知事記者会見の概要(平成24年2月22(水))

最終更新日 2009年9月16日ページID 016987

印刷
平成24年2月22日(水曜日)
10:30~12:00
県庁 特別会議室

 
知事会見①
 

【知事】
  今日は、平成24年度当初予算案について申し上げます。
  基本的には、予算案の概要に、マニフェストに従って4つの柱、4つの元気の中で書いてあります。これがいわば決定版でありますので、これをご覧いただければ結構なのですが、今日は、少し別の観点から、わかりやすいというわけではないのですけれども、別の理解をしていただいた方がよろしいかと思いまして、平成24年度当初予算案の発表要旨で、別の柱立てをしてみました。今日は、それに基づいて私のほうから説明したいと思います。

  〔資料〕平成24年度当初予算案の発表要旨
       資料№1 予算案の概要
       資料№2 主要事業の概要
       資料№3 主要事業の施策別・予算額一覧

  今回の5つの重点につきましては、まず、3期目県政の最初の本格的な通年予算となるわけです。特に昨年は、北陸新幹線の敦賀延伸認可の方針が決定をするという県政にとりまして数十年来の大きな進展が1つありました。もう1つは、大震災を機に、それぞれの地域を自分たちの力で守っていこうとか、つながりを大事にする、絆などという言葉もよく使われますが、そういうふるさとの大切さというのが認識をされたというのが、2つ目として大きな背景があると思います。そして、そうした中で、福井県が、これはそれぞれの地域も頑張っておられて、さまざま評価はあると思いますけれども、ある見方によれば幸福度が福井県は日本一であるという評価もいただいておりますので、今こそ我が福井県がふるさとの福井だ、日本のふるさとだということを発信するよい機会でもありますし、特に新幹線などもあと数年で開業することになりますと、福井県というこのアイデンティティーといいましょうか、あるいはブランド性、あるいは福井とは一体どんなところだとか、福井とは何だというようなところをはっきりさせるという機会でもありますので、こうした3つの背景の中で、今言ったような5つのことを申し上げようとしているわけです。
  特に福井県の良さというのが、これはイコール日本の良さであるといいましょうか、そういうものが福井県に集積をしている、あるいはこれまで福井県からいろいろ発信してきているのだということだと思いますので、こういうことを意識しながら、我々としてはより強い力で政策をそういう視点を入れて進めていくという考え方が重要かと思っております。
  1ページの一番左側に、「『ふるさと福井』の高い評価」、「新しい動き 本県の立地条件が大きく飛躍」、そして、「『にっぽんのふるさと』福井の発信」ということが書いてありますが、そういう観点がここにあるということで、2ページの5つの柱で物事を見たいということです。

  まず、3ページ「にっぽんのふるさと」福井の発信ということです。平成26年度には北陸新幹線金沢開業、舞鶴若狭自動車道の全線開通、中部縦貫自動車道の整備促進など、ここ数年が本県にとって極めて重要な時期になると思います。そういう意味で、平成24年度はその最初の年ということになると考えます。
  特に北陸というのは、これまで特に首都圏では、どこにどんなものがあって、どういうことをしている場所だと、そんなに認識されていなかったところがあると思います。ですので、そこをはっきり北陸全体として明らかにする必要もありますし、東京から新幹線で見ますと、特にその一番奥のほうにあるといいますか、かつ、新幹線がまだ完全に開通しないわけですので、そういう意味で、はっきり福井県の姿というのを強く見せていくことが極めて重要かなと思っているわけです。
  特に福井に人や物を呼び込むための政策、これまでよりもスケールアップした観光拠点づくりや誘客の強化、また、他の地域等の特色で大きい食べ物、食ですね、こうした品質向上や発信力の強化などに重点を置いているということです。
  この内訳の話を4ページからいたします。「にっぽんのふるさと」福井の発信の中で、まず、恐竜キッズランド構想あるいは恐竜ブランドビジネスの推進事業です。恐竜の予算は全体にもっとたくさんありますが、その一部を取り上げています。恐竜王国福井は全国の競争でも戦えるトップブランドだと思いますので、観光の拠点としてさらに整備を強化します。既に入館者数が50万人を突破しておりますので、来年度は恐竜博物館一帯を自然体験学習などが楽しめる恐竜キッズランドの整備を進める予定です。
  具体的には、恐竜博物館の少し山側といいますか、谷間のところ、奥になりますが、実際発掘している現場は意外と皆さんはあまりご覧になりませんし、行ったこともないというところですので、この発掘現場で、そこに実際ある実物の恐竜足跡の化石の展示、発掘体験の広場の整備のほか、第4次の恐竜化石発掘の着手を始めたいと思います。今年は、主に準備になると思います。さらに、そうした現場のほかに、恐竜のいろんな土産品とかロゴマーク、こういう恐竜に関連するさまざまな商品や、これをあらわすものをさらに品数あるいは品質も強化するということで、恐竜の営業力アップを図ってまいります。
  次に、5ページは、一乗谷朝倉氏遺跡です。
  一乗谷朝倉氏遺跡は、全国で唯一、本物の戦国城下町の遺構が地面の下にもたくさん手つかずのまま残る遺跡であり、観光拠点としての整備を進め、魅力を伝える必要があると思っております。
  一乗谷朝倉氏遺跡は、京都の金閣寺、銀閣寺、醍醐寺、広島の厳島神社の4つとともに重要文化財、特別史跡、特別名勝の3つのタイトルを持っている貴重な文化財ですので、それをいかしていくということです。遺跡全体のフィールドミュージアム化に向けた検討を実行したいと思っております。
  現在、あそこにあまりものを建てない方向にいっておりますが、もう少し立体的にものが見える必要がありますので、東側の山の部分をもう少し上がったところから全体の遺構が見おろせる展望スポットを新たに整備したいと、まず思っております。と同時に、資料館が朝倉氏遺跡の手前にあります。少し離れておりますので、観光シャトルバスを運行したいと思います。
  また、そこには発掘した重要文化財がたくさんありますが、展示しているのは全体の1割にも満たないという状況です。宝物はたくさんありますので、それをどんどん、まず展示し、資料館そのものの今後のあり方、これについて検討してまいりたいと思っております。
  それから、6ページですが、観光まちなみの魅力アップ事業です。
  観光地や優れた歴史遺構はたくさんありましても、これにいろいろ積極的な投資がなければ、魅力はあがらないわけです。舞鶴若狭自動車道の全線開通を見据えながら、小浜の中心市街地の小浜西組いう地域の景観整備、あるいは敦賀港、金ヶ崎緑地地区、あるいは三方五湖周辺、嶺南地域での観光拠点づくりの応援をします。
  また、北陸新幹線金沢開業に向けて、あわら温泉からさまざまな地域への周遊バスも本格化してまいります。特に加賀地域、石川南部とこの坂井、あわら、三国、丸岡など、さらには奥越も入るかもしれませんし、今の一乗谷も入るかもしれませんが、あの地域全体の福井側の拠点整備を進め、交通条件をはっきり意識しながら、ネットワークを本格化したいと思っております。
  なお、景観、花いっぱいというのでしょうか、いろんな福井らしい花あるいは樹木の植栽などの強化もしてまいります。
  7ページですが、本県が全国に誇るブランドは食べ物だと思いますし、食育を最初に主張したのは石塚左玄先生であり、福井の方です。特に食をアピールするため、これまで個別にさまざまやっておりましたものを、毎年11月第2日曜日から第3日曜日までを「ふくい 味の週間」と定めまして、その1週間を、特に重点的に食あるいは食文化を内外に発信する期間にします。全国高校生食育王選手権大会とかそば打ち名人大会、あるいは地魚大テント市などをまとめた形で行うことになると思います。また、その期間、県外事務所や南青山291でのPRや、ちょうど越前がにのシーズンでもありますので、ツアーの働きかけも行うことになると思います。
  8ページは、農林水産業です。地産外消、農林水産業の競争力を高めていくさまざまな政策です。特に、まずお米ですが、コウノトリ米、しきぶ米、れんげ米とか、さまざまな福井のブランド米が、高い値段でも売れており、たくさんのこういうこだわり米が出ているのですが、より大くくりの一つの統一ブランドとして、個別のものをいかしながら販売を強化する局面になったと思います。有機栽培あるいは特別栽培など、こだわって生産した米の登録制度を設けながら、統一名称ブランドでPRを強化し、新年度から、特に首都圏での販路拡大に力を入れる予定です。
  それから、オールシーズン園芸モデル事業1億円余がございますが、これは、特に嶺南の一番西側の高浜町で、CO2削減効果の高いヒートポンプを活用した大規模な園芸施設、エコ園芸施設の整備を行います。通年出荷型のミディトマトの生産を行い、コストダウンと通年販売により、県外市場への販売を広げてまいります。ここをきっかけに、嶺南地域の四季を通じた園芸の拠点産地化を図るというもくろみです。
  それから、お魚ですが、昨年10月に、県庁の南側に、ふくいの地魚情報館が開設しておりますが、その周辺で、「旬の地魚テント市」を毎週金曜日にオープンするという事業を進めます。さらに、将来は、これからのことになり検討が必要ですが、福井のお魚がこのあたりで買えるとか、こんな魚がいつもあるという、そういう状態、今それはないですから、そういう状況を現実とするという方向に持っていく必要があるだろうと思います。
  次に、9ページです。引き続き、食、ブランドの話になりますが、福井ブランドの発信力全体としての強化です。ふくい南青山291がありますが、福井県全体の物産や農産品あるいは福井でビジネスをされている方たちの拠点となる場所、複合的な施設でございますので、いわばそれに対するサテライト店を東京都内に設けるということを予定しております。特に食事専門店としてのサテライトショップを出店して、首都圏における福井の食の魅力について、情報発信の強化をする予定です。場所はいろいろ選定しておりますが、銀座とか、そういう人の多い場所に一般的にはなると思っております。
  それから、福井を代表する食品、産品を専門家やその道の権威の方にいろんな評価をしてもらった上で、全国に発信強化をする事業もこの中に入っております。いわばお墨つきをもらいながら、マスメディアや出版を通して、ブランドの価値を向上するということになります。
  また、北陸新幹線金沢開業に合わせた観光営業の中で、先ほど越前加賀地域の強化ということを申し上げましたが、ポスター掲示や電子広告による広報宣伝など、食などをテーマに進めてまいります。
 
  次に、大きく2つ目の産業政策の柱です。10ページです。
  福井の、きめ細やかなといいますか、まじめな、そして、よく行き届いた品物のつくり方といいますか、そういう日本のふるさとらしい産業、ものづくりを諸外国にも展開をする必要があります。特にアジア地域にビジネス展開をしてまいりたいと思いますし、産業人材の育成を強化する予定です。
  11ページにございますように、昨年、ふくい貿易促進プラザを福井商工会議所に、そして上海にビジネスサポートセンターを設けて強化をしたところですが、さらにそのレベルアップを図ってまいりたいと思っております。中国のみならず、先般、調査出張に行きました台湾、あるいはさらにはインドなど、幅広い方面への展開が必要でありますので、まずは中国市場において、中国、台湾の現地関係者からなる「福井・中国貿易拡大会議」を設けて、2カ月に1回ぐらいの会議を設けながら、円滑な貿易促進のための官民のネットワークづくりを急ぎたいと思います。また、他県ではあまり例がありませんが、中国や台湾企業の信頼できる流通関係者を、福井産品の応援者ネットワークといいますか、バンクとして50名程度の皆さんの組織化を行い、中国市場を中心に売り上げ拡大をしてまいります。
 なお、福井県立大学には地域経済研究所があるわけですが、そのアジア経済調査機能を強化することをあわせて行います。このアジア経済部門のスタッフを強化すると同時に、貿易機構、商工会議所、産業支援センターなどと毎月情報を交換し、企業の生の声を反映した役に立つ調査を実施していくことになると予定をしております。そして、県立大学に官民が出資する「アジア人材基金」を設け、アジアとの競争に勝ち抜く若い人材の応援をしていく予定です。
  次に、12ページの物流関係です。中国・韓国に加えて、ロシア極東の貿易の可能性の調査を今年度実施する必要があると思います。また、中国航路新設のためのバックアップとして、県内企業の中国向け貨物にも新しい助成制度を設け、ポートセールスを強化してまいります。昨年、敦賀港が日本海側拠点港として、RORO船などの港として整備を強化するということになりましたので、特に敦賀港のよさというのをこれからもアピールをすると同時に、2014年度完成を目指す鞠山防波堤の延長工事に加えて、県独自に、コンテナ貨物の荷さばき用施設であるコンテナ・フレート・ステーションを整備し、サービス機能を向上させたいと思います。
  13ページは、具体的なものづくりの新しい新分野といいますか、かなりスケールの大きい分野でありますが、炭素繊維と太陽光発電織物の2分野に重点投資を行い、事業化のスピードアップを進めます。
  炭素繊維については、福井県の工業技術センターで独自の開繊技術の特許を持っておりますので、これを基に熱を加えたときの加工技術を確立し、車両、車のボディーなどの部材としての実用化を数年以内、具体的には平成26年度に、目指したいと思っております。そして平成27年度からは量産をして50億円程度の規模をまずねらいたいと思います。
  太陽光発電織物については、テキスタイル、織物の中に太陽光発電の非常に微細なものを織り込んでいく技術でありまして、平成25年度までに量産技術を確立し、事業化を3年ないし5年で完了し、年間、例えば10億円程度のスケールを考えているものです。これは屋内のカーテンなどで太陽が当たったときに、そこで電気が起こせるとか、大きなテントを張った場合に、テントに太陽光を当ててそこで発電する、そういう新しい技術、繊維による発電というものになると思います。
  次に、14ページは人材確保です。技能後継者の育成事業、約2,000万円ですが、繊維、眼鏡などのものづくりを含めた若者への事業継承を行うもので、具体的には熟練技能者、例えば60歳以上の方と若手の方で一緒に技術を継承する場合の人件費の応援を上限100万円などで行うものです。
  それから若者の技能者の能力アップも必要でありまして、工業系としては旋盤などの技術、また、別の技術としては日本料理などの料理とか、そういう技能です。そして毎年11月に開かれます技能五輪全国大会にもっとたくさんの人たちが参加できるように、参加の応援もしてまいりたいと考えております。

  3つ目は、人づくりに着目した教育などの分野です。
  小中学生の学力・体力が日本一であるという高い評価を、さらに実力としてもっともっと高めていく必要があるわけです。学校でのカリキュラムや教材の充実、また、先生の研修の強化、ICTを活用した教員の授業力アップなど、福井型の幼児から高校生までの18年教育を、さらに推進したいと思います。
  新たな教材の開発や外部の専門家による授業指導など、英語教育の充実が具体的なテーマとしてありますし、それから、職業教育については、企業、現場の技術者の意見を反映したカリキュラムの作成、そして具体的な授業ということがあります。
  また、スポーツにつきましては、平成30年に国体が開催予定ですので、だんだん全国大会でも上位に食い込むようになってきておりますが、競技力をさらに向上させると同時に、競技施設の整備を行うというのが人づくりの幾つかの柱です。
  まず、16ページが幼児教育です。ゼロ歳から5歳までの幼児教育について、1,400万円の予算を計上しております。今年は試行的に幼児教育の支援プログラムの作成に着手しましたが、今年度中に中間取りまとめを行うと同時に、平成24年秋までに幼児教育支援センターを設けてまいりたいと思います。
  そして、特に幼稚園、保育園の先生の研修の統一化ですね。これはかなり課題としては難しいわけです。幼稚園、保育園、あるいは私立、公立等々、さまざま複雑でありますが、これをできるだけうまく総合化したやり方ですね。それから小学校との連携なども極めて重要だと、こんなふうに思っております。
  2つ目が、小中学生の学力向上です。
  本県の小中学生の学力は全国最上位ですが、学力分布の特徴を実際に分析をいたしますと、全国平均より少し上の学力層が非常にグラフ的に厚い層になっております。さらに頑張ってくれる層が薄いといいますか、そういうことで、もう少しぐっとプラスのほうに伸ばしていこう、そういう状況かと思うのです。そこで、特に得意、不得意の差が出やすい小学校の算数、理科、それから中学校の数学、英語のカリキュラム改善を行います。特に小学校の理科については理科教員が協力して観察実験指導集の作成、導入、また、算数はICTを活用した単元ごとの評価テストを導入したいと思いますし、中学校の数学、英語の授業には、習熟度に応じた指導体制を強化してまいりたいと考えております。
  次に、17ページです。高校生についてですが、福井県の高校生のストレートでの大学等への進学率は56%であり、全国第13位です。進学ニーズに応える普通科系高校を中心に、授業・カリキュラムの更なる充実が求められています。普通科系高校については、間もなく大学入試の2次試験もあるようですが、特に厳しい大学への特別講座を拡充するほか、センター試験対策、その他公立私立、さまざま本当に子どもたちの多様な要請に応えられるような学習機会の提供などを行ってまいりたいと思います。
  特に高等学校の教育の課題は、よりわかりやすい授業や実践的な教材をいかに作るかということであると思っておりますので、その場合には、特に外部専門家の助言、また学力分析を踏まえた独自の教材充実、あるいは教員の授業の工夫のアップが重要です。そこで、すべての県内の高等学校で、生徒が自分たちが先生方から受ける授業のアンケートなども行って、それを各学校と教育委員会で利用しながら指導方法を改善するということです。授業をよくするためのものでありまして、何かを評価することが目的ではないということです。
  次に、18ページは、具体的な英語教育、外国語教育です。
特に、音声を重視した英語教育をさらに充実をする必要があると思います。特に語学番組ではNHKなどの長年にわたる実績がありますので、連携をしながらそれを活用すると同時に、新しい高校英語の教材を共同で開発、活用するという授業を進めてまいりたいと思います。
  また、県立高校4校を拠点校に指定し、さまざまな外部検定試験の活用による英語力の検証などを行い、これを同じブロックの中の他の学校へ広めていくという手法をとってみたいと思っております。
  19ページは、職業系高校と産業界の連携です。
特にこの分野の授業やカリキュラム改善が遅れているような認識がございますので、これを直さなければならないと思います。授業や実習、補助教材などに産業界、企業から常時助言してもらう体制をつくると同時に、これまでは学校の生徒が数日企業現場に行く程度でしたが、もう少し期間を延ばして10日間ぐらいに、また、そのための有効なマニュアル、具体的な研修の中身をつくっていくということを進めてまいりたいと思います。
  さらに生徒の挑戦力を高めるため、工業系などが主に中心だと思いますが、さまざまな県内のコンテストなどを開催するほか、全国のコンテスト等においても上位入賞を果たせるということを考えたいと思っております。今日は、新聞にそろばんの名人の高校生が出ていましたが、いろんな技能を進めていくということになります。
  20ページは、国体、スポーツです。いよいよ、さまざまな競技力向上、準備、あるいは体育施設の整備を進める必要がございますので、こういうものをスケジュールに遅れることなく進めてまいりたいと思います。特に国体準備委員会で決められました越前町の県立ホッケー場、それからクレー射撃場これは勝山市にありますが、開催準備のための整備を図ってまいりたいと思います。
  
  次に、大きく分けた4つ目の、幸福度日本一といいますか、これに関連するプロジェクトとしてまとめさせていただきました。必ずしも、この中にすべてこういうものがうまく入っているかどうかは別ですが、そういう見方があるであろうということでご理解ください。
  福井県は幸福度日本一の評価を得たところですが、将来の希望にこれを伸ばしていく必要があります。そのためには、チャレンジする若者への応援、あるいは女性がリーダーとして活躍できる環境の整備、子育てしやすい働き方の応援、また、これは主に高齢者に関係するかと思いますが、がん予防対策、要介護高齢者が住みなれた地域で安心して暮らせる介護ケアの充実、こういうものを評価してまいりたいと思います。
  22ページは、若者のチャレンジです。既に昨年からふくい若者チャレンジクラブを設けるなどその輪が広がりつつありますが、来年度からは、さらに具体的にデザイナーとかアーティスト、さまざまな世界にチャレンジしたい人たちがいらっしゃると思いますから、そういう人たちへの応援もいたします。女性グループにつきましては、若い人たちの活動の場をもっと広めていく必要がありますので、企業など管理職を目指す女性の指導者となる講師といいますかメンターの養成、あるいは特に若い女性が新しく団体やグループで活躍し、活性化が図れるようにしたいと思います。年配の方もおやりになる必要があると思いますが、若い人たちがそれを単に眺めているというだけではいけないわけでありまして、若者・女性の応援です。
  それから23ページは、子育てしやすい企業子宝率などということで、中小企業などでしっかりとお母さんたちを応援している企業を選んで応援していますけれども、その普及、さらには家族時間を伸ばしていくということです。
  24ページは、健康長寿・医療の関係です。
  陽子線がん治療については、昨年3月に、初めて陽子線がん治療センターが日本海側でオープンしました。料金設定なども、まだ保険が適応されておりませんが、全国で最も安い料金で治療が受けられるようにしております。これまでに約110名余りの皆さんが治療を受けておりまして、あまり負担なく、よい治療結果が出ているということです。
  さらにその前提としてのがんの検診率の向上が必要であり、平成18年度には2割でしたが、平成22年度が3割弱ですので、これをぜひとも5割までに引き上げる必要があります。インターネットや携帯サイトを通しての申し込みなど、がん検診の予約システムの新しいやり方を導入してまいりたいと思います。
  それから、25ページは、在宅医療の関係です。福井県は、子どもたちの保育園・幼稚園の待機のない全国で幾つかの県でありますし、あわせて、原則、介護施設も待機のない県という珍しい県でもあります。これを、さらに高齢者が増えますので、在宅と施設をうまく組み合わせて、これは東京大学のジェロントロジーとの共動によってもいろいろ研究しておりますけれども、そういう在宅サービスを充実しながら、自分たちが待機しているのだという状態をつくらせない、こういう方法を講じてまいりたいと思います。

  最後、5つ目は、「安全・安心」防災力でありまして、間もなく1年になります東日本大震災などの教訓も踏まえて、さまざまな安全策を講じています。
  特に災害時を想定した通信手段の多重化というのは、きわめて福島の事故などを見ますと重要でありまして、通信が第一のポイントだと私は思っております。この多重化、それから、放射線監視体制の強化、さらには原子力災害制圧道路の整備など、国の対応を待つことなく本県独自に今できることから速やかに防災対策を実施すると同時に、国のさまざまな支援を、またこれからも活用していくということです。
  また、太陽光の話が先ほどございましたが、農業用水を活用した水力発電など、福井県のエネルギー利用の多角化といいますか多元化といいましょうか、こういうことも行ってまいります。
  27ページは通信手段の関係です。いかなる災害時においても通信手段を何としても確保することが重要です。特に屋内外兼用の衛星携帯電話の整備、また、有線網の拡充など、無線・有線・衛星での複数の通信ルートを整備してまいりたいと思っております。
  28ページは原子力防災関係です。安定ヨウ素剤の配備、それから学校への放射線量を測定するサーベイメータの配備を行います。この整備は、あくまで暫定的な措置であり、今後、防災計画の逐次の見直しによって、さらにより実効性のある具体化を図ってまいりたいと思います。
  特に放射線監視体制については、当初予算で2億6,000万円余、2月補正で7億8,000万円余です。今回の国の4次補正も活用しながら、モニタリングポスト21台を増設する予定です。また、観測をする建物の耐震化です。それから、可搬型モニタリングポスト13台の追加整備も行いたいと思います。原子力災害制圧道路については、まず、敦賀半島、大島半島、内浦半島でのバイパス整備がございまして、30億円計上いたすことになります。
  29ページには、エネルギー源の多角化といいましょうか、多元化の関係でありまして、農業用水力発電整備、あるいは県有施設の未利用エネルギーの活用の事業です。
  そして、地域経済の活性化にも役立てるために、1つの市町で1つのエネルギー資源 おこしを目標に、再生可能エネルギーの事業化を図りたいと思っております。
  まず、新年度は6つの市町で事業化に向けた組織をつくりたいと思います。また、太陽光発電については、一般家庭の発電施設に加えまして、蓄電池の導入に対しても応援対象にしてまいります。それから、日野川用水での小水力発電、九頭竜川浄化センターでの汚泥処理過程で発生するガスを活用した発電設備の導入などを行いたいと思っております。
  以上の結果、平成24年度の当初予算は、最後のページにございますけれども、4,769億円を計上したところです。
  以上が予算の説明です。


~ 質 疑 ~

【記者】
  今回の予算編成で、知事が重視した点を教えてください。

【知事】
  通常は、マニフェストの4つの元気で説明しますが、特に「にっぽんのふるさと」福井を広くこれから発信していくということです。その中で、今申し上げた発信と、産業、人づくり、幸福度、安全・安心の5つの柱で進めたいということです。その全体をくくるテーマは「にっぽんのふるさと」福井ということかと思います。

【記者】
  震災を受けて、特に防災については、どのような予算編成をされたのか改めて教えていただけますか。

【知事】
  防災はさまざまレベルがあり、初動体制が、まず、どのようにいろんな体制が整えられるかというようなことはございますが、特に一番大事なのは通信であり、情報が途絶えたらそこで物事は止まってしまうということです。これが福島などのさまざまな災害で顕著にあらわれていることですから、通信を何としても確保するというのが重要です。ここはしっかり押さえ、さらに具体的な応急対策などでは、特に原子力については災害制圧というのが大事です。避難の前に、まずそうした事故の発生とか拡大とかいろんなことがあります。それを抑えるということが大事になりますので、道路整備がありますし、さらにその上で、住民の安心につながる放射線監視体制、あるいは防災活動の資機材、ヨウ素剤であったり線量計であったり、こういうものを配付するというようなやり方になっていくと思います。

【記者】
  昨年度当初予算では、もっと活力をつけるための予算というフレーズをいただいたのですが、今回の予算についてはいかがでしょうか。

【知事】
  福井県は失業率が日本一低く、有効求人倍率は逆にずっと継続して1以上です。中小企業の皆さんもアジアとのいろんな競争の中で、中国の人件費がだんだん上がってくるなどいろんなことがあるのだと思いますが頑張ってくださっています。そういう中で、さきほどの幸福度とかいろんなものがあがっているわけです。そして、交通条件も良くなるという見通しがついてきましたから、活力については、さらに今の道筋の中でいくとよいと思います。そうした中で、やはりその活力に気持ちというか精神的なものを加えないと、皆さんの頑張り、自信というものがないと思います。そこで2年後の北陸新幹線金沢開業などのいろんな状況の中で、北陸の中での福井の位置づけとか、こういうものをしっかりクリアにできるような方向づけを、「にっぽんのふるさと」という言い方で新しい方向に持っていこうということになると思います。

【記者】
  にっぽんのふるさと福井が、今回のテーマということになるのでしょうか。

【知事】
  一番先に書いてございます。

【記者】
  わかりました。

【記者】
  太陽光発電の実用化とかエネルギー源の多角化、1市町1エネおこしによる地域経済の活性化は、福島の事故を受けて、原発に依存するエネルギー政策とか経済政策について、危ういという実感を持たれたからでしょうか。

【知事】
  特にそういうことではなくて、エネルギー源の多角化を図ると同時に、地域でそれぞれの新しいタイプのそうしたプロジェクトを進めることによって、地域の中でいろんな人たちが物をつくったり買ったり売ったりできるわけですので、そういう意味合いもあるということです。

【記者】
  核燃料税について伺います。原発立地13道県のうち福井県以外の少なくとも11道県は、核燃料税収は見込めないと来年度予算を計上していません。一方、福井県は、昨年11月の条例改正による出力割で、少なくとも60億円以上は確保できると見込まれることについて率直な感想をお聞かせください。

【知事】
  要するに原子力発電所が、プラントが存在する、そして一定の稼働率で発電をする、そして付加価値を生むということなのですけれども、今回のように、多くの原発が止まるような状況も一方でありますし、かなりの稼働率で動くような年もありますが、総じて我々が思ったほどには稼働しません。そうすると、それに基づくご負担をいただく、その税収も見込みよりは少ないというのがずっと続いているわけです。しかし、それに対して、地元の県や市町が必要な安全対策やいろんなことをしなくていいというわけでは決してありませんし、これはしっかりしなければならないわけですので、そのギャップというのが課題としてあったわけです。特に、今回、急にそのことを考えたというよりも、核燃料税については、実際に稼働したものに対する部分と、原発としての存在という部分の両方のファクターでとらえて課税することが適切であろうということで、かねてより協議していてつくられたということです。

【記者】
  以前からずっと考えていたけれども、非常にそれが適切であるということがある意味証明されたと。

【知事】
  表現はともかく、福井県が原発の安全のために住民に責任を持ち、また同時に、日本全体の原発へのさまざまな課題にきちんとこたえるための税制として、適当な姿になったということだと思います。

【記者】
  知事は、先日福井市内で行われた北陸経済連合会と北陸3県知事懇談会の中で、原発が止まったままの状況に地域経済への影響を強く憂慮していると発言があったと思います。そして今回の税収でも、電力事業者の法人税が目減りし、嶺南の産業、経済も冷え込んでいるという話もあります。原子力発電所がこのまま再稼働の見通しが立たない中、今後の税収への不安や税収への思いを教えてください。

【知事】
  お話が2つに分かれておりますけれども、要するに、今回の問題については、原子力の安全をいかに福島の事故を教訓に反映させるかという課題ですね、これを何としても解決する。と同時に1年近くもこういう状況の中で、地域経済というよりも、日本全体の経済なり、産業問題、あるいは生活全体に及ぼす影響を憂慮する必要があるのではないかということを申し上げたわけです。これは、特に政府においてもいろいろ検討はしておられると思いますが、そのことを深く認識される必要があると私はあると思っております。
  それから税収の問題については、納税者がどういう状態になって、どう納めるかということですので、それに応じた税収を我々としてはご負担をいただくということです。

【記者】
  北陸新幹線の敦賀延伸などを受けて、知事は福井県が新しい局面を迎えたという言い方もされていたと思います。高速交通ネットワーク整備を見据えた事業は、短期、長期のものが求められると思いますが、今回の予算で苦労された点、工夫された点があれば教えていただきたいと思います。また、にっぽんのふるさとについて、もう少し知事の言葉でご説明いただけたらと思います。

【知事】
  高速交通ネットワークについては、当面しているものや長期的なものもあります。財政状況をよく見きわめながらバランスをとって、基幹交通ネットワークに投資をしなければなりません。それによって他のものに影響したりしないよう、財政状況をよく見きわめるなど、予算編成に注意をしたというのが1つです。
  それから、これに伴い関連するインターをつくらないといけないとか、中心地への道路を延ばさないといけないような事業もあります。例えば福井だったら福井駅の開発のいろんな事業、こういうものが関連する事業ですので、その進度に合わせて間に合うように予算編成をすることに気を使ったということです。
 それから、にっぽんのふるさとについては、もう少しいろいろ考えていますが、予算の段階では、こんな考えになろうと思います。また皆さんも考えてほしいと思います。

【記者】
  高速交通ネットワークを見据えた観光施策についてお聞きします。実際に人を呼び込むとなると、民間事業者も含めて、今から県内の機運を盛り上げていくことも必要になると思いますが、現状認識とこれからどういうことに取り組んでいくのかを伺います。

【政策幹】
  昨年から、県、市町、産業界、それから観光などのいろんな団体、嶺南や嶺北のいろんな方に入っていただいて、いろんな検討会を進める中で事業をつくってきました。県内だけで物事ができるわけではございませんし、市町、関係団体、観光事業者それから県民にもそういう意識をお持ちいただいて、富山、石川ともこれから、新幹線が金沢まで来るといろんな形で厳しいこともありますけれども、それをチャンスにして活性化につなげていく。それが将来の新幹線が来たり、いろんな活動にもつながっていくので、3月には、ぜひそういう団体の長の方も集まっていただいて、皆さんの理解を一緒にしてこの仕事を進めていきたい。計画をつくっても実際に動かさないと意味がないので、そういうふうな形で進めていきたいということです。そこには、県も主となってかかわっていきたいと思っています。

【記者】
  財政について伺います。第三次行財政改革実行プランの財政収支見通しも一緒に出されました。その中で、平成27年度までに県債残高を1,000億円減らすと書かれていますが、県債の繰上償還の実施は、その他いろいろな行革をあわせて実施しないとなかなか厳しい、高いハードルの目標だと思いますが、今のタイミングで、財政健全化をより進めなければいけないという知事のお考えを教えてください。

【知事】
  数字は詳しく総務部長から申し上げますが、要するに財政については長期的な見通しが必要です。全国47都道府県ありますが、財政指標は大体決まっておりまして、財政の硬直度がどの程度になっているかとか、あるいは借金の量が標準的な財政の中でどんな大きさだとかいう指標があります。それを見ながら予算を組んでいるわけですが、福井県の今の局面は、日本で一番借金が少ないという状況で仕事をする局面ではないと思います。これからいろんな公共投資が要るわけですし必要なことです。どうしても我々の目的としては、そういう指標を見ながら、黄信号にはならないようにしないといけませんし、かつ、47都道府県の中では、A、B、CとするとBの半ばとか先頭ぐらいに立って財政運営を見ながらやるというのがいいのかなという気持ちを持ちながら、具体の指標のチェックをしながらやっていく、そういう形ではないかなと思っています。

【総務部長】
  知事からお話いただいたようになっているのですけれども、県債の状況を見ると、やはり平成10年ぐらいまでは、日本経済全体がそうでしょうが、いろんな建設がありまして、それらの償還がピークを迎えており、これからほぼ終了してくるような時期です。そのような中で、実質公債費比率の15.4という数字があったと思うのですが、こういった財政指標をできるだけ維持していくという形をとりながら、将来に向けては、いろんなプロジェクト等も動いていくでしょうから、例えば、繰上償還を平成23年度に130億円、新年度で40億円行うなど、将来の負担を軽減していくことで、将来の財政健全化も一つの視点でやっていきたいということでございます。

【記者】
  原子力防災対策のモニタリングポストとヨウ素剤の2つは国の交付金による予算だと思います。これは防災対策の重点実施地域を国が30キロに拡大することをうけての拡充措置ということですが、知事は以前から30キロに拡大することに対して疑問を呈されておられたかと思います、この予算で、当面、国が定める地域においてとありますが、今現在、この30キロという重点実施地域が拡大していることに対してどのようにお考えですか。

【知事】
  いろいろ難しいところがあるのですが、ものによって違うと思います。きちんと通信網を確保しなければならない範囲がどれくらいか、あるいは資機材などさまざまで絶対の基準はないと思います。この対象物は、当面この範囲で対応するのが今の状況ではベターというのがありますので、ヨウ素剤については便宜、そういう状況にはしているということです。
  モニタリングなどは、通信関係がありますから、全市町にきちんと置くとかですね、それから本当にプラントに近い場所については位置をどうするかと、いろいろ程度が違うということです。絶対これだけでなければならないというものはないと思いますし、まずその前に、本当は何十キロとかいろんなことがありますが、そこははっきりしてほしいのですけれども、残念ながらまだ明瞭でないですから、暫定的にそうしていくということです。
  もちろん、いろんなことをしてもいいのかもしれません。したからといって、それが実効性がなかったり、実際使えないのでは全く逆効果になりますので、そういうことを考えながらやっていくということだと思います。

【記者】
  一昨日、県原子力安全専門委員会が開かれて、国の意見聴取会の中間取りまとめの内容報告がありました。県も同席していましたけれども知事のご所見を伺います。

【知事】
  まだ中間的な段階だと思いますので、専門委員会の先生に十分いろんなチェックもしていただいておりますし、また中間段階でも、あといろんなご意見もお伺いしないといけません。いずれにしても暫定的な安全基準をつくる必要がありますから、そこに適切に反映することが基本になると受けとめています。

【記者】
  暫定的な基準の関係ですけれども、いわゆる30項目というものですが、安全基準のベースになるものではないかという声も一部にあるのですけれども、お考えを伺います。

【副知事】
  まだ国の方でのいろんな進捗状況、検討状況については、この間の保安院の課長から中間取りまとめの話をご説明いただいただけで、それ以外については一切承っていない状態です。その何十項目分が、この後どういう行方になるか、あるいはその中身がどうであるかについてはコメントを控えさせていただきたいと思います。

【記者】
  意見聴取会で国の現在の検討状況をいろいろ示されましたけれども、そういった現在の検討状況と再稼働の条件、安全基準ですけれども、現在、国の検討状況が再稼働に向かっているものだと感じられるかどうか、知事の考えをお聞かせください。

【知事】
  30項目とかいろんなことをおっしゃいましたが、これはまだこれからいろんなチェックが要ると思います。電力会社にああしなさい、こうしなさいとか、項目を、これもありますよ、あれもありますよと、このことが悪くはありません大事なことだと思いますけれども、個々の問題として扱っていては、この問題の本当の信頼性にはつながらないわけで、トータルとして、そういうものを含めて、全体として従来のものとはここが違うのだというまとめた形が大事です。それからそういうスタイルというのも大事ですし、方針がはっきり政府のほうに入っていなければなりませんし、その中には政府の安全に対する精神というか、哲学というと大げさかもしれませんが、そういうものをトータルとしてまとめた安全の基準という形がなければ、これは暫定的でもいいと我々言っていますけれど、そういうものが必要だろうとは考えます。
  これだ、これだと言っても皆さんもわかりにくいと思います。そういうことを行うと同時に、その中に、新しい知見もしっかり福島の事故の問題を含めて入っている。そういう安全の基準、安全基準というものをはっきりした形、名前と形式で示されることが皆さんもわかりやすいと思うし、我々も、国民もわかると、こんなふうに今おっしゃった話については思います。

【記者】
  政府はストレステストの1次評価を再稼働の前提とすると言っていましたが、先日、原子力安全委員会の班目委員長が、安全性を評価するのにストレステストの1次評価だけでは不十分だという発言をしました。これについて知事はどのように受けとめているのか教えてください。

【知事】
  政府全体でさまざまな委員会や組織があるわけですし、それぞれ検討もし、作業もしていただいているのだと思いますが、一つ一つがばらばらであったり、判断の脈略がなかったりしているということでは、国民も理解できないでしょう。何といっても我々立地地域が安心してこの問題に対応ができない状況にあるのは、これはまことに遺憾な状況であり、腰を据えてきちっとした対応が必要だと思います。要するに、地元としては、福島のような事故を絶対に起こさせないという対応で臨んでいるわけですから、地元としては真剣にどうすべきかということで、汗もかき、骨も折っているつもりでありますので、そういうものに真剣にこたえるということかと思います。別に難しいことでも何でもないと私は思いますので、しっかりやっていただきたいという気持ちです。

【記者】
  その上で、あの発言が再稼働の判断に影響というのは、今のところあるのでしょうか。

【知事】
  今申し上げたことです。そういうことの中の話だと思います。

【記者】
  知事としては、ストレステストに一次評価、二次評価がありますが、再稼働の判断に二次評価はなくても差し支えないという理解でよろしいのでしょうか。

【知事】
  よく全体で、きちんと判断を加えてほしいという話です。

【記者】
  一次評価と県が求めている暫定基準というものが出れば、それで再稼働の判断に地元として同意するかしないかという判断ができるということですか。

【知事】
  さきほど申し上げたことですけれども、もともとストレステストだけでは不十分だと我々申し上げてきているわけです。そういう中で、どういう脈絡で仕事をこれまで進めてこられて、それをどう扱うのかというのは、総理大臣も含めて政府の責任ある皆さんのご判断をしっかり加えておられないと、こうした問題に国民は安心できないと思いますから、そういう判断だと思います。それぞれ、所管の大臣もいらっしゃるわけですから。

【記者】
  再稼働について、個々の問題として扱っていては信頼性につながらない、トータルとしてまとめる形が大事とおっしゃったのは、政府はストレステストを前提に、大飯3、4号機が先行して判断が進んでいるのですが、そういった一個一個やるのでなく、全体として原発を再稼働させても安全かどうかを政府としてまとめ上げないといけないという考え方ですか。

【知事】
  そういう発想ではないのですが、要するに定検中の原子力発電所の再稼働に当たって、ストレステストもおやりになっていると思いますが、福島の知見を暫定的でもいいから明らかにし、また、懸念のあるところを実際の対策として講ずべきだと我々申し上げているわけです。
  そして、ストレステストもありますし、意見聴取会でそういうものを含めて、今、中間的に議論しておられるだろうし、また、それ以外にも政府の主だった皆さんの協議をする席もあるわけでしょう、そういう中で、さらに他のものも加えて議論をされるのかもしれません。そういうものを総合して、安全の基準として、わかる限りでそれを実行してほしいという基準を設けて、それによって安全対策を講ずべきではないかということなのです。
  具体の原発がどこでどう動くかというのが、その基準に基づいて判断されることかと思います。あわせて我々は、事業者ともいろんな議論をし、いざというときに福島のいろんなことを考えますと、電力事業者が対応を十分に行う、あるいは行われないということであれば、何の基準があっても意味がないわけですから、そこを議論をしているということです。

【記者】
  国民の半数近くが原子力の再稼働については慎重との世論調査があり、一方で、国も規制のあり方の見直しを進め4月に原子力規制庁に一本化される中、国民がこれだけエネルギーや原子力に対して議論する機会はそうないと思います。政府も今夏にエネルギー政策の全体的な方向性を示すと言っており、そういう議論も踏まえた上での再稼働判断があり得るのかどうか。また、原子力の個々の安全基準だけではなく、国の大きな政策も見きわめた上での再稼働論議を知事はお考えかどうか伺います。これは昨年も質問し、国が大きな政策を示すということは大事だ、それに前後して安全基準がどこのタイミングで出るかということも含めて前後する可能性はあるという趣旨のお話でした。

【知事】
  将来のエネルギー政策とか原子力安全の問題とか、さまざま物事は判断する時間軸というのがありますから、どれとどれが必ずしも結びつかないとできないとか、そういうことではないとは思いますが、いずれにしても、今申し上げたようなことを、きちんとやっていただくことが基本かということを申し上げました。

【記者】
  高浜町長も地域経済への影響が非常に大きいというようなことをおっしゃっています。先ほど知事は、全国への経済、産業、生活への影響ということをおっしゃいましたが、特に地元の立地市町での地域経済への影響をどうとらえていらっしゃるか、また、再稼働の判断時期との関係性についてお伺いします。

【知事】
  安全あるいは安心、これが基本にあると思います。安全がきちんと確保されなければ、原発の問題はしっかりした対応ができないと思います。

【記者】

  地域経済への影響というのは第一ではないと。

【知事】
  そういう一対一の議論ではないですけれども、安全というのが基本だろうと思います。かつ、そのことを政府がよく認識してきちんと対応すべきだということを申し上げているわけです。

【記者】
  知事は福島の事故後から、事故原因などについて、地震の揺れがあるのではないか、高経年化の影響があったのではないかと疑問を投げかけられてきました。さらに浜岡を止めた理由も根拠がないとおっしゃっていました。先日行われた中間取りまとめを見ると、地震の揺れの影響や高経年化は影響しなかったと結論づけられ、浜岡については全く回答が表立ってなされていないと思います。再稼働に当たって、これまで主張してきたことが、全く違った回答がよせられたことで、知事はどのように納得されておられるのでしょうか。

【知事】
  いずれにしても、今おっしゃられたようなことも含めて、政府が情報を持っておられるわけでしょうし、調査もしておられるわけでしょうから、それを、どう今わかる情報の中で判断をするかということだと思います。

【記者】
  今わかる情報の中で、地震の揺れとか高経年化の影響がなかったと。

【知事】
  そこまで言っているのかどうか知りませんが。

【副知事】
  補足させていただきますが、中間まとめということで、役所の文書の書き方ですから、現時点までに得られた資料ではとか、現時点までの何々では推測するとか推定するという表現になっていたようだと思います。ですから、今のところ、まだ調べた限りではこうだということで、その先については、なおまだ何々しなければいけないという表現もあったのを何カ所か見ましたので、そこが素直な受けとめで、断定ではないように思います。

【記者】
  再稼働を判断するに当たって、最終的なとりまとめを待つと、当然もっと先の話になります。最終的にそれを得てから再稼働判断をするということですか。

【知事】
  今、動いている原発もありますし、要するに、我々は責任を持った、そして事実に即した情報の中で、政府が情報も公開して、どういう判断を加えるかということをしっかりやってほしいと要求しているわけです。それに基づいて暫定的な国民や地元にわかりやすい基準としてお示しになれるかどうかということですから、それに基づいて我々は判断すべきだろうということなのです。

【記者】
  再稼働に当たって隣県の知事からは慎重にあるべきだという声も寄せられ、3.11から間もなく1年を迎えるこういう時期に、再稼働を認めてしまうということがあるのだとすると、国民世論として受け入れられると知事として考えていらっしゃいますか。

【知事】
  それはあなたが今そういう感想を述べられたわけで、私が何か今そんなことを思っているとか思っていないと申し上げているわけではありません。あくまでそういう安全の議論をしっかりすべきだろうと申し上げているわけです。

【記者】
  知事は、安全基準という言葉に暫定的とつけておられます。ただ、暫定的とつけても、安全基準を使う限りは、保安院などでは法改正を伴うものと解釈されます。せんだって来られた保安院の課長も、安全基準をつくるのは規制庁ができてからと取材に答えており、福井県が求めている安全基準は規制庁ができるまでできないということになると思います。まず、その暫定的な安全基準について、保安院の認識と知事の認識が一致しているかどうかお答えいただきたい。 
また、安全基準というと制度的なものを誤認されてしまうので、先の会議で中川委員長は、安全性を判断できるための基準であると解説を加えられましたが、知事の考えを正しく伝えるために、このように直すことをお考えでしょうか。

【知事】
  まず暫定という問題は、原発事故の現状もいろいろありますが、すべてをある一定の段階で究明できない部分もありますから、わかる限りで、再稼働なら再稼働に必要だと国民が納得できる範囲で、そうした基準というものを明らかにし、その後、新しいことがわかればそこで必要なことを加えていくという循環的なシステムで行うことが必要と思っております。それから、基準というのは、さきほど申し上げたように、個々ばらばらではなく、政府全体として責任を持った、あるいは総合性を持った一定の体系の中でお示し願いたいということであって、何か法制とかそのことに深い関心を持っているわけでは特にないということです。

【記者】
  保安院が我々の取材に対して、知事が求めている安全基準は4月以降になる、それは法制度の改正が必要だからだと説明しました。これを額面どおりにとると、知事と保安院側で意思疎通ができていないように見えてしまうのですが、そうではないのではないでしょうか。

【知事】
  法制度がどうだというよりも中身です。法律をつくっても中身が空虚では意味がないわけで、中身が問題で、わかりやすい形で中身を提示してほしいというのが安全の基準のことなのです。

【記者】
  安全基準という言葉を変えることはないのでしょうか。

【知事】
  言葉が何もないので、便宜、安全の基準とか安全基準と申し上げているわけです。法を1つ、2つ言っても何かわからない、それを安全の基準と言ってもわかりにくくてしようがないではないですか。どういう体系のもとになっているのかということです。わかりやすい1つの形でお示し願えればよいわけで、それは何か非常に難しいことでは決してないと思います。


── 了 ──
 

アンケート
ウェブサイトの品質向上のため、このページのご感想をお聞かせください。

より詳しくご感想をいただける場合は、kouhoukoucho@pref.fukui.lg.jpまでメールでお送りください。

お問い合わせ先

知事公室広報広聴課

電話番号:0776-20-0220 ファックス:0776-20-0621メール:kouhoukoucho@pref.fukui.lg.jp

福井市大手3丁目17-1(地図・アクセス)
受付時間 月曜日から金曜日 8時30分から17時15分(土曜・日曜・祝日・年末年始を除く)