知事記者会見の概要(平成24年12月27日(木))
平成24年12月27日(木曜日)
10:30~11:30
県庁 特別会議室
【知事】
今日が、今年最後の定例記者会見になります。
昨日、安倍内閣が発足しましたが、ぜひとも国政、また地方の重要課題にしっかり取り組んでいただきたいと思っております。
また、県選出の国会議員からは、山崎参議院議員が参議院副議長に選出をされ、また、稲田衆議院議員が行政改革・公務員制度改革担当大臣に選任をされました。福井県としても誇りでございまして、いずれも重責を担われるわけです。日本のためにも、また、福井県の重要な課題についてもご尽力を願いたいと思います。
そのほか、福井県にゆかりのある議員や関係者の方も、内閣や政党の中にお入りになるということで、ぜひとも、そういう中で県政も推進できればと思っております。
今日は特別ご報告する項目はございませんが、今年を振り返っての感想を申し上げたいと思います。
1つは、本年は、これまで長年にわたって取り組んでおりました課題について、目覚ましい成果が得られたということです。北陸新幹線の敦賀までの着工が決定されるなど、本県の将来の発展に向け大きく前進した年であったかと思います。
まず、新幹線の敦賀までの着工が、整備計画の決定から実に38年余りという歳月を経てようやく6月に認可を受けました。県民の皆さんの長年にわたる努力の成果であります。新幹線は、完成して、利用してこそ県民のメリットも最も大きいわけです。したがって、1年でも早い敦賀までの完成、開業の実現に向けて全力を挙げなければなりませんし、また、2年後には金沢まで開業しますので、できるだけ早く、さまざまな準備を政策面で進めることが重要です。また、民間の皆さんの体制の整え方というのも極めて重要ですので、この点についても、皆さんと力を合わせて、新幹線等の効果を十分に利用できるように努力してまいりたいと思います。
また、同じく基幹的なプロジェクトであります高規格幹線道路の中部縦貫自動車道についても、大野油坂道路の和泉・油坂間が4月に事業化をされ、県内の全線開通に向けて大きく前進しました。この道路についても、福井県が、名古屋あるいは東海、そして東京に向かう基幹的な幹線網であり、舞鶴若狭自動車道と相まって、大きく福井県の骨格の道路の基盤が方向づけられたという年でもあったと思っております。
次に、舞鶴若狭自動車道については、北陸自動車道と直結する敦賀ジャンクションの橋りょう架設が完了するなど、26年度の全線開通に向け、着実に工事が進められております。いずれも早期開業をぜひとも目指すように働きかけてまいりたいと思います。
もう1つの大きい項目は、原子力・エネルギー政策への当面する問題の解決に全力を挙げたことです。
国の原子力・エネルギー政策に対する姿勢のいろいろなあいまいさ等がありまして、立地県としてさまざまな課題に直面した年でもあったと思います。原子力を含むエネルギー政策は、資源の乏しい日本にとって、国民生活全体の発展、また、国家の安全保障にかかわる重要な事項であります。本県はこれまで、「安全の確保」と「原子力の重要性」を立地自治体の立場から一貫して国に強く訴え、また、福井県としても努力してきました。
ご承知のとおり、6月8日には野田前総理大臣みずからが「国民生活を守るため大飯3、4号機の再稼働が必要である」と表明され、7月には、3月11日の福島原発事故以降、全国で初めて再稼働がなされたところです。この再稼働により、安定した電力が供給され、関西をはじめ広く各地の経済活動と住民の生活の安定に寄与したと考えております。
新政権においては、現実をしっかり直視し、再生可能エネルギーの進捗状況など、長期的なエネルギーバランスを検討しながら、日本のエネルギー政策の明確な方向性を出す必要があると思います。
また、原発問題について、規制委員会にすべてを任せるということではなくて、原発の社会的意義をしっかりと認識し、原子力発電所の稼働の問題、核燃料サイクル政策の方向性、使用済み燃料の中間貯蔵や最終処分等について、規制委員会を設置した国が大きな方針を立てていくことが重要だと思います。
いずれにしても、原発については、安全をまずしっかりした前提としながら、その必要性を申し上げ、日本にとって重要なエネルギー源であるということについて、国民の皆さんも徐々にわかってきていただき、また、そうした方も増えているのではないかと思っております。
そうしたいろいろなこの1年間の状況を踏まえまして、その上に立ちながら、原子力の安全、あるいは原子力政策を進めていくということになると思います。そして、原子力発電事業者のいろんな考え方や体質の改善なども、これまた進めていくということも重要です。重ねた言い方になるかもしれませんが、そうした前提に立って、新しい政権においては原子力の安全政策、そして、エネルギーのしっかりした長期方向を明確に示しながらこの問題に対応してほしいと、このような1年間の感想です。
なお、そのほかは、大きな課題に比べますと個別のテーマになるかもしれませんが、教育の分野では、福井県が推進しております「福井型18年教育」の具体化に向け、5月に「学力向上センター」を設け、小学校から高校までの一貫した学力向上支援をしています。また、11月には「幼児教育支援センター」を設け、幼児教育に携わる人たちのトレーニング・研修の充実を図っており、「学力・体力日本一」の福井をさらに発展していく、1つレベルの高い政策に着手をしたという年かと思います。
これに関連して、特に体力に関係しますが、6年後の福井国体に向け、大会の愛称を「福井しあわせ元気国体」、また、スローガンを「織りなそう 力と技と美しさ」に決定し、準備を進めているところです。そして、競技力向上については、中学生と高校生600名余りを強化選手に指定し、10月の「ぎふ清流国体」では、天皇杯の得点が24位と、昨年を6位上回り、平成30年の本県開催に向け、一つ一つ登っていくという状況かと思います。また、個々の選手も皆、活躍をしていただいたと思います。例えば、テニスの林恵里奈さんとか、バドミントンの山口茜さん等々、ほかの方もいらっしゃると思いますが、他の選手をリードしていただいたと思っております。
それから、農業を例にとりますと、福井の米については、ここ数年来、「五月半ばの適期田植え」、お米を大粒化する等により、今年の本県産のコシヒカリの一等米比率は全国平均よりも14ポイント高い90%と、北陸4県では最も高い値であり、大きな成果を上げることができました。
そういうことで、幸い、お米の値段も1俵1万6,700円で取り引きされているようですし、個々の「こだわり米」になりますと、「コウノトリ米」とかいろいろありますが、もっと高い評価を得ていると。そして、統一ブランド「にっぽんのふるさと福井」のお米ということで進めたということです。
一昨年は福井県が幸福な県であるという評価を得たわけですが、それに関連しまして、「希望学」というのを東京大学とここ4年余りずっと進めています。従来から希望学は福井あるいは釜石等で進めていますが、福井は福井的な意味での希望をいかにこれから伸ばしていけるかというようなことで、地場産業、若者のUターン、歴史、文化、あるいは原子力の問題なども含めてさまざまな分野で研究、あるいはフィールドワーク等、また市民や県民の皆さんとのさまざまなディスカッションなども進めてきたところです。
今後も引き続き東京大学と協力して、これまでの成果が本当の意味で具体的な成果や県民の希望につながるような事業にしていくと、このように願っているところでございます。
以上、私からの年末所感について申し上げました。
~質疑~
【記者】
今いろいろ聞かせていただきましたが、その中で知事が一番明るいニュースと思われること、あるいは逆にあまりよくないなと思われること、一つずつを挙げるとしたらどうなりますか。
【知事】
今、所感で申し上げたように、やはり新幹線や中部縦貫道です。半世紀近い期間にわたる運動がようやく日の目を見たといいますか、あとは、努力すれば一年一年物事が完成するという見通しがついたということが一番明るい大きなニュースであったと思います。
それから、やはり厳しい中でいろんなかじ取りをしながら日本全体に、また世界にもかかわるような、そして福井県民の安全にかかわる原子力問題。これは選んで物事をやるということではなくて、そういう事態といいましょうか、状況を何とか現実的かつ一定の方向を見通しながら実行できたという原子力政策ですね。これは県民の皆さんのご理解と、また、これにかかわるさまざまな皆さんの協力を得て実行してきたということかと思います。
その2つです。
【記者】
原子力について、シビアアクシデントが起きて、避難しなければいけない事態を想定して、島根県等では独自に県を越えての避難計画なども出されていますが、そちらについては県としてはどういうふうに考えているのでしょうか。
【知事】
原子力の防災避難については、まずは原子力プラントの安全をいかに確保するか、そしていざというときの制圧です。こういうハード、ソフトの対策。そして、避難ということがあります。避難については、広域的な避難、あるいは福井県の最も近い場所での避難、これはPAZということになると思います。特に広域避難については福井県の要請を受けて国がようやく関係府県の「広域的な地域防災に関する協議会」の開催を決めたところです。それについては、先日12月25日に副知事がメンバーとして参加をしましたので、特にその辺の様子がありましたら言ってください。
【副知事】
この間、1回目ということで、関係府県、本県、滋賀、京都、岐阜が参加して、初協議会が開催されました。我々の県としては、ともかく一番近いところ、リスクの高い、いろんな頻度が高いと想定される5km圏、一番近いところが実効性のある形で、情報を伝え、足を確保して、いかなる条件のもとでもきちんと避難ができるような計画をまとめることがまず第一歩で、とても重要だという考え方を申し上げたところです。この件については原子力規制庁からも、関係の県からも特段異論というのは何もなかったところです。したがいまして、我々としては、まずともかく一番近いところから、しかも一番先に避難しなければいけないというところをまずまとめていくということだろうと思います。
ほかの県との調整がより広がっていけば、ほかの県との話も出てこようかと思いますので、ちゃんと国で主体的にまず方針、指針を示してほしいということを申し上げて、そういうことは十分国のほうで認識しているということでした。
【記者】
原発について避難の関係ですが、避難の協議会のスケジュール感が25日の時点でちょっとよく見えない状態で終わっています。この防災計画の策定について、3月18日は目安というふうに国からも言われていると思いますが、これは福井県としてはどういうふうにつくっていくのか。3月18日時点でどういうものができているのか、30kmというUPZの目安をどう取り入れるのかということについての考えをお聞かせください。
【知事】
報告を受けた感じでは、3月までと言っていますが、間に合うような状況なのかどうかというのは、ちょっと心もとない状況にあるのかなと思います。いずれにしても我々としては、今申し上げましたように被害のリスクとか、頻度とか、万一の場合に損害が大きくなる原発の近隣地域、5km圏ですね、これをしっかり避難がし切れるという体制を整えることが重要かと思います。これは前からも申し上げていますが。そうした上で、さらにより広い地域についてどのような情報とか体制でこれを実行するかということですので、並行してこの問題に取り組みますが、特に5kmについては先行してやっていきたいと思っているということです。議論は議論として進めていくといいかと思います。
【副知事】
国も何か明確なイメージを持ちかねているように受けとめました。国の対応は、できる限り努力するということの一言です。というのは、論点が各県からもたくさんいろいろ出てきたわけです。一例を挙げると、30kmという線の引き方をされていることに対して、科学的、合理的にそれを示してくださいというのは、我々だけ言っているのかと思ったら周りの皆さん言われているのです。いろんな意味で周りの府県もその30kmという線引きは何なのだということは、地元の方々にも説明する必要があるわけであり、その入口のところから、それも大きな論点で、明確な答は今のところないわけですので、一歩一歩やっていかれるのではないでしょうか。非常に多くの論点があるということは、黒木原子力地域安全総括官もおっしゃっておられましたので。3月の時点で、私も、向こうの印象としてですが、どんな姿を持っているのかはわかりませんでした。
【記者】
黒木総括官の認識としては、滋賀や福井や京都が、それぞれ42、3kmだったり、30kmだったり、UPZの認識が違うので、まずその認識を一致させると。そこの確定までとりあえず責任を持ってされて、あとは防災計画のそれぞれの整合性などは各自治体同士で、というような趣旨だったのですが、県としては、どこまで国に求めたいのかというところを改めてお考えをお聞かせいただきたい。
【副知事】
一番根本の部分ですね。この距離の話については1つですが、基本的には、緊急時防護措置を準備する区域の範囲をどのようにするか、これはそもそも決めていただかなければいけない事項だろうと思います。例の試算された各発電所ごとに10時間で放射性物質が全部が放出された場合という、あの試算値はまたより解釈を難しくしておりますが、ああいう試算が出たりもしているので、どのぐらいの距離と受けとめてよいのかというのは、みんなそれぞれのところで悩んでおるのではないでしょうか。
一番最初に30knの話がぽんと出ましたので、どのような地域で何をすべきかということから発想していくべきだろうというのは、去年からずっと申し上げていますが、まず一番重要なところを、国が示すべきだと考えています。あとは、具体的な搬送、輸送の手段。それから、その前に、情報をどのように伝達するかという大きな方針、つまり県境がどこにあるかどうかではなくて、そもそもそういった地域に対して国はどのように臨むのだという一番大きなところというのは必要なのではないでしょうか。あの会議の場でも、それは主張しました。
ですから、総括官がどういうイメージで、自分のところの仕事の範囲をどこまでと言われているかは、明確には伺っていませんが、その具体の話については、今後、会議以外の場でもきちっと詰めていく形になると思います。
【記者】
今年度の原子力防災訓練は、まだ行われていませんが、日程の予定と、地域防災計画をつくってから年度を超えて防災訓練をやるという考え方もあると思うのですが、その辺の考え方をお伺いしたい。
【知事】
現在のところ、まだ未定です。一般的には5km圏の実効性ある訓練というのは実施する価値があるというふうに思います。従来、ずっといろんな原子力の防災訓練をやっておりますが、今のいろんな状況を見ますと、狭い区域で、より目に見えるようなはっきりした訓練ができるだけできたらいいと思います。どういう原発でどういうときにやるかというのはまだ未定です。というのは、全体にはっきりしていないところが多いものですから。我々としては自分たちでできることをやったほうがいいというふうには思っております。また、この原発の訓練は、国とも関連してくるのです。そういう状況です。
【記者】
年度内に5km圏内の範囲でやるという意味ですか。
【知事】
まだわからない。いろんな準備が要ります。防災訓練というのは1回で完成するわけではなくて、何年も繰り返して、少しずつ進化させるわけですので、そのレベルはいろいろあると思います。
【記者】
安倍首相が福島の事故について再検証するという考えを述べていますが、それに対する見解をお聞かせください。あわせて、新増設について、民主党政権が基本的に新増設はしないという方針に対しても見直しをしていくという発言をされているのですが、それに対するご見解をお伺いします。
【知事】
いろんな検証については、特に3月11日の事故でいろんな委員会の調査がありましたが、現在の段階で、本当に何が原因だったか、何が至らなかったか、そこがまだはっきりしてないところがあります。そして、例えば女川原発はなぜ安全だったのか、どういうことができたからできたとか、そういうところをよく押さえて、そして原発の、私が先ほど申し上げた3つの段階の原発の安全のレベルと、それから制圧のレベル、そこがどんなふうに違ったのか。そこを押さえることによって、全国の原子力発電所の今後の事故対応がより効果的になると思います。そこができていなくて、さっきいろいろご質問がありました避難のほうだけを議論しているから、話が3つあるうちの一番最後の話をやっているところが問題だと。そこはぜひとも解明して早く方向性を出してほしい。そんなふうに思います。
新増設については、これからいろいろご議論を願いたいと思います。我々としても、結局、原子力発電所はいろんな政策の基本ですから、もしある原発が問題であれば、その原発はもう動かさない、そういう判断だと。それよりは安全で強固な原発はつくるべきだという、そういう議論を明瞭にやっていくことは大事だと思っています。そういう議論の方向でやっていただければと思います。
【記者】
原子力規制委員会のあり方についてお尋ねしますが、そもそも規制委員会が発足した経緯を考えますと、国会がねじれている状況で、当初の民主党案が自民党、公明党の修正案を受ける形で3条委員会の形式で発足しました。今回の衆院選を通じても、規制委員会には形式上、政治が過度に介入すべきではないという議論もあって、政治と規制委員会の関係に政府もどういうふうに絡むのかという点が非常にあいまいになっていると思いますが、今後、規制委員会と行政、それから政治のあり方はどのような形が望ましいと知事はお考えなのか、教えていただきたい。
【知事】
規制委員会というのは独立的な機能を持っているのだと思いますが、やはり、安全だけが孤立してあるわけではありません。安全技術が孤立しているわけではないのですから、安全技術があり、またさまざまな、原子力工学的な安全の問題、学問的にもありますし、いわんや、社会的、政治的、そして国民の考えといいますか、そういうものをみんな含めての政治的な判断というのがそこに加わらなければ、国のエネルギー政策や原子力政策はあり得ないし、それはどこの国でもそのように進めていると思いますから、そういうことを政府としてしっかりかじ取りしてほしいというのが我々の思っていることです。そういうことが大事だと思います。規制委員会自体も、人材や専門能力、実行力等、もっと十分な水準に上げていただかなければというふうに思います。
【記者】
端的に、規制委員会はこのまま3条委員会のこういう形式で存続したほうがいいと…。
【知事】
いや、それはまた政策的な議論になりますから。まだできたばかりでしょう。ですから、そこはしっかり取り組んでいただかなければいけないとは思っておりますけれども。
かつ、前々から言っておりますが、地方の意見というのか、何か地方の都合を聞いてほしいというのではなくて、現場で考えたり疑問に思っていることにはしっかり答えて、そのやりとりをして、そしてこういう方向で行くのだというのが足らないように思います。これは全国の原発の立地地域が同感の見解だと思います。
【記者】
冒頭の発言で、規制委員会にすべてを任せるのではなくて、国が大きな方針を立てることが重要だということをおっしゃいましたが、規制委員会が、特に破砕帯が活断層であるかどうかについて調査を進めていますが、それについてはどこまでが規制委員会が準備して、どこからが国が、これは活断層だというような判断をするべきか、その辺のすみ分けについての何かイメージはお持ちではないですか。
【知事】
ちょっと難しいご質問ですが。いずれにしても、活断層とか破砕帯というものは、どの程度の規模のものかというのもはっきりしないですね、様子を見ますと。どのようにまた動くのか、あるいは動かないのか。それから、リスクの程度はどの程度になるのか。発電所にどのような影響を与えるのか。発電所はどういうアクションを起こしたらいいのか。これはさっきの2番目の制圧とか1番目の安全にかかわります。それがはっきりしないで、活断層がどうだというだけでは十分な専門家的な議論になっていないから、そこはまずしっかりやる方法論を見つけないといけないと思います。
先ほど申し上げたように、それはそうであって、再稼働なり、あるいは新増設とかいろんなことがあると思いますが、原子力発電所をどう扱うのかというのは、これはかなり、またそこから離れた国全体の話になるだろうし、学問的にも今の活断層を調査していた人たちでは議論ができないのではないでしょうか。そして、政治的ないろんな判断があるということだと思います。原子力発電所は活断層とだけ何かあるわけではありませんので。原子力発電所は原子力発電所として役割を果たしているわけです。そういうことだと思います。
【記者】
それは学問的にもう少し詰める必要があると…。
【知事】
まずそこをしっかりしないと、どういう意味なのかというのは、本当の意味が、わからないのではないですか。
【記者】
知事は前回の議会で、中間貯蔵の全国協議会に参加されるとおっしゃっていましたが、その後、具体的な日程等々、決まったかということと、改めてその中において県はどういうふうに主張されていくかということをお願いします。
【知事】
今のところ、政権交代などがありまして、協議会についての日程的な動きは聞いておりません。これは先送りをして延ばす課題ではありませんので、早期に開催ができるように国にも求めていきたいというのが立場です。
【記者】
そのあたり、例えば受益者負担というか、電力の今まで最大消費地だった関西をメインに中間貯蔵を考えてほしいと言うべきなのか、それとも、使用電力に応じて各県に平等に求めていくのか。平たく言うと、福井県も原発による電力は使っているわけですが、そうした意味においては、福井にも中間貯蔵を、一部でも負担を引き受けるような覚悟があるのかということなのですが。
【知事】
それはそういう発想ではなくて、福井県に原子力発電所があるのは、関西地域の生活や生産のために福井県が長年にわたって引き受けているわけですから、今の使用済み燃料というのは、既に40年以上にわたって使われた使用済み燃料があるわけで、それは関西地域に、あるいはそれを中心にした消費地との議論で問題を議論すべきだというのはこれまでも言っています。
【記者】
一応、若狭地域も関西電力管内ですし、日本原電は北陸電力なり関電なり、回り回って福井県も原発の電気は使っているという形にはなると思うのですが、その辺は、そういう議論とは別ということなのですか。
【知事】
あまりメインポイントの発想ではないと思います。
【記者】
中間貯蔵はあくまでも県外と。
【知事】
そうです。更地にして、この課題を解決すべきと。
【記者】
使用済み核燃料の中間貯蔵の関連で、対策協議会が開かれる見通しですが、一方で、美浜町長から、サイト内の貯蔵を考える必要があるかという話も出ております。そういう市町の意見の尊重といいますか、どういった話し合いをされていくか、調整の余地はあるのかというのも含めて伺いたい。
【知事】
どういう脈絡でおっしゃったのかはいろいろあるのですが、基本的には私と同じご意見だと理解しています。
【記者】
美浜町長と知事は同じご意見…。
【知事】
美浜町長は同じ考えを持っておられるのだと理解しています。
【記者】
同じ考えというのは。
【知事】
県外に使用済み燃料は持っていくべきだという考え。
【記者】
その県外に持っていく前のサイト内貯蔵に関しての意見は一致されていますか。
【知事】
それは、今、現実にサイト内で貯蔵している状況だから、これをいかに早く解決するかということ。
【記者】
乾式キャスクに入れかえてしまうと、本当に一時的なものから中間貯蔵施設に近い意味合いを持ってしまうのではないかという懸念もある中で、美浜町長はあえてキャスクに入れかえて長期的な保管も、という念頭でおっしゃったと思うのですが、そういうイメージについても一致されているのでしょうか。
【知事】
それは知らない。そういう話はしていませんから。
【記者】
細かい話はされていない。
【知事】
話をするというのではなくて、そういうような議論の筋ではないですね。
【記者】
使用済み核燃料の協議会の関係でお伺いしたいのですが、今、全国で協議会に参加する意向を示しているのが福井と茨城だけで、消費地等から手は挙がっていないというのが現状なのですが、知事としては、どういう枠組み、例えば関西広域連合として参加するとか、いろんな考え方はあると思うのですが。
【知事】
それは国が基本的に責任を持って調整をする立場だと思います。福井県は参加するということです。
【記者】
先ほどの中間貯蔵の話で整理をしておきたいのは、最後に更地にして戻してもらうというところについては美浜町長も福井県も同じ立場だと思うのですが、一時的な貯蔵施設を福井県内につくることについて、美浜町長は、美浜町にあってもいいのではないかとおっしゃっているかと思うのですが、そういった施設を美浜町につくることに対して、福井県としてはどういうふうに考えておられるのかというのを今聞きたかったのですが。
【知事】
美浜町長に聞いてください、どういう考えか。
【記者】
中間貯蔵施設という概念は福井県にはないということですか。
【知事】
そういう考えはないということを申し上げました。
【記者】
サイト内貯蔵と最終処分地か、どっちか…。
【知事】
いや、そういう技術的な議論はあるかもしれませんが、我々は、そういうものは県外でと、関西電力等もそう思っておられるわけですから、そういう対応であると。
【記者】
サイト内貯蔵は容認するけれども…。
【知事】
いや、容認というか、そういう状況に今あるわけです。今、ピット内にあるわけだから。
【記者】
それから形を変えるのであれば、それは県内には認めないと。
【知事】
だから、そういう議論をこの協議会でやりたいということで国に要請をし、これから始めるということです。
【記者】
道州制についてお伺いします。自民党、公明党が、衆院選の公約の中で道州制の論議を掲げていて、今後議論が始まっていくと思うのですが、知事としてはどのように道州制の議論を考え、受けとめられているのかと、議論を進める上で求められることがあればお聞かせください。
【知事】
前から申し上げていますが、もっと重要な課題をしっかり取り組んでほしいと思います。道州制は重要なる課題ではないと私は思います。慎重にこういう問題には対応してもらいたいと思います。地方分権とか地方自治、あるいは地方重視といいますか、そういう政治とは違うものだと思います。かつ、先日、町村会の代表というか、町長さんとお話ししたときも、全国の組織も県内の皆さんも同じ意見だったかと思います。
【記者】
衆議院選挙の期間中も、また、今現在も大きく話題を集めていますが、地方自治体の首長が政党の代表を兼務することについて、知事はどのように評価されていますでしょうか。
【知事】
前、議会で答弁したとおりです。
【記者】
衆院選が終わって、今回は現行の制度でいきましたけれども、0増5減で福井は対象県になっていて、次からは2議席になっていく。現状として都市のほうに人口が集中して、地方の人口減少が著しいという傾向がある中で、地方の声を伝えるために何かいいお考えを持っていらっしゃったら、教えていただきたい。
【知事】
いわゆる1票の格差、これは憲法上の重要なことなのですが、これは単に形式的な議論にしますと、地方の立場から言いますと悪い循環というんでしょうか、定数が減って大都市の定数が増え、そうすると、そこでまた大都市中心の政治が行われがちになり、そうすると人口や財源はそちらに集まり、また地方の人口が減って、また定数が、という、こういう議論ですね。ですからここは、この選挙制度だけではありませんが、形式的な議論で1票の格差だけを議論するというのは、もう1つ上のレベルで、日本の国土とか日本の政治、こういうことを考える際には、地方重視の議論というのがあるのではないかと思います。例えばアメリカの上院なんかは、人口が何十万の州も、あるいは何百万の州も、2名ずつだとか、いろいろそういうことがあるわけですし、そういうことをやはり高い立場で考えるべきだというふうに思います。
また一方で、地方自治体からもいろんな動きをすべきであります。私は13県の「自立と分散で日本を変えるふるさと知事ネットワーク」というものもやっていますが、さらにいろんな工夫があろうかと思っております。
【記者】
道州制は地方重視とは違うものだと思うというのは、もうちょっと詳しく教えていただけないでしょうか。
【知事】
昔、論文に書いたことがあるのですが。いろんなことがあるのですが、国が1つにまとまって困難に立ち向かうときに、道州制ということになりますと、まず、国民あるいは住民と地方の政治が離れてしまうと思います。そして、意味のない組織になると思います。自治体と呼ばれるようなものはできないと思います。そして、大都市中心の組織ができて、地方、いわゆる田舎は衰退すると思います。それは国のためにはならないだろうと思います。これについては多くの皆さんの意見があるから、こういう議論に時間を費やすこと自体、政治的なロスあるいは制度的なロスが極めて生ずるのではないかと思います。
道州制で挙げているいろんなメリットと言われるものを1つ1つチェックしますと、いずれも十分根拠がないものが多いと思います。今、そんなものを優先課題として議論すべき状況にはさらにないだろうと私は思っています。
【記者】
むしろ格差が生まれるという…。
【知事】
また、大都市中心になると思いますし、仮定の話として、そういう州ができても、それは、地方自治体というよりも何か国みたいな組織になって、県庁だったら横割りになりますが、そんな組織はものすごい縦割りだと思います、総合行政もできないだろうし。州民と知事、あるいは議員が非常に遠い組織になる。何ゆえをもってそれがメリットがあるかということです。
【記者】
今度のお正月はどこでどんな形で過ごされるご予定か。
【知事】
皇居にお年賀に行く予定です。これまでお伺いしたことがないものですから。
【記者】
あとはのんびり過ごされるのですか。
【知事】
あとは、次のステージに役立つように、いろいろ皆さんのご関心もよくわかりますし、どのようにこれを持っていくかというのは福井県にとってももちろん大事ですし、日本の国にとって影響することもありますので、十分、おっしゃられた意見を参考に、もう1回勉強して頭を整理したいと思います。
── 了 ──
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