知事記者会見の概要(平成22年3月25日(木))
平成22年3月25日(木曜日)
13:30~14:30
県庁 特別会議室
【知事】
今回の機構改革、人事の異動について説明します。
まず、子育ての応援、水産業、林業、教育・文化の振興など、「新たな課題への対応」です。
子供たちの支援措置については、市や町、関係団体が行う子育て事業の実施に対するより高いレベルの働きかけ、あるいは企業や個人の子育てについて普及啓発を行うため、健康福祉部に子育て支援を担当する企画幹を置き、また「子ども・子育て支援チーム」を設けます。それにより、情報を共有しながら緊密な協力体制を築いて、さらに効果的に事業を実施します。併せて、県、市、町、民間の委員で構成する「子ども・子育て応援計画推進協議会」を設置し、事業実施に当たっての課題把握や検証を行いながら計画を進めます。
それから、水産業です。水産担当の企画幹を設け、総合的に行います。これまで技術担当の技幹という職種がありましたが、試験、研究を含めた水産全体の仕事を水産企画幹が行うことにします。また、栽培漁業センターおよび内水面漁業センターも水産試験場に事業を統括します。そして水産試験場長を水産企画幹が兼務し、種苗から品質保持まで一貫した研究を総合的に進めます。
次に、林業関係です。水産と同じように計画が策定されており、林業についても林業企画幹を設けて、これまでの技術担当の技幹の職員に変え、試験研究機関を含めた林業全体の仕事を進めます。また、県産材活用課に「県産材住宅推進室」を設け、ふくいブランド材の供給体制の整備など、県産材の活用を推進します。
また、農林水産振興課内に「鳥獣害対策室」を設け、環境林整備プロジェクトとして鳥獣害の個体管理、生息地対策、山ぎわ緩衝帯の設置など、有害鳥獣による被害防除と駆除・保護を一体的に実施し、農林業への被害を軽減します。なお、日本まんなか共和国(福井、岐阜、滋賀、三重)で、鳥獣被害について広域的に対応する体制を整備します。
次に、教育・文化の関係です。文化は教育のみならず、観光、産業、まちづくりなどさまざまな分野と密接に関係しますので、具体的な推進体制として副知事をリーダーに関係各部の企画幹で構成する「文化創造推進会議」を設け、教育庁と知事部局が一体となり、総合的な政策を実行します。
この会議では、本県固有の文化資源を、子どもたちへのふるさと教育、まちづくり、観光誘客、商品開発等に活用する戦略について、部局横断で協力して検討を進めることにします。
2つ目の大きなテーマは「学力向上、スポーツの推進」です。
昨年10月に教育庁に「元気ふくいっ子学力向上センター」を設けましたが、ここに関係部局の企画幹および課長が参加し、県庁全体でさまざまな知識や経験を教育委員会に提供しながら、学力向上をさらに有効的に行えるようなバックアップを行います。
元気ふくいっ子学力向上センターでは、さまざまな知識、技能、経験を持った人が教えていく授業や、子供たちのやる気を高める新しい工夫をした指導法の導入、教材の使い方などの工夫を行い、横断的に検討を行います。これにより、幼稚園、保育園等の就学前教育、あるいは環境・農業の体験学習などを推進し、部局が力を合わせて総合的な全国上位の学力の維持向上を図ります。
また、一方で不登校問題がありますが、教育庁の教育政策課の中に「学校復帰支援チーム」を設け、児童相談所、あるいはジョブカフェと協力した不登校対策を進めたいと思います。これによって不登校の未然防止、学校復帰、高校中退者の高校卒業資格の取得、就職支援など、小学校から高校までの一貫した本県独自のきめ細やかな不登校対策を実施します。
スポーツについては、平成30年の第73回国民体育大会に向け、教育庁のスポーツ課の中に「新国体推進室」を設けます。県民一人ひとりの健康増進、また、新しい形での国体開催に向けた準備を進めます。
大きなテーマの3つ目は「健康長寿の推進」です。
今、地域医療が全国的にも大きな課題になっていますが、医療人材の確保、救急医療体制の整備などに集中的に対応するため、医務薬務課を「地域医療課」に改め、地域医療を担当する企画幹を設けます。これにより、全国から研修医を集める研修システム、総合周産期母子医療センターの整備、小児初期救急センターの開設に向けた検討など、地域医療の確保・充実を迅速に進めることにします。
もう1つは陽子線がん治療センターの開設準備です。この3月にハード整備ができましたので、健康福祉部内に「陽子線がん治療センター準備室」を設け、これから約1年をかけて、加速器の試験調整、職員の研修、治療計画の作成、また利用者の確保等、さまざまな事業を総体的に行います。
それから、食品・医薬関係の行政の一元化です。
食品安全・衛生課を「医薬食品・衛生課」に改め、薬務業務をこちらに移管して、食品と薬品について、一元的な監視指導を行い、県民の健康・安全を総体的にサポートする体制をとりたいと思います。
4つ目のテーマは「地域の自立と振興の推進」です。
ふるさと納税あるいは最近の過疎法の改正など、地方の振興というのが大きな意識として挙がっていますが、市町振興プロジェクトや過疎対策、過疎集落問題、あるいは田舎の景観づくりなどを担当する「ふるさと地域振興課」を総合政策部の中に新たに設けます。これにより、少子高齢化あるいは人口減少により活力感を失いつつある地方や限界集落などについて、総合的な地域振興を進めたいと思います。特に市町との連携により有効的な対応を行うことを重視したいと思います。
もう1つは地方からの提案力の強化です。新しい政権は地域主権と言っていますが、新しい地方のモデルを国に提案するため、総合政策部政策推進課で国と地方のあり方の見直しや広域行政等の業務を担当します。また、この1月にふるさと知事ネットワーク全国9県の活動が始まりましたが、こうしたものも含めて国への提案、また我々の段階でできるものを積極的に9県で併せて実行したいと思います。
5点目は「地球温暖化対策の推進」です。
安全環境部の環境政策課に「新エネルギー推進チーム」を設けます。平成18年の3月に策定している地球温暖化対策推進計画を改訂し、新エネルギー利用の促進を行います。
6点目は「未利用地の有効利用」です。
未利用地の有効利用を推進するため、土木管理課に「土地利用促進チーム」を設けます。住宅供給公社、土地開発公社については、今議会で金融的な支援、そして債務の解消を図ったわけですが、引き続き県有となる保有土地の売却を推進し、利活用の検討を進めます。
最後に、7点目で「総務事務の効率化」です。
事務の管理、簡素・合理化、経理処理の適正化を図るため、総務事務および物品調達事務を一元化し、総務部に「事務管理課」を設けます。これにより、県庁の各所属が日常的に扱う物品全体を集中的に調達・検収をする方式に改めます。また、出先機関の物品についても、用品の交付や納品検査を行う拠点を県内の6地区(農林総合事務所等)で集中的に調達を行い、経理の適正化に反するような行為が行われないように、あるいは経費の削減などを行います。担当職員は20人から13人に削減します。
次に、組織改革に伴う人事異動の具体的な中身ですが、4月1日付で1,075人の異動があります。前年度は1,113人でした。今回の異動でも、引き続き職員数の削減を行っています。新行財政改革実行プランでは、平成17年から23年までの6年間で10%削減を目指すことにしていますが、22年度については、一般行政部門の職員を41人削減します。これにより、平成17年から今回までで削減率が9.1%になっています。
職員の絶対数は、香川県に並んで少なくなっています。香川県には高松市がありますので、実質で計算すると全国で一番少ないグループに入ると思います。それから、管理職数の抑制として、全部局で29人を削減します。内訳としては、部・次長級では4人、課長級では8人、参事級では17人の削減を行います。
それから、職種の枠を超えた職員配置として、22年度は管理職で25人、一般職で54人、合計79人(前年度は68人)の異動を行います。また、若手および女性職員の登用については、40代の若手職員を管理職に10人(前年度は7人)。女性職員についても、本庁の企画参事など、主要な管理職ポストに4人(前年度は2人)を登用し、幅広い行政分野への配置に努めます。なお、下位の階層でもできるだけこのような登用ができるように、職員がさまざまな事業にチャレンジできるような人事異動に心がけています。
以上が今回の機構改革、人事異動についての説明です。
~ 質 疑 ~
【記者】
総務事務の効率化ということで、経理処理の適正化を図るためとありますが、総務事務担当の職員数を減らしたことによる影響はないのでしょうか。
【知事】
現場での議論としてはいろいろあるかもしれませんが、全体的に統合することによって、より適正な経理が全体に管理・監視ができ、また、担当の職員、管理職などの指導が徹底できると思います。
【記者】
これは不適正な経理処理が明らかになったことを受けて、そのための対策として新たに行ったものでしょうか。
【知事】
目的は2つあります。一つは、元々の行革的な簡素化・効率化です。それから、それぞれ現場ごとに個別に処理する方法では、ルールやマニュアルなどについて徹底ができていない場合があるので、部署をまとめることによって、法令やルール、マニュアルに則った処理ができるという理由です。
【記者】
不適正な経理処理も発覚したからと考えてよろしいですか。
【知事】
理由は2つ。簡素効率化と、統合することによってルールや法令遵守が十分にチェックできるだろうということです。
【記者】
では、これによって不適正な経理処理も防げるという考えでしょうか。
【知事】
もちろん、職員の自覚が肝にないといけませんが、システム的にはそういうことに役立つだろうということです。
【記者】
今回の人事全体を一言で総括すると、どのような人事ということになるのでしょうか。
【知事】
それぞれの分野でより責任を持って仕事ができるように、特に福祉関係、医療などの分野は仕事が非常に多岐にわたり、きめ細やかでかなり深みのある仕事をさまざまな団体や市町などと協力して進めなければいけませんので、企画幹などを増やし、体制を整備する。また、各部に企画参事を置いていますが、これからの県庁を担ってくれる職員に、思い切って、より幅広く活躍してもらうシステム・体制をとるというのは非常に大きい人事組織的なことだと思います。
指示されたことをやるだけでなく自分で考え、自らさまざまなことを努力しながら進めるなど、新しい分野でできるだけ情報をインプットして行動し、これを具体的な成果につなげていくという仕事が、これから5年、10年先に極めて大事な局面になっていると思います。それぞれのセクションで責任を持って、新しいことをどんどん進めていくことに心がけるということです。人材研修においても、具体的なミッションや、職員がこれから何をなすべきか、どういうことに気をつけるかということも具体的にして、組織全体で力を出していくということだと思います。
【記者】
機構改革で総合政策部に新しくできるふるさと地域振興課ですが、観光営業部の中にはふるさと営業課があり、重複する業務もあるのではないかと思います。その役割についてお聞かせください。
【総務部長】
ふるさと地域振興課というのは、まさに、今、直面している「地域をどう自立させていくか」という部署です。例えば限界集落や過疎地域の対策、あるいは県と市町村との間で市町区域に捉われないより広域的な地域策などの課題を解決していく組織です。
観光営業部のふるさと営業課は、それよりもむしろ外向きに福井県の魅力をどう宣伝し、アップしていくか、営業していくかというための組織です。
【知事】
ふるさと・地域の振興には内向きの部分と外向きの部分の両方があり、両方を1つの部署で担当するのはなかなか難しい。特に内向きの、地域を盛り上げるという点については市町村課が中心に進めてきましたが、市町村の財政・税制、選挙など管理的な業務がかなり大きくなり、外向きの部分を同じセクションで担当するとどうしても内向きな雰囲気になりがちです。これからはそれぞれの部署で進める、その方が効果が上がるだろうということです。
【記者】
知事2期目の最終年度にこの体制を敷くわけですが、あらためて2期目3年の成果および課題、これに対してこの人事・機構改革がどう生かされているのかという点を教えてください。
【知事】
林業、水産業、教育など新しい計画ができました。
教育については全国的に進んでいますからさらに伸ばしていかなければならないと思います。林業、水産業などについては、これまでいろんな課題が解決できなかったので、それにアタックする必要があるだろう思います。
子育てについては教育と同様に進んではいますが、もう1回腰を落ち着けて、本県の問題に取り組む必要があるだろうということです。さらに長期的な課題としては国体です。それと時間がかかるかと思いますが、医療関係の課題など、地味ではありますが取り組んでいこうということです。ふるさと地域振興などに関しては、これまでの事業をさらに伸ばしていくということになります。
【記者】
以前、知事は、人事異動について継続性とか専門性を重視し、管理職の異動サイクルを長くとろうという考えだったと思いますが、今回の異動者名簿を見ると、1年、2年で異動になるケースが多いように思いますが、考え方に変化があったのでしょうか。
【知事】
変わりはありません。できるだけ一定のポストで落ち着いて仕事をしてもらいたいという気持ちはありますが、多少の波はあると思いますし、全体としては異動者数は去年より少し減っていると思います。新陳代謝ということもあります。組織内で昇格したり、他の部署へ異動したりということもあります。
【記者】
教育で伺います。文化創造推進会議を設置するとあります。これまで教育・文化ふくい創造会議がありましたが、それにどう替わるものなのか教えてください。
また、元気ふくいっ子学力向上センターについて、具体的に教育に全庁的に取り組むとはどういう姿を言うのか、教えていただきたいと思います。
【知事】
まず、文化創造推進会議については、教育・文化ふくい創造会議と名前が似ていますから、名前をどうするかというのは今後考えなければなりません。また、教育委員会ですとどうしても文化財とか、学校中心の文化という方向になりがちな部分があります。しかし、これからの文化は、具体的な生活にかかわる文化や、知事部局が協力しないとできないものがたくさんあると思います。県によっては、知事部局でそのまま所管しているところもあります。文化の中身について、より地域に密着した形でレベルを上げなければならないですから、教育委員会の文化活動を応援するという、総合的な体制で組織を設けたいと思っています。教育委員会ではなく、知事部局の中で文化的な部分も担当するということです。
【記者】
今までの教育・文化ふくい創造会議は教育委員会で設けていたのでしょうか。
【知事】
教育・文化ふくい創造会議は、報告書というか計画をつくるため、主に外部の委員に入っていただいて提言をいただく組織です。今回の文化創造推進会議は、それに基づく実行組織です。ですから、連絡をしたり、あるいは総合調整をしたり、計画に基づいて政策を出し合ったりする、そういう組織ですから、外部の方ではなく県庁の中の組織です。
それから、学力については、教育委員会がメーンの仕事でありますが、福井県の学力は全国的にナンバーワンですから、教育委員会にさらに頑張っていただくことは重要ですが、さらにこれに加えていろいろなファクターを教育委員会に活用してもらわないと学力は維持・向上はできないと思います。いろんな経験者が教育委員会で考え、経験を持った人が授業で教えるとか、一般の会社や地域など福井県という舞台でいろんなことを勉強する場の提供について、知事部局で担当すればもっと有効だと考えています。
例えば、恐竜博物館を活用するとか、あるいは水産試験場を活用する、いろいろあります。教育委員会だけで進めるのはなかなか大変だと思いますが、知事部局でいろいろ準備したり応援すればいいと思いますし、教える場合もそうです。教材の工夫についても、単に学校だけで行うには限界もあるでしょうから、知事部局で全体的にいろんな応援ができないかということです。イニシアチブは基本的に教育委員会にありますが、知事部局がバックアップするということです。
他県では、教育委員会の中で先生方が中心になって学力を上げようとしていますが、福井県はそれより先へ行かなければならないということです。
【記者】
昨年、観光営業部が設置されましたが、設置したことによる効果、どういう影響が庁内にあったのかなど、どう見ているのでしょうか。
【知事】
かなり意識は変わってきたように思います。新しい体制で1年経ちましたから、今後の課題としては、観光営業部で戦略をつくり上げていくということです。どこかの観光イベントに何かの宣伝に行くという戦術レベルではなくて戦略です。観光営業部と他の部局との連携も必要だと思いますが、レベルアップや戦略性を持ったやり方が必要だと思いますし、もう1つは、観光営業部のみならず、他部局の営業マインドをさらに上げていくということも必要だと思います。
【記者】
技幹と企画幹の扱いについて、農林水産部に水産と林業の企画幹を置くということですが、これまでも技幹が試験場長を兼務されていますが、技幹から企画幹になることによって何が変わるのでしょうか。具体的な考え方を教えてください。
【総務部長】
今まで、例えば水産の技幹ですと、その所掌事務は水産試験場の技術に関することのみでした。また、林業の技幹ですと、林業の技術の問題などについて担当するということでした。今回は水産なら水産、林業なら林業、その分野のすべてを統括する。通常の企画幹と違って、併せて出先機関である試験研究機関、これも統括するということで、その分野については基本的にその企画幹が責任を担う体制にするということです。
【記者】
技術的なもの以外も、ということですか。
【総務部長】
そうです。
【記者】
ふるさとの振興について、市町村課など関連する課が3つできるわけですが、従来の市町村課では何か今の時代に合っていないということでしょうか。もう少し具体的にお聞かせください。
【知事】
市町村課で進めるという方法もありますが、市町村課の仕事とは選挙管理、財政、交付税、地方債、それから税務指導などですから、管理的な仕事です。現在、市町がさまざま事業を行う場合の総合的なバックアップ、あるいは、過疎、限界集落への対応などのプロジェクトを進めていますが、新しい課で進めた方がより推進力があると考え、このような体制をとったということです。
【記者】
そうしますと、例えば交付税や交付金など、これまでは市町村課にある程度の予算と権限がセットになっていたように思いますが、これを分けて考えるということでしょうか。
【知事】
昔の、財源がかなり潤沢にあるときにはそういう結びつきがより強かったのですが、今のような厳しい状況では、財政は財政として、市町村の財政健全化などをしっかりと進めなければなりません。地域振興の補助金などは新しい課で、分けて担当するのが効果的だということです。
【記者】
特にここ数年、補助金から交付金に変わり、県を通さずに国から市町村に直接交渉するなど、国の省庁と市町村が直接話をするということを聞きますが、そうした中で、企画的な部分についてもう少し県が関わっていきたいという思いがあるのでしょうか。
【知事】
そのように意識しているわけではありません。内容にもよりますが、詳しい事情が分からない中で国と市町村が直接やりとりするだけというよりも、県が事情を知っていれば効果的に仕事が進められると思います。そういう面で役に立つと思います。
市町では、例えば観光対策やまちづくりなど、ある施設を数千万円でつくるということではなくて、数億円の単位でさまざまな事業をまとめて、住民の方も参加して数年単位で進めていこうというプロジェクトを考えており、これを応援するのは、今申し上げた体制の方がほうがいいではないかと思います。
【記者】
川端文部科学大臣が3月9日の大臣会見の際、「もんじゅ」について年度内に再開することは基本的に難しいという発言をしていますが、これについて知事はどのように受けとめているでしょうか。
【知事】
詳細については確認が必要ですが、先日、中川副大臣が来県され、これからさまざまな手続を行い、文部科学大臣、経産大臣、私も含めた「もんじゅ」関連の協議会を開催したいという提示がありました。県の原子力安全専門委員会で、「もんじゅ」の設備、プラントあるいはメンテナンスなどに関する議論を行ったところであり、これから耐震性についても議論を行うことになります。既に申し上げているとおり、元々3月31日という期限があるようなものではありません。もちろん検討は遅滞なく行わなければいけませんが、まだ具体的な議論が残っていますし、文科省でも「もんじゅ」の再開にあたって国としてどのような決意で臨むのかという心構えを政府全体で明らかにして対応する必要がありますから、そういう時間はいくらか必要ではないかと思っています。
【記者】
「もんじゅ」について、知事は盛んに地域振興ということを言われていますが、具体的に何を指して地域振興と言われているのでしょうか。
【知事】
これは、県議会の意見書などにも書いてあるように、国土計画における新幹線や高速道路、敦賀港の整備、あるいはより内容のあるエネルギー研究開発拠点化計画の実行などがその中に含まれていると思います。また、いざという時の道路整備などについても、広い意味での地域振興になると思います。これは県議会なども同じ見解だと思います。
【記者】
国としての決意を示してほしいということですが、具体的にどういうことを示してほしいということでしょうか。地域振興について、国としてどういう形でどのようなことをあらわしてほしいという考えでしょうか。
【知事】
14年間、「もんじゅ」はさまざまな事情で止まっていたわけですが、今、これを再開する準備を進めている段階です。一方で、新しい政権下ではCO2削減あるいは原子力の位置づけなど、さまざま議論があります。
これらを踏まえると、地元の協力を得ながら、政府として国として我が国のエネルギー政策の根幹である「もんじゅ」の再開に踏み切るという、政府の決意が必要ではないかと思いますし、明らかにする必要があると思います。
いろいろなところで、単に大事だとおっしゃることももちろん痛いほど聞いてはいますが、こういうものが必要ではないでしょうか。
【記者】
中川副大臣が知事を訪問された際、副大臣の言葉から何か感じたとか、こういうところをお願いして理解してもらったなど、知事はどういうふうに認識しているのでしょうか。
【知事】
副大臣が来県された際に私から申し上げた事柄について、副大臣がどのように受けとめ、文科省あるいは経産省、政府全体としてどのように判断して、これを表明なり、福井県の振興なりについてどういうふうに返事をいただけるかということです。副大臣にはこの点について理解していただいたと思いますし、現在検討していただいていると思います。
【記者】
知事の発言からは、どちらかというと、文科省や経産省に対して何か要求するというよりも、国全体や制度全体に対する発言が増えているように思うのですがいかがでしょうか。
特にどういう意図があるのでしょうか。
【知事】
一省庁で行うものではなく、政府として考えてほしいということです。
【記者】
それは地域振興に関してでしょうか。
【知事】
地域振興もありますが、「もんじゅ」をこれから再開するとなると、原子力政策、地球温暖化、国の安全などいろんなことに関わります。すると、これは政府レベルの話になると思います。
【記者】
文科省でできるものではない、もしくは経産省だけでできるものでもないということでしょうか。
【知事】
政府全体の後押しというか支えがないと、責任を持って実行できないと思います。
これは国のためでもありますし、福井県のためでもあると思います。
【記者】
県が再開をどう判断するかというまでの今後の流れについてお聞きします。以前の改造工事のとき三者で協議会を開催してから、少し間があいて、最終的に、文科大臣に来県してもらい、そこで最終的な会談をするというのがその当時の流れだったと思います。今回もそのように協議会を開いて、その後、大臣など然るべき人にもう一度福井に来てもらうというような考えはあるのでしょうか。敦賀市長は、先日、最後はやっぱり大臣に来てもらって判断をしたいというような趣旨の発言をしていますが、知事はいかがでしょうか。
【知事】
問題は中身だと思います。前回のそういう形式は参考になると思います。
中身が定まっていないのに来県いただいても仕方がないでしょうから、形だけで解決する話ではありません。前回のようなことは参考になると思います。これから県の原子力の専門委員会などもあります。具体的な国の考えの提示もありません。
【記者】
県民の代表である県議会が先日閉会し、また、幅広い団体の代表者が入っている安管協(県原子力環境安全管理協議会)が昨日終わったことによって、県は民意を吸い上げた形になると思いますが、「もんじゅ」再開に対する民意について、知事はどう認識しているのでしょうか。
【知事】
県議会でのさまざまな議論は、それぞれの地域あるいは団体の意見を反映しているということですから、そこに民意が反映されていると思います。また、安管協については、特に地元などを中心に、また、長い間たずさわっておられる専門家の方など、そういった方々の意見が反映されていると思います。そして敦賀市長については、敦賀市の民意を受けておっしゃっていると思います。
【記者】
現在出ている民意について、どういう意見、要望だというふうに感じているでしょうか。
【知事】
私が国に対して申し上げているような内容が民意だと思っています。
【記者】
知事は地域振興の中で、北陸新幹線について強く打ち出している印象がありますが、原発を動かすことと新幹線にはどのような関係があるのでしょうか。北陸新幹線の場合は、現地の敦賀や嶺南の方は、嶺北の人ほど北陸新幹線を望んでいないというような実態があるように思いますが、どのように考えているのでしょうか。
【知事】
これは1対1に対応しているというものではないと思います。取引きのためというものではありません。ただ、福井県の置かれた立地条件、長い目で見た恒久的な地域振興というようなものについて、国において十分理解をして判断をしていただきたいという気持ちはありますので、そこを申し上げています。
【記者】
先ほどの遅滞なくというのは、もうすぐ県の原子力安全専門委員会があり、そこで技術面についてもすべて判断が終われば、できるだけ速やかに判断したいという考えでしょうか。
【知事】
遅滞なく審議などを進めて、かつ、国においてもさまざまな判断を示していただきたいということです。
【記者】
国全体としての対応が必要だということですが、文科省と経産省との三者協議会のほかに、例えば首相なり官房長官などから回答をもらうというような考えはあるのでしょうか。
【知事】
文科省が判断することだと思います。
【記者】
知事としては、その三者協議会で見きわめれば十分だという考えでしょうか。
【知事】
基本的にはそのようなレベルを通じて行われるべきものだと思っています。
【記者】
地域振興策について、新幹線や敦賀港が盛り込まれていますが、例えば国から福井県への配慮を示すに当たって、北陸新幹線の認可なり、敦賀港の拠点港湾への指定というような具体的な目に見えるものが必要なのか、それとも前向きに取り組んでいる姿勢で十分なのか、どのような考えでしょうか。
【知事】
それらが1対1で結びつくわけではありませんが、どういうご理解を示していただけるかだと思います。タイミングもあります。
【記者】
国から前向きな姿勢が見えればいいという考えでしょうか。
【知事】
たくさんのことを申し上げていますが、全体でどうかということです。
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