知事記者会見の概要(平成24年9月12日(木))

最終更新日 2009年9月16日ページID 018719

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平成24年9月12日(木曜日)
10:32~11:35
県庁 特別会議室

 
記者会見
 

【知事】
 今日は、9月補正予算案を私から説明します。9月補正予算案につきましては、新幹線延伸に向けたいろんなまちづくり対策、それから経済・雇用対策、マニフェストに基づく様々な事業の3つの大きな柱となると思います。
〔資料:平成24年度9月補正予算案〕

 1点目ですが、新幹線につきましては、40年近くの年月を費やしましたが、6月29日に敦賀までの延伸が認可をされました。そして8月19日に起工式が行われております。
 今後、順次工事が進められることになり、また、来年度の概算要求でもそういう予算が組まれます。そうなりますと、関係するまちづくり、あるいはそのような地域の観光対策、いろんなことを今のうちからやらなければなりません。
 かつ、新幹線については、二段といいますか、敦賀までの問題と2年後の金沢開業の問題がありますので、こういうものも並行してやるようになると思います。

 2つ目は経済・雇用対策ですが、大飯原子力発電所3、4号機が、6月16日に再起動に向けて動き出しましたが、他の原子力発電所は停止した状況にあります。これは全国も同じ状況ですが、嶺南地域の企業やいろんな消費活動等に影響が出始めています。
 このため、6月補正で緊急的に行った、資金繰りや雇用の確保などのセーフティネット対策に加え、今回の9月補正では、経営改善、あるいは、新しい分野への事業展開、それから消費拡大、こういうものにチャレンジする企業を応援する予算を組んでいます。

 3点目は、マニフェスト「福井新々元気宣言」に基づく施策で、教育に関するものや、防災力強化のほか、平成30年の福井国体に向けた事業や来年秋の「SATOYAMAイニシアティブ国際会議」に対する準備事業などを予算化しています。さらに、この7月に越前市の和紙の里に降った局地的な豪雨の復旧などが3点目のマニフェストに基づく事業のさらに小内訳になります。 

 この結果、9月補正予算の規模は44億円。当初予算と合計しますと、9月現計予算は4,851億円になります。
 それでは、主な事業についてご説明します。

 まず、新幹線等に対応するものですが、1つは、北陸新幹線沿線の市町のまちづくりの応援です。これはもちろん沿線の市町が自分でおやりになってもいいのですが、いろいろな事業の機運づくりということで、県が2分の1の応援をし、各市町も検討会をつくったり、アドバイザーを受け入れたりして、これから10年後に備えての新しいまちづくりを今後3年間かけて行うというソフト事業になります。
 2つ目は、県都デザイン戦略事業、750万円です。これは今年2月から既に事業が行われていますが、次の50年の県都のデザインの再設計で、福井市を中心としたまちづくりの将来像を福井市とともに検討することになります。7月に県都デザイン懇話会を開催していますが、歴史的な遺産を活かして、福井城址と中央公園の一体活用を議論しました。また、新幹線の金沢開業に向け、県民会館の跡地の周辺の先行整備など、可能なところから事業を進めていくということです。このために、この福井城址周辺の歴史的な史料調査や石垣などを活かしたイメージ図などをつくります。予算とは直接関係ありませんが、50年後のデザインですので、新しいいろんな事柄についても考える必要もあるかと、並行してやっています。
 それから、えちぜん鉄道高架用地取得事業。これは2月県議会で方針が決められましたが、今回、新幹線の敦賀までの延伸が決定されたので、えちぜん鉄道全体をそのまま上に上げるという設計にすることになりました。そうなりますと、このえちぜん鉄道は新幹線の向こう側を走ることになり、少し東側に土地が必要でありますので、そういう土地の取得と合わせて工事を行うことになります。今回は新福井駅と福井口駅間の用地をまず取得して、あとの北と南については多少土地が入り組んでおりますので、もう大体意思決定はなされておりますが、設計なども随時していきます。3年間で大体用地取得を終えて、この高架が早くできるようにしたいと思っています。
 それから観光対策です。新幹線の金沢開業と同時に、舞鶴若狭自動車道も2年後に開通しますので、いろいろな観光対策が必要です。嶺南地域には旨いものはたくさんあるのですが、手ごろな昼食というのはあまりはっきりしていないところがあります。ラーメンやうどんなどあるわけですが、もう少しお互いクリアにして、美味しくてリーズナブルな値段の昼食メニューが必要じゃないかということです。食べ物は、評判は良くても売り込みとなるとはっきりしないところがありますので、嶺南や若狭地域で地元の食材を使って、地元のお箸なども使うことも必要かと思いますが、手ごろな昼食を開発して提供する、そして売り込むという予算を出した次第です。まだ名前はついておりませんが、専門家などと相談して、いい名前にしようと思います。
 それから、もう1つは、債務負担行為になりますが、団体旅行に対する福井観光誘客強化事業。これは旅行会社が一定人数以上の旅行客を福井県に誘致した場合に、その数に応じて応援をすることで旅行客を確保するということをやっていますが、これはある程度、チラシを準備したり、宣伝も必要ですので、債務負担行為とし、来年度にかけての事業になります。
 1,000万円についてはアジア版であり、5,000万円は日本国内版です。特に新幹線のことになりますと、関東とか信越地域を重視し、東アジアについては、台湾、中国、韓国、シンガポール、タイ、マレーシアということになると思っております。
 特にこの点については、旅行会社への助成単価にインセンティブをつけるということで、関東や中国、四国、九州はインセンティブを高くするというようないろんなやり方を加えたいと思っております。
 このことにより、観光客を26年度には、関東方面は、現在約30万人から60万人に、中国、四国、九州は14万人から30万人へ、それぞれ倍増を目指したいと思います。海外からの誘客も26年度目標を10万人としております。

 次は、2つ目の柱ですが、「経済・雇用対策」です。
 これは主に嶺南地域が中心ですが、嶺南地域中小企業経営支援、280万円余り。それから産業活性化支援資金の拡充、これは既決予算のいろんな条件等の整備、あるいはバックアップ体制によって解決が可能だと思います。
 それからふくい逸品創造ファンド事業も同様ですが、原子力発電所の運転停止の影響を、直接間接に受けている企業が、全企業の約2割程度あるということです。建設業や集客業を中心に売上げ減少があるのではないかということです。
 このため、県としては、ふくい産業支援センターに、商工団体、金融機関を加えた特別支援チームをつくり、個別企業の課題に応じて、中小企業診断士などの専門家も参加していただきながら経営改善指導を行います。新しい事業などを積極的にやる企業について、そのための資金がスムーズに調達できるような県の融資制度の対象を追加します。それから、ふくい逸品創造ファンドについては、嶺南企業の特別枠を設けて、販路開拓や、商品開発の支援を考えてまいります。
 それから、嶺南地域、若狭地域の産品販売支援事業です。2年後の舞鶴若狭自動車道の開通等を考えながら、今年の冬から、嶺南地域の産品や新しく開発される商品を集めた展示即売会を、道の駅や地元の観光施設などで開催し、消費拡大につなげます。また、同時に、嶺南地域の産品をインターネットでも購入できるように、大手通販サイト等への出店費用を助成することを考えております。インターネット活用が十分にできていないのが嶺南地域かと思いますので、そういうことを行います。
 それから、民宿の応援や離職者への再就職支援です。これは嶺南地域ももちろんありますが、福井・坂井地区ではルネサスエレクトロニクス株式会社が10月末に大規模な人員整理を予定されていますので、そういうものに対する対策です。

 3つ目の柱は、「福井新々元気宣言」に基づく事業です。
 まずは、教育力の向上です。
 1つは、新規として、幼児教育支援センター、269万6千円です。福井型18年教育のスタートとなる幼児教育をさらに充実したいということで、本年11月に、幼児教育の支援拠点となる「幼児教育支援センター」を福井県生活学習館(ユー・アイふくい)に開設します。
 このセンターでは、保育士や幼稚園の教諭に対して、小学校のカリキュラムを学ぶ講座を開設したり、教育力向上のための研修を行います。
 幼児教育については、保育園、幼稚園、公立、私立さまざま、ばらばらでありまして、研修もたくさんありますが、少し脈絡がなかったり、どの研修を選んだらいいとか、いろんな問題があるものですから、そういうことを系統的に福井県として教えることによって、先生のレベルをさらに向上して、学力、体力は日本一ですので、幼児教育段階から心の問題とか自立性とかいろんなことを含めて、しっかりしたいい県民が育つようなバックアップをするということが柱ということになります。福井県だからこういうことがやれるし、やろうということになると思います。
 それから、福井の教育力ステップアップ事業で、学力、知力向上です。
 今年5月に、ゼロ歳から高等学校までの18年教育の拠点となる「学力向上センター」を設け、学力分析、専門家の助言・指導、教員の資質向上、独自の教材充実、あるいは、習熟度別指導など、学力の程度に応じた教育などを進めていますが、今回の予算では、今後の新たな高校教育の展開に向け、中高一貫教育等を検討する「県立高等学校改革検討委員会」という組織をつくって、高校の教育問題について集中的に行いたいと思っています。
 例えば皆さんも高等学校の時代があったと思いますが、数学の問題の答えと詳しい解答はもらっておられましたか。予習とか復習のときに、詳しい答えがあると便利ですよね。詳しい答えを子供に渡すと、授業そのものも答え合わせの授業にならなくなるから、こういう答えの出し方があるとか、これは何だろうとか、そういうレベルアップができるだろうと。中学、高校間の問題がもう1つあり、大都市の私立高校などですと、中高一貫ですから、中学校3年ぐらいには高校1年の内容をやってしまうというようなこと、それがいいのかどうかというのはありますが、そういう人たちとの競争がありますから、福井県なりにいろんな中高一貫的な議論をしたい。それから、授業力の改善、さっき言いましたような、できるだけ授業内容を高度化することが必要かなと思います。学力に限って言いますと、そういうことをやりたいという予算です。
 それから、福祉関係ですが、障害者の新しい就労モデル事業、1,100万円余ですが、福井県につきましては、障害者の就労は、全国では非常に高いレベル、例えばB型という比較的単純な仕事をするような分野を例にとりますと、日本一賃金は高いのですが、それで一般の人と一緒に働いたり、高いレベル、A型の賃金状況を良くする。これから自立をしていただく場合に大事ですので、障害者が福祉施設から企業に出向いて作業を行う施設外の就労について、これまで障害者だけでそういうグループをつくって作業をしていたのですが、企業の従業員と同じ職場で一般就労に近い形で作業することによって、賃金のさらなる向上を目指したいということです。福井県では一般就労の人たちも割合高いのですが、そこまで至らない方も、いろいろバックアップをすることによって一般就労に近い形で作業することにより賃金額は飛躍的に上がるということで、一生涯そこで頑張れるということになるのではないかということになります。
 次に原子力防災センター強化事業です。7,560万円ですが、福島第一原子力発電所の事故を受け、国においては意見聴取会を開き、原子力防災センター(いわゆるオフサイトセンター)についてさまざま検討を加えてまいりました。これに基づいて、オフサイトセンターの空調、換気設備の特殊フィルターの設置や、窓や扉の機密性の向上など、放射線を遮断する対策や水道、電気など自給体制、現在は3日間という条件ですが、7日間程度に延長する機能を強化するための調査・設計を行います。なお、具体的な工事は25年度以降に行うことにります。具体的な工事費は、1か所当たり数億円ぐらいはかかるかもしれないということです。
 それから、地域防災力向上支援事業、1,500万円です。地域防災力の向上につきましては、当初予算において、地震・津波等の大規模自然災害に対応するために、津波ハザードマップ、あるいは避難所の案内板の作成など、市町が緊急的に実施する防災対策の助成制度を設けたところであり、6市町がやっておりますが、今回準備が整って3市町をさらに追加します。
 次に、自然環境等の問題、生活環境も一部含まれますが、「SATOYAMAイニシアティブ国際会議」を来年秋に福井県で開催する予定です。今年10月には、インドのハイデラバードで第3回目の会合があり、来年福井県は4回目ということになります。そこで、この国際会議の里山保全活動に参加する若者、あるいは農業者の交流会、こうした本来の事業に加えてさまざまなものを追加して行うということになります。福井県の里地里山というのは、生活に密着しているといいましょうか、窓からの景色をご覧いただいても、どこにでも自然な姿で、文化や生産活動と一体となってあるという特異性がありますので、そういうことを十分アピールすると同時に、我々も継続的にそれを大事にしていくというきっかけにしてまいりたいと思っております。
 それから、これは6年後、平成30年に福井県で開かれる予定の第2回、2巡目の国体の準備設備です。福井運動公園は、昭和43年の初回の福井国体のときに整備しましたが、全体の再生といいますか、この基本設計を行います。運動公園については、特に体育館の老朽化が激しいので、これは整備をし直す必要がありますし、ほかのメインスタジアムや野球場、テニスコートなどについては修繕や改修、あるいは機能を付加することによって整備をする経費です。
 次に公共事業等ですが、特にご説明を申し上げるのは、7月20日、21日の局地的大雨による被害対策です。
 特に今年は、突然にある場所で厳しい雨が数時間にわたって降るというようなことが出ており、その1つとして、7月20日、21日に越前市の和紙の里である旧今立町大滝地区において被害が起きました。これは、文字どおり、和紙を生産している谷合いのところが被害を受けたわけです。
 早急に支援を必要とするものについては7月に専決予算で対応しましたが、これに加え、9月補正予算では、谷合いを流れております岡本川の護岸復旧工事、それから、被害の再発防止のために、上流に土砂よけのダムが2つありますが、上流の流木、土砂の一部撤去、それから、今後、本格的な防災工事を行う場合にどういう方法が最も効果的でいいかというような予算を組んだということです。
 私からは以上です。

~質疑~

【記者】
 北陸新幹線延伸の決定を受けて、県都のデザインを進めるということですが、県民会館の跡地の検討について何か具体的にこういった施設をつくれたらとか、そういうお考えはお持ちでしょうか。

【知事】
 私自身もいろいろなことを思ってもいますし、いろんな方がいろんなことをおっしゃいますので、どういうものをつくったらいいかということをこれから議論する、その予算なのです、そういう懇談会も設けております。
 御廊下橋からつながって、中央公園の県民会館のところ、あそこが今のここにある堀の、その次の小さな堀があったという場所ですので、その石垣をいかに活かしていくかです。あるいは、この県庁がある福井城址との連結をどう歴史的にやっていくかというようなことを先行的にできるのではないか。大きい話と、すぐ並行的にやれることを両方やっていくという予算のきっかけになると思います。
 新しい何かというのはまた別の話で、県都デザインのもう1つの柱といいますか、そういう議論になるかと思います。

【記者】
 経済・雇用対策のところで、嶺南地域に緊急的にというのは、今後、例えば来年度に向けて、これからさらに展開する予定などはあるのか。もしそうなるとすれば、何かもうちょっとほかにこういうことをやりたいというようなことがおありでしたら、お願いします。

【知事】
 これは、特に嶺南地域が、今、厳しくなるであろうとか、なるかもしれないということに対する対応であり、長期的ないろんな議論は、エネルギー研究拠点化構想の中で、エネルギー、これは新しいエネルギーも入りますが、そういうものと連携しながら、いかに産業をそういうものとうまく組み合わせていくか、あるいは、適応していくか、新産業をいかに興すかということで進められると思います。
 これは、当面の対策に近いので、これを、9月補正を含めて実行し、また、当初予算の段階で雇用とか、あるいは消費の状況がどうなっているかというのを見ながら、応急的なものがさらに要るのか、あるいは、拠点化構想で、基本的なものについてどのように見直していくのかということになると思います。
 拠点化構想というのは、毎年11月ごろに関係省庁の代表の人にも来ていただいて議論をするわけですが、そういう中で議論があると思います。

【記者】
 本年度の新幹線関連の予算というのは、今回の補正ですべて盛り込んだと考えればよろしいのでしょうか。
 もう1点、嶺南の経済・雇用対策は6月補正に続いてになりますが、今回盛り込んだというのは、従来想定していたよりも嶺南の状態が悪いということで、さらに追加をしたという意図があるのでしょうか。

【知事】
 新幹線の当面の事業については、次は来年の当初予算になると思います。さらに、金額的にも大きくなると思います。段階が全然、今年とは違うと思いますので、よほど何か特別なことがない限り、そういうことかなと思います。
 それから、嶺南地域については、6月の段階では大飯原発がどうなるという議論もはっきりしていませんでしたし、全体の動きですね、あらゆる問題はすぐ現場にあらわれるわけではなくて、少しずつあらわれていくわけですので、最近の状況をできるだけ把握してこういうことが必要だろうということです。これもすべて100%把握しているとは言えずに、まだ不透明な部分がありますし、こういう問題の本当の現場の把握というのはかなり難しい部分があるとは思っていますが、できるだけ把握した段階で必要なものだろうということです。状況は刻々と変わりますので、12月ごろに何かやらないのかという議論はありますが、通常はこれで行くのかなと思っています。

【記者】
 えちぜん鉄道の高架用地取得の説明があったのですが、ちょうど会社ができてから今年で10年になり、ようやく土地が全部取得できるめどが立ったということで、ご感想をお聞かせ願いたい。

【知事】
 えち鉄については、次の10年のいろんな議論もありますし、やはり東京にある私鉄と違って、彼らの企業努力もありますけれども、市町と我々が応援して初めて成り立っているわけであり、そこは県民の皆さんに理解を求めながらえち鉄を良くしていくということになります。今回、えち鉄が高架になるということについては、まちづくりとしても重要ですし、えち鉄がしっかり福井駅にこういう格好で入ってくるということが重要かなと思います。かつ、えち鉄の下の土地等については、これは基本的に公共的な見地でさまざまな管理と活用するのが重要になると思っています。

【記者】
 今月6日に、民主党のエネルギー・環境調査会が、今後のエネルギー政策について、2030年代のできるだけ早い時期に原発ゼロを目指す、40年廃炉を厳格に適用、新増設は認めないという提言をしました。これを受けて、政府は週内にも新しいエネルギー政策について発表するということですが、知事は6月の大飯原発の再稼働の際に、原子力が今後も国にとって重要な電源の1つであることを野田総理に確認したと思います。それが反故となるような内容の提言ではないのかと思いますが、それに対する対抗措置は何かお考えでしょうか。
 また、大飯原発が現在再稼働していますが、大飯以外の高浜や美浜の原発再稼働について、例えば政府がこのような提言を出してきたら認めないといったようなことはお考えかお伺いします。

【知事】
 民主党の今おっしゃったような問題については、先日、細野原発担当大臣のところに、青森県知事と一緒に行き、問題点を申し上げましたし、その他関係者にもいろんな機会に申し上げています。6月8日に野田総理大臣が大飯原発の再稼働に関連して、原子力発電、原子力エネルギーが重要な基幹電源であるということ、原発なしでは日本は成り立たないとか、産業が維持できない、また、国際的、あるいは国家の安全保障にも深く影響するというようなことをおっしゃったかと思います。そして、国民に直接そのことを総理大臣として訴えられ、我々はそれを重く受けとめて了解をしたわけですので、これが揺らぐことがあってはいけないと思います。もう一度しっかり思い起こしていただく必要があるだろうと思います。このレポートが野田総理大臣までのレポートではないのでしょうが、どの段階なのか、どのレベルかというのはありますが、そういうことかと思います。
 それから、こういういろんな議論をしているのは、国民の議論をもとに、というようなことでやっておられるのだと思いますが、いろんな意見があると思いますし、いろんな本当のエネルギーの重要性とか難しさとか、あるいは国にとってどうなのかとかいうことを、国民に提示して、こうした選択の議論をすべきだと思います。
 かつ、最近、閣僚会議などで枝野経済産業大臣が、原発がないと電気料金が2倍以上になるということをおっしゃったようです。そういうことをおっしゃるのでしたら、その前にきちんと国民にそのことを知らせて議論しなければならないことであって、そういうことを何も知らせないで議論しているのは、これは全くナンセンスというか、国民にいろんなものをお示ししてやるべき事柄でしょう。かつ、原子力エネルギーがないほうがよいというような調子だけで議論するような話ではないですから、そこも十分考慮してやっていただきたいと思います。要すれば、アンケートとか、十分な情報や、基本的な情報を開示しないで国の方針を決めるようなことは愚の骨頂だと私は思います。むしろ国としてのしっかりとした、ぴりっとした姿勢を示して国民を説得する部分も必要だと思います。そういうことがあるべきだと思います。他の原発の再稼働はちょっと次の話ですね。今、規制庁とか、いろんな議論をしているわけで、1つずつ手続きをとって議論すべきことだと思います。

【記者】
 政府の中では原発比率を考える前提として、3つの選択肢を示して議論していたのですが、3つの案とも再生可能エネルギーを3割前後に伸ばして将来的に原子力を代替するという考え方があるわけですが、再生エネルギーに対する実現可能性についてどうお考えになっているのかお聞かせください。

【知事】
 再生可能エネルギーを含めて、「エネルギー源の多元化」ということを、私は、去年の福島事故以降、ずっと申し上げています。ですから、原子力発電はもちろん重要な基幹電源ですが、他の自然再生エネルギーあるいはLNGとかいろんなことがありますが、こういうものについて多元的な見地からいかに活用できるかというのが重要だとは思います。そういう考えです。

【記者】
 今現在、我が国の再生可能エネルギーの比率は10%で、ほとんどが水力ですが、これをいつごろ30%ぐらいにするというのが政府の…。

【知事】
 どういう道筋で、本当に可能なのかというのがないではないですか。そういうところが問題です。原子力についても曖昧であるし、再生エネルギーについてもはっきりしないということで。単に、こうだったらいいなというのはあるかもしれないが、それだけ言っていても政策にならないです。戦略にならないです。

【記者】
 将来的に原発ゼロにすることについて政府は考えていますけれども、知事の率直な感想を伺いたいのと、核燃料サイクルについて、高速増殖炉「もんじゅ」の見直しもあり得ると思いますが、「もんじゅ」についての考え方も含めてお願いします。

【知事】
 原子力エネルギーのウエート等については、今申し上げたことに大体尽きるかと思います。まだそういう意見が本当に出るのかどうか見ておりませんし、それ以上は今日、申し上げられないと思います。考え方はさっき言ったようなことです。
 それから、核燃料サイクルについては、中途半端にサイクルをやめるとかやめないという、そんな議論で問題を論ずるのは非常に具合が悪いわけでありまして、使用済み燃料をどうするのか、処理はどうするのかというのがないと、こんな問題を論じているだけでは済まないと思います。つまり、部分的な対応を取り上げて、そのものだけを論じても、これは極めて場当たり的な議論ですし、国のエネルギー政策の論じ方としては極めてよくないと思います。
 我々はずっとそういう問題は重要で、こういう考えだということで、「もんじゅ」についても長年にわたって協力をしてきたわけです。そういうものを一体どう考えているのかということになると思います。
 一番重要なのは、ずっと使用済み燃料があるわけですから、そういうものが要らないとか言うのだったら、一切我々のところから持っていってほしいというのが福井県の考えです。我々は生産とかそういうものに協力してきたわけですから、そういうものをいい加減にして論ずるべきではない。もちろん、「もんじゅ」がどうだという話とまた別の議論で、全体の脈略をつけて論ずるべきだと思います。

【記者】
 先ほどの発言の中で、使用済み燃料について、我々のところから持っていってほしいとおっしゃっていたのは、それは核燃料サイクルのことについてか、原発にある使用済み燃料のことについておっしゃっているのでしょうか。

【知事】
 一般に廃炉だとかそういう議論のときの話です。「もんじゅ」と一般の原発とはまた違うということはそのとおりです。

【記者】
 来週19日に原子力規制委員会がようやく発足する運びになりました。4月には立ち上げるという目標が延び、委員の人事について国会の同意がもめて、結局は首相が任命する形でということになりそうですが、発足が今の時期になったことと、人事でもめたこと、改めて規制委員会に期待されることをお聞きしたいのですが。

【知事】
 以前から申し上げておりますが、規制委員会については、法制度ができた以上は、早くつくって安全対策を進めなければならないだろうと。しかし、原子力安全・保安院、あるいは原子力安全委員会についても、それができるまではしっかり仕事をしていただかなければならないと申し上げてまいりました。かつ、どういう組織であろうと、組織ができたからものが完成するわけでも何でもないのであって、その実体が問題で、本当に原子力の安全の問題や、よくわかった人たちが見識を持って日本の将来を考えて物事を判断してほしいということを申し上げております。そうしてほしいと思うわけです。こういう組織は一種のシステムですから、システムだけでは解決できませんから、我々としては、そういうものがどのようにあるにせよ、福井県の原発の安全を守らなければなりませんから、例えば、大飯3、4号機については特別の基準を国に要請をして、その基準の中で運用しているわけです。むしろ、今度、規制委員会ができた場合に、形式的に基準にするべき事柄といいますか、そういうようなことのつもりで動かしてきたわけです。かつ、その安全について十分な責任を持つためには、国も、そして我々も特別に参加して「特別な監視体制」を行っている。規制委員会ができれば、その監視体制をそちらへ移行するということですので、ともかく実体ですね。安全は実体でまず守らなければなりませんので、形式では守れませんから、実体を重視してきているということなのです。

【記者】
 サイクルの話で、使用済み燃料の問題が大きいかと思うのですが、これは国が決めることだとは思いますが、福井県としては「もんじゅ」をどうしてほしいか。

【知事】
 「もんじゅ」については、青森県の再処理施設と核燃料サイクルの1つの柱をこれまで担ってきたわけです。一方で、実証化をするという目的で原型炉として動いてきたわけです。ですから、それをどうするか、特に、核燃料サイクルの議論として今論じているようですけれども、それを、「もんじゅ」だけを取り上げて論ずるのはまたおかしいわけです。それから、六ヶ所だけを取り上げて論ずるのも、核燃料サイクル全体についてどうするのだという議論になりますから、そこをはっきりしないといけないというのが我々の主張になります。

【記者】
 国として、サイクルなり、「もんじゅ」のあり方を見直すとなれば、それは全体の議論の中でこれは致し方ないということか。

【知事】
 致し方ないというか、その議論がまだできてないのではないか。かつ、「もんじゅ」については、「もんじゅ」のシステム自体に問題があるのか、あるいは、それを運用していた組織がどうなのかという、両方の検証をしっかりやらないと、長年お金を使ってきたシステムですから、問題をしっかり総括しないで国家としてああだこうだと言うのは、国民に対する十分な説明というか、解決にはなってないと思います。「もんじゅ」が良いとか悪いとかいうことを、我々がどう思うということ以前の話です。

【記者】
 大飯原発に関連して、関西の一部の自治体から再停止を求める声、もしくは安全性の再審査を求める声も上がっています。

【知事】
 前から言っていると思いますし、それ以外にはないです。よくいろいろお考えいただいたらいいのではないでしょうか。

【記者】
 いわゆる消費地の理解というのが進んでいると捉えられますか。

【知事】
 理解という言葉なのか、物を真剣にいろいろお考えいただければいいのではないかと思うのです。そしてそれを継続して、国ももっとしっかりそういうことを努力していただくように言っておりますが、長年にわたってのことですから、そう思います。

【記者】
 核燃料サイクルについて議論が十分できていないのではないかということでしたが、政府は当初8月にエネルギー政策を出すというのが、9月にずれ込んでいるわけです。前に東京に行かれたときにおっしゃっていたと思うのですが、東京だけで決めるのはやっぱりよくないという話で、政府がエネルギー政策を出すに対して、議論とか情報公開というものが現時点で十分であるとお考えでしょうか。

【知事】
 情報公開という言葉を使う以前の、普通の何かいろいろな知識とか、こういうことになるとこういうことが起こるとか、国民の生活はこうなるのだとか、日本の企業はどうなるのだ、日本の貿易はどうなるのか、国際的にはこんな影響が起こるだろうとか、それはもうごく常識的な、国民の皆さんにわかっていただかなければならないことは、当たり前に示して議論するのが基本だと思います。特別、何か難しい情報を出していないとか、そんな話と全然違うと思います。そういうことはあってはいけませんけれども、普通のレベルの話だと思いますね。

【記者】
 内閣府から防災基本計画が、この前やっと示されたかと思うのですが、それを受けて、知事のほうではどのような考え方で今後進められて行くのでしょうか。

【政策幹】
 基本計画が出されて、今後、原子力規制庁ができた後、そこで方針が出されるということになっていますが、まだ30キロとか5キロとかまでで、中身的には十分どういうところでどういう避難をするのとか、どうしたらいいかという具体的な対応というのはまだ出ていないので、それを我々としては国に対して早く出してほしいし、政府もようやくできるのだと思いますので、そこを出発点に早くそういうものをきちんと整備していただきたいなと思っております。

【記者】
 県の津波予測が先日出されましたが、一義的には各市町が考えることだとは思うのですけれども、県として出されて、今後、どのような対策というものを具体的にとっていきたいですか。

【知事】
 青森、秋田、ずうっと日本海沿岸いろんな県でそれぞれやっていますが、皆さん困っているのだと思います。というのは、今度、国が来年度の予算に計上しておられるようですが、どういう地震が本当に可能性として、どういう確率で起こるとか、そういうはっきりしたものがなければ動きづらいのです。ですので、そこを長期的にやっていくと。我々は十分ではないけれども、そういういろんな制約があって、こういう前提のものではあるけれども、それをそれなりに有効にいろんな考慮事項を入れて使っていこうということなのです、これは。


── 了 ──
 

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