知事記者会見の概要(平成24年6月16日(土))

最終更新日 2009年9月16日ページID 017842

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平成24年6月16日(土曜日)
16:00~16:40
県庁 特別会議室

 
知事会見①
 

【知事】
  今日午前、私は、野田総理大臣および関係大臣にお会いし、政府から強い要請のありました関西電力大飯原子力発電所3、4号機の運転を再開することについて、総理大臣の「国民生活を守るため」という強い決意と、すでに十分な安全対策がとられ、国、電力事業者ともに、今後さらに原子力の安全に万全を期すとの責任ある確約が得られたため、これに同意する旨をお伝えしました。
  その後、開かれた4大臣会合において、大飯原発の3、4号機の再起動に了承されたと理解しております。
  今回、運転再開に福井県が同意するにあたりましては、福井県原子力安全専門委員会が、精力的に検証と審議を重ねてまとめられた報告書を踏まえ、私自身も現地を確認した上で、さらに地元おおい町と福井県議会のご意見をお聞きし、また、事業者である関西電力社長から、「安全運転に全社を挙げて取り組む」との決意を伺って決めたものです。
  さて、3.11以降、福井県が、原子力発電所の問題に取り組んできた経過を改めて申し上げますと、3月の福島事故の発生直後から、福井県においては、「福島のような事故は絶対に起こさせない」との強い決意を持ち、まず、電力会社である関西電力等に、安全対策の強化を求めてまいりました。
  全国最多の原発を持つ福井県としては、県民を守る、安全が第一という強い決意を新たにし、国に先駆けて、電源確保の問題や冷却機能の強化など、緊急的な課題を、事業者にまず解決をさせ、さらに人員体制や情報通信網など福島事故で問題となったいわゆる最初動、あるいは初動対応の不十分さ、不足を現場の実態に合わせて、改善をさせてまいりました。
  一方、国に対しては、福島事故の知見を活かした、まずは、暫定的な安全基準をつくり、さらに、新たに事実や知見が判明したときには、これを現実の改善、安全対策に速やかに反映させるべきだと強く提言してまいりました。
いろんな事柄に暫定という言葉がよく使われますが、福井県、我々が申し上げている基本は、この意味の暫定です。常に、原発のリスクに向き合ってきた地元として、いち早く、緊急な対応を行い、国に対しても現実的な対策を提言してまいりましたし、このことが、福井県、また、全国にあるります原子力発電所の安全を守る一番の要件ではないかと思ってまいりました。
  こうした中で、国にも様々な提言をしてまいりましたが、国が昨年9月に、ようやく専門家の意見聴取会を設置し、今年4月、再稼働にあたっての判断基準を策定することになったわけです。そして、4月14日に枝野経済産業大臣から、大飯3、4号機の安全性を確認したとして、再稼働の地元理解を求めてこられました。しかし、担当大臣の発言のブレが大きく国の姿勢に対する不信感が広がったことはご承知のとおりです。
  さらに、電力消費地では、「夏に限って稼働するのだ」などと原子力発電に対する十分な理解が進まない状況であったため、国民に直接、原子力発電の安全性、再稼働の意義を訴えるよう、責任ある立場で物事を訴えていただきたいということで、様々な機会に要請をしてまいりました。
  こうした中、この要請を受け、6月8日に至り、野田総理大臣は、記者会見で次のような点を明確に語られたわけです。
  いくつかありますが、一つは、国民生活を守るため、自身の責任で大飯3、4号機を再稼働させるべきであると考える。福島を襲ったような地震、津波が起きても、事故を防止できる対策と体制が整っており、実質的に安全は確保されている。安全に絶対はなく、最新の知見に照らして常に見直していく。今原発を停止すれば、日本社会は全体として立ち行かない。また、短期的な電力需給のみならず電力価格の高騰、産業の空洞化、雇用の喪失、エネルギー安全保障の視点からも、原子力発電は重要な電源であると、このようなことを、総理の覚悟を国に向けて述べられたところです。
  私としては、この発言が原子力発電に対する政府の基本的な考え方であると、重く受け止めました。そして、福井県としては、この後、6月11日には県原子力安全専門委員会から必要な対策は確保できているとの報告を受け、また、12日には私自身が大飯発電所において関西電力の安全対策の実施状況を確認しました。
  また、一昨日には県民の代表である福井県議会において、再稼働について各会派の考え方が示され、そして、おおい町長からは再稼働を容認するとの意見を受けました。
  昨日は、関西電力の社長に対し、安全、安定運転について、電力事業者として、しっかりとした安全を含む対策ができているか、また、経営のトップとしての決意はどうなのか、とお聞きしたところです。
  関電社長には、2年から4年程度かかる防潮堤のかさ上げ、免震構造の事務棟の建設、あるいは、フィルター付ベント設備の設置などをさらに急ぐよう要請し、最大限工事を急ぐことを約束いただきました。
  なお、これらの構造物については、完成までの代替機能や代替方法が備わっていることを国や県の安全専門委員会も了承をしています。こうした国や事業者の対応、県議会やおおい町の意見を総合的に勘案し、本日、大飯3、4号機の再稼働に同意したところです。
  県内で原発が運転開始して40年超、原発立地の福井に安全神話はないという姿勢の下で、原子力発電所の安全を国任せや事業者任せにせず、県自らが昼夜を問わず、厳しく監視をし、県民の安全安心を守ってきました。
  今回の大飯3、4号機の再稼働につきましても、全国最多の専門職員を有する県原子力安全対策課が、事業者の安全対策をチェックし、また県独自の原子力安全専門委員会が厳しくその内容を検証してまいりました。
  さらに、これから国が作ることになりました大飯原子力発電所の特別な監視体制に、専門職員を参画させることとしております。その特別な監視体制は、万が一の事故の制圧に万全を期すため、また、これからの日々の安全監視を厳重に行うため県が要請してきたものです。原発の安全規制は、本来国が一元の責任下で行うものですが、福井県が地元原子力発電所の安全対策の経過を十分承知しており、住民にそれをいち早く知らせる役割を有しているわけです。今回、極めて異例のことではありますが、国に協力することとしました。
  こうした中で、原子力の推進は国策であり、本県の原発で生じている電気の9割は関西に送られている状況にあります。福島事故以降、原発に対する賛否両論が激しいわけですが、エネルギーのほとんどを海外に頼らざるを得ない我が国は、当面、原子力発電を重要な電源として安全に稼働させていくのが最も現実的な方法であると理解しております。福井県には全国の3分の1あまりの原子力発電所があり、これを全部止めたままでは、地域経済が立ち行かないという深刻な問題もあります。
  今後の課題として、国民全体が、特に消費地において、原子力発電の重要性を理解していただかなければなりません。そのため、野田総理大臣には、原子力発電の位置づけについて政府の明確な意思表明を要請したのです。また、本日も野田総理に対し、国民の原子力発電の重要性と立地地域への理解を深めるよう強く要請をいたしました。
  今後も、大飯3、4号機以外の再稼働の問題もあります、その他にも、高経年化した原子炉の運転延長の問題、廃炉の問題、使用済み燃料など、課題は山積しております。原子力防災の検討も早急に進めていく必要があります。
  安全性の追求に終わりは無いという姿勢の下で、県民の安全・安心を守るため、これらの課題に一つ一つ丁寧にしっかりとした対応を継続してまいりたいと思います。
  県民の皆様の御理解と御協力を是非とも願いたいと思います。


~質疑~

【記者】
  知事は今日再稼働に同意しましたが、県民の中には政府に伝える前に、県民に考えを示してほしかったという声が多くあります。このことに対する説明と、あらためて県民に向けてのメッセージをお願いします。

【知事】
  どういう方法で、議論したかですが、これまでの積み重ねの中で実行してまいったところですし、総理大臣、また関係閣僚からも様々な決意と考え方を伺った上で、福井県としての判断が必要ですので、今日こうした手続き、方法で確認をし、同意を申し上げたところです。
  県民のご理解については、福島の事故の大きさ等々、まだまだ理解が十分に行き渡っていない面がありますが、これから様々なことをしっかり申し上げ、何と言っても安全運転をこれから行う、また、単なる理屈を述べるということではなくて、現実的な実際の信頼をハード・ソフト様々な面で深めていくというのが極めて大事ですので、そうしたことをこれからも実行し、また必要な説明を十分に行っていくことが重要だと思います。
  いずれにしても、40年来、様々実現してきました福井県の安全を実績にして、今後とも最大多数のご理解が得られるようやってまいります。
  極めて重要な課題でありますので、努力を惜しんではならないと思います。

【記者】
  まだまだ国民世論を二分するような原子力の問題ですが、反発の声もある中、エネルギーの安全保障という問題もある中で、同意に至った理由を教えてほしいというのが1点。
  現在どのような心境であるかというのが1点。震災から1年3ヶ月経ち、枝野大臣の来県から2ヶ月かかっていて、時間がかかった理由、その中で一番気を遣われた、配慮されたのはどういう点だったのか、伺います。

【知事】
  福島の事故の重大さということが大きな背景にあると思いますし、常日頃、福井県は他の地域から比べるといろいろこういう問題に取り組んできましたから、そうした理解とかそういう点では違うと思いますが、多くの皆さんがビックリされて、驚いたり、不安を感じたり、危険だとか色んな中での判断であります。
  これからも深い理解を求めると同時に、いかにリスクをしっかりした安全に変えていくかということですので、日本としても様々な駆使できる限りの技術を使ってこの原子力問題、安全の問題に取り組むということではないかと思っております。
  今、様々な安全対策は向上していると思いますし、この意味を政府も国もさらにしっかり説明をし、わかっていただく必要もありますし、またメディアの皆さんにもお願いしたいと思います。
  さらに、これが十分というわけではありませんので、これからも様々な手段を尽くして実際の対応の中でもこうした理解を求めるということが重要だと思っております。いずれにしても最も多く原発を持っている福井県ですので、今回の福島の事故を十分受け止めて、福井として、もちろん県民の皆さんの安全が第一でありますけれども、全国にも、意味なり、実際に行っていることのご理解を得ていきたいと思います。

【記者】
  同意に至った理由というのは。

【知事】
  今様々述べたことに尽きております。

【記者】
  今日、野田首相との会談の後に、枝野大臣が改めて、中長期的には原発依存からの脱却を目指して最大限依存度を減らしていくという発言があり、若干、知事が首相に求めた基幹電源としての原発の重要性という認識と政権との食い違い、ずれというものがあるのではないかと、未だにそれが残っているのではないかと思うのですが、知事の考え方はどうなのでしょうか。

【知事】
  どんな発言があったのか確認はしておりませんが、いずれにしても、現実、当面、あるいは中期的な議論と長期的な議論があると思います。
長期的な議論については、今政府でも様々議論をされておるわけですから、そうした中で日本のエネルギーの色々な問題について、どんな方向にするのか議論がなされるのではと思います。

【記者】
  8月を目処にエネルギー政策のあり方というのが出されると思うのですが、その際知事が求めるような原発の重要性というのが今後中長期的に下げられていくという方針が出された場合、大飯原発以外の県内の原発の再稼働は認めないという可能性はあるのでしょうか。

【知事】
  時間的な問題があるのではないかと思います。全国の原子力発電所の課題は、現実の問題として、これから他の立地地域にも議論が起こると思いますけれども。

【記者】
  国民の全体に原発の重要性を理解してもらう必要があるという点で、政府や立地県、消費地、それぞれどんな姿勢、どんな取組みが必要か考えている部分はあるのでしょうか。

【知事】
  これはかなり国や政府において、もっともっとやっていただかないといけない部分であります。
  特に科学的な議論と合理的な判断というのが背景になく、観念的な議論だけになっていることでは、こうした高い複雑な技術を使って、また影響の大きい原子力エネルギーという問題について、十分な認識には国民の皆さんが到達しないと思います。
  これからの子ども達への教育とか、あるいは大人のいろんな理解など様々あるわけで、この1年間の状況を見てもそういうことが必ずしも十分にまだ深まらず、かなりこういう当面の話として、いろんなことが論じられている、論ずるという意味がまたいろいろあるのですが、これからもいろんなことをどんどんやっていただいて、本当の理解、深い理解、幅広い総合的な理解の中でどういう判断をしていくのかということです。
  これは日本だけの問題ではなく、国際的にもどうだとか様々ありますので、そういう良い機会を我々持っているわけですから、それを実行すべきだと思います。

【記者】
  福島第一原発事故以来1年3か月が経って、こうやって大飯原発が再稼働するに至って、今の心境を改めて伺ってよろしいでしょうか。

【知事】
  今日はそういう結論に達しましたが、これからまた様々なことがあるわけです。そして、原子力発電所の安全の問題とか、今言った理解を深めるとか、さらに原子力発電所自体の先ほど申し上げたいろんな課題ですね。高経年化の問題とか、あるいは使用済み燃料の問題とか、廃炉の問題とか、いろんなことがあります。
  こういうことを進めていくというまた新しい段階に達しているわけです。この段階のことを国に聞きましたが、その事柄は進んでいると。それになんといっても、大飯3、4号機の現場での安全な再稼働です。細心の注意と念には念をいれた電力事業者の対応が大事だと思います。

【記者】
  全員協議会でもお話があった、県自身が確認すべきことがあるとの指摘についてはどうお考えですか。

【知事】
  当面すべきことはしていますが、いろいろ長期的な課題については、遅れることなくそれぞれしっかり監視しながら着実に進めていくつもりです。

【記者】
  先ほどのお話からですと、知事は、最後に同意を決断したというのは、今日官邸で首相と話をして改めて決意を聞かれたそのときに決意したという理解でいいでしょうか。

【知事】
  これまでのいろんな積み重ねはありますけれども。

【記者】
  知事は今回非常に大きな政治決断をされたと思います。日本中も注目する中で、何を背負った判断だと思われたのでしょうか。

【知事】
  先ほど申し上げたとおりですが、やはり、県民の安全安心をいかにしっかり確保して、また、原子力というエネルギー源ですね、現実問題としてこれを関西地域の生活と生産、企業のために送っているわけですから、この問題を解決するという、そういう当面のいろいろなことの手続き、あるいはご意見、様々なことこれからのことも含めて考慮して方針を出したということです。

【記者】
  今日、知事が総理に8項目の要請をされましたが、これに対する各大臣の回答で、明確な回答が得られたということでよろしいでしょうか。

【知事】
  これまでの様々な議論の往復の中で、多くのものは実行されていますし、かつ、総理大臣の基本的な姿勢、考え方は示されていますので、改めて今回様々なことを申し上げました。特に県議会のご意見や、あるいは専門委員会のご意見もあります。
  これは十分、関係大臣も御承知のことですが、直接、皆様からこの考え方を承って、これから実行しないといけませんから、政治的にも、行政的にも遅れることなく進めることが大事ですので、そういう大きな意味があったと思います。

【記者】
  今日、東京で福井とは違う雰囲気を感じられたかと思いますが、首相官邸に入る前のプレス報道では、福井は全く規模が違うのだけれども、反対の声、二分している中で、最終的に、一元的な責任は国にあると言われますが、知事自身の判断が、この問題を左右しているのも確かだと思います。そういった国民の世論の中で、判断を出したということを、ご自身でどのように評価されているのでしょうか。

【知事】
  私としては、特に県民の御理解を深めるということが極めて大事です。国民全体については、国がしっかり進めることが大事です。
そして、様々な実行した事柄と国民の理解というのは、少し時間差をもって生ずると思います。なんといってもきっちりとした決断とそれに基づく安全対策や、あるいはエネルギーに対する様々な見解ですね、これがはっきりして、実行されることが国民の理解につながると思います。
  しかし、その背景には福島の事故での大きな課題があったわけですので、そこは極めて重大な事柄を前提にした議論ですから、容易な課題ではないと思いますが、着実にこうした問題に取り組むのが日本全体としての役割ですし、国際的にもしっかりしないといけないと私は思います。

【記者】
  電力の最大の供給地としての役割だと。

【知事】
  我々はそのような役割を持っていますし、これから、他の立地地域もいろいろな御判断があると思いますが、そういうことの例として、見ていただく必要があると思います。

【記者】
  6月初旬段階では、知事自身は再稼働を巡る世論は依然として厳しいとの認識だったと思いますが、首相の8日の会見によって世論の方向性は変わったようにお考えでしょうか。

【知事】
  やはり、最終的な責任を持っておられる政府・国の統一した強い判断が、国民に伝わらないと、こうした大きい問題の実行はできないと思いますので、まだ時間も十分経っていませんが、これから理解が是非とも深まるように願っておりますし、これで終わったわけでは全然ありませんので、継続的に様々な努力をするというのが政府の大きな責任だと思っています。

【記者】
  今日、知事は冒頭で当面の間、原子力を使っていくことが最も現実的であるとおっしゃっていましたけれども、当面というのはどれくらいのことを指されているのでしょうか。

【知事】
  これは当面ですね。

【記者】
  使用済み燃料をどうするかということも、今日首相に対しての8項目に入れていましたが、再稼働というと使用済み燃料がどうしても出てしまう。処分場をどこにするかということは10年前から言っていますがまだ決まっていません。その中でいつまでも原子力を使っていくのか。

【知事】
  それは、今いろんな議論を進めているわけですから、そうした議論の動きを、長期的な議論ですから、十分見ていく必要があると思います。

【記者】
  今回、福島以降、初めての再稼働となるのですが、今後、他県でも原子力発電所を持っているところで議論が出てくると思います。福井県は、ある意味県独自の進んだ議論を持っていて、様々な知見を持っていると思うのですが、そうした中、他の立地県との今後の連携とか、ノウハウの提供とかあるのか教えてください。

【知事】
  元々、立地県についてはそういう組織もありますし、いろんな情報のやりとりというのがないわけではありません。それぞれの県の安全監視の伝統があると思いますが、そうしたことをベースにしっかりご自身の独自の判断を加えて、それぞれの県民、道民に対応していただくことが大事だと思います。
 

―― 了 ――
 

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