知事記者会見の概要(平成23年12月27日(火))
平成23年12月27日(火曜日)
10:30~11:30
県庁 特別会議室
【知事】
おはようございます。何もなければ今年最後の記者会見ということになります。
今年は東日本大震災や福島原発事故などが発生して、いろんな意味でのグローバルな時代の中で、我が日本の経済、社会全体にいろんな影響を与えた試練の年だったと思います。福井県では、こうした経験を教訓にして、他県の知事とも連携しながら、新しい国土政策あるいは安全の確保、また、国土の基盤整備の実現などについて、さまざまな方面に働きかけをしてきたわけです。その結果、北陸新幹線の県内着工認可が決まり、また、中部縦貫自動車道が新規事業化として採択をされるなど、日本海側における新しい国土軸形成、また、今後の県政飛躍の基盤についての方向性が出た年ではないかと思います。
また、原子力発電所の安全確保については、引き続き、今、全力でさまざまな問題に取り組んでおりますが、県民の安全安心を第一に進めながら、福島のような事故を起こさせないのだという覚悟を持って引き続き対応をしてまいりたいと思っております。
それでは幾つかの点について申し上げたいと思います。この1年間の話ということになると思います。
1つは、若干申し上げましたが、皆さんのご協力によりまして、北陸新幹線につきましては、県内の着工認可が決まったところです。県内一丸となって、県議会、経済界、そしてこれは国家プロジェクトですから、国、国会議員の皆さんをはじめ、気持ちを一つにしながら厳しい環境の中で訴えてきた運動の成果でありまして、長い間の懸案がこれによって方向が出たと思っております。
本県がこれまで強く訴えてきた日本海国土軸の主張が基本的な方向づけのベースになっていたのだと思います。東京そして大阪の二大都市圏を結ぶ交通体系、日本海側の国土軸の道筋というのがはっきりしてきたわけですので、ぜひともこの事業を優先してこれから進めていくべきだと考えます。
また同時に、地方がみずからによる、福井県としてのそれぞれの都市のまちづくり、それから積極的に企業を誘致し、あるいは観光など来客、人の交流を強化していくということを新しい基盤の完成を考えながら進めていくということであり、新しい段階に達していると思いますので、これまで以上にいろんなこともできますし、考え方も思い切って具体化ができるのかなと思っております。
今日は年末に近いですが、新しい年に向けて、そういう心構えで皆さんと協力しながら進めてまいりたいとの気持ちを抱いているところです。
中部縦貫自動車道につきましては、和泉・油坂間について、政府予算案で新規事業化の箇所として盛り込まれ来年度から事業着手が確実になるわけです。県内の全線整備に向けて大きく前進をします。これもこうした高速道路の時代にとって、中部圏あるいは関東とを結ぶ基幹道路になるわけですので、2年後の舞鶴若狭自動車道の完成と相まって、福井県の基本的な高速道路体系がこれで大体のめどがついたと思います。あとは着実に、この事業を一年一年、そして一日でも、あるいは一年でも早く進めるという段階に至ったと思っているところであり、この点についても、全力でこれからも取り組んでまいりたいと思います。
なお、2年後の平成26年度には、北陸新幹線の金沢開業、そして今申し上げました舞鶴若狭自動車道の全線開通が控えているわけです。本県にとって、平成26年が新交通ネットワーク整備の1つの節目ですので、首都圏、関西、中京など都市圏との間での人や物の流れが拡大するわけですし、嶺南、嶺北の一体化、また、北陸全体、石川県などとの連携など、いろんなプロジェクトを進めるチャンスという条件が整ってきたわけです。金沢開業などにつきましても、県内延伸が今回出ましたので、ある程度の見通しを持ってこの問題にも取り組むことができますから、福井の活力をいかに出していくかというのが重要な課題になると思います。
今年2月にプロジェクトチームを設けています。効果といろんな懸念材料を率直に客観的に整理した上で、この問題に当たっていくということです。県や市町、民間団体等が問題意識あるいは方向性を共通にしながら、それぞれ協力し、また独自性も発揮していこうということになると思いますので、来年度からこの具体化に向けて速やかに対策を実施することになると思います。
2つ目の話題ですが、今年は、本県のさまざまな事業や成果が全国からも注目が集まった年ではなかったかと思います。
代表的なものとしては、11月に全国の都道府県の「幸福度」の研究結果の発表で、福井県が全国第1位となりました。これは安定した雇用やこれを生み出す企業の活動、あるいは子育て、医療、教育、健康の政策などの成果が評価された結果ではないかと思います。最初に申し上げましたインフラの整備がこれから進んでいくと思いますので、達成した福井県のこうした成果を、さらにプラスの方向に伸ばしていくことを全力で進めていくことが重要だと思います。
それから、円高とか産業構造が大きく変化する中で、今年は、「ふるさと企業育成ファンド」を造成するとともに、上海に「ふくい上海ビジネスサポートセンター」も開設し、アジアに向けた政策を進めるスタートの年になったわけです。年が明けますと、さらに広くアジア、また、さまざまな海外への展開をより積極的に進めることができると思います。
これまで新幹線とかさまざまな課題がございましたので、十分、そういう方面へのエネルギーをもっと注げる余地が出てくるのではないかと思います。
また、TPPなどの問題がありますが、農業問題では、今年は新しいポストこしひかりの開発に着手しておりまして、平成25年春までには20万種類ぐらいのいろんな苗の中から2000種類ぐらい、100分の1にまで集約し、あと数年かけてコシヒカリを超える新しい品種を開発するということになると思います。
医療については、陽子線がん治療が今年スタートしました。12月21日現在、治療を決定した利用者の数は102人です。年度末までに、目標は110人ですので、大体目標を達成しながら、初年度の陽子線がん治療のプロジェクトについては実行ができると思っております。
なお、4月に設置した福井県こども急患センターは、夜間休日、毎日診療を行っていますが、12月21日現在、7,313人の利用者があります。1日平均30人ということですので、開設前の想定を上回る状況になっています。
次に、スポーツ、国体に向けた準備です。今年は県民の皆さんの活躍があり、バトミントンあるいはプロのボクシングですとか、世界的あるいは全国的にいろんな選手に活躍していただきました。そして、平成30年の第73回の国体に向けて準備が始まっています。開催される48種目のうち、既に約3分の2を年末までに決定しました。残る3分の1については3月までに選定を行いたいということで、いよいよ来年は国体の具体化が行われる年になると思っています。競技力向上については、9月に福井県競技力向上対策本部を設けました。国体で活躍が期待できる子どもたちを「チームふくい」強化指定選手に認定し、優秀なコーチによる継続した指導を行う強化事業を開始しているところです。
今年の話題としては、幸せにも多少関係しますが、兵庫県からコウノトリのつがいの親鳥を12月10日に越前市に受け入れをしました。もう20日ぐらいたっておりますが、今のところ順調に生活をしているという状況です。これから繁殖期に入ると思いますので、温かく見守ってほしいと思います。
以上が今年の主なお話です。
来年のことは来年話さないといけませんが、とりあえず来年にかかわる話を数点申し上げます。
まず、国際宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」において行われる宇宙実験に、県立大学の研究テーマが採択をされております。JAXA(宇宙航空研究開発機構)と県大の共同研究として、来年1月下旬から3月中旬まで実施されます。実験は、木元久准教授などが見出した酵素を使って、宇宙空間という微重力環境、重力のほとんどない環境において、高品質のタンパク質の結晶をつくろうというプロジェクトです。今日、午後1時から県立大学で、下谷学長も出席して、実験の仕方などについての説明をする予定ですので、取材などもしていただきたいと思います。
それから来年は辰年でありまして、恐竜博物館が開館して初めての辰年の新年を迎えます。干支を迎えるということなので、辰年生まれの方は入館料無料とするキャンペーンを始めたほか、新春特別展、年賀状送付による恐竜グッズプレゼントを実施しアピールしてまいりたいと思います。恐竜博物館は1月3日から開館しますので、また来年もよい成果が出るようにしたいと思います。
大河ドラマ「江」は既に終了していますが、北の庄城址あるいは敦賀・金崎宮、小浜・常高寺などで、観光客が増えているという状況ですし、北の庄城址、常高寺あるいはお市の方と勝家の菩提寺である西光寺なども歴史的な土地柄として放映をされています。
そして、来年の大河ドラマは「平清盛」ということですが、源平の合戦といいましょうか、勢力争いが100年近くにわたるわけですが、多くの平家の一族が、越前守になっており、非常に縁の深いところです。名前がたくさんあり混乱するのですが、平清盛のお父さんの忠盛、子どもの基盛、おいの保盛、孫の資盛、こういう方はみんな越前守ということであり、縁が深いわけです。
大河ドラマに、一昨年の「龍馬伝」から3年連続して関わりの深い福井県ですので、幕末、戦国、源平とPRをしてまいりたいと思っております。
また、越前国は、大宝律令によって全国に約70設けられた国の中で、最上位の「大国」の1つです。大国、上国、中国、下国と4等級あるのですが、そのうちの大国の1つであり、当時の生産量が非常に高かったのではないかなと思っております。
特に、お父さんの平忠盛が越前守に補任されている際ですが、資料によりますと、越前国には敦賀港があり、宋の船のもたらした文物がいろいろ流入してくるということで、宋との貿易に関心を抱いたきっかけになっているように、本に書いてあるわけです。くしくも来年、敦賀港は、「欧亜国際連絡列車運行100周年」、「敦賀-ウラジオストク定期航路開設110周年」、「敦賀-長浜間鉄道開通130周年」という年ですので、いろんな意味で海の拠点、敦賀が注目されるかと思っているところです。
もう1つだけ申し上げますが、越前市に「城福寺」というお寺があります。これは平清盛の弟である平頼盛の廟所として有名です。平治の乱の後、源頼朝が清盛に斬罪になろうとしたところ、頼盛の母の池禅尼が命ごいをしたことにより伊豆に流罪となり、その結果、鎌倉幕府ができたという由縁のお寺で、桜とか、柊の大木、有名な花があるようなところであり、観光地として皆さんに知っていただけるのではないかと思っているところです。
私からは以上です。
~ 質 疑 応 答 ~
【記者】
昨日、談話もありましたが、一夜明けまして、北陸新幹線の県内延伸についての知事の率直なご感想をもう一度お聞かせください。
【知事】
これから具体的プロジェクトとして進めなければなりません。もちろん国家プロジェクトであり国と協力しながら気持ちを統一して、まだ正式に認可を得ているわけではありませんが、できるだけ早く、できれば年度内にも確保して事業化につなげていくということかと思います。なお、その際、もう既に始めておりますが、各地域が企業誘致や観光やまちづくりなど、新幹線の完成、またその途中の話になりますが金沢までの開業に向けて、人の交流とか企業の移入ということをしっかり進めていくということが大事だと思っています。いずれにしても、多くの皆さんのご協力を得て、いろんなことがありましたが、方向が出ましたので、これをベースに新しい段階のプロジェクトを進めるということです。
なお、新幹線については大きな事業であり、その必要性、これからの役立て方、日本全体への影響ということについて、決まったがゆえに、今後、有効に利用でき、事業が進むよう、我々としてもPRをもっと十分な理解を求めて進めてまいりたいと思います。
【記者】
自民党政権時に、おおむね10年と言っていた新幹線の工期が、昨日の国土交通大臣の言い方だと10年強と基本的に工期が延びていること、また政権交代後2年ほど空白が生じても延びていると思うのですが、こういう事態に対してどのようにお考えですか。また、工期短縮を国に求めていく予定はありますか。
【知事】
これは意思決定機関が国でありまして、途中、政権交代などもあり、スムーズに自民党時代の考え方が民主党政権に引き継がれたわけではない部分があると思います。その間、少なくとも2年ぐらいそういう課題があったと思います。しかし、厳しい災害などもあったこの環境の中で、認可決定がなされることが重要ですから、あとはその中で財源なり、あるいはこれから詰めていくのでしょうが、工事全体の工程とか物理的な工夫、こういうものを両にらみで事業が優先して進められる、特に、北陸新幹線は3線の中でも極めて重要なルートだと思いますので、もちろん優劣があるというわけではありませんけれども、我々はそのように思っておりますので、そういうことを訴えていくことになると思います。
【記者】
首相が不退転の決意で増税すると言っている中で、例えば、八ツ場ダムあるいは整備新幹線3線着工といった予算がついていることに対して、地元以外の他府県では、どうしてこの予算がついているのか疑問を抱かれる方も決して少なくないと思います。知事は先ほど、重要性あるいは国への影響をもっと理解を求めることをしていきたいとおっしゃいましたが考えを教えてください。
【知事】
冒頭申し上げましたが、日本の国土構想といいますか、国土軸の完成というのがより上位の観念といいますか大事なことです。大都市あるいは太平洋の地域では既にそれが完成し、何十年にもわたって運用されているわけです。そして新しいリニアとか、いろんなことも出はじめているわけですから、その中で、こうしたいわゆるミッシングリンクというのを結ぶことこそ将来の税収増にもつながるといいますか、もちろん消費税とかいろんな課題がありますけれども、国力を増強しないと税源は涵養されませんので、そこは前向きな明るい話題として、政治上、ぜひともなすべき課題だという判断をされたのだと思いますし、それは我々が主張してきたことであり同感なのです。
【記者】
昨日の決定を受けて、改めて敦賀以西のルートはどのように考えているのでしょうか。
【知事】
北陸新幹線は、幹線として極めて重要であり、敦賀までの大体の方向性が出たということになると、むしろ福井だけの関心ではなくて、北陸地方、石川県や富山県についても大阪方面に向かうということは、富山の場合ですと1時間近くの短縮効果になるわけですから、具体的な関心をさらに皆さんが持つ状況になったと思います。敦賀まで決定したということは、敦賀までを急がないといけませんが、さらに、関西地域についても、みずからの問題として課題が提示されたといいますか、今回、敦賀までの決定についても、関西のほうから積極的に呼び込むのだという、いろんな運動もしていただきましたが、さらにそれを具体的な関心として議論していただく時期でありますので、まだ認可を得ていませんが、得た上でそういう議論が進んでいくのではないかと思います。
【記者】
ルート問題については、どういうふうにお考えですか。
【知事】
それはまだ、認可を受けてからですね。
【記者】
北陸新幹線は昭和48年の田中内閣時代の決定から曲折を経た事業で、福井県政をみても歴代知事3代、西川知事3期目に入った中での県内延伸の方針決定ですが、改めてこれまでの運動の総括も含め、県政の歴史上の重みとして、どのような感慨をお持ちでしょうか。
【知事】
新幹線については、もともと金沢・敦賀だけの事業ではありません。東京から大阪、あるいは東京から札幌、さらには東京、大阪、福岡、長崎まであるほんとうに大きなプロジェクトでありましたから、事業の前後関係が出てきます。そして残念なことではありますが北陸新幹線というのはその全体のプロジェクトの後半の部分に位置しておりましたから、そういう中での決定です。しかも何兆円とかいう大きな事業ですので、その間の政治環境や経済環境がありますので、早いに越したことはないのですけれども、こういう時期になりましたし、かつ、今回、こういう中で決まったということは非常に歴史的にも意味があるかと私は思います。
【記者】
来年、認可が早期に得られた場合、事業を早目に進めるという意味で、新幹線建設推進課以外に土木部等も含めた機構改革や、新たなまちづくりも含めたいろいろな計画の推進を、新年度以降どのようにお考えか、構想をお聞かせください。
【知事】
局面が変わりますので、具体的な要請よりも、工程を監理したり、いかに現場で事業を進めるか、用地の買収があったり他の工事との調整というのがありますので、体制を変えていく必要があると思います。これは新年度に向けて行うことになると思います。
認可を受けないといけませんので4月以降になると思います。
【記者】
並行在来線の問題で、運賃の値上がりなどを心配する県民への理解は、どのようにお考えですか。
【知事】
基本的な筋道はできていますが、具体的に認可決定した段階で、さらに具体的なご相談を市や町あるいは皆さんと進めていくことだと思います。これは富山県でも石川県でも行われていることでして、福井県として、そういう先行例もありますから、十分参考にしながら円滑に進めていくということになると思います。
【記者】
昨日、福島原発事故を受けて設置された事故調査・検証委員会が中間報告を出し、発生後の対応のまずさ、保安院の情報収集の甘さ等々いろんな指摘が出ていますが、どのような感想をお持ちですか。
【知事】
今回のものは中間報告でして、詳しく中身を見る必要がありますが、今日の午後、福井県からも要請をしたのですが、全国の原発立地の道県に対し、報告書の具体的な説明会を東京で行う予定です。個別にやってもいいのですが、ばらばらにやっていると非効率ですし意見の集約がしにくいかもしれませんので、東京でやるということです。具体的に話を聞かないと正確な議論ができないのでやるのですが、いろんな報道や理解した段階での話になってしまうのですが、いろんな大事なことを中間報告の段階ですけれども、指摘しておられるように思います。それは、電力事業者について、いろんないざというときの危機管理の体制、その運用、その前提としての心構えといいますか、こういうものについて、さまざま問題があったということを言っているわけです。これは10月中旬頃に、福井県として関西電力に対し、いろんなソフト対策等を申し上げているのと関心を同じくしているわけでありまして、電力事業者に既に言っているわけですが、軌を一にしておりますので、ここをしっかりさらに押さえていくということになると思います。11月末に、一応、報告は関西電力等電力3事業者からいただいていますが、今回のそのことも含めまして、さらに対応を整えるということが大事だと思います。それが1つですね。そういう意味で、意味があると思います。
それからさらに指摘された事項の概括的な事柄としては、政府というのではなくて、国としての規制というのでしょうか、あるいは監視の立場からの国の体制が十分でないというところが、いろいろ指摘されているように思います。
それから、地元のチェックというのでしょうか、これも一種、地元としての監視なり安全確保の強化がこれまで以上に大事だと福井県は努力しておりますが、これはもっともっと大事だということでして、いずれにしても、こういう電力事業者の対応と、監視、安全確保を国あるいは地元が多重に行って原発の安全を確保することが重要だと感じました。そして、ハード面については、まだはっきりしないところがある。これは、今日おそらく、安全環境部長が申し上げることになると思います。
【記者】
これまで知事は、原発の安全について国に一元的な責任があるとおっしゃっているのですが、国自体に問題があると指摘が出ているということは、かなり原発の安全に対しての懸念、不安が高まることになると思いますが、この点についてどうお考えですか。
【知事】
これはそういうことより、国のいろんな規制体制については、原子力安全庁とかいうことも既に議論にありますし、具体的な技術者あるいは判断、こういう関係も出てくると思います。それ以上に課題なのは、阪神・淡路大震災でも同じですけれども、政府が先頭に立って初動体制の気構えとかアクションをいかに起こしていくかということが大事だということではないかと思います。今、復興については国が前面に立ってやっているようにうかがえますが、初動をやっていくということが強化されなければならないだろうと、これも永遠の課題でもありますが、今回の教訓でもありますから、これを強化していくことによって原子力の安全の強化が図れると思います。
【記者】
知事は再稼働の条件として、安全基準とおっしゃっていて、福島の知見を反映させ、特に地震の揺れによって影響が出たのか、ハード面あるいは高経年化がどのように影響したのかを明らかにすべきであると言われています。事故調がそれに携わってきたのだと思いますが、そういった内容は今回盛り込まれた中間報告にないと思いますが、どのように評価されているのでしょうか。
【知事】
今日の説明を聞かないと、わからない部分もあるのかもしれませんが、いずれにしても損傷の状況が津波の前に地震によってどのように行われたかということについては、見た限りでは、調査ではあまりはっきりしないところがあります。それをどのように畑村委員会で扱うのか扱わないのかという問題もありますし、一方で、国においてそうした問題について意見聴取会をいくつかやっていますので、その中で並行しておやりになるでしょうから、そういうものが今わかる範囲で一定の暫定的なことになるかもしれないけれども、今の段階でこういうことであるという判断を明らかにすることが条件になると思います。
【記者】
畑村委員会がやるかやらないかという問題はあると思いますが、今できたものについての評価はいかがですか。
【知事】
それをどうだという話をしてもらわないといけない。これはこう思うのだという判断を加えてくれないといけない。
【記者】
やらないといけないと思うという判断ですか。
【知事】
わからないのかあるいはわかっているというのか、ここまでわかっているという、そういう判断を加える立場が国としては大事なのです。それを畑村委員会がおやりになる委員会なのか、あるいは例の個別の意見聴取会はそのことを直接やられるような状況だとうかがいますが、両方を総合してやるのではないかと思います。
【記者】
この状態で、再稼働という話を向けられても判断はできるのでしょうか。
【知事】
畑村委員会がそのことを直接意図しているものではないと思いますから、それは畑村委員会ではなくて、政府が、政府として、こうであると言わないといけないです。
【記者】
つまり畑村委員会は事故調査されたけれども、ハード面については意見聴取会の方で検討されることを期待しているということですか。
【知事】
どちらかということではなくて、政府が発言する話です。畑村委員会はその一部でしょうね。
【記者】
もんじゅについて、文部科学省の藤木局長がみえて、来年度の政府予算案について説明されました。副知事が対応されましたが、知事は、今年度から比べて予算2割減という状況についてどう受けとめられたか、改めてお聞かせください。
【知事】
副知事からお話ししたとおりです。
【記者】
調整費の22億円だけではなくて、維持管理費の本体の方も大きく減らされましたが、安全確保について懸念はありませんか。
【知事】
要するに、もんじゅのメンテナスと安全確保に万が一のことがあってはいけないわけですから、そこははっきりわきまえてやってくれということを副知事から言っていると思いますし、将来の問題についてはできるだけ早く、例の核燃料サイクルとかいろんなことをやらないと原子力機構の質とかモラルにもかかわるわけですし、そのことは、もんじゅの安全にもかかわってくるし、原子力全体に影響するわけです。そこは強く副知事からお話を申し上げていると思います。
特に炉内の中継装置については、拙速はいけませんけれども、遅滞なく判断をして復旧といいますか、それをしないと、もんじゅの安全にかかわりますから、現場にいろいろ見には来ておられると思うけれども、そこをよくわからずに頭だけで考えるといけないということを副知事から申し上げたと思います。
【記者】
将来の問題について、今までの核燃料サイクルの意義を踏まえて議論してほしいというお話がありましたが、県としては、もんじゅの重要性はあり、しっかり残してほしいというとらえ方でよろしいのでしょうか。
【知事】
ほしいほしくないということではなくて、重要であるということが、核燃料サイクルの基本にあるということです。
【記者】
国会の仕分けで見直すべきだと。
【知事】
仕分けとかそういう枝葉末節なことで、核燃料サイクルの基本を議論するのが先ではないということも副知事から言っていると思います。
【記者】
原子力安全協定の関係ですが、昨日、関西電力が滋賀県と原子力安全協定を結ぶという方針を示したようですが率直な感想はいかがでしょうか。
【知事】
立地地域とその他の地域、それぞれ距離とかこれまでの歴史とかいろんな影響が違うと思いますけれども、安全のためにいろんな議論を進めていただくことはそれでいいことだと思いますので、十分な実態に合ったことをご議論願いたいと思っています。
【記者】
具体的な内容は明らかになっていませんが、滋賀県側としては、福井県と同様の、例えば停止中の原発の再稼働への承諾といったものも求めていく方針のようですが、福井県と同様のものを近隣県が求めていることについてはどうでしょうか。
【知事】
直接は聞いていませんが、前々から言っているように、地域によって違うということ、リスクとかこれまでの安全に対する努力とか歴史ですね。どこの地域がより責任を持って対応してきているかとか、いろんなことを考えた対応が要ると思います。
【記者】
確認ですが、協定の中身に立地県と周辺府県では違いがあってしかるべきだということでよろしいですか。
【知事】
そう思いませんか。
【記者】
私では決められないので、知事はどのようにお考えなのかと。
【知事】
私はそう思います。
【記者】
政府も原子力政策全体のいろいろな方向性をある程度示してきています。1月以降に国民に選択肢を示し、来年夏には全体の方向性を国として打ち出したいのだと思います。来年以降、原発再稼働を一方で議論しながら、核燃料サイクル、原発に関してどうするのかという全体の話も同時になってくると思うのですが、再稼働問題と原子力政策全体をどうするかを、どのように整理して考えるのか認識を伺います。
【知事】
前々から申し上げていますが、当面、中期的、長期的と安全面でも課題があります。すぐにできないこともありますが、方向性をはっきり、いつまでにこういう判断をするということをしながら、この問題に取り組んだと思っています。いずれにしても、核燃料サイクルといいますか、原子力政策これは自然再生エネルギーなどとも関係しますが、その大まかな方向性は早く出さなければいけないと思います。それが基本にあって、その次に安全面ですね。これは我々も今、定検中の原発の再稼働の前提にしておりますけれども、それを示す、そして、その上でいろんな避難の問題とかいろんな個別の話が出てくるのだと思っているのです。
【記者】
国の原子力政策の動きと再稼働の具体的な動きというのがリンクすると。
【知事】
優先度といいますか、あるいは優先手法がより下の段階のものが先に行ったりすると混乱しますし正しくないのです。そこをよく統制、指令をはっきりして、遅れることなくやるのが国民に対する義務だと思います。一方で、外国に対していろんなことを言っておられますし、アメリカとか韓国などでも原発の新設とかいろんな動きがありますので、全体をもって国がどうするのだということを早くやらないと、矛盾したようなことを言ったり、脈絡のないばらばらなことになります。これまでそういう傾向がちょっと強いですから、避けなければならないと思います。
【記者】
やはり原子力政策の基本的な考え方が最初にあるべきだということですか。
【知事】
そうなのですが、そういうことを念頭に置きながら、物事の早い遅いは多少ありますが、できるところからやっていくということではないか、その考えがないままにやるとおかしいと思います。
【記者】
事故調の問題に戻りますが、今回見られた範囲の中で、明らかにこういう視点が足りないとか、最終報告までにもっと詰めてほしいところがあれば伺えますか。
【知事】
今申し上げたレベルで理解していますので、今日また具体的に聞いた上でやりたいと思います。
【記者】
新幹線も防災という側面があると思うのですが、北陸新幹線の県内延伸や中部縦貫自動車道、防災道路にある程度予算がつくということが、原発の再稼働の判断に何か影響すると考えるのでしょうか。
【知事】
関係ないですね。事柄が違います。
【記者】
北陸新幹線の敦賀以西のルート問題についてですが、今まで、知事は国が決めることと一貫しておっしゃってきましたが、認可されることが決まり、敦賀以西ルートについてその認識は今も変わらないのかどうか。変わったとしたらどう変わったのか伺います。
【知事】
基本的にはそうですけれども、地元としてもいろんなことを申し上げないといけないとは思いますが、まだ今日の段階では、何とも申し上げようがありません。認可も得ていないですから認可を間違いなく早く確保するということが重要です。その先の話をいろいろ言っているとまた混乱するといけないとは思っています。
【記者】
ルート問題となると地域で利害が対立しますから、事務的に決められるマターではないと思います。政治家である知事が、ある種、利害調整みたいなものを、前面に出て取り組むのが必要だと思うのですけれども、そういう思いは持っていますか。
【知事】
もう福井だけの問題ではない部分がありますけれども、早く大阪に、東京-大阪間ですね、これをつなげていくのが重要だと思います。そのことによって初めて幹線としての国土軸の意味があると思います。
── 了 ──
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