知事記者会見の概要(平成22年11月12日(金))
平成22年11月12日(金)
15:00~16:00
県庁 特別会議室
【知事】
福井県では、かねてから小浜市や関西電力株式会社とともに、クラウドコンピューティングの基礎となるデータセンターの本県への立地を積極的に働きかけてきましたが、このたび、日本ユニシス株式会社が小浜市に立地していただくことが決定しましたので、ご報告します。
本県の産業構造の高度化を図り、就業の場を確保し、若者の定住化を進めるためには、従来から誘致を進めてきた製造業だけにとどまらず、成長が見込める様々な分野での優秀な企業の立地が不可欠です。そのため、マニフェストに示しました「元気な産業」の実現に向けて優遇措置を設け、私自身も先頭に立って誘致活動を行っています。
平成18年度からは、エネルギー研究開発拠点化計画に基づいて、電力事業者とも共働しながら、先端産業の誘致を進めてきました。特に、今年は年頭から太陽電池やリチウムイオン電池等と同じクリーンエネルギーの地産地消型産業であるデータセンターの誘致に力をいれてきたところです。今回の進出は、小浜市との連携および関西電力株式会社との協力により実現したものであり、エネルギー研究開発拠点化計画の推進に貢献するものです。
今年9月には、総合特区に関して、嶺南地域をエコ・エネルギー・コリドールとして位置づけ、データセンターを基盤とした街づくりや観光振興、農業などの様々な分野において、低炭素社会の実現を目指す提案を国に対して行ったところですが、今回の日本ユニシス株式会社の立地は、まさにその提案を実現していくものであると考えております。
さて、日本ユニシス株式会社は、世界のコンピュータの黎明期である昭和33年に設立され、主にシステムの構築・運営・メンテナンスを行うシステム構築支援の企業として、創業から今日に至るまで、日本のIT産業を支えてこられた企業だとお伺いしています。独自の技術とノウハウを積み上げ、現在では、金融、製造、流通、社会保障、エネルギーなどの様々な分野において、あらゆる情報サービスを提供し、日本の情報通信技術産業をリードする存在となっています。会社のあらましや今後の事業展開については、後ほど、日本ユニシス株式会社の籾井社長からご説明があると思いますが、今後、地方自治体や民間企業のクラウドコンピューティングの活用が進む中で、データセンターの重要性はさらに高くなり、成長が見込める分野であると思います。
福井県民の勤勉な県民性、嶺南地域そして小浜市の市民の皆さんは、こうした素晴らしい県民性を持った皆さんであり、企業にとって満足いただけるものと考えています。福井県に立地してよかった、小浜市に立地してよかったということになるよう、県としても小浜市と力を合わせて支援していきますので、更なる業務拡張や本県での積極的な事業展開をお願いしたいと思います。
【松崎小浜市長】
日本ユニシス株式会社のクラウドコンピューティングのデータセンターを小浜市に立地していただけることが決定いたしました。クラウドコンピューティング市場は大きな経済効果をもたらすものとして、国も推進に向けて、イノベーションの創出、制度整備、基盤整備等の政策対応を実施すべく準備を進めているとお聞きしています。その核となるデータセンターが、昔、内陸文化の玄関口として栄えた小浜に、県内で初めて建設されることは、この上ない喜びであり誇りです。
これまで、日本ユニシス株式会社の誘致にご尽力いただいたた福井県、関西電力株式会社に対し、心から御礼申し上げたいと思います。私も2年前に小浜市長に就任して、自ら先頭に立って、小浜の風土に合う活力のある企業誘致がマニフェストにございまして、常にトップセールスを心がけてきたところです。私自身にとって、初めてとなる県外企業の誘致が、日本ユニシス株式会社ですので、本日のこの喜びは、生涯の宝になると思っているところです。
小浜市は、若狭湾国定公園に面し、多くの神社、仏閣、風光明媚な自然にあふれ、古来より朝廷に食材を提供した御食国です。歴史と文化の町の小浜市でクラウドコンピューティングの歴史の第一歩を記していただくことで、小浜市といたしましても県と協力しながら、お手伝いできることがあれば、全力をもって支援したいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
【日本ユニシス㈱ 籾井社長】
日本ユニシス株式会社の籾井でございます。知事ならびに小浜市長より、過分なるお言葉を頂戴し、全く光栄に思っているところです。
福井県小浜市にデータセンターを作ることに関しては、当然のことながら、福井県ならびに小浜市からの絶大なる支援とサポートをいただいております。また関西電力さんとも強力な協力関係におきまして、やっと今日の正式スタートということになったわけです。
予定では来年4月から工事を始め、1年かけて2012年1月の稼働開始を予定しています。クラウドコンピューティングというのは、最近、随分と色々な所で報道されています。従来は、システムをハードのコンピュータや人員も含めて、全部、お客様がお金をかけて、自分の資産でやるということだったわけです。それが、お客様が自分でやるよりは、使った分だけ支払うということで、かなり画期的なシステムの変革になるわけです。そのために大事なのが、データセンターです。我々がお客様の大事なサーバーをお預かりしたり自分でサーバーを持ったりと色々やるわけですが、そのためには立派なデータセンターが必要なわけです。
そういう中で、我々が立地を色々検討した結果、やはり一番大事なのは電力です。電力がきっちり安定的に供給されないと、データセンターは成り立たないのです。コンピュータが電源の不安定さで止まるということは許されないわけですから、そういう意味におきまして、小浜市は、安定的な電力供給に最適な場所であるということが大きく、同時に小浜市、福井県のご協力というものも得られましたので、今日の正式な発足に至ったわけです。
今から24時間365日という稼働を目指して、我々はやっていきます。同時に、このデータセンターが、沢山のサーバーを置けるように、我々としてもビジネス上、色々努力をしていく所存です。
当社について、簡単に説明させていただきます。昭和33年に会社を設立しています。これはあまり知られていないことかも知れませんが、日本で初めてコンピュータをアメリカのユニバック社から輸入しております。当時、当社は日本ユニバックという名前でした。そして、これを東京証券取引所や野村證券に納入したという歴史がございます。それ以来、日本の金融、製造、流通あらゆる分野において、我々はコンピュータを供給し続けてきました。
しかしながら昨今は、いわゆる汎用機というコンピュータからオープンへの移行であるとか、クラウドコンピューティングへの移行という形で業務の変化がございます。そういう意味において、今、我々は、もちろん今までのいわゆる汎用機ビジネス、それから通常のシステム開発、これは当然引き続きやるわけですが、より幅広いサービスを目指すということで、今年1月からは、従来のシステムインテグレーターという言葉があったわけですが、そこからサービスインテグレーターに変わるという宣言を内外にして今日に至っています。それを実践する意味でも、クラウドコンピューティングを推進することが極めて重要なわけです。色々なお客様に提案型、我々が積極的に提案をしていくというビジネスを展開するという極めて野心的な戦略的なものでございます。そういう意味において、当地にデータセンターを作らせていただいて、今後我々のクラウドコンピューティングに大きく寄与してもらえるものと思っております。
我々は、3年前からクラウドコンピューティングを始めました。クラウドは雲という意味ですから、ふわふわして安定していない印象を与えているようで、私はあまりクラウドという名前は良くないのではないかと思っているのですが、皆さんがクラウドと使っておられますし業界でも皆クラウドですからクラウドコンピューティングという言葉を使っています。しかし、同時にクラウドコンピューティングは安全ですよ安定的ですよと我々は強調して言っているわけでして、そういう意味においても、このたび小浜市に立地するデータセンターは、一番大事な電力をきっちりと供給される関西電力さんがおられるわけですから、我々としては本当に安心しているわけです。
当社のクラウドコンピューティングビジネスも相当進み、450社くらいのお客様を抱えるまでに至っています。そして500%ずつくらい伸びていっているということですが、今後も500%が続くかということで、私も期待しているわけですが、何とか、日本のクラウドコンピューティングの先駆者として、引き続き努力、尽力していきたいと思います。
今後とも福井県ならびに小浜市あるいはその近辺の皆様方とも色々な形で協力が出来れば大変喜ばしいことと思いますし、我々にとりましても、福井県にとりましても、いわゆるウィンウィンの関係で、今後、関係を続けていければ、この上ない喜びです。
幸いにも福井県、特に小浜地域は、食べ物が大変美味しいと聞いております。あまり今まで足を踏み入れたことがないところでございますが、今後は頻繁にお邪魔させていただきたいと思います。日本ユニシスをよろしくお願い申し上げます。
【日本ユニシス 角専務】
私どものデータセンターの基盤は、今は東京と大阪と札幌にあります。さらに小浜市にセンターを構えることで、ようやく大規模な事業が展開できることになります。
小浜市のデータセンターの概要ですが、非常に広い郊外型のデータセンターで、2万㎡の土地の広さを持っています。ここにいくつか棟を分散しながら、事業のペースに合わせて作っていくということで、当初は、1,700㎡のセンター規模と事務棟1,200㎡の合わせて2,900㎡のセンターがスタートします。その後、残り4棟を事業の成長に合わせて建てると全体の2万㎡が埋まっていくことになります。私どもとしては、さらにその後、事業が拡大することを期待していますので、さらなる追加が出来ればと思っています。
小浜市を選んだ理由の1つ目は、広い郊外型のデータセンターがクラウドに向いているということです。今までのデータセンターは、大体、都市部に集中しているので、初めてこういう郊外型で作られるということになると思います。
2つ目が、やはり電気が相当重要ですので、小浜市が原子力発電所の近郊にあるということで、そこから安定した電気が受電できることが重要なポイントです。そして場所、それから関西電力さんの色々な技術力で省エネタイプのデータセンターを予定しております。実際建てていただくのが関西電力さんですから、そちらの色々な技術力、冷却などの対策を期待しております。
当然、私どもはユーティリティサービス型で利用し、そこにクラウドのセンターを作り、何人かの運営要員を抱えながら運営していくという形になると思います。全体の予定は、平成23年4月から着工して12月に竣工できる計画であり、平成24年1月からのサービス開始を目指しております。
~ 質 疑 ~
【記者】
新しく建てるセンターは、ポリテクセンター小浜のあるところだと聞いたのですが。
【日本ユニシス 角専務】
ポリテクセンター小浜の教室部分と事務棟の一階は、センターの一角として有効活用していこうとしています。研究棟は更地になってデータセンターが建ちます。
【記者】
地元採用について伺います。当初、地元から採用される人員、将来これくらいまで採用できるのではないかという見込みを教えて下さい。
【日本ユニシス 角専務】
クラウド型データセンターというのは、東京で運用ができるものなので、センターそのものの運用は無人で行えます。そうは言いながら、マシンルームとか設備が安定稼働しているかどうかを運用保守する要員が必要ですから、何人かは採用させていただくことになります。
ポリテクセンター小浜跡地が、教室なども含めてかなり持っておりますので、そこで先々、データセンターのクラウド以外のところをもし手がけることが出来れば、特に福井県の色々な自治体の仕事や県内企業の仕事を含めて一緒に出来ることになれば、地元採用と私どもの社員を福井に移していくということを検討していきたいと思っています。
当初は、4~5名と思っていますが、そのあとの雇用、どう事業を展開するかということは、この後、県や小浜市の皆さんと進めていきたいということです。
最初は、1,700㎡の第1棟ができますから、それがあと5棟建って、最終的に2万㎡になる。この規模の成長に合わせて当然雇用の問題も掛け算になっていきますので、そういうふうにお考えいただければと思います。
【記者】
5棟建設する時期的な目途はあるのでしょうか。
【日本ユニシス 角専務】
年率5倍で伸びていくと、1年後には、さらに次の棟を建てることになります。そうしないと事業スピードに追いつけないと思っていますので、年に1つもしくは2つずつ埋まっていくような形になると今は考えています。
【記者】
建物を作るのは関西電力ですか。
【日本ユニシス 角専務】
そうです。関西電力のグループ会社である関電エネルギーソリューションと言う会社です。私たちが希望するデータセンターを作っていただいて、我々は使用料を払って使います。償却するまで契約しますから、結局は、我々が全部使うことになります。電気設備を作る技術とか冷却装置のノウハウは我々には無く専門が電力会社さんだということで、東京も東京電力さんとのコラボです。コンピュータの運営からクラウドの運営は、これは私達がプロですから私どもがやります。プロ同士の組合せです。
【記者】
サーバーも関西電力の持ち物ですか。
【日本ユニシス 角専務】
サーバーなど中のものは、日本ユニシスのものです。データセンターは、ものすごく電気を使います。それからあとは熱がものすごく出ます。それからもう1つ大きい問題は、CO2の問題ですが原子力を使いますので、非常にCO2を排出しないエネルギーを使えるということが大きなポイントです。
【記者】
投資額はいくらですか。
【日本ユニシス 角専務】
建てるのは関西電力さんなので、1棟目の小さな建物ものでも、数十億の契約規模です。あとはサーバーをどのくらい埋めるかで変わります。仮想サーバーレベルで1棟で6万サーバー。5棟全部建設しますと30万サーバーになります。
【記者】
関西電力の数十億の契約というのは1年の契約ですか。
【日本ユニシス 角専務】
十数年の契約です。
【記者】
東京、大阪、札幌に続いて4箇所目ですが、2万㎡というのは、規模としては一番大きいのですか。他社に比べてどうですか。
【日本ユニシス 角専務】
1つの区画としては1番大きいです。他社さんでもありますが、個々でいうと2万㎡は大きい方だと思います。
【記者】
扱うデータについて特定の業界を対象にしているということはありますか。
【日本ユニシス 角専務】
ありません。
【記者】
今の6万サーバーというのを、もう少し分かりやすくお願いします。
【日本ユニシス 角専務】
普通の企業が業務をするのに使うのが2~3サーバーです。例えば大手商社クラスで1千サーバーですから、その規模の掛ける60ということです。逆に言うと、それくらいの企業がどんどん入って埋まっていくと、増やしていくということになります。
【記者】
東京、大阪、札幌を全部足すと何サーバーくらいになりますか。
【日本ユニシス 角専務】
東京も東京電力さんとやりながら増やしているので6万くらいです。東京電力が持っている建物をどんどん借り増しているという形をとっています。それでも、今、日本でクラウド型のサービスを考えると一番大きいと思います。ほとんどが東京で、大きくいうと、今後は東京と福井で運用していくということになろうかと思います。
【記者】
立地場所の地名は、小浜市のどこになりますか。土地は誰のものですか。
【小浜市長】
多田というところです。今、小浜市が所有している部分と個人所有している部分とがあります。それを市が全部借り受けて転貸することになります。2万㎡のうち、市が持っているのが6,000㎡、個人所有が地権者9名で13,500㎡です。場所は国道27号線から約500m、JR小浜駅から3km、現在建設中の舞鶴若狭自動車道小浜インターチェンジから1.5kmの距離にあります。
【記者】
知事と社長に、それぞれどういったことを期待するのか伺います。
【知事】
若狭嶺南地域については、市長もおっしゃいましたが、舞鶴若狭自動車道が来年には小浜を越え、3年後には敦賀までつながるということです。高速道路そして原子力の立地ということで、回廊的にこの地域の高度な産業化を図ろうということです。このたび先端的な部分を早い段階で誘致できましたので、次の弾みとして先導していただくように期待をしています。
【日本ユニシス 籾井社長】
まず、我々としては、小浜のデータセンターを出来るだけ早く、増やすようにビジネスを活発に進めてまいりたいというのが1つです。それが多分、我々がデータセンターを作ることによって、地域に貢献できることだと思っております。
同時に、福井県という地域との連携が強くなりますので、地元の企業さん達と色々なコラボレーションをやりながら、ビジネスを進めていきたいと思っております。こういうことを増やしていけば、お互いに、切磋琢磨しながら、地域活性化に繋がるのではないかと思っています。
最後に、当社の名前がカタカナなものですから、外国の会社と思われがちなのですが、当社は純粋に日の丸企業でございます。
── 了 ──
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