知事記者会見の概要(平成24年4月24日(火))

最終更新日 2009年9月16日ページID 017648

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平成24年4月24日(火曜日)
14:00~15:00
県庁 特別会議室

 
知事会見①
 

 4月の定例会見です。発表事項が6点ありますので申し上げます。
 まず、政策合意です。24年度、新年度のマニフェストに基づく政策合意を持ちましたので、23年度の実施結果とともに、お手元の資料のとおり公表します。

〔平成23年度「福井新々元気宣言」推進に係る政策合意の達成状況〕
〔「福井新々元気宣言」推進に係る平成24年度の「政策合意」〕

 政策合意は、私と各部局長との間で協議をし、この1年間実行すべき仕事を、具体的な成果目標の数値化をできるだけ明確にしながら、県民の皆さんにわかりやすく示すものです。
 まず、前年度、23年度の実施結果については、合意した219項目のうち目標を達成したものは、「企業立地数」や「チャレンジ活動に参加する若者の数」、あるいは「太陽光発電の設置件数」など、151項目あります。この中には、例えば、企業立地数を、22社目標にしていたのが26社であったとか、設備投資額も200億円の目標が、実際は418億円だったとか、そういう例があります。
 それから、学力・体力日本一ですが、県外からの学校視察の受け入れなどがあります。目標は110名程度でしたが、実際は855名お見えになったという実績などがあります。
 新幹線などは年度間を超える項目ですので、そういう40項目を除きますと、この219項目は、達成率としては84%になっております。ちなみに、22年度は82%でした。
 また、年度間をまたがった項目などを除き、未達成の項目は28項目あります。主な理由はいろいろありますが、東日本大震災などの影響によって観光客の入込数が減ったとか、県庁の職員の超過勤務手当などは減らしたいのだけれども、そうならなかったという、そういう仕事面の影響などがあります。また、県の花であるスイセンの出荷本数も25万本の目標が21万本になってしまったのですが、これは、11月の気温が高くて早く咲いてしまったという季節要因もあります。達成できなかった項目については今後の課題としてさらに努力をしてまいりたいと思います。
 また、一般の目標のほかに、さらに高い目標を設定するチャレンジ目標を28項目設定しましたが、そのうち15項目は、このチャレンジ目標もクリアしました。達成率は54%で、前年度の22年度は49%でありました。このチャレンジ目標の達成率の評価は難しいと思いますが、職員みずから営業するという、そういう心構えの向上にはつながっているのではないかと思います。
 さて、今度は新年度の政策合意でありますが、マニフェスト「福井新々元気宣言」の2年目になるわけであり、昨年度までの成果をもとに政策の実を上げていかなければならないと思います。原子力の問題など様々な難しい課題にも福井県としては直面しておりますが、一方で、他の県が普通、全体の仕事として行っておられる仕事は停滞をすることなくしっかりと進める必要がありますので、こういう点に昨年もずっと注意をしていましたが、今年も特にそういうことに気をつけながら、設定した目標には全力で当たるというふうに思っております。
 こうした考えのもとに、今年度は222項目の設定をしました。23年度は219項目でしたから、3項目増えたということになります。
 今回の設定なり、仕事の進め方の特徴ですが、特に1点目は、各政策一元管理でやるわけですが、さらに、その中でいつまでやるかという目標を設けました。秋までとか、前半にやるとか、よりスピードというよりも機敏にと言った方がよろしいでしょうか。
 例えば小松空港から羽田空港で乗り継ぐ旅行商品の開発は8月頃までとか、技能選手権は11月に開催するとか、あるいは技術開発のロードマップは9月までに作るとか、ふくい南青山291サテライトショップは秋までに作るとか、より設定を厳格にして仕事の機敏さを評価するということです。
 この時期を明らかにしたものが55件あります。これをより実効性を上げるために、主なものは副知事や政策幹が定期的にこれをチェックする。そして、成果と進行管理をして、何か月か経って、まだしていなかったのかということができるだけないようにしたい。
 2つ目は、食べ物や観光などを中心にした福井の発信力の強化ということに注目をしながら、様々な政策を進めてまいりたいということです。日本のふるさとということを大事にしていきたいということです。
 例えば食に関して言いますと、今年の秋になりますが、11月に、「ふくい味の週間」というものに合わせまして、そのイベントのみならず、福井米の商標登録だとか、学校給食の献立作成とか、いろんなものを集中させて、日本のふるさとということをより鮮明にアピールしたり実行できるような努力もしてまいりたいと思います。
 また、観光などにつきましても、一乗谷朝倉氏遺跡の展望台とか周遊バスとか、そういうものを強化して、フィールドミュージアム化するということがありますが、IT技術なども使ったり、様々なことで発信力をクリアにすると同時に、人材力を高めていく。様々な専門の方や有名な方もおられると思いますが、そうした方を通じて情報を得たり、あるいは情報を発信するという発信力と人材力を高めて、日本のふるさとのイメージをより強化してまいります。
 3点目の観点としては、先進分野をさらに前へ進めるということです。全国トップレベルの分野について、これに満足することなく、次の段階へと引き上げるということであります。
 例えば子育てについては、新しい政策をいろんな計画を作って25年度にさらに事業化するとか、農村・農業再生計画は1年前倒しして今年度中に作るとか、いろんなことをしたいと思いますし、昨年度設定した4年間のマニフェストの目標についても、7項目を4年間の途中ですが上方修正するということです。数値目標は100あります。26年度までということですが、それを7項目はさらに目標の上方修正を行うわけです。例えばふくい南青山291の売上高については2億円の目標を3億2,000万円に高めてしまうようなこともやりたいと思います。
 なお、今年は31項目をチャレンジ目標として設定しました。前年は28項目でしたので、若干増やしております。
 詳しい話は担当課から後ほどご説明しますので、お聞き取りを願います。

 次に、大きく2つ目でありますが、「福井県学力向上センター」の設置です。
 これは教育委員会が中心に行うものですが、福井県では教育のこれからのキーワードとして「福井型18年教育」を掲げており、幼児期、ゼロ歳から18歳まで、高校卒業までの教育やトレーニングをできるだけ一貫して行うというものです。小・中学校の学力が全国トップクラスでありますので、幼児期からは心の教育や生活教育などを小学校へつなげていくということですし、高校については、小・中学校の学力・体力日本一が必ずしも高校の進学や職業教育の高いレベルにまで至っていない部分が感じられますので、これをレベルアップするということです。そのために福井県学力向上センターを設置するわけです。幼児関係の教育センターは、また別途作ります。
 特に学力向上センターについては、高等学校の教育というのを重視しなければならないと思います。これは、いわゆる幼児、小・中・高ということで、大学に行く、あるいは社会人となる出口ということになりますので、そのレベルが途中では高くても高校で低くなってしまうというのでは、せっかくの学力、体力が生きることにはなりませんから、そういうことを強化してまいりたいと思います。今月末の教育委員会がこれを決定され、5月1日にこれを設置するということになります。
 これは、教育委員会のそうした教育関係の責任者はもとより、県内外の専門家、それから、具体的には学校の先生、現場の皆さんがいろんな委員会やグループをつくって教材を考え、実行したり、システムを考えたりする、いろいろ直していくとか、そういう作業が一つ一つ必要ですので、大きな方向を出しながら、できるところからこれを進めていくということになります。一例を申し上げますと、来年の大学の入試の成績などもさらにまた上げていく、そういう非常にはっきりした事柄などもずっとこれから幾つか関わる分野でもあります。

 それから、3つ目は、「第73回国民体育大会」の愛称とスローガンの募集であります。愛称とスローガンを今週27日から6月末までの間で募集します。国体については、県民一人一人がスポーツを楽しみ、参加をし、そして、福井をPRするという3つの具体的なアクションがありますが、全体として国体がどういうキャッチフレーズでどういう気持ちを表すのかということが大事であり、愛称については、俗に言うキャッチフレーズ的な事柄になると思います。例えば、今年の岐阜県は「ぎふ清流国体」です。それから、スローガンは、精神といいましょうか、「みんなが主役」だとか「誰でもやるんだ」とかになると思います。そういうような土地柄を表す愛称と、精神のスローガン、この2つを作っていくということになります。
 入賞作品は国体の準備委員会において決定し、11月頃に発表をすることになります。入賞作品の応募者には賞金と副賞を差し上げ、決定後は広く県内外に発信をします。
〔資料:愛称・スローガン募集〕

 それから、4つ目ですが、水産業の関係で、「旬の地魚テント市」の開催です。昨年10月から、県庁の前の福井県水産会館の1階で「ふくいの地魚情報館」が開かれております。これまで半年間経過いたしましたが、おおむね予想どおり、半年間で5,000人強がお見えになってお魚を買っておられますが、なお店舗の面積やオープン性ということが必ずしも十分ではありませんので、テント市を開くということです。
 水産会館の横の隣接地がオープンになっていますので、まず定置網の盛漁期である5月から7月までと、底引き網の盛漁期である9月から11月までの期間の毎週金曜日に、さらに場所も拡大をして地魚の提供をします。5月から7月については、マダイ、ヒラメ、サヨリ、アジ、スルメイカ、9月から11月については、カレイ、アマエビ、グジ、それからカニなどが販売される予定です。

 それから、5点目でありますが、これも多少国体にも関係いたしましょうか、「みんなで歩こうproject」の実施であります。22年度から職場を中心に事業者ごとに5人一組で参加していただくようなことをやっております。23年度には53チームがこうしたウォーキング運動に理解をいただいて、積極的にウォーキングをやっておりますが、さらにこれを拡大しようということです。
 ちなみに、5月19、20日には若狭町で「若狭・三方五湖ツーデーマーチ」がありますが、これを皮切りに1万人の参加を目指したいというふうに思っております。
 また、全国初の試みとして、県と民間企業が連携し、企業が運営するサイトを活用しながら、それぞれ皆さんが1日なり1週間どれぐらい歩いたかなどをこのサイトに登録して、互いに盛り上がるようなやり方をしながら、ウォーキングを楽しんでいただき、国体などにもつなげていくということを考えています。

 最後、6点目ですが、間もなく4月末から5月のゴールデンウィークが始まりますが、県内ではちょうどツツジの季節ですから、5月3日から5日までの「さばえつつじまつり」、5月2日から3日までの小浜の「お城まつり」、それから5月6日の「永平寺花祭り」など、いろんなイベントがあります。
 一乗谷朝倉氏遺跡については、遺跡内を周遊するシャトルバス「朝倉ゆめまる号」を福井市と県とが共同で初めて、今月28日から運行をします。バスの中には、戦国時代の衣装に扮したミュージアムガイドが遺跡の散策モデルルートなどを紹介する予定です。
 あわせまして、「一乗谷朝倉氏遺跡資料館」です。これはすばらしい資料をたくさん持っているのですが、実際、展示しているのはそのごくわずかですので、もっともっとメインのものを展示しながら、展示物を入れ替えていく必要がありますので、まずは第1弾として、通常の貴重な展示に加えまして、西山光照寺跡の逸品展を5月8日まで開いております。
 これは、これまで発掘した青磁の燭台や鉄釉小壺、笏谷石製の盤など非常に貴重な遺物も展示をする予定です。
 それから、「県立美術館」については、現在、「ストラスブール美術館展」を開催中であり、ゴーギャン、ピカソ、ローランサンなど、19世紀後半から20世紀後半までに活躍した60作家、約100点の作品を展示しておりますので、ぜひ足を運んでいただきたいと思います。
 「恐竜博物館」ですが、平成21年に北アメリカから購入したカマラサウルスの全身骨格の復元に向け、その中で最も重要な復元工程の1つである頭骨の復元が完成したので、今月27日からゴールデンウィーク期間限定で公開をする予定です。
 このカマラサウルスの復元頭骨を初公開するほか、複製制作過程も実演、解説をしますので、見ていただきたいと思います。
 なお、そのほかにも「若狭歴史民俗資料館」では弥生時代の嶺南地域の暮らしぶり、「県陶芸館」では山口県立萩美術館・浦上記念館のコレクションによる朝鮮陶磁器の特別展覧会などが開かれますので、ぜひとも県内の観光文化施設にお出かけください。

~ 質 疑 ~

【記者】
 政策合意について、平成23年度の結果、達成率が84%という数字をどう受けとめていらっしゃいますか。また、今年度は実施時期を明らかにしたものを55件としていますが、かなり条件は厳しくなると思いますが、それでもやはりこのぐらいの水準を見込んでいらっしゃるか、あわせてお伺いします。

【知事】
 達成率84%は前年よりも増加をしておりますし、決して目標を緩めたわけじゃありませんので、県庁全体としても頑張ってくれたと思います。また、県内のいろんな企業や団体、県民の皆さんと一緒にやらなければならないプロジェクトがだんだん増えておりますので、そういう意味では、しっかりとご協力を賜ったということで、お礼を申し上げたいと思います。
 新年度も、より強度を上げましたが、ぜひとも成果を上げたいと思います。そのほか、いろんな社会情勢の中で、様々な課題がありますので、気をしっかり集中して、それぞれのセクションの課題の解決を図るということを職員にも申しておりますし、私もそのつもりで仕事をしたいと思っております。

【記者】
 同じく政策合意の件で1点お伺いします。
 昨年度、部局の枠を超えた連携を強化した計画に政策の実現に取り組むということを挙げられていたと思いますが、本年度は、そういう面の強化等、具体例があれば教えてください。

【知事】
 ほとんど、実際書いてあるものはそれぞれでやっていますが、部局連携の項目は多いですし、スピードを上げないといけませんので、副知事とか政策幹がやるときには、特定の部長ではなく、県庁全体の部長が集まって、これはどうだというふうなやり方になると思いますので、進め方そのものが部局連携型にならざるを得ないと、そんな気持ちでやりたいということになるでしょうということです。

【記者】
 安全環境部の関係で、「津波のシミュレーション等をもとに」という文言がありますが、これはたしか去年の6月補正予算で、津波のシミュレーションと嶺南の原発周辺からの避難のシミュレーションの予算が盛り込まれたと思いますが、それについて、いつぐらいをめどに、どのような場で発表されるのか、お考えをお伺いしたいと思います。

【知事】
 秋の9月補正予算だったので、少し時間がかかるかもしれませんが、できるだけわかった範囲で申し上げていきます。前々から申し上げているとおり国のちゃんとした判断がないと、個別に議論してもうまく整合がとれないなど、いろんな議論があると思いますので、かなり注意していろんなことをやらないといけないと思います。
 いずれにしても、住民の方ができるだけ早く避難する、注意喚起の材料には活用しなければなりませんので、そういう観点でやりたいと思います。できるだけ遅くならないようにしないといけないと思っています。

【記者】
 知事は、枝野経済産業大臣と面談した際に、大電力消費地・関西の理解について、政府が積極的に対応すべきだとおっしゃいました。それから今日までの間に、京都府、滋賀県が慎重な姿勢を示したり、特に今日は大阪府と大阪市が、新たに8項目の100km圏内の安全協定等を求めています。そうした関西圏の動きとそれに対する国の対応をどう見ていらっしゃいますか。

【知事】
 消費地と我々、立地地域とは立場といいますか、歴史も違うと思いますが、十分な理解が必要ですし、誤解があってもいけませんし、認識の不足といったことがあってもいけませんので、しっかり説明して、理解を求めるということは重要だと思っております。そういう意味で、先般も国に対してそういうことを申し上げたということです。

【記者】
 この10日間の国の対応をどう見ていますか。

【知事】
 いずれにしても、心構えを政府がはっきりされて、しっかり説明をして、物事を収めていただくということが大事だというふうに、筋を通して行うということを期待します。

【記者】
 知事は枝野大臣に、国民理解のための明確なメッセージを求められましたが、23日に、滋賀県、京都府を副大臣が来訪し、その説明をしたことで知事が求めていた政府による努力がなされたとお考えですか。

【知事】
 いずれにしても、政府の気構えをはっきり持って、消費地の皆さんに伝えているかという、その政府の意図、つまり、原子力発電が重要な基幹電源であることを福井県に対しておっしゃったと思いますし、もちろん安全は前提ですが、単なる瞬間的な需要供給の議論だけではなくて、将来的、あるいは日本の産業やエネルギーの基本にかかわる問題としてこれをとらえるという大前提で理解を求めるということが必要であり、それをしっかりきちんとしておられるかということであると思います。

【記者】
 きちんとやっているというふうに理解してらっしゃるのですか。

【知事】
 それは今の段階では必ずしもよくわからない。しっかりやっておられるつもりだとは思いますけれども。

【記者】
 本日、大阪府と大阪市が共同で藤村官房長官に8項目の提言を出したことについてです。主に安全対策というものを中心に、政府の対応をもうちょっと慎重にやってほしいというものと、防災計画を早く作るべきであるということ、それから、原発から100km程度の都道府県を対象に安全協定を結べる仕組みづくりをしてほしいといったことが要点になると思います。こういったことが大阪から求められていることについての、現時点の知事のお考えをお聞きします。

【知事】
 今、政府側のお話を申し上げましたが、消費地につきましても、客観的に、冷静に物事を判断して、いろんなお話をされる必要があると思います。いたずらに、あまり想像だけが動いてしまうといけませんから、現実にエネルギーなり原子力の理解と自覚というものをしっかりした上での議論に収束することが大事かなと思いますし、もちろん、政治的な材料とかになってはならないわけですので、そこは日本の将来や国家の安全、エネルギーと国民の生活などの国益を考えて、消費地という立場でも判断をされる必要があると思います。それによって初めて物事は収まるだろうと思います。

【記者】
 枝野大臣の来県以降、政府から滋賀県や京都府に対していろいろ地元理解のための動きはあったと思いますが、それを納得する気配がないように見受けられます。関西が再稼働問題に納得するまでには、知事は再稼働を判断するのか否かをお伺いします。
また、今日の朝刊で、地元というのはどこまでの範囲かを国民に聞いたところ、59%が県外も含めるという回答がありました。知事のお考えと大分違うようですが、ご所見を伺います。

【知事】
 2つのご質問は共通的なところが多いと思いますが、いずれにしても、野球でグラウンドの上で実際にいろんなことをするのと、それを眺めるといいましょうか、それとはまた全然事柄が違うわけですから、お互いいろんな関心もあるし、共通の分野もあります。基本的に福井県として長年にわたって責任を持っていろんな問題に取り組んでいるわけですから、そういうものと消費地との考えというのは自ずと立場も違うし、これまで寄ってきた歴史や時間も異なりますので、言葉だけでいろんなことを、こっちだ、あっちだというものではないと思います。

【記者】
 最初の質問は、知事は、関西が納得するのを待ってから再稼働を判断するということでよろしいでしょうか。

【知事】
 それは、政府が心構えと気概を持って収めるということが大事です。

【記者】
 収まらないと駄目なのですか。

【知事】
 収めるという政府の責任であって、私がそれをやるものではない。

【記者】
 知事がおっしゃった中間貯蔵施設等の痛みを分かちあってもらいたいという話がありましたが、この10日間で、まず、奈良県知事や大阪市長は、受け入れを示され、一方で、和歌山県知事のようにやはり原発の隣であるべきだという発言もありました。これについての知事の見解をお聞かせいただきたいと思います。

【知事】
 中間貯蔵というのは、使用済み燃料のことです。これまで40年間にわたって我々は電力を供給する立場でしたし、消費地はその恩恵に浴してきたわけですから、現在までに使われた燃料、使用済み燃料なのです。まず、そこの理解をしっかりしていただくことが必要だと思います。それで、ある程度いろんなことをご理解いただいてきたのかなと私は思っております。原子力というのは、立地地域と消費地域というのが具体的に現実の問題として、何十年間にわたってこういう関係にあるのだと、あったのだということを大分理解をしていただいたのかなと思います。

【記者】
 和歌山県知事の原発の隣にあるべきだという意見については。

【知事】
 すぐに何がどうだということではなくて、よくお考えになっていただくテーマなのだと思います。だんだん将来的な廃炉の問題とか、いろんなことが起き得るわけですので、様々なことが原子力の問題というのはあるのだということを消費地として考えるべきだと思いますし、その責任もあるだろうと思います。

【記者】
 先ほどの質問の答えを、もう1回確認したいのですが、知事は関西の理解について、政府の努力を求めたわけですが、再稼働の判断に当たって、関西がある程度納得するまで再稼働の判断はしないということでよろしいのですか。

【知事】
 それは、政府が関西に説明をされて、こういうふうに収まったという判断をされるかどうかにかかるのではないでしょうか。

【記者】
 あくまで政府が収めたという判断をしてから、知事が再度判断するということでしょうか。

【知事】
 そういう構造になると思いますが。

【記者】
 大阪市長などからは、政府が安全基準について、原子力安全委員会や4月に発足する予定だった原子力規制庁のチェックがかかっていないことから、手続に瑕疵がある、政治判断に問題があるのではないかという声があります。知事は、安全基準について原子力安全委員会などがチェックしていないということについて、どう思われているのでしょうか。

【知事】
 原子力規制庁については、早く作るべきだと思います。そして、目途を早く立てるべきであって、政府や関係者が、これを放っておくのはいけないと思います。無駄に時間を過ごしてはいけないわけです。
 一方で、その間、原子力安全委員会や原子力安全・保安院が、しっかり原子力の安全の問題に取り組んでいただかないと、我々地元としては困ると思います。安全委員会は誰かの仕事だとか、政府はそのことについて物を言えないだとか、そういう責任のないことではいけないわけです。北海道では今でも原子力発電所は動いているわけですし、他の立地県でも原子力発電所は安全に、みんなで一生懸命維持しているわけですから、真剣に取り組まないと、国民に対する義務は果たせないと思います。

【記者】
 安全基準を原子力安全委員会もチェックすべきだとお考えですか。

【知事】
 存在しているものがものを果たさないという国家があってはいけないと思います。一方で、規制庁をそういう方針であるのであれば急がなければいけない。真剣に取り組んで、できるだけ早く作るということだと思います。

【記者】
 枝野大臣が来県されたときに、知事は最終的には再稼働の判断は立地の県がやるべきものであり、関西の判断、消費地の理解というのは条件にはならないという認識を示されたと思います。改めて立地というのは、どこだと考えていらっしゃるのでしょうか。

【知事】
 県でいうと福井県のことです。おおい町は、もちろん、もっとより現実的な立地の町だと思います。

【記者】
 そこの2つは立地だと思っていらっしゃると。

【知事】
 そうです。

【記者】
 それ以外、例えば越前市とか小浜市とか、県内の自治体はどのように考えていらっしゃるのでしょうか。

【知事】
 小浜市は隣接、越前市は隣々接。

【記者】
 そういう市町の首長や住民の理解はどのようにして得ようと思っていらっしゃいますか。

【知事】
 それは福井県が責任を持って様々対応する。それは、県議会と力を合わせて判断をしていくということです。

【記者】
 滋賀県に副大臣が説明に来ることになったことに関して、立地自治体と周辺で差をつけるということについてはどう思われるでしょうか。

【知事】
 それは国が考えることでしょう。県は、福井県民なり、日本の原子力の安全に責任を持っていろいろ判断する、それに尽きるのです。

【記者】
 小浜市民を対象にした住民説明会が5月1日に開かれることになったそうですが、西川知事が、今後、小浜市民の意向を知事の判断にどのように踏まえるか、あるいは小浜市民は立地ではないということで、その際は判断から対象外とするのかということについてお伺いします。
 また、周辺自治体の説明を順次、国が行っていますが、このように国が周辺自治体に対しても説明していくべきかということについてお伺いします。

【知事】
 それぞれの町ごとにいろんな歴史と立地条件がありますので、一概には言えませんが、町ごとにいろんなご判断もされる必要があるかもしれませんし、我々はそれを総合的に判断しながら、県議会と県ということで、これまでも40年間、いろんな判断や国への要請を行い、しかるべき結果を得てきましたから、そういうことでやっていくということです。

【記者】
 おおい町長とのように、お互いの考えを聞き合うということの対象ではないのですか。

【知事】
 個別課題ですから、今の段階で言いようがありません。

【記者】
 政府が昨日、この夏の電力需給の見通しを公表し、関西電力は16.3%不足するという試算を出しましたが、この数字というのは県が判断するに当たって影響を与える数字でしょうか。

【知事】
 我々が枝野大臣に申し上げているのは、目先の電力需給というのも関心事ではあるけれども、まず、それのみならず、長期的に原子力発電によるエネルギー供給をどう思うかということについてお話を申し上げたわけです。そうしたら、国といいますか、大臣としては、長期的な観点から、原子力発電は重要な基幹電源であり、必要な対応が要るのだということですから、そういう中で国が需給の問題を含めて判断するということになると思います。

【記者】
 先日、政府から再稼働への基準が決定されて、示されています。知事が求めていたものは、暫定的な基準であったはずなのですが、政府のほうは、最初、暫定的と言っていたものが、暫定的という部分が取れて、これで再稼働をほかにもやっていくようなことを言っているようですが、そのあたり、その基準というものが正式版となってしまっていいのでしょうか。

【副知事】
 暫定という言葉は法律用語ではないので、補足しますと、県が求めていたのは、とにかく新しい法的な手続を経なくても基準としてつくっていただく。福島であったことを分析して、新しい基準、試案というものをつくっていただくということを県として要請してきたものでして、国のほうは、厳密に言えば、原子炉等規制法の新しい改正法ができ上がって、その後にいろんな手続を新法で、新しい組織で、新しい手続を踏んで、つくり上げて、それを適用するという、そこまで時間がかかる。そこがあって新しい基準となるものですが、今回、とりわけ30項目と言われているものは、今、規制庁の設置もまだであれば、原子炉等規制法の改正案もでき上がっていない段階において、あらかじめ過酷な事故のために講ずべき項目というのを前倒してやったという意味で暫定基準と言っております。法的な手続を待つことなく規制をつくっていただきたいという、この1点においては、県の要請に合致しているものであったと思っております。

【知事】
 1年前から言っている暫定というのは、福島のあの事故をいかに教訓として活かすかというのがすべての原点なのです。そこで、福島の知見というのをすべて100%、ある段階で解明ができない性格のものでしょうから、一定期間の中でわかること、わかったこと、あるいはある程度の蓋然性を持ってそういうことがあったのではないかということをまず反映すべきだというのが我々の1年来の主張なのです。そういう中で、国からいろんな作業もされて、返事も来ています。さらに、今後、新しい知見が入れば、バックフィットをいとわないと、これが今回の福島の教訓です。何かあったらすぐそれに対応する、放置しないということが暫定の意味になります。ごく近い将来、法律化をする必要がありますが、その前に、ほぼ法律事項として項目を明らかにすると、そういう項目といいましょうか、基準の決め方、新しい基準、そういうものが提示されたということになると思います。

―― 了 ――
 

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