知事記者会見の概要(平成23年6月20日(月))

最終更新日 2009年9月16日ページID 014875

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平成23年6月20日(月曜日)
14:00~15:15
県庁 特別会議室

 
知事記者会見
  

 【知事】
 今日は、6月補正予算、クールライフプロジェクトなど3件を発表事項としています。まず、平成23年度6月補正予算の状況についてです。

    〔参考資料〕平成23年度6月補正予算案

 今回の6月補正予算は、私にとりまして3期目の最初の予算となるものです。これまで2期8年間、マニフェストを掲げて全力で進めてまいりましたが、その結果、失業率、有効求人倍率、子どもの学力・体力、高齢者の元気生活率など全国に誇れる成果を上げてきているわけです。一方で、今回のマニフェスト「福井新々元気宣言」では、アジア新興国の台頭など、グローバル化に対する局面に対していかに立ち向かっていくか、また、少子高齢化、人口減少そして若者や女性、高齢者の活躍できる環境など、我が福井のふるさとで県民の生活、産業に新しい活力と次のステージというものを目指すプロジェクトが必要です。そうした中で、大震災の発生ということが大きな事態として起こってきたわけですけれども、これはぜひとも収束が必要であると同時に、福井県として全国に誇れる「つながり力」によって地域防災力を強化するということが重要と思っております。
 昨年は、県議会、また県民の皆さんと協議をしながら、「福井県民の将来ビジョン」をつくる中で、さまざまご意見を伺ったわけですが、そういうものを踏まえ、また選挙中もいろいろなところでご意見を伺っているところでございまして、それを予算にできるだけ反映をするようにしたというのが背景です。
 
 まず、最初に福井県の予算のスケールですけれども、世界的な経済情勢の悪化とか、あるいは国・地方を通じた財政再建化に向けた歳出抑制などを背景に、本県の当初予算規模も5,000億円を下回る状況にいたわけです。今回は、昨年初めごろから県内経済も製造業を中心に回復の兆しが見え、県税収入の入り口ベースでは昨年度当初より増加傾向にありますので、そういうものを反映させながら積極的な予算を計上したということで、4年前の6月補正予算311億円に対して、今回は345億円と補正予算の規模がより金額的に大きいわけです。その結果、7年ぶりに5,000億円を上回る状況になっているということです。
 
 次に歳出面の状況をお話しします。大きく分けますと3つの柱です。まずマニフェストに基づく予算です。これは4つの元気のそれぞれ項目がありまして後ほどお話しします。次に震災対策ということで、県内の防災のいろんな問題への対応です。それから経済・雇用の問題ということです。ここは予算編成の中で、追加的に出てきた問題ということになろうと思っています。
 特に、この中で産業面については、中小企業のアジア展開、それから農業、観光ブランドなどを重視しました。「元気な社会」については、教育なのですが、先生方の授業力アップをポイントにしながら日本全体のモデルになるように、それから福祉関係、医療関係ではがん予防医療体制の強化ということですので、元気な社会のところは、高い水準をさらに次のもう1つ全国に負けない、さらに高いレベルに上げたいという方向です。それから、ここは非常に難しいところですが、「元気な県土」については、舞鶴若狭自動車道全線開通あるいは北陸新幹線金沢開業に向けた活用プラン、それから県都の再生、こういう課題に取り組みたいと思います。「元気な県政」では、国体が大きな課題としてあり、その対応ということになります。それから、冒頭申し上げましたように、震災、雇用の問題ということになります。
 
 それでは、第1の柱「福井新々元気宣言」の実現から申し上げたいと思います。
 まず産業問題ですが、「ふるさと産業」の元気再生というのは、①ふるさと産業の元気再生と②福井を本拠としたグローバル・シフトの2つになると思います。それから新しい成長産業が、③戦略的な企業誘致、④ニューパラダイム製品の開発・促進にあたるというイメージで見ていただければと思います。
 特に、ふるさと企業育成ファンドを、ふるさと産業のバックアップの方法として100億円組んでおりまして、特に民間の資金応援を大体8割と福井県の資金を投入して、ファンドをわかりやすい形でつくったということです。これによって企業の応援をする。企業の応援というのは、年間1億円前後のお金が投入できると思います。もう1つは、人づくり、県内外の理工系大学に在学する人たちの奨学金を応援して、福井県で働いてくれれば返さなくていいとか、そういう企業と人の両方から資金を使わせていただくというわかりやすい形にしているということです。
 それからもう1つは、アジアシフトです。福井を本拠としたグローバル・シフトについては、特に、上海、香港に県事務所がありますけれども、いろいろな金融機関と一緒にやろうというところは極めて新しい形になっています。特に現地でいろんな交渉をしたり、債権回収とかいろいろな難しい課題があるのですが、マネジャーを配置するなどして実践的な組織をつくっていこうと思っております。
 県庁職員も、もちろん現地事務所にいますけれども、他の職員も頻繁に出張したり、出入りをするというシステムですね。あまり外国だという意識の仕事ぶりはしないということを目指したいと思います。また中国のことのみならず、ベトナム、シンガポール、タイなどの国に対する目配りもしていくということを考えます。
 次に、農林水産業についてです。農業については、特に食料産業化ということです。物をつくって売っていく。それから、林業、水産ということで、大きくは農業、林業、水産業と3つに分かれると思います。
 特に農業ですが、水田農業については、今、大体6割が集落農業で経営をしておりますけれども、これから、3年ないし4年後には7割に上げるという目標を目指すということで、そのためのさまざまな、カントリー・エレベーターへの支援とかいろんなことを行うことになると思います。
 それからもう1つは、意欲の高い農業者への応援ということで、特に6次産業化ということです。生産基盤の強化をすると同時に、いろんな野菜や果物など、福井県には弱い部分ですから、販売をしていくあるいは加工していくという方向をどんどん強めてまいりたいと考えています。
 鳥獣害のない里づくりには4億円。この数字は、全国的にはかなり大きな金額を投入しているのが福井県です。電気柵などを延ばしていくということです。平成23年度では整備率が約5割ということになりますが、平成22年度から26年度まで、こういう方向で整備をして、特にイノシシなどを中心に鳥獣害をやっつけていこうということになります。
 余談になりますが、長崎県に対馬という島があります。江戸時代の元禄から宝永年間の10年間で、イノシシを壊滅させたという記録が残っているそうです。調べてみたのですが、対馬というのは細長い島で、北の島と南の島に分かれています。これを東西に7、8本、横に10キロぐらいの柵を作って、1年ごとに順番に、第1の柵を整備してやっつける。次に、第2の柵をつくってやっつける。10年間で5万頭とか8万頭とかいろんな数字があるようですが、イノシシを退治したという記録があります。シカは対象外だったようです。元禄時代ですから綱吉公の時代で生類憐みの令があり、いろいろ批判もあったようですけれども、それをやったというような話を読んだことがあります。それはともかく、いろんな方法を駆使して、いろんなことを考えながらこの問題にアタックしたいと思っております。
 特に子どもたちがもっと里山とか山の中へ入って勉強ができるようにとか、林道などもさまざま整備をして眺望がとりやすいように、あるいは林業との関係で、一緒に作業道をつくって柵もつくるとか、総合的な方法、多面的な方法で取り組みたいと考えております。
 また、間伐を強化していきます。それから江戸時代の話になりますが、日本一品質のよかったくず、熊川のくずを復活するとか、あるいは椎茸等の特産物ですね。地味な話になりますが、こういうことをやっていきます。
 それから次は水産業です。県庁前の水産会館で、毎週2回、生の魚をマーケットとして、これからずっとやっていくということで、県民の目に福井の水産、魚の資源、地産地消そういう様子がよく見えるように、そしてまた漁村でもさまざま施設などを整備して、魚離れを防ぐということを目指したいと思います。
 次は観光です。これはさまざまありますけれども、特に国内観光については広域観光というのが重要です。若狭地域では、平成26年には舞鶴若狭自動車道が整備されますし、今年は小浜インターチェンジができますので、若狭地域全体の京都府との連携あるいは滋賀県との連携、それから石川県との連携の広域観光をかなり力を入れてやらないと具体的な成果があらわれないと思います。そういう努力をしたいと思います。
 海外については、藤野厳九郎先生のアニメの製作などを通して中国へのアタック、また台湾からの教育旅行、こういうものを強化したいと思っております。
 次にブランドです。恐竜についてですが、今、県立恐竜博物館の入館者は年間50万人ですが100万人を目指したいと考えております。来年は辰(竜)年です。恐竜と辰(竜)とどんな関係があるのかということですが関係があると一応考えまして、恐竜好きの著名な方のバックアップも得て、次の新しいブームを起こしていきたいと思いますし、カマラサウルスの骨格の組み立てをいよいよ始めて平成25年には展示をすることになると思います。
 ブランド拡大の営業戦略としては、福井を舞台とした作品の映画化です。まず、美浜でさだまさし原作の「サクラサク」の映画化の応援などがあると思います。それから、ふくい南青山291の店舗の充実とサテライト店舗の拡大の検討があります。
 次は教育です。基本的には幼児教育です。それから、先生方の教育力のアップ、語学、サイエンスというのが大きな柱になると思います。学力向上に向けた教育情報フォーラムは、技術的にはいろいろ細かい話になるかもしれませんが、先生方が子供たちに本当にわかりやすくておもしろい授業をするためには、ICTあるいは新しい教材をつくるために、いろいろ学年ごと、学科ごと、単元ごとに、例えば小数の掛け算、3分の1掛ける2分の1などの掛け算がありますが、それは一体どういう意味なのか。そういう基本的な、子供にとってつまずきとなるところのいろいろな教材あるいは教え方、ノウハウを、福井県全体の先生方、あるいは外部の皆さんの応援も要るかもしれませんが、フォームアップ化をして、毎日毎日中身がよくなるようにという、そういうやり方をとりたい。これは日本ではほとんどやっていない分野だと思います。英語教育については相当重点的にやります。
 次に、奥越の特別支援学校です。平成25年4月に開校しますので、エコ化整備ということで太陽光発電などということ、また勝山南高校を活用しますので、できるだけ経費があまりかからないということを考えています。
 医療については、1つは陽子線がん治療を引き続き強化していこうと思っております。現在、約40人の治療を実行しているところです。それから、もう1つはがん予防対策です。全国で初めて県内の全市町のがん検診の料金を統一したところで、どこで受診してもよいということです。これから受診機会の少ない小規模会社に出向いて、受診率の向上、特に女性のがんである子宮がん、乳がんの出前検診を強化するということです。それから、全県を対象とした、がん検診受診勧奨センター(仮称)を設けて、電話などによる受診勧奨を実施するということを考えております。
 次は、主にお医者さんあるいは小児医療のバックアップになりますが、県内で産婦人科、小児科の医師が不足しておりますので、地域医療研修センターを整備し、先生方の研修の充実をしたいと思います。また、県立病院も県外の診療例の多いところに研修に行くことになります。
 それから、嶺南地域の小児療育関係です。障害、あるいはさまざま特別支援、あるいは病名がまだはっきりしないような心配なお子さんがいらっしゃるわけですので、嶺南地域をバックアップしてまいりたいと考えます。
 地域福祉では、エイジング・イン・プレイスと言っておりますが、福井県全体でつながりによる応援、3億円の介護基盤緊急整備等臨時特例基金を活用して、要支援世帯の全世帯調査、リストアップ、問題点の把握、自治体ごとのネットワークの形成、そして、日常生活の支援の立ち上げ、居場所づくりということで、福井県のよさである地域全体での応援、いざ災害時における要支援・援護者のバックアップをやってまいります。
 それから女性・若者への応援では、女性リーダーの出やすい社会づくりの支援についてはこれまでもやっておりますが、特に今年からは若者の応援をしていきたいということで、市町の事業あるいは地域活動に対する応援、県内あるいは国外へのさまざまな大会への参加のバックアップ、海外ボランティアの参加の支援ということで、この部分を女性の応援とともに強化するということをねらっております。
 治安実感プログラムについては、警察本部と協議をし、計画を実行するわけですが、子ども見守り、あるいは女性の安全対策をさらに強化することになります。
 環境問題についてですが、後ほどクールライフプロジェクトの話もございますが、特にごみ削減、リサイクル、福井県がずっとこれまでも取り組んでおります「おいしい福井の食べきり運動」、特に資源の循環リサイクルのループをつくる必要がありますので、コーディネーターを設けて、情報の連携と実行ということになると思います。また、嶺南地域を中心に低炭素の街づくりを進めます。経済産業省の公募の事案などにも応募しますし、またメガソーラー等の課題、あるいは、これから太陽光発電などの強化という問題もあると思います。
 元気な県土づくりでは、基本的に、さきほど申し上げましたように県都のデザイン戦略に着手します。それから新高速交通ネットワーク活用のプロジェクトでは、まず舞鶴若狭自動車道の平成26年の全線開通に備えての対応、それから北陸新幹線、これはもちろん敦賀までの延伸という問題がありますけれども、金沢までの延伸に基づく福井のさまざまな対策を進める予定です。
 それから元気な県政では、特に、平成30年を目指した国体です。既に第1次選定の種目と主催、開催をする場所も決まりましたので、これから大会の審判員等の養成あるいはホッケー場やクレー射撃場の整備などの準備も進めてまいりますし、平成30年に主力となっていただく中高校生の有望選手に対する強化練習などの予算を組んでいるところです。
 次は文化ですが、県立図書館のふるさと文学コーナーの拡充を検討し、福井ふるさと文学館の整備を行うことになると思います。福井ゆかりの作家のいろんな資料あるいは書物なども整備をして充実を図りたいと考えています。
 なお、音楽については、ブラスバンドというのはかなり水準が高いのですが、弦楽、バイオリンとかの系統は弱いということで、小中学校からこういうことをやりたいという子どもたちを応援していくことを考えております。
 
 2つ目の柱は、マニフェストに基づく事業の実施のほかに、今回の大災害に基づくプロジェクトとして、地域防災計画の見直しと県内の震災対策の強化ということです。計画の見直しと同時に耐震化あるいは医療機材の充実、東北地方あるいは福井県に避難している皆さんの応援ということになります。
 
 3つ目の柱は、経済・雇用対策についてです。今回さらに新しい雇用創出ということで、300人のプラスで合計3,500人の雇用を創出します。また、県の単独の公共事業を21億円追加して、国直轄と補助事業は大体10%減ですので、ここで1%ぐらいプラスの数字になりますから、全体に9割をちょっと超える金額を確保したいと思います。
 それから、県内消費の拡大ということですが、クールライフプロジェクトと連携し、そうしたことを実行してくれた家庭に対する商品券の応援とか、いろんなことを組み合わせた消費拡大キャンペーンを行うというこういう考えです。

 県税、交付税、県債発行などについてはごらんのとおりの数字ですが、特に基金については、これまでずっと減ってまいりましたが、税収の増加などもございまして、このレベルになっているわけです。これから国体など、またさまざまな事業もありますので、この金額をある程度の額に維持しながら、次年度以降の予算の対応をしてまいりたいと思います。
 なお、県債については、交付税が伸びておりませんので、交付税にかわる特別の起債というのがありまして、これは伸びていますが、純粋の県独自の借金といいますか、これについては減らしてきている状況です。
 予算については、大体以上のとおりでして、冒頭申し上げましたような3つの柱で対応していきます。

 2つ目のテーマは、クールライフプロジェクトです。節電を楽しもうと言いましょうか、あまり我慢をすることなく前向きにクールライフを進めていこうということでして、7月1日(金)から9月30日(金)まで3カ月間のプロジェクトにしていきたいと考えます。 そのため、このプロジェクトについては発想を大きく変えて、福井県の自然状況あるいは3世代同居とかいろんなことがありますから、そういうものを生かした節電というのでしょうか、あまりエネルギーを使わないプロジェクトにトライしようということです。
 柱が3つあります。1つ目は「昼涼みプロジェクト」ということをやります。2つ目が「オフィス・シエスタプロジェクト」、3つ目が「地域・縁側プロジェクト」です。いろんな名前はついているわけですが、1つ目の「昼涼みプロジェクト」については、家の中にいないで涼しいところへ家庭のほうが移動するという発想で、電力使用量がピークを迎える午後1時から3時ぐらいの間はクールスポット、涼しいところへ行っていただくということです。公共施設、ショッピングセンターあるいは涼しい観光地等々に出かけ家庭のエアコン、テレビなどを切ることによって、家庭消費電力の5割から7割を占めるそうした分野の電力をカットするということです。
 そして、そういうクールスポットについては、昼涼みのサービス等の協力を求めるということで、料金を下げるとか、あるいはそういう情報を提供するとか、県の公共施設の県立歴史博物館、県立美術館、一乗谷朝倉氏遺跡資料館、若狭歴史民俗資料館については、入場料を無料にするというようなものを組み合わせてまいりたいと思います。
 2つ目の「オフィス・シエスタプロジェクト」については、事業所で昼休みにパソコン、コピー等を切るなどの方法をとっていただくことになると思います。
 それから、3つ目の「地域・縁側プロジェクト」ですが、これはそれぞれのご家庭でいろんなアクションプランを展開していただいて節電を進めようということです。
 なお、県庁でのプロジェクトについては、電灯の2分の1消灯、エレベーターの間引き運転、冷房の1時間ストップなどですが、これはできるだけ昼の時間にそういうことをやるということで、一日中そういうことをするというわけではありません。特に需要の多いところを中心にやる。それから、冷房の1時間ストップなどというのは、朝8時半から仕事がスタートしますが、従来は7時半ぐらいから冷房を始めているのですが、朝はあまり暑くないですから8時半ぐらいから冷房を始めます。そういうことでいろんな方法をとってもらいたいと思っています。

 3つ目ですが、公共工事の入札制度の改正ということです。
 まず、入札の競争激化により、平均落札率が低下している中で、現場管理費などの係数を0.7から0.8に引き上げるといった方法によりまして、最低制限価格の引き上げを行うということを考えているところです。全国的にいろんな水準があることも考慮した対策です。次に、広域防災への取り組みを行う建設事業者に対しては、総合評価落札方式において加点するための項目を加えるということです。これは、これから具体的な応援体制を事業者が進められるということに基づいて、それに応じて、体制整備の準備ができれば、その段階でスタートするということになると思います。
 以上、3件、私から説明をさせていただきました。


~ 質 疑 ~


【記者】
  知事査定が始まるときに、知事から、「県民生活に活力を与える予算にしていきたい」と発言があったと思いますが、出来上がった補正予算案を概観してみて、どういう予算になったと評価されているかお聞かせください。

【知事】
  今回、予算を検討している中で、原子力や東北地方の防災の問題などが、連日、県民の皆さんの関心を呼ぶということで、そういうところにかなり対応も必要でした。
  それはそれとして、さきほど申し上げましたように、マニフェストに掲げた福井県の優れた平均力ですね、失業とか、あるいは学力とか、高齢者の元気生活率とかいろいろあります。こういうものを厳しい中で突破力に変えるということです。平均力をさらに次のステージに上げながら突破していくということのバックアップができるような予算といいますか、難しい課題ですが、そういうことを思いながら予算をのせていただいたところです。
  一方で、今、防災のお話がありました。それはむしろ、そういうものに対する逆向きの力が働くわけですので、そういうものをできるだけ無くしながら予算を組むという心構えで対応したつもりです。

【記者】
  なぜ今、ふるさと企業育成ファンドを設立する必要があるのかお聞きします。

【知事】
  ほかのいろんな融資制度とか補助金制度というのもうまく導入すると同じような効果があらわれるのかもしれませんが、やはり今回、はっきり目に見えるような形で100億円という金額、それについて官と民というのでしょうか、ほとんどは民の力の一致協力した応援によって、福井県の小さい企業を何とかして具体的に支えていこう、あわせて人材育成ですね、エンジニアといいましょうか、技術者を確保したいということをはっきり目に見えるようにやるというねらいが重要だと思います。マニフェストでも言っていますが、福井の中小企業全体として、今まさにアジアへ向け、あるいは国内的にも厳しいわけですので、ぜひとも福井県としては中小企業に頑張っていただかなければなりません。県の組織にも中小企業の支援のための小規模企業支援室を設けて、総合的に応援をしようということです。

【記者】
  100年企業育成ということですが。

【知事】
  100年企業というのは1つのスローガンですが、後継者として末長く頑張ってもらわないといけないということです。こういうふうに思っているのです。

【記者】
  予算全体についてお聞きします。今回は前年を上回る積極型で、その理由の1つとして税収が少し上がってきたことを知事はおっしゃっていましたが、4年前と比べると税収自体は減っていまして、その中で、今、積極型で臨みたいという気持ちをもう少し詳しく聞かせください。

【知事】
  さきほどの基金などを予算に計上しますと、金額としては大きな目に見えるような形で予算の中にもあらわれることによって予算が伸びることもあるのですけれども、こういう時期ですから、あまり内に閉じこもらないように、わかりやすい形で、みんなで活力を持って頑張っていこうではないかということを示しながら、アジアへ向けて、あるいは人材も育成する。それから、その根っこにある教育とかを応援する。さらに福祉とか医療なども根っこにあるものですから、両方相まって、産業を伸ばしながら福井のつながりを活かしていくという方向づけを強く、4年目の最初ですから、とったほうがよいという気持ちで予算を組んでいるということです。

【記者】
  震災もあって、元気づけたいというものもあったのですか。

【知事】
  気分だけの問題ではなくて、これによって当面、全体の産業の方向がはっきりしなくなっている部分は少しあります。これがないと、もっと前向きなことがたくさん日本としてもできるのかもしれません。財源的にも、復興財源にかなりお金が使われると思いますし、それぞれの地域が独自の政策を進めるというときに、どうしても政府の政策の進め方に馬力がかからないというようなことがあると思いますから、そういうことを考えながら、地方としては極力自分の力で進めていくということを願っています。

【記者】
  6月議会に提案される核燃料税についてですが、税率17%への引き上げと、停止中原発にも熱出力に応じて課税するとされていますが、引き上げ幅と停止中も課税するという意味について、どのように考えていますか。

【知事】
  今回の出力割といいますか、これについては税収の安定化を図るためのものです。これまで何回か核燃料税で改定しておりますが、例えば、250億という想定をし、一定の需要のもとに税率をセットするわけですが、毎回、必ずしもその税収が確保されていないのです。ということは、7%税率があっても、表面税率はそういうことですが実効税率が低いということなのです。ということになりますと、その間の財政需要にこたえられてこなかったということなのです。ですので、今回特別に考えたというよりも、前回もそういう議論があったのですが、今回は特にそういう議論を災害の前から進めておりまして、そういう議論を煮詰めた結果、出力割を導入するということになったということでして、特に、これを新しく思いついて設けたというものではありません。
  それから、17%相当については、安全対策的なものがさらに追加的に起こってまいりますから、そういうものも加味されているというふうに思っていただいたほうがよろしいかもしれません。

【記者】
  核燃料税の関連で、安全対策の加味というのもあるのでしょうが、今まで、改定で毎回2、3%引き上げていたのが、今回は一気に5%上がるという大きい上げ幅になっていて、それを事業者に認めてもらうことと、今問題になっている停止中原発の再稼働の問題、再稼働に同意するかどうかの問題を絡めてとらえる見方もあると思うのですが、これについてどのようにお考えか聞かせください。

【知事】
  関係はないのですけれども。今年、災害が起きたから高くしたとか、特にそれをねらってやったわけでもなくて、さきほど申し上げましたように、ずっとこれまでも十分な税収が確保できていないのです。それを何とか改善もしたいし、そして納税者である電力事業者もこんなつもりはお持ちだったかなと思います。懸案であったのです。

【記者】
  先日の土曜日、海江田経済産業大臣が会見して、追加で指示した安全対策の評価結果を出されて、改めて安全なので再稼働をお願いしたいと言っておられますが、率直に知事のご見解をお伺いします。

【知事】
  明日、説明にお見えになられるようですから、そこで十分、趣旨なり中身をお聞きするということが大事かなと思います。

【記者】
  現時点でああいうふうな発表をされ、改めて再稼働をお願いするとかなり強く言われておりますが、そのあたりはどのように。

【知事】
  内容をさっと見た限りでは、我々が申し上げていることに、あるいは全国の14の立地県も同じようなことを申し上げているのですが、答えられるような内容にはなっていないのではないかと思います。問題は、定検中のものに対して、今回の福島の事故、これは地震、津波、両方あるのでしょうが、今わかる範囲のものをそこに加えていくといいましょうか、そして当面の本当に今やるべきことをやるという対策、その答え。それから、そこまではいかなくても、ここ1、2年でやるべきことに、どういうものがあって、どういうものが想定されて、これをどういうスケジュールで着手するかという考え方。3つ目は、よりもう少し時間がかかるけれども、長期的になすべきことが必ずしも明瞭になっていないのかなと思います。また明日お見えになられて、そういうことをお聞きすることになると思います。

【記者】
  明日どういう話が出るかまだわかりませんが、土曜日に原子力安全・保安院が発表した事業者の対策は適切ですという発表だけでは、知事は、まだ安全に対して確証は持てない、再起動に同意する段階ではないという考えでよろしいのですね。

【知事】
  そうです。事柄がたくさんありますから、十分にお聞きしないといけないでしょう。説明にお見えになりたいということのようですから。

【記者】
  まだそういう話を聞く段階にないというように、IAEAの報告が出た段階ではおっしゃっていたかと思うのですが、明日、会われるというのは、何か変わったということでしょうか。

【知事】
  何も変わっていません。お聞きする段階ではないように思うけれども、ご説明をしたいということですから、お聞きすることはやぶさかではないということです。むしろ一般的には、改めて必要なことを申し上げないといけないということになるかもしれません。

【記者】
  核燃料税について伺います。今後、国の防災計画の見直し等があるかと思いますが、そうなると新たな財政需要が生まれて、5年間のうちに、また17%という数字を見直す可能性があるのかということと、今は、地方との配分が6対4になっていますが、その税収の配分を事故を受けて変える可能性について、考えがあれば教えてください。

【知事】
  まず、何といっても、今回の条例を県議会にご納得をいただいて、承認、施行をしないといけませんから、そちらが大事です。その上でいろんなことを考えないといけない。

【記者】
  今日も大阪市長と関西電力社長が面会して、大阪市から脱原発はどうかという提言があったり、これまで大阪府知事が脱原発を唱えたり、福井県でつくっている電力のほとんどが関西に向かっていますが、消費地の方で脱原発と言って福井から電力を送らなくてもいいというニュアンスの話が出てきています。その発言があること自体が、現在停止中の原発を稼働させる、させないの判断材料にはなるのでしょうか。脱原発で節電すればよいと言われている中で、供給県である福井県から提供しましょうと言う必要があるのかどうか、どのようにお考えですか。

【知事】
  観念論ではなくて具体的な話ですからね。その言葉が、どういう意味で言っておられるのか。電気は要らないと言っておられるのか、何十年後にはこんな状態がいいと言っておられるのか、よくわからないですから、ちょっとお答えはしづらいです。その意味ですね。

【記者】
  意味がはっきりしないということですか。

【知事】
  直接お伺いしているわけでもないからですが、よく冷静に現実の生活をお考えいただいて、いろんなことをお考えになるのがいいかと思います。

【記者】
  海江田大臣は福井県にできるだけ早く行きたいと思っているのでしょうが、具体的に知事との会談みたいなもののスケジュール調整は現に進んでいるのかどうか、また、知事の考え方として、とりあえずお願いに来たいというのであれば会いましょうというスタンスなのか、それとも、やはり大臣がわざわざ来る以上は、県が国に投げているボールの回答を具体的に持って来ないと会うべきではないとお考えなのか伺います。

【知事】
  実務的には、まず明日、お見えになるわけですから、それはそれでお聞きすることになると思いますが、中身をはっきりしないと、お見えになっても話が前へ進まないことになると思いますから、それが先決だとは思っておりません。

【記者】
  要するに、ある程度、具体的な中身を持って大臣が来ないと会ってもあまり意味がないと。

【知事】
  まず、それも、どういうことをまだ我々も知ってるわけではないですから、勝手にこちらから言うような話でもありません。

【記者】
  明日次第で改めて考えると。

【知事】
  ええ、全くそういう話は来ていませんから。

【記者】
  海江田大臣、菅総理も地元の説明にという話もあるみたいで、どうやら政治決着を図ろうかというような政権与党と、とりようによってはとれると思いますが、県としては、これまで求めてきた回答が出ないことには、政治決着に来たからどうだということではなくて、回答が得られなければ再稼働は認められないという考えに変わりはありませんか。

【知事】
  政治決着というのは意味がわからないけれども、それは、どういう意味ですか。

【記者】
  大臣なり総理なりが来られることで、認めてもらおうということには応じられないとお考えですか。あくまで求めているものが出てこないと認められないと。

【知事】
  まず第一は、県民や国民の安全の問題なのに、政治がどうだということではないです。それを基本に据えないと。政治の議論にはならないと思います。

【記者】
  安全や安心を担保するようなものが出てこなければ、駄目だということですか。

【知事】
  駄目というのか、そういうことをするのが政治の義務だと思うと言ったほうがいいのかもしれません。国民全体がそれを期待しておりますし、夏の電力のピークを迎えますが、そういう答えを早く出して問題を解決しようというのが、政治的な務めだと思っています。

【記者】
  海江田経済産業大臣が、土曜日に安全対策は適切だとした上で、夏場の電力供給の逼迫だとか経済発展のために、地元自治体に再稼働をお願いしたいということを言っているのですが、安全対策だけでなくて、経済の面を懸念して再稼働してほしいというような考え方についてどう思われますか。

【知事】
  同じレベルでは論じられないのですけれど、浜岡原発を停止要請したのはどっちの観点なのでしょうかね。経済はともかく安全が第一ということだったのでしょうかね。

【記者】
  浜岡のときと今回とで、若干、考え方が逆転しているというか矛盾しているというか。

【知事】
  そういうものを二者択一で論じるものではないのではないでしょうか。まず、安全が大事ですから。安全が損なわれたら元も子もないわけです。福島の例がそれなのです。

【記者】
  今回、経済みたいな観点を持ち出してくることに対しては、ちょっと違うのではないかということですか。

【知事】
  経済を持ち出しておられるのかどうかはわからないですけれど、安全が99.99までできているのに、なお、経済のことを考えないといけないじゃないかというのだったら、話はまだレベルが同じになるかもしれませんが、安全の問題、要請のこたえ、全国の立地がみんなそう思っているわけでしょう。その中で、経済がどうだというのは何か具合が悪いです。そんな議論をされても話が合わない。県民、国民の期待の話でもないでしょう。

【記者】
  核燃料税についてですが、先ほど安全対策に対する財政需要等が必要で税収を上げるというお話でした。将来的には、原子力発電所の建て替えなどが進むと出力自体も大きくなって課税ベースで拡大しそうな感じも受けます。中長期的にいって、核燃料税を半分は出力割で半分は核燃料の価額割という形式にした意味、考え方をもう一度教えてください。また、固定的な税収を求めるのであれば、原子力発電所の立地について外形的に課税するという方法もあったのではないかと思いますが、そのあたりは、背景にどういう徴税の理念や考え方があるのでしょか。

【知事】
  立地すること自体の税というと究極の外形的課税になりますかね。やはり原子力発電所がある目的を持って動いている、あるいは動かそうとしている、これからも動くのだという進行形の状態という把握は大事だと思うのです。そこに付加価値も生まれるわけです。あるからというのはどういう課税ベースになりますかね。固定資産税のように土地を持っているからというそういうタイプのものもあるのです。それは潜在的にそこに価値が生まれるということです。原子力発電所はそれだけでは課税しにくいかもしれません。そういう税制だってないわけじゃありませんので、考えられると思いますが、納税者の理解は少し得にくいのかもしれないと思います。

【記者】
  これまでの県の原子力政策の進め方を見ていると、関係する省庁の幹部が福井に来てしっかり説明して最終的には所管大臣なりトップが直接県知事とお話しする。これまで慎重に原子力政策を進めてきた過去の経緯から見ますと、今回も国のほうは順番にそういう手順を踏んで県知事の理解を得ようと見てとれるのですけれども、知事が求めている水準に、あくまでもいろいろ国から示される問題がクリアできない以上は、例えば、電力需要がピークになって厳しいと言われている夏を迎えるとしても、一切それは県としては妥協しないという考えでよろしいですか。

【知事】
  要するに、我々が申し上げているのは、今回の福島の原子力発電所が、もう3カ月、100日を経過しましたけれども、地震の揺れや津波の影響が原子力発電所にどう問題を投げかけているのかという、そこをはっきりしていないのです。それから、高経年化の問題もはっきりしていませんから、それをきちんと停止中の原発に反映をさせることです。そして、さらにこれから、そういうことがわかったものについては反映をさせるというシステムを入れる必要があるわけです。それから、浜岡原発を停止要請し他の原発はそうでないというのは、そうでないのだということではいけないので、その理由ですね。どう判断すべきかという納得のある対応これが大事でしょう。それはみんな安全基準の形で示されないといけないわけです。それを前々から申し上げて、もう3カ月近くになるのです。

【記者】
  核燃料税の17%について、ベースが15%で、震災の特別対策として2%上積みしたという話もあるようですが、県としての認識は、2%は上積みであってこの5年間、臨時的に行うものなのか、それとも全くもって17%という数字しか存在しないという認識なのでしょうか。

【知事】
  核燃料税の今回のいろんな決定に当たって福島の事故をどのように反映させたかというのは厳密には難しい問題があるのですが、しかし、今回の事故を受けまして、特に緊急な安全対策が極めて重要でありましょうから、こういう需要が増えてくるというのが実際ですから、そういうものが反映をされてきているといいましょうか、そういうものはあると思います。

【記者】
  原子力安全・保安院が、立地自治体にまず実務的に説明をする前に、海江田経済産業大臣が安全であるということを宣言して、再起動を要望するというものの順番については、どのような考えをお持ちですか。

【知事】
  要するに、中身が伴わないといけないです。県民や国民を納得させる中身が大事ですので、それをぜひ明らかにしていただきたい。

【記者】
  原発の再稼動の条件のところで、以前から言っておられる高経年化とか、地震と津波の関係とか、浜岡だけを停止するとか、そういうものが完全にクリアされなければ再稼働は認められないという気持ちに変わりはないということなのか、改めてですがどちらでしょうか。国として回答がなければ動かせないという明確な判断基準で対応するということなのでしょうか。

【知事】
  今のところ状況は変わっていません。我々は止めたいと思って申し上げているわけではなくて、安全のために必要なことだということで要請しているわけですから、ぜひ遅滞なくお答えを願いたい。それによって解決するだろうと申し上げているだけなので、違うことを考えているわけではありません。

【記者】
  今のところ、そういうことに取り組もうとする国の姿勢というか、答えについてもそうですけれども、姿勢も見えてこないので、なかなか応じられないという感じになっているということですか。

【知事】
  また明日、何かいろんなお話があれば十分聞かせていただくことになると思います。

 

 

 


―― 了 ――
 

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