知事記者会見の概要(平成25年2月25日(月))
平成25年2月25日(月曜日)
10:30~12:15
県庁 特別会議室
【知事】
今日は25年度の当初予算案について皆様にご説明を申し上げますので、よろしくお願いします。
〔資料〕平成25年度当初予算案の発表要旨
資料№1 当初予算案の概要
資料№2 当初予算案主要事業
資料№3 2月補正予算案の概要
資料№4 2月補正予算案主要事業
○当初予算の特徴
まず、当初予算の特徴ですが、全体として、今回は新しい政権、自民党政権になりまして、さまざまな方針の転換もあり、また、景気対策についてもさまざま方向が出ましたので、そうしたものを受け入れる必要もありました。また、従来の予算の中でそういうものを入れ込むということがありましたし、補正予算の対応もあり、かなり実務的には大変であったわけです。
そこで、その前提としての国の予算の方向ですが、まず経済再生が最優先の課題ということでしたので、緊急経済対策として、国は5兆円を超える公共事業を含む大型の補正予算10兆円余り、それから平成25年度の予算案92兆円余り、両方合わせて、切れ目のない経済対策を実施するという方向になっております。
これを受け、県としても、こうした経済対策の効果を早期に発現できるよう、本年度の250億を超える追加補正を見込んでおります。そして、これから説明申し上げます25年度当初予算に計上した約500億円の公共事業を合わせますと、実質的な公共事業の規模は500と250で750億円となり、対前年度の伸び率は約50%増となります。当初予算そのものが去年とほぼ同額ですので、それに250が加わるということになり、50%増ということになります。
また、県単独の公共事業についても75億円あり、今申し上げた数字の内にありますが、同規模のものを計上しているという状況です。
国の補正予算は、現在国会で審議中ですが、成立したら、できるだけ早く24年度の追加補正予算の形で県議会にお諮りをするという形になると思っております。
今回の予算規模は4,771億円で、前年度より約2億円増となっておりますが、ほぼ同額ということです。そして、先に申し上げた補正分を加えますと、実質的には5,000億円を超えることになりますので、対前年度比は5%上回るようなことになります。
まず歳出面では、昨年ようやく認可されました新幹線の建設負担金や公共事業などの投資的経費を、地方財政計画の伸びを上回る81億円の増額にしております。地方財政計画が前年度比98%の投資的経費の伸びですので、これに対して10%アップということです。一方、退職金支給率の引下げ等により人件費を約30億円程度削減しています。
他方、歳入面ですが、まず県税について、現状では、化学・電気機械などは好調な業種です。一方で、原発停止の影響を受けている電力事業者の業績は、伸びるということがありませんので、税金全体としては今年度とほぼ同額の880億円を計上しています。
また、地方交付税についは、臨時財政対策債、これは後ほどの交付税措置がありますので、実質的には交付税になりますが、今回、地方公務員給与削減を図るための減額などもあり、前年度に比べて27億円の減、1,632億円を計上しています。
また、県債の発行は、退職手当債が抑制をされることになりますので、前年度比で52億円の減、7.6%の減で640億円です。これに加え、平成に入りずっと国の景気対策に対応して発行してきた県債の償還がほぼ今ピークを迎え、これから数字自体は下がっていくことになるので、昨年、一昨年に続き、財務健全化のための繰上償還を行うことにより、県債残高は、昨年度に比べ全体で60億円減、8,764億円となるわけです。なお、このうち交付税の措置がない通常債は実質借金ですので、行革プラン上の目標は5,600億円としているところを5,595億円と、これを若干下回る水準に維持しています。
一方、財政調整基金の残高は、地方公務員給与の削減による地方交付税への影響も含め、126億円の取崩しをしております。この結果、残高は155億円となりますが、これは行革プランの目標である135億円を貯金としては若干上回っているという状況です。
以上が財政構造といいますか、収支の大きな姿です。
以下、主な事業について、予算そのものについて申し上げます。
○主要事業
24年度は、北陸新幹線の敦賀までの着工が決定されるなど、福井県の将来にとって大きな前進の年でした。今年はこうした40年近くに及ぶ結果が出ましたので、できるだけ早く事業を進めると同時に、当面、2年後の金沢開業などのさまざまな準備が必要ですし、新幹線建設がこれから毎年進んでいきますので、これを見通したまちづくりを行う絶好のタイミングになってきましたので、福井県としての大きな転換期に当たります。福井県の未来が明るくなるよう、また、産業などを中心に「明るく強いふるさと福井」をつくり上げるという決意で予算を組んだものです。
そのために、既存事業の必要性をゼロベースで見直すとともに、古いタイプの仕事や無駄などを徹底的にカットしながら予算を集中的に投入することにしました。
特に今回は、予算というと事業ごとに書いてありますが、これを別の目で見ると、これが人件費であったり、あるいは旅費であったり、委託費であったりと性質に分かれますけれど、私自身も、どういう傾向性によってこの事業を進めるかという、縦横を1回見ましたので、相当程度、経費の見直しができていると思います。
25年度当初予算の編成に当たって、5つの柱になります。1つは「新幹線時代にふさわしいまちづくり」。それから「新しい時代に飛躍する産業」。それから「地域間競争を勝ち抜く観光ブランド戦略」。主に2と3は産業全般、それから観光ブランドというような格好になります。4つ目は、生活に深くかかわる「環境、医療、福祉」などを総合的に進めていこうということです。そして、5点目は「未来を支える人づくり」、教育を中心にして予算をつくらせていただきました。
まず、「新幹線時代にふさわしいまちづくり」ですが、まずは新幹線開業を全力で早めなければなりませんし、新幹線時代にふさわしいそれぞれの地域の駅周辺のまちづくり、また、これに関する道路の整備、鉄道の整備など、今後、50年ぐらいを見据えたまちづくりが重要です。
まず、新幹線建設事業です。県内の事業費は約53億円ですが、この負担金17億円余りを今回計上しています。これは国のプロジェクトに対する県の負担金ということで予算に表れるわけであります。実際の事業が53億円執行されることになります。主な事業内容としては、長期間の工期が見込まれる九頭竜川橋りょうの設計や新北陸トンネルの掘削工事などです。
それから、県都のデザイン戦略の実行です。昨年2月から議論を重ねておりましたこのデザイン戦略については、「県都デザイン戦略(案)」としてまとまりました。福井市と一緒に、長期の見通しを持ちながら、可能なものから事業に着手することは、この事業上、極めて重要です。まずは、県民会館の解体が終わり、その跡地活用を行うということで、福井城址と中央公園の一体性を高める公園整備に着手します。具体的には、これまで整備してきた天守台跡や御廊下橋との連続性を活かしながら、そのライン上にある山里口御門の復元整備を行います。これは、今、きれいにできております御廊下橋の県庁側にあったものです。それから、近世から近代にかけて日本の歴史を動かした偉人が福井県にはたくさんいらっしゃいましたが、例えば由利公正の生家というのが幸橋の南詰のところにあったと聞いておりますので、その辺りに中央公園にある銅像を動かすとか、あるいは昔の家を移動するとか、そんなことを進めるという予算です。それから、歴史的な言葉だとお雇い外国人のエリオット・グリフィスという方が、福井県に短期間でありましたが来て、大きな影響を与えまして、異人館というものを建てて、そこで生活をされたわけですが、そういうものの復元などが考えられると思います。また、足羽川周辺については、船着場などの整備を行うことになると思います。
それから、3点目は、福井駅周辺のまちづくりです。新年度は福井駅西口駅前広場と再開発ビルについて、福井市を支援し、県都のまちづくりを着実に進めてまいります。
また、新幹線沿線の市町の事業ですが、沿線の人たちが十分議論をして、検討会などを設け、自分たちの町をどうやっていくのかという雰囲気をつくっていくことが大事です。金額は大きくありませんが、そういう議論の場の予算も計上しております。これは500万円です。ハードのものは2億円近く、あるいは3億円という大きさの事業になります。
それから、地域交通対策の促進です。これは新幹線に関連して、まず並行在来線については、経営形態や列車の運行形態、我々地方側の負担、またこれに対する支援、こういうものを詰めていく必要がありますので、北陸本線のさまざまな現況調査をこの並行在来線対策事業の中で進めることになります。並行在来線の開業は、新幹線と同様、今のところ10年余り先になりますが、それに向けて方針を出すための協議会です。
それから、えちぜん鉄道と福井鉄道の相互乗り入れ2億5,000万円ですが、今月7日に開いた関係者の事業検討会議でこの事業の負担割合等も合意しましたので、今回予算を計上したものです。これは私がマニフェストでずっと言っていましたが、なかなかこれまで日の目を見なかったものであり、ようやくこれで実行できるかなと思います。乗り入れは27年度からの運行を目指し、新年度から2か年で2つの鉄道のプラットホームの改修やLRV(超低床電車)の導入を進める予算です。
また一方で、それぞれの地域の住民の移動手段として、超小型EV(電気自動車)の利用促進事業を行い、地区としては、観光スポットが点在する坂井市三国地区やコウノトリの飼育拠点である越前市白山地区にこうした車を配置したいと思っています。
なお、福井鉄道が、いろんな車両を導入しており、新しい車両も入るのですが、外国の車両、高知県にあるのですが、それを購入して福井で走らせるということで、こういうものが見つかったときにはできるだけ格安に購入して福井市市街地周辺で走行するというような方向を出してまいりたいと思っています。
2つ目は、「新しい時代に飛躍する産業」ということで、大きく3つに分かれます。これは、ものづくり産業や伝統産業の技術承継、あるいは、特にこれから大事になる農林水産業、あるいは嶺南地域の水産業などの大きな項目がこの中に入ります。
まず、産業創出の話ですが、企業立地補助金など大きな事業はたくさんあるのですが、それとは別に、金額はあまり大きくはありませんが、例として3つばかり挙げました。これが産業のすべてではありませんが、例えば、医療産業創出事業700万円余ですが、成長産業をつくって、海外への輸出などが必要であり、特に医療機器部門において大きな動きもありますので、繊維とか眼鏡、機械などの福井の技術を医療分野に展開したいということで、学会での開発製品の紹介など、売り込みを支援する事業です。
2つ目は、産地ブランド向上支援800万円ですが、例えばステーキナイフなどは最近欧米からかなり高い評価を受けていますので、そういう専門家やその道の権威のある人たちなどに宣伝していただいて、いろんな出展をして販路を開拓してまいりたいと思っています。
それから、ふくい産業遺産・手しごと継承事業770万円余ですが、福井県で長年にわたって県民に親しまれて生活を支えていた製品というのはいろいろありますが、高度成長期等を経て、こういう産業的な遺産、あるいは手仕事遺産が、ともすれば忘られかけているというようなことです。資料に書いてあるのは、若狭地区にある「だるま窯」、非常に素朴な窯であり、ああいうものも、ほうっておくとどんどんなくなっていきますので、そういうものを残していく。それから、そういう技術を承継する若者の起業を応援するということです。
冒頭に申し上げましたが、県内企業の生産拠点拡大のための補助金や企業立地補助金等についても、引き続き実行してまいります。
次に、農業の推進です。一昨日はTPPなど大きな動きも出ていますが、今後の農林水産業については、企業的な経営を取り入れ、「食料産業」としての転換を図ることが極めて重要かと思います。このため、本県ならではの農林水産物の生産者と、こだわりの加工食をマッチングしていくことが重要かと思います。
まず6次産業化の推進です。新しい製品を多くつくっていくこと、それから、企業的園芸参入については、特に嶺南地域でも今進んでいますが、電気料金の割引分を活かした野菜工場的な農産物の生産、それから、坂井北部丘陵、三里浜などについては、かなり大規模な周年型の園芸を行うことになりますので、そういう法人を育成しながら施設を整備していくということです。
本年度、コシヒカリ、ハナエチゼンが、「特A」を初めて獲得しましたが、これはとりもなおさず、五月半ばの適期田植え、あるいはカントリーエレベーターによる籾すり時の米粒を大きくする、いろんなことをやっていますが、区分集荷などについて引き続き実行していく予算です。おいしい、付加価値の高いお米をつくるという事業です。カントリーエレベーターについては順次、23年度から30か所整備してきましたが、新年度ですべての集荷施設において、食味検査に基づいた区分集荷が可能になり、これで、おいしい米もみんな混ぜて出荷するようなことがなくなります。こういうことはTPPとかいろんな問題にも備える1つの方法になると思います。
3点目は、嶺南地域における産業の振興です。嶺南地域においては、冒頭に申し上げたように、原子力発電所の運転停止が長期化する中でさまざまな影響が出ています。嶺南地域の企業の2割程度は原子力に関わる企業であり、これを何とかしなければならないわけです。特に、お金はあまりかかりませんが、実質的ないろんな相談窓口の強化。それから、嶺南地域の商品を嶺北地域で売るとか、ネット販売というのが弱いので、ここを強化することで、ダイレクトに販売強化ができるのではないかと思います。
それから、原子力産業ということも議論がありますが、嶺南地域はこれから特に水産業が充実する可能性の高い地域だと思いますので、水産業についての強化の一端として定置網、これは既に幾つかあるわけですが、さらに追加して定置網の導入を進め、安定的な水産物の水揚げができるようにしたいと思います。あわせて、出荷調整も必要です。生簀や加工施設も導入してまいりたいと思います。全体で1億円余りの事業です。また、嶺南地域を中心に実行されている養殖業について、生簀を増設し、フグとかマダイの増産もしていく予定です。
3点目は、「地域間競争を勝ち抜く観光・ブランド戦略」です。現在の新幹線計画では、敦賀までの開業が金沢から10年余り遅れるということになるわけですが、これによって北陸3県全体としてはよくなるわけですが、北陸3県で格差が拡大しないように努めることが重要であり、これまでよりもさらにスケールアップした観光拠点づくりが必要です。
まず、新幹線、舞鶴若狭自動車道開通に向けた観光誘客の拡大、当面2年後に対するものです。1つは、観光まちなみ魅力アップ事業約1億8,000万円ですが、やはり観光の場合には観光地をよくしなければ話にならないので、本来ある観光地に対しての底上げを図る事業です。具体的には、あわら温泉を例にとりますと、まち歩きが楽しめる街路の石畳化や「湯のまち広場」で、温泉があふれ出して、足をつけたり、手をつけたり、あるいは、温泉を飲用に供するとか、そういうような施設を整備してまいりたいと思います。昨年までに藤野厳九郎先生の生家も丘の上からその場所に移築しましたので、総合的な効果を上げてまいりたいと思います。それから、新年度は特に福井市の浜町、いろいろレストランや料亭のある場所で、昔は非常に栄え、今でもそういう伝統は残っている場所です。それから、永平寺門前については、既に商店街は整備しましたが、さらに周辺の整備が要ると思います。それから、今庄、ここはあまりまだ手をつけておらない場所であり、何とかここをよくしていかなければならないと思います。ここには三、四十軒、昔の宿場町のいい建物がそのまま残っているのですが、このままにしておきますとどんどんなくなっていくおそれもありますし、いろんな観光のための事業もできなくなりますから、今、大事な時期かなと思っております。今庄は、歴史的に見ますと、東海道ができる前は、日本の歴史の中で最もあらゆる人がここを通っていますから、そこを何とか盛り上げることによって、南越前、丹南地域という、嶺南と嶺北を結ぶ大事な場所の整備が可能になるのではないかと思います。もちろん地元の皆さんに頑張っていただかなければならないということになると思います。そのほか、小浜市の西組周辺についても、仕事が進むと思います。なお、既に今年度から進んでいる敦賀市の金ヶ崎周辺での赤レンガ倉庫の整備は、新年度も実行してまいりますし、若狭町の縄文博物館周辺の整備も進めているということで、主だった場所の盛り上げを図ってまいります。
それから、もう1つは恐竜関係です。これは福井のダントツブランドです。新年度から第4回目の恐竜化石の発掘調査が始まりますが、野外恐竜博物館を整備し、これまでの発掘の様子とか、子供たちがそこに実際行って、発掘体験など、こちらも本格的にいろいろな道具や装備を備えて、子供たちがまるで研究者のような気持ちになって発掘ができるような場所にするための予算です。カマラサウルスの展示も春から始まりますので、ツアーに来ていただけるような体験ツアー、それから、アジアにおける恐竜研究の拠点としてアジア恐竜協会を恐竜博物館に設けますので、それを機にシンポジウムなども行います。いずれにしても、「恐竜キッズランド構想」というのがマニフェストに書いてあり、観光誘客や恐竜研究の拠点に実質的に持っていく予定です。特にツアーについては、大阪、名古屋方面から直行バスが運行されるということになると思います。
それから、次は、一乗谷朝倉氏遺跡と他の観光資源でありますが、1つは、一乗谷朝倉氏遺跡に電柱が残っているところがありますので、そういうものをなくそうというものです。それから、スマートフォンを使った遺跡の情報の案内、その場所に行きますと、ここはこういう場所であったという謂われ、語り部的な説明が聞こえてくるということです。それから、一乗谷朝倉氏遺跡資料館の所蔵品をどんどん入れ替えて、展示していくことになると思います。
それから、越前焼について、旧宮崎村の古民家を活用し、魅力ある拠点の整備に着手したいと思います。これは越前焼を日本の六古窯にするために努力された水野九右衛門さんの水野邸を少し山の奥からこちらへ持ってくるというものです。
それから、若狭歴史民俗資料館です。若狭の仏像あるいは伝統行事、さまざまな風習などは、嶺南に比べるとさらにもう1つ古い時代のすばらしいものですが、十分皆さんに知っていただいたり、まだ活かされていないきらいがありますので、この歴史民俗資料館のリニューアルを行うことによって、展示をしたいと思っております。若狭のある寺院の仏像が京都で特別の展示会なども行われる予定がありますが、そういうこともしっかりやっていただくと同時に、この場所でそういうことが可能になるようにしてまいりたいと思います。これがまた、26年の舞若道の完成と呼応することになると思います。
もう1つは、海浜自然センターです。これは海岸部にあり、これも若狭を中心とした水族館的、あるいは研修的、子供たちの楽しみの場でありますが、これをリニューアルしたいと思います。大体それぞれ数億円かかる事業ですが、この機に直してまいりたいと思います。例えば、エチゼンクラゲなどいろんな珍しいものが見られるとか、これからの検討ですが、目玉となる魚ができるといいと思います。
次に、2つ目の福井の魅力の発信、ソフト事業で、それぞれ数千万円の事業です。観光プロモーション、それから、新幹線沿線エリアでの戦略的な魅力発信。昨年から始まっております大宮、高崎、長野、金沢そして東京、上野です。それから、大手百貨店において本県の観光誘客、県産品の販売促進ということで、大宮、東京、大阪です。特に大宮等については、福井の西武百貨店などとの連携ができるかと思われます。
次に3点目ですが、食を活かしたブランド戦略です。現在、東京には「ふくい南青山291」があるわけですが、新年度に入って早々に4月から東京・銀座にこの南青山291と連携したサテライトショップをオープンし、首都圏で売れる食品の開発を主にやってまいる必要があると思います。具体的には、農水産加工品、お菓子、スイーツなどの専門家の協力を得て、いろんな有望な商品について、売れるパッケージなど商品改良も行いたいと思っております。そういうものをこの291またサテライトショップでテスト販売することによって、さらに他の場所への販路拡大に努めてまいります。
さらに24年度から始めております「ふくい味の週間」についても、充実をしてまいりたいと思います。同じく去年「にっぽんのふるさと福井」の商標登録、ブランドを確保しましたけれども、福井産米の販売強化です。
それから、「越前・若狭のさば」です。サバは有名ですが、意外と北欧のサバが幅を利かせているということがありますので、地物のサバがちゃんと食べられるように、常時、水揚げされたサバを用いて提供できるようにしてまいりたいと思います。
4つ目は、「暮らしやすさを高める環境、医療、福祉」ということになります。4つの項目に分かれると思います。
まず1つは、環境、自然環境を中心にした課題ですが、今年は9月にSATOYAMA国際会議を福井県で開きます。昨年はインドのハイデラバードで開きましたが、今年は福井県でということになります。さまざまな専門家もお見えになりますし、小学生などが活動を報告したり、また、外国人との交流などにより、県内の誇れる里地里山についてアピールをし、今後の事業につなげてまいりたいと思います。
それに関連して、水月湖の年縞については、地質の学会でこの年縞をもとに、世界のさまざまな考古資料、あるいは遺跡、気候、温度変化など、数万年にわたるものがこの年縞の資料を使うことによって確定される貴重な資料になりましたので、このためのDVDの活用、これはSATOYAMA国際会議などを通してアピールしてまいりたいと思いますし、さらに25、26年度以降、福井県としてこれをどのようにさらに活用していくかということを考えてまいりたいと思っております。
次に、結婚・子育て対策ですが、子育てを重視するということで、福井県は、この10年余りにわたって子育て先進県としての評価を受けているわけですが、一方で、子育て中の世帯の育児時間があまり長くありませんので、子育てしやすい働き方、家族時間を伸ばしていく必要があると思います。そこで、1歳になるまでは、もっとご家庭で子供の面倒を見る、そのためには、会社の協力が必要ですので、そういう応援をしたいと思います。産まれるとすぐ保育所に預けるということではなくて、そういうことをする必要のある方はそれをせざるを得ないと思いますが、そうでない方については、生後1年ぐらいは家で子供と一緒に過ごせるよう応援する制度を創設します。
次は、その前提となる出会い・縁結び活動です。福井では結婚相談員、縁結びさん、あるいは、さまざまな企業等がそれぞれで活動していますが、それらを一堂にまとめた形で参加者がいろんな意見交換をしたり、相互に協力して行えるような事業を考えています。
3点目は、医療の中心となるがん対策です。がんについては、陽子線がん治療を本県で先進的に進めており、他のさまざまながん治療も、総合的に行っています。その前提として、がん検診受診率の向上が重要です。がん検診受診率が5割を超えることを目標として取り組んでいます。平成19年度から5年連続して向上していますが、まだ3割台ですので、ここを何とかしたいと考えています。そのため、いつでもパソコンでがん検診が予約できるシステムを4月からスタートさせるとともに、市町のがん検診受診券の発行対象者を、19万人から31万人に拡大するなど、努力していきます。また、がんの病理を調べる病理医等のがん専門医の育成、それから県立病院の放射線治療装置(リニアック)について、新たな機器の導入に向けての方法の検討等、それからがん患者支援としてがん患者が気軽に相談できる窓口を開設します。
健康づくりにつきましては、5年後には福井国体も開催されます。皆がよく運動をし、健康に気をつける、食べ物についても改善をしていくという大きな流れが重要ですので、運動、ラジオ体操、あるいは飲食店での健康メニューの提供、学校給食など、さまざまなことを進めていきます。
最後の5つ目は、「未来を支える人づくり」、教育現場です。昨年5月に「学力向上センター」、11月には「幼児教育支援センター」を設け、福井型18年教育をさらに具体化していますが、新年度はこうした政策をさらに1つ高いレベルにアップをさせたい、学力、体力、広い意味での教育の日本一を目指していきたいと思います。
まず、幼児教育ですが、昨年10月に「県幼児教育支援プログラム」をつくりましたが、今申し上げましたように、「幼児教育支援センター」を11月に設けております。これは幼児の保護者や祖父母を対象に、家庭教育の指導、それから保育所、幼稚園での先生方の研修をここでやっておると同時に、昨年は、由紀さおりさんなどのご協力を得て、最近はあまり歌われない童謡とか唱歌の普及、それからおもちゃ、絵本などの使い方など、基本的なことが今はないがしろにされておりますので、基本に立ち至って、子供の心の教育あるいは自分をうまくコントロールする教育をさらに充実したいと思います。
それから、もう1つは、中高一貫教育 併設型です。これまで、連携型ということで、金津高校や丹生高校、美方高校で、連携型中高一貫教育というのをやっておりましたが、今回は、より本格的な併設型、その学校に県立中学校をつくるということになります。東京などにある私立の一貫校をイメージしていただければと思います。教育委員会が設けた検討委員会においてこの議論をし、先月末に示された提言を踏まえ、今日、教育委員会で、平成27年4月に高志高等学校に県立中学校を併設する方針を打ち出すことになると思います。25年度は、全体構想、施設整備の検討のほか、保護者の方々への説明会の開催など、県内で初めてとなる中高一貫校の開校に向けて、着実に準備を進めてまいりたいと思っております。
2つ目は、教員、先生方の授業力の向上であり、昨年7月に、県全体の県立高校で授業・学習状況調査を実施しましたが、授業があまり理解できていない生徒や授業に対する興味が薄い生徒が3分の1ぐらいいるという調査結果が出ております。これは、生徒の意欲もさることながら、教え方の改善などが要るということにつながるわけであり、また、先生の教え方の違いによって大きく影響しますので、生徒が理解度を高める授業のモデルなどを検討することで、各学校の授業研究体制を強化してまいりたいと思います。また、若手教員の授業力向上塾、授業改善重点実践校の指定などを行って、体制づくりを進めたいと思います。さらに、高等学校で授業名人を、教育委員会が認定していますが、この人たちの模範的な授業を1年間撮影し、それをほかの若い先生たちが使うというような独自の教材をつくってまいりたいと思っております。これは、優良授業モデル等実践事業ということになります。
それから、英語力向上4,900万円ですが、英語教育については、職業系、普通系を問わず、極めて重要なことであり、英語力を向上するためには、かなり時間も要するわけです。今年度NHKと共同で作成しているオリジナル教材の活用のほか、NHKの語学番組の講師による教員研修など、連携を強化してまいりたいと思いますし、特に、小学校でも英語、外国語教育が入っておりますから、4年生を対象に、英語版の童話、動画を活用した英語表現学習を充実してまいりたいと思います。これは、小学校のスタートのときにちゃんとした基本の教育を受けないと、これからずっと、中学校、高校、大学などと行くときに物にならない可能性があるように思いますので、大もとのところで基本的なことを、福井県としてやることになると思います。なお、高校生については、昨年度からの海外語学研修あるいはキャンプなどを進めることになります。
3つ目は、子供の個性や才能を伸ばす教育の実践ということで、夏休み科学チャレンジ、サイエンス教育です。理科好きの子供たちを進めていくということです。それから、芸術教育。特に、芸術については、音楽など、絵もありますけれども、子供たちは興味を持って関心もあるのですが、十分なトレーニングといいますか、教育が学校でもできていない事態がありますので、ここをてこ入れしてまいりたいと思います。楽器に親しむといいますか、一生、ある楽器を使えるようになるとか、こんないろんなことがあるかと思います。
4点目は、高校再編であり、若狭高校と若狭東高校の再編、坂井総合産業高校(仮称)、これは坂井農業や春江工業等とが一緒になるわけですが、そのための施設整備などの事業予算がここに入っておるわけです。
5点目は、教育文化施設の整備です。まず、青少年体験活動施設整備。芦原青年の家が老朽化しておりますので、25年度には施設整備のための基本設計等を実施することになります。28年度中のオープンに向けた事業になります。
それから、福井ふるさと文学館の整備です。3,200万円ですが、これは福井県立図書館の中に設けるということで、議論をしておりましたが、25年度には整備のための設計を実施し、展示内容、教育普及活動など、運営内容を具体化します。さらに資料収集をあわせて行い、26年度中に県立図書館内に開館を予定しております。
6点目は、国体開催に向けたスポーツ振興であり、福井しあわせ元気国体の準備事業、それから市町施設整備事業補助金、競技力向上対策を進めてまいりたいと思います。開催が内定するのは新年度ですが、マスコットキャラクターの制定、県内全小中学校への国体を知っていただく横断幕の掲出などを通して、子供たちにも、また周辺の皆さんにも国体のことをわかっていただくということになると思います。また、競技会場となる市や町の体育館の改修に対して助成制度を行うことになります。
スポーツ振興、競技力向上ですが、開催県にふさわしい成績を上げる必要がありますので、入賞実績のない競技の実戦練習を充実させるほか、トップレベルの指導者からの実戦的な指導を充実したいと思います。また、若手選手の育成、中学校や高校、クラブチームなどでの練習を重点的に強化し、予算面でも応援してまいりたいと思っております。
以上の大きく5点について、予算の説明をさせていただきました。
~質疑~
【記者】
当初予算で、重点施策が5点ありましたが、知事の中で最重要と思われるポイントがあれば、お願いします。
【知事】
やはり産業面、我々が生活する糧といいますか、こういうものをしっかり確保する必要がありますが、そういう意味では、新幹線事業をしっかりできるだけ早く完成するということと、26年度の金沢開業に向けての具体的な対応、これは舞鶴若狭自動車道が北陸自動車道と直結し、永平寺までつながり、また、この3月には勝山-大野間もつながるという中で、この対応、これは観光地の具体的なハード面の整備をしたり、あらゆるPRをしたり、また、そのほか嶺南地域の振興などいろいろありますが、そういうことが極めて重要かなと思います。
そして、そのためには、人づくり、これを実行してくれる人がいないと、農業問題もできませんし、やる人が大事ですので、こういう人づくり。これは進学とかそんなことだけではなくて、職業系の子供たちにも頑張ってもらわないといけませんから、そういうようなことを考えて事業予算を組んだということです。言葉としては、「明るく強いふるさと福井の創造予算」であると思ってください。
【記者】
新幹線の整備促進の中にある「環境調査」というのは、これは特にいろいろ話題になっている中池見湿地を対象としたものですか。
【副知事】 建設事業自体は鉄道・運輸機構の事業で、県は地元負担を出すという構造になっていますので、そこは何も変わっておりません。ですから、事業を進めるためには、橋の設計もあれば、高架橋の部分もあれば、トンネルもあれば、さまざまな環境調査もあります。そういう意味ですので、こういったことが来年度あるだろうということで書いたということです。
【知事】
全体を指すように思っていただいたほうがいいでしょうか。そこだけをターゲットにしたというわけじゃありませんから。おっしゃった場所も、もちろんいろんな調査を入れますし、国のほうは、まずいろんなことをやっていただいているということです。
【記者】
財政の見通しのことでお尋ねしたいのですが、県債残高とか財政調整基金の残高などで今のところ目標をクリアしているような状況だと思いますが、これから新幹線の建設事業などかなり事業がありますし、今回の予算ですと、公共事業など投資的な経費も多いかと思いますが、今後、国体も控えて、事業を抱えている中で、中長期的な見通しをどういうふうに見ていらっしゃるか、お尋ねをしたい。
【知事】
これは、今、並行して新幹線や足羽川ダムなど大規模プロジェクトがあり、そして、いろんな原子力の問題などがありますし、それから、それ以外に対応する予算があります。そして、消費税など、いろんな財政上の法制をどうするかということがありますので、長期的な収支の計算については、最近のいろんな新しいものを見ながら調整をしているという状況です。一定のまとまりができた段階で議会にお示しをするということになると思います。前提がさまざまありますので、一定の物の考え方をした上でご理解を願うということになるかと思っております。
【記者】
今回当初予算では記載されなかったと思いますが、国の地方公務員の給与引下げを求めて地方交付税を圧縮した…。
【知事】
これは、ちょっとこれが終わってからにしてください。予算と関係しないわけではありませんが、まとめて後で。
【記者】
新幹線に関して、まちづくり、観光施策が中心になっていると思いますが、今回の予算で、知事が考えられていたことがどの程度反映できましたか。また、今後の福井県の成長を支えるような、また、税収アップにつながるような施策として、知事が位置づけられている事業というのはどういうものか教えてください。
【知事】
特に2年後のさまざまな対応ついては、福井県内の資源の値打ちを高めないといけないですから、それに対して予算をかなり集中的に、さっき示したような地域に投入しております。しかし、これは一方で、そこでいろんな事業をしていただく企業や団体、あるいは観光事業者など、そういう人たちに頑張っていただかなければならない部分もありますので、そこをいかにこれからいろんな議論をして、みんなで気持ちを一にしてやるかというのが大事かなと思うのです。この予算は、概ね準備をしてお使いいただくことになると思うけれども、その次のことを一生懸命、我々が汗をかく必要があるのかなという感じがいたします。
それから、今後の問題ですが、これから新幹線事業やいろんな事業が進みますと、それ自体としての1つの産業の活性化と、あるいは将来への元気につながると思いますが、それだけではいけないわけで、特に、企業誘致などは基本にかかわることですので進めなければなりませんし、嶺南地域については、原子力の問題もさることながら、水産業や観光など、そういうものにかなりてこ入れをしたつもりですので、そうしたことによって嶺南地域の全体の地域振興が少しずつ変わってくるといいと思っています。
【記者】
知事は以前に、主要施策を事前に出されて、パブリックコメントを募集し、予算に計上されていたこともあると思うのですが、そういう仕方を今はされていないというのは、何か考え方の変化というものがあるのでしょうか。
【知事】
大体いろんなご意見をいただいて、概ね定着した感じもありますので、今はあんまりそういうことをやってないということです。
【記者】
定着したというのはどういう…。
【知事】
大体出てくるご意見が、一定の傾向があるといいますか、一部パターン化した部分もあったりしますので、むしろ、そういうことではなくて、予算をつくる段階でさまざま議論をしたり、担当の部署とか幹部がいろんな人の意見を聞いたりしてやっていくと。私自身もいろんなことをやっておりますが、そういうことでやったほうが効果があるのかなということで、今はそういうやり方にしているということです。
【記者】
原発停止の影響を受ける嶺南の対策について、今回の新規事業ではダイレクトな経済対策事業が見当たらないのですが。
【知事】
嶺南地域で申し上げますと、具体的ないろんな活動の特別相談窓口の強化や水産業では定置網漁業等による地域活性化事業。それから、これは原発というか、エネルギー拠点化計画にも関係しますが、パワーアシストスーツ研究開発事業、これは1億円ぐらい。それから、海浜自然センターのリニューアル、若狭歴民のリニューアルなど、観光、あるいは人の移動、交流を高めるようなプロジェクトの予算を投入したということです。一方で、原子力そのものの方向、見通しが出ることが大事であり、これはこれとして、また予算とは別の議論でしっかりした方向づけをする必要がありますので、これは先般、議会や産業界とも一緒に、安倍総理にもそのことを申し上げました。
【記者】
消費対策のような大型のものがなく、原発を再稼働して経済を回復させるというような考えが根底にあるのかということをお聞きしたいのですが。
【知事】
根底にあるという考えではありません。原子力発電所は原子力発電所として再稼働の問題を議論していかなければなりませんが、もともと私は、エネルギー開発拠点化計画のように、単に原発だけの議論をしていてはいけない、地元の産業への移転など、次の展開を図らなければならないと言っていますから、それは引き続きやる必要がありますし、あわせて舞鶴若狭自動車道なども完成しますから、観光あるいは水産業、農林業、こういうことを強化していく必要があるだろうということです。もちろんその中で企業の誘致というのは大事ですので、それを行うということです。
【記者】
LNGについて、新年度はどんなことをしようとお考えですか。
【知事】
これからいろんな研究会をやる必要がありますので、話を詰めなければいけませんが、来年度は研究会を三、四回ぐらいやるようなことになるのではないかと思います。また、国自身も資源エネルギー庁などでさまざまな会議もあり得ますので、そういうところといろんな情報を交換して、福井県でどんなことができるのか、できないのか、これから具体化していくことになると思います。
いずれにしても、専門的な、あるいは国際的な情報が必要ですし、県内でLNGのインフラ整備に向けて、地域産業の波及効果はどうだとか、どんなインフラを整備したらいいのかとか、そういうものをするときに利用度は高いのかとか、いろんなことがあると思いますから、そういうことをまとめた上で対応することになると思います。
【記者】
まず、事業のネーミングのことから聞きたいのですが、今回、主要事業を見させていただいて、ちょっとわかりにくいなと思ったのは、それぞれの予算がずらっと並んでいる感じで、規模とか金額とか、わりと大きいものから小さいものもあります。また、以前に知事が予算の編成に当たって、ネーミングにこだわられたときがあったと思うのですが、今回、何とか補助金や、何とか交付金、何とか推進事業という、非常に漢字が多い事業名が書かれていますが、これはやはり国の予算編成がずれ込む中で、非常に作業上、急がれた関係なのですか。例えば、観光営業部の「もっと日本一」というような事業名だと、何となくその事業のイメージができるのですが。
【知事】
もちろん、どういう気持ちでこの予算を実行したらいいのかとか、どういう予算で組まれているのかというのもあるのですが、多少そういう傾向が今回あると思います。この2年間は、具体的にいつまでに何をどうするか、そのことを端的に表すタイミングということでそうなっているのだと思います。
【記者】
当初事業の主要事業は、マニフェストに沿って組み立てられています。スライドのほうは、知事の新年度にかける思いの中の主要施策の中身だと思います。そこら辺の整合性というのがちょっと今回わかりにくいのではないかなと思うのですが。
【知事】
かなり説明技術的な問題もあると思いますが。別の機会に工夫させてもらいます。新年度のマニフェストで目標を定めるときにそうさせてもらいます。
【記者】
公債費が、一番支出の割合として高くなっているのですが、これは繰上げ償還をして、将来への負担を減らしていこうということですか。
【知事】
これは、ある程度、借入金の計数管理というのが要りますので、繰上げ償還などを行って、財政の健全性を維持するということにしています。
これをしますと、貯金は減りますし、お金を自由には使えないという制約がかかるのですが、やはりここでそういう一定の限度というか、自制的な部分というのはあると思いますので、そういうやり方をとっているということです。
そして、健全財政手法を管理して、人間の健康で言うと、大事ないろんな指標がありますが、そこは抑えないと、どんどん行くというわけにいかないと思うのです。今、かなり事業が集中している問題はあるのです。
【記者】
人件費が、退職手当なども多く発生していて、投資的経費がようやく少し割合としては上がっているのですが、この辺り、事業が集中しているから、なるべく費用を捻出しようということがあるのでしょうか。
【知事】
人件費というのは義務的に発生する経費ですので、ある制度の中で必ず必要な経費だと思います。もっとも、最近の退職金がどうだとか、そういう話とはまた別になると思います。
ただ、福井県は職員の数を少なくしていますので、人件費が相対的に少なく当たる部分はあると思います。ただ、水準そのものを何か特別にカットしているということではないわけです。それはいろんな手当などについて無駄がないように、今回も行ったということです。
【記者】
長期的な収支の計算というのを進めていらっしゃると言及がありましたが、それはいつごろを目標に示される予定でしょうか。
【総務部長】
2月議会中のなるべく早い時期にお示しできるように作業中です。
【記者】
今後、費用を捻出していかなければいけないという時期で、人件費は職員数を減らしてきたと。また、公共事業も10年間で大体半分ぐらいに抑えてきた中で、今、政府の方針でまた増やす方向にあると。今後、どういったものを削っていくのかというお考えをお聞かせいただきたい。
【知事】
そこはかなり難しい議論になるのですが、今回の経済対策については、福井県としてもまだまだ必要な事業が残っておりますので、防災、あるいは新幹線をはじめとした太平洋側との格差をなくすとか、全国のネットワークなどに必要ですから対応したいと思いますが、ずっとこのままこういうことばかりやるというわけにはいかないわけで、全体に、消費税の問題、あるいは経済自体が活性化しなければなりませんので、産業振興など、こういうものに移っていく局面にしなければならないと思います。
【記者】
どういった部分を、今後、削って費用を捻出されていくお考えなのでしょうか。
【知事】
今回の公共的な事業については、多くは国の財源がついておりますので、福井県として特別、何かの経費を大幅に削らなければいけないという状況にあるわけではないということです。かといって、ずっとこのことが続くわけではないと思います。
【知事】
先ほど交付税と給与の話がありましたが、一方的にいろんな削減ということについては極めて遺憾なことであり、また、交付税というのは地方の固有の財源ですから、ある政策目的にこれが使われるというのは本筋ではないと私は思っております。しかし、実際にその分が減っているというのは確かですから、これは小泉内閣のときの数兆円の減額とよく似た状況です。今後どのようにするかということについては、いろんな検討をしてみなければならないという状況です。直ちに、今の時期に判断をすることではないと思っておりますが。
【記者】
判断の時期としては、年度をまたいで6月議会までにはというめどはありますか。
【知事】
ある程度の時期でしょうね。
【記者】
今後の財政の見通しの中で、消費税や原子力の問題とおっしゃられたのですが、それは廃炉を想定してのお話と考えればよろしいのでしょうか。
【知事】
いや、そうではなくて、動いていないということを前提に。大飯3・4号機は動いていますけれども、他のものが動いていない、あるいは方向性が出ていないという状況の中で、という意味です。
【記者】
それは、中長期的な財政ということで考えると。
【知事】
中長期的な財政見通しをするときに、そういうものがそれに合わせてうまく目に見えるようになっていればいいけれど、なっていないと。私が申し上げたのは、今動いていないという状況の中でという意味で申し上げました。
【記者】
廃炉の影響とかというのは、そのシミュレーションの中で…。
【知事】
いや、それはまた次元がちょっと違うので。それはまた原子力行政の判断になってくるから。そちら側が先にあって、財政収支見通しが先にあるわけではない。片方がそちらを動かすわけではありませんから。
【記者】
平成26年度の北陸新幹線金沢開業対策を軸にするという話ですが、福井からすれば、終点の金沢よりも、さらに奥のほうにお客さんを連れ込まなければいけないということで、そういう不利な立場からの観光誘客になるかと思うのですが、福井としては何を一番の軸に、何を一番頑張ったということがありましたら。
【知事】
特に金沢開業対策については、それぞれ難しい課題が多いのですが、特に主要観光地のレベルを上げていく。いろんなPRなども大事ですが、観光地自身がよくないといけないだろうということを重視しています。そこで、恐竜博物館や一乗谷、ほかのところも申し上げましたけれども、市町が行う観光地のレベルアップもその中にありますが、そこを重視しているわけです。
一方で、金沢からの福井県内への直行バスや、石川県と連携したいろんなキャンペーンを並行的に進めることになると思います。その中には、デスティネーションキャンペーンは27年の秋から行うでしょうし、26年3月にはJR東日本が新幹線のCMを首都圏で放映するとか、いろんな動きがありますから、そういうものの対応が要るだろうと思います。主要観光地のレベルアップ、市町の観光地のレベルアップへの支援、いろんな共同のキャンペーン、そして、フットワークの確保、これが、大筋の話です。
【記者】
TPPの話ですが、日米で随分話が動いていますが、改めて知事の見解と、今後、国の動きに対して望むことを。
【知事】
日本は貿易を中心とした国であり、大きな経済スケールも持っておるわけです。いろんな国の連携の中でしか日本は生きていけないわけですので、こうした問題は避けて通れない課題です。そういう意味で、それをどうやって解決するかということで一歩踏み出したという意欲は感じられるところです。
一方、自民党として約束されているTPPにかかわる項目が6つばかりあったと思いますが、そういうものについて、どんなふうにこれから考えるか、まだはっきりしていない段階ですので、直ちにこれがいい、悪いということは申し上げられないと思います。いずれにしても、今後、政府あるいは与党間で調整されると思いますが、我々としては、福井県内のいろんな農業団体のご意見も聞かなければいけませんし、具体的にそれぞれの部分についてどういう影響があるのか、どういう対策をするのかというのを、国においてもその都度説明がなされる必要もありますし、また、我々もよく情報をとって、今後の対策につなげてまいりたいと思っています。
ただ、農業問題をこれからどういう方向にするかということについては、今、福井県も検討会を設けてやっているのですが、この中でTPPがあるかないかということにかかわらずやらないといけないこともありますが、TPPでどういう影響を受けるかというのも重要な課題ですので、この点についてもう一度議論を加える必要があると、こんな気持ちを持っております。
TPPのこういう環境の中でうまく状況を使って、福井の農業を次の段階にいかに盛り上げていくかという戦略を練る必要があると思っております。TPP自体の問題もさることながら、そういう状況であります。
【記者】
TPPは不可避ということでしょうか。
【知事】
避けて通れない課題だという状況でしょう。ただ、いかにこれを農業問題としてうまく状況を使っていくかということだと思います。農業団体にも、まだ聞いておりませんので、よく聞いて、そして、いろんな情報をとって、福井県の農業問題、それぞれどこにどんな問題があるかというのがあると思いますので、より具体化してまいりましたので、そう思います。
【記者】
原子力防災の関係で、地域防災計画の見直しを、3月18日までに求められていますが、それに向けた見直し状況が今どういうところにあるのか。また、今年度、毎年行っている原子力防災訓練はまだ行われておらず、予定も今のところ伺っていない状況で、今年度の訓練は見送られるという方針なのか、やるのであれば、実効性を高めるために、ある程度計画そのものが定まってから動かれるのか、聞かせていただきたい。
【知事】
原子力防災計画については、国は当初、法律の改正によって6か月以内、これが3月18日までにということでしたが、11月16日の説明では、3月というのは期限ではなくて目安ということであり、直ちにその3月までにできるという状況にないということです。
いずれにしても、避難の判断基準は示しました。1月30日に示していますが、県が求めている区域の特定方法とか、どの区域がどういうふうに定めるのだという方法とか、モニタリングの体制とかヨウ素剤の配布とか、いまだ具体化していませんので、各県ともやりようのない部分があると思っております。
こういう中でありますが、県としてはまず、これまで申し上げておりますように、被害のリスクや頻度、万が一の際の損害が大きくなる原発の近接地域、これは5km圏が中心だと思いますが、実効性のある避難計画を策定して訓練をするということになると思います。
防衛省等とも、先日も左藤防衛大臣政務官とお会いして、いろんな要請はさらに加えておりますので、そういうものがまとまった段階で訓練が行われることになると思います。かなり具体的な訓練でなければならないと思います。
【記者】
防災計画の関連ですが、3月18日の時点までには暫定的見直しのような、一部修正するとか、そういう形では状況的にもつくれないかと思いますが、そういうこともしないということなのか。また、これは国のほうが目安と言ったわけですが、目安ということで言ってしまうと次の期限がなくなって、いつまでもできかねないと思うので、知事としては、どこかの一定の段階でまとまったら暫定版として出したいということなのか、どういう考え方で臨んでいるか。5km圏を先にやるのであれば5kmの段階でまず暫定版を出して、その後広げるのか、どういう対応が必要と考えていますか。
【知事】
特に5km圏の議論になると思います。それは非常にクリアにしていかないと、次の20kmとか30kmが形式的になってしまうと思いますから、そういう考えでやることになると思いますね。
【記者】
それだけ先につくるとかということは。
【知事】
これはどうするかと、もう少し詰めていかないといけない。訓練ができるかどうかにかかります。
【記者】
衆議員選挙の区割りのことなのですが、政府のほうで審議会が区割りの見直しをされていると思いますが、福井県はその対象になっていて、対象になる各県に意見を求めていると思います。知事としてはどういうふうにお考えでしょうか。
【知事】
あまり国政選挙の区割りについて、我々のほうから何か言うことはないのですが。
【記者】
審議会のほうで意見を求めていると思いますが。
【知事】
国にお聞き願いたいと思います。
【記者】
原子力規制庁の幹部が、原電の敦賀発電所の破砕帯に関する報告書の原案を公表前に原電側に引き渡していたということが発覚しまして、これは電力事業者となれ合いを排するという規制委員会の理念に反するものと考えるのですが、知事はこの問題についてどのようにお考えでしょうか。
【知事】
どういうルールがあって、どういうやり方だったか、詳しくわからないので、コメントしようがないです。
【記者】
県としては、県民の安全を第一にという立場で、ある種、これまでも規制当局に対して厳しい目を向けられていたと思うのですが、そういう立場からもあまり…。
【知事】
手続的なことが実際どうだったのかわからないので、どうだと言いようがないです。報告を受けているわけでもないし、そういうタイプのものだから、あまり私に聞いていただいても。要するに十分承知してないことです。彼らによく聞いてもらって、問題を解明してほしいと思います。
【記者】
防災計画と原子力防災訓練の関連で確認なのですが、計画がまとまった段階で実効性ある訓練をというお話でしたが、年度内の訓練は事実上断念、見送るという理解でよろしいのでしょうか。
【知事】
断念とかそういうタイプのものではないです。もともと物事がそういうふうになってないから、できた段階でできるだけ早くやると。どうしても決まっているものがあって、そうしないといけないのだけれど、できないというのを断念と言うのだと思いますが、今回の話はそういうタイプのものではないということです。できたところでできるだけ早くやると。
【記者】
年度内は見送りということですか。
【知事】
わからない。話を詰めていかないと。
【記者】
新年度の組織改編というのを今考えていますか。県庁内の組織改編を考えているのかということをお伺いしたい。
【知事】
それは毎年度の人事異動、あるいは組織については見直しを行います。
【記者】
その中で政策幹ポストが2年になりますが、副知事を2人体制にすることなどは考えていらっしゃいますか。
【知事】
これからです。議会との関係もありますから。
―― 了 ――
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