知事記者会見の概要(平成25年11月25日(月))
平成25年11月25日(月曜日)
10:30~11:40
県庁 特別会議室
【知事】
今日の発表事項は、1つは恐竜の調査・研究の促進、2つ目は、福井港への「にっぽん丸」寄港、3点目は、舞鶴若狭自動車道の県内区間の愛称募集、4つ目は「福井県自立促進支援センター」の開設について、ご説明申し上げます。
1つ目の恐竜の調査・研究の推進については、今日は恐竜博物館の東特別館長も同席しています。
県立大学恐竜学研究所がタイ国の研究所と学術交流に関する協定を締結します。これは4月に県の研究所ができて以来、対外的な初めての協定ということになります。従来からタイとはつながりが深いわけです。
タイにおいては、平成19年(2007年)から県立恐竜博物館が、タイの「コラート化石博物館」と共同で発掘調査を実行しています。このコラート化石博物館は、タイの国立大学の附属研究機関であり、県立大学恐竜学研究所の設立をきっかけに、このたび研究所同士で協定締結をしようということになったわけです。
今回の協定締結によって、タイ側の研究員が福井県でいろんな勉強や研究をするために来ていただくことになりますし、共同研究や学生に対する特別講義、県民向けの公開講座などの開催などが可能となります。こうした取組みを通して、恐竜学研究所の研究・教育活動をさらに充実させていきたいと思います。なお、協定書の締結は年内にも、現地、タイで行う予定です。
それから、中国浙江省での恐竜化石発掘調査の成果について、中国浙江省で初めての発掘となるヨロイ竜アンキロサウルスの化石を恐竜博物館が発掘しました。あわせて肉食恐竜のトロオドンの卵の化石も発見しました。これは中国の浙江自然博物館に協力して行った発掘調査によるものです。
〔資料:中国浙江省での恐竜化石発掘調査の概要〕
アンキロサウルスとしては、アジアで一番南の地域の産出となりますし、頭骨や尾骨など全身の様子がわかる貴重な資料です。今後、クリーニング作業を行いますが、新しい種類のヨロイ竜である可能性が高いということになります。また、今回産出されたトロオドンの卵化石については、正確な年代測定値も得られる見込みです。
詳しくは東特別館長からコメントしてもらいます。
【東特別館長】
今、知事から説明がありましたように、ヨロイ竜にはノドサウルス科とアンキロサウルス科という2種類あるのですが、アンキロサウルス科としては、中国で一番南限の場所から発見されたということで、今後、ヨロイ竜の生息範囲の研究に大きな貢献するのではないか。
それから、現在も中国の浙江自然博物館でクリーニング作業を継続中ですが、尻尾のところなどはほぼ完全な形で出ております。それから頭骨や体の部分もかなりの部分が出ております。どれぐらい出ているかというのはクリーニングしないとわかりませんが、頭骨が3つ出ており、尻尾もたぶん3本だと思います。そういうことで3体分同じ場所で出ており、アジアのヨロイ竜の研究に大きな貢献を今後果たしていくのではないかと思っています。
それからトロオドンの卵ですが、10月に発見したばかりでクリーニングをまだしておりませんけれども、少なくとも7つ発見しております。
このトロオドンというのは小型の肉食恐竜ですが、恐らく抱卵をしたのではないかという説もあるおもしろい肉食恐竜の卵です。それから、もう1つおもしろいのは、産状といいまして、出方です。現場で見ますと、溶結凝灰岩といいましていわゆる火砕流です。下側の火砕流の上に卵の地層があり、その上にまた火砕流の地層があります。ということは、火山活動と火山活動の間、火山の休止期に産卵をしたという産状として非常におもしろい発見でした。
また、その溶結凝灰岩というものは放射性年代を測定することが可能ですので、かなり正確な地質年代を測定することが可能だと思っています。
詳細については、この会見後、お話できればと思います。
【知事】
2つ目は、「にっぽん丸」の福井港への寄港についてです。クルーズ客船「にっぽん丸」の来年3月の福井港への寄港が決定しました。
〔資料:「にっぽん丸」福井港寄港概要〕
県では、今年度から、コンテナ貨物などの物流はもちろんですけれども、いろんな人が港に来てほしいということで、観光需要を増やすことを目的に、クルーズ船社や代理店への営業を強化していますが、その中でクルーズ船社の1つである商船三井客船に対して、強く敦賀港、福井港への寄港を働きかけた結果、今回、「にっぽん丸」の福井港寄港が決まりました。
福井港へのクルーズ客船の入港は、過去3年間は実績がなかったわけですが、今年度は5月に「ぱしふぃっくびいなす」が来ましたので2回目ということになります。さらに来年度の敦賀港へのクルーズ客船寄港に向けた具体的な交渉をクルーズ船社と進めています。
なお、今回の「にっぽん丸」ですが、乗客定員が500名を超える大型のクルーズ客船で、今回のクルーズ旅行は博多港から来て、「春の越前クルーズ」という名前で旅行ツアーができているものです。本県内では、東尋坊、永平寺、一乗谷朝倉氏遺跡などを巡るオプショナルツアーが企画されています。
県では、今後、海外クルーズ客船の誘致も実現したいと思っており、港を起点とする具体的な観光ルートなどを提案するツールをつくります。寄港地を決めておられる船社の責任者に福井県へ来ていただいて、本県の港と観光地に興味を示す方に対して営業強化をしてまいりたいと思っております。
3つ目は、舞鶴若狭自動車道の県内区間の愛称募集です。舞鶴若狭自動車道の愛称については、今日25日から募集を開始して、1月15日まで募集します。
愛称ですから、嶺南地域の良さがうまく表現されて、呼びやすく、ずっと使って愛着を持っていただけるような名前を、県内外を問わず、数多く寄せてほしいと思っております。
舞若道の26年度全線開通に向け、嶺南と嶺北の一体化による交流の活性化や嶺南地域の県外からの誘客拡大を進めます。
10月25日に県と嶺南の市町、観光関係者等で「海湖(うみ)と歴史の若狭路」発信事業の実行委員会をつくっております。
舞若道の全線開通により、北陸自動車道と連結して福井が1つにつながるということであり、記念すべきプロジェクトになると思います。そういうことから愛称を募集するということです。
これが決まりますと、パンフレット、ホームページで広く名前を発信しまして、福井県の若狭路を全国に印象づけたいと思います。
次に、4点目が「福井県自立促進支援センター」の開設です。
〔資料:「福井県自立促進支援センター」の設置〕
福井県としては、生活に困窮している人たちを早い段階から支援して抜け出せるように応援することが必要であり、今回、センターを設置します。
このセンターは、早い時期に生活に困っている人たちが抱えている課題を整理して、働く意欲や能力に応じた支援プランをそれぞれつくり、ハローワークなどと連携しながらチームによる包括的な支援を行うということです。困窮から早期脱却を目指すもので、相談窓口を福井と二州の健康福祉センター内の2か所に設置します。
また、そうした生活困窮家庭の子供たちの学力というのがいつも問題になりまして、特に高校進学を支援することが極めて重要です。教員OBを中心とした学習教室を県内各地で開きたいと思います。
センターの運営については、企画・提案を公募した結果、県内の福祉事業に実績のある福井県社会福祉協議会に委託することを決定し、開所式を、明日26日の13時から福井健康福祉センター内で行います。
私からの説明は以上です。
~質疑~
【記者】
舞若道の開通時期が26年度といいますと、具体的なシーズンや月というスケジュールは、現状で把握できているのでしょうか。
【知事】
できるだけ海水浴シーズンまでと言っておりますが、敦賀市内の国道8号線や鉄道も通っている笙の川の高架橋の工事等がいつまでに見通しがつくかということで、今、副知事をはじめ関係者みんなで高速道路会社等にも要望し、相談もしていますが、まだ具体的に何月だと表明する状態にないわけです。できるだけ早い時期に表明できるのが重要ですので、そういう努力をしたいと思っています。
【石塚副知事】
知事が今おっしゃられたとおりで、笙の川橋もまだ完成できていないということで、今のところは時期についてはまだ確定できないとは聞いておりますが、できる限り早くということで要望もしております。
【記者】
大きな影響を与えそうなぐらいの遅れなのですか。
【知事】
いや、遅れてはいないのだけれど、これで大丈夫だという確信を持ってからでないと、一旦発表して、また遅れるというと困るでしょう。そういうことかなと想像します。
笙の川の高架橋は、工事用の連結は大体、終わっているのかなと思いますが、なおなお、いろんなことがあるのだと思います。あそこは一番交通量が多いし、何かあると大変な場所ですから、非常に細心の注意を持ってやっているという感じがします。
【記者】
自立促進支援センターですが、生活困窮者の具体的な定義といいますか、どういう方たちを想定しているのか。待っていて、来る人を受け入れるという形にするのか、教えてください。
【知事】
福井県の生活保護率は全国的には2番目に低い水準です。しかし、低いけれども、最近、伸び率が高いという現象があり、昨年度の生活困窮の相談数は、前年に比べて15%ほど増えて約1,460人です。それから、生活保護世帯が約2,900世帯あります。こういう状態ですので、今回はできるだけこちらからいろんな対応をして、早い段階で支援できるようにしたいと思っています。
【記者】
自治体に来た生活困窮相談者が対象ですか。
【知事】
そうです。来ていただかないと始まらないところはあります。
【記者】
子供たちの学習教室も、その子弟が対象となりますか。
【知事】
これは、生活保護世帯の保護者からの同意も要るでしょうから、意見を聞いて、福井市、敦賀市、小浜市、あわら市等で25人前後の参加希望を確認しています。
それで、教える側として教員OBや大学生、20名ぐらいボランティアの登録がありますので、そういう人たちと気持ちを合わせて、そうした地域で学習教室を開こうということです。
【記者】
25人というのは生活保護の受給世帯の子供が対象ですか。
【知事】
そうではない人も可能だと思いますが、ベースはそこだと思います。そして広げていきたいと思います。ただ、どんな人でもというわけにはいけないと思います。
【記者】
今のタイミングで設けられた理由についてはいかがですか。
【知事】
これは全国的にそういう動きもありますし、生活困窮者自立支援法案も念頭にあって、早い段階から応援をしようというタイミングで今やっているということです。
【記者】
生活保護と生活困窮の伸び率が高くて自立をということですが、福井の場合、相談者が増えているというのは、高齢者とか母子家庭とかそういうのではなくて、働ける世代、世帯が増えているのですか。
【地域福祉課長】
若い世代の方が、いきなり仕事がなくなって、預貯金も少なくなった。あるいは今住んでいるところも近いうちに退去しないといけないと、そういう相談が最近は増えています。
【記者】
学習教室は、具体的にどこでやるのですか。
【地域福祉課長】
場所は公民館、あるいは老人福祉施設をお借りしたいと思います。
【記者】
JR福井駅の西口再開発事業について、福井市でも着々と具体化がされていますが、県としての支援や協力について具体的に今お考えはありますか。
【知事】
西口の開発については、今いろんな工事を始めつつあり、特にバスターミナルなどいろんな絵がありますけれども、できるだけコンパクトにして、駅に降り立ったときに、西武のある通りをすっと見通せるとか、それから、中央大通りあるいは県庁通りの動線をしっかり確保できるようなデザインにまずしなければならないだろうと思っています。それから、まちなかへの移動とかバスや路面電車への乗り換えがわかりやすくなるように、それから、雨とか雪にうまく対応できるようなデザインにするということを、福井市といろんな議論をしております。
それで、金沢市、富山市には北陸新幹線が来年度末には来るということで、福井はやや時間がかかるわけですが、それにいたしましても福井らしさというのが大事ですので、これはいろんな空間づくりとかこういうところでいかに具体化するかというのを、主に来年度の予算に関わると思いますけれども、協力して進めたいと思っております。
それから、具体的な応援をしてほしいという声もありますので、これは今議会も間もなく始まりますが、そういう議論の中でどういう方向にしたらいいかというのを決めてまいりたいと思っています。今日の段階ではそういう状況です。
【記者】
今議会の中で結論的なものが出るというニュアンスなのでしょうか。
【知事】
大事なことは議会との議論の中で決めていく時期かなとは思っています。
【記者】
廃炉・新電源対策室設置から1か月経っての今の主な業務の進捗状況をお伺いしたい。また、中長期的な展望になるかと思いますが、廃炉ビジネスの関連で、県内企業が主に参入していく分野として、一般的な溶接や解体などの業務なのか、それとも、既に一部実践されているレーザー切断やパワーアシストスーツの開発など高度な技術への参入のどちらに政策誘導していきたいという考えがあればお聞かせ願います。
【知事】
これは10月25日に設置したわけで、ちょうど1月ですが、まだそこまではいく状況ではないです。というのは、廃炉に関するいろんな課題をまず整理しないといけませんし、廃炉といっても言葉は2つあって、福島の1号機から4号機までのような廃炉の議論ではなくて、福井の場合にはこれから40年あるいはもっと経った原発をどのようにするかという方針も含めて議論しなければなりません。ただ、大きな流れとしてそういうことがいずれ生じてくることだから、長期的に対応する考えが頭の中にありますので、まず、いろんな知見や情報を国内外を含めて収集するというのが重要です。
特に今、年末に向けて総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会でそういう問題を、私が出席して申し上げております。我々の考えているような方向になるようにしたいとは思っていますけれども、それを受けてさらに具体化をするということになると思います。
その場合に、今おっしゃられたように廃炉関連の問題を整理した上で、ビジネスの問題が大きな課題になっておりますから、その育成や新電源の情報提供の勉強もしないといけませんから、分野は多方面です。
今、室長以下5人の状況ですから、そういう様子を見ながらどういう体制にするのかということも新年度の予算の中で考えないといけないという状況です。
【記者】
そうしますと、4月に機構改革でまた…。
【知事】
それはやらないといけないかんかもしれない。まだ年末の動きとかいろんな、ということです。
【記者】
小泉元首相が脱原発を明確に打ち出して政府等への働きかけを強めていますが、先ほどおっしゃられた知事、県の意向とはちょっと異なる方向性の主張だと思います。この小泉発言についてどのように受けとめられているかお聞かせください。
【知事】
原子力発電所の安全の問題やこれまでのいろんな歴史、それから、これからどう持っていくかというのは、事の性質上、あまり単純に議論できるものではないです。日本の安全保障にも関係しておりますし、何といっても日々の生活に深く影響しますので、わかりやすい議論ということは大事かもしれないけれども、やはりそこに物事をより深く国民的に議論をしていろんな問題を解決するということがこれからの方向かとは思っています。どなたがどう言われたということについて一々私が申し上げる立場ではないと思います。
いずれにしても総合資源エネルギー調査会等でいろんな意見をしっかりまとめて、国民にわかりやすく、何が課題で何が問題だということを言っていくということが重要なのかなという感じがします。
【記者】
核のゴミ、放射性廃棄物をどういうふうに減らしていくのかという課題も小泉元総理は指摘しています。先日、「もんじゅ」について、国の改革推進本部も立ち上がったのですが、「もんじゅ」は放射性廃棄物を減らす研究もできる施設であると言われていて、この位置づけについて知事がどのようにお考えなのか改めてお聞きしたい。
【知事】
「もんじゅ」というのは高速増殖炉自体の研究が1つありますし、それから、それに派生する、ほとんど同じぐらい重要な問題ですが、原子力燃料をいかに、地球上で限られた資源であることは、どういう資源でも確かですけども、有効に使っていくかというのが2つ目の重要な課題です。この2つは大きく言うと1つになるかもしれません。そして、今話題になっている放射性廃棄物の低容量化と放射性物質の半減期を短くする低毒化です。そういう3つ、大きく言うと2つの課題を解決する重要な研究施設だと位置づけられると思います。そこはかなり、事柄がそんなに単純に国民に理解をしていただけるかどうかというのはありますが、一方的な意見になりがちな部分が多いですから、そこをしっかり、それこそ難しい話だけれども、方針を出してわかりやすく、粘り強く国民の皆さんに科学的な根拠も持ちながらご説明をすることが大事だと思います。
そして、そういうことをはっきりすることが福井県にある「もんじゅ」の運転管理の最大の使命、ミッションですから、そのミッションを明らかにすることによって原子力機構の組織そのものの使命が明らかになるわけです。それが職員のモラルに関係し、そのモラルが、いろいろ問題になっている日々のいろんな安全運転とか管理の不注意とか油断を無くせる大きな基盤になると思いますから、そういう方向でぜひとも進めるべきだと思います。ですから、その計画の中にもそういうものをはっきりレポートとして書くことが重要だと思います。それを文部科学省が国として受け止めてこの問題に対応していくことかと思うのです。
【記者】
関西広域連合が12月1日で、設立から3年になります。オブザーバー参加という形であることを踏まえた上での質問ですが、広域連合に対して、知事からご覧になられて評価している点、評価していない点などありましたら教えていただきたい。また、今後、その加入についてはどのようにお考えになっているのかお聞きしたい。
【知事】
関西広域連合としてのいろんな活動とそれぞれの府県の活動、それをもう少しはっきりされたほうがいいのかなという部分はあります。特に新幹線や原子力、あるいは道州制の問題、さまざまありますけれども、大もとの府県がほんとうに、議会、あるいは住民の方も含めてどんなふうに思っておられるのかというものを受けての活動でないと、いろんなことをおっしゃっても、それが住民の気持ちに合っていなかったり、自治体の活動として有効に機能しないということはあるかと思います。我々としては、現状ではオブザーバーとしての立場でいるということになると思います。
【記者】
評価しにくい点ということなのでしょうか。
【知事】
全て見ているわけではなくて、直接その場に行っていないから実感があまりわからない部分もあります。
【記者】
広域連合がどういう役割を担っていくものだというお考えはありますか。
【知事】
それはつくって参加した人がほんとうに考えるべきで、自分たちは何をされるのがふさわしいかということを考えることでしょう。それがうまく合っているかどうかです。
【記者】
今の知事のお話は、いわゆる若狭ルート、敦賀以西問題に関して関西広域連合全体の考え方と構成する府県の考え方では食い違いもあるのではないかという指摘と受け止めていいのでしょうか。
【知事】
若狭ルートとか米原案とかいろいろありますが、関西広域連合が直接影響するのは、まず、京都府、大阪府です。滋賀県は今のところ関係ないわけですが。そういう構造をはっきりわきまえて議論をしておられるのか、あるいは負担はどうするのか、並行在来線はどうとか、そういうことをはっきりしていないし、米原ルートというのが今の状況でどういう位置づけのものか、待ち時間がどうだとか、乗り換えの問題があるとか、あるいはリニアとの関係とか、そういうのをあまり詰められていない状況で、とりあえずということかもしれませんが、いろんなことを言っておられますので、先ほど申し上げたように、個々の本来の最終的な責任を持つ自治体としての意見とはまた別のレベルだから、対応しにくい面があります。
やっておられる皆さんもそんなところがちょっとあるから、そこが課題かなと思います。新幹線についても最終的に関西広域連合とそういうものを論ずるわけではないですから。
【記者】
知事のお考えとして、「もんじゅ」の果たすべき役割は、核燃料の放射性廃棄物の問題がこれだけ大きくなる中で、やはり低毒化、減容化にシフトしてほしいというか、そちらのほうに重点を置いてほしいというお考えがあるのでしょうか。
【知事】
特にそういうことではなくて、互いに2つが関連します。こちらをやっているとこちらが関係ないというようなことではなく、やっていることがまた「もんじゅ」本来の仕事に内的に関連することですから。ただ、今、特に中間貯蔵ということについて我々はいろんな発言もしておりますので、そうした関連でそのことを強調したということです。
【記者】
特にどちらに注力という意味ではないと。
【知事】
それは両方ともしっかりやらなければいけない。片方だけ独立してやれないです。ご存じのように「もんじゅ」の、それは科学的にもそうだと思うので。
【記者】
日本原電敦賀原発の破砕帯の件で、日本原電が追加調査の結果を出してから4か月以上経ち、明日、規制庁の事務方が現場を見るのですが、4か月経って検討会議を1回やっただけで、明日は委員の方も来られないという状態について、改めて知事はどうお考えですか。
【知事】
規制庁についてはいろんな問題あるのですが、その事柄だけ限って申し上げても、もっと速やかに審査をするべきですし、いろんなスケジュールというものをはっきりした上で仕事を進めないと、我々県民もわかりませんし、いわんや事業者もいつ何をどうしたらいいのか、それでお話は終わっているのかということもわからないと思います。
それから、5月のD-1破砕帯は活断層であったとした判断が、そもそもそれでいいのかどうかというのはもっとしっかりやらないといけないと思います。物事をさらにさかのぼると、特に地質、破砕帯、地震については、しっかり独立した総合的な別の組織でそうした調査や研究をしなければ確信を持った十分な議論はできないと思います。どこまでそういうものを議論したら原子力の稼働の問題について議論が進められるのかというのをやらないと、切りがないところがありますから、そういうふうに思っているのです。
【記者】
最初におっしゃったスケジュールというのは、再検討するかどうかの期限を切って判断しろということでよろしいですか。
【知事】
物事は期限がつけられない状況もあるかもしれませんが、大体いろんなことをやっていると事柄はいつごろまでにはできるだろうという目処というのはあるわけで、あまり遅れると遅滞の責任が問われるでしょうし、それから、透明性というのか、予測可能性を与えないといけないわけですから、仕事というのは。都合だけでやっているわけにいきませんから。そこを申し上げているのです。
【記者】
今、国が放射性廃棄物の処分の問題で、最終処分場の選定について、これまで自治体に手を挙げてもらう方式から、国が責任を持って適地を選んでいくという方針を示されました。これまで知事も国がそういうことに責任を持ってほしいと強調されていたと思うのですが、今回の国が前面に立ってということについての評価はどのようにお考えでしょうか。
【知事】
これまではできるだけ、ある自治体というか、地域が手を挙げるのを待っているという感じでしたが、こういう場所が適地ではないかという要請方式というのか、そういう方式は科学的な根拠で行えば、何となく待っているよりはよほどいい方法だと思います。そして、説得力があるのかなと思います。我々はそのことに関して、最終処分の前に中間貯蔵の方法を決めるのが論理的にも、また仕事の面でも実際面でも大事だと思っていると国の放射性廃棄物ワーキンググループでも申し上げています。
【記者】
消費税率の引上げに伴い、県の使用料、手数料は、原則引上げと伺っているのですが、具体的に使用料、手数料にはどんなものがあって、どういうことをしようとしているのでしょうか。
【知事】
いろいろあるのでしょうが、使用料、手数料というのは条例や規則で決まっていて、使用料、手数料の数は全部で2,400項目、5,000件ぐらいあると思います。学校の授業料や入学金、パスポートの手数料などいろんなものがありますので、今、そういうものを調査しているということです。
【杉本副知事】
今おっしゃったのは非課税項目なので対象外ですが、それ以外の、県が関わっているいろいろな使用料は基本的に全部対象ですので、それを対象に、今、調査をやっているところです。
【記者】
ほかになじみのあるようなもので対象になっているものは何がありますか。
【財務企画課長】
県立博物館や恐竜博物館など博物館の入館料ほか、たくさんあります。
【知事】
試験場の試験手数料などたくさんあります。先ほどの、項目は数千あるということでよろしいでしょうか。
【記者】
先日の、県警からの出向職員の逮捕の件なのですが、循環社会推進課で産業廃棄物関係の監視・指導ということでしたので、元々の県警の所属から考えても暴力団関係の仕事をされていたのだと思います。こういう会社関係を恐喝でお金を要求しているような事案で、県関係の産業廃棄物業者との癒着とか不適切な関係については調査されるのでしょうか。
【杉本副知事】
その問題は、我々が今報道などで聞いている範囲では、直接、産業廃棄物の業者と何かあったとかという問題とは全然関係ないところで、本人がいろいろやられているようなことを伺っております。今のところ、県警からも仕事上の関係があるというふうにも伺っておりませんので、また必要に応じてそういったことも考えて。どちらかというと、個人的にやられていると考えております。
【記者】
知事からご覧になって、福井県にとって、農業というのはどういうものだというご認識でいらっしゃいますか。
【知事】
福井の農業は、福井県民の生命と健康、そして、福井県の豊かさを足元から支える重要な産業であるという認識です。
【記者】
それに関連して、先週の金曜日に国で、減反の政策を見直すということを安倍首相が表明して、ずっと続いてきた農家への支援というのが大きく転換することになると思うのですが、福井県にとって、今回、この減反の政策が見直されることの影響をどう見ていらっしゃるか。影響がある場合、どういう支援を考えられているのか、お考えがあれば伺いたい。
【知事】
それは、今言ったような基本的な認識ですから、国のいわゆる減反政策についてもまだ最終的な方向が出ていないし、今日もまた国や与党で議論すると思いますけれども、やはり、農業の行く末については、みんな大丈夫だ、これで大丈夫だと思うような方向でないと困るわけです。それがどうもまだはっきりしないので、いろんな気になることがあるわけです。
集落農業が福井県では非常に盛んで、平均20町歩、20haぐらいでやっているわけですけれども、我々としては、これをかなり大規模化する必要があるだろうとか、あるいは、福井らしいものといったら、そばなんかも、交付金が減らないようにもっとしっかりやってもらわないといけないと思います。
それから、我々は、お米以外の特産物として、野菜や果樹を進めているけれども、こういうものについて、しっかり国がバックアップをもっともっとしてほしい、ある程度自由度のきくお金が来るように、という気持ちはあるのです。今、県としてのいろんな検討を進めていくという考えです。
【記者】
減反廃止という方向性が出た場合に、来年度予算に向けて具体的に国に対して何か訴えていくということはあるのですか。
【知事】
特に、地域で独自にやる農業政策について応援をしてほしいと思います。
それから、福井はお米の県だから、ある程度の努力をして米作をやれば見通しがつくような基盤整備や交付金、あるいは仕組みづくりをやるべきだと思います。
【記者】
新幹線について、県として、工期短縮案ということで、3年程度前倒しできるのではないかという試算の提案がありましたが、そういった提案を中央に持って行かれて、知事が感じた手応えや、改めて意気込み、考え方を教えていただきたい。
【知事】
先週20日に、国会議員の皆さんに対し、主に議会、沿線市、経済界などが、技術的に3、4年は短縮できるのではないか、また、財源的にも工夫が可能ではないかという我々の考え方を申し上げたわけです。
その際に、髙木国土交通副大臣を中心に、せっかくそういう立場になったわけだし、また、富山県の副大臣もおられまして、何とかして工期を短縮したいという政治姿勢はお示しになられたと思います。
これから具体的に実務的ないろんな話が出てくると思うから、それをいかに政治的にクリアして工期が短縮できるかという議論だと思います。与党プロジェクトチームのヒアリングなども早くやってもらって、少しでも早く事業が前倒しできるように期待しているという状況です。
【記者】
1票の格差について、最高裁が違憲状態という判決を出しましたが、それについての知事の受け止め、認識をお聞かせください。また、今後、立法府としては、選挙制度改革をさらに進めていかなければいけないということになるかと思いますが、それについてどういう観点が重要だとお考えか、お願いします。
【知事】
現象的に、1票の格差というのは、憲法の議論としては問題であることは問題であるのだけれども、やはり、地方から大都市、都市部に人口が流出するという日本の経済、産業、国土政策、あるいは教育政策が直らない限り、根本的な解決にはならないと思います。
1票の格差というのは、世界史で、フランス革命のころの啓蒙論者というのか人権論者というのかアベ・シェイエスのああいう思想で、頭数で物を考えようという考えがずっと来ているのだと思います。貴族がいて、第三身分がいて、そして、政治は頭数であるという発想で来ているわけです。その当時は、大勢の人がいるのだけれども政治に発言力がないという態様のためにそういう思想が出て、フランスの憲法にしても、アメリカの憲法にしても、日本にも来ているのだと思います。
それは形式的な話で、むしろ地方などは、人が少ないというか、頭数、人数が少ないわけです。しかし、食料やエネルギー、人材、いろんなものを提供して日本が成り立っているのだけれども、そこの大事な事柄を考えない、あるいは改善しないで、頭数、人数だけでバランスがとれてないというのは、ちょっともう古い考えだと僕は思います。実質的な平等といいますか、そういう考えではないから、そういう考えに直す必要があると思うのです。
つまり、今のままだと悪循環ですね。1票の格差が是正される、大都市の選挙区が増える、政治家が増える。そうすると、どうしても大都市だけの政治になる、大都市にいろんな投資やそういうものがなされる。そうすると、また地方が衰退する、地方から大都市に人が行く、そしてまた、人口がアンバランスになる、また是正する、とこういう流れが戦後しばらくした後はずっと続いていますから、これを直さないと日本はよくならないのではないでしょうか。
【記者】
つまり、人口比率で考えるのはもう限界に来ているという指摘でしょうか。
【知事】
限界というのか、地方の声が届かないという意味合いはもちろんありますが、そういうレベルではなくて、国の仕組みを直さなければこの問題は解決しないということだと思うのです、技術論ではなくて。
── 了 ──
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