知事記者会見の概要(平成22年9月6日(月))

最終更新日 2009年9月16日ページID 012813

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平成22年9月6日(月曜日)
10:30~11:30
県庁 特別会議室

 
知事記者会見
 

【知事】
 今日は平成22年度9月補正予算案について発表します。まず予算案の考え方について申し上げます。


   (資料1 : 平成22年度9月補正予算 予算案の概要
   (資料2 : 平成22年度9月補正予算案 主要事業
 

 現在の県内の経済状況は、全体としての動きは悪くないのですが、中小企業が多くを占める福井県の地場産業は厳しい状況にあり、鉱工業生産指数など、いろんな指数も前年の6割から8割という数字が続いている部分があります。
 また、最近の円高の進行により、輸出関連企業はもとより、下請企業等への影響なども当然出てくるわけであり、先行きを心配されている企業が多い状況です。

 雇用情勢については、7月の有効求人倍率が0.82と3カ月連続で上昇しています。全国平均が0.52ですので、ほぼ0.3ポイント高く全国第1位と改善しています。しかし、かつての1倍を超えるという状況にはありませんし、特に来年春の高校卒業者などの求人が大幅に減少すると見込まれているわけです。

 このような状況を考えながら、複雑な情勢ではありますが、県としては、9月補正予算案においては、まず、広い意味の経済・雇用対策に重点を置いて補正予算編成を行ったところです。景気回復のためには、企業の皆さんが支えられているという意識を持っていただくことが必要ですので、そういう予算を多目に組んでいます。
 また、マニフェスト「福井新元気宣言」に基づく政策については、政策の更なるレベルアップを図る必要のあるタイプのもの、もう1つは、当初予算以降、早急に追加的に対応することが必要なタイプのものの、主に2つのタイプを予算化しました。
今回の補正予算案には、経済・雇用対策と「福井新元気宣言」に基づく施策の推進があるという状況です。

 それでは、9月補正予算案の中身について申し上げます。

 まず、予算の規模について申し上げます。
 一般会計で79億円です。前年度の9月補正予算に比べると、昨年は、経済・雇用対策による基金を積み立てていますから、1年分では、昨年は数字が大きく出ております。つまり、数年間で使うものを一括して積んでいるということです。昨年の9月補正は152億円でしたが、実際、その中に99億円の基金の数年分の積み立てをしていますから、1年分の数字ではありません。
そういうことを考えますと、基金積み立てを除く53億円が昨年の通常の9月補正ということになりますから、今年度の79億は、昨年に比べて26億円多いということになります。

 その結果、今回の補正により、一般会計予算の累計は、5,076億円となります。前年度比2%マイナスということになりますが、今申し上げましたように、昨年の基金積立額を除いた額で比べると1%の伸びになります。

 次に、9月補正予算案の概要についてです。
 まず、経済・雇用対策の追加実施です。内訳としては、新規学卒者、つまり高校卒業者の就職支援の強化、それから個別企業の設備投資や公共投資の促進、さらに年末、年度末に向けた県内消費の拡大などの事業を中心に、32億円を計上しました。
この結果、今年度の経済・雇用対策の予算規模は累計で407億円ということになります。事業規模では、ほぼ倍の949億円になります。
 なお、今回の経済・雇用対策の財源については、国から配分された交付金などをできるだけ使い、県の実質的な負担を抑制しているのが実態です。
 2つ目の大きな柱である「福井新元気宣言」に基づく施策の推進については、教育力の向上、ふくいブランドの発信、環境対策あるいは鳥獣害対策への対応など14億円の予算を計上しています。

 そのほか、国の補助事業の補正など、さまざまの予算が33億円ありますので、これらをすべて足すと79億円になります。経済・雇用対策の追加実施が32億円、もう1つの柱の「福井新元気宣言」に基づく施策の推進に14億円、その他で33億円の合計79億円で、その他については、主に国の直轄事業や補助公共事業の補正など国へ要求していたものの追加が組まれたということです。

 それでは、9月補正予算案の主要事業について説明します。

 まず、経済・雇用対策の追加実施についてです。この中には、雇用対策、中小企業対策、県内経済の活性化、県民生活の安心確保の4つの視点があります。 

 雇用対策については、雇用基金を活用した事業について、当初予算で3,000人の雇用創出を計画していますが、さらに1割増の300人の新たな雇用創出事業を追加します。
 特に、高校生については、就職希望者に対して求人が大きく下回っています。今年7月末時点では、高校卒業予定者の就職希望者を1,740人と見込んでいますが、今のところ、求人数は1,260人という数字にとどまっており、480人の求人不足という状況にあります。新規卒業者を対象とした就職面接会を追加して開催します。

 次に、中小企業対策です。新たな事業展開など経営のレベルアップを図る中小企業に対して、借入金の利子補給を行うもので、産業活性化資金の貸付金利を利子補給により1%を下回る金利での資金調達を可能にします。インセンティブを与えたいということです。
 成長著しい中国市場の開拓に挑戦する企業への支援が必要です。この秋に、中国上海において、北陸3県の繊維関係者を中心に展示商談会が開催されますが、そこに参加し中国市場で販路開拓を行う中小企業に対し福井県独自の応援を行います。 

 次に、地場産業の振興についてです。県内の漆器、和紙などの伝統的工芸品産業については、生産、売上げともに落ち込みが続き、厳しい状況にあります。このため緊急的な対策として、こうした伝統工芸品を購入し、ふくいブランドとしてのPRに協力する飲食店、旅館等に対して、購入費の助成をすることで需要を喚起することとしました。

 県内経済の活性化については、まず、公共事業については、政府の公共事業費の削減の方針を受けて、国の直轄事業や補助金は減少しています。今回の補正においては、県内経済への影響を考慮し、県単独事業を21億円と県独自の事業を増額しています。直轄・補助事業費につきましては、今年度9月現在で542億円ですが、昨年度9月補正で614億円ということで、72億円減少しています。この減少分の半分程度を県単独事業で追加しようということです。72億円の半分は21億円ではありませんが、ほかに今年度中に契約ができるゼロ県債を15億円追加し、21億円と合わせて半分程度のリカバリーをしたいと思っています。
 この結果、今年度の県単独事業の規模は、149億円となり、昨年度を上回る規模になるということです。

 なお、公共事業のお話を申し上げましたが、これは国の公共事業ですので直接県独自の経済対策としては位置づけていませんけれども、資料2に補助公共事業と国直轄負担金の内訳が書いてありますので、ご覧いただきたいと思います。

 次に、県内消費の拡大についてです。当初予算において、「ふるさと商品券」を発行しました。全国では数県が発行していますが、これによって商店街あるいはみんなで売り込んでいこうという効果などが出ているわけです。今回はさらに、商工会や商工会議所が行う販売促進キャンペーン、あるいは地域のこだわりの逸品を販売する「ふるさと市場」の開催等を支援し、みんなが集まって商品を売っていこうという、年末、年度末に向けた消費促進に対する応援をしていこうというものです。
 それから住宅投資を促進するため、子育て世帯を対象に一戸建て住宅を新築する際の住宅ローンへの利子補給を行います。利子補給は住宅ローン金利の半分、1%を限度に支援をしたいと思います。 

 県民生活の安心確保の予算についてです。国の経済対策により既に造成した基金についてお話をしましたが、これをもとに子育て支援や小児救急医療体制の整備などの事業を実施します。福井の子どもたちは学力・体力日本一ですが、新たに小学校入学前のいわゆる保育あるいは幼稚園教育について施策を講じる必要があるということで、保育士、幼稚園教諭の指導力向上のための研修、それから子供たちへの本の読み聞かせ、保育所、幼稚園等が自主的に行う読み聞かせ講座や運動指導などについても応援をするというものです。
 小児初期救急センターの開設については、来年4月に福井市内の福井市休日急患センターに併設し、平日、土曜日の夜間、休日の365日体制で小児救急のセンターをつくろうというものです。

 以上が今回の補正予算で対応する経済・雇用対策の主なものです。

 なお、最近の円高、株安の進行により、県内経済への悪影響も懸念されることについては、冒頭申し上げましたが、これから国の追加経済対策の動き、また、県内企業の経営状況などの把握に努めながら、機動的に対応することが必要であると考えています。
  
 ここからは、マニフェスト「福井新元気宣言」に基づく政策推進についてです。予算規模としては、全体で14億円ということになります。

 まず、小惑星探査機「はやぶさ」が地球に見事に戻ってきたわけですが、この機会に、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と連携して、「はやぶさ」に関する展示や講演を行います。「はやぶさ」にも活用されている県内企業の最先端技術等を子どもだけでなく、大人も含めて多くの県民に見てもらおうということです。子どもたちの宇宙開発や科学技術への興味や関心を高めるサイエンス教育です。
 また、奥越地域の児童・生徒は、現在、福井市等の特別支援学校に通っているわけですが、通学負担を軽減するため地元に学校をつくります。勝山南高校の敷地、施設を活用して整備を行い、平成25年4月の開校を目指して設計に着手します。

 陽子線がん治療センターについては、来年3月治療開始です。現在、残念ながら、まだこの治療は、医療保険の対象にはなっていないことから、通常は治療費が200万円を少し超えるぐらいの金額になるかもしれません。そこで医療費を約1割軽減することにしました。これで、もともと料金は日本一安いと思いますが、さらに安くなると思います。
 それから、嶺南地域の住民のため、これまでの経緯も考えまして、交通費の助成を行いたいと思います。また、治療資金の借り入れの際の利子補給制度もつくります。240万円の治療費は、国内の同種の施設の料金の中で最低レベルにあり、さらに25万円程度助成することにより、全国で最も安く陽子線治療を受けられる施設になると思います。

 次に、元気な産業についてです。中国、台湾からの観光客誘致を積極的に進めます。現地の旅行会社へのプロモーション活動や台北市の中心街におけるビルへの大きな壁面広告の実施などで福井県の認知度を上げたいと考えています。

 イノシシ、シカ等による農産物への被害が拡大しており、対策への強い要望があります。今回、これまで県が実証試験を進めてきたネット柵の導入経費に対して新たに補助を行います。ネット柵は恒久柵よりも設置や維持管理がし易いということですので、今年度は40km分、1億円の予算を計上します。さらに駆除についても、当初より500頭分を増やし、約9,000頭の駆除について支援する予定です。
 このほか、「ふるさと知事ネットワーク」農産物直売所交流事業については、今年6月に、山形県との間で実施した農産物直売所での相互販売を、ふるさと知事ネットワーク参加県の、山梨県、奈良県、高知県、熊本県に拡大したいと考えております。

 元気な県土づくりについてです。まず、えちぜん鉄道と福井鉄道の相互乗り入れにつきましては、事業者や沿線市町等と事業検討会議も開き協議を進めておりますが、今回、検討会議での合意事項に基づき、結節点となる田原町駅の工事内容や、事業費精査のための概略設計の経費を計上しています。そのほか、両鉄道でいろいろ関連できることがあることも議論しなければならないかもしれません。 

 7月に日本海側で唯一の航路である国際定期RORO船が釜山・敦賀間で就航しました。今回、敦賀港のさらなる利用促進を図るため、JR貨物の鉄道網と組み合わせた一貫輸送体制の推進に向けた具体的な検討を行うことにしています。関東地域からコンテナ船で韓国へということになると6日程度かかりますが、RORO船との一貫輸送を行うと、3日間とほぼ半分の日数に短縮ができるという見込みが立っておりますので、関東地域の企業をターゲットに利用促進を図っていきたいと思います。 

 次に、恐竜につきましては、恐竜を絵柄とした記念貨幣を発行したところです。その収益金を活用して、カマラサウルス、トリケラトプスなどの人気のある恐竜骨格復元のレプリカを購入し、県外での出張展示などに活用することにより全国発信を強化していきたいと考えております。
 なお、予算とは関係ありませんが、恐竜についてはこれからさらに全体的な戦略を考えなければならないと思っているところです。 

 また、来年1月から放送されるNHK大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」をきっかけにした本県の観光誘客の促進に向けて、県内関係機関による協議会を設け、活動を展開していますが、滋賀県との県境を越えた連携事業を実施することにより、さらなるPRの強化を進めていきたいと思っています。

 環境政策についてですが、6月に開催されましたAPECエネルギー大臣会合の福井宣言では、低炭素社会の実現を唱えたところです。開催県である本県としては、原子力のみならず、太陽光など再生可能エネルギーの集積でも全国の先進県になることを目指し、クリーンエネルギーのまちづくりを推進する必要があると考えております。これまでとは一段レベルを上げ、低炭素化社会実現に向けた調査検討をスタートさせていきたいと考えています。 

 県内にコウノトリがたびたび飛来しています。その中には、長期間にわたって福井県内で定着するという状況も見られます。自然再生活動への機運が高まっていることから、コウノトリを福井の自然再生の1つのシンボルとして、生物多様性や自然環境保全のための活動を広める必要があるだろうと考えています。そのため、先般、兵庫県知事ともご相談しました。生物の問題ですから、さまざまな技術の問題があるのですが、兵庫県から幼鳥を譲り受けて飼育し、そして放鳥を行うための準備として、餌場となる環境整備を行う予算を計上しました。なお、これについては、越前市など地元の熱意あるいは協働事業が必要ですから協議しながら進めてまいります。 

 また、生物多様性の保全や再生を行う団体の活動を資金面から後押しするため、民間企業から協賛金を募り、活動団体に支援する「ふくい生物多様性保全支援制度」を創設することにいたしました。

 以上が9月補正予算案の主な内容です。

 

~ 質 問 ~

 

【記者】
 9月補正予算案は、経済・雇用対策の追加実施が柱だと思いますが、編成に当たっては一番どこに力を入れ、どのような意識で編成されたのか伺います。

【知事】
 福井県の場合、雇用の数字など様々な数字をみると悪くない部分がありますが、この先、円高など様々なことも予想されますので、今何をなすべきかという観点から、必要なバックアップをする、具体的には投資を促進したり消費を拡大したり、雇用対策をするということで、みんなで安心しながら、足元を少し固めながら動き出そうということになると思います。
新しい事態が生ずれば、それに対してなすべきことをできるだけ行っていこうということです。

【記者】
 就職が非常に厳しい状況にあると思います。その中で就職面接会の追加開催がありますが、これで十分なのかという声もあります。この点についてはいかがでしょうか。

【知事】
 こういう面接会はもちろん重要です。また就職先の開拓について、今、専門のスタッフも動いています。これを熱心にやると採用が増えてくると思います。来年採用をと思ったけれども今年採用しようというマインドを起こしていくことがあると思います。それから、今年から始めている、お勤めやお仕事をしながら、次のところを目指すとか、その職場で就職するというやり方も進めています。

【記者】
 恐竜について、今後、全体的な戦略も検討していかなければいけないと話されましたが、どのようなイメージの戦略でしょうか。

【知事】
 県立恐竜博物館へは、40万人を超える方がお見えになっています。県外の方が約8割で、恐竜博物館を見るだけでは勿体ないと思います。いろんな福井のブランドや観光あるいは地域の産業などがありますから、地元とも相談しないといけませんが、さらに様々工夫をしたいということが心の中にあると申し上げました。

【記者】
 恐竜博物館の来場者を、さらに県内全体に波及させていく何か方策はないかということですか。

【知事】
 地元の奥越全体でもう少し受けとめていく必要があるでしょう。関東あるいは中京、関西の子どもたちが恐竜博物館に勉強に来るとか様々なことは頭の中で考えられます。そういうものを具体化する仕方があるので、もう少し考えたいなと思っているという感想を述べました。

【記者】
 恐竜骨格復元レプリカを4体購入したいということですが、具体的な活かし方をお聞かせください。

【知事】
 4体の恐竜骨格の具体的な名前はステゴサウルスなどです。典型的な恐竜の骨格によって、子どもたちの関心も高まりますから、県内はもちろん、県外に向けてPRするときに使えると考えています。

【記者】
 福井に縁のある恐竜もあるのでしょうか。

【知事】
 それは、もともとありますから使えます。よく図鑑などに載っている恐竜のレプリカが恐竜博物館にはなかったので購入します。

【記者】
 コウノトリの放鳥についてお伺いします。越前市など地元の状況を考慮して進めたいとのことで、知事は、「越前市など」とおっしゃいましたが、まず最初に考えている放鳥場所は越前市だと受けとめてよろしいでしょうか。

【知事】
 越前市が常識的だと思います。兵庫県のコウノトリのDNAというのは、ロシア系統もあるのですが、唯一日本で残っているのは「武生」、福井の系統が残っているわけですから、そういうことを大事にしなければいけないと思いますし、地元の盛り上がりもあると思います。
ただ、ほかの地域もいろいろお考えであれば、やっていく必要があると思います。あまり手を広げるとなかなか大変でしょうし、コウノトリは、住民の方の熱意も必要ですが、コウノトリ自身の気持ちというのが定まらないので、プロジェクトとして慎重にやらないと、せっかく皆で盛り上がっているものが生かせないということになります。着実にやっていくということを兵庫県知事ともよくお話ししたところです。

【記者】
 北陸新幹線の金沢-敦賀などの未着工区間について、来年度の概算要求に新規着工が盛り込まれないということで、結論が先送りされる形になっています。従来、国土交通省が夏までに結論を出すと言ってきた点を覆されたような形になっているのですが、知事の見解と今後の対応についてお聞きします。

【知事】
 整備新幹線の新規着工については、政府はこの夏までに方針を決めるとしていたにもかかわらず、またも先延ばしされたことは、まことに遺憾と言わざるを得ないと思います。整備3線の中でも、国土軸を形成する上で、北陸新幹線というのは重要です。そして、敦賀までの整備を優先することは合理的だと思っております。整備を進める上で、福井県としての障害となる課題はないと考えておりまして、今後は早急に国土計画上の観点からも、方針を決めるべきものだと思います。
言うまでもありませんが、福井県として、新幹線は将来にわたって県土発展の骨格となるものであり、来年度予算に確実に盛り込まれることが必要です。
県民のご理解をいただきながら、必ず実現するように、県議会やあるいは県内各界の皆さんと力を合わせて、粘り強く努力してまいりたいと考えておりますので、一層のご支援、ご協力をお願いしたいと思います。

【記者】
 概算要求に盛り込まれないことについて、今回、国土交通省が敦賀以西の整備のあり方を検討課題に挙げていますが、そのことについてはどのように思われますか。

【知事】
 あれは我々の課題というよりも、国土交通省の課題、自己課題といいましょうか、考え方を整理して、こういうことであるという認識をする必要があるだろうということだと思います。早くしてほしいと思います。

【記者】
 敦賀以西の課題というのはなかなか難しい問題なので、検討課題となると結論を出すのが遅れるのではないかという声もありますが。

【知事】
 これはずっと昔からやっている課題ですから、決断をすることだと思います。行政、政治的に。割り切らなくてはいけないと思います。こういうことだと割りきりがいると思います。

【記者】
 前回の記者会見で、概算要求に盛り込まれなかったらと仮定の話をした際、知事は仮定の話には答えられないと言われました。実際こういう形になり、今後どうしていくかについて、高速増殖炉「もんじゅ」の地域振興には新幹線が入っているので、例えば、もんじゅ総合対策会議や三者協議が確認する場としてありますが、今後、そのようなことを求めていく考えはあるのでしょうか。

【知事】
 今ちょうど民主党の代表選挙であり落ちつかない状況ですが、政府の新しい体制が決まった段階で、さまざまな働きかけとか確認が要ると思います。現状ではそのように思っております。そうした中でどういう手段が有効かということを考えなければならないと思います。
 また、その前提として、どんなふうに思っておられるのか、要するに鳩山内閣のときにはそういう確認をし、菅内閣に引き継いでいると私たちは思っておりますが、さらに体制が変わるかもしれませんから、その中で政府の認識、確認、そして我々の対応というのでしょうか、もちろん今申し上げましたように、あらゆる力をつくして粘り強く働きかけるというのは大事ですが、その中の一環としてどんなことが行われるのかということを考える必要があると思います。

【記者】
 確認するまたは働きかける場としての選択肢として、もんじゅ関連協議会も知事の頭の中にあるということでしょうか。

【知事】
 それは、もともとそうした意味もそこに含まれると思います。

【記者】
 経済界などでも、北陸新幹線の問題に関して、「もんじゅ」があるということや、関西の電力の約半分を供給している立場をもっと前面に出して、国に、より強いメッセージを知事に発してほしいとの声も聞かれますが、その点に関して見解はいかがですか。

【知事】
 もともと経済界として発しているのではないかと思いますけれども、全体として何が有効かというのは、さらにしばらくの状況を見て動くことが必要だと思います。

【記者】
 高速増殖炉「もんじゅ」の炉内中継装置が原子炉容器内で落下するというトラブルがあり、土曜日の原子力委員会との意見交換会でも、知事から少なからず県民は不安も抱いているという発言もあったように思いますが、今回のトラブルについて、知事としてどのように感じておられるか。また、原因究明や炉内の影響調査などを含めて、作業が長期化するとの見方も出ています。敦賀市長は、今回のトラブル再発防止対策等をしっかり進めなければ、次に控える40%出力試験実施を認めないという考えも示されています。その点に関し、知事としてどのように考えているか伺います。

【知事】
 今回のトラブルというのでしょうか事象については、原子炉容器内での事案であり極めて遺憾なことであり、これまで強く安全運転あるいはプラント全体の中でのヒューマンエラーがないように申し上げているところです。8月26日、その日のうちに日本原子力研究開発機構と文部科学省からも来ていただき、そのことを強く申し上げたところです。翌日は、副知事から鈴木理事長に一連のことについて申し上げたところです。
  今、炉心確認試験が一通り終了した段階で、次に40%ということになりますから、次の段階への影響がないことが確認されることが重要です。そのためにはどういう原因で起こったか、次また同じことが起こらないように、今回の事象で、他の機械とか炉心の中に影響がないのかということをチェックし終わらないといけません。それが終わっ
て次の段階に行くと思います。

【記者】
 概算要求を提出する前に民主党代表選への動きが活発になり、行政が停滞するのではないかという声も聞かれます。この時期に代表選がメインテーマとなっていることについて、どのようにお感じですか。

【知事】
 民主党代表選は、そういうスケジュール、政治的な日程があるのでしょう。それは政党としての判断でしょうから、私があれこれ申し上げるようなものではないと思います。
いずれにしても、こうした選挙のみならず、さまざまの中で、先ほど新幹線もありましたが、判断をできるものは遅くならないように、早く進めていくのが地方自治体にとって極めて重要ですので、そこを強く期待しています。
今回いろんなことがあるでしょうが、それが終わった段階で早く体制を整えて、地方が望んでいることに対する答えを出してほしいと思います。

【記者】
 小沢氏は、一括交付金として財源を国から地方へ移せば、地方経済も活性化すると言っています。首長の皆さんからは、本当に地方にお金がくるのかという声も聞かれますが、どのようにお感じですか。

【知事】
 一括交付金は有効に使えるという点では重要だと思いますが、名目はともかく自主的に地方の本当の事業に有効に使えないということがあってはいけません。今の段階では、一括交付金の中身はよくわかりませんから、選挙が終わった段階で、よくお聞きするということかもしれません。

【記者】
 コウノトリの放鳥の時期については、何十年も先の話なのか、数年内には達成したいというイメージなのか教えてください。

【知事】
 後者です。

【記者】
 放鳥については、幼鳥を持ってきてというお話がありましたが、福井県内にもコウノトリを育てるような施設を将来的につくり県内からも放鳥していきたいとお考えですか。

【知事】
 もう少しよく勉強しないといけないということもあります。鳥は生後数日のある時期までに自分はどこで生まれたという認識をするようです。時間が経ってからだと、ここは自分の生まれた場所でないということで戻りにくいようですから、タイミングは、一定の幼鳥のときがよいのではないかと思っています。かつ、元気な、そして将来とも伸びていく鳥でないといけないと思います。兵庫県には、技術的な専門家の方がおられますから、よく相談し意見も聞かないといけないと考えています。

【記者】
 えちぜん鉄道についてお伺いします。次の支援スキームを話し合う協議会が10月に立ち上がりますが、広域鉄道という立場から県の支援を引き続きお願いしたいという声も聞かれます。協議会に県としてどういうスタンス、立場で入るかについて、どう思われるかお聞きします。

【知事】
 まず事業者であるえちぜん鉄道、それから沿線の市町で、さらに存続したいという強い気持ち、方針が明らかにされる必要があります。
前回、あれは10年間でしたか、やるときにそういう話になっております。幸い頑張っていただいていると思いますが、次もこうやりたいという気持ちが明らかにされないと、何となく次の10年というわけにはいかないと思います。

【記者】
 県に対してきちっと示すということでしょうか。

【知事】
 基本的には、県民に対して示されなければいけないと思います。

【記者】
 その上での判断ですか。

【知事】
 そうだと思います。

【記者】
 来年の統一地方選に向けて、知事は3選に出られるのかどうか。9月議会、12月議会とタイミングがあると思いますが、何かご自身で環境が整ってきたと思われるかお聞きします。

【知事】
 まだ、特に決めておりません。そういう時期ではありません。まずは、今、いろんな課題が沢山ございまして、一生懸命やらないといけないです。

【記者】
 民主党代表選に小沢氏と菅氏の二人が出ています。小沢氏が積極財政、菅氏が消極財政と見る向きもあります。知事はこのお二人の違いをどういうところにあるとごらんになっていますか。

【知事】
 どなたかということではなく、いずれにしても福井のような地方、福井県のような県はあちこちにありますが、そういう県の課題というものが国土計画的にもできていない部分がありますし、それから地域を盛り上げていく、元気が出ることが日本全体の元気が出ることにつながると思います。そういうことをよりクリアにおっしゃって欲しいし、総理大臣になられたら、内閣全体、政府をそういうふうにして引っ張ってほしいと思っているのです。
意識しておられるかどうかは別ですけれども、東京、首都中心という感じはなくしてほしいと思います。

【記者】
 先ごろ関西広域連合の準備会がありました。今後発足する関西広域連合の中で、福井県は知事の集まりにオブザーバー的に参加していくと言われたと聞きました。オブザーバーでも関西広域連合にかかわっていこうという考えなのか聞きします。

【副知事】
 知事の会合があり知事の代わりに参加しました。本県は関西との関係が非常に強うございます。ただ、関西広域連合自体に入ることのメリットは十分にまだ明らかでありませんので、オブザーバーという形で関係をもっていくということで、三重県、奈良県と同じようにするという状況です。

【知事】
 福井県、三重県、奈良県はそういう立場です。もちろん、いろんな地域と協力したり、仲よくしなければなりませんし、互いに思っていることをいつも理解しないといけませんから、言葉はともかく、オブザーバーの形で参画し、必要に応じてこれから具体の行動もとらなければならないということです。今、関西広域連合に直接負担をして参加する状況にはないということです。

【記者】
 広域連合に直接参加するということはないわけですか。

【知事】
 今のところ。メリットが直接感じられないということです。

【記者】
 福井駅西口再開発ビルについて、県から県議会に3案を示されています。県議会には、もう少しゆっくり議論したいという声もあるようですが、知事として3案をどのように評価されているか、また、9月県議会をどのようにお考えなのか伺います。

【知事】
 6月県議会で、基本的な方向として、施設の立地場所はNHKが入る建物の上階部分の4階部分、施設規模については、約2千㎡、10億円程度になるかもしれません。施設の機能としては、県民に親しまれ支持される、もちろん賑わいということも必要だと思います。NHK等と他の施設との相乗効果を高めるということで、床取得を前提に話を進めようということになったわけです。それをもとに9月議会ということですので、検討の結果、さまざまな考え方がありますが、「サイエンスプラザ」、「暮らしの中のバイオ科学館」、名前はともかく、こういうタイプのもの。それから、文学系統の「ふるさと文学館」の3つを県議会に提示したところであり、県議会のご意見、ご提案をお聞きして、決めることになると思います。
できるだけ9月議会で1つに取りまとめることになると思います。


── 了 ──
 

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