知事記者会見の概要(平成23年5月13日(金))

最終更新日 2009年9月16日ページID 014654

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平成23年5月13日(金曜日)
10:30~11:25
県庁 特別会議室

 
知事記者会見
  


【知事】
  選挙がありましたので人事異動が少し遅れましたけれども、今日は、来週5月17日付けの定期異動の考え方等について申し上げます。

   (資料)知事談話 

  「福井新々元気宣言」そして「福井県民の将来ビジョン」をいかに推進していくかということで、クオリティの高い政策を推進するための体制を強化して、県議会等と力を合わせて、厳しいさまざまな環境にありますが、課題解決に向けての体制を整備したいと思います。
  特に、今回は、東日本大震災、また、その中での原子力発電所事故という大きな事態、災害の事態に直面しているわけです。福井県は、原子力発電所が数多くあり、日本一といっていいほど、原子力の日本全国へのシェアといいましょうか貢献度の高い県ですので、さまざまな安全問題もあり、今回のような事態は絶対起こさせないという覚悟も必要です。そういう意味で、さまざまな考え方を今回の組織の中に入れております。
 
  まず、機構改革についてです。
   今回、後ほど旭副知事からもあいさつがあると思いますが、副知事が辞任して、新しい副知事にということでありますし、特別職ではありませんが、まず政策推進体制を強化するということで、『政策幹』を設けたいということです。これはマニフェストあるいは重要課題の立案や推進を、それぞれの部長が担っておりますが、それを統括をし、また、相互に連携、統合化する、そして、スピードを上げていくというようなことを、ぜひとも今の時期にやる必要がありますので、政策幹を置きたいと考えております。何年か前に一度置いたことがあるのですが、ほぼ同じような趣旨です。
  
    次に、防災・危機対策等の体制強化です。安全環境部に部長級の『危機対策監』を設けます。これは冒頭申し上げました原子力事故、それから今回の地震や津波、また、ここ数日は水害もあり、ますますこうしたことへの対応が重要です。さまざまな災害、危機事象に備えての各部局への指揮命令、情報分析、そして県民の皆様方へのわかりやすく適切な情報提供、説明がこれまで以上に大事だと思います。
    そして、国などへの要請も必要です。そうしますと、さまざまな災害あるいはその対応の分析なども必要ですので、そういう役割を持った危機対策監を置きたいと思います。
  また、危機対策・防災課に原子力防災を担当する参事を配置して、原子力防災計画の見直しなども進めます。それから、防災業務あるいは原子力安全対策業務に経験のある職員を関係課に兼務発令をして、いざというときに総合力が発揮できるようにします。
  土木防災対策の強化については、土木部に防災担当の技幹を配置します。そして、『砂防防災課』に、河川課の防災グループを移管し、洪水などの対応を統合します。

  次に、企業誘致については、副知事をトップとする『福井県企業立地推進戦略本部』を設けて、相当強力な攻めの企業誘致を進めます。そして、東京事務所長と大阪事務所長をそれぞれ営業本部長にして、東日本と西日本のエリア別にそれぞれ企業誘致を進めていきます。

  経済の活性化では、これまで経営支援課と商業・サービス業振興課がありましたが、『産業政策課』と『商業振興・金融課』の新しい課に分けて、特に、産業支援機関、商工会議所などの業務を産業政策課に統合し、『小規模企業支援室』を設けて、中小企業への対応をまとめて行います。
  また、『経済戦略推進チーム』を設けて、「福井経済新戦略」に係るプロジェクトを着実に進めてまいります。
  海外販路拡大ですが、国際経済業務(海外事務所を含む。)は観光営業部の国際・マーケット戦略課にありましたが、産業政策課に移管して、全般的な国際経済の問題を統合して扱うことになります。

  農業については、農林水産部の水田農業経営課に『福井米ブランド化推進室』を設けて、福井米の品質向上とエコ農業の推進によるブランド化を総合的に進めます。また、農業試験場に、マニフェストに書いてあります「ポストコシヒカリ」の開発を進めるための『ポストコシヒカリ開発部』を設置します。それから販売開拓課に『6次産業化推進グループ』を設けます。さらに、『農地保全活用課』を設置し、さまざまな農業関係施設の長寿命化などの総合的なストックマネジメント、農地水保全管理の徹底を進めてまいります。
 
    教育関係については、高校教育課に『高校学力向上プロジェクトチーム』を設置します。特に、高校生の学力向上のためのプロジェクトチームを設けたいと思います。それから、義務教育課に『幼児教育支援室』を設けます。これは全部マニフェストに大体従ったアクションになります。

  次に、県民活動支援、若者支援についてです。総務部の男女参画・県民活動課に県民共動のための参事を配置するとともに、『若者チャレンジ支援室』を設置し、若者の活躍を支援します。
 
  それから、長期的なまちづくりについてです。総合政策部に『企画幹(交通政策)』を配置し交通政策とまちづくりを一体的に担当するとともに、嶺南振興局長を本部長とする『舞鶴若狭自動車道活用推進本部』を設置し、3、4年の間に、舞鶴若狭自動車道の完成が見込まれますので、これを産業・環境・観光あるいは敦賀港の整備などの貿易の視点から一体的に強力に進めたいと考えています。

  次に、スポーツ関係についてですが、教育庁のスポーツ保健課に、平成30年の国体開催に向けて、『スポーツ普及・強化グループ』を設けます。

  10番目ですが、総合政策部の政策推進課に『地方連携推進室』を設置します。これは福井県内の地方ではなく全国の地方同士の連携です。例えば、11県の「自立と分散で日本を変えるふるさと知事ネットワーク」などの連携を強めるとともに、そういう地方発の新政策を提案・実行します。その中には、地方と大都市のいろんな関係の問題、それは今回の東日本大震災でも、大都市中心あるいは太平洋側中心の国土づくりというのが、さまざまな問題をそこに抱えているということが明らかになりましたので、そういう問題に取り組むということになります。

  11番目になりますけれども、先ほど申し上げました国際経済関係については、産業部門に移しましたが、国際交流については引き続き観光振興課の中に『国際室』を設け、市民のネットワークなども含めて、仕事を進めていくということになります。

  次に、行政改革の推進の関係です。行政改革の方向づけを、これからさらに明確にする必要がありますので、次長級の『企画幹(行政改革)』を設けて、新たに策定する第三次行財政改革実行プランに基づき、行政改革を進めてまいります。
  また、事務管理課と財産活用課を統合して『財産・事務管理課』を設け、総務事務管理の一元化を進めます。
 
     それから、土木部の都市整備課を廃止し、それぞれ、道路建設課、河川課、都市計画課の中のそれぞれのグループに移管をして、道路建設、河川、都市計画の事業として進めるということになります。
   以上がそれぞれの組織の問題です。

  次に、仕事の進め方改革についてです。
    先ほど一部申し上げましたが、危機対策、原子力安全対策あるいは産業政策について、産業政策は、海外勤務などの職員のことを主に指しておりますが、これまでに業務経験のある職員に兼務発令して、本来の仕事以外に、こうした業務についても並行して仕事をするダブルセクション制度をいたします。

    それから、事務の効率化です。パソコンの前にじっとしているという仕事ぶりではなく、もっと議論したり、機能的な仕事ぶりが必要ですので、ホワイトボードを使ったノーペーパー会議などの仕事のやり方を取り入れます。
 
   次に、人事異動についての具体的な人数等についてです。
5月17日付けで、958人の人事異動を実施します。異動規模は、前年度の1,075人から1割近く減、117人減り、平成時代に入って最小の人事異動になります。これは、異動期間を少し長くしたのが主な背景になります。
 
   それから、職員数の削減についてですが、「新行財政改革実行プラン」では、平成17年4月から23年4月までの6年間で、一般行政部門の職員を11%削減しました。計画は10%削減でしたので、それを1%上回ります。平成23年度は、一般行政部門の職員数を2.1%削減しました。

  それから、管理職員数の抑制です。前年度の513名から477名としました。

  冒頭申し上げました人事ローテーションの長期化は、専門性、習熟度を上げるためということであり、人事異動ローテーションを大体3年から4年としたということです。事務職の中堅に当たります主任、企画主査の人事異動は3割減少しているということになります。

  若手職員の登用では、部長級への昇任については、53歳の職員を2人登用するなど、昇任者7人の平均年齢も若くなっています。次長級も同じです。女性職員の登用も進めました。それから、民間企業への派遣研修の充実ということで、増加を図っているということです。


~ 質 疑 ~

【記者】
  危機対策監についてですが、安全環境部長、企画幹との明確な役割分担と、災害等の有事の際、命令系統を分けて混乱する危険性はないのかお聞きします。

【知事】
  危機対策監は、危機対策・防災課と原子力安全対策課を主として担当することになると思います。これから、今の地域防災計画の見直しが大きな事業になると思いますし、原子力問題のさまざまな国への要請、また、国からいろんなお話もあるかもしれませんが、それへの対応。そのほか、さまざまな課題への対応を行うことになると思います。
 今回の東日本大震災に対する福井県の災害対策、応援、そして、福井県の原発への対応などがありましたが、できるだけオープンな形で、ご覧になってもいただいたと思います。地震発生当日から本部を立ち上げ、いろんなことを行っておりまして、福井県としては先進的な対応をしていると思いますが、なお、これから、さまざまな予期せぬ、または思いがけぬ、新たな事態が起こりうることを考えますと、そして、今、既に予想しておりますさまざまな課題を考えますと、こういうところをまとめて、より専門的に対応して、迅速に行う必要があるだろうと思っています。具体的には、森阪県議会事務局長が当たります。東日本大震災対策・支援本部会議において、原子力のいろんな説明などをしておりました。よく分かっていると思いますので、その方が、いざというときに、迅速に、県民の安全と首長との対話ができると考えています。

【記者】
  危機対策監は、国などに対して安全対策を強く要請するとありますが、例えば、どのようなものになるのでしょうか。

【知事】
  要請は、我々がしないといけないのですが、そのためのいろんな準備です。特に、原子力などは非常に難しいです。どういう物の考え方、整理をして、何をどのタイミングで申し上げ、また、打ち返しが来たら、どうこれを打ち返していくかと、いろんなことがありますから。

【記者】
  主に原子力に関する要請に対応するということですか。

【知事】
  当面、しばらくは原子力問題が大きいと思いますけれども、やはり、地震とか津波とか、今回の水害とか、それからテロ、これはどういう危機対策用語になるのかですが、さまざまな国際的にそういう問題も懸念があるわけですので、こうしたことも対応する必要があると思います。

【記者】
  危機対策監は、原子力安全対策課と危機対策・防災課の業務を主に統括する立場との説明ですが、これまで、それを担っていた安全環境部長と企画幹の仕事から、そこが抜けるのですか。

【知事】
  何か頭で考えると抜けるというような感じがあるかもしれませんが、全体は安全環境部長がやっております。一方で、部長は、これは危機対策とまた関連するのですけれども、環境問題も担っており、ここがおろそかになってもいけません。かつ、私が考えていますのは、今申し上げたようなことと同時に、メディアの皆さん、あるいは県民の皆さんに向けて物事を分かりやすくスピーディーに説明したり、解説したり、かみ砕いて言うということが極めてこれから重要だと思うのです。今回の災害を見ましても、国などでそんなことが上手くなされたかというと、さてさてと思うようなところがありますし、我々は、県としては一生懸命やっているつもりですが、なお、もっと新しいやり方もあるのではないかということもあり、そのようなことも含めてのことです。

【記者】
  政策幹は、何年か前に設けていたとのことですが、今回復活された意図、ねらいは何ですか。

【知事】
  政策幹は、各部の統括をすることになると思います。マニフェスト、それから、それ以外の重要プロジェクト、新幹線の問題がありますし、福井駅前の課題もありますし、農業問題などといろんなことがありますが、それぞれの部だけで、部長レベルでやっていると、スピードが上がらなかったり、政策が骨太にならなかったり、他の部との連携を早くやらないといけないのにそれが十分できていないままに物事が進むとか、いろんなことがあります。そこを政策幹の立場で、さまざま調整をし、まとめて知事や副知事に迅速に上げていく。また、逆の方向もあると思います。

【記者】
  危機対策監は、メディアに対してわかりやすく発信するという意味では、有事の際に専門のスポークスマンとして発信する立場にあるということですか。

【知事】
  できるだけそういうことを期待しています。いろんなレベルで何か中途半端にしてもしようがありませんし、わかりやすくなければいけないし、これからどれくらいできるかというのはありますけれども、そんなことも考えています。

【記者】
  部長級がかなり入れ換わり、留任されている方が少ないようですが、そのねらいはどういうものですか。

【知事】
  政策幹の設置、定年などと異動ファクターが増えています。特段、何かたくさん動かそうと意図したわけではありません。

【記者】
  思い切ってやろうと。

【知事】
  思い切ってはあるのですが、何か早く動かそうとかいう意図を持ってしたわけではありません。思い切ってやりたいということはもちろんあります。これは、おっしゃるとおりです。

【記者】
  今回の東日本大震災に対応するという意味で、危機対策を強化していると思います。非常時を重視している人事かと思うのですが、これを知事はどのように表現されますか。

【知事】
  やはり一般的な平常時の政策は重要ですし、これが県民の幸せにもつながるのですが、今回の福島県や東北各県の様子を見ますと、非常時対策というもの、特に初動段階をしっかりしていないとあらゆる努力が無になってしまうということがありますので、そこはかなりわかりやすく機動的に動くようにしておく必要があるかと思いました。

【記者】
  この状態を、今だけでなく維持していくということですか。

【知事】
  そうですね。特に福井県は原子力発電所もありますし、平成16年に福井豪雨災害あるいは美浜原子力発電所事故もありました。それと、私自身も阪神・淡路大震災のいろんな経験もあり、非常に意識をしていろいろやっておりますが、それだけで十分というふうには思っておりませんので、さらにそういうものを意識した、関心を向けた体制をとっていく必要があるだろうと思います。

【記者】
  業務経験者の活用、ダブルセクション制度についてですが、危機対策・防災課に4人、原子力安全対策課に6人とは、その課の外にいる職員に兼務させるということですか。

【知事】
  そうです。

【知事】
  それでは、旭副知事のほうから、ほかの質問に入る前に、ごあいさつしていただきます。

【副知事】
  それでは、一言ごあいさつを申し上げたいと存じます。
  一昨日の県議会でも、ごあいさつさせていただきましたけれども、副知事職の4年を最後にして、42年余の公務員生活にピリオドを打つことになりました。長い間には、仕事の上での問題あるいは対人関係、健康面などいろんなことがございましたが、総じて上司、同僚、仲間に恵まれて、何とか今日を迎えられたということで、周囲の皆様方、また県民の皆様方、また記者の方々にも厚くお礼を申し上げます。
  特に、副知事の4年間は、西川知事のもとで県政全般はもとよりですけれども、特に、新幹線の整備促進を課題に、原子力行政の中では、安全管理と地域振興の両方の問題、それから福武線や越美北線などの地域鉄道をいかに活性化するかということ、あるいは嶺南地域の振興、市街地活性化にと、持てる限りの情熱あるいは努力を重ねてきたという思いでいっぱいでございます。まだまだ道半ばの課題もありますけれども、これは後に残る仲間がたくさんおりますので、お任せして頑張っていただくということで、私は一民間人、県民の立場から、できる限りのご支援を申し上げたいと思っています。
  特に、42年余の生活を通して、私自身は、努力超人、努力は人を超えるという言葉を座右の銘に頑張ってきたつもりですけれども、今、実感としてわかったことは、やはり努力は報われることはあるかと思います。後に続く皆さんには、ぜひとも努力を重ねてほしい、それから、競い合い、助言し合い、協力し合って、みずからの成長も図れますし、また、そのことによって仕事も成果が上がるということです。そういうことを通じて福井県政が各分野において揺るぎのない確固たるポジションを確保できるように、ぜひ奮闘していただきたいということを皆さんにお願いしながら、長い間の勤務にお礼申し上げたいと思います。

【記者】
  機構改革・人事異動以外について伺います。
先日来、知事は、美浜1号機の定検案件について、国の基準が示されていないということで動かすことができないとのですが、今日現在も、やはりそれに変わりがないということですか。

【知事】
  既に申し上げていることは変わっていませんが、福島の事故を踏まえて、国、これは経済産業大臣に直接、それから関係の政務官にもお話を申し上げておりますが、以後、何の正式な答えも返ってきているわけではありませんから、変わりません。
  福島原発事故の調査メンバーも決まりつつあるというような状況でしょうし、問題の究明、解明と、これをどう具体的に、今わかっている範囲でも教訓に活かすかという努力が、まだ真剣に取り組まれているようにも思えないところでありまして、こういうことがきちんと進むことこそ、日本の原発の将来をどうするか、どう解決するか、安全がどう実現できるかという道筋ができるはずですから、それができていないというふうに思います。
  それから、数日前の臨時県議会のときに、議会に対して、国、原子力安全・保安院のこれまでの対応の報告がありましたが、お伺いしていると、津波が原因というような言い方をしておられるように聞こえたのですけれども、単に、想定外の大きい思わぬ津波が来たからだというような感じになっていて、いろんな原因対策は、それだけで乗り切ろうというわけにはいかないと思います。地震がどうだったのかということです。これについてもあまりはっきりしませんし、今もってよくわかってないというのか、明らかにされていないということでして、地震対応に目が十分にない点も問題だと思います。
  福井県のように多くのプラントを持ち、また、古いプラント、高経年化のプラントがあるとなると、一番気になるのは津波と地震との関係がどうだったのか、そして、それがどのプラントで、何がどうだったのか、どの部分だったのかと、いろんな課題があります。これは今もって明らかになっていないということですから、引き続きしっかりやっていただかなければ、そういう問題は答えが出ないということになると思います。

【記者】
  知事は、暫定的な基準でも示してほしいということを条件にされていました。その背景は、完全解明には時間がかかるので、わかっていることから反映をしてほしいということだったと思います。今の話を伺うと、津波と地震の関係がどうだったのか、各プラントにどういう影響を与えたのかが明らかになっていないから状況に変わりないとおっしゃるのですが、津波と地震の知見の反映の仕方について、暫定的にでも解明されているどんなものが出てきたら、ある程度解明できてきていると感じて、美浜1号機にゴーを出すベースになるとお考えですか。

【知事】
  まだ地震と津波の区別がほとんどついてないところが課題だと思います。地震と津波の今わかっている事柄がはっきりしていないと思います。

【記者】
  その解明に時間がかかるからということですか。

【知事】
  時間がかかるというよりも、もっとわかっているのではないかと思われるのですが、どうでしょうか。

【記者】
  もっとわかっているはずなので、今わかっていることをきちんと示してほしいと。

【知事】
  それによって、こういう基準が必要だと、我々の要請にこたえるべきだと思います、一例ですが。それから、我々は4月19日に要請をしておりますが、具体的に申し上げれば、例えば、応急対策として、送電鉄塔の建てかえなど送電線の信頼性の向上とか、発電所の開閉所、変電所などの地震・津波対策とか、使用済燃料貯蔵プールとか燃料取扱建屋の耐震性向上などについても基準は明記されてないと思います。要請しているものに答えがないと思います。それから、定検中における安全上重要な機器の特別点検の標準的な基準も示されていないと思います。
  また、応急対策のうち津波防護対策については、国は一律に、9.5メートル嵩上げと指示していましたが、なぜ全国一律に9.5メートルなのか。日本海側と太平洋側の区分もありませんし、国民の生活といいますか一般避難も9.5メートルなのかというのもよくわかりません。かつ、いろんな電力会社の防波堤の計画が10メートルの津波に対応できる計画なのかというのもはっきりしませんし、いろいろ個別に言うとあると思いますが、冒頭、非常に一般的に物を申し上げたということです。

【記者】
  先日、原子力安全・保安院の山本課長が来られたときに、緊急対策の具体的な内容を改めて県に報告に来ると話していたと思いますが、そのスケジュールがいつ頃になるかというのは示されているのですか。

【知事】
  知りません。ないと思います。まだ準備ができていないのではないですか。

【記者】
  夏までに定検に入るものを含めると、今の状況が変わらない限り、7月末ぐらいまでに8基か9基ぐらいが止まる状態になるのですが、関西の消費電力の55%を供給していることを考えると、産業に関しても大打撃を与えるのではないかと考えられます。それでも原子力の安全・安心ということが重要と考えますか。たとえ経済や産業に影響を与えることになっても安全を確保することのほうが重要と考えられますか。

【知事】
  それは、こちらにというのではなくて、安全対策を急いだらいいのです。明らかにすべきだと、努力すべきだと思います。

【記者】
  それは比較するべきものではなくて、ということですか。

【知事】
  比較すべきものではないでしょうね。

【記者】
  大きな影響が出るのではないかと考えるのですが。

【知事】
  その前に、浜岡原子力発電所を止めたのは、どういう影響を考えて止めたのかというのは明らかにすべきだと思います。節電とか、あるいは電気供給、日本全体について、どういう予見と結果が出るかというのを見越してやったのかというのは、明らかにされていないのではないでしょうか。つまり、浜岡原発を停止要請した合理的な理由、他の全国の原発への影響、それから、今おっしゃる具体的な節電とか停電、こういうものが起こるのかどうか、こういう影響などについて明らかにされていませんから、それをまず明らかにすべきだと思います。

【記者】
  それに対しても、国が説明をする責任があるというふうに考えるということですか。

【知事】
  それは当然だと思います。

【記者】
  知事は、先ほど美浜1号機の定検明けの再起動について、いろいろ具体例を示しておっしゃいましたが、あれは美浜1号機に限らず、すべての定検で止まっているプラントの再起動に関しての考えということですか。

【知事】
  全国のという意味ですか。

【記者】
  福井県内の、例えば応急対策とか送電鉄塔の信頼性の向上とか、いろいろ再起動が認められない理由を挙げておられましたが、あれは美浜1号に限った話ではないと。

【知事】
  限った話ではないです。

【記者】
  その関連で、安全の徹底にこだわるのであれば、定検中のものだけではなくて、今、動いているものに対しても安全性を求めるということにはならないのですか。

【知事】
  平成16年の美浜原発事故については、ある特定の部分が破損をしたということで、他の原発についても同じような場所が大丈夫かをチェックするために、点検要請といいますか、順次、全体の電気供給の状況を見ながら停止をして、点検して大丈夫だということがわかるとまた動かしたわけです。今回、個々に動いている原発については、定期検査において全体的に、今申し上げたところをチェックすればいいのではないかというふうに思います。全部、日本中の原発が停止したら、これこそ大変なことですし、逆に消費地でいろんな問題が起きるのではないですか。生命や医療や福祉や安全や交通や、あらゆる課題が起きますから、そういうわけにはいかないと思います。

【記者】
  美浜1号機についてですが、定検中のプラントを動かすために暫定的な安全基準が必要だということと、先日、原子力安全・保安院が、美浜1号機の40年、高経年化の対策には問題ない、福島とは別個に40年プラントを動かすのは問題ないという評価を下したのですが、県は高経年化に対する何か基準みたいなものが示されていないということに強い不満を持っているかと思うのですが。

【知事】
  それは既に要請をしていますから。

【記者】
  そうすると、止まっている原発を動かすためには、暫定的な安全基準プラスそれなりの高経年化に特化した何か基準というか方向性が出ないと動かせないと。

【知事】
  それは、ぜひとも示していただきたいと思っているのです。

【記者】
  高経年化原発のほうがハードルは高いということですか。

【知事】
  ハードルが高いかどうかは国の方でお考えいただきたいと思いますけれども、福島第一原子力発電所の1号機から6号機は、いずれも運転開始後30年超の高経年化プラントだったわけです。それから、福島第二発電所、女川発電所については、高経年化プラントではないわけですから、それが今回の福島の事故でどこの部分が、あるいはそれが津波なのかあるいは地震なのか、どんな影響があったのかというのは最小限度チェックがあってしかるべきだと思いますが、そういうことをチェックをしているのか、しようとしているのか、するのにどれぐらい時間がかかるのかとかいうことが何もわからないですから、それは高経年化プラントを持っている福井県としては、そういうものについて明瞭な説明がないと県民の安全を守れないという気持ちはあると思います。

【記者】
  先ほど知事が容認はまだできないと、個々の個別の事例を出されましたが、例えば、送電鉄塔とか発電所の開閉の問題だと、今後5月中に、事業者から国に報告があると思いますが、それがまた国から示されれば、1つクリアされたということになりますか。

【知事】
  一つひとつの問題について基準が示されれば、その問題はクリアされたということになると思います。

【記者】
  定検中の特別点検ですが、少なくとも関電はもう終えていますし、原電もやることを約束されていると思います。となると福井もプラントに関しては、それはクリアされているわけですか。

【知事】
  高経年化の今回の事故の反映はされていないのではないでしょうか。

【記者】
  高経年化ではなくて、定検中の特別点検のプラントに関しては。

【知事】
  理論上はそういうことになると思います。

【記者】
  知事がよく県民の納得、理解という言葉を使うのですが、それは議会の何か意思表示というか判断を待ってということなのでしょうか。

【知事】
  議会というか、我々が県として提示している今回の要件、それをクリアしてもらわないといけませんから、まだしていないと言っています。

【記者】
  県民の理解というのは、最終的に議会の意思表示を必要とするということですか。

【知事】
  それはもちろん市や町の方もあるし、県民の理解というのは我々と県議会と、そして全体の総合判断を加えないといけないということです。

【記者】
  菅首相がエネルギー基本計画を白紙化して議論すると表明されましたが、県内では、敦賀3、4号機の増設とかに影響が出る可能性もあると思いますが、どうお考えですか。

【知事】
  白紙化というのは、どういう意味なのかわからないです。何の部分をどうするかというところですね。ちょっと不明なところが多いです。そして、浜岡原発は止めるけれども、ほかの原子力発電所は大丈夫だと言っておられるようだけれども、そういうものとどんな関係があるのかというのもわかりにくいです。

【記者】
  福島原発事故が収束していない段階で、将来の計画をいったん白紙にして、また改めて議論するということについてはどのようにお考えですか。

【知事】
  意図がよくわからないです。

【記者】
  先日、大阪府の橋下知事が、原発に関して、新規の原発と原発の延長を止めにかかるという脱原発の発言をされていたと思いますが、知事としてどのように受けとめられましたか。

【知事】
  どういう認識で言っておられるかによるのですけれど、要するに、いろんなリスクとかいろんなことがあるわけで、そういうことを福井県の立地の市や町が犠牲にしながら、国のエネルギー政策に協力してきたわけです、だからこそ、さまざまな問題も解決してきたわけですけれども。そして、福井は関西に電力を約55%供給しているわけです、関西の膨大な電力消費にも福井県が協力しているわけです。ですから、まず関西の自治体とか消費者の皆さんは、このことを十分わきまえてもらわなくてはならないということが基本にあると思います。それがベースにないと言葉だけでいろんなことを言っても、それは一体どういう意味を持つのかということがあると思います。それは非常に大事なことだと思います。
  ですから、そういう日々安定した目には見えない部分もありますけれども、電気の供給を受けているという有り難みというのは、まじめに消費者の皆さんに考えてほしいと思います。そうでないと、どういうことをやろうとしても実効性のある結果は出ないと思います。消費だけのレベルで関西がものを考えるということではなくて、原子力発電所というのは、いろんな課題を解決しながらやっているわけだから、そういうことを考えてほしいと思います。例えば、中間貯蔵などというのも福井県外でどちらかがおやりになるというようなことになっているようですけれども、そういうものをどう考えるのかとかいうようなことですね。そういうようなことでも考えていただくというようなことはあるかもしれないし、もっと現実的に、原子力問題にしっかり向き合って、生産、消費一体としてものを考えないと、実のある議論はできないということです。

【記者】
  中間貯蔵の話がありましたが、それは関西地域でも持ってと。

【知事】
  そういう意味ではありませんが、いろんなことをしっかり考えてもらわないといけないということを言っているのです。単に電気を使うとか使わないという話だけでは済まないわけですから。

【記者】
  知事ご自身が橋下知事にお会いになって、そういった話をされるという予定はあるのでしょうか。

【知事】
  そんな考えはありません。

【記者】
  先ほどおっしゃっていたのは、中間貯蔵に関して、どちらかがお見えになると。

【知事】
  電力会社は、福井県外で、例えば中間貯蔵施設を整備したいと思っておられるわけでしょう。そういう問題などをどう考えるのかということなども、みんな消費と生産に直接かかわっていくわけですから、そういう全体のことを真剣に考えていただかないと、こういう問題は本当の実効性が上がらないと言っているわけです。

 

 

 

 


―― 了 ――
 

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