知事記者会見の概要(平成23年9月12日(月))
平成23年9月12日(月曜日)
10:30~11:45
県庁 特別会議室
【知事】
今日は、9月補正予算案、ふるさと産業育成に関する協力協定、観光誘客についての特定のプロジェクト、それから、がん検診受診勧奨センター開設などについて申し上げます。主なものは予算です。
まず、9月補正予算案のポイントについてです。
今年は統一地方選挙があり、6月に当初予算のような補正予算を組んでいます。9月までに時間があまりたっていないことから、通常ならば、9月補正予算は、かなり大きな予算規模になりますけれども、6月補正予算に、大体9月補正予算的なものが入っている部分がありますので、それほど大きい規模にはなっていません。しかし、さまざまな要因もあり、ある程度の規模になっているとご理解ください。
背景についてですが、1つには、6月補正予算を組んだ後も、災害であるとか、高速道路無料化がなくなるとかいろんなことがあり、観光政策を途切れることなく進める必要があるだろうということもあります。それから子どもの教育です。これはマニフェストでこの4年間進めるものであり6月補正予算でもさまざま対応していますが、来年の当初予算まで待つと、どうしても1年以上遅れることになると思います。子どもたちは、一日一日成長しますので、遅れることがないよう、この9月段階でできるものを投入していく、そういうねらいがあります。
それから、6月補正予算以降に、国から2次配分の交付金がありますから、これから、秋、冬に間にあうよう公共事業を行うことがファクターとしてあると思います。
さらに、以前からある制度である基金事業についてです。雇用、教育、安心こども基金など国の経済対策に伴う基金がここ数年継続しておりますが、ほぼ今年が最終年度を迎えますので、そういうものを今年度中に行う必要があるだろうということです。保育所の整備などです。
こういうことで、この時期に補正予算として措置すべきものとして、観光、教育、公共事業、基金というもので、約24億円の規模のものが、まずあります。
それから、今回の東日本大震災の実情を見ますと、本県としても対応する必要があるものがあります。津波などの防災対策あるいは被災地へのいろんな応援がありますけれども、全国知事会などの基金なども減りましたので、これの補てんなどの予算などもあります。間接的な災害対策ということになります。こうした事業で、約11億円の規模があります。全体としては約35億円の予算規模、そして予算現計は約5,049億円、ほぼ前年度同額の0.8%減ということになると思います。
それでは、補正予算の主なものを申し上げたいと思います。
まず、観光対策です。この春から夏、4月から7月までの観光客入込数は、県全体では前年度比で2%減の約388万人。嶺南地域では約78万人で14%減ということで大きく落ち込んでおります。そういうことで、特に嶺南地域の旅館や民宿などへのてこ入れも必要ですし、外国人観光客は全国的に減っており、福井県でも数はそんなにあるわけではありませんが、それでも減っているということで、こうした対策が必要です。
1つには、民宿の秋、冬の誘客対策です。観光客がお土産を買う際に利用できる割引クーポンの発行あるいは食を活かした集客イベントの開催などです。それから、福井県は、冬が食べ物の美味しい、いわば食の観光のシーズンですので、そういう応援をしてまいりたいと思っています。1団体当たり200万円ぐらいになると思います。
なお、後ほど別に発表しますが、今日から楽天トラベルのインターネットサイトで、福井県の観光コーナーを開設することになっています。
それから、もう1つは、今年から来年にかけて、旅行会社が福井県に観光客を送客する実績に応じた助成制度を引き続き内容も充実しながら進める「ふるさとふくい」観光誘客促進事業です。債務負担行為が5,000万円です。また、東アジア観光客の誘致拡大に1,500万円で、これも債務負担行為です。今年から来年の春にかけての事業になると思います。
国内については、関東あるいは中四国・九州方面からの集客に関する助成単価を、1人当たり1,000円から2,000円に引き上げることで、3年後には、関東方面の観光客を27万人から60万人に引き上げる、中四国・九州方面は15万人から30万人ということで、それぞれ倍増したいと思っています。
また、海外についても、平成26年度には、10万人というようなことを考えており、中国はもとよりですが、マレーシアなどの国も対象にしたいと思っています。観光全体のてこ入れには、これらはソフト事業ですから、観光地全体の充実が必要でありまして、今、芦原温泉への藤野厳九郎先生の館の移築とか、あるいは永平寺門前の整備など、観光地自身の充実も必要かと思います。
次に、教育についてです。マニフェストで福井型18年教育の推進をしておりますが、これはゆっくりやっておりますと、すぐ1、2年経過してしまいますので急ぐ必要があります。そこで、既に保育士の研修なども進めておりますが、今回は、子どもたちの親、親教育へのさまざまな応援ということです。それから、来年10月には、幼児教育の総合的な支援機関である「幼児教育センター」がつくられますので、それまでに保育所や幼稚園の現場の声、あるいはアンケートなどもして、教育プログラムを策定するというさまざまな準備、基礎データとなる実態調査を保護者と教職員、約3,000人に対して行うということです。同時に、今申し上げました保護者の保育体験などの応援などもしたいと思います。
次に、中学・高校での英語教育についてです。今、一番重要なのは外国語の教育かと思っております。ALT(外国語指導助手)が、今80人いるのですけれども、これは生徒一人当たり日本一多い人数になっています。
それから、福井県内に、英語の先生は中学・高校を中心に約400人ということですから、人件費として30億円ぐらいのお金をそこに投入していることになっていますので頑張っていただかなければならないわけです。ALTへの指導力向上の研修、つまり、彼らもやる気で福井県に来ているわけですが、そういう気持ちをしっかりと受け取って、100%、あるいは150%、子どものために、彼らの熱意を発揮してもらうことが、まだ、十分でないと思いますので、そういうことをやりたいということです。
それから、今日、9月12日から、ホームページ上で、教員同士の教え方に関する情報交換を行う「教育情報フォーラム」の運用を開始します。これはあまり全国的にはない制度かと思います。教え方のうまい先生とか独特の教え方のできる先生というのはもちろんおられますが、こういう先生の良いところをほかの先生と共有したり、教育は毎日変わっていきますから、いろんな情報が先生方でうまく良いものになるようにということです。
さらに、11月を目標に、英語の発音や聞き取りの面で生徒が間違いやすいポイントをまとめた、本県独自の音声教材の作成を進めています。英語教育における教員の英語力を一層高めることにより、本県独自の英語教育の方向性を中期的にはっきり定めると同時に、NHKや大学などの英語教育の第一人者を委員とする実際的な教材をうまく活用するための検討委員会も設けたいと思います。
それから、英語の授業は、英語で何かおやりになる先生方も多いのですが、そこで、しゃべる英語で、「今から始めるよ」とか、「答えが間違っているよ」とか、「それは良い答えだ」とか、あらゆる局面の会話例というのがあります。それを共有化するというか、丁寧な言い方、ざっくばらんな言い方、あるいは独特な言い方など、いろんなタイプが1つの場面についても3つ、4つあると思いますので、そういうのをたくさんつくり、子どもたちが教室の中で、普通の日常用語でしゃべる外国語の調子、言葉遣いというものが身につくようにしたいというのがねらいです。
次に、サイエンス教育についてです。福井県におけるサイエンス教育は、これまで何年かにわたり、マニフェストでも書いているように充実してまいりました。「全国科学オリンピック」への参加者も平成21年度は37人でしたが、平成22年度には100人に増えています。この8月には、物理の分野で、金賞と銅賞のそれぞれ入賞者もありました。また、小・中学校へ研究者を派遣するサイエンス博士の派遣なども進めていますが、さらにこれを充実する必要があります。また、来年からは、国の全国学力テストで、理科がこれまでの国語・数学に追加されるようなことがあるようです。
そこで、「ふくいスーパーサイエンスフォーラム」を、これまでも3回開催していますが、今回、初めて、嶺南地域、若狭地域で開くことにいたします。2010年にノーベル化学賞を受賞された米パデュー大学の根岸英一博士がようやくお時間がとれるようですので、来ていただくことになると思います。来年の2月です。
それから、もうお一人は、女性科学者で神戸大学の相馬芳枝特別顧問です。女性化学賞をこのたび受賞されたということで、女子高校生を対象に、お話をしていただくということです。県内の女子高校生は理工系学部への進学者が非常に少なくて、いわゆる俗に言う文系の子どもたちが多いのですが、理系にも関心を持ってもらうということです。
このほか、再生可能エネルギー、省エネなどの事業、それから社会インフラ、防犯、防災事業などの予算を計上しております。
1つは、太陽光発電・省エネ設備導入促進費用約2,800万円余です。今回のいろんな社会状況の背景に、自然エネルギーというのは非常に重要だという認識があり、補助金申請が、昨年に比べますと1.7倍のペースで増えているので、補助金の申請枠を850件から1,000件に、150件増やします。これで平成26年度末には、約8,000件近くの家庭に太陽光発電設備を導入することになり、導入率を4%ぐらいに高めたいと思います。
次に、通学などの安全対策です。今、県民4万8千人が参加する見守り活動など子どもの通学防犯事業をやっております。私が知事になりましてから、防犯灯は2,000基以上増設していますが、設備設置の遅れている集落間は暗いところがあります。そういうところについて、新たにLED防犯灯の設置をする市町に、場所によって割合が違いますが、2分の1とか3分の2の応援をすることで、今後4年間に1,200基の整備をしていこうと思っています。
公共事業についてです。今回の紀伊半島の土砂災害など非常に大きな災害になっていますが、地域自主戦略交付金いわゆる一括交付金を活用して、防災関連事業を重点的に整備したいということです。
今年5月、福井県内で大雨によって、法面崩壊、浸水災害が生じましたので、こういった土砂崩れの場所とか、あるいは砂防ダム、そういうような場所についての整備、それから消雪パイプ事業を行いたいと思います。雪の降る前に整備してしまうということです。
次に、大きく、防災あるいは震災の事業についてです。さまざまな今回の福島の事故などを踏まえた対策については、今、福井県の地域防災計画の見直しを本年度内に行う作業を行っておりますけれども、並行して、予算上必要なことをやりたいと思います。
1つは、福井県の津波対策検討事業3,200万円です。これは究極的には国でやる必要がある事業ですが、そうも言っておられませんので、福井県としては、日本海の東縁部、ここはプレートの境目という考え方があるのですが、これがどのように影響するか、このプレートは、以前、20年ほど前に津波がありました奥尻島からずっと来るラインです。それから、若狭湾のそれぞれの地域の活断層、これは、それぞれの地域にありますけれども、そういう活断層、局地的なものとプレート的なもの、両方の影響をやろうということです。特に、プレートにつきましては、石川県と共通のデータ、考え方で、連携してやるのが意味があると思っているところです。
先日、若狭町で津波の避難訓練を行いました。津波が4メートルであれ、7メートルであれ、急いで避難しないといけないことは事実ですけれども、どういう傾向の津波があり得るかということを、もう1度検証してみて、それぞれの地形にどんな影響を与えるか、地域ごとに影響が違うと思いますから、そういうふうなやり方を、それぞれ地図情報に基づいて検証するということです。
あわせて、こうした部分については、原発もございますから、国がしっかりした方向性を出すということを、3月11日以降、我々は強く要請しておりますので、そういうものも早く出すようにして、それをまた活かすということになると思います。
もう1つは、放射能監視体制の強化事業です。これは2億1,500万円の事業になります。現在、福井県内には、県と国、事業者あわせてモニタリングポストが81基あり、常時監視を行っておりますし、そのほか、移動機能を持ったものもあります。福島県などにも応援に行っておりますが、今回、国においては、全国のこうした立地に近い場所以外にも、モニタリングポストを置く必要があるだろうということで、本県には、10基の配分がまいりましたので、全市町に配置ができるようになる、嶺北にも配置をするということです。福島県に11基の配分が来ており、他の県も数基は来ていると思います。福井県は非常に多いということです。
なお、そのほかに、嶺南地域の準立地の地域それから南越前町もそうですが、県独自、単独で設置をして、全市町が放射能の測定と迅速な把握ができるようにしたいと思っております。問題は、設置して、この情報をいかにあらゆる災害のときに途絶えさせないようにするかとか、どう迅速に使うかということが問題ですので、そうしたことを次に、さまざま工夫をして実行しなければならないと思います。これは、年度末の地域防災計画の中でも、いろいろ工夫してまいりたいと思います。
以上が予算の関係です。
2点目は、ふるさと産業育成に関する協力協定です。
今日、午後1時30分から県庁において、銀行など県内7つの金融機関、それからふくい産業支援センターと県の3つの団体・組織で、総額100億円の「ふるさと企業育成ファンド」の設置に当たり、協定を結びます。福井県は20億円を出し、金融機関は80億円を無利子で出資し、その運用益が1年間に1億円ぐらいできます。これを中小企業への補助金、また、ものづくりの人材育成のための修学資金の貸付事業、これは毎年20名ずつ新規に対応し、月額6万円という制度をつくりたいと思います。
もちろん、本体となります中小企業の新分野展開のための応援は、今日から募集を開始するわけですが、申請前から金融機関等がいろいろとサポートする必要がありますし、金融機関と産業支援センター、商工団体が連携して支援チームをつくり、具体的な事業がうまく展開できるようにしたいと考えているところです。
3点目ですが、これは先ほど観光のところで申し上げましたが、楽天トラベルというインターネット宿泊予約の国内最大手のウエブサイトのトップページに、福井県が地元観光事業者と共動で企画した、福井県の特集コーナー「福井県 海の幸王国」を設けるということです。
そして、この特集とあわせた広告を首都圏や中京・関西などを中心に、直接家庭に配布するフリーペーパーへ掲載するということを考えております。
4点目は、がん検診受診勧奨センターの開設です。
9月は、がん征圧月間でありまして、さまざまな取り組みもあるのですが、こうした中で、今月26日、月曜日から、福井県がん検診受診勧奨センターを開設します。これは、年齢によるがん発症状況と受診率の向上が重要であることに着目し、働き盛りの50代の男女、40代の女性、これは乳がんの影響がありますが、電話で受診をしてくださいという勧奨を行います。これによって、かなり受診率が上がるものと思います。
福井県のがん検診受診率は増加はしておりますが、全国ではいろんな統計があり、中位レベルにとどまっておりますので、看護師等の専門職員が直接電話をして勧奨すると同時に、その周辺のいろんな情報や健康指導なども、電話の中である程度できることになるのではないかと思います。
さらに、今月1日からは、会社・事業所などにおける子宮がん、乳がんの出前検診の受付も開始しているところです。
なお、県立病院における陽子線がん治療事業ですが、9月第1週の状況で、治療決定が63人です。うち治療を終了した方が39名という状況になっています。
最後に、そばについてです。これから、そばの季節になりますが、9月28日から10月1日までの4日間、福井県のそば、自然薯の栽培や製法を研究するため、台中市政府の農業局副局長の張さんを団長とする使節団が来県されるということです。ちなみに、台中市は人口265万人。農産物は、米、小麦、リンゴ、洋梨、柿、ライチ、さつまいも、野菜などだそうです。
福井県は、台中市内の高級スーパー裕毛屋において、これまで4回の物産展を開いておりますが、台中市政府では、そばと自然薯を台中市の新しい特産農産物に育てたいという意向を持っており、福井県が日本有数のそばの産地であるとともに、自然薯の生産も盛んだということで、研究をしたいということです。
来県時には、農業試験場、食品加工研究所場の研究施設、栽培現場、農産物直売所なども見ていただくことになると思います。
~ 質疑応答 ~
【記者】
今回の補正予算編成に当たり、特に重視された点はどういうところでしょうか。
【知事】
今、申し上げましたように、緊急的なものとして、津波とかモニタリングポストなどの災害対応です。急がないといけないものです。それから、5月の大雨による災害で壊れているようなところの応急防災、さらに、これから冬にかけての雪に対する融雪装置の整備などです。そういう災害、長期の防災の予算が1つあります。
それから、教育関係です。幼児教育、英語教育あるいはサイエンス教育などの充実です。これは、ゆっくりやっていますと、どんどん遅れますから、もっとスピードを上げるという教育政策の迅速化、充実のための予算で、これが1つのタイプとしてあります。そして、冒頭申し上げましたように、観光などの経済的な対策が柱としてあります。
【記者】
補正予算の津波対策事業について、本来は国でされる必要がある事業だとおっしゃいましたが、これは、国の検討状況を待っているよりも早くすべきだということで予算化されたと理解してよろしいですか。
【知事】
そうですね。国がすべきという筋論は一方でありますが、みずから準備をしておかないと防災計画などをつくる際にも役に立ちません。国が遅れてつくったとしても、自分たちが、あるものをある程度つくっていないと、それのどこが役に立つとか、あるいはこういう応用をしたらよいということがわかりにくいと思います。今の段階で、震災から半年たちましたから、やりたいということです。
なお、問題なのは、いろんな情報が十分出ていませんので、不完全な情報の中でやらざるを得ないということです。
【記者】
国の方で新たな知見が出てきた場合には、県でつくったものと比較するなり、良いところは取り入れるなりして、充実したものにするということですか。
【知事】
科学的な問題ですから地域ですごく違うタイプのものが出るとも思いませんが、しかし、国が全体的にやりますと、また違う見解が出るかもしれません。局地的なものは、また調査の仕方によって、いろんな違いが出ると思います。かなり差はあると思いますが、そういう中でやらざるを得ないだろうと思います。
【記者】
事業者もこれから過去の津波の痕跡の調査をするということですけれども、その結果も県の防災計画の参考にされるのですか。
【知事】
本当はもう少し詰めて、ある程度脈絡をとってやるとよいのでしょうが、それぞれの立場でやられますし、また、過去の歴史的な調査については、福井県でつくりました福島事故の検証会議でもそういう指摘を大学の先生から出しておられましたから、それを受けて電力事業者がやっております。それはある程度脈絡がとれていると思いますので大いに参考にするということになると思います。
いずれにしても、津波は、地質的な調査と歴史考古学といいますか地震考古学との、理系・文系の両方から攻めていくことが、今の限られたやり方だと思います。
【記者】
予算に関して2点おたずねします。まず、県民会館の撤去費用に関して、県民会館跡地利用は検討中とのようですが、市内中心部でもあり、どのような有効活用が望ましいとお考えですか。次に、福井空港関連用地の売却に関して、取得時2億円のものが売却して4,400万円と実質1.6億円の欠損が出るわけですが、土地の値下がりがあるとはいえ、公金が欠損の状況を招くことに対して、改めて県民にどのように説明をしたいかおたずねします。
【知事】
県民会館については、上部構造物を撤去した跡地は、中央公園なり、あるいは県都改造といいますか、そうした中で福井市とよく協議しながら進める必要があると思います。かなり広域的な中で歴史的なものも考える必要がありますし、下に御座所というのでしょうか、その跡がどの程度残っているかとか、いろんな調査もしながら、あの場所にふさわしい整備の仕方になるのだと思います。今すぐに予定があるというわけではありませんが、これもあまり間を置くことなく、次の作業に進む必要があると思います。
空港関連用地については、法手続が整いましたので、予算計上しています。土地開発公社や住宅供給公社の土地は、水力発電の売却とかの財源を当てるなど、いろんな工夫でやっております。これは基金で持っていたものでしたので、その基金を取り崩すやり方になっています。もちろんこれ自身について、当時の見通しとかいうものはありますけれども、やはり日本経済全体がこういう中で、かつ、空港が残念なことに整備ができませんでした、そういう中のことですから、やむを得ないというふうに思っている状況です。いずれにしても、適正な値段で売却して、県民の皆さんにご理解願いたいと思います。
【記者】
嶺南地域の観光客が著しく減っているのですが、どこに理由があるのか、どうお考えなのか伺います。また、外国人観光客については、どういったところに理由があるのか伺います。
【知事】
四半期ごとに関係団体が集まり、なぜ観光客が、この地域でその期間に増減したのかということをしております。そういう中で検証が要ると思いますので、あまり憶測を交えるわけにはいきませんけれども、いろんな高速交通体系の影響もあったと思いますし、東北地方の災害があり、全体に旅行控えというものも影響したのだと思います。しかし、ここであまり想像で言ってもいけませんから、具体的な数字を全部もっと取り出して調査をして、また発表させていただきたい。これは民間団体と一緒になってやるということになると思います。
【記者】
鉢呂経済産業大臣が福島での発言がもとで辞任したことについて、どのようにお考えですか。
【知事】
新しい内閣で腰を落ちつけて真剣に福島の問題に取り組んでいただいて、しかし仕事はスピーディーにやっていただきたいと期待をしているところですが、こうした中で、残念なことだと思います。ぜひ体制を整えて、内閣として全力で福島あるいは東北の人の期待にこたえてほしい。また、原発のことでいいますと、それが全国の立地地域に、いろんな影響があるわけですから、しっかり腹を入れてやってほしいと思うのです。
【記者】
発言内容については、どのように思われますか。
【知事】
言いようがないですね。
【記者】
原子力発電所について、総理も経済産業大臣も、将来的には無くしたいとか、新増設は難しいとの趣旨の発言をしていたと思います。県内では、敦賀3、4号機や美浜のリプレースにも影響を及ぼしてくると思いますが、考えを聞かせください。
【知事】
先ほどのご質問とも関係しますが、全体にこうした問題について、全体把握をして、そして個別の議論もありますけれども、さまざまこれを議論する組織というのがあり、議論しているわけですから、そうした議論を十分進めていくというのが極めて重要です。あまり丁寧な議論をしないまま、さまざまなコメントといいますか、感想というのでしょうか、こういう議論というのは、日本のエネルギー政策にも影響するし、立地地域に無用の混乱と不安を与えるわけですから、これ自身、遺憾な状態だと思います。ぜひそういうことをやめていただいて、しっかりした議論を進めてほしいと思います。
【記者】
高速増殖炉「もんじゅ」について伺います。中川正春文部科学大臣から、9月2日の記者会見で、存続については政治判断になるというような言葉がありましたが、それについての考えを伺います。また、7月に中国で高速炉が稼働し始め、世界各国の高速炉研究に関しては、まだ続行しているという状況ですが、国のそういった発言、またその状況を踏まえて、どういう考えをお持ちか伺います。
【知事】
「もんじゅ」などにつきましては、使用済み燃料の再処理とか、あるいはプルサーマル、さらには高速増殖炉の研究開発自体の問題が、さまざま関連いたします。そして、これは国家の基本政策であり、福島の事故を踏まえての安全の問題もあります。それから技術的な課題、経済性そして海外の動向などがあります。慎重に検討する必要があるわけです。
既にこれについては、8月末でしたか、原子力委員会が原子力政策の大綱についての議論を始めようということです。そのほかにも、エネルギー政策については、原子力政策大綱の見直しは1年以内を目途に行うということのようですし、エネルギー基本計画については、来年半ばをめどに、総合エネルギー調査会で審議を開始しようということです。革新的エネルギー・環境戦略会議というのですか、それについても何か取りまとめようということでありますから、そういうものを脈絡をつけて、しっかり方針を出すべき議論だと思っております。
いずれにしても、「もんじゅ」の見直しは、純国産のエネルギーの確保という、これまでの長い間の努力と国家の長期的戦略をどうするかにかかわりますので、十分議論をして共通の認識のもとで、政治的な、また行政ももちろん関係すると思いますが、判断をすべきだと思います。中川文部科学大臣は、先般の「もんじゅ」の再稼働というのでしょうか、そのときの直接ご担当であり、よく事情はご存じでしょうから、じっくり落ちついた腰を入れた議論がしていただけるものと期待します。
【記者】
経済産業大臣が枝野さんに内定したという報道があったようです。枝野さんへの印象や期待について伺います。
【知事】
あまり感想ばかり申し上げてもいけないのですが、直接、官房長官のお立場で今回の福島などの事故について、いろんな情報も集約して対応しておられたのでしょうから、エネルギー政策について、それこそ真剣かつ中身のある詰めをしていただいて、早く我々福井県が要請している項目などについて、いまだかつて福島の事故についての知見なり、問題がどうなっていて、どう反映するかという、今わかる範囲でも結構なのですが、それが出ていませんから、それをぜひとも明らかにして全国の立地地域あるいはまた関連地域の安心と信頼にこたえてほしいと思います。
【記者】
福井駅西口再開発問題について伺います。これまで県は福井市を応援すると言ってきました。今回、NHK誘致を断念するという形になり、新しい案が示されましたが、今後、県としては、どのように支援し、どのような形で西口再開発ビルにかかわっていくのでしょうか。
【知事】
地権者との議論もまだ十分詰めきっていないようなところもあるでしょうし、福井市として、市議会とこれから議論もあると思いますから、市のプロジェクト自体としての調整も必要だという段階だと思います。
それで我々としては、1年前のプロジェクトの形で応援ができるかということで、いろんな調整もし、議会のご議論も煩わせたわけでありますけれども、中身がかなり違いますから、いま一度、現状の案でどうなのかということがあると思います。いずれにしても、応援するという気持ちは変わりませんが、なお、市の対応をもう少し深めないといけないだろうという状況かと思います。
【記者】
前内閣末期から、内閣の原子力に関する発言が非常に安定しないというか、いろんな発言が出ては消えていく状況で、新内閣で仕切り直しという状態の中、経産大臣が1週間を待たずして辞めざるを得ない状況になったことについて、どのような思いですか。
【知事】
遺憾な状態ということです。新しい体制でやろうとスタートした段階で、こういう事態になっているわけで、心を定めてやってもらわないとと思います。
【記者】
新しい内閣にかわり、原子力の再稼働について、県の要請する内容は変化するのでしょうか、それとも今のところは変わらないのでしょうか。
【知事】
基本的には変わらないです。
【記者】
コウノトリについて伺います。まず、当初想定していた今秋のオスとメスの幼鳥のつがいによる放鳥は、ほかのやり方も含めて、今年内に行われることなく来年以降に延期になったのでしょうか、また、来年以降、どのような時期、どのようなやり方で放鳥事業に臨むのか、見通しについて現時点での考えをお聞かせください。
【知事】
コウノトリについては、残念ながら、今年兵庫県で生まれたヒナの数が極めて少ないということと、2羽生まれたのですが2羽とも雌雄が別でなかったということですから、当初計画どおりの今秋の放鳥は困難だということです。生き物のことですから、かなり息の長い議論が必要だと思いますので、兵庫県の井戸知事とも電話をしたり、あるいはお会いする機会が最近ありましたので、兵庫県の考えも十分明らかにしてもらうようにやっております。越前市の受入も状況が少し変わると思います。特にコウノトリのえさ場とか、期間が長くなりますと、それだけ粘り強く地域の盛り上げというのが必要です。そういうことに十分対応して、この問題は放鳥計画を大体決めた上で、福井県のコウノトリの定着推進会議を早い段階で開きたいと思います。
【記者】
コウノトリを野外に放すということは、来年以降だと考えておけばよろしいですか。
【知事】
そういうことになると思います。
【記者】
9月に、電力事業者がストレステストの1次評価を一部出すことになり、改めてですが、知事の再稼働の判断材料というのは、どういうことを今後予定しているのでしょうか。
【知事】
もう一回、事柄を整理して要請をしようと思っているのです。基本的にベースは共通だと思いますが、その中で中身を明らかにしていく。
【記者】
要請は大臣ですか。それは、いつごろを考えているのでしょうか。
【知事】
大臣へ、できるだけ早くしたいと思っています。
【記者】
今月中にもですか。
【知事】
早くと思っており、今週とか来週ぐらいにと思っていたのですが、先方のご予定もあるでしょう。事柄を整理した上で明らかにして、そのときにはお示ししたいと思います。そんなに基本的な中身は、お返事はまだないですから変わるものではないと思います。
ただ、福島が半年経過して、いろんな情報も出ているような気はしますが、何かあまり変わらないような状況です。昨日公表されたIAEAに対する追加報告も、そんなに大きく変わっていないところもありますから、もう少し中身をはっきりしてほしいとは思っております。
【記者】
国への要請の中で、ストレステストの位置づけと、これまで知事が求めていた暫定的な安全基準についての考えは、変わりないという認識でよろしいですか。
【知事】
基本的に、ストレステストの中身は変わっているようには思えませんから、ストレステストに対する考え方は変わっていないように思います。
【記者】
それは再開の条件にはならないのですか。
【知事】
それも1つの手段かもしれませんが、それだけでは十分でないかなと思っています。
【記者】
暫定的な安全基準というのはどうなのでしょうか。
【知事】
それは国が出すべきものです。
【記者】
それは再開には必要だと。
【知事】
そうですね。
【記者】
北陸新幹線について伺います。整備に前向きな石川県出身の奥田議員が国土交通副大臣に就かれましたが、こうした新しい体制をどのようにご覧になっていますか。また、今後、関西との連携を、どのように進めていかれるのでしょうか。
【知事】
北陸新幹線につきましては、今回の東日本大震災などを考えますと、日本の新しい国土軸、高速交通体系を中心にした国土軸の再構築が極めて重要であり、これはかなり国民的な共通コンセンサスを得ていると思います。政治家の皆さんもそのようなお考えだと思いますので、そういう背景のもと全体の動きというのは出てきていると思います。
今回、関係します政治家の皆さんのそれぞれのポストにおられるお立場も、条件としては悪くないと思っております。先週要請等を行ったときに、皆さん熱意を持って言っておられますから期待をしているということです。
関西については、まず敦賀までの決着が必要だということは、関西広域連合の井戸さんをはじめ、あるいは関経連等々思っておられるようですから、その中で、関西からも新幹線を引っ張る、迎えるといいましょうか、そういう機運ですから、まず敦賀までの決着をぜひとも図るという考えで臨んでいきたいと思っています。
【記者】
福井駅西口問題に関して伺います。まず、福井市から県に対して、公式にはいろいろ申し入れがありますが、県は、市がどのような支援を望んでいると考えているのでしょうか。また、県も市も、時には地権者の問題、民間ベースの話だと言い、時には、一義的には市がこの問題の解決者であると言い、一方、多額の公金が補助金で国からおりる関係で県の意向も相当程度あると聞きます。
三すくみの状況で、どこも責任をとろうとしないようにも思えるのですが、知事は、どのようにこの問題を収れんしていくことが望ましいとお考えなのか、今の認識を伺います。
【知事】
それぞれ立場が違うのです。あの事業は、法的に福井市が責任を持つ事業です。地権者は、具体的に経済的に事業を進める立場で、福井市と用地の決定やプロジェクトの決定をする。福井県はそれを県の立場で、県都であるがゆえに、県下全体の市町や県民の支持も得ながら応援をする。どの程度の応援をするかを考えていく立場になります。それで、昨年末には、あのような形であれば、県として応援ができるだろうということを決めたわけです。県議会も従来にはない方法で一緒に議論をしました。しかし、残念ながらそれがうまくいかなかったわけですから、これは実施主体である福井市を中心に、もう一度しっかりした方針を出すべきだということであって、責任がどっちにあるとかないとかいう議論ではないと思います。
【記者】
現状の案については、いま一度議論が必要なのかもしれませんが、それはそれで1つの案だとお考えですか。
【知事】
そういう案が出ているのですから1つの案だとは思いますが、昨年とはスケールや考え方が随分違いますから、もう少し詰めないといけないと思います。
【記者】
この再開発については、高い構造物をつくって収益を上げるという発想があるのですが、時代環境も土地の値段も変わっている中、国のまちづくりの考え方もあると思いますが、マンションであったり、いろんな事務所なり、人が入ることで収益を上げるという従来の発想に対しては、どのようにお考えですか。
【知事】
いろんな考えがあると思いますが、福井市が、まず自分がやる仕事ですから、自分で考えるべきことだと思います。
【記者】
まず市が考えることだと。
【知事】
市が考える前に、あれこれいう話ではないと思います。いろんなデザインとかアイデアとかが、ないというわけではありませんが、やはり、みんなでやる事柄ですし、みんながうんと言わないとできない事柄でしょう。かつお金も要るわけです。難しい事業なのです。東京や大阪だったら、民間のパワーがありますからそんなに議論しなくて、できてしまうでしょう。それが地方都市の場合は、なかなかできないということだと思います。
【記者】
原子力安全庁の関係で伺います。ストレステストの結果が9月中に出て、知事は、それだけでは再稼働はどうかということだとは思いますが、IAEAが外部からも評価するというようなことを言っています。原子力安全保安院がするという現在の枠組みの中で評価されたもので、再稼働をするということは受け入れられるのでしょうか。安全庁の発足を待つべきだとお考えでしょうか。
【知事】
中身によりますね。
【記者】
IAEAが評価するという、そういう外から何かいきなり出てきた、そのことについては、いかがでしょうか。
【知事】
そういう考えもあるかもしれないけれど、やはり福島県の事柄をはっきりとらえて、それを反映させないと全国の皆さんは納得をしない部分があるのではないかと申し上げているのです。それはIAEAとかストレステストそのものでうまく解決できればよいけれども、どうもそうではないように見えますということなのです。
【記者】
教育に関して伺います。2学期の中学校理科で放射線の取り扱いがあると思います。本県の子どもたちへの放射線教育については、どのようにお考えですか。
【知事】
これまで、放射線というか環境の教育をいかに進めるかということを、さまざまやってきて教材などもつくっているわけです。それをいかに教育の現場で実効的に教えられるかということかと思います。福井県は比較的進んでいると思いますし、美浜町では、放射線や環境などの教育もやりたいという動きも特にあったわけです。今回の福島の事故などを踏まえると、やはり科学的な理解、知識をもとに、みんなが判断することが大事ですから、より充実する必要があると思っています。これは国の教科書とかいろんな教材にもかかわると思います。
―― 了 ――
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