知事記者会見の概要(平成22年7月27日(火))

最終更新日 2009年9月16日ページID 012458

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平成22年7月27日(火曜日)
10:30~11:35
県庁 特別会議室

 
知事記者会見
 


【知事】
 おはようございます。今日は発表事項が8項目ございます。

 まず、白川静博士の遺愛品の寄贈・寄託について申し上げます。
 このたび、白川静博士のご遺族の方々から、生誕100年記念事業をきっかけに、先生が書斎で愛用された文房具や腕時計、その他日常に利用された品物を寄贈・寄託していただくことになりました。これらの遺愛品は、先生の学問に対する姿勢や精神を垣間見る貴重な文物であり、県民の宝として皆様に広く公開をするのがよいと考えています。こうした機会を与えてくださったご遺族の方々には、感謝を申し上げたいと思っております。
 
 白川静先生が明治43年4月に福井でお生まれになり、本年で100年を迎えたことを記念して、4月に生誕100年記念フォーラムを開催しました。今週末の29日(木)と30日(金)には、福井県国際交流会館において、「文字の国 福井 ~漢字文化を発信~」と名付けて、漢字の未来を考える漢字シンポジウムや漢字教育を考える漢字スタジアムを開きます。遺愛品の一部は、この両日、国際交流会館において公開する予定です。なお、寄贈・寄託していただく品物については、現在、ご遺族の方々と仔細を整理しておりまして、詳細な目録は後日になります。
  
 今後の公開については、遺族の方の意向や遺愛品の整理を行った上で、県立図書館で一般公開することになると思います。また、ここにはありませんけれども、書斎で使用された机、脇机、椅子についても文房具などと同じように寄贈・寄託をいただいています。

 次に、国への重点提案・要望についてです。
 7月30日(金)に、国の関係省庁の大臣等に対し、国の平成23年度予算に対する提案・要望を行う予定です。
要望する項目は、「北陸新幹線の早期認可と県内整備促進」、「県民の安全確保と災害対策の充実・強化」など15項目になっています。特に北陸新幹線の県内整備や敦賀港の日本海側拠点港および重点港湾の選定など、6項目を最重点事業に位置付けています。
  
 今回の提案・要望の主な特徴は3点あります。
 1点目は、福井県の将来の発展のため、また、国家プロジェクトとしても不可欠な社会基盤の整備充実を引き続き求めていきます。北陸新幹線や中部縦貫自動車道などの高規格幹線道路の整備は、地方の立地条件格差を解消するものとして、今後10年前後で完成させなければならないという強い思いを持っています。
特に、北陸新幹線については、政治的な状況によって左右されるべきものではないと思っており、沿線人口の大きさ、東海道新幹線との関連、都市と地方の経済循環など国家的見地からも不可欠な路線です。新規着工に向けた検討を急ぎ、敦賀までの認可を確実に実現すべきです。
 また、港湾関係については、国において国際競争力の強化のために新たに選定を進めている日本海側拠点港や重点港湾について、立地条件や施設の点で優れている敦賀港を選定するよう要望します。アジア諸国へのアクセスの良さ、敦賀港の持つ大きな後背地、関西圏、中京圏を合わると関東圏よりも大きいかもしれません。こういう大きな潜在力があると思います。

 2点目は、国の政策には大都市を中心とした発想に基づくものが多く、地方が長い期間のうちに不利益を被っているものが少なからずあります。「地方の基準」という発想を国政に活かし、県民生活の質を一層高めるための提案あるいはこれまで福井県が独自に実施するものを国全体でも実現するよう求めたいと思います。
 具体的な例として、文化や国民体育大会について申し上げます。
 まずは、“文化の地方分権”とも言うべきものですが、特に、かつて地方で文化財を収蔵したり展示できなかった時代があります。地方で発掘された文化財の多くが国に自然に寄贈されたというものがあるわけです。これらは、国のみならず地方にとっても大切な宝であり、国において展示されておれば、まだよいのですが、収蔵庫に保管されているようなものが少なからずあるのではないかと推察しています。このようなものについては、その由来のある地方に里帰りして展示したり、地方の博物館に移管して、県民、国民の文化の役に立てるようにするのがよいのではないかと思います。
 色々なものがあると思いますが、例えば、「古越前広口壺」は国にあります。岩佐又兵衛の「洛中洛外図屏風」も国立文化財機構にあります。国で常時展示しないものであれば、地方で展示するというのが多くの人の目につくという感じもいたします。こういう提案をしています。

 また、本県で開催予定の平成30年の国民体育大会については、魅力的なものとするために、参加する年代を弾力化したり、施設基準を緩和して、新しい形の国体を実現する必要があると思います。国の体育協会の体制も来春からは色々変わるようでもありますし、文部科学省自体も様々な考えを持っておられようですので、そういう中から福井県の国体を実行する場合に、できるだけ現状といいますか、現状といっても10年近く先になりますが、現状に合ったような運営の仕方ができればよいのではないかと、こんな要望もしたいと思います。

 3点目は、これからの高齢化に対応する社会づくりや県民生活の安全安心のための要望です。
 現在、東京大学と協力して進めている総合長寿学(ジェロントロジー)については、共同研究の中間報告を7月8日に実施しました。その中で、福井県民の健康状態が高いことによって医療費が1割程度節約できていることが報告されました。これから団塊の世代が高齢化を迎え、このままでいくと医療費がますます増大するおそれがあるわけで、その中で県民の健康を維持することは大事な課題でもあるわけです。
特定健診の受診率のアップにつながる政策や、住み慣れた地域で安心して医療を受けることができるよう、また医療費もあまりかさまないようにということで在宅医療を行う体制づくりの政策の提案をします。
 私自身、県立病院や市立敦賀病院など全国の地方公共団体の病院による全国自治体病院開設者協議会の会長や、粒子線治療促進協議会の会長を務めており、そうした医療費の増大あるいは高度医療をどのように進めていくかなどについて関心を持っている1人です。例えば、社会保険病院の公的病院としての維持や介護の現場で働く方々の報酬改善などを求めて、高齢化に対応する社会づくりが安心してできるということが大事だと思います。

 また、安全安心の関係では、もんじゅの再開やプルサーマル計画への安全対策、発電施設の高経年化についての対策について、国として責任ある体制、安全対策の確保をこれまで以上に強く求める必要があると思っています。
 その他、中小企業に対する応援や農林水産業の経営安定なども、県議会、市町の意見をもとに提案に取り込んでいます。
以上の考え方で対応したいと思っています。

 3つ目は、第73回国民体育大会準備委員会の設立についてです。
 平成30年に開催予定の第73回国民体育大会については、本年5月、財団法人日本体育協会から開催申請書提出順序の了解通知(内々定)を受け、本県での開催が事実上決定されています。早速、本格的な準備作業を始めるため、8月30日(月)に、第73回国民体育大会福井県準備委員会を設け、第1回総会を開催します。
 準備委員会には、県内のすべての市町長、県議会議員、経済界、教育界、スポーツ界など県内の各分野の方に参加いただくことになります。
 具体的には、いくつかの検討会を設け、幅広く意見を伺いながら、競技会場地の選定、施設整備、開会式のあり方などについて、既に出されている「福井国体ビジョン」をもとに、福井県にとって価値ある国体とするための具体的な検討を進めていく予定です。
  
 また、国体で活躍できる選手の育成・強化については、選手強化対策委員会を開き、国体開催までの選手・指導者の育成、指導体制に関する基本計画を策定し実行する予定です。各競技団体の指導者を対象としたリーダー養成研修、ジュニアの競技力向上や、競技人口の底辺拡大のための体験教室など、国体の後においても優れた体育能力といいますか、水準を維持できる選手強化体制、あるいは県内スポーツ振興の中核となる人材の養成などを念頭に、効果的な対策を選手強化対策委員会で行うことになります。この選手強化対策委員会は、国体準備委員会とは少し独立した形で運用することになると思います。
 8年後の国体に向け本年度を出発の年と位置づけて、子供から高齢者まで一人ひとりに、夢と元気を与える新しい形の国体が開かれるよう努力していきたいと思います。
  
 なお、これまでの経緯を申し上げますと、本年に入り2月22日に、国と日本体育協会に「福井国体ビジョン」を添えて開催要望書を提出しました。4月1日に、教育庁スポーツ保健課内に、新国体推進室を設置しました。5月12日に、いわゆる内々定である「第73回国民体育大会開催申請書提出順序について」の承認を得ています。そして、来月8月30日に福井県準備委員会の設立総会と第1回総会を開くということになります。

 4つ目は、国への重点提案・要望のところでも若干申し上げましたが、平成21年度のがん検診の実施状況の報告です。
  
 まず、3年連続で、がん検診受診者数・受診率が増加しています。平成21年度の福井県の5つのがんの受診者数は52万7,330人で、前年度より約5万6,000人増加。受診率の平均は前年より2.8ポイント増加し、26.7%になっています。このことは、これまで進めてきた受診者拡大に向けた政策が、結果としてすべて出ているわけではないかもしれませんが、出ているということです。
県としては、これまで検診未受診者に受診勧奨を行うために必要な経費とか検診経費の助成を市町に行っています。
  
 次に、福井県独自の受診率の把握方法についてです。福井県では県全体のがん検診の受診状況を把握するために、独自の方法で調査を行っています。平成18年度以降、毎年、市町が行う検診と職場で行うがん検診の受診者数について、すべて実数で県に報告を求めており、これらに基づき受診率の発表を行っています。県内17市町からの実数報告というのは、毎年どこの県でもやっているものですが、県内510医療機関からの実数報告というのが福井県で独自に行っているものです。つまり、人間ドックとかそういうものを全部組み合わせて数値を取っているということです。国の調査は、これを区別しないでサンプルでやっています。福井県の例で言うと、国のサンプル調査だと3年ごとに約4,000世帯が対象になります。あまり経年変化は把握できないということです。福井県では、そういうことがないようにしているということです。
ですから本県は全国で唯一、職域の受診率を正確に把握している県だということです。
  
 次に、今年度のがん検診体制についてです。今年度から、全国で初めて、がん検診の料金あるいは市町が発行する受診券を県内で統一して、県内215の医療機関で、県民が市や町の垣根を越えて、どこででも可能なだけ検診を受けられるようにしました。例えば、越前町にいる方が福井市内で検診を受けてもよいということです。そういうことができるということで受診率を上げようとしています。これからも受診率を上げるように努力し、陽子線がん治療施設あるいは県立病院のがん医療センターなどと連携してもらいたいと思います。

 5つ目は、新たな行財政改革プランの策定です。
 新行財政改革実行プランの取り組み状況をもとに、新しい行財政改革プランの策定を開始したいと思います。

 行財政改革については、内容は様々ありますけれども、民間の有識者の方々による「行財政改革推進懇談会」を設け、8月10日(火)に第1回目を開催します。懇談会の委員については、10名の方にお願いしています。専門分野、地域バランスなども考慮しています。懇談会は今後、2、3カ月に一度開き、行財政運営の改善方策等について、専門の分野はもとより、様々な観点からご意見をお伺いする予定です。
 新しいプランは、平成23年度以降の4年ないし5年を計画期間とする予定で、今年度内に内容の骨子を整理した上で、平成23年度の本格予算となる6月補正予算の編成と併行して、それに合わせるように進めるという格好になると思います。

 現行のプランでは、これは平成19年から22年の計画でしたが、職員の削減、県税・農林・土木事務所等出先機関の統廃合を行ったほか、県税徴収の強化や事務事業の見直しによる歳入の確保、歳出の合理化を進めています。その結果、一般行政部門の職員数については、全国的に見ると、香川県に次いで全国で2番目に少ない県になっています。香川県では高松市が中核市で、県の事務が市へ移っていることを考慮すると、本県が全国で一番少ないかもしれません。また、地方財政健全化法に基づく財政指標についても、早期健全化基準の数値を上回り、全国中位の水準にあるという状況です。
 
 こうしたこれまでの行革の成果や課題、社会情勢の変化を踏まえて、今回のプランでは、さらなる定員管理や給与の適正化を実行すること、外郭団体の自立に向けた改善を進めていくこと、住民に身近な行政サービスをより身近な市町に権限を移譲し、結果として利便性を高めること、歳出の合理化や歳入の確保に向けた新たな手法を検討し、将来に向けて持続可能な財政基盤を確立すること、それから、行政委員の報酬とか特別職の様々な手当、退職手当などもはいると思いますが、そうした見直しも必要だと考えており、懇談会でもこの点についてご意見を伺いながら、全国の状況もありますし結論を出してまいりたいと思います。

 6つ目は、専門的になりますけれども、委託業務の最低制限価格制度の改正についてです。
 公共事業の中で物を直接つくるのではなく、調査・測量・設計の委託業務について、品質の確保や適正価格での契約を推進する観点から、低入札対策として最低制限価格の引き上げを8月1日から実施する予定です。
 
 本県のこの最低制限価格制度は、平成20年4月から導入していますが、これまでの入札状況や、今年4月から国の制度が改正されていることなどを考慮して見直すことにしています。県の試算によると、今回の改正により、委託業務の最低制限価格は最大で5%程度の引き上げになると思います。
  
 なお、本年度の公共事業の発注ですが、地域経済の効果的な活性化のため、上半期8割台の発注率を確保するよう努めておりますが、委託業務についても早期発注に努め、8月1日から早期に改正を実行することで、経済対策の効果を上げてまいりたいと思っています。

 7つ目は、高校生を中心とした英語コミュニケーション能力の向上についてです。
 高校生の英語コミュニケーション能力を向上させるため、夏休み期間中の8月下旬に高校生英語キャンプを2泊3日で行います。今年度から初めて、県内4ブロックで一斉に実施します。
  
 本県の英語教育のレベルと生徒たちの英語能力は高く、例えば、大学入試センター試験に英語リスニング問題が課されるようになった平成18年度以降、福井県の高校生のリスニング問題の平均点は、大体、全国第1位か第2位を維持しています。
 
 しかし、こうした新しい環境の時代の中にあって、福井の子供たちが思い切って活躍してくれるためには、リスニングに加え、さらに相互のやりとり、コミュニケーションが不可欠で、英語コミュニケーション能力を一層高めてもらいたいと考えています。
 こうした子供の能力を高めるための1つの方法としては、これまでもやっているのですが、これからさらに中学校において音声を中心とした指導に力をさらに入れたいと思います。具体的には、すべての公立中学校に外国語指導助手(ALT)を配置しています。生徒数に換算しますとALTの割合が日本一高いのが福井県なのです。教科書の中の英単語とか英文の発音とか音読を練習し、教科書の内容についてALTと英語で質疑応答などを行っていますが、なおなお充実させる必要があるだろうと思います。
 
 我々がというか、私がと言ったほうがよいかもしれませんが、英語を聞いて分からないのは難しい英語ではなくて、何か優しいものが聞こえないというのが実態ですから、そういうところをよく学んでもらうようにするということです。例えば、「absolutely」なんていうのは聞こえると思いますが、「その上に」は、「on it」とは言わないで、どちらかというと「オニ」と聞こえます。「オニ」と言ったら、何で英語に「鬼」とあるのだろうとか、「on it」だということがわからないとか、具体の例ですが、そういう聞きづらいようなことをしっかり音声として学ぶ教育がまだ十分ではなくて、文字教育にまだ偏っているだろうということを意味していると私なりに理解しています。

 それから高校では、既にALTと教員とのティームティーチングやスピーチやディスカッションなどを行っていますが、今回、そういうことをさらに次のレベルに上げるために英語キャンプを行うわけです。
 約80人の参加者が3日間の英語漬け生活を過ごし、プレゼンテーションやディベートなど外国語指導助手(ALT)と県内にいる留学生を交えて体験することになります。会場は、福井市青少年自然の家(福井地区)、県立奥越高原青少年自然の家(坂井・奥越地区)、県立鯖江青少年の家(丹南地区)、県立三方青年の家(若狭地区)です。
 
 また、高校生の英語コミュニケーション能力の向上を図るためには、英語科教員自身の英語コミュニケーション能力の向上や授業の改善が重要であり、教員集中セミナーを8月9日(月)から12日(木)までの4日間実行したいと思います。生徒も勉強しますし、先生もまた勉強してもらうことになります。
 講師には、本県とも縁の深いパトリック・ハーランさん、パックンに来てもらうことになっています。さらに、田中茂範先生(慶応義塾大学)、この方も英会話の番組などに出演しておられると思います。また、英語ディベートの理論と実践で著名な松本茂先生(立教大学)。地元福井大学から大下邦幸先生。地方としては、広島市立舟入高等学校の西巌弘先生をお招きし、先生に対する英語指導を行うことになります。
 私がマニフェストで掲げています英語を徹底マスターして、若者すべてがそういうことができるようにしたいということです。

 最後は、自立と分散で日本を変えるふるさと知事ネットワークシンポジウムについてです。
 ふるさと知事ネットワークへの参加県は、現在、9県から11県に拡大していますが、この知事ネットワークが参加するシンポジウムを7月30日(金)に東京の憲政記念館で開きます。本当は東京でないほうがよいのですけれども、どうしてもまだ無理だということです。
 このシンポジウムは、NPO法人ふるさとテレビと連携して、ふるさとテレビ5周年記念七夕シンポジウムとして行うものです。シンポジウムには、奈良県の荒井知事、鳥取県の平井知事、知事ネットワークの政策アドバイザーをお願いしている東京大学の坂田教授そして私とで行いたいと思っています。
 知事ネットワークでは5月20日に8項目の政策提言をとりまとめ、9項目のプロジェクトをスタートさせています。具体的な事業としては、民間レベルでは、山形県のJAと福井県のJAとでサクランボあるいは梅との相互販売を既に進めているところですが、今回はそういう具体的な事柄もさることながら、いろいろな政策提言や自治体どうしで行う研究、共同プロジェクトの中身などを主に議論することになると思います。

 

 

~ 質 疑 ~

 

【記者】
 国への重点提案・要望について伺います。最重点事項に挙げられている北陸新幹線整備について、先日、前原国土交通大臣が、北陸新幹線の金沢-敦賀間などの整備新幹線の未着工3区間について、2011年度予算の概算要求までの着工判断が難しいとして、概算要求後に判断を先送りする趣旨の発言をしています。従来、国土交通省は夏までに結論を出すとして調整会議でヒアリングなどを進めてきました。大臣の発言は、夏までにを覆すような形になっていますが、知事の問題の認識と見解を伺います。

【知事】
 夏までというのはいつ頃を言うのか、ちょっと定かではないですけれども、いずれにしても、これまでの議論の道筋と今どこまで議論が進んでいるのか、それから、さらにいつまでに結論を出すのかということを、県民にあるいは国民にと言ったほうがよいのでしょうか、もう少し分かりやすくしていただくことが重要だと思います。
 政府の調整会議は既に10回目になるようですが、それ自体が2、3カ月やはり遅れているようにうかがえます。したがって、スピードを上げて財源問題や、あるいは大臣が言っておられるのは並行在来線、地方負担ということがあると思いますけれども、あるいは他のさまざまな鉄道建設・運輸施設整備支援機構の利益剰余金などの問題もありますから、議論を加速して結論を出すことが重要だと私は思っておりますので、それを要請したいと思います。
 いずれにしても福井県の路線というのは、他の未着工2路線に比べて、客観的にも、また歴史的にも、あるいは地域の熱意としても強いと思いますから、それをよくわかっていただくようにしたいと思います。

【記者】
 なかなか結論が出ない状況が続いていますが、これからどのような戦略で年内実施を求めていくのかお聞きします。ちなみに国土交通省の津川政務官が、仮に財源が確保できても社会的な合意が重要だということで、住民の理解が深まるような取り組みを求める発言もしています。県民の理解を深めるための取り組みとあわせて戦略を教えてください。

【知事】
 今月末あるいは来月初めにかかるかもしれませんが、様々な要請をしたり意見交換をする中で、いろいろな考え方がさらに具体化するなり、統一した認識といいますか、そういうものがある程度出るのかもしれません。その状況を行動に移してみないといけないと思います。考えているだけではどうにもなりません。

【記者】
 要請というのは、これまでもしてきたと思いますが。

【知事】
 そうですね。単にお願いしますという、そういうことにとどまらず、どういう考えで進んでいるのかというようなことを確認したり。

【記者】
 政務三役とかですか。

【知事】
 そうですね。国土交通省もありますし、また地元の考えもある、我々としての考えもありますから。県議会もありますし、国会議員もおられるわけですから。いろんな意見交換もしないといけないと思います。

【記者】
 その新幹線に関連してですが、先日、もんじゅ総合対策会議で、副知事が運転再開了承の際に要請した北陸新幹線の延伸などの地域振興策をめぐる国の対応を概算要求の段階で厳しくチェックする、必要であれば三者協議の開催を求めるとおっしゃいました。
 引き続き、もんじゅに絡めた北陸新幹線の要望を行う考えなのかを改めてうかがうとともに、新規着工が現段階で概算要求に盛り込まれるのが難しい情勢になっていますが、盛り込まれなかった場合どう対応するのか、あわせてお聞きします。

【知事】
 いろんな仮定法が入っていますが、前の鳩山総理大臣あるいは官房長官、それから文部科学大臣、経済産業大臣、国土交通大臣とのいろんな意見交換もあったのだと思いますが、原子力やエネルギー政策に寄与し、努力している福井県の立場を重く受け止めて努力したいというのが政府の見解です。その努力しておられる結果を我々としては強く求めたいし、期待もしているという意味なのです。
それは地域としてもごく当たり前のことだと思います。国としても当然、それにこたえていただく気持ちを持っておられるということだと思いますので、その結果を見なければならないだろうということです。

【記者】
 もんじゅについて、40%出力試験が来年度行われる見通しですが、地域振興などについて政府のきちんとした努力というのがはっきり認められない場合、何がしかのアクションを起こす考えはありますか。

【知事】
 まだ今、こういう現状ですから。それにいかにこたえていただくかということをお聞きしたり要請したりする段階だと思います。

【記者】
 まだどうなるかわからないということですか。

【知事】
 そうですね。こうなるとこうなるという仮定の話は、今するようなことではないと思います。具体的にまだその答えをどうもおっしゃってもいないですしね。

【記者】
 北陸新幹線だけ見るとかなりトーンダウンしていて、厳しくなっているような雰囲気はありますけれども。

【知事】
 どのように、おこたえになるかですね。

【記者】
 それはいつの時点をもって。

【知事】
 それはまだよくわからないですから、今回も確かめる必要があると思います。

【記者】
 特に概算要求時点で何らかの回答が出るかどうかということには、こだわらないということですか。

【知事】
 こだわらないというか、できるだけ前倒しでいろんなものが決まることが12月の予算の結果にも影響はすると思いますが、大きな問題ですから、金額も大きいですよね。ですから、普通の事柄とはかなりレベルが違うと思います。何千億あるいは場合によっては兆がつく金額ですから。

【記者】
 概算要求の決定まで、まだ1カ月余りありますが、あくまで新幹線の新期着工を概算要求に盛り込むように求めていくという姿勢でよろしいですか。

【知事】
 まず求めなければならないです。できるだけ早いほうがよいです。
 概算要求しなくて決定していただいても結構ですけれども早くしないといけない。予算とは関係あるのかないのかわかりません。認可を受けないといけないわけですから。
 予算と認可は直接かかわるわけではないですからね。関係はあるけれども、これだからこれという関係はない。

【記者】
 国土交通省の整備新幹線の未着工区間についての判断の時期は、概算要求後でも構わないということでしょうか。

【知事】
 着工は認可のことですから、認可は政府の事業を進めるという行為であって、概算要求は来年の予算を何を幾らするかという話です。もちろん認可をすると、来年、予算が要るのではないかということは当然予測されますけれども、直ちに何千億円要るわけではないですから、事柄がちょっと違います。一般的には、物事を進めるときに、財源が問題になっているのに、予算がよくわからないのでできないということはあるけれども、直接かかわるものではないです。
 極端に言いますと、概算要求前に決まっているという過程だってあり得るわけですから、事柄が別のことではあるのです。

【記者】
 少なくとも、夏ごろまでに結論を出すと今までずっと民主党が言い続けてきたことは、どうも実現できそうもないという状況ですが、それについては約束違反だというような認識ですか。

【知事】
 まだ夏は終わっていないですから。まだこういう格好、夏姿ですから。

【記者】
 そこについてはまだ希望を持っていらっしゃる。

【知事】
 希望というのか、そういう返事をしておられるわけですから。ある言葉についてはそれなりの対応がいりますよね。おっしゃっておられる以上は。

【記者】
 新幹線を概算要求に盛り込むように求めていくとおっしゃいましたが、福井県新規区間という名前で、福井県という名前も入れて概算要求されることが最善だと思われますか。

【知事】
 どういうスタイルか定かではありませんが、北陸新幹線の敦賀までの延伸を決めるということと概算要求のお金とは、大きさとかタイミングは直接はかかわらないことなのです。ただ、認可することになると、来年どれぐらいの調査費が要るのかとか、あるいは来年すぐに要らないのかとか、そういうことはありますが、直接、500億円要るんだとか5,000億だとか、そういう話ではないですから。今回90億の予算がついているけれども認可ができていないということです。極端にいうと認可をして90億円ついてもよかったわけです。ですから事柄は、直ちに連動はしていないということです。
しかし、できるだけ予算の段階で早くいろんな事柄が決まるのが望ましいということです。

【記者】
 一番言っていきたいことは、新規着工区間に福井県を優先順位をつけて入れてということでしょうか。

【知事】
 着工区間になるという決定をして欲しいということなのです。

【記者】
 国民体育大会について伺います。8月30日の準備委員会の中で施設に関する検討会も設けていくということでした。福井運動公園は老朽化が進んでいますが、国体での利用もにらみ、早急に整備計画を練る必要があると福井国体ビジョンの中には書いてありますが、現状ではそういう検討は進んでいるのでしょうか。それとも、8月の施設検討会等の中で揉んでいくことになるのでしょうか。

【知事】
 準備委員会で議論していくということです。

【記者】
 福井運動公園の現状について、どの程度の建て替えや改修が必要であろうと考えているか伺います。

【知事】
 具体的に体育館がどうだとか、スタジアム、野球場、テニス場、水泳場がどうだというのはそれぞれ検討しなければなりませんし、実務的な詰めとあわせて準備委員会等で議論願うことになります。

【記者】
 参議院議員選挙から3週間近く経っていますが、選挙後初めての会見なので、参議院議員選挙についてお聞きします。
全国的に民主党が大敗して、福井選挙区も自民党の山崎正昭さんが民主党の新人を破って4選を果たす結果になりました。この結果をどう見ているかお聞きします。また、この結果が北陸新幹線などの重要プロジェクトに与える影響に対する懸念はないかお聞きします。

【知事】
 難しい質問ですね。福井も含めて地方のことが、あまり十分に議論になっていなかったという感じはします。それぞれの地域をどうやってよくしていくかという、そういう方面の話ですね。

【記者】
 参議院議員選挙全体の話ですか。

【知事】
 ええ。我々としては、今回の選挙の結果はともかく、自治体として自分たちがやれることをやっていかないと、国の制度がはっきりしないのにあまり動かされてしまうようなことは無いようにしたいと思っています。もちろんいろんな要請はしなければいけませんけれども。どうなるのだろう、どうなるのだろうというような様子で自治体の運営はできません。
 そうした上で、何が要るのか要らないのかという議論を国に言うことだと思います。かつ、国政の場でも国の活力が弱まっているとか、いろんな政策がなかなかまとまった形で進まないとか、大きな話としては国の形をどうするかという議論もありますが、それは地方のことをあまり念頭に置いていないということから来るのだと思っています。ですから、国の力が見かけはよくても根っこが弱いということになっている状態だと思います。

【記者】
 地方の立場ということで、今おっしゃいましたが、福井選挙区の結果、自民党が再び勝ち選挙区の独占が続いていることについては、なぜこのような結果になっているか、何かご意見はお持ちでしょうか。

【知事】
 その分析はなかなか難しいですね。

【記者】
 例えば、地域とのつながりが強いのは自民党であるという見方もありますが。

【知事】
 いろんな客観情勢、候補者の関係ですね。あるいは、出ている政策の問題とかいろいろに影響しますから。他県の1人区でも大体そういう結果が出ているのではないでしょうか。

【記者】
 例えば、山崎さんは新幹線整備などをかなり強く言っていたところはあるのですが、そういうものを含めて認められたということなのでしょうか。

【知事】
 あまりそういう政治論議は、この場でやってもいかがでしょうね。

【記者】
 先月、関西電力が美浜原発1号機の運転継続について意思表明しました。国内で初めて最長で50年まで運転するというふうに言っていまして、それ以外にリプレースの話も出ていますが、それについて、知事として今現在のお考えをうかがいます。

【知事】
 この前も申し上げたとおりで、変わっていません。

【記者】
 今後、どういう点に重点を置いて地元と話をしていきたいでしょうか。

【知事】
 いずれにしても、事業者みずからが電力の安定供給や運転コストの問題あるいはCO2対策など、さまざまな経営上の判断も加えて総合判断をすることですので、その方針に対して、我々が判断を加えていくということになると思います。まだその段階です。ですから、一月前と、そう事柄が変わっているわけではありません。

【記者】
 来年春に知事選がありますけれども、知事選に3選を目指して出馬の意向がおありかどうか教えていただけますか。

【知事】
 今の仕事を全力でやっているという状態です。そういう状態です。

【記者】
 いつごろ判断をお示しになるような感じになりますか。

【知事】
 ちょっとわかりません。2回目のときには、いつごろだったですかね。12月かな。
 政治の話ですから、何か予断を持ってお話しするようなお話はありません。

【記者】
 全国知事会の行政改革プロジェクトチームが県職員の外郭団体への再就職を見直すべきだという中間まとめを出しています。退職金は外郭団体からは基本的に払わないほうがよいなどの内容だったと思います。もう1つ、行政委員報酬を日額制に改めたほうがよいということもその中に入っており、先ほど新しい県の行財政改革プランの中でも、その2つは知事が検討項目としておっしゃっていたと思いますが、どういうふうな流れにしていきたいか知事のお考えがあればお聞かせ願います。

【知事】
 現状を見て、これから検討することだと思いますので、今は特にありません。

【総務部長】
 補足させていただきます。
 全国知事会で決まった、特に再就職問題いわゆる天下りの問題については、主に3点決議されたと考えています。
 1点目は、早期勧奨退職を見直して、基本的に定年まで働いてもらうこと。2点目は、再就職先での退職金を払わないように、もらわないようにしようということ。3点目は、再就職先での給料の水準を下げようということ。これら大きく3つの改革方針が決定されたと思います。
この3点いずれについても、福井県においては平成15年から既に取り組んでいるものですので、そういった点について、全国知事会との関係についてはクリアされているだろうと考えており、さらに、その先のことをやろうかと思っております。
 行政委員会委員の報酬につきましても、これまでも県議会等でたびたび答弁させていただいていますが、福井県は、既に日額制を一部に取り入れている県です。一部の委員について、勤務実態などを見て日額制を取り入れています。また、月額制をとっている報酬につきましても、全国最低水準、全国最下位あるいは下から2、3番目といった水準がほとんどであり、そういう中で具体的に勤務の実態や果たしておられる役割、人材確保とか、そういう面を含めて、今後また懇談会の中でもご議論いただきたいということです。

【記者】
 夏休みに入り県立恐竜博物館が例年以上に非常に人気があり、県外のテレビ局もすごく関心を示し取材に来るようです。 
片や、勝山の方に聞くと、「恐竜博物館にはたくさん来るけれども、その客は金沢に泊まる」と嘆いています。そういった情報を知事は耳にされていますか。また、何か対応策などがあるのでしたらお聞かせください。

【知事】
 金沢に泊まる人があるかもしれませんし、福井で泊まる人もあるかもしれません。
恐竜と観光をどう結びつけるか、あるいはまちづくりやまちの賑わい、そういうのは嘆いていてもしようがないわけで、互いに自分たちで盛り上げていかないと次の段階に行かないですね。それを我々が応援するということでしょうね。産業面の影響もそうですね。
ですから、県立恐竜博物館に大勢の方に来ていただくことは非常にありがたいことで、これをいかにまちづくりとか観光とかに生かすか、この夏だけで全部解決はできませんし、絶対よそに行かないでとも言えないというところがあります。

【記者】
 恐竜博物館は、今年はすごく人気があるようです。

【知事】
 開館10周年の特別展もやっていますし、新たにカマラサウルスのクリーニングなど中身を新しくしていますから、人気があると思います。

【記者】
 先日、福井大学学長が知事のところにいらして、政府が閣議決定した政策的経費を年間10%ずつ削ることに対し、「国に対して県からも強い働きかけをお願いします」とおっしゃったと思います。県としても福井大学と連携して、原子力に関する人材育成などいろんな取り組みをやっていると思いますが、今、政府がそういう方針を示していることについて、知事としても、やはり同じような認識ということでよろしいでしょうか。

【知事】
 地方分権とかいろんなことを言いますが、地方の大学が振るわないと地方分権ということもないのですね。ですから、もうちょっと頑張っていただかなければいけませんし、国の財政状況がいろいろあるとは思いますが、地方の大学が立ち行かないということにならないようにしないといけないと思います。
 一方で、大学自体も、今、例えば、エネルギー研究開発拠点化計画などに参画しておられますが、よりエネルギーを集中して、あるところへ福井大学として総合的に対応するとか、そういうふうなことも必要だと思います。

【記者】
 大学として、そういう努力も必要だと。

【知事】
 そうです。

 

―― 了 ――
 

 

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