知事記者会見の概要(平成22年12月28日(火))
平成22年12月28日(火)
10:00~10:40
県庁 特別会議室
【知事】
私から先に申し上げますが、昨日、中川県議会議長と私とが代表いたしまして、馬淵国土交通大臣、高木文部科学大臣と面談をいたしました。東京では会談の概要はお話ししましたが、昨日は、地元で皆さんに直接お話ができませんでしたし、また、その様子も聞きたいという話がありましたので、今日は、私のほうから、また中川議長もあわせておっしゃっていただけると思いますので、申し上げます。
まず、馬淵国土交通大臣に先にお会いし、次に高木文部科学大臣とお会いしました。国土交通大臣とは、およそ四、五十分話をしたと思います。予定より大分長くなりました。文部科学大臣とは、二十分から三十分ぐらいだったと思います。
馬淵国土交通大臣に対しては、国において結論を出すという約束をされておられたのだけれども、先延ばしのまま答えが出ていない状況について、県としては、国策にも協力し、しっかりと約束を守っている。しかし、国においては、さまざまな事情があるにせよ、十分な努力がなされていない。憤りと、また最近のこういう政治的な運営に憂いを深くみんな思っているという話を申し上げ、一昨日以来、期成同盟会や政治・経済各界のいろんな方々との意見をお聞きした上で来たと、その趣旨をお伝えしました。
同時に、大臣として、どういう考えで臨まれたのかという話をし、特に予算編成までどのような努力がされてきたのか明らかにされていないので、全く県民には伝わっていない、そして、現在の案では、年金などにほとんどお金が回って、財源がほとんどなくなっているのではないか、捻出方法をどうするのだということをお話ししました。
今後の見通しとして、昨日、検討会議を急遽されたようですけれども、これが一体、今後の新線の新規分の着工認可にどんな方向につながるのかを明らかにされたい。それから、これまで順番をつけて年末までに見通しをつけると言っていたけれども、それはどうなったのだというようなことも申し上げたところです。
馬淵大臣からは、特に津川政務官を同席され、馬淵大臣と津川政務官、私と中川議長と4人で話をすることに、その場ではなったわけです。事務方は席を外されました。
全体の状況を申し上げますと、年内までに結論が出なかったことが甚だ不本意という気持ちは、随所に発言の中に見られたと思います。しかし、どれくらいの強い熱意でこの問題に臨まれて残念に思っておられるのかというのは、ちょっとわからなかったところがあります。そういうことについて我々も申し上げたところです。
今後の結論を言いますと、北陸新幹線を含めた3つの線、北海道それから長崎について、着工5条件というのがあるということを相変わらず言っておられました。これは前からのことですが、まさにこの5条件で一番財源が問題でありまして、財源があったと思うのですが、5条件のことをおっしゃって、年明けから津川政務官を中心に話を進めるということであり、仕事を進めるという気持ちはあるということは理解をしたわけです。
それで、我々としては、これまで全く様子が見えないので、国土交通省と福井県のもっと頻繁な事務レベルの意見交換、勉強の場、そして検討の場をどんどんしないと、県民にも見えないし、わからないと申し上げたところ、それについては、福井だけということではないが、3線について、そのことを進めており、津川政務官がその直接の窓口になるという趣旨でした。
結論までの工程はどうなのかということを申し上げましたが、昨日は明らかにしておられません。
高木文部科学大臣につきましては、新幹線の財源がある状況の中で明確な着工が決まらなかったことについては非常に不本意である。しかし、これが終わりではないとは思っていると発言されました。それから、福井県に、私は特別な配慮をしてしかるべきだと思っているということ。福井県の怒りはわかり直接新幹線について政策判断をする場ではないが、誠意を持って真摯に受けとめて、今後も対応する。
そして、「もんじゅ」など原子力政策の重要性、それから福井県の国への貢献を、これまでの経緯もありますから、総理、官房長官に改めて伝え、政府全体として進めていきたいと言われました。
そして、同席されていた笹木副大臣に対し、直接いろいろ連携をとって、文部科学省と県はもっとやるべきだということ、そういうふうに進めたいという話をされたことがポイントかと思っています。
いずれにしても、県民の大きな期待の中で、重要な課題であり手を尽くしてやってきたわけですが、今回、こうしたことで国の対応などについては憤りもあり、また、政府のこういう運営の仕方については、甚だ憂うべき状況でありますが、私としても甚だ残念だと思っておるところです。
しかしながら、これからもこうした実務的な詰めも必要ですし、さまざまな機会がありますので、引き続き全力で進めたいと思います。
また、県民の皆さんのご支援、ご協力をぜひともお願いしたいと思っているところです。
また、時期的には、石川県の金沢までの方向が、大体平成26年前後に決まると思いますが、今後の対応などについては、さまざまな方法をとらなければならないと思います。また、年が明けた状況で、どういうことが考えられるのかということなどについて、申し上げる機会があると思っておりますので、よろしくお願いいたします。
まず、私のほうから概略を申し上げたところです。
~ 質 問 ~
【記者】
国土交通大臣との面談について、津川政務官が窓口となり今後検討するというのは新しい話かと思いますが、3区間の順位づけが結局示されていないこともあり、昨日、話を聞かれて、果たして、知事が望まれたこれまでの検討経過が示されたと思われるか、その評価を聞かせください。
【知事】
津川政務官が窓口になることは、次につながる話だと思います。何度も申し上げていますが、十分な検討と努力といいますか、積み重ねといいますか、それが年末までの段階で詰められていなかったのではないかと思います。そして、しかるべき決断をできなかったという状態にあるのではないかと、推測ですが、大体このような理解をしており、そのことも申し上げました。いろいろな検討、さまざまな議論はしてきたのだということではありましたが、そのようなことが地元に感じられないということであり、十分な明瞭な説明も必ずしもないわけで、やはりそこの努力が足らなかったのではないかと思います。
【記者】
文部科学大臣との面談について、前回の三者協議と同じ、政府全体で検討するということですが、具体的にどのような形で政府全体として取り組んでいくのかについては、いかがでしょうか。
【知事】
国土交通大臣に、新幹線についての働きかけをしたと言われました。ただ、直接の所管でないことは事実ですし、限度はあると思いますが、引き続き新幹線問題も福井の重要プロジェクトであり国としてなすべき事業で、我々はそれを地元として要請し、支援するということですし、もんじゅなどの問題についても、これはまさに国策であり、2つの国策があるということです。両方、政府全体の重要な関心事であり、課題であるという共通認識は絶えず持ち、政府全体として動かなければならないというお気持ちは改めて持ったということかと思います。
【記者】
中川議長にうかがいます。この1年間、あまり新幹線問題は進展していないように思いますが、面談されて手ごたえ、感想はいかがですか。
【中川議長】
新幹線については、私も何回も陳情を重ねていますが、今までの陳情の場合は、何とか財源を確保して前向きに検討したいという内容だったと思います。今回の印象は、民主党の基本方針と申しますか、要するに結論を申し上げますと、5条件を満たしているかどうかということを、今後調査をやり直すと、結論的にはそういうことでして、先のことはわからないという印象でした。今、知事も話されましたが、検討の場を設ける、きちんと調査をやり直すということでして、これまでの我々の努力が実現することは、なかなか今のところは難しいなという印象を持ちました。
【記者】
検討の場を設けるとは、具体的に何をどういう形でということでしょうか。
【知事】
今までは、県が要請をし、国がいろいろ議論を進めていたということなのですが、結局、何を具体的に詰めたのか、誰がどこで何を言ったのか、その結論はどうなのかということが全く十分見えないわけです。それでは駄目ではないかということを大臣に申し上げたのです。ですから、国がやる重要なプロジェクトで、本来、我々はそれについて要請をするのだけれども、そこにも関与をさせてと言ったのです。関与をしないと、今のままでは、何をしておられるのかわからないと。
津川政務官がおられたので、政務官がおやりになったらいいです、我々もそれにコミットしますと申し上げたところ、既に、そのつもりでいるという話をされたので、それでは一緒にずっとやってくださいと申し上げたのです。
【記者】
そうすると、検討会議か何かに、県も参加してということになるのか。
【知事】
そういう組織については、まだ、おっしゃらないですが、年明けにはそういうことを始めるということです。
時々、何カ月に1回か何となく意見を聞いて、何をしているか分からないような状態は、駄目だと申し上げたのです。国の事業なのだから、本来は国が独自でそれをやるべきことなのです。
【記者】
年末に知事が馬淵大臣に要請に行かれたときの、3線の優先順位を付けることについては、どうなったのですか。
【知事】
残念ながら十分なお返事はなかったです。
【記者】
そうすると、3区間それぞれの条件を満たしたところから認可していくというふうにはなるのですか。
【知事】
福井県が優位にあることは、認識しておられると思うけれども、全国3つの地域がありますから、いろいろおっしゃりにくいところがあるのかもしれません。
【記者】
そうなると、優先順位を付けるという方法も、ちゃらになってしまうと。
【知事】
そうではないと思います。その認識は持っておられるが、その決断が今回できなかったのだと思います。財源の問題が一方であり、財源について強力に交渉ができたのかどうかということでしょう。
【記者】
もんじゅに関してですが、先般の3者協議で、原子力に関して厳しい対応をとらざるを得ないということをおっしゃっているわけですが、これについて文部科学大臣から発言はありましたか。
【知事】
これは文部科学大臣にも重ねて申し上げたところです。両方とも国策であり、国の責任で行うことです。片方に十分な対応がとれないということであれば、他方の国策全体について、県民の理解は非常に厳しくなりますということは申し上げました。そのことは十分認識をしてもおられますし、改めて認識されたと思います。
【記者】
文科大臣は、もんじゅに対する県の判断がより厳しくなる、そうなっても仕方がないと受けとめたということですか。
【知事】
それは受けとめ方だと思いますが、そういう全般的なことを申し上げました。
【記者】
それについては、文科大臣からの返事は何かなかったのですか。
【知事】
もんじゅ関連協議会は大事な会合で、経済産業大臣も入っており、これを大事にしながら、本音の話も含めて忌憚なく連携をとって全力でやりたいとおっしゃっていたと思います。
それから、福井県にお世話になっている「もんじゅ」などについて、怒りの気持ちは痛いほどわかる。そして、地球環境のため、25%CO2削減を世界に大きく表明しているのだから、原子力サイクルがなければ、もうほとんど画餅になってしまう。その意味でも、重くはなっても軽くはならない。国として重要なことを担われる福井の今回の新幹線の予算については、当然ながら誠意を持って、引き続き真摯に受けとめて行動するというお話でした。
【記者】
文科省側として、笹木副大臣を窓口に県と直接連携をとってやってほしいと、高木大臣から笹木副大臣に指示があったということですか。
【知事】
そうですね、横におられましたから、それをおっしゃっておられました。
【記者】
県として、笹木副大臣に期待されるのは、官邸、総理、政府中枢に直接働きかける窓口として期待するということでしょうか。
【知事】
かつ、国土交通省とのいろんな実務的なやりとりもあるでしょう。向こうは政務官とか副大臣もおられるし。お互いに汗をかいていただくと同時に知恵も出していただかないと、観念論を両方で言い合っているようでは、物はできないと思います。
【記者】
具体的に笹木副大臣と、どのように連携をとっていくお考ですか。
【知事】
これからです。年明けに、いろんな作業が始まるでしょうから。
【記者】
もんじゅの安全面に関して厳格かつ慎重に対応するということを、昨日、文部科学大臣のみに言われたのですか。
【知事】
国土交通大臣にも申し上げました。
【記者】
馬淵大臣は何と言われましたか。
【知事】
馬淵大臣は新幹線が直接の担当ですから、そのことの目線でおっしゃられました。
【記者】
文科大臣は、ある意味、長引くことになるという受けとめ方ですか。
【知事】
それは、わかりません。私からそんなことを申し上げたわけではありません。
【記者】
財源捻出もお聞きになったと思いますが、馬淵大臣から回答はあったのでしょうか。
【知事】
明確なものはないです。これから確かめていかないといけない。
【記者】
昨年の今頃は、90億円の留保金が付き、夏ごろまでに優先順位を決めるという話でした。今年は、90億円の留保金は付きましたが、いつまでに結論を出すと国で言っていませんから、少し後退している印象があります。知事は、新幹線全体として進めていかれているという印象をお持ちですか。
【知事】
進めたくないということではなくて、内閣などの体制や、あるいは事態へのガバナンス、実務家を指揮して物事を進める力が、残念ながら十分でなく弱まっているということがあると思います。対応力とでもいうものを、早く立て直してもらわないといけないという感じを抱きました。
【記者】
年明け後のさまざまな方法の検討については、今の段階でどのようなことをイメージされていますか。
【知事】
十分なイメージは難しいのですが、いずれにしても、所管の国土交通省が、年明けからまたその仕事を進めたいという話ですから、それについて我々が関与をし急がせるということだと思います。あらゆる手段を尽くして促進をさせるということだと思います。
【記者】
平成26年度中に金沢開業があるが、交通格差や地域格差に対する県民の熟度が高まらないことに対する危惧を、年明けに検討していく考えはお持ちですか。
【知事】
平成26年前後に、新幹線が金沢まで来ることになると思います。石川県自身も空港の問題やいろんな課題があると思いますし、また、石川県が新幹線をどのようにうまく活用できるのかがあります。福井県も新幹線がそのときには来ていないだろうから、そのときに基本的なインフラをどうするのかという課題が、それは空港、鉄道、道路いろいろあるわけです。かつ、人の交流、あるいはまちづくり、これについて新幹線の問題を進めながら並行して対応する時期だと思いますから、これについて、いろんな方法はあると思います。それを決めていくということが並行して出てきたのではないかと思います。
【記者】
津川政務官を中心とする年明けからの検討の場は、政権交代後に設けられた国土交通省、総務省、財務省3省の調整会議ではないのですか。
【知事】
まだわかりませんが、違うと思います。前政権の時代では、その様子が全部見えたし、大勢の人が参加していて討議ができたわけですが、それが十分でないところが問題だと思います。
【記者】
津川政務官を窓口にするとのことですが、そこに県ができるだけきちっと関与させてくれということですか。
【知事】
こういう状態ですから、関与させてくれというより、関与せざるを得なくなってきているのではないかと思います。
【記者】
関与したいとして、それは、連絡会議とかでなく検討の場に関わりたいということですか。
【知事】
関わりたいというか、本当は、国でやってほしいのだけれども、何かそれでは済まない状態です。
【記者】
昨日、国土交通副大臣が会見で、どちらかというと既着工を優先的に仕上げるのが普通の考え方という認識を示され、未着工はその後だというようなことも言っていますが、何か整合性もとれていないようですが。
【知事】
全体の物事の優先順位とか構造がはっきりしないという問題もあるのです。先ほど申し上げた全体の話として、統一性が欠けているような感じを受けます。いずれにしても、冒頭申し上げたように、県民の皆さんの期待もあり、手を尽くしてこれまでやってきているわけですが、こういう結果で残念です。しかし、これからもみんなが力を合わせて、各界一丸となって、いろんなつながりと機会が出てくるわけですから、そこをとらえて全力で進める必要があると思いますので、ご支援とご協力を県民の皆さんにお願いしたいというのが強い思いです。
【記者】
まだはっきりしない部分もあると思いますが、検討の場に期待することや、こういうあり方で運営していかなければいけないという思いがありますか。
【知事】
まず工程を明らかにすること、それから国民あるいは県民にそれがよく見えるようにすること、さらに熱意を持って知恵と工夫を出していただきたいということです。
【記者】
金沢まで開業すると、どのようなことが起こるので福井が頑張らなくてはいけないのかを、県民にわかりやすく今言える範囲でお願いします。
【知事】
小松空港の利便性の問題があると思います。それから、既存のダイヤのいろんな議論もあると思います。サンダーバードとかしらさぎとかの課題が出てくるのではないかと想像はされます。それから、米原駅との関係で利便性を上げなければいけないとか、既に今年の夏ごろから始めている石川県と福井県との広域観光、奥越も含めた問題をどのように具体的に進めていくかなどがあると思います。
悪い影響をなくすことと、それをまた積極的に利用し物事を変えていくとかダイヤを変えるとかあるいは小松空港をどのような使い方をするかという2つがあると思います。これは石川県の問題でもありますから、石川県の谷本知事と、どのように使っていくのかよく協議をしないといけないです。
これは新幹線の手続の問題と並行して行うということです。地域問題に対応する県民の利便性を確保するということです。それから人の交流を増やさないといけない。
【記者】
新幹線が必要なのは、東京への時間短縮や交流人口の増加に伴う経済効果のためだとは思うのですが、最近、金沢が開業すると福井が取り残されるというような論議が前面に出されているような気がしますが。
【知事】
一例ですが残念ながら東京で会議が多いです。石川や富山は2時間で往復できる、取引でもそうです。福井は、小松空港を使うのかあるいは鉄道で4時間かかるのかということですから、それだけでも仕事の時間のマイナスで、ロスはあると思います。
一方、観光などについて、福井へどうやって人を呼び込むかというのは、また、これはプラス的に転換をその条件の中でやらないといけないということですから、両面あるということを申し上げたわけです。
片方が便利になり他方はそのままで3県で格差がつくだろうということは、現にそうだと思うし、青森は東京から4時間を切るようで、福井と同じになってしまったということです。それ以上に便利かもしれません。立地条件が片方はよくなり、こちらはそのままだということですから、それを取り残されるという言葉で言うかどうかは別として、それは厳然たる事実になると思います。
【記者】
そうすると、今後訴える柱としては、格差の問題が主になると思いますが。
【知事】
それもあるし、これは国家のプロジェクトです。今も売り込んで新幹線を輸出しておられるようですが、一番大事なところで止まっているなどということは、国土計画としても大きなマイナスです。これから将来、東海地方で何が起こるかもわからないわけですから、そのときに1本の新幹線だけで通れないという状態が、密度の高い日本であってよいのかということがあると思います。いわんやリニアという話があるのに、既に何十年にわたってつなごうとして、今まさにつなごうとしているものが遅れるなどということも、また国土計画で非常にマイナスだと思います。資金配分のアンバランスです。 福井としては、そういう地域の利便性、我々が行く場合、また、東京、長野などさまざまな場所から来る場合、また関西全体からつながる場合の課題はやはり大きいと思います。大きな課題です。
一人ひとりが、明日利用するのかどうかという議論とは別で、長い目で何十年、百年の大計の話だと思います。
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