていくというものです。
県産財の活用拡大については、天然乾燥した県内産スギ材を「ふくいブランド材」と位置づけて、複雑な木材の流通ルートを簡略化し、より直接的・合理的に県産材を市場に供給できる体制の構築です。
鳥獣害のない里づくりについては、極めて強い要望がありますので、今年度の1.7倍の予算をここに投入したいと思います。年間8,500頭の捕獲なども行う予定です。
それから、昨年は植樹祭がありましたので、継続して花と緑の運動を行います。

次は、マニフェストに基づくそれぞれの事業です。
まず、学力についてです。新年度から抽出方式で全国学力テストが行われますが、福井県は引き続き全員を対象に実施します。学力を上げるためには子どもたちが頑張ることはもちろんですが、先生方の指導力が大事ですので、目に見える形で授業力を強めていきます。先生がご覧になることはもとより、父兄の方などいろんな方に見てもらうことによって、教室での教授方法の改善、あるいは教え方の向上を進めていきたいと思います。

高校生は、個別の大学の試験が始まっていると思います。特に英語能力について、ALT(外国語指導助手)が今100人近くおられます。私は前のマニフェスト「福井元気宣言」で、高校を卒業したら普通の事柄は英語で大体話せるようになってほしいと願っていたのですが、まだそうなっていないようですので、英語の学力向上を実施するということです。もちろん中学校の英語教育も強めなければならないと思いますので、テレビなどの英語教材を積極的に活用することも必要かと思います。

次に不登校が増えていますので、きめ細やかな対応をしていきます。極めて大事な事柄ですし、子どもたちの将来の雇用、あるいはさまざまな社会問題にも関係しますので、強化したいと思います。
それから、私学への支援です。授業料の軽減などいろいろありますが、私学は特に負担が大きいですから、私学の取り扱いが公立高校とアンバランスにならないように応援したいと思います。

スポーツについては、平成30年の国体開催を予定していますので、長年にわたって蓄積をして残してもらった電気事業の売却益のうち50億円を原資としてスポーツ基金を設け、競技力向上など、国体開催に向けた準備に活用したいと思います。
なお、先日2月15日に福井国体ビジョンが提出されましたので、これを受け、来週2月22日に、福井県として国体開催の意向を共催団体の文部科学省と日本体育協会にその旨をお伝えする予定です。
その際、文部科学省と日本体育協会には、福井国体ビジョンの内容や考え方をお示しし、そのビジョンの実現について協力・連携を要請する予定です。

健康長寿に関しては、「がん対策」が極めて重要ですので、がん受診率の向上を強化します。検診率50%という目標にまだ届いていませんので、大幅に受診者を増やし、関心を高める必要がありますので、集団検診に加えて個別検診を対象に応援し、受診率向上を図ります。
陽子線がん治療施設の整備が進んでいますが、県立病院のがん医療センターに「胃がん」に加えて「大腸がん」のチーム医療を導入します。
なお、1年後の平成23年3月には陽子線がんセンターが具体的に仕事を始めますので、両々相まって、日本一のがん治療体制が整うように進めていきます。

産業関係については冒頭申し上げましたが、特に企業立地への支援、ブランド複合型の観光産業の振興です。目玉となる観光地づくりとして、昨年は永平寺でしたが、今回は東尋坊が対象です。福井県は海外観光客が少ないので、免税店の県内の設置などの応援を行います。
それから、農業・農村の再生について支援します。

次に、高速ネットワークです。新幹線については、一昨日、関係5県と政府との調整会議での聴き取り、説明、要請を行いましたが、福井県として北陸新幹線の必要性、優位性を訴えたところであり、夏までの実現を図りたいと考えています。
なお、中部縦貫道については財源がかなり確保されるのではないかという見通しであり、これも引き続き努力していきます。
舞鶴若狭自動車道につきましては、平成26年の全線開通が目標ですので、できるだけ早く、何か月でも早くつながるように進めたいと思います。

次は環境問題です。CO2削減などが大きな課題になっています。地球温暖化対策計画については、今年度までが計画期間ですので、新しい計画をこれからさらにつくる必要があります。昨年、ドイツ、ザクセン・アンハルト州とのいろんな連携もしなければならないということを申し上げたところですが、こうした中で、ドイツとの交流を進め、また、国の資金を活用しながら、さまざまなイベントでの交流なども進めていきたいと思います。
なお、10月には、第10回生物多様性条約契約国会議(COP10)がありますので、福井県も自然や保全活動を紹介することを考えています。

次は福井ブランドの発信です。6月に大きな事業(APECエネルギー大臣会合)がありますが、成功裏に終えられるよう進めていきたいと思います。
大河ドラマとの連携については、滋賀県など他県との連携が必要と思います。また、恐竜博物館開館10周年については、カマラサウルスを購入しましたが、クリーニングの公開等を実施します。
ふるさと集落の支援については特に市町からの要請が強いのですが、過疎地域の集落などが行う伝統行事や地域にとって大事なさまざまな産業おこしを応援していきたいと思います。
ふるさと納税については、引き続き金額の確保や有効活用に努めます。

以上です。
なお、新行革プランでは22年度末に土地開発公社、住宅供給公社の解散を予定しています。解散にあたり、保有土地の買い取りや破産処理に必要な74億円を県が負担する必要があるわけですが、この財源についは電気事業売却益を活用し、一般財源に負担が生じない処理システムになるよう工夫していることを申し上げ、予算の説明を終わります。

~ 質疑 ~

【記者】
政権交代後、初の予算編成となりましたが、県への地方交付税が増え、国直轄負担金の見直しがあるなど、知事としては、地域主権の実現がよりやりやすくなったと感じているでしょうか。地方交付税が増え自由に使える部分が増えたと思いますが、その点に関して、政権交代の影響をどう考え、受けとめているでしょうか。

【知事】
一般的に経済状況が悪いので、税収の伸びが期待できず、減少しているという大きな流れがあります。一方で、地方交付税がずっと減額傾向にあり、特に、平成16年に数兆円の減額などもあって、税収がそのままという状況です。一般財源が強化の方向にあることだけを考えれば、我々としては予算を組みやすいということになりますが、全般的に現在のような経済状況で、公共事業については国庫補助金など減少傾向にありますから、それも厳しいということです。予算編成の難しさというのはあまり変わらないと思います。

【記者】
昨年末、知事のマニフェストに対する県民アンケートを実施し、大方でパーセントが上がるという結果の中、障害者の満足度が一部低下した項目がありましたが、その点に関して今回の予算で反映されていると考えてよろしいでしょうか。

【知事】
特に教育などの分野に関心のある世代には満足度がかなり高いのですが、高齢者の方や景気に大きく影響する分野の方については、厳しい影響を反映して、生活が厳しいとか、将来どうなるんだろうというお気持ちが強いようです。ですから、これを踏まえて、雇用・景気対策を重視したということと、将来への安心やがん対策などに気をつけたつもりです。
なお、国の年金や介護などのさまざまな問題とも深くかかわりますので、我々だけですべてを解決できない分野がありますから、国への要請など、いろんなことをやらなければ完璧にはならないと思います。

【記者】
生活支援の活動などに重点的に予算を配分しているという印象を受けますが、いかがでしょうか。

【知事】
主眼が3つあると申し上げましたが、経済対策については、これは生活の基盤にかかわるので第1に掲げたわけです。
一方で、マニフェストに基づく事業については、4年間、それぞれ目標を持って、また成果も設定して進めていますので、あまり揺らぎはないわけです。しかし、最終年度ですから、お約束したことがきちんと実行できるかということです。今回、マニフェストで予定していた特別の財源についてはすべて投入しましたので、それによってマニフェストに書かれたものの目標は達成できると思います。
なお、先ほど申し上げた新しい計画については追加的に行っていくという考えです。

【記者】
経済対策は生活の基盤なので第1に掲げたということでしょうか。不況など経済面の影響が県民の生活に直結するので、最も重視したという意味合いでよろしいでしょうか。

【知事】
はい。先ほどの「子育て」や「がん対策」等を進めても、突然失業してしまったら生活の基盤が崩れるわけです。両方がうまくいかないと話にならないと思います。

【記者】
今の状況がもうしばらく続くと財源が不足してくるだろうと思いますが、今後どのようにして税収等を増やしていこうと考えていますか。

【知事】
なかなか名案はないのですが、やはり地場の中小企業の多い県ですから、企業に何としても頑張ってもらわなければならないと思います。ですから、今日はお話ししませんでしたが、県の長期的なビジョンや産業戦略も今進めています。同時に、地場の企業が今努力している方向と戦略的・政策的なことがうまく合わなければいけませんから、私自身も企業を訪問し、県内企業の現状をできるだけ現場でさまざまな方からお聞きして、何とかして厳しい中で方向性を見出したいと思っています。
また一方で、新幹線や高速道路などの方向性が出ますと、投資効果があると同時に、さまざまな事業がやりやすくなるわけです。駅前の整備などもその一例です。高速交通体系の方向をできるだけ早く、この夏までには見出したいと考えています。

【記者】
新幹線などについて、方向が決まればいろんな事業が生まれて、その波及効果が見込まれるということでしょうか。

【知事】
それぞれの市町が進めている事業もこれによって動き出すと思います。今はとまっている状況です。頑張っておられますが、どうしてもとまらざるを得ない状況だと思います。

【記者】
公営電気事業の売却益の活用について、福井国体と公社の負債に主に使っているようですが、どのような考えでそこに充てたのかお聞かせください。

【知事】
電気事業というのは、戦後の復興の中で電源開発を目指し、我々の先輩方が考え実行してきた事業です。幸いにして日本が経済成長し、その成果として得られた利益を無駄にすることなく蓄積してもらったということです。これをこれからの県民のスポーツなど、福井県の元気につなげていく施策に使おうというのが極めて長期的な課題として重要だろうという考えです。
一方で、公社については、県民の皆さんの直接の租税をそこに投入するというのはなかなか厳しいと思います。公社の経費は、日本の経済成長やバブル景気などを経る中で、事業の種類も変わり、残念な結果になっていますので、売却益を充てようということです。

【記者】
特に福井国体に今回50億円ほど充てたということですが、例えば予算の議論の中で、九頭竜川流域の河川環境整備に還元するという環境面に対する視点はなかったのでしょうか。

【知事】
電気事業の利益というのは、県民全体の国土・県土計画のプロジェクトの成果ですので、特定の河川整備ということよりも、広く県民に還元するほうが望ましいのではないかと思います。もちろん河川整備に予算を使うべきでないということではありませんし、そういう発想も大いにあると思いますが、今回は広く還元しようという考えです。

【記者】
九頭竜川は多くの市町を通っていますので、広く還元することになるように思いますが、環境面で使おうという考えはあまりなかったのでしょうか。

【知事】
事業の性質や規模、スパン(期間)、予算の大きさなど、いろんな要素があると思います。

【記者】
基金残高については新行革プランの目標額を大きく上回って達成しているものの、一方で、県債残高が8,801億円に上り、新行革プランで見込んでいたよりかなり多くなっています。経済状況から見て、新行革プランの目標を達成するのは難しいように思いますが考えをお聞かせください。

【知事】
これは税制の仕組みにも関係するかもしれませんが、通常債は減少傾向にあります。県債の借入額と返済額の差、いわゆるプライマリーバランスについて、毎年この差がマイナスにならないように、差が広がらないようにするのも極めて大事なことです。福井県はもちろん広がっていませんし、臨時財政対策債という、国の将来の支援もあります。国全体として、今後いろいろな行革や税制の見直しを行っていこうという、別の議論もあります。仕分けの手法として、臨時財政対策債として計上しなければならないし、かつ、これについては将来、国全体あるいは地方全体として、何とかして解決しようということですから、現状の経済情勢や税制の仕組みの中でやむを得ないものと思います。
一方で財政調整基金をここに充てればいいのではないかという考えもあるかもしれませんが、通常債については減少していますので、そこは貯金として持っていていいのではないかと思います。

【記者】
こうした財政状況の中で、新幹線、道路、ダムなどのいろんな大型公共事業が重なり合う時期に差しかかろうとしていて、さらに国体が行われることになります。財政の面で将来的に大丈夫だろうかと思うのですがいかがでしょうか。

【知事】
新幹線などについてはまたレベルが違います。福井県の税収、産業構造あるいは県民の生活の活性化などに影響するプロジェクトです。例えば、北陸の比較をしますと、新幹線が福井県にだけ来ないとなればそれだけでもマイナスだと思います。こういったマイナスの除去、それからプラスの効果も考えてプロジェクトを行なわなければならないということです。もちろん財政負担が過重になってはいけませんが、これは進めざるを得ないし、進めなければならないと思います。
一方で、国体などについては、ビジョンなどでも負担がきつくならないようにとか、事業の進め方など工夫をしていかなければなりません。また先ほど申し上げましたように、まず、国体に使う財源については税金ではなく、これまでみんなで努力したものを投入するという工夫をして、直接の県財政に過重な負担がかからないようにするということです。もっとも長期的な事業ですから毎年一つひとつの負担が大きくなるわけではありませんが、全体では大きくなりますので、考えながら進めていくということです。全体的にコントロールしながら、さまざまな数値を見ながら進めていくということだと思います。
なお、いろんな健全化指標について、全体を5つのブロックに分けますと、福井県は真ん中より少し上ぐらいの順位です。こういった順位をよく見て、順位が下がらないよう一定のポジションの中で財政運営をするということだと思います。

【記者】
経済・雇用対策について、昨年の段階で、ちょうどリーマンショックの影響が色濃く、当面は出血を避けなければいけないということで、大量にお金を出して対策を実施しています。今回も同様に経済・雇用対策を行うということですが、昨年の編成の時と比べて、どの点を工夫したのか、変化をつけた点が何かあればお伺いできますか。

【知事】
福井県のいろんな指標は他県に比べると悪くないのですが、まったく満足すべきことではなく、要するに停滞している状況であることが問題です。改善されていかない状況です。これがずっと続くと大変ですから、これを何とかして上へ上げようという心構えの予算になっています。企業の新しい活動や次の展開に対する応援や、また、しばらく余裕が必要でしょうから融資や助成金、あるいは職業訓練や雇用などいろんな予算を措置してつなげていこうということです。なかなか厳しいのですが、特効薬はないと思います。

【記者】
福井県の中で建設業の存在感というのはある程度大きいと思いますが、知事のマニフェストで建設業の新分野進出を掲げている中で、今回初めて具体的に事業化されたという状況ですが、そのねらいはどのようなものでしょうか

【知事】
建設業が新分野や成長分野に展開するには、準備・心構え・態勢・社会環境などが整わないといけません。そのような状況が整ってきたようですので具体的に支援することとしました。

【記者】
建設業界についても、ある程度状況が整ってきて、新分野等へ進出していかなければならないとお考えでしょうか。

【知事】
動きは出てきています。そういう時期・状況であるし、業界の皆さんの主体性も出てきたように思います。

【記者】
大型公共事業に関して、例えば補助ダムでは、国の補助金が幾ら付くか未だにわからない状況です。九頭竜川のパイプラインの関係でもまだ個所付けなど方針が出ていないなど、例年と違う状況ですが、知事はこういった動きについてどう見ているのでしょうか。大型公共事業の将来像が今までより見えにくくなっているのではないかと思いますが、知事はどう思われますか。

【知事】
これからさまざまな手続きがあると思いますが、強く要請をしていく以外にないと思います。

【記者】
不透明になっている事業も多いと思います。北陸新幹線など、これから要望していかなければいけないということでしょうか。

【知事】
予算も強めに組んで、活動を強めたいと思います。

【記者】
中部縦貫自動車道では幅のある事業費が示されており、県としては一番高い額のところで予算化したということですが、「これは特に」という意味で見ているということでしょうか。大型公共事業をいろいろ並行して進めていくというお話でしたが、今要望しているものは、すべて今後も必要な事業ばかりだということでしょうか。

【知事】
はい。そのように思っています。

【記者】
県主体で行う補助ダムの予算については説明の中で出てこなかったのですが、検証対象になっている吉野瀬川ダムと河内川ダムは結構予算が付いています。今の話のように、国に対して要請をしていく以外にないということですので、国から検証を求められているような状態のダムについて、知事として「それは必要だからやっていくんだ」というメッセージを込めた予算を用意したと考えていいのでしょうか。

【知事】
河内川ダム、吉野瀬川ダムなどの補助事業については、階段状に次々にいろんなステージがあり、国では次のステージの予算付けはまだしないという方針があるようです。はっきりしないところもあるのですが、我々としては、取付道路とか当面の必要額をまず計上して進めていこうということです。本体の話として、できるだけ早く方針を早く出していただきたいと思っています。我々で進めることももちろんあるでしょうし、すでに国と協議して必要だと認められている事業についての認可手続きの進め方など、今後どのように進めていくのかという方針を早く出してもらう必要があると思います。

【記者】
次の段階に至る範囲で、できることは県でやりたいということですか。

【知事】
用意しておき、実行するということです。

【記者】
予算全般の話になりますが、税収が大きく落ち込んでいる中で、12年ぶりの2年連続増額編成をされました。財政出動を選ばれた判断の理由、決意をお聞かせください。

【知事】
国のいろいろな財源を極力使っていますが、それでもなお地方として必要な事業について、それぞれ地域によって条件が違うと思いますが、今、景気対策や活性化対策をやるべき状況だと思いますので、財政規律を守り、財政の健全性は確保できる範囲の中で最大限の予算を組んだということです。

【記者】
予算編成にあたって、129億円という大きな額の国からの基金、電気事業の売却など、こういった一時的な要因というのは大きく働いているのでしょうか。

【知事】
あると思います。

【記者】
比較的余力がある時だからこそ、そういう手が打てたということでしょうか。

【知事】
余力があるとは言えないでしょうが、今のこの時期がタイミングだろうと判断したわけです。今一番厳しい時期でしょう。いろんなプロジェクトの方向がまだ確定していないし、次の新しいプロジェクトも調べようがない状況です。

【記者】
学力・体力日本一というのが「ふくいブランド」の1つとして確立されてきており、他県からも注目を浴びていると思います。教育について前年度よりも高額の予算を付けていますが、教育に対する力の入れ方などをお聞かせください。

【知事】
教育については、やはりこういう厳しい時期であるからこそ、福井県の将来、子どもたちの夢や希望にとって、また子どもたち自身にとっても重要です。福井県民の家族、お父さん、お母さん、お兄ちゃん、おばあちゃん、みんなの願いでもあると思います。これがないと希望はないと思いますから、ここを何としても強めていきたいと思いました。幸い学力・体力が日本一と言っていいと思いますので、他県に負けないように、もっと先進的なモデルをつくっていく必要があるとだろうということで、抽出方式となる学力調査について福井県では全員を対象に実施します。また、これまで県独自で行ってきた調査も引き続き行います。
これからは、さまざまな情報について映像などによる視聴覚教育を行う必要がありますので、地域のメディアや大学との連携、また外国から来てもらっている人材、先生、ALTなど、あらゆる手段をさらに有効に活用していきます。これまで何割かしか発揮できていないものが7割、8割と、さらに教育のバックアップをできるのではないかと考えます。もちろんその中には予算による部分もありますが、人々の連携などで力を発揮できるのではないかと思っています。予算だけでは十分ではありませんから、人間の力、何といってもそこで一番重要なのは約8,000人おられる福井県の先生方です。これまでも頑張ってもらっていますけれども、先生方の力というのは極めて重要であり、その頑張りによって、これが強化されると思います。
人の連携とか、子どもたちへの熱意、教える技術を高めていくといったことが大事かと思います。

【記者】
福井の独自性のためにも、教育に力を入れたいというお考えでしょうか。

【知事】
そうです。特にサイエンス教育、文字教育、英語や国語などの外国語教育です。こうした教育が学力のみならず命や心、道徳といったものにつながっていくと思います。文字学やサイエンス教育によって、生き物、宇宙、我々の生命といった内容に深く関わるわけですから、そのレベルを上げるとことになるのではないかと思っています。

【記者】
「コンクリートから人へ」と、国の公共事業予算が減額される中で、県単部分を50%増額しています。国と地方でねじれがあるわけですが、その理由を教えてください。

【知事】
県単独事業は、主に地域の安全を守る防災的な事業であり、河川整備など自然と一体となった公共事業です。「コンクリートから人へ」という議論とは別に、特別に特殊なものをつくるということではなく、地域全体で整備しなければならない事業を進めて行く必要があります。最近多発している土砂崩れの防止、橋梁の強化、融雪装置の設置など、県単独事業には生活そのものにかかわる事業が多いということです。

【記者】
経済対策を考えてのことでしょうか。

【知事】
併せて景気対策ということです。予算を使うために事業をやっているわけではありません。

【記者】
敦賀原発1号機ですが、来月40周年を迎えます。一部の報道では来週前半にも受入れ表明すると報じられていますが、知事の考えは固まっていて、来週にも受入れ表明されるのでしょうか。

【知事】
一昨日、17日に直嶋大臣に直接お会いしまして、原子力発電所の長期継続運転のエネルギー政策上の必要性・重要性と立地地域の振興、それと厳格な安全規制の2つについて申し上げました。運転継続の3年目までに電力事業者がそれまでの保安活動の実施状況等を評価し、保安院が直接これを確認して県に説明をするという中間安全確認というシステムをつくり、安全を担保するということに経産大臣も理解を示されました。県としては、近く正式に敦賀市長をお呼びすることになると思います。そのご意見を伺って判断することになります。

【記者】
近くというのは来週中でしょうか。

【知事】
敦賀市長の都合もあると思います。そんなに先ではないと思います。

【記者】
議会開会後でも支障はないということでしょうか。

【知事】
開会前でなければならないというものではないと思います。敦賀市長のご都合もあると思います。先延ばしするつもりはありません。

【記者】
自治体の首長が保安院にこうした規制について要望をされるのはかなり異例のことだと思うのですが、こういった要望をされた背景や思いをお聞かせください。

【知事】
敦賀1号機は、いわゆる新しい検査制度のもとで、昨年9月、40年目の高経年化技術評価に基づく長期保守管理方針が国において認可されたという手続がありました。安全性は確認されているのですが、それでも世界的に見て、例えば、現在アメリカで40年を超えるプラントというのは104基中2基であり、限られているわけです。県民にとってはこれまでにない経験ですから、システムの不備、機器や設備のアンバランスが生じないかという不安を感じている方もいらっしゃると思います。このような理由から、県民の安心感や信頼を一層高めるためにも、敦賀1号機については通常のプラント以上にきめ細かく安全の確認を行っていくことが重要だと思います。
定期検査の時には1年ごとのチェックがありますが、さらに、3年で一回区切って事業者(日本原電)が自己評価を行い、それを保安院がチェックし、プラントの安全性や運転管理の妥当性を評価することによって、県民の理解と信頼につながることになるのではないかと考えたわけです。新しい事柄ですので新しい方法を導入する必要があるということです。

【記者】 
他の自治体のプラントでも、同じような事例が出てくるかと思いますが、別の自治体に対する影響もある程度考慮されてこういった行動に及んだわけでしょうか。

【知事】
影響を与えようとして考えたわけではありませんが、日本にとって新しい経験であり、他のプラントにおいても、数年後、遅からず遭遇しなければならない事柄です。この高経年化に対する対応は、国のこれからのエネルギー政策にも深く影響しますので、そういう判断が必要だろうと思います。

【記者】
地方消費税の増額について、政府の税制改正大綱で地方消費税を充実する方向性が明記されましたが、地方消費税の増額について知事はどう考えていますか。

【知事】
地方消費税を強化するというのは、それ自体を抽象的にとらえれば賛成です。ただ、今の割合を変えるのかどうかなど、税制改正との関連であり、消費税自体についてはまた別の問題です。それはちょっとお断りしておきます。

【記者】
敦賀1号機について、近く河瀬市長とお会いし、来週ぐらいには知事が判断を示されるのではないかと推察します。お会いした後、その意見を踏まえて熟慮を重ねた上で判断されるのか、それとも、市長の意見を聞き、直ちに速やかに判断を示されたいのか、いずれでしょうか。

【知事】
敦賀市長のお考えを聞いた上で、日本原子力発電とお話することになります。

【記者】
すぐに、間を置かずにということでしょうか。

【知事】
間を置きたいわけではありません。

【記者】
一回意見を踏まえて考えを決めるということでしょうか。

【知事】
敦賀市長がどのようなお考えかまだ聞いていない段階ですから、市長からお伺いしないと話になりません。

【記者】
それを聞いて、考えてみないと判断は出せないということでしょうか。

【知事】
はい。それに先立って、経産大臣の基本的なお考えについて理解する必要がありましたので、お会いして申し上げたということです。

【記者】
「もんじゅ」について、耐震バックチェックのスケジュールがタイトになってきていますが、知事としては、最終的な判断を示すにあたり、耐震安全性について報告書等すべてきちんと仕上がっていないと受けられないとお考えでしょうか。また、それは、もし年度をまたいでも、やはり受けられないという意向でしょうか。

【知事】
一般的に申し上げますと、どういうレベルでお話しになっているかにもよりますが、耐震安全性のチェックというのは必要だと思います。
「もんじゅ」の筋道をご説明したほうがいいと思います。
「もんじゅ」については2つの話があります。1つは、設備の健全性や品質保証体制にかかわる保安院の総合評価と、これに対する原子力安全委員会の判断についてです。もう1つは、今おっしゃった耐震安全性の再評価、俗にバックチェックという名前ですが、これについての保安院の判断と原子力安全委員会の評価についてです。
まず前者についてですが、設備の健全性、品質保証体制、つまり設備、システムの安全性そのものについては、2月16日に原子力安全委員会は保安院の評価をおおむね妥当としましたが、報告書の表現方法・書き方を巡って結論を持ち越しています。今日の午前中に再審議を行うということですから、まだ不安定な状況にあるわけです。もしこれがまとまると週明けには原子力安全委員会に報告されるという状況ですが、それがまだはっきりしていないということです。
それから、もう一方の耐震安全性の再評価については、先週2月12日、保安院の審議官から副知事に対し、「活断層、基準地震動の審議は終了し、施設の耐震安全性も評価書案が審議中である」ということ、さらに「津波の影響、それから背後斜面の安定性などについては議論を積み残しているという状況であるが、耐震安全性の確保に関する大きな流れに問題はない」という報告がありました。
保安院内のこれらをチェックする下位のグループが、今からここで施設の耐震・安全性に関する評価書のチェック、それ以外の津波や斜面の安全性のチェックをしていくわけですから、それがどうなるかによって我々がどう対応するかということが決まります。まだそこがはっきりしていません。さらに、このチェックが終わった上で、原子力安全委員会が耐震についてもさらにチェックする、ダブルチェックをするということです。それはまだその先になるという状態です。

【記者】
最後の耐震性について、原子力安全委員会のチェック等がすべて終わらないと運転再開を県として認められないのでしょうか。

【知事】
認めるかどうかの前に、運転再開の協議をしたいという要請の手続きがあります。今おっしゃったのは、もう1つ先の話をしておられるわけですが、それはチェック等が全部終わり、きちんとできていないと議論はできないということです。

【記者】
知事が最終的に認める段階では、原子力安全委員会でもすべて終わっていないと認められないということでしょうか。

【知事】
我々、議会、地元の判断がまた必要ということです。そのためには、県の原子力安全専門委員会の議論が要るということです。

【記者】
素朴な疑問として感じたのであえてお尋ねしたいのですが、先日の飲酒運転による職員処分の件について、同じような事案が、教員にもあり、処分内容は同じ停職6カ月ですが、県教委は会見で発表しました。これに対して、県職員の場合は資料発表で終わっています。実際、視聴者からも問い合わせがあり、学校の先生だと責任者が出てきて頭を下げているのに、職員のほうはなぜないのかと聞かれました。なぜ対応が違うのか理由をお尋ねします。

【総務部長】
任命権者が違うという理由です。

【記者】
任命権者の違いという一言で済ませられるものでしょうか。

【総務部長】
まず基本としてそれが一つあると思います。それと、これまでの教育委員会や知事部局の対応が必ず同じではないということです。これまでの処分の重さや対応の仕方なども踏まえて今回の対応をしたということです。

【記者】
停職6カ月というのは懲戒免職に次ぐ重い処分です。それは資料発表で終わらせていいような対応なのでしょうか。

【総務部長】
重い処分です。資料発表だけで終わらせたというつもりはありません。

【記者】
会見するなどの対応について特にお考えはないでしょうか。任命権者が違うので、県教委は県教委、知事部局は知事部局ということでしょうか。

【総務部長】
そういうことです。

【記者】
敦賀原発1号機について、先日経産大臣と会談された中で知事が提案された中間の安全評価ですが、知事は「システム」という表現をされました。「事業者が自主的に中間評価を行い、国がそれをチェックして、県に報告するように求めた」という内容だと思います。敦賀1号機の場合はとりあえず3年をめどにされていますが、その中間評価の結果によっては、県として、その先の運転を認めないとか、あるいはいろんな注文をつけるというような、一連のシステムだとお考えでしょうか。

【知事】
中間安全確認については、10年ごとにより対象を拡大し、期間も長い、安全レビューというのがあります。中間安全確認は3年で実施しますので、安全レビューのやり方に準拠するような方法になるかと思います。これからまだ時間的な余裕もありますから、そういう中で議論したいと思います。もちろん問題があった場合にはもう一度仕切り直しをしないといけないと思いますが、今特にそんな事態を想像しているとか、想定したいというわけではありません。確認というのは、もちろん何かあったらそこで議論をするということです。

【記者】
その議論の中に県が地元の自治体として加わっていくということでしょうか。

【知事】
そういうことです。報告もきちんとと受けなければなりません。

【記者】
同じく敦賀1号機で、先日、国に対して求めた内容については県がこれまで独自に考えてこられたことでしょうか。また、事前に敦賀市長と相談していたものなのかか、それとも今度市長と会談される時に話す内容の中に含まれるということでしょうか。

【知事】 
そうした考え方だということを敦賀市長に申し上げようと思います。

【記者】 
会談の場でしょうか。

【知事】 
はい。

【記者】
「もんじゅ」についてですが、事前協議願は百点満点になった時点で受けとるのでしょうか。

【知事】
事前協議願というのは安全協定に基づく事前の協議願ですから、提出いただいたという手続きと我々が了解するという手続きとはレベルが違います。その1つ前の段階です。ある程度議論の手続を進めることも協議願の意味もありますから、100%パーフェクトでないとそれが受けられないというものではないと思います。

【記者】
補助ダムの審議について、今の段階では当面、県として受け入れないということでしょうか。国の補助ダムの再評価を改めて行った上で次のステップへ行くか行かないかを判断するということになるのでしょうか。

【知事】
国の予算付けがないと次に進めません。次に進みたいのは山々ですができませんので、そこは十分議論をした上で判断をするということになります。

【記者】
「もんじゅ」について、以前の改造工事了解の際に、エネルギー拠点化計画の推進や地域振興として新幹線整備などを求められたわけですが、国に対して要望してきた地域振興策に関する手ごたえや、どれくらい県に貢献してくれたかという点で何かお考えはありますか。

【知事】
さまざまなご支援をいただいていると思いますが、改造工事を事前了解する前の平成16年に、文科大臣と経産大臣と3者で「もんじゅ」の位置づけや地域振興について「もんじゅ」関連の協議会が開かれています。文科省が事務局ですが、最終的には「もんじゅ」の議論は、国においてもどのように考えているかだと思いますので、「もんじゅ」の協議会を開く際のテーマになると思います。

【記者】
以前から知事は安全第一ということをおっしゃっています。国の耐震安全性のチェックが大詰めに向かっているが、運転再開の良し悪しを判断される場合、安全性などを含めて、どういうところを特に重視していくかをお聞かせください。

【知事】
長い間、実際の稼働を停止しているわけですから、それを再開するということになりますと、事業者、保安院、国の原子力安全委員会、地元福井県の原子力安全専門委員会で、技術的な問題などについてクリアされることが極めて重要です。停滞した議論というのは避けなければなりませんが、すっきりと議論がされて、県民、国民の理解が得られるということが重要です。
特に安全委員会のレベルでダブルチェックを行うわけですから、国家の責任でもありますので、クリティカルな課題について十分な信頼性のある結論を出していただくことが重要だと思っています。その上で、「もんじゅ」はこれからのエネルギー政策にとって極めて重要な役割を持つプラントであり、システムでもありますから、そうしたことも考えながら判断することになると思います。

【記者】
先ほどの知事のお答えで、「もんじゅ」の協議会のテーマになるとありましたが、協議会は改造工事の了解前にやった「もんじゅ」関連協議会で、経産大臣と文科大臣の3者による協議会ということでしょうか。

【知事】
そうです。

【記者】
それを今回もやはり開かれるべきだとお考えですか。

【知事】
そういうことになるのではないかという推定を申し上げました。まだそこまで至っていません。違う名前になるかもしれませんが、やはりそうしたレベルのものでしょう。

 

 


 

 

 

 

 

 

―― 了 ――
 

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