知事記者会見の概要(平成25年4月25日(木))

最終更新日 2009年9月16日ページID 023384

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平成25年4月25日(木曜日)
10:30~11:50
県庁 特別会議室

 
知事写真
 

【知事】
 おはようございます。きょうの記者会見は、1つは「『安全・安心ふくい』充実プラン」の策定について、2つ目は「政策合意」について、3つ目は「橋本左内先生の書状等の入手」、以上3点です。

 まず、「『安全・安心ふくい』充実プラン」の策定について申し上げます。
 これについては、福井県と県公安委員会、県警察とが共同でつくったものであり、富田県警察本部長とともに発表します。
〔「安全・安心ふくい」充実プラン〕
 この治安に関するプランは、私が知事に就任した平成15年に全国初めての試みとして、県公安委員会、県警察と県が共同でつくったものです。それ以降、2年ごとに改定しており、最初は「回復」プラン、次に「向上」プラン、「実現」プラン、「実感」プラン、そして今回は「充実」ということで、それぞれ言葉が微妙に違いますが、それぞれの局面の内容を表しているということです。
 10年前の平成14年に、戦後最悪を記録していた本県の刑法犯認知件数が10年連続で減少しました。昨年24年には5,432件と、昭和50年代前半と同程度の水準に回復しました。
 ただ、女性に対する犯罪や子どもに対する声かけ事案など、社会的に許されざるべき事件というのが、なおありますし、新しい手口の詐欺事件なども減少していない状況であり、これに対する対策の強化が必要な状況にあります。
 このため、これまで県警察と一緒にやっているわけですが、もう一度原点に立ち返り協力をするということで、県警察は取締りや事前のいろんなパトロールをするなど、事件の未然防止ということに意を注ぐ必要がありますし、県はPRや啓発、指導という面で行う。つまり、県警察は犯罪の前兆事案に対する先制・予防的活動を一層強化していただく。県は被害者となりやすい子どもや女性、高齢者の対策を拡大しながら、双方新たな立場でもう一度協力し合って、犯罪を起こさない、起こさせない、被害を受けない施策を充実するという趣旨から、今回は「『安全・安心ふくい』充実プラン」としています。
 県の立場からのこのプランの重点を、3点申し上げます。
1つは、この後、本部長から詳しくお話がありますが、資料の3ページの「犯罪の起きにくい社会をつくる」ということです。
 昨年は、検挙・補導された非行少年は減少していますが、喫煙や飲酒、けんかなどの、不良行為少年は増加している状況です。そこで、「非行少年を生まない社会づくり」ということで、非行防止教育や青少年が集まりやすい場所での巡回指導などを実施していく。また、インターネット上の犯罪被害から青少年を守るため、保護者に対する迅速な情報提供を行います。
 それから、4ページは、2点目の項目で「子ども、女性、高齢者を犯罪から守る」であり、これは、先ほど申し上げましたように引き続き事案の減っていない部分ですので、中学生の下校時の巡回パトロール、あるいは郵便局や新聞販売店などに見守り活動に参加していただいて、見守り活動の「見える化」を推進する、それから、子どもや女性を狙った卑劣な犯罪、つきまといなどについては、県警察で徹底した指導をしていただきながら、保護者、子ども見守り隊、防犯隊、事業所を含めた見守り活動を強化するということです。高齢者については、振り込め詐欺の被害額や新しい金融商品取引の詐欺などが増加していることから、消費生活教室などによる情報提供を行って、高齢者がだまされないような対策をしてまいります。
 3点目は、交通事故であり、7、8ページにございます。昨年は、交通事故死亡者が37人と、過去60年で最少となりましたが、今年に入り4月24日現在で19人と、前年より13人も増加してしまっている状況にあります。そのうち高齢者の占める割合は63%です。ほかに、高齢者の運転による死亡事故も4件ということで、運転者、歩行者、両面からの高齢者対策が重要です。このため、今後は特に高齢者の運転による交通事故の抑止に力を入れなければならないと思っており、安全運転教室の実施の強化、また、市町や関係機関と協力し、交通手段の確保や、家族、地域などの身近な人からの呼びかけを行いながら、安全運転に不安を感じておられる高齢者の自動車運転からの引退を促進してまいります。
 なお、特に通学路の安全対策としては、全国でさまざまな事案がございましたので、危険箇所のチェックをしており、約8割は改修しましたが、残る2割、120か所くらいなお残っておりますので、歩道の拡幅や信号機設置など行ってまいります。
 これらを内容とするプランですが、冒頭申し上げましたように、県民の皆さん、そして、実際、治安安全対策を執行する県公安委員会、県警察、県がともに新しい気持ちを持ちながら、力を合わせて日本一安全で安心な福井県を目指してまいりたいと考えておりますので、ご協力をお願いします。

【県警察本部長】
 私からは、新しい「『安全・安心ふくい』充実プラン」における県警察の取組みについてご説明いたします。
 先ほど知事から説明がありましたが、平成15年以降、プランに基づく治安対策に取り組んできたわけであり、10年連続で刑法犯認知件数は減っています。また、刑法犯の検挙率は45%で、これも全国平均を大きく上回っています。
 こうしたことで成果は上がっていると考えていますが、昨年については、一昨年と比較して、子ども、女性が被害者となる犯罪が増えており、また、ストーカー、DV等に関する警察安全相談件数は高止まり状態です。さらに、強盗などの重要犯罪について、昨年は一昨年より増えているという情勢にあります。
 また、今年に入ってから、検挙件数や検挙人員は増えており、これに伴って検挙率も上がっているのですが、刑法犯の認知件数が増えています。また、交通死亡事故が、過去例を見ないペースで多くなっており、治安上の課題はなお多い状況であると認識しています。そこで、県警察としては、県公安委員会、知事部局とともに新しい充実プランを策定したところです。
 県警察の取組みについて申しますと、まず、全体としては、基本的には実感プランの基本目標や項目を引き継いでいます。これは、これまで成果が上がってきたということを前提としているわけです。ただ、基本目標をよりわかりやすく、明確にしました。また、新たな項目、施策を盛り込んでいます。
 新たに加えた項目を中心に説明しますと、3ページの「犯罪の起きにくい社会をつくる」ですが、非行少年を生まない社会づくりとして、いじめ問題、校内暴力に対する的確な対応を追加しています。これはスクールサポーターの活動の充実などです。さらに、県民と協働した地域の防犯力向上ということで、「ワンアクション!県民防犯運動」等、県民総ぐるみの防犯活動の実施を追加しています。
 第2の柱の「子ども、女性、高齢者を犯罪から守る」、4ページと5ページですが、被害の未然防止、拡大防止を図るために、子ども、女性が被害者となる犯罪等について、積極的な通報や届出を引き続き促します。それから、声かけ、つきまとい等の前兆事案に対する先制・予防活動を強化するほか、積極的に検挙していきたいと思っています。また、本部や警察署の警察安全相談係に女性警察官を増員配置し、ストーカーやDV事案に対する相談支援体制を充実したいと考えています。さらに、振り込め詐欺以外の特殊詐欺が最近非常に増えていますので、金融機関と連携した水際対策の強化、あるいは高齢者に対する犯罪手口や犯罪被害防止等に関する啓発活動を強化したいと考えています。
 6ページの「犯罪の取締りを強化する」ですが、ここでは今申し上げました特殊詐欺、ストーカー、DV、サイバー犯罪への対策を追加しています。
 それから、7ページと8ページの「交通事故から県民を守る」です。やはり高齢者の方に対する対策を強化しなければならない。交通安全指導や反射材普及による街頭啓発活動、それから、運転者対策として個別の運転適性診断と安全運転指導の推進を追加しています。さらに、通学路の対策として、警察として「通学路一斉交通取締日」を設定し、取締りを強化します。あわせて、信号機等の交通安全施設の整備も進めていきたいと考えています。
 最後に、第5の柱で、「テロ、大規模災害等から県民を守る」ですが、9ページとなります。サイバー攻撃対策および大規模災害対策として、東日本大震災の反省・教訓を踏まえた災害対策の見直しを追加しています。
 県警察としては、今後とも県をはじめ関係機関・団体や県民の皆様と力を合わせて、プランに掲げている各種施策・事業を推進し、安全で安心して暮らせる福井県を実現するため、全力を尽くしてまいりたいと思います。

~質疑~

【記者】
 本部長にお伺いします。まず、重点項目の中でも特に力を入れている項目、もしくは前回のプランから大きく変更になった点、積極的に力を入れている取組み等ありましたらお願いします。

【県警察本部長】
 まず、変更になった点から申し上げますと、先ほど申し上げたとおり大きな変更はございません。基本的な項目は成果が上がったということですので、そのまま基本目標、項目は引き継いでいます。柱6本がいずれも重要な項目と考えており、どれがどれということもないのですが、4月の段階では、とりあえず交通事故対策をやらねばなりませんし、犯罪の起きにくい社会をつくるということもまた重要であると考えています。ただ、基本的にはすべての柱が、どれも重要だと考えております。

【知事】
 次は、「政策合意」についてです。
 このたび、25年度の政策合意を結びましたので、あわせて24年度の実施結果とともに公表します。
平成24年度「福井新々元気宣言」推進に係る政策合意の実施結果
 〔「福井新々元気宣言」推進に係る平成25年度の「政策合意」
 政策合意については、私と各部局長との間で協議し、1年間、実行すべき仕事を具体的な目標数値や成果を明確にして、県民にわかりやすく示すものです。平成15年度から連続して、これによって、マニフェストの進行管理と県庁の事業のかなりの部分をマネジメントしているということです。
 24年度の結果ですが、222項目のうち160項目において目標を達成しました。
 原子力発電所の安全対策など、年度を超えて引き続き行うものなど34項目を除いた達成率は、昨年度を1%上回る85%となりました。毎年度、目標値を10年間引き上げておりますが、今年も85%を達成できたということは、職員のそれぞれの部局での努力がこうした成果の中に表れているかと思います。また、どの分野の仕事も、だんだん県庁だけで進む仕事ではなくて、さまざまな団体、企業、そして、何といっても自治体であります市町の皆さん、そして県民の皆さんが一緒に活動し頑張っていただいたということであり、そういう結果の表れだと思っておりまして、感謝申し上げます。
 特に昨年度、24年度につきましては、長年の課題であった北陸新幹線金沢-敦賀間の着工認可や中部縦貫自動車道勝山-大野間の開通、あるいは、福井の誇るべきブランドであるコシヒカリの特A評価獲得、教育政策では幼児教育センターや学力向上センターの開設など、長年の努力による福井県の子どもたちの実力、レベルをさらに上げるための具体的な手段の方向性も出たところであり、いろんな意味でハード面やシステム面、あるいは個々のプロジェクト面で福井県が次の段階に進む土台、環境、手段が整ってきた年だと思っており、このことが政策合意の結果にも表れているのかなと思います。
 また、交通ネットワークやまちづくり分野については、昨年は、新幹線のほか、県都デザイン戦略の策定、また、長年の課題であった福井鉄道・えちぜん鉄道の相互乗り入れ方針の決定といったものも成果として挙がっております。これらは、後ほど申し上げます25年度からの実現を目指して具体的な実行ができる状況になりました。
 その他の個別分野では、産業関連で企業立地数や企業設備投資額、環境関連ではSATOYAMA国際会議の誘致、医療福祉関係では陽子線がん治療センターの利用者数、教育関係では全国科学オリンピック等への参加生徒数など、目標を達成することができました。
 一方、未達成の項目ですが、28項目が達成できなかったことになります。主な理由としては、漁家民宿の宿泊者数や一般の木造住宅の耐震化など、景気低迷が影響したもの、それから、陶芸館来館者数や県庁自身の超勤時間の縮減などは、集中豪雨や4月の大型低気圧などの影響もあったかと思います。達成できなかった項目については今後の課題として、今回設定した目標に近づくよう、さらに努力をしてまいりたいと思います。
 なお、通常の目標を上回って成果を上げようとする「チャレンジ目標」は31項目のうち14項目において目標を達成し、達成率は45%となります。これは、23年度の54%に比べると、8%ぐらい低下しました。
 24年度のチャレンジ目標は、通常目標に平均約1割の上乗せですので、ちょっと厳しかったこともあるかと思いますが、約半数は達成しているということです。
 例えば敦賀港の外貿コンテナ貨物取扱量は、対前年度比18%増という高いチャレンジ目標を掲げましたが、実績は2割増ということになりました。さまざまな説明会、滋賀県や東京などへの営業、企業訪問を約1,000社行った結果であるかと思います。また、官民が一体となったポートセールスにより、中国航路が6年ぶりに再開されました。
 一方、チャレンジ目標を達成できなかった17項目についても、例えば、恐竜博物館の60万人の目標設定については、恐竜博物館周辺の自然体験ツアーなど、25年度に新たなプロジェクトを加えて再チャレンジをしてまいりたいと思います。
 以上が24年度の結果です。

 次に、25年度の政策合意ですが、マニフェスト「福井新々元気宣言」の2年目が経過し、3年目に入るわけですので、残る2年間で県民とのお約束を実行できるよう、スピードを上げて政策を実行し、成果を出してまいりたいと思います。
 今年度は、昨年度までに実現できた新幹線、高速道路といった地域基盤やさまざまな教育体制の充実、あるいは県都デザインなどの計画などを具体的に実行する年であると同時に、26年度の新幹線金沢までの開業に備えなければなりませんので、そういうものに対応するものになると思います。
 25年度に特に重点化して実行する政策や事業についてはマニフェストに基づきますが、当初予算の際に申し上げた5つの重点項目に関連するものが多いと思います。これは参考までに申し上げますと、「新幹線時代にふさわしいまちづくり」、「新時代に飛躍する産業」、「地域間競争を勝ち抜くための観光ブランド戦略」、「暮らしやすさを高める環境・医療・福祉」、そして、「未来を支える人づくり」と、5つの項目でしたので、こういうものを念頭に置きながら、各部局と、昨年は222項目でしたが、今年度は211項目やることになります。
 主な特徴を要約すると、次の2点になると思います。
 1つは、新幹線県内認可など、マニフェストに書いた時点から局面が前進したことを受け、マニフェストの政策を次の段階にレベルアップさせる項目です。
 具体例としては、県都デザイン戦略の実行、これは山里口御門や中央公園を含めた基本設計等、いろんなものがこういうものに入っていると思います。
 それから、恐竜ブランドについては、博物館の専門性の追求、あるいは、別の楽しさをどう加えていくかというプロジェクトがあると思います。専門性等については、県立大学でのいろんな講義や授業も始まっているわけです。子育て政策については、保育環境の充実から、親自らの子育て応援への変革というものが入っております。
 それから、教育については、学力・体力日本一のみならず、芸術やいろんな伝統工芸など、そういう才能や個性を伸ばす教育に発展させていきたいと思います。英語教育についても、この10年間さまざま進めてきて、かなり全国に先駆けた状況にはなっていると思いますが、さらにコミュニケーションに役立つ英語を学べるような改善を小中高それぞれ充実していきたいと思います。国においても、そういう動きが最近出ているわけですので、我々が進めてきたことが間違いではなかったと思っています。
 2点目は、マニフェストには必ずしもはっきり書いていない新たな政策課題への対応です。
 具体例としては、SATOYAMA国際会議の開催をきっかけに、子どもや若者の里山保全活動を活発化するようなプロジェクト、それから、里山里海湖研究所を設けて調査研究をスタートさせること。さらには、三方五湖の水月湖の「年縞」の活用推進です。5万年あるいは7万年とも言われております世界的な貴重な学問的あるいは環境的資源である年縞の活用推進。それから、3つ目は、原子力発電所の長期停止を受けた嶺南地域の産業・雇用対策の強化です。この中には、市町の産業団地の整備促進や嶺南のいろいろな産品の販路拡大支援、水産業における定置網、出荷調整生簀の整備、あるいは世界少年野球大会など、さまざまなものが大小入っています。さらには、LNG関連施設の県内誘致の推進、空き家・空き地対策の強化、ひとり親家庭等の子どもの学習支援、伝統工芸等の「手しごと文化」としての認定や承継など、マニフェストには必ずしも具体化していないものの追加項目のような格好になると思います。
 なお、当初予算の「5つの重点施策」に掲げた施策・事業については、今回の政策合意における対応がわかるように、該当する箇所に、その分野の1番から5番の番号を適宜付けてありますので、ご参考にしていただきたいと思います。
 また、一昨年に設定した4年間全体の目標数値については、目標を既に昨年度までの2年間で達成したものが出てきておりますので、11項目について上方修正を行っているものがあります。例えば、農林水産部の「ふゆみずたんぼ」、環境に優しい水田の整備などは、目標の450haを650haに上げるなどの例があります。
 目標値を上げることについては、仕事の進め方を改善したり、仕事のレベルアップを図るということですので、県庁の仕事としては、従来のやり方にとらわれず、特に古いタイプの仕事は徹底的にカットして、必要な分野における仕事の強さ、強度を上げていきたいと思っています。
 なお、今回、25年度目標についてもチャレンジ目標を設けており、この春、銀座に「食の国 福井館」を設けましたが、従来の「ふくい南青山291」と合わせた売上げなどについては、チャレンジ目標をかなり強く上げているというようなことがあります。
 なお、24年度に達成できなかった、観光入込客数、恐竜博物館入館者数、ふるさと納税の寄付額等は、改めて24年度と同等のチャレンジ目標を掲げています。これら数字を書くことは楽なのですが、実行するとなると必ずしも容易な数字ではありませんが、いずれにしても、背伸びをして仕事をしないと十分な結果は得られませんので、職員には、地に足をつけるのも大事ですが、背伸びをするということを強く求めて、年度末、成果を県民に対してお示しできるようにしたいと思います。
 なお、詳しいことは、後ほど、政策推進課長から改めて説明します。
 これが2点目の項目です。

 次に、3点目ですが、「橋本左内先生の書状等の入手」です。
〔資料:書状写真要旨特別展チラシ
 福井県ではこれまで、福井県の貴重な歴史的資料が収集できるように、あるいは散逸を防ぐように努めてきましたが、このたび、幕末の福井藩士 橋本左内先生が「安政の大獄」で拘禁される直前に書いた自筆の書状を入手しました。これまで、橋本左内に関係する資料については、戦前の昭和14年に刊行された「橋本景岳全集」――景岳というのは左内の号ですが――この全集にほぼ紹介されていますが、今回入手した資料はこの全集に未掲載のもので、重要な資料であると考えます。
 この書状は、福井市立郷土歴史博物館で一度短期間、公開された経緯があるのですが、これまでほとんど公開をされておらず、今回、いわゆる古文書市場に情報が流れましたので、福井県出身の歴史学者であり、幕末史の専門で、横井小楠先生の研究などをしておられる大阪大学の名誉教授 猪飼隆明先生――現在、熊本におられますが――から、福岡県の古文書の公売会に出展されるという情報をいただき、その古書店から購入したものです。
 ちょうど明治維新の10年前の安政5年、1858年の5月から9月までの日付で4つの書状があるわけです。当時、江戸で活動していた橋本左内が、福井にいる藩士の榊原幸八と伊藤友四郞の両名――いずれも福井藩校の明道館の先生です――に宛てたものです。このお二人は、先日、県文書館が発行した「福井藩士履歴」に載っている、あるいは掲載予定の方です。
 この時期は橋本左内が安政の大獄で拘禁される直前の、緊迫した事情の中でありますので、資料が非常に少ない時期です。特に、この中の1通は、松平春嶽公が大老井伊直弼によって隠居・謹慎の処罰を下された直後に左内によって書かれたもので、春嶽公のことを思う左内の悲嘆に暮れた胸中を強く表現されています。こういう書状は他に残っておりませんので、歴史的にも重要な資料かと思います。
 なお、この書状4通は1つの巻物になっておりますが、徳富蘇峰が昭和5年、この巻物の奥付を書いており、それも一緒になった文書ということになります。徳富蘇峰は、昭和のその当時、日本の思想界に大きな影響を与えた言論人であり、歴史家でもありますが、この資料は、一時期、徳富蘇峰が持っておられたということです。その文書によりますと、幕末の英傑として大変高く評価していることが書いてあります。
 また、この資料を紹介していただき、直接見てもいただきました猪飼先生からご寄贈いただいた、文久2年、1862年に、仙台藩13代藩主伊達慶邦が松平春嶽公に宛てた書状も今回あわせて展示をしてまいりたいと思っており、猪飼先生には改めてお礼を申し上げたいと思います。
 なお、入手した資料は、早速明日、4月26日(金)から5月26日(日)まで、歴史博物館で特別公開をいたします。
 あわせて、県立図書館と歴史博物館で所蔵している幕末から明治初期の福井藩の資料も公開する予定にしておりますので、またご紹介をしていただければありがたく思います。特にこの中で「議事之体大意」は有名な五箇条の御誓文の原稿ですが、これもあわせて展示したいと思っております。
 以上です。

【記者】
 昨年度の政策合意ですが、全体では85%と前年度を上回る一方、チャレンジ目標は少し前年を下回ったようですが、知事ご自身はこの結果をどのように評価されていらっしゃいますか。

【知事】
 チャレンジ目標はハードルを上げておりますので、背伸びの状況が弱かったのかなと思いますが、やはり厳しい目標の中で全部達成するということはないと思いますが、半分ぐらいは達成したということですから、今年度の努力につなげられる数字かとは思います。

【記者】
 昨年度は、達成目標の時期について設定されていた項目が55項目あったのですが、今年度、新たな取組み等ありましたら…。

【政策推進課長】
 昨年度の55という数字に対応する数を、今は数えておりませんので、午後、説明します。

【記者】
 橋本左内の資料の企画展示が始まるということなのですが、今後、どのような活用を考えていらっしゃるのか。また、購入金額はいくらですか。
【知事】
 購入金額を先に申し上げますが、190万円です。これは専門家による資料評価委員会をしていただき、妥当だということです。過去の例を見ますと、橋本先生の書状は、1点でも200万円などしますので、妥当な金額かと思っております。
 それから、今後の活用ですが、説明とかわかりやすさも必要ですが、ぜひとも子どもたちによくその意味をわかっていただくことが重要だと思っております。これは、去年ぐらいから強化しておりますが、学校教育とかふるさと教育をもっと強める機会にいたしたいと思います。
 それから、もう1つは、橋本左内の業績とか明治、幕末における歴史的評価について、必ずしも研究の充実度が高くないように思いますので、これを引き上げていく。専門的にも、また、司馬遼太郎的な意味でもぜひやる機会を持ちたいと思います。

【記者】
 北陸新幹線のいわゆるルート問題について、1点お伺いします。昨日、北陸新幹線建設促進同盟会会長の富山県知事が、福井県の意見を尊重した上で、ルート問題については国が判断をすべきだという考えを示されていますが、知事は、ルート問題について改めてどうお考えですか。今後、県内の意見を集約していくお考えはありますか。

【知事】
 敦賀以西のルートということはあるのですが、まず、敦賀までの1年でも早い前倒しに福井県として力を入れなければなりません。そうした上での話ということになりますが、敦賀以西のルートについては、現在、昭和48年の整備計画で示された若狭ルートが議論の根本にありますので、これを念頭に置きながら、県議会、市、町、経済界それぞれの議論を進めていくことが重要だと思います。
 現状では、各界とも若狭ルートが基本であろうという認識が大体示されている状況かと思いますが、一方で、関西広域連合等いろんな考えもあるわけでありますけれども、これはあくまで沿線自治体の意見を聞いて国が決めるものですので、今後、北陸全体のいろんな議論を並行して進めなければならないと思っております。
 それから、関西広域連合の問題については、誰が負担をするのかとか、そういういろんなことがはっきりしない数字でしょうし、いろんな積算などもどうなのかという議論があると思います。
 米原ルートについても北陸全体が皆さんそう思っておられると思いますが、乗り換えなくてすっと行ける案じゃないとまず、米原ルート案にはならない、なっていないと思いますが…。そういういろんな問題がある一方で、技術的なこともあるかと思いますので、それはそれとして、さまざま十分議論をしたり、チェックをして話を進めていくという状況かと思います。

【記者】
 知事ご自身は、若狭ルートを支持されているということですか。

【知事】
 はい、そうです。

【記者】
 原子力のことで1点、お尋ねします。一昨日の総合資源エネルギー調査会総合部会に知事が出席されて、使用済み核燃料について、電力の消費地にある関西電力の関連施設に保管をするべきだという趣旨の発言をされたかと思うのですが、改めてそのことに関するお考えをお聞きしたいのと、関連施設というのは、例えば、どこを想定しているのか教えてください。

【知事】
 4月23日、第2回の総合資源エネルギー調査会総合部会で発言しました。主に5点申し上げたのですが、念のため、もう1回申し上げてよろしいですか。
 1つは、要約しますと、我が国にとって、日本の現実を直視しながら、原子力発電が要るのか要らないのか、今回のエネルギー基本計画の中ではっきりさせる必要があるということを申し上げたわけです。立地地域として、この問題が曖昧なままでほうっておかれることが一番困るということを、まず、申し上げたところです。
 2点目は、特に、今、使用済み燃料の問題をおっしゃいましたが、使用済み燃料の処分は、「もんじゅ」がありますけれども、放射能の半減期をもっと短くできるかどうかとかいう、俗に言うと毒性の軽減というのでしょうか、そういう問題等について研究を積極的にこういう場で行うべきではないかと。これは廃棄物の減量化にもつながるわけですが、世界的な関心事でありますので、国際的な連携のもとでこの問題に取り組む必要があるだろうと、このようなことを申し上げました。
 3点目は、福井県は、発電は引き受けてまいりましたが、使用済み燃料の貯蔵・処分まで引き受ける義務とか義理はないわけですので、使用済み燃料について、とりあえず立地地域に置いておけばいいのだというような安易な考え方は認められない。したがって、この使用済み燃料の解決策については、今申し上げましたような、「もんじゅ」などを活用して、IAEAなど国際的な連携のもとで、放射性廃棄物の容量を減らし、放射能の量を減少させる科学技術の研究開発を、これは世界的な課題でありますから、牽引すべきであります。ただ、これには、実用、研究には少し時間もかかると思いますから、そこで、使用済み燃料の解決が得られるまでの間は、これまで多くの電力を消費してきた大都市において、例えば電力会社の関連する発電敷地など、火力発電なんかも入っているかもしれませんが、さまざまな施設を利用し、使用済み燃料を貯蔵する方法を真剣に考えるべきということを申し上げました。
4点目は、耐震工学等の幅広い分野の数多い専門家が参加して、プラントの耐震性をはっきりさせなければならないだろうということを申し上げました。活断層があるかどうかというのは、地層学というか、変動地形学の議論であります。それはそれとして学問的に重要だと思いますが、それがどういう意味があるのか、また、プラントやインフラにとってどういう影響があるのか、さらに、それを安全に持っていくにはどうしたらいいかということが、今、欠けていますから、その総合的な検討を、ぜひしっかり体制を整えて急ぐべきであるということを申し上げました。
 5点目は、第2回の総合部会の会合は、電力システム、発送電分離などの改革もテーマでしたので、その際、大事なことは、発送電分離という議論はあるにしましても、万が一の原発などの事故のときにその責任体制があやふやでは、一番の問題ですから、ここをしっかりと押さえないと、発送電分離とかシステムを抽象的に論じても国民の安全とか信頼にはつながらないということです。これは、前の政権でいろいろ言われて、我々も大変迷惑をしました、あのストレステストというのが一種のシステム論ですよね。あれは一体何だったのだろうということがあります。今、いろんな議論がありますが、そういう外国の例を取り入れたりするのはいいのだけれども、大事なことは、我が国の実情に合った知恵と工夫がなければ十分な話にはならないということを申し上げたということ、の以上5点であります。

【記者】
 関連施設に使用済み核燃料を貯蔵するということについて、関西電力に対して正式に申し入れるようなお考えはありますか。

【知事】
 どんなふうなやり方がいいのか、国が真剣に考えないといけませんし、電力会社も考えないといけないということでありましょう。またこれから具体的な手だてを行っていくということになると思います。
 そして、一昨日の会議でも、使用済み燃料の委員会をつくるということですので、国にはそういう動きが出てきますから、電力会社もそういう議論をしていくということだと思います。

【記者】
 原発の問題でもう1点お伺いしたいのですが、昨日、敦賀原発の断層問題の評価会合があって、国のほうで来月、その報告書をまとめるということなのですが、これまでの議論の進捗状況をどのように見ているのかというのをお伺いしたいのですが。

【知事】
 今、5項目言ったことに関係しますよね。もっと総合的にいろいろ見ていく必要があるのでしょう。活断層があるというのはどういう意味か、どういう意味の活断層なのかということですね。活断層の性格、あるいは規模、どういう挙動を行っている活断層か、プラントへの影響がどうある活断層か、そして、その影響がもしあるとしたら、どの程度の影響をどう工学技術的に除去できるのかというようなことを総合的にやる必要があると思うのです。それは常識だと思いますが、その前提として、活断層について、なお十分な幅広い学者とか事業者の理解が対立しているのであれば、もっとよく調べたらよろしいのではないかと思います。十分掘って調べるとか、どこがおかしいか、おかしくないかということではないでしょうか。あまり想像して議論するものではないと思います。観測、そして実証、評価、こういうものだと思います。

【記者】
 来月、報告書をまとめるということなので、まとまった段階で県の原子力安全専門委員会があるかと思うのですが、そういったところで改めて協議するお考えはないのですか。

【知事】
 その問題については、私が言ったような見解です。

【記者】
 もっと国のほうで深く議論をすべきだと。

【知事】
 今、意見全てを詳しく聞いていませんが、意見がはっきりしないし、何かまだ足りないという議論であれば、もっといろんな方が参加してよく調べられたらいいのだと思いますが。そういうのも十分し尽くしたというのであればいいけれども、し尽くしていないというのであればですね。新聞報道やテレビの報道では、どうもし尽くしていないように伺えますが。そういう状況かと思います。

【記者】
 先ほどの使用済み燃料の関連ですけれども、調査会の部会では、知事は立地地域の代表として出席されたと思いますが、福井県にある燃料をどうするかというと、広域となると関西になると思うのですけれども、その関西に対しては、昨年4月に知事が大きく問題提起をされまして、関西広域連合のほうで井戸知事が議論するとは言ったものの、議論された形跡はありません。1年かかって、この間の動きを知事はどう見ていらっしゃるのか。

【知事】
 まず、その間の活動は弱いというのが、第2回の会合でも、「もっと真剣に議論しなければならないだろう」ということを各委員が大体言っておられました。それを受けた形になるのでしょうか、資源エネルギー庁から、そういう会合の場を設けて、議論を迅速化するということをおっしゃっていますから、動き始めるのではないかと思います。

【記者】
 そういう動き始めようとするところに関しては評価されると…。

【知事】
 それは我々が既に言っていることですから、少し遅かったかもしれませんが、評価したいと思います、大事なことですから。ぜひとも方向を出すべきだと思います。これは世界的な課題です。日本だけの課題ではありません。全世界に500近くの原発があるわけですし、さらにトルコなどに増えつつあるわけですから、その問題の関心は世界的な関心になるべきだと思います。

【記者】
 世界的な課題というのは、毒性の軽減、これが具体的な課題だと…。

【知事】
 今回の委員会でも、中間貯蔵を含めて最終処分の問題を議論したいと言っておられました。含めた課題です。

【記者】
 先ほど、調査部会で、我が国にとって、原子力、原発が要るのか、要らないのか、はっきりさせるべきだとおっしゃられたと思うんですが、知事ご自身が、現時点で、やはり原発というのはいくらかの時期までは必要だとか、あるいは絶対必要だとか、そのような点、どのようなお考えをお持ちでしょうか。

【知事】
 この問題は国民的な議論ですので、こうした場で物事をはっきりさせて進めるべきではないかと思います。要るのか、要らないのか、どっちなのだということを議論してほしいというのが私の立場です。

【記者】
 知事としては、要ると考えられるのか…。

【知事】
 それはまたちょっと違う。要るか、要らないかを議論してほしい。

【記者】
 どちらかというと、あまり明言したくないと。

【知事】
原発の話は、そういう筋のものであると思う。

【記者】
 誰がどうするかは全体で考えて決めるべきだと。

【知事】
 誰かが思って、こっちがいいとか、そういう話ではなくて、我々は立地地域で40年間努力して、この問題に取り組み、重要な基幹電源と考えていますが、今の局面の話は、要るか、要らないかをはっきりさせろと、この議論であるというのが私の立場です。

【記者】
 先ほどのエネ庁の部会の中で、電力会社の火力発電の敷地を利用するとおっしゃっていて、火力発電のあるところというのは現にポイントがいくつか決まってきてしまうわけで、電力会社はもとより、自治体の方々などは、こういう発言を福井県の知事がされると、ぎょっとするのではと思うのですが、その辺に対してどういうふうにお考えになられますか。やはりその辺に配慮というのはしていないのですか。

【知事】
 電力会社なんかのそういういろんな関連施設というのは、いろんな場所があるでしょうから、そういう対象として議論する場合に考えられる場所かと思います。ほかにいろいろあるかもしれませんが。

【記者】
 あるかもしれないですが、その施設がある地域の方々には。

【知事】
 「我々も考えたい」と言っておられたのではないですか、去年。

【記者】
 使用済み燃料について、今、最終処分の問題は公募制でやっているかと思いますが、ずっと場所が決まらない中で、新たな選び方という意味で、知事として考えがあるのであればお聞かせ願いたいと思います。

【知事】
 それはこれからエネルギーの総合部会でいろいろ国が考えられることだと思います。

【記者】
 原子力防災の関連で、今日、関西広域連合の会合で、兵庫県が放射性物質の拡散予測を独自に行った内容について説明があるようですが、当然、県内の原子力発電所の事故を想定した内容になっていて、滋賀県に続いて兵庫県も行うということなのですが、原発立地県の福井県としては、近隣関係府県がこうした放射性物質の拡散予測をすることについてどうお考えか。また、実際に立地地域の福井県は、放射性物質の拡散予測やシミュレーションを、今後どのように取り組まれるお考えがあるのかということをお聞かせいただきたい。

【知事】
 そういう点は、これまでそういうことはあまりしていないから、県としてやり始められたのではないのですかね。具体的にどういう技術でやっておられて、SPEEDIなどとどんな関係にあるのか今の段階ではわかりませんが。

【記者】
 国が一度、拡散予測をやりましたが、その内容に非常に疑義が生じているので、兵庫県としても独自に行いたい。それを前提に地域防災計画の見直し作業に当たりたいと…。

【知事】
 そういうものを最後まで自治体として責任を持って使えるものかどうかというのが問題になると思いますから、それは兵庫県がこれからいろいろお考えになることなのだと思いますが。防災ですから、どうしても国との連携がないと、別々のことをばらばらにやっているというのでは、最終段階では避難の齟齬が生じるでしょうから、そこはお互いの意味をわきまえるのではないかと思いますが。

【記者】
 福井県としては、これは国が一義的に行うと。

【知事】
 これは兵庫県がお考えの話だから、兵庫県に聞いていただいたほうがいいのではないでしょうか。

【記者】
 福井県としてはそういうことはされないのですか。

【知事】
 福井県はSPEEDIなどで長年いろんなことをやっておりますし、そのほかにも補足的な調査はしていますから。要は、SPEEDIなどを、いかに精度を高めるかではないでしょうか。

【記者】
 5km圏内の原子力防災計画がまとまって、今度は、より広域避難の計画を進めなければいけないと思うのですが、近隣府県との調整など、今後の展開について、今お考えになっていることはございますか。

【知事】
 まず、5km圏についてしっかり議論をするというのがベースになりますけれども、さらに広域避難については、既に県内で広域避難の場所というのは一応決めてありますが、さらに念のため北陸あるいは中部、関西、それぞれの関係府県に対し広く働きかけをしている最中です。ですから、今、特定の場所がどうだということをまた決めているわけではありません。並行して行っているということです。

【記者】
 北陸というお話がありますね。北陸ということになると嶺南圏の発電所からは30kmより遠い地域になるのですが…。

【知事】
 必要なければやりませんし、いろんな、幅広くいろんな議論をするという。

【記者】
 そこまで離れたところ、例えば滋賀県とか岐阜県とか。

【知事】
 滋賀県はご自身が避難しないといけない場所ではないのですか。まだ決まっていないから。
【記者】
  政府が28日に主権回復の日というイベントを東京でやることになっていて、各県知事に招待状が来ていると思われまして、福井県からは副知事の出席と聞いているのですが、知事が出席しない理由というのはどうなりますか。

【知事】
 都合がつかないからだと思いますが。

【副知事】
 単純に公務の都合です。これは例えば去年の3月11日の復興祈念の式典も私が出ていましたし。

【記者】
 その上で、こういったイベントというのは、例えば沖縄県からは批判が出ている問題でもありますが、知事自身はどういうふうにお考えになりますか。

【知事】
 もう少し勉強させていただきます。

【記者】
 先日、全国知事会議で道州制についての議論がありまして、夏までに知事会として意見を国へ伝えるという流れになったわけですけれども、知事は先日も今、道州制を議論しているような状況ではないというような趣旨のことをおっしゃったかと思うのですが、知事会として意見をまとめる上で福井県としてはどういうお考えを伝えられるのか、改めて聞かせていただけますでしょうか。

【知事】
 基本的には賛成ではありませんが。理由ですか。

【記者】
 もう少し具体的におっしゃっていただけると。

【知事】
 詳しくは、以前、「中央公論」に書かせていただいた論文を読んでいただくといいのですけれども。いろんな理由が書いてありますので。

【記者】
 それをいくつか教えてもらっていいですか。

【知事】
  いろんな事柄がありますので、部分的に言ってもいけない部分がございますけれども、どういうふうに言ったらいいですかね。
 まず、全般的な状況としては、今、日本という国が1つにまとまって――まとまってといっても国だけではなく、国と自治体がまとまらなければいけないわけですけれども、まとまって困難に立ち向かう時期ですので、道州制のような、十分な議論や根拠、経緯もない問題を提示して国を分断したり弱体化する議論を行うことは適当でないと思います。道州制というのは、主に大都市的な議論として出ていることが多いですよね。ですから、地方重視という方向にはならないと思いますから、そういう議論は避けるべきだと思います。

【記者】
 今、国会の場なんかでも、議論にのぼっていますが、一方で国民的な議論として…。

【知事】
 国民も道州制にそんなに関心を持っているとは思えません。今いかに自分たちの生活や産業、経済をどうするか、そして、日本全体として、また国民として誇りを持っていろんな生活をしたり、国際的な活動をしようかというときに、そんな議論をする場合ではないと思います。まず、中央集権とか政府のいろんな改革を進めていけば、こういう問題は解決するのではないかと思います。

【記者】
 今月、厚生労働省の研究所が2040年の将来推計人口の結果を出されて、全国的に超高齢化社会、人口減というのが明らかになったのですが、福井県でも人口が63万人、65歳以上の割合が40%近くという結果が出ました。そういう流れは避けられないと思うのですが、今後、長期的なスパンで人口減、高齢化社会に対応するためにどう対応、対策していくか、知事のお考えをお聞かせいください。

【知事】
 これも先日、自民党の国土強靭化総合調査会に出まして、福井県としての考えを述べたのですが、やはり地方でいろいろ遅れている新幹線とか道路などはできるだけ急いでつくってしまわなければならない。日本海側と太平洋、あるいは大都市と地方では、戦後、すごく設備投資とか公共投資の量が東京中心に偏っている、これを直さなければならないということを申し上げました。
 あわせて国土の強靭化ということですが、人と国土の強靭化を図らなければほんとうの意味での国土の強靭化ではないということを申し上げました。東京と福井でいうと合計特殊出生率でもかなり、0.5~1.0ぐらい違うでしょう。やはり地方で人が住み、あるいは子どもを産み育てる、そういう環境をもっと整え、教育環境やさまざまな子どもたち、将来を担う人たちの教育や保育などいろんなことをしないと出生率は上がらないし、国土そのものが弱くなってしまう。広い意味の人と国土で、そういうことを申し上げましたので、私の考えは、人口は基本的に減る部分がありますけれども、地方を重視した政策ですね。企業を地方にもう少し誘導したり、あるいは人の移動、そういうことを政策としてなすべきだろうということを申し上げたのです。日本にはそれが欠けているからと。
 福井県は福井県として、教育とか子育てで努力しているから出生率が高いし、子どもの能力も高いでしょう。我々でできる部分は、それは一生懸命やると。しかし、人を東京に集めることばかりやっていると我々がやっている努力が無になりますから、それをぜひともやめていただきたいことを申し上げた。地方を重視してほしいと。企業や大学や人ですね。それは努力したらできることだということです。
―― 了 ――
 

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