知事記者会見の概要(平成24年7月25日(水))

最終更新日 2009年9月16日ページID 018367

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平成24年7月25日(水曜日)
10:30~11:30
県庁 特別会議室

 
記者会見
 

【知事】
 発表事項が4点ありますので、申し上げます。
 まず、梅雨が明けて夏に入っていますが、局所的な豪雨が全国的に発生しました。福井県でも、先日、1時間に100mm前後の大雨が、今立あるいは坂井市周辺で降りました。特に越前和紙の産地で、岡本川流域の山間部にある大滝地区の被害が大きく、伝統産業の部分もありますので、地元とよく相談しながら、早急に復旧できるよう財政上、金融上、その他さまざまについて応援をしなければならないと考えています。
 なお、ボランティアについても、ベースキャンプを立ち上げ、いろんな運営支援を行っていますが、ボランティアの皆さんの活動もほぼ終了しつつあるという状態ですので、ご報告します。また、具体的な対策が決まった段階でお話をしたいと思います。
 また、今週はオリンピックが始まりますが、福井県からは中野希望(のぞみ)選手がフェンシングで出場されますので、ぜひとも健闘してほしいと思っています。
 また、日本全体として、昨年の大震災がございましたが、大いに気分を高揚させて、みんなで頑張ってほしいと思います。

 まず、北陸新幹線ですが、6月29日に皆様のご尽力、ご協力によって敦賀までの工事実施計画が認可されました。県民の皆さん、またメディアの皆さんにもさまざまご支援をいただきましたので、改めてお礼申し上げます。
 そこで、8月19日日曜日に、福井駅部の高架下において起工式を行います。そして、引き続き、福井市内で県内着工を記念した建設促進大会を8月19日に行う予定です。
 なお、お子さんから大人まで5千点以上、メッセージや図画などを応募いただきましたので、そうしたメッセージや言葉、図画などについても、展示・表彰します。できるだけ多くの皆さんにご参加をお願いしたいと思います。

 それから、夏休みが始まっていますが、特に県教育委員会を中心に力を入れていることをお話しします。
 まず、職業教育の分野ですが、夏休みですので、今年の夏から10日間にわたる県内企業現場でのインターンシップを初めて長期間行います。
 例えば春江工業高校は、8月20日から31日まで、県内の建設資材製造企業などにおいて、あるいは、敦賀工業高校は8月6日から10日まで、また、後半20日から24日まで、地元の電気機械製造企業等々で実践的な長期企業実習を行います。
 総括しますと、工業、農業系高校8校の2年生64名が参加します。
〔資料:実践的長期企業実習一覧
 次に、高校1年生のつまずき対策と語学についてです。中学校から高校1年になると、特に数学などが突然難しくなるというのは我々も経験していますが、そこをうまく教えていくということです。
 先月の記者会見でも申し上げましたが、高校1年生の数学の分かりにくいところ、つまずきのいろんなケースを明らかにして、指導例を学力向上委員会で既に取りまとめており、先生方が情報を共有できるよう、教育情報フォーラム、教育研究所のホームページに掲載しています。
 こうしたものを活用し、例えば羽水高校等では、夏休みの補習、生徒の個別指導での指導方法の改善をしており、2学期以降の学習の理解度向上に努めていきます。
 例えば因数分解などちょっと分かりにくいところがありますが、これはこういうものだという絵解きをするということかと思います。
 それから、英語教育ですが、夏休みを活用し、実践的な「高校生英語キャンプ」を一昨年から開いています。ここでは英語のディベートを行ったり、今年からは映画の登場人物を演じるスキット、寸劇にチャレンジするメニューなどを、嶺北・嶺南、各1か所で8月8日から10日にかけて実践をするということです。生徒91名、留学生23名、ALT28名の参加を予定しています。
 中国語については、県内中小企業の中国への進出が進んでいるわけですが、今年から初めて足羽高校生5名を7月30日から8月13日までの15日間、中国浙江省浙江工商大学への語学研修に派遣します。中国人学生との交流、地元のさまざまなメディアを題材にした授業などを通して、日常的な言語コミュニケーションができるような能力を目指します。
 続いて、「夏休み個別学習会」、「夏休み理科応援プロジェクト」についてです。主にこれは小中学生ですが、「夏休み個別学習会」については、今週初めから既に開始している学校もあります。例えば金津小学校などがそうですが、学校ごとに連続する日程で、あるいは登校日を利用したりして、5、6日程度の相談日を設けます。生徒、児童、それから保護者からの相談に対して個別に学習指導、また規則正しい夏休みの過ごし方などのアドバイスを行います。
 「夏休み理科応援プロジェクト」については、明倫中学校など、7月中に7割の学校がスタートをしています。各学校では、今ほどの個別学習会と同様に5、6日程度の実施日を設け、植物採集標本の作り方、水中微生物観察、水質調査など、自由研究の題材にもなる実験等を指導し、子供等へのサイエンスの興味を深めていただきたいと思います。
 そのほか、ラジオ番組などでもさまざまな子供の科学相談などがありますが、そういうものにも積極的に参加をするという動きもあるように伺っております。
 夏のシーズンは、さまざまな高校野球等、スポーツ大会などがありますので、本県選手には、オリンピックも同様ですが、期待をしています。

 3つ目は、農業関係で、「福井こだわり米」の名称とロゴマークの決定についてです。
 県では、無農薬・有機栽培によるお米、コシヒカリ等を中心とした「こだわり米」の登録制度をこの6月に創設しました。これは、有機栽培あるいは特別栽培米であること、また、一定の販売計画を有し、独自の名称で販売しているなど、いろんな条件がありますが、6月5日から7月6日まで一月間、「こだわり米」の登録を募集したところ、県内各地の36の個人、団体から申込みがあり、40種類を「こだわり米」として登録しました。例としては、「れんげ栽培永平寺米コシヒカリ」や「ほたるの里丁(ようろ)米こしひかり」、「コウノトリ呼び戻す農法米」など、いろんなものがあります。
 そして、この登録した「こだわり米」は、40種類ありますが、全体を総称する名称とロゴマークを決定したので、公にしたいと思います。
 まず、名前については、生物の多様性、自然景観、農村のたたずまいなど、日本の原風景が残るふるさと福井をイメージするとともに、福井がコシヒカリのふるさとだということで、現在では日本全国で栽培されているコシヒカリが、お米の代名詞になっていますが、それを「にっぽんのふるさと福井」という名前で、統一名称にしたいと思います。
 ロゴマークについては、福井米の高いクオリティ、品質を表すアルファベットのQ、また、お米の粒、あるいは水田などをイメージしたデザインです。また、農薬や化学肥料の使用を削減した有機栽培米、特別栽培米に限定して登録するので、厳選米という文字を、個別のブランド名に加えて統一マークを張るということですので、ぜひこういうお米をご購入願いたいと思います。
〔資料:こだわり米ロゴマーク
 この「にっぽんのふるさと福井」という言葉については4月に商標登録を出願しており、10月ごろには登録されるとみられます。また、ロゴマークは今月18日に商標登録出願をしましたので、年内に登録される予定です。今後はこういうマークを使ったパンフレットなどを使いながら、販売促進に努めたいと考えています。

 もう1つ申し上げますが、一乗谷朝倉氏遺跡についてです。
今月28日土曜日に、一乗谷朝倉氏遺跡に城下町が一望できる新しい物見台の整備が完了します。物見台は、来訪者の遺跡への理解を深めるため、パノラマ的に全体が見渡せる遺跡の真ん中の高台に設置することになりました。28日には、その物見台で文化財調査員がフィールドトークを行う予定です。戦国当時は1万人がそこに住んでいたようであり、そうした往時の面影に思いを馳せていただきたいと思います。
 また、一乗谷朝倉氏遺跡資料館では、もっと面白くご覧いただけるように、ジオラマ等のいろんなものを展示するなど、エントランスロビーを模様替えして、分かりやすくしています。それから、8月4日から9月17日にかけて、戦国一乗谷の庭園をテーマに企画展を開催します。一乗谷朝倉氏遺跡内には、日本で最も古い花壇の遺構があり、そういうものを含めて17か所の発掘庭園が確認されていますので、これらを一挙に公開します。
 なお、8月12日にはフォト・オリエンテーリング大会を開くほか、「朝倉ゆめまる号」が既にシャトルバスとして運行していますので、こういうものも利用していただきたいと思います。

~ 質 疑 ~

【記者】
 新幹線の起工式に合わせて建設促進大会も開かれるという話ですが、鉄道・運輸機構が既に地元自治体に対して説明を始めています。その中で既にフリーゲージ・トレインの走行を前提にした説明がなされており、また、ルートなどについても、地元からいろいろな要望が上がっているのですが、ルートの変更や修正には応じられないという非常に厳しい説明も行われています。建設促進大会では大阪までのフル規格の整備促進など、もう一度県としてのメッセージを改めて強く出すべきだと思いますが、実際、建設促進大会でどのようなお話をされるのでしょうか。

【知事】
 これからです。どんなやり方をするかというのは、そこで発表したいと思います。
 まず、先になかなか行けないところはあります。まず、それをしっかりやるということです。また、並行在来線などいろんな問題もありますから、まずは、これから住民の皆さんへのご説明や地区説明会などもやらないといけませんので、そういうものを着実に進めていくということになります。
 ですから、沿線住民の皆さんに、新幹線の事業をよく理解し、用地の取得やルートの問題などについてもさまざまのレベルでやっていくということになると思います。

【記者】
 例えば鯖江などでは集団移転に応じられるかどうかという話や、敦賀では中池見湿地の水源に絡むルートの修正などを求める声があります。機構は、そうしたことには一切応じられないということを改めて説明していますが、それに対して県として、市町を支援したり、間に入って調整するようなお考えはあるのですか。

【知事】
 これからいろんな説明と相談を行いますから、先走って、ああだ、こうだというのはちょっと申し上げにくいですが、基本的なルートの幅というのは、アセスメントも行われて終わっていますから、その中でいろんな工夫ということになると思います。

【記者】
 新幹線が走る十数年後の福井県の姿というものを、西川知事ご自身はどうなっているはずだとお考えになっているのか、教えてください。
 また、県内着工が決まったことで、嶺南地域では、若狭ルートを改めて求めていこうという声が出始めているようですが、知事は、敦賀以西のルート問題についてどのように取り組まれるのか、また、どのルートがいいとお考えなのか、意見があるようでしたら教えてください。

【知事】
 まず、ルート問題については、もちろん福井県の考え方もありますし、関西の意向もありましょうし、日本国土軸全体の議論もあるわけです。したがって、あまり拙速な議論は避けるべきですから、十分時間をかけて、沿線全体でコンセンサスを得ながら議論していくという状況です。
 いずれにしても、若狭ルートというのは、基本に今あるわけですので、そうした中でどう議論をしていくかということだと思っています。
 それから、敦賀までの開業についてのビジョンについては、既に新高速交通ネットワーク活用対策プランということでやっていますから、それを実行していこうということです。ただ、これは福井県のかなり将来にわたっての大きな課題ですし、舞鶴若狭自動車道や中部縦貫自動車道の開業の時期にほとんど当たりますので、我々が30年、40年取り組んできた基本的な基幹インフラがすべて完了する時期だと思います。そういうものを受けてやりますので、さらにさまざまな深い議論が要ると思います。そして、ある程度、何年かの幅でやれることからスピードを持ってやっていくということかなと思っています。
 また、この夏も十分時間もありますし、原子力発電所の問題などについても1つ区切りの状況にありますから、少し時間もとれるかなと思っています。

【記者】
 新幹線の敦賀以西のルートに関連して、関西広域連合では年度内に関西希望ルートを示したいという方向で、今、作業を進めていると思います。福井県としては、関西の希望ルートを見た上で議論を始めるというお考えなのでしょうか。

【知事】
 それは関係ないです。いろいろ、十分な議論をしないといけないと思います。関西としても、いろんな地域に関連しますし、そんなにすぐ考えが出るわけではないと思いますから。
 問題は、敦賀まで少しでも早く整備をするというのが最優先にまずあるわけですから。

【記者】
 大飯原発3、4号機がともにフル稼働して一区切りしたことについて、改めて知事の感想をお聞かせください。
また、今日、経済産業副大臣が来られるときにもお話があると思いますけれども、特別な監視体制が安全面で機能したかどうかの評価をお聞かせください。

【知事】
 「特別な監視体制」については、もうかなり以前から要請したことです。何といっても発電所に近い現場においてプラントの安全、それから情報公開をしっかりして発電所の安全を確保すると同時に、地元、国民全体の皆さんにその様子を分かっていただくというのが非常に大事です。そういう意味で、「特別な監視体制」は非常に有効なシステムといいますか、そういう努力であったと思います。特に牧野経済産業副大臣は現場にずっとおられて責任者として指揮をとられたわけであり、そういう意味で国民の皆さんによく見える形で頑張っていただいたという認識を持っております。
 これによって電力会社の現場のいろんな体制とか、それ以外の具体的ないろんな機器やシステム、計測器などをメンテナンスする企業の皆さんも参加しているわけでありまして、迅速に事柄が対応できてきたのではないかなと思います。今回は福井県が、異例のことでありますけれども参加をすることにより、いろんな手伝いをするということですので、そういう意味で大飯原発3、4号機のフル稼働にこぎつけられたということかと思っております。
 これはさまざまなノウハウ、言葉で表せるノウハウもありますし、ちょっと表せないようなタイプのノウハウもありますが、新しい規制庁や規制委員会にうまく早く突き進むことが大事かなと思います。

【記者】
 エネルギー政策の見直しについて、8月中にある程度、電源の構成の比率などが明らかにされると思いますが、それについて県の考えというのは、どういうふうに反映させていくのかをお聞かせください。
また、経済界などからは8月中に出すというのは拙速という不満もありますが、8月に結論を出すということについてはどういうふうにお考えでしょうか。

【知事】
 これまでずっと、1年以上にわたって何度も申し上げておりますが、基本的にはエネルギー政策、原子力とその他のエネルギーとありますけれども、現状のさまざまなものを総合的に考えると、原子力の重要性とか、資源の乏しい日本でありますし、国家の安全保障、産業への影響、これは冷静に、そして現実的な議論をして、しかるべき結論を出すべきだろうと思っています。
 選択肢が3つあるのだとか、そういうようなことだけではなくて、それがすべてではないと思います。かねがね思っていますけれども、やはりこういう重要な事柄については、政府といいますか、国が、自らの姿勢というか、心構えをある程度はっきり前提としてあることが望ましいわけで、無前提でどれですかとか、そんな話では十分な議論はできないと思います。
 特に野田総理は、はっきり会見でもおっしゃっていますが、やはり総理お一人にそういうことを任せられるというだけではいけないわけで、閣僚などいろんなメンバーの人たちが統一してまとまった形でやらないと、国民に十分な説得も説明もできないと思います。自信を持った考えを述べる体制をしっかりとるべきだと思っています。
 大飯原発だけが特別に稼働したというわけではなくて、全体の中で今回稼働をさせたわけですから、そういう理解を十分に国民に分かってもらうという努力をする。そういう中で、今後のエネルギーの選択というものが出てくるのかなと思います。

【記者】
 先日、福島原発事故の政府の事故調査委員会の最終報告が出て、政府、国会、民間、東電の事故調の結論が最終報告に全部出揃いましたが、これに対して、まず率直なご見解をお聞きします。

【知事】
 いろんな報告書が出ておりますので、それぞれ1つずつ違うようなところがありますし、また、物の見方も違うところがありますが、いずれにしても、基本的なトーンというのか、やはり電力事業者あるいは政府等、特に事業者が当面の責任もあるわけですが、そういう安全あるいは防災といいますか、災害の制圧をしっかりできなかったという、人災的なというニュアンスが基本にあります。そこも重視しなければならないと思います。ですから、電力事業者、我々としては関西電力を中心に、発行したレポートを受けて安全体制をどうするのかということを、関西電力に対して、確認や、どこがどうだったかとか、それから、何をなすべきかということを強く要請して、その結果を反映することが極めて重要だと思っています。つまり、一般的な言葉で言うと、こういった報告書をよくレビューをして、今言ったような結果を自ら明らかにし、必要な対応をするということです。
 一方で、そういうレポートを元に、嶺南・若狭地域の原発がどうなのかということを、十分、県の原子力安全専門委員会でも検証を行うべきだと思っています。

【記者】
 いつ頃からですか。

【知事】
 今回出たわけですから、早々に始めないといけないのではないですか。安全が第一ですから。

【記者】
 人災の面というのはかなり指摘されている一方で、地震による揺れが影響したかどうかという面で、政府と国会による事故調で見解が分かれているのですが、そのあたり食い違いというのはどうお考えですか。

【知事】
 それについては、昨年3月、4月から、ずっと我々が、津波あるいは地震動が、どういう影響かということを言っておりました。現場の中にすべて入れない状況ですから、可能な限り科学的な調査をして、分かることを反映し、さらに、また分かったことは、バックフィットをやろうということです。そういう中でやっていくということです。いずれにしても、地震による基本的なダメージは確認されていないという状況なのでしょうか。それはそれとして受けとめて、次に何があるかどうかということは、全然ないのだとか、そんなことは思わないでやるということです。その段階のものをはっきり大飯などについても反映させてやっているわけですから、それで安全を確保するということだと思います。全国の原発についても、個々に、その原発ごとに今言ったようなことを判断して、再稼働などの議論を進めていくということになると思います。

【記者】
 大飯原発3、4号機のフル稼働に関連して、関西の理解がどの程度進んだと考えているのか。十分だと思っているのでしょうか。

【知事】
 これは、全国知事会でもいろんな議論がありましたが、理解は深まっていると思いますが、やはりこれは、なお一層、政府等においてもいろんな理解を深めていただくような努力が要るのではないかと思います。今夏のいろんな生活や生産ということと、具体的な原子力の稼働という問題について、情報もかなり行き渡っていますから、実感として感じたり、理解していただく大事な機会かと思っています。よかったとかそういうことに留まらないで、本当に広く自分たちの生活の仕方とか、単に家庭のことのみならず、皆さん、会社に勤めて工場に行ったり、あるいはサービスの仕事をしておられて、生産、消費全体で物事を考えなければいけませんし、さらに日本の国全体のことも考えないといけませんので、そういうことの機会になったらいいと思っています。

【記者】
 美浜原発が、今日、運転開始から40年を迎えました。なかなか政府の姿勢が見えない中で、老朽化原発をどうしていくのかという、福井県として、地域経済に関わってくる大きな課題だと思いますが、老朽化原発について、知事として、どうしていくべきだという考えはあるのでしょうか。

【知事】
 これは、既に敦賀1号機等で、福井県としても、震災以前については、40年を超えるやり方についての独自のシステムを入れて対応してきましたが、3月11日の震災・津波以来、新しい法律で、40年の問題についての考え方も出ていますから、国はそうした40年超の運転の適用の議論等について、まず方針をはっきり明らかにすべきというのが今の立場です。

【記者】
 知事は日頃、40年を超える高経年化原発について、それぞれの科学的考察が必要ではないかという言い方をされるのですが、それを制度にどのように取り込むことをイメージされているのでしょうか。

【知事】
 原発をそれぞれ大きく分けると、沸騰水型あるいは加圧水型ということで違いますし、製作された年代も違います。ですので、一般的な議論もありますが、個別のプラントごとのいろんな議論も考慮に入れて行う必要があると思います。我々は、敦賀あるいは美浜の議論についてはそういう考えで、そういう法律がない以前の状況でしたけれども、福井県としても3年ごとに見直すとか、特別な定期検査を行うということをやっていましたが、今回、40年、あるいは40年を超えて10年だとか20年と、そういう議論を抽象的にやってもいけないので、そういうやり方を加えていかないとこの問題は解決できないと思います。40年ですと言って、次、50年ですなんて言っていても、安全度、信頼性を確保するやり方としては必ずしも十分ではないですから、そこは早く国のほうで、こういう制度を入れるということになったわけですから、やるべきだろうと言っています。

【記者】
 大飯原発の特別な監視体制についてですが、福井県が参画したことによる効果というのを改めてお聞きしたい。

【知事】
 副知事がいつも行っていましたから、何か感想を。

【副知事】
 私は事務職で、実際、メンバーで参加したのは、原子力専門家です。要するに、原子力を専門とする関係者が定例的に会合を行い、それを東京とテレビ会議システムを使って、ずっと定期的に情報交換をしたということです。ですから、その場で、例えばアラーム1つについても、こちら側が疑問に思うことを、全員が見ている前で、円卓の状態で意見交換できました。それで、全員がそれについての情報共有、そういうことは全然気づかなかったとか、こういう危機管理の考え方もあるのかということについて技術の方同士の意見の共有ができたということは、私どもにとって大きかったのだろうというふうに思います。地元で見ていると、こういう見方やこういう意見もありますよ、こういう点、気になりますよという点は、うちの原子力安全対策課の職員はその場で言ったというふうに把握をしております。

【知事】
 やはり立地地域と結びついて、原発の安全を大事な瞬間に監視しているということが極めて重要なことだと思います。そして、みんながその現場で経験を踏むということも大事です。それは副大臣も。

【記者】
 規制委員会でも求めていくというような考えはお持ちですか。

【知事】
 規制委員会がどんなシステムをとるかということですが、今、副知事が言ったようなことが十分に参考になりますし、そういうものを加味していくということかと思います。そういう意味で、我々は、こういう特別な監視体制を提案してもいるわけです。

【記者】
 大飯原発の関係ですが、野田総理に最終的に同意されるときに、避難の体制、特に広域的避難の体制が構築できるようにという趣旨でお伝えになったと思います。その後、国のほうでの回答なり動きが、広域調整を含めて、まだ全然ないわけですが、この間の国の動きなり、これから何をすべきかというのを、今、どういうメッセージを福井県から発したいでしょうか。

【知事】
 十分な内容を持ったものを早く出していただきたいというのが我々の気持ちです。40年の問題もそうです。今回の、そのさらに上の段階になりますが、エネルギーの選択肢をどうするかというようなことについても明瞭ではありませんから。そういった細かい話もずっとあるわけですが、そういうものを早く内容を持ったものにすべきだと思います。
 ともかく、非常に大きな、30kmだとか、あるいは40年超だとか、そういうことだけが出て、その次の話がなかなか出てこないというのは問題なのです。そこをはっきり急ぐべきだと思います。特に、原子力安全委員会なども、そのままの状態で、あまり活動をしているようにも思えないです。そういうようなことがすべて課題ですから、早くそういうものを改善していくということではないでしょうか。
一方では、特別な監視体制というのは、我々としてはやらざるを得ないですから、そういうことをやりながらやっていくということだというふうに思います。
 それから、国が原子力のいろんな必要性をはっきり繰り返し、野田総理が記者会見されましたが、その後、我々はさらに十分やっていただきたいと言っていますが、どの程度これが行われているのかということについては、まだ課題があると思います。こういうことをきちっと、この国のエネルギー政策をどうするのだとか、そういうことを抜きで原発がどうだとか、反原発だとか、そんな議論をしても十分な実りある結果にはなりませんし、国としても成り立ちませんから、国民への理解を得る努力、受け身のままではいけませんし、積極的に説明をする体制を整えるということかと思っています。これはまだまだ不十分だと思います。

【記者】
 国のエネルギー政策について、先ほどの知事のご説明ですと、総理大臣など政府を構成するメンバーが、それぞれ自分の考え方はこうだということを示していかなければいけないと。その後にまた議論が必要だろうということを考えられているということだと思うのですが。

【知事】
 統一してやってほしいということです。今はまだ、それぞればらばらにやっているので。

【記者】
 政府の意見を統一して、それを国民に示して、その後の議論のあり方というのは、国民の意見を聞いて、政府がこの方向で進めましょうというのを決める方法に対して、何か提案されることはあるのでしょうか。

【知事】
 要するに選択肢を抽象的に出すだけでは重要な問題は、解決できないのです。エネルギーの問題をどうするかと言ったら、3つある、どうするなんていう議論では済まないわけで、やはり国というか、自分たちがまず基本的にはこういう姿勢を持っている、気持ちがあるのだとか、周辺の環境はこうだとか、そういう情報なり考え方を示さないとこういう議論はうまくいかないです。それが不十分ではないでしょうか。

【記者】
 知事自身がこうしたいという思いはあるのでしょうか。

【知事】
 いろんな立場がありますから、そのことはずっと言ってきていますが、それは国がなすべきことなのです。私は私なりに言っていますけれど。

【記者】
 7月16日に東京で17万人あるいは7万人と言われるような集会があり、相変わらず集会、デモが行われていますが、そういう現象についてどのようにご覧になっているか、感想をお願いいたします。

【知事】
 これは、今ほどのお話とも関連するのですが、いろんな動きはありますが、国が原発とかエネルギー問題についてもっと発信というか、考え方を明らかに、頻繁に、心を込めてやっていただかないと。それがないと、何かそういう声があるのだというのをお聞きになっているだけではいけないので、自分たちはこうだということを発信しなければ国民の理解は深まらないと思います。そういうお考えのある人もいますし、そうではないけれど、こういうことを思っている人たちもいろいろいるわけですから、それができていないから、俗に言う反原発、そういう声だけの議論になって聞こえてくるということでは不十分です。ここを政府が、日本のエネルギーはどうなのだとか、野田総理もいみじくもいろいろおっしゃいましたけれど、さらに具体的にいろんなことを言うのが国の役目だと思います。それができないと、メディアの皆さんだって十分な報道、解説もできないだろうと思います。

【記者】
 エネルギー政策について、国の基本的姿勢を示すべきだという考えをおっしゃいましたが、意見聴取会などでは、核燃料サイクルをどうするかという結論を出さずに、比率だけの話をしているのですが、核燃料サイクルなど、そういうものを全部含めての基本的に国がどうしたいかという方針を示すべきだということでよろしいのでしょうか。

【知事】
 そういうことをいろいろやっている大もとのことを、もっといろいろ努力して発信しなければいけないということだと思います。国民に理解を求めたり、説明をしたり、「この問題はこういうことです」とか、それが少なすぎるのではないでしょうか。
 例えば、もっと安全な原発というのはあり得るのかとか、どんな研究があるのだとか、いろんなことがあると思います。あるいは、ほかのエネルギーというのはどんな問題なのだとか、世界的にどんな関係があるのだとか、そういういろんなことが、あまりにも情報が出ていないでしょう。それが足りないのではないか。そういう中で、あの選択はどうだとか言うのだったらまだ選択のしようもあるでしょうけれど、それがないと、抽象的で、十分な議論が煮詰まらないでしょう。

【記者】
 その議論の仕立てが整っていないと。

【知事】
 整っていないというよりも、ますます努力してほしいということです。政府として体制をさらに整えなければいけないだろうと。

【記者】
 8月中に決めるのは難しいという感覚なのでしょうか。

【知事】
 そこまで何かいろいろコメントする立場にはありません。政府ではありませんので。

【記者】
 大飯3、4号機の再稼働問題のときに首相と面会したようなことまでやられた西川知事だからこそ、今、この混沌とした状況の中で、政府や内閣に対して、改めて要請活動なり、具体的なアクションを起こすお考えはあるのでしょうか。

【知事】
 おっしゃったことをおやりになられたらいいのではないでしょうか。いろいろおっしゃっておられるではないですか、もっと国民の理解を求めるとか、それを一つひとつされるのが重要で。しておられるのかもしれませんが、まだまだ大きな問題です。

【記者】
 今時点では、例えば経済産業大臣とか、そういう方々に要請をするとか、そういうお考えはないですか。

【知事】
 何かそんなことを言わないといけない立場なのかどうか分かりませんが。規制委員会だって早く作らないといけません。きちんと判断できて、国民が信頼を置けるような人たちを選ばないといけないわけです。それがこうなっているのでは話が進まないでしょう。

【記者】
 今、国内最多の原子力を抱える立地地域のトップとしては、政府におっしゃられる立場には十分あると思うのですが。

【知事】
 それはしっかりと言わないといけませんが、今は国がきちんとそういうことをやる局面でしょうと言っただけです。立場にないわけではありません。

── 了 ──
 

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