知事記者会見の概要(平成24年10月23日(火))
平成24年10月23日(火曜日)
10:30~11:40
県庁 特別会議室
【知事】
私からいくつか発表します。
まず、北陸新幹線の建設事業推進会議の設置です。
新幹線の早期完成・開業に向け、建設事業の円滑な推進を図るため、福井県独自の仕事の進め方として、県と鉄道・運輸機構との実務的な協議の場を設けます。この「福井県北陸新幹線建設事業推進会議」を設け、さまざま協議をし、事業を円滑に進めます。
まず、第1回会合を来月11月7日(水)に県庁で開きます。原則5月と11月にやっていくことになると思います。やりながら、どういうタイミングがいいのかというのはまた出てくると思いますので、そういう方向でやりたいと思います。
構成メンバーは、県は副知事がトップで、総合政策部長と関係部長、鉄道・運輸機構側は大阪支社長をトップに、工事第二部長など関係部長になると思います。
会議の項目ですが、現在開いている事業説明会での意見や要望、また、これをどう反映するか。今後、用地取得を含めた建設事業の実施工程、進捗状況を明らかにしていくもの。それから、新幹線事業に関連する事業、例えば九頭竜川の新幹線は道路橋りょうと一緒になりますので、そういう事業調整、そういうようなことを協議することになります。
これだけですべてを解決するわけではありませんが、こういうものをてこにしながら事業を迅速に進めたいと考えます。
同じく2点目も北陸新幹線に関係しますが、特に2年後の金沢開業により、福井県と時間短縮が非常に進む北関東あるいは信越などの沿線エリアからの誘客を図るため、また、非常に近い距離になる、北陸とはこういう関係になるということを今からよく知っていただく必要がありますので、そうしたキャンペーン、大型広告をこれから集中的にやります。手始めに、11月に大宮駅(埼玉県)、それから高崎駅(群馬県)、長野駅(長野県)に大型広告を掲示します。
なお、大宮駅は1日当たりの乗客数が23万人ということで、JR東日本管内では8番目にお客さんが多い駅です。
大宮駅で4週間、高崎駅、長野駅それぞれ1か月、11月上旬から大型のフラッグあるいはボードを、越前がにとか恐竜をテーマに掲出します。
特に、長野については2時間半、金沢開業で時間が短縮されます。それから、高崎が1時間20分、大宮が1時間10分ということですから、金沢から新幹線に乗っていく場合にかなり便利になり、旅行地図が変わると思います。それは富山、金沢も同じですが、その時間短縮は福井が一番大きいということになると思います。
次に、3つ目ですが、福井のそれぞれの企業の新しい技術、新しい工法を展示して、まとめて、大手自動車メーカー「ホンダ」との商談会を行います。これは18年度以降これまでずっと実施しています。個々の企業が個別に営業に回っても、効果も上がりませんので、まとめてやっているわけです。
これまでの状況を言いますと、平成18年度がトヨタ自動車、19年度がデンソー、20年度がコマツ、スズキ、シャープの3社、21年度が大和ハウス工業、日産自動車、三洋電機、22年度が三菱自動車工業、三菱電機、23年度がマツダ、日立造船とやってきましたが、今回はホンダということになります。先ほどの新幹線と関係しますが、栃木県で行います。
今回は、ハイブリッドあるいは電気自動車など、環境技術に力を入れているホンダに対し、軽量化や燃費向上に役立つ技術を直接福井県の企業が提案します。具体的には、炭素繊維の複合材料やEV用小型モーターなどの技術提案などがかなり大きなものになると思います。例えば、サカイオーベックスの炭素繊維複合材料、フクビ化学工業のプラスチック成形、TOPの電気自動車等の駆動用モーター、アイシン・エィ・ダブリュ工業のトルクコンバータ、日東シンコーの絶縁材料、清川メッキ工業のパワーデバイス半導体用無電解めっき技術などが例として挙げられます。
県としては、事前にホンダ側が求める技術ニーズの説明会を県内で開くとともに、同社のニーズに合った提案内容となるよう、技術的なアドバイスも行ってきており、当日はホンダや関連企業から約800名の来場を見込んでおり、本県からは炭素繊維の穴あけドリルメーカーなど初出展の3社を含め、過去4番目に多い44社の企業・団体が出展します。来月11月6日(火)に、栃木県芳賀郡芳賀町にある本田技術研究所四輪R&Dセンターグローバルプラザで開催します。県内企業と北関東の企業とはこれまで取引があまり多くありませんでしたが、金沢開業なども見越しまして、一層の拡大に努めてまいりたいと考えております。
以上3点は、主に新幹線、あるいは関東方面へのアプローチということであります。
次は、教育について、「福井県幼児教育支援センター」の開設であります。来月11月20日(火)、福井県の幼児教育支援の拠点となる「福井県幼児教育支援センター」を、県生活学習館の2階にオープンします。このセンターは、幼児教育に関する調査・研究、研修、教育支援を行う本県初の専門機関になります。2階に支援センター、3階に研修ルームを設置します。スタッフは合計8名、義務教育課兼務の事務2名、教員2名、幼児教育相談員2名、家庭教育アドバイザー2名という対応です。
現在、県では、福井型18年教育を進めていますが、保育所や幼稚園、小学校などの先生、保護者、地域が一体となって幼児を支え、応援をするため、まずは、保育士や幼稚園教諭、小学校の先生方が垣根を越えて自由にできる研修ルームをセンター内に設け、幼児教育研修を実施します。幼稚園、保育園等はそれぞれの課題がありますので、これまで別々に実施していた研修を相互に実行したり合同研修を進めます。さらに、保育士と幼稚園の先生、保育所と幼稚園の交流・連携のため、2人の幼児教育相談員が、今年度は100か所の保育園、幼稚園を巡回訪問し、底上げを図ります。特にゲームやひとり遊び、テレビを見て過ごすという子供がだんだん増えると困りますので、幼児の関心や興味を引き出す絵本、知育玩具を開発・紹介したり、あるいは保護者や祖父母などとの触れ合える「童謡を伝える会」を、本年一部開いておりますが、坂井、大野、勝山で3か所、今後も開きます。
なお、11月20日(火)は国連の「世界こどもの日」に当たりますので、それも記念し、合同研修会なども行います。また、嶺南地域の幼児教育がおろそかになってはいけませんので、月1回、「嶺南デー」を設けて、センター設置効果を県全体に広げていきます。
これは、子供たちが困ったことを相談に行くわけではなく、教える人を教えるというところだと思ってください。
5点目ですが、農業関係で、コシヒカリについてです。
稲刈りも終わり、間もなくおそばが新そばになりますが、コシヒカリは、五月半ばの適期田植えがこの数年実行されており、稲作農家のエコファーマー化など福井県産米の評価が向上しております。今年は、夏の時期が高温となり、全国的にお米の品質低下が見られましたが、本県コシヒカリは1等米比率が91%。例えば、石川県で83%、富山は71%、新潟は64%ということですので、1等米比率が非常に高いわけであります。全国平均も76%ですので、約15%高いということになります。
本県産のコシヒカリは、新潟、福島(会津)の2か所に次いで高い、1俵60kg当たり1万7,200円で今取引されているという状態です。
今後、来年25年産米に向け、食味検査に基づく区分集荷・販売を進めるとともに、本年から統一名称「にっぽんのふるさと福井 厳選米」の名称をつけて販売している「こだわり米」と合わせまして、福井県産米のさらなる評価向上を、JAなどとも積極的に協力しながら強化してまいりたいと思います。
次に、同じく農業に関係しますが、「ふくい味の週間」の実施です。来月11月11日(日)から18日(日)までの1週間を、「ふくい味の週間」とします。
去年までは「ふくい新そばまつり」とか「全国高校生食育王選手権大会」など2日間のイベントでしたが、今年度からは福井県の食・食文化を再認識して、県民全体が運動週間というような格好で、学校、飲食店等の協力、協賛を得て展開したいと思っております。よく似たものはフランスに「味覚の一週間」というものがあるようです。1990年から、二十数年の歴史があります。文化もタイプも違いますがちょっと似たものがあると思います。
まず、主な活動、事業ですが、学校では、「学ぶ」というような格好で、レストランのシェフ等が30名来られまして、小・中学校50校に出向いて「味覚の授業」を行い、約3,000人の児童・生徒に味わうことの大事さや楽しさを学んでもらう。
高校では、調理師を目指す高校生、啓新高校94名、美方高校95名を対象に、「ふくいの食アンバサダー」である三國清三さんとフードコーディネーターの友田晶子さんによる特別授業を行い、いろんな専門知識も学んでいくということです。
また、280の協賛店舗においては、おそば屋さんなどで特別メニューが提供されるほか、特売フェアが農産物の直売所やスーパーなど61か所開かれます。こうした活動において、食べ物への深い関心、また、地産地消の拡大に努めたいと思います。
この1週間のうち最後の17(土)、18(日)については、県産業会館において「味の祭典」を開きます。そこではふくい新そばまつり、高校生食育王選手権大会、さらに、今年度から新たに地魚大テント市、学校給食レストラン、高校生・大学生による食育実践活動の発表会などが行われます。
また、その場所で、若狭牛の炭火焼きや、竹を使った長さ60メートルの水ようかんづくりなど、おもしろいコーナーも用意しますので、多数の方にご来場をお願いしたいと思います。
今年は第1回目ですので、今回の様子を見て、来年からさらにレベルを上げ、全国から福井の味を目当てに人が集まるようにしたいという気持ちです。詳しいことは、今日午後、関係部から発表があります。また皆様方にご案内をしますので、お好みのところへ積極的にご参加をいただければありがたいと思います。また、取材もよろしくお願いします。
次に、7点目ですが、「福井県技能選手権」です。
若者のものづくり離れ、職人離れなどが進みますが、福井を支えてきたものづくりをしっかりと継承し、向上させなければなりません。そこで、ものづくり県の我が県として、次世代を担う若い人たちの技能向上、また、ベテランの人たちから後輩への技術伝承を目的に「第1回福井県技能選手権」を、今年度初めて、来月17日(土)、18日(日)、先ほどの「味の祭典」と合わせて、場所も近くで行います。参加する人は40歳未満の職人ということになります。
「味の祭典」に合わせ、県生活学習館では「和菓子」と「日本料理」の競技を行います。本県の若手の料理、菓子の技術の世界を味わってほしいと思います。
また、隣の中小企業産業大学校を中心に、「建築大工」、「板金」あるいは「管工事」の技能競技を若い人たちがやりますので、ぜひともご関心を持っていただきたいと思います。競技の結果、成績上位者(22歳以下)は次の年の10月に開かれる技能五輪全国大会の出場資格を得ることになります。
8点目ですが、現在、「福井ふるさと文学館」の整備に向け基本計画の策定を進めておりまして、資料収集・活用について、検討を並行してやっております。これはソフト面であり、文学館は図書館の中でのハード面になります。
そういう中で、芥川賞作家の津村節子先生から、県に対し、直筆原稿、愛用品など数百点の資料を寄贈いただくことになりました。資料の主なものは、現在、仁愛女子短期大学の津村節子文学室に提供されていますが、多くの人が見られるような状態には必ずしもなっていないことと、文学館で他の福井ゆかりの作家と一元的に保存・活用することが望ましいわけですので、こういうお考えを持っていただいたということです。
そのほかに、今回新たに「福井県に代って」という表題の直筆原稿、これは今年の4月に「群像」という文学雑誌に掲載されました、福井県民に代わって何かを言いたいという意味のエッセーを書かれたわけですが、そういうものも追加的にいただけることになりました。
なお並行してさまざまな資料を集めてまいりたいと思います。以前、由利公正の「五箇条の御誓文」、数千万円の値段でしたが、そうものはともかくいろんな工夫をして、いろんなものをできるだけ格安に集めたり、また、ご寄贈などもお願いしたいと思っています。
なお、「福井ふるさと文学館」は26年度の開館を予定しています。また皆様からもさまざまご意見をいただきたいと思います。
以上が私からのご説明です。
~ 質 疑 ~
【記者】
新幹線の推進会議について、11月7日に行うということですが、改めて、協議に向けた思い、意気込みを聞かせていただきたい。
【知事】
私から意見を言いましたので、より具体的に。
【副知事】
9月県議会におきましても課題とされましたが、建設の実際の実務面が円滑に進むこと、それから、大きな関心事項は地元発注という課題があるわけです。いろんな工事の面においても円滑に進むように情報を共有することが早期の完成、あるいは地元に発注が来るというメリットがあるわけで、お互いにとって最高の状態をつくっていく。そのために常に忌憚ない意見交換をしてお互いの状況を把握しようという意味合いです。
普通、鉄道の建設と地方公共団体―都道府県、市町村―というのは、法律上は接点はないわけです。国から認可されて機構はつくるという存在なのですが、それだけでいきますと、単に現場で現場の事務所と県の用地担当が会うだけとなるということを補って、あらゆる話題について意見交換をするという点が、ほかには見られなかったものだと思っております。
【記者】
11月の協議は、地元発注がこれから本格化していくので、特にそういう面について話をするというふうに考えてよろしいでしょうか。
【副知事】
初回ですし、まずは8月以降、どんなスケジュールで進んでいるのか、現時点では、用地の関係の説明が、どのように進んでいるかということ、まずそういう話が最初にあり、その後、今後どのような形で進むのかということについて、いろいろと意見交換します。それから、どんな話題を議論するかということについても整理をしていこうと思います。初回から発注どうこうに深入りするかどうかは、定かではありません。
【知事】
やはり、事業を早く進めることが一番大事であります。推進会議が開催されることによって、地元発注や事業の理解、進捗が進むであろうということですので、我々が陳情、要請するという組織でもありません。何かうまく相談ができなくて時間を経過するということがないようにしたいということです。先行している事例を見ますと、多少そういうところが感じられますので、それを避けたいということです。
【記者】
これは、あくまで県と鉄道・運輸機構であって、県内ルートの沿線市町はここには入ってこないのですか。
【副知事】
そうです。県と機構とで考えています。
【記者】
建設に当たっての要望というのは、既に聞いた中での要望であって、改めて聞くという場ではないということですか。
【副知事】
市町からの要望ということですね。それはそのようになります。その代わり地元を代表する形で、関係する県の各部には入ってもらおうと思っております。例えば、農地の問題なんかもございますので農林水産部ですとか、あるいは道路との関係で交差の関係だとか取り合いの問題になりますと土木部が関係しますので、土木部も入るという意味です。
【記者】
かなり実務的な会議になるということですか。
【副知事】
はい。
【知事】
あまりばらばらな話を個別でやっていてもいけませんから、強力にやらないとといけませんので。
【記者】
新幹線で2点お伺いします。
1点は、機構との協議の場で、協議結果を受けて、国に対する要望活動などにも役立てていきたいとか、直接、機構に対して早期完成に向けた働きかけも行うのでしょうか。
【知事】
もちろん、それが基本ですが、それを効果あらしめるために実務的なことをやっておくことによって物事がはっきりしますし、数量的にも把握できます。もちろん、国へも要請しなければならないことが引き続きあると思います。事業そのものを早くすべきだとか、あるいは財源がどうだとか、そういう実行レベル以外の、方針とか計画については、国に引き続き要請しなければなりませんが、認可を受ける前に比べると、その分野はやや少なくなって、鉄道・運輸機構などと具体的に事業を進めるほうの話が大きくなります。進み具合によっても、またお金をたくさん投入する余地が出てくるということです。
【記者】
9月県議会で、並行在来線の対策協議会のことについて、年明けにずれ込む可能性があるというような話も出ていましたが、現時点で、どういうメンバーでいつごろに設置するというようなご予定はあるのでしょうか。
【政策幹】
協議はしておりますが、相手があることなので。協議会自体はいろいろ協議する中身はありますが、時間的に、もう明日じゃないといけないということではないので、いろいろ市町と協議して、いい時間に、なるべく早くということになっております。年明けになる可能性は十分あると思います。
【記者】
具体的な話は。
【政策幹】
決まっていません。
【記者】
新幹線の件で、2つの要件、地元発注と工事の早期着手・完成のどちらが優先度の高い協議になっていくのでしょうか
【知事】
両方ともあまり優先がどうだというようなファクターではありませんが、基本的には事業を円滑に進め、地元の皆さんの理解を得、また大きな工事ですから、地元の経済にもよい効果がなければなりません。早く迅速に進めながら、今言ったような問題についてもうまく対応できるようにしたいということです。
【記者】
大飯原発3、4号機の現地調査の日付が決まりましたけれども、県として、何か立ち会いなどの対応をとられるのかということと、国の調査が決まったということについての知事の感想についてお伺いできればと思います。
【知事】
今回は、国からは念のために調査するという考えだと聞いておりますので、規制委員会の立場では、基本的には科学的に予断を持つことなく、ちゃんとした調査をしっかりやっていただくことが大事だと思います。曖昧にされないで、しっかりした、普通に誰でも理解できるような調査をしていただくことが必要だと思います。
いずれにしても、大飯3、4号機は動いているわけですから、そういう中で何か問題があるのかないのかということを、いわゆるバックチェックというのでしょうか、そういう立場で確認をするというものの一環だと思っております。
【記者】
県として、当日、職員を同行させるとか、何か対策は…。
【知事】 特に考えていません。
【記者】
原子力の関連で、防災についてお伺いしたいのですが、今月初めに、原子力規制委員会で、原子力災害対策指針の新しい、30kmに広げるという原案が示されており、県内も多くの自治体が入るということになると思います。これからの防災計画は、来年3月までにつくるように求められると思いますが、現時点でこういう指針が出てきて、国に対して言いたいことと、それから、この計画を今後どういうところから着手していって、どう進めていけるか。国に言いたいことと、計画の見通しを聞かせてください。
【知事】
まず、5kmとか30kmとかという圏域論がありますが、こうした議論について、よりもう少し具体的ないろんな議論が要るわけです。
この指針に対して我々もいろいろ要請していますので、それをお配りします。
青森県も代表していろんなことをおっしゃって、我々も申し上げていることがあり、福井県として言っていることは全て反映をされていると思いますので、そういう話をしたほうがよろしいのかなと思います。
いずれにしても、より近接したPAZ(5km圏:予防的防護措置を準備する区域)での対応というのをもう少しはっきりしなければ、漫然と広い30kmという議論はなかなか実効性の上がる議論にはなりません。狭い範囲のほうがよりリスクも高いということですし、高い頻度で起こるおそれがあるわけですから、そういうことをはっきり押さえてこの問題に取り組む必要があると思います。我々はそういう要請をしております。そして、規制委員長も、同じようなことをどこかの新聞でおっしゃっておられたと思いますので、そういうことが大事だと私は思っております。
かつ、広域的な問題は、やはり国が積極的に関与する必要がありますし、全般に、たたき台については、国の関与とか責任の意気込みがはっきりしていないような感じを受けました。
【記者】
県、市町の防災計画を、来年3月までに策定するよう求められていますが…。
【知事】
求めるだけで、その基準がそのタイミングで出てこないと、全国の自治体も困る状態になるのではないかと思います。
【記者】
現実には、その防災計画というのは3月までに何とかつくる方向でやるのか。
【知事】
国のやり方次第だと思います。要するに、何かつくったらいいのだという話では全然ありませんから。そういうタイプのものは世の中にありますが、これはそういうタイプのものでは全然ありませんので。
お配りしたのは、このたたき台に対して我々が申し上げていることであり、こういうことをもとに青森県もいろいろ代表してお話をしていただいているのではないかと思います。1つは国の果たすべき役割です。たたき台では、原子力災害は原子力事業者の事業に由来し、事業者が一義的な責任を負うというような表現になっていたと思いますが、そうではなくて、原子力政策を進めた国の責任について明記しなければ、災害の対応はできないと私は思います。これが1つ大事なところです。
それから、避難に関する防災指針、5kmとか30kmとありますが、むしろこれに先行する形で、原子力発電所の事故制圧についての指針が必要なのです。つまり、福島事故を考えるのであれば、あれに対してどういう制圧を行うべきか。それが全くないのに、逃げるとか避難だけを考えていても、全然、福島の教訓は活かされていないナンセンスなことだと思いますので、ここを策定すべきであるというのが我々の考えです。これは普通の災害でも当たり前であり、全く何もしないで何十kmだという議論は、前後関係がおかしいということになります。
それから、今申し上げましたように、PAZとUPZ(30km圏:緊急時防護措置を準備する区域)については、同時進行ではなくて、PAZの避難対応についての協議を早急に行うべきだと思います。つまり、発電所に近い地域ほど、被害をこうむるリスクや頻度、損害が大きくなるというのは想定されることであすから、そこをまずどんなふうにするのかということが極めて大事かと思います。それなしに漫然と30kmだとか40kmなんていう議論をしていたのでは、一体何をやるのだという話には収斂できないと思います。
その前提として、4項目にありますが、5km、30kmの区分のみならず、より詳細な区分による防御対策の検討が必要だと思います。そうした議論をまた始めておられるというふうに新聞報道では見ており、我々も何となく聞いておりますが、やはり5km、10km、20kmというような、こういう現実的なことをしっかり押さえないと、十分な話にはならないと思います。
それから、避難等の判断の具体的な基準については、政府を中心にして、こういう事態が生じたらこういう指示を出すのだということがあるわけです。5kmについてこういう指示を出すという、その基準がはっきりしないと、何か知らないが避難するのだということになってしまうし、どういうタイミングで、どういう頻度で、誰の責任で行われるかというのがなければ右往左往することになってしまうので、ここが極めて大事です。このことが、また先ほどの、まず5kmとか、あるいは10kmの対応をどんなふうにするのかということを先にやらなければいけないという話につながると思っております。
そのほか、幾つかのことが書いてあります。
【記者】
敦賀3、4号機について、先日、枝野経済産業大臣が会見で、建設は認めないというような発言をしましたが、知事としての思いを改めてお伺いします。
【知事】
敦賀3、4号機につきましては、全般的な話としては、原発の安全とか、再稼働とか、基本的な項目については、記者会見等でも個別にそれぞれものに応じて判断するという基本的な姿勢を示しておられました。
それから、枝野大臣も福井県や県議会が意見書に基づいて要請している際にも、個別に地元といろんな問題を相談したいということですから、要するに個々に議論をする必要があるわけです。いろいろ事情があるわけですから。どこまで事業が進んでいるとか、認可が終わったか終わっていないか、あるいは認可が終わったというのはどういう意味か、それ以前のものと何が違うのかとか、そういう議論がいるわけです。
この問題については、そういう基本的な考えの中で、野田総理大臣も大きな立場でそういう議論をしておられるわけですから、個々にこの問題を論ずべきですし、特に古い原発をどういう条件でやめるのかどうかということと、新しい炉に切り替えるのか、どういう安全を強化した炉であるかというようなことについて戦略をはっきりさせることが極めてこの問題について重要なことだと私は思っております。そうした上で議論をすべきであり、抽象的に論じるものではないと思います。
例えば、民間企業としてあの人たちがやるのですと、そんなことを言っても問題は何も解決しないのです。現にある事柄、事業も進んでおり、進んでいるのをどうするかということです。古い炉はどうするのか、一つ一つの問題を処理するのが原子力行政ですから、それがない限りはっきりした方向が出ないと思います。
【記者】
規制委員会の大飯の破砕帯の調査が終わった後に、県の安全専門委員会がまた再チェックということをする予定はないのか、お聞きします。
【知事】
破砕帯の調査はどういうものが、どうされるのかということです。見ないとわからないですね。要するにちゃんとしていただかないといけないということです。それが前提になっての話ではないでしょうか。
【記者】
原子力防災について、政府は暫定措置として、6月29日に県内での避難のあり方というのを出してきたと思います。明日の原子力規制委員会の定例会で、もう少し広い範囲での拡散予測が出るようです。広域、県をまたいだ、京都府、滋賀県、岐阜県との連携については、国が主体的にと知事はおっしゃっていますが、例えば、暫定的な措置として京都府や滋賀県にこれぐらい逃げそうだとかという協議をしていく、国を待たずに議論をスタートするということはないでしょうか。
【知事】
どういうタイプのものが、5kmとかその辺の話がどうなのかということでしょうね。
どうもあれを見ておりますと、さまざまな課題がこれまたありますが、すべての原発が4基なら4基同時に事故を起こすという想定なのですか。わかりませんので、答えにくいのです。出てからの話になります。
【記者】
他府県との連携を福井から働きかけるつもりは。
【知事】
申し上げているように、中のことをしっかりやらないと、働きかけるにしても、どう働きかけるかによります。10kmのことをどうするのかという話か、5kmの人たちをどうするのかという話とか、いろいろありますから。何となく論じても論じ切れないです。声だけかけられても、それ以上進まない問題が生じますので、そこをまず、根っこを押さえなければいけないと思います。
【記者】
島根や石川では、市議会などでやっていらっしゃいまして。
【知事】
ただ、中が何も進んでいないですね。
【記者】
原子力防災について、9月県議会で知事が災害時要援護者の避難先の確保など、できることから検討を進めているという知事の発言がありましたが、そういった要援護者の避難先については、国を待たずして議論が進んでいるのでしょうか。もし、進んでいればどういった内容なのか、お教えいただいてよろしいでしょうか。
【知事】
並行して議論しないと、要援護者というのは5km圏内の範囲の要援護者なのか、10km圏内なのかという話が出てくるのです。そうすると、5kmでどんな避難の仕方があり得るのかどうかということをもっと国と議論して詰めていかないといけないわけです。私が思いますのは自衛隊とか、海上保安庁などの実働的な組織をもっともっと使わないと安心して避難できないわけです。これは、福島の事例を見てもわかると思います。単にここに住んでいる人が、この町に車で行くなんて、そんな話をしていても問題の解決に全然ならないから。5km、あるいはもっと狭い区域かもしれませんが、どういう組織を使って、私は自衛隊や海上保安庁などの海からの避難等いろんなことがあると思います。陸上ももちろんあると思います。ヘリコプターなどもあるかもしれません。まず、狭い範囲からそういうことを詰めていかないと。
そこで、要援護者ももちろんそうですし、子供たちをどうするかとかですね。そういうカテゴリーに分けてやらないといけない、何となくみんな車で行くというわけではない。家族全員で行くと、そういう話ではないかもしれない。
【記者】
要援護者に限らず、ICUだとか病院で医療機器につながれた方の避難もかなり困難になってくると思いますが、それも同じような。
【知事】
そうですね、30kmを全体にそんなことを議論しても話は詰まらないでしょう。議論が進まないと思います。25km先の病院のこの人をどうするのだなんて言っても、どうするのだろうで話が終わってしまいます。実効性が上がらないと思います。いろんな時間差も生ずるわけですから。
【記者】
大飯3、4号機以外の原発の再稼働について、知事の見解を改めてお聞きしたいのですが、規制委員会では、再稼働の判断は経済産業省とか事業者がするべきだと言っていて、一方で、政府ははっきりしていないのですが、立地自治体の知事としては、再稼働の最終判断はどうすべきとお考えでしょうか。
【知事】
せっかく規制庁がつくられたのに、こういう状態では何をか言わんやですが、決める責任が誰かということですが、いろんなほかの事情もありますから、規制庁は技術的な議論を中心にされるのだと思います。
そのほか、さまざまな原発の再稼働とか、ほかの問題についてはさまざまなファクターがありますから、政府が責任を持って、全体でいろんなことを判断されるのだろうと、一般的には思いますけれども、早く政府の見解を明らかにしないといけないのではないですか。避難がどうだとか、こういうたたき台がどうだとか、あるいはシミュレーションがどうだとか言いますけど、大もとのいろんな議論がこんな状態ですから、その議論でさえあやふやな土台の上にのっているということになりますので、そこははっきり押さえなければならないと思います。
【記者】
25日に近畿ブロック知事会議がありますが、知事は、県内にある原子力発電所の使用済み燃料について、消費地に持ち出してもらいたいとおっしゃっています。近畿ブロック知事会議は、まさにそれを議論する格好な場所だと思いますが、議題として取り上げる予定はあるのでしょうか。
【知事】
今回はそういう議論にはならないのではないでしょうか。他のいろんなテーマもそれぞれの県から出ております。もちろん原子力のいろんな問題についてお話が出るかもしれませんが、そのこと自体を取り上げる場所ではないように皆さん思っていると思います。
【記者】
なぜそう思われているのかということと、近畿ブロック知事会議が時間的にちょっとそういう時期でないということであれば、今後、福井県としてどういうふうに使用済み燃料の問題を進めていきたいと考えていらっしゃいますか。
【知事】
これは今申し上げましたさまざまな問題の方向づけが、もう少しはっきりしないといけませんし、私たちの考えはそういうことでもちろんありますけれども、国としての使用済み燃料の今後の取り扱い方、こういうことについての方向づけなども、国の事項も関係しますから、そういう状況での事柄だと思います。
【記者】
国の事項というのはどういうふうな…。
【知事】
使用済み燃料再処理について、どんなふうに運用するのかというのもはっきりしていないからという意味です。
【記者】
規制委員会と政府とどちらが再稼働の判断をするかという答えの確認ですが、規制庁を中心に政府が責任を持ってというふうに先ほどおっしゃっていたのですが…。
【知事】
規制庁は主に技術的なことをやられるのではないでしょうか。ただ、法律上、どういう見解、見識を政府が持っているのか、そういうものをはっきりさせたらどうでしょうかということです。曖昧なままで今動いています。政府がどういうことなのか決める立場でしょう。規制庁と自分たちはどういう関係なのか、政府として見解がないとおかしいですよね。一般的にはそういう立場にあるだろうと私は申し上げました。
【記者】
3・11前は、定期検査の後に、保安院が判断していたわけですが、政府がさらに再稼働判断をするという過程を今後も続けるべきだということにはなるのでしょうか。
【知事】
規制庁はそういう組織をつくって、独立性を持って行うわけですから、その独立性を持ってというのがどういう独立性なのか、政府とどんな関係にあるのか、どういう責任があるのかというのは、政府がつくったわけですから、政府が自分で考えることなのです。はっきり国民に向かって言うべきことだと思いますから、それはおまえだとか、おれだとか、そんな話ではないでしょう。そんなわけのわからない政府はないと思います。
【記者】
県都の再設計に関連して、昨日、県都デザイン懇話会で福井城址公園を整備するという骨子案が発表されましたが、その前提となる県庁移転の時期に関して、現時点で知事のお考えをお聞かせ願えますか。
【知事】
まだ、そこの場で論じているわけですので、私が何かこうだという考えを申し上げる立場にはないですね、今。
【記者】
懇話会の中で時期も議論していくのでしょうか。
【知事】
それは時期も含めて、そんな議論まで到達するのか、しないのか。しないとしたら、それをどういうふうに扱うのかという、そういうことを論ずる場です。
【記者】
年度内にまとめるビジョンの中では、時期は入ってくるとお考えですか。
【知事】
まだわかりません、これから論じ合うわけですので。
【記者】
衆議院の0増5減についてのご所見をお伺いしたいと思います。区割りについて地方の意見を求められています。単純に人口比での区割りというのは地方と都市の格差が拡大するのではないかという声もありますが…。
【知事】
これは、いわゆる裁判上の違憲的な状態というものは解消することは重要ですが、一方で、国土構造の歪みというか、根っこですね、大都市に人口が集まる、そして人口が集まるから定数がアンバランスになる、アンバランスになるからそこでまた定数が変わる、田舎から人がいなくなる、田舎に対する政治が不十分になると、そういう悪いアンバランスが起きるといけないわけですよね。
ですから、国土の構造を、今回の大震災でもそうですし、それから、今後起こることをみんな心配している、南海、東南海、東海沖の大地震などを考えますと、大都市と地方の人口の再配置等の政策は考えなければいけないのだけれども、そこまで考えが及んでいないのですよね。そういう政策が十分できていなくて、現象としての今の人口の移動の中での定数の議論だけが行われているから、これは実質的な議論に十分いっていないわけです。そこをこれから、もっともっとやるべきだというのが私個人的に思っている考えです。もちろん憲法上、違法だという状態は直さなければならないと思いますが、その根っこにはそういう問題があるので、そこだけ論じ合うと十分でないということになります。
【副知事】
今おっしゃられた、区割りについて地方の意見を求められているという事実はありません。今、民主党案は、結局、継続審議にならなくて、廃案になりましたので。
【知事】
民主党の案が廃案になって、自民党の案が継続審議というのは非常にアンバランスな状態ですから、この話もまた根っこがぐらぐらした、わけのわからない話だから、あまり我々が「こうだ」と力を入れて論じても、何ともならないという話が多いのです。
【記者】
特例公債法案について、いまだに国会でも法案提出のめどは立っていない状況ですが、地方財政を預かる立場の知事としては、現在の国会の状況というのはどうご覧になられていますか。
【知事】
この話もちゃんとしてほしいという気持ちでいっぱいです。地方に迷惑をかけてほしくないですね、すべて。実際仕事をするのは我々だから。
── 了 ──
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