知事記者会見の概要(平成14年2月21日(木))

最終更新日 2008年3月11日ページID 004743

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平成14年2月21日(木)
10:10~11:10
県庁7階 特別会議室

 会見

 

 □発表事項

(知事)

平成14年度当初予算案の概要について発表させていただきます。

平成14年度本県財政については、歳入面において、法人2税をはじめとして県税収入が大きく落ち込み、平成元年度に逆戻りするという大変な状況になっています。そのほか、地方交付税も制度の見直しなどによって、前年度を下回る見込みです。

また、歳出面においては、県債発行残高が累増していて、平成7年度から13年度までの6年間でほぼ2倍に膨らんだ公債費が、平成14年度においても増加基調にあり、極めて厳しい財政状況にあります。

これらに対応するため、歳出の抑制に努めたほか、国が交付税財源の不足を補てんするために、地方においての発行を認め、そして後年度その全額を財政措置する臨時財政対策債を発行します。ならびに県の財政調整基金、県債管理基金、地域振興基金の3基金を取り崩すことによって対応しました。

このような中にあり、平成14年度当初予算案については、県民福祉の向上と本県の活性化を図るため、県内経済の動向、雇用情勢に十分配慮するとともに、「環境の世紀」といわれている21世紀において、本県が「持続可能な循環型社会」へ円滑に転換を図ることができるように、県民、事業者、行政が相互に連携することによって、積極果敢に厳しい社会経済情勢に立ち向かうということで、新しい時代の地域課題に対応した「気力と知力がみなぎる活力あふれる予算」を編成することを基本方針として、新時代の基礎を固めることができる予算編成を行いました。

この基本方針のもとで、大きく3つの基本的な考え方を掲げました。

1つは、「環境立県 福井」を目指した「循環と共生」への取組みです。

2番目に、県内景気の持続的回復に向けた対策と雇用の確保への取組み。

3番目に、地方分権の進展の中で、新しい時代の地域課題に対応した福井新時代の基礎固めの予算編成です。

この3つを基本的な考え方として、県民ニーズあるいは時代の変化に的確に対応するため、昨年に引き続き5つのテーマによる部局横断型の特別枠を設けるとともに、今年新たに各部局の創意を引き出す部局重点枠を設けました。このように予算編成に当たりました。

また新長期構想、第2次中期事業実施計画に基づく各種施策の展開について所要の予算措置を講じました。

予算案の編成に当たりましては、厳しい財政状況を踏まえ、国の予算および地方財政計画の動向を勘案するとともに、今回、年度を1年早めて改定した「中長期財政計画」の基本的な考え方のもとに、「政策評価システム」(いわゆる事務事業カルテ)の活用により施策の緊急度、優先度を見極め、限られた財源の重点的かつ効率的な配分に徹します一方、県債の発行には十分配慮、留意するということで、財政の健全性、弾力性の確保に留意いたしました。

当初予算案の規模は、

一般会計で、5,237億62百余万円、対前年度当初比97.4%

特別会計は、214億97百余万円、対前年度当初比101.2%

企業会計は、364億76百余万円、対前年度当初比120.5%

合計しますと、5,817億36百余万円、対前年度当初比98.7%となります。

なお、景気動向に配慮して、財政の下支えにより本県経済が持続的かつ本格的に回復するよう、公共事業および県単独事業等の投資的経費については積極的な対応を図ることにしました。公共事業については、平成13年度における国の2次補正予算についても十分対応を図り、平成13年度2月補正予算案の予算額を加えた実質の当初予算額は、前年度当初の予算額を上回る見込みです。県単独事業については、地方交付税における事業費補正の見直し等により、その確保が困難な中で、地方財政計画(90.0%)を大きく上回る予算額で97.4%を計上しています。

平成14年度当初予算案における主要な政策課題への取組みの概要は、次のとおりです。

まず、「環境立県 福井」の実現に向けた取組みです。

福井の恵み豊かな環境を次の世代に継承していくためにも、環境への負荷をできるだけ少なくして、自然と共生しながら、資源・エネルギーを有効に活用する循環型社会の構築が必要です。そこで、次の5つの分野を重点的、戦略的取組みが必要な分野として、積極的に取り組むこととしました。

「資源の循環」に対する取組みとしては、もっとも身近な「ごみ減量化・リサイクル日本一」の取組みについて、市町村における分別収集品目の拡大と統一した分別収集体制の構築を早期に実現するため、分別収集モデル事業を実施し、日本一の実現に向けて取組みを強化することとしました。

また、テクノポート福井におけるリサイクル推進センター(仮称)の整備に着手するため、基本構想の策定を行うとともに、財団法人産業廃棄物処理公社が環境影響評価調査を実施することとしています。

「環境関連産業の創造と振興」への取組みは、リサイクル施設の整備が廃棄物の適正処理の推進のみならず、新しい産業の振興や雇用創出効果の面からも注目されているので、本県における各種のリサイクル施設の集積と廃棄物の適正処理のためのシステム構築に関する「資源循環拠点地域整備構想」を策定することとしました。

「地球環境の保全」の取組みは、平成13年度に新規事業として実施したところ、当初の予想を大きく上回る応募がありました「住宅用太陽光発電設備導入促進事業」について、引き続き規模を増やして実施することとしました。

「自然との共生」に対する取組みは、希少野生生物の種の保存事業には従来から取り組んでいますが、近年特に生息数が増加しているシカについて、農林業に多大な被害を与え、生態系への影響も懸念されますので「特定鳥獣保護管理計画」を策定し、適正な個体数管理を行うこととしました。

「環境意識の醸成」に対する取組みは、平成9年に策定した環境基本計画を平成13年度と平成14年度の2か年で、「環境立県 福井」の実現に向けて実効性のある計画として改定作業を進めています。

次は、景気回復に向けた取組みと総合的な雇用対策です。

依然として厳しい状況にある本県経済の動向を踏まえ、中小企業対策をはじめ、雇用対策、社会基盤の整備など、事業規模ベースで総額911億円規模の経済対策を講じることとしまして、次のとおり、県内景気の持続的かつ本格的な回復に向けた積極的な取組みを展開することとしています。

まず景気対策ですが、「中小企業金融対策」については、貸付実績が高く中小企業からの要望も大きい、「中小企業育成資金貸付金(一般分)」の融資枠を40億円増枠することとしました。また、資金繰りの円滑化に資する「経営安定資金(経営強化)貸付金」についても、昨年度に引き続き120億円の融資枠を確保することとしました。

「社会基盤の整備」としての公共事業に対する取組みですが、先に述べましたように、平成14年度当初予算案としては729億35百万円余で、対前年度当初予算比88.3%となっていますが、平成13年度の国の2次補正予算に十分取り組むこととして、先に発表することになりますが、平成13年度2月補正予算案において、141億76百万円余の追加補正を予定しています。これを加えた実質的な平成14年度当初の公共事業予算は、対13年度当初予算に比べて105.5%になります。

これは継続箇所等早期の発注が見込めるものについては、積極的に2月補正への前倒しを図ったもので、年度の端境期にも十分な事業量が確保できるものと考えています。

「地域経済の活性化支援」として、道元禅師750回大遠忌等の機会をとらえたイベントの開催、小浜線電化開業を記念したミステリー列車等による観光客誘致、そして世界最大の国際スポーツイベントであるワールドカップサッカーにおけるメキシコ代表チームの福井県におけるキャンプ運営、広報・交流事業を進めていくことにより、県外あるいは海外からの観光客の誘致を図ることとしています。

次に雇用対策については、「企業誘致」の推進として、雇用創出効果の高い情報・サービス産業を積極的に誘致するため、「企業立地促進補助金」の制度を改正することとしました。

また、「就業機会の確保」としては、昨年の12月補正予算で設置した緊急地域雇用創出特別基金を活用し、市町村とともに雇用・就業機会の創出を図っていくこととしました。

その他、昨年12月補正予算で取組みを始めた「新分野進出緊急雇用奨励金支給事業」、「離転職者等緊急支援利子補給事業」、「緊急雇用支援「110番」事業」についても引き続き実施することとして、離転職者の再就職支援、雇用の維持安定を図っていくこととしました。

また、ワークシェアリングについては、労働界、経済界、行政のトップが自由な立場で意見を述べ、共通認識の醸成を図り、今後の課題と方向性を明らかにするための緊急懇話会を開催することとして、今後の対応をこれによって講ずることとしています。

次に地域交通体系の整備についてです。

県民の身近な足である地域の公共交通機関の問題に取り組むとともに、「環境立県 福井」として、二酸化炭素の排出抑制にも大きな役割を果たす京福越前線の存続に取り組むこととしました。

京福越前線存続対策事業としては、先の沿線市町村との合意に基づき、平成14年度に必要な県の補助、すなわち運転再開工事に対する補助と長期的な設備投資工事に対する補助として平成14年度に行うATS設備設置への補助を行い、京福越前線を第三セクター方式で存続し、早期運転再開を図るための支援をしていくこととしました。

次は、新産業の創出、IT社会への対応です。

構造改革後の社会へ円滑に移行し、光り輝く福井を実現するために、今取り組まなければならない事業に積極的に取り組むこととしました。

新産業の創出ですが、現在、本県が世界をリードしている最先端の超短パルスレーザの研究開発環境を本県に整備し、本県産業が次世代の新市場において、大きな地位を占めることができるよう、レーザ関連のCOEを形成するための調査を実施していくこととしました。

IT社会への対応として、平成12年度、13年度と国の情報通信技術講習推進特例交付金を基金として積み立てて、約4万5千人の受講者を募ってIT講習会を実施してきましたが、県民の受講申し込みがまだ多いことから、平成14年度においても、緊急雇用創出特別基金を活用して、県内120箇所の公民館でIT講習会を実施し、平成14年度、15年度の2か年で約1万人の受講申込者の希望に応えていくこととしました。

また、回線容量2.4ギガビットという、国内ではトップクラスの高速・大容量の次世代情報通信基盤を整備し、情報の地域間格差の是正を図るとともに、広く県民、企業等が利用できるようアクセスポイントを地域ブロックごとに整備することとしています。電気通信事業者の敷設済みの光ファイバーケーブルを借り上げることで工期を短縮し、平成15年4月から運用を開始することとしました。

次に心の教育の充実です。

21世紀の本県を担う人づくりは、家庭、地域、学校の三者が互いに連携し、社会全体の教育力を高めていくことを基本として取り組むこととしています。

すべての児童・生徒に目の行き届くきめ細かな指導を行うため、小中学校における小人数による授業を推進するための教員の配置については、平成13年度から取り組んでいますが、平成14年度には44人を125人に増員することとし、より一層指導方法の改善を図り、個に応じた指導の充実を図ることとしました。

児童・生徒の問題行動が依然として憂慮すべき状況にありますので、生徒指導支援員の配置によって学校への支援を充実して、児童・生徒の問題行動を未然に防ぐとともに、不登校の背景や原因を究明し対策を検討していくこととしています。

また、小学校3・4年生には、地域の公民館等で宿泊しながら登校する合宿通学を行うことで、基本的な生活習慣の修得を促し、家庭の教育力を補完するとともに、地域で子どもを支援するための教育環境の醸成を図ることとしました。

その他、子どもたちに長期にわたる共同生活体験の機会を与えることによって地域の教育力の向上も図ることとしました。

以上が、当初予算編成における主な政策課題への取組みの概要です。

また、昨年3月に策定した「新行政改革大綱(改訂版)」においては、「県民本位の開かれた行政運営とスリムで効率的な行政体制の確立」を基本理念として、機動性の高い組織体制の整備に積極的に取り組んでいます。その一環として、公営企業部門における組織の再編を図るために、企業管理者の制度を廃止するとともに企業庁を企業局とすることとしました。

なお、新長期構想、第2次中期事業実施計画に基づく各種施策については、総務部長から説明いたします。

(総務部長)

お手元の主要施策および主要事業の資料にしたがってご説明させていただきたいと思います。

Ⅰの「創造性と活力ある産業の育成」です。

「新産業の創出」ですが、5ページの上から2つ目の事業です。これは部局重点枠ですが、新規事業です。「ふくいベンチャープラザin東京」開催事業4,537千円です。県内のベンチャー企業が南青山291において、ビジネスプランの発表会や展示会を開催する予定です。

続いて8ページの一番下ですが、「企業立地促進補助金」の制度改正です。情報サービス業に対する補助対象経費および補助限度額を拡充するもので、緊急雇用対策として、新規雇用50名以上を満たす場合、補助対象経費および補助限度額を拡充するものです。

次に「新しい時代にふさわしい農林水産業の確立」ですが、15ページをお開きいただきたいと思います。15ページの一番上の事業ですが、部局重点枠事業です。新規事業でございまして「福井型コシヒカリ直播普及拡大事業」55,200千円です。コシヒカリ直播の安定生産技術の定着と、規模拡大による稲作の一層の経営安定を図るための奨励金の交付などを実施するものです。

「森林の保全と利用に配慮した林業・木材産業の展開」ですが、31ページをお開きいただきたいと思います。31ページの真ん中のウですが、これは新規事業です。「森林整備地域活動支援対策事業」です。549,545千円の事業ですが、森林所有者などによる計画的かつ一体的な森林作業が適時適切に行われますよう、支援措置として交付金を交付するという事業です。

次に47ページ、「高付加価値産業への変革」です。下から3つ目の事業です。(2)のア新規事業で「ソフトパークふくい情報通信基盤整備事業」です。これはソフトパーク福井の中に光ファイバー通信網を整備する事業です。

Ⅱの「世界に広がるネットワークの構築」ですが、72ページの「市町村合併準備支援事業補助金」、下から2つ目ですが、新規事業です。部局重点枠事業ですが、合併協議会が行います地域の将来像の作成のための調査研究に要する経費に対して県が助成する事業です。

その下ですが、これも部局重点枠事業で新規事業ですが、「市町村合併特別交付金」の制度創設です。合併後の一体的な町づくりを支援するために、市町村合併特例法の期限が平成17年3月末ですが、その合併した新市町村に対します特別交付金制度を創設するものです。交付額は、2市町村の合併の場合は5億円として、合併関係市町村の増加に伴いまして、10億円を限度としまして1市町村あたり1億円を加算する交付事業です。

次に「個性・魅力ある地域づくり」ですが、75ページをお開きいただきたいと思います。下から2つ目の事業ですが、「地域活力創出支援事業」です。285,014千円の事業です。これは、活力ある地域づくりを進めますために、地域経済の活性化に効果の高いもので市町村事業に対して助成するといった事業でして、平成14年度は小浜市の御食国会館(仮称)建設事業に対して助成するものです。

「高速交通体系をはじめとした交通網の整備」ですが、80ページをお開きいただきたいと思います。80ページの一番上の事業です。「久須夜ヶ岳有料道路の無料開放事業補助金」です。350,047千円ですが、平成14年6月30日をもちまして、30年間の営業期間が終了いたします久須夜ヶ岳有料道路について、その収支差の累計額を福井県道路公社に補助いたしまして、無料開放を行おうという事業です。

81ページの上から2つ目の事業です。「嶺南地域鉄道小浜線電化整備事業」です。5,350,000千円の事業です。小浜線の電化につきまして、事業費の県負担分をJR西日本に助成するとともに、民間寄付金を県においていったん受け入れるという事業です。

81ページの下から2つ目の事業で、新規事業です。「小浜線電化開業記念事業」です。9,800千円です。小浜線の電化開業を県内外にアピールするするとともに、小浜線を利用促進いたしまして観光振興や地域の活性化を図るという事業です。

「生活領域まできた高度情報化への対応」です。83ページの一番下で、新規事業「地域パソコンマスター事業」です。これは部局横断型特別枠事業です。県民が気軽にパソコンの操作について相談ができるように人材を確保し、県民の情報リテラシーの向上に資するという事業で、3,115千円の事業です。

86ページの一番上の事業です。部局横断型特別枠事業ですが、「福井県情報スーパーハイウェイ(仮称)整備事業」です。これは、先程知事から説明がありましたように、回線容量2.4ギガビットの国内でトップクラスの超高速大容量の次世代情報通信基盤を整備しまして、情報の地域間格差の是正、県民生活の向上を図るという事業です。1,443,223千円の事業です。

Ⅲの「豊かな心を育む県民風土の醸成」ですが、「新しい時代の人づくり」ということで、90ページをお開きいただきたいと思います。90ページの一番下の事業ですが、新規事業で「県立学校教育情報化推進事業」です。89,831千円の事業です。教育現場に必要な教育用コンピューターおよび校内LANを整備するものでありまして、全県立学校を平成17年度までに計画的に整備していくという事業です。

95ページの一番上の新規事業ですが、「県立大学大学院サテライト教室開設事業」です。410千円の事業ですが、県立大学大学院におきまして、福井駅周辺におけるサテライト教室を試験的に開設しようという事業です。

110ページ、Ⅳの「活力とやすらぎのある県民生活の実現」です。「生きがいと活力に満ちた福祉社会の実現」です。110ページの(エ)です。新規事業ですが、これは部局重点枠です。「県有施設音声誘導装置設置事業」です。25,000千円。視覚障害者にとりまして、身近で利用機会の多い総合福祉相談所と健康福祉センターの入口に音声誘導装置を設置しまして、安心して来訪できる環境づくりを行うという事業です。

111ページの下から2つ目の事業です。新規事業です。「県立総合医療センター(仮称)関連施設再整備基本計画策定事業」です。6,420千円。これは県立病院再整備に関連いたします小児療育センター、看護専門学校、特殊教育センター、福井東養護学校の再整備のために、医療・福祉・教育各分野での三位一体の機能を持つ関連施設の基本計画を策定するものです。

138ページをお開きいただきたいと思います。「安全で安心な社会づくり」ということで、「防災対策の確立」です。138ページの真ん中ウの(ア)ですが、これは部局重点枠で新規事業です。「河川総合情報システム整備事業」です。50,000千円の事業です。県民の生命と財産を災害から守るために、洪水予報の実施や渇水想定区域等の情報を関係機関や県民に提供するシステムを構築する事業です。

「安全で快適な交通社会の実現」です。143ページの一番下の事業です。これは部局横断型特別枠事業で新規事業ですが、「公共車両優先システム(PTPS)整備事業」です。20,099千円です。バスレーンの確保や、バス優先信号整備を通じて公共車両の効率的な運行に寄与するために施設の整備を行う事業です。

145ページの上から2つ目の(ア)ですが、「警察官の増員」です。平穏で安心できる生活の確保のために、激増する警察事象に対応するために警察官を50人増員するという事業で、164,340千円です。

私の方からは以上です。

(広報広聴課長)

以上で発表事項につきましては終わらせていただきます。これからご質問をお受けいたしたいと思います。

 

 

 

 

 

□質疑事項

 

(記者)

1つだけ、冒頭で触れられましたとおり県税収入が非常に悪いということで、こんなに景気が悪いのかと僕も思ったのですが、知事はこの県税収入の落ち込みに対して、現在の景気状況を踏まえて、県税収入の落ち込みに対する景気状況の認識等を含めてどのようにお感じですか。

(知事)

先程も言いましたように、平成元年に逆戻りしまして1,000億円を切ってしまったということで、県税収入の状況が平成14年度の状況がずっと続くとなりますと、県の財政に大変大きな影響を与えるということです。これは県税収入の中で、特に法人2税の税収の落ち込みが大きな原因になっているわけですが、ぜひとも平成14年度予算で本県の景気の浮揚を図り、平成15年度以降県税収入が平成14年度のようにならないように、県税収入が確保されるように、そういう面でも経済対策を積極的に講じていかなければならないと思っています。

(記者)

関連して経済対策について、今、国政の実態を見ても、構造改革など足元の景気対策の話になるかと思いますが、県だけの景気対策ではなく国政全体で考えていかなくてはいけない話だと思います。まずボリュームの問題として、国に対する景気対策に関する要望のスタンスですが、今は構造改革なのか目先なのかというと、政府としては構造改革のかたちになっていくのですが、今、ここまで経済が落ち込んだ状況に見舞われますと、それの政府の姿勢というかたちを知事はどう受け止められますか。

(知事)

我々が一番心配しておりますのは、構造改革を進めることによって日本の景気回復を図ろうという趣旨はよく理解できるのですが、例えば平成14年度末にはこうなる、平成15年度末には日本の経済はこうなるという見通しを政府に示してもらい、それに向かって我々は我慢するところは我慢するということでないと、この状況がいつまで続くのかというようなことは県民にとっても大変不安なところですので、そういう景気の見通しというのを国に示してもらいます。それに向かって、政府も県も我慢するところは我慢し、そして構造改革を進めていくということを、ぜひ示してほしいと思います。

(記者)

景気対策の質の問題になるのですが、今見ていますと、景気対策をやってきてもなかなか景気は回復しない。今後、今の自主財源の状況を見ていますと、あまり今までのようなことを繰り返されても効果もないし、それに充てる金もない。やはり中長期的な落ち込みを見ていますと、中長期的な産業構造の改革につながるようなメニューを示してもらわないと、なかなか地方も持っていくだけの気力も体力も残っていないという気がするのですが。

(知事)

中長期的対策の見直しの作業をやっておりますが、平成14年から16年までの3か年で1,000億円ぐらいの財源不足が見込まれる。そういった状況の中でやはり、景気浮揚によって税収が確保できるようなサイクルにしていかなければならい。もちろん我々としては、財政の再建をしていかなければならないと考えています。

(記者)

今度の予算案を見せていただくと、いろいろ雇用の手当ということもかなり踏み込んでやっておられて、なおかつ新産業のリサイクルやレーザーなど、スーパーハイウェイや、かなり先をにらんだもので新産業を創出していくということが出ているのではないかと思うのですが、そういう雇用の現状とこれから先、新産業における創出というところでの知事のお考えがありましたら。

(知事)

雇用情勢は全国の失業率が5.6%ということで大変厳しいのですが、北陸ブロックは全国のブロックの中では失業率が一番低いということです。しかし、福井県の場合、有効求人倍率が去年の3月からずっと11か月間1倍を下回っていまして、現在、国が0.51に対して福井県は0.73というような状況なので、やはり雇用情勢を改善するということに大きな力を注がなければならないわけでして、そのために先程から説明をしておりますような、例えば去年の12月に緊急地域雇用創出特別基金が補正でできましたので、これを十分に活用していきたいと思います。それから県単独で、進出企業に対する優遇措置、こういうものも利用して雇用促進を図りたい。特にコールセンターなどかなり人を使いますので、今、各地域で取り合いになっているようですから、そういうものについて県が優遇措置をとることによって誘致をして、これを促していきます。

それから、これは今後の問題ですが、ワークシェアリングについて、行政、労働界、産業界によりどういった方策があるか、あるいはまたワークシェアリングについての認識をどうもっていくかというようなことも、今後詰めていく。そういう雇用創出が当面の最大の課題です。もちろん公共事業も行うということで、それは先程も言いましたが、2月の補正予算と平成14年度の当初予算と合わせますと、経済対策としては両方を合わせますと去年平成13年度に比べて123.3%、ですから23%強の経済対策を講ずることになるわけです。そういう経済対策を講じることによって景気浮揚を図り、そういうことが雇用の創出に結びつくと考えています。

(記者)

京福の存続対策の事業費が見込まれますが、沿線の市町村の足並みがかなり乱れていたようで、福井市もまた、この前の合意とは違うかたちで案を出してくるわけですが、現状の市町村の動きも含めて知事の認識を伺います。

(知事)

1月に沿線市町村と、12月県議会の考え方を基にして合意しています。我々としてはあの考え方を基本として福井市との調整をどのように図っていくか、あるいはまた沿線市町村の中で、負担割合についての不満もあるようですから、これについては県として積極的に各市町村との調整を図るということです。県民の足を確保するということで、我々は存続という方向を打ち出しているわけですから、そちらの方向へスムーズに進むように努力していきたいと思います。

福井市が提案をするということですが、それよりも一番懸念しているのは、本来なら2月の議会でこの予算を出して、第三セクターを早く立ち上げたいのですが、福井市との調整に時間がかかって第三セクターの設立が遅れることです。ですから、福井市との調整にできるだけ時間をかけないように、遅れないようにしていきたいと思います。

(記者)

福井市を見ていますと、現在、市長選との絡みがありますので、知事が懸念されているように、このまま調整時間がのびますと、どんどん立ち上げるのが遅くなります。福井市の市長選が始まる前にでも調整をすませたいとお考えだと受けとってもよろしいのですか。

(知事)

福井市の理事者が示す案と議会が示す案があり、福井市の提案が福井市議会を通らない間に、県と福井市との間に調整することはなかなか難しいのではないかと。県議会なりの議論、我々は県議会の方向に沿って進めていくところですので、いわばそういうところを県議会では再確認をするということになると思うのですが、そういう考え方で福井市と折衝するということで、この10日の間に調整を終えることは困難ではないかと考えています。

(記者)

永平寺線については、採算性の考えから廃止で止むをえないと。

(知事)

今、1時間に2本福井から勝山へ、東古市で接続するのは1本はバスで、1本は電車で、実質的に1時間に1本しか連絡していない状況なので、バスに転換するのは止やむをえないのではないかということで、永平寺町長にお話して了解をいただいています。

(記者)

企業庁の組織の再編について今ほど説明していただいたのですが、企業庁がらみの話をもう少し詳しく。そのねらいはスリム化ということでよろしいのでしょうか。

(知事)

行政改革大綱に基づいて、組織のスリム化、あるいは職員の配置について検討を進めておりましたが、企業管理者は4年の任期で、今年3月いっぱいになっています。この機会に見直さないとまた4年たってしまいますので、この機会に我々としては十分検討して組織のスリム化を図るということで踏み切ったわけです。

(記者)

新組織は企業局に。

(知事)

企業庁を企業局にして、部長クラスの人を配置することになります。

(記者)

今、中長期財政計画が見直されていますけれども、今までの2年間の取組みについては、どのような感想ですか。

(知事)

中長期財政計画の中で、特に起債の発行抑制に努めたということで、この前の計画に従って進めてきたわけですが、国の制度といいますか、考え方が、例えば臨時財政対策債などは、今まで国の特会でやって、直接交付税であったものを、今度は地方で地方債にしなさい、そのあとは交付税で面倒を見ますよというように、仕組みが変わってきています。そういう分の起債はやむをえないのですが、それを除いた起債については、今までの中長期、特に3年間の中期について、抑制に努めたということです。

(記者)

今回、県債は抑えられるという成果は出たのかと思いますが、今後、これにプラスして税収が減ってくるでしょう。そういう中でさらに絞り込みが必要かと思うのですが、そういう流れは。

(知事)

財政の健全化という意味では、起債を抑制するということが大きな課題で、今度平成14年から16年までの3か年の財政計画をまた作りたいと思いますけれども、その中で起債を予定どおり抑制する。それから、もちろん歳出の削減もきちんとしていく。

(記者)

予算と少し離れますが、小浜の商工会議所が勉強会として再開するということですが、知事としては、核燃料の中間貯蔵施設について、県外に立地を希望するというお気持ちに変わりはないのですか。

(知事)

我々としては、もともと原子力発電所のサイトに貯蔵されているものを、そのまま貯蔵しなくて移すということですから、そういった施設を造ってもらう。これは県外に持っていくことによって、立地をしている我々の痛みをわかってもらおうという考えでおります。

(記者)

京福のことでお伺いしたいのですが、先程、県議会での提案、そういう考え方を基本に合意に達しているはずだと言われましたが、政治判断できる立場の首長が集まって合意に達したのに、なぜ福井市があのような態度に出るのかということを私は見ていて非常に疑問に思うのです。まず、いったい何を合意したのかということです。それから、合意したはずなのに、なぜあのようになってしまうのか。福井市長のリーダーシップさえも疑いたくなるような事態であると、そういうことを個人的に思うのですが、知事自身はどういうふうにお考えですか。

(知事)

とにかく福井市の理事者と福井市議会のいろいろな考え方を集約するということで、我々としてもやはり合意をもとにして市議会の理解を得てほしかったと思っているのですが、あのようなことで新たな提案が出てくるので、我々の基本的な考え方をもとにして、どことどこがどういう点が調整可能なのか、その辺も福井市と十分相談したい。

(記者)

合意というのは、県の考え方の内容をもとに合意に達したということですか。福井市がそれを認めたということですか。

(知事)

あの合意は記者発表のときにお話ししましたように、県議会ならびに沿線市町村議会に、合意点に基づいて話を詰めていく合意をしたということで、数点書いてあります。その合意をしたことについての全く新たな提案は、我々も腑に落ちない点もありますが、今、京福をどうやって存続させていくかあるいはいかに早く再開をさせるかという前向きの姿勢で調整をするということで、我々は対処していきます。

(記者)

その調整ですが、今の段階では新聞やテレビで市の案ということで報じられているかぎりで、県の方も、正式に福井市がこう考えているというふうに、まだ出ていない段階だと思うのですが、前向きの調整という姿勢は悪いことでないと思いますが、ただ知事の思っておられることとして、いわゆる経営には県は主体的に参加しないという合意案というのは、いわば市町村の間でオーソライズされたものですね。それに対するあのような市の出方を見ると、歩み寄る余地が正直なところ常識的にありえるのかなという印象があるのですが、それすらもやはり、三セクの早期立ち上げのためにはそういう意見も聞こうではないかというお立場なのでしょうか。

(知事)

この問題を解決するために、言葉は別として、我々は少なくとも大人になってこの問題を解決したいということです。田中真紀子さんと鈴木さんのいう議論がありますけれども、我々はどう解決するかということです。福井市がそういうことを言っているのならもう投げ出そうかという考えもありますが、私は投げ出すのではなくて、どう解決をするかということを考えていきたいと思います。おそらく近く申し出があるのでしょうが、「今日の記者会見で知事はこう言った、ああ言った」といって、福井市の議会を怒らせるのは得策ではないと私は思います(笑)。

(記者)

やはり県議会の理解が得られる範囲でということで。

(知事)

もちろんです。県議会の考え方を基本として、そして我々も同じ考えですが、譲れるものがあるのかどうかという点です。我々も福井市と1対1で「こういうことですよ」ということで、まだ十分に理解されていない面があるとすれば、それについての理解もしておかないといけませんし、そういうところを積極的にやっていきたいと思います。

(記者)

スケジュール的には、6月ごろに三セクを立ち上げて、京福につなげるようになるという、この間の考え方ではいけると思いますか。

(知事)

できるだけ早く第三セクターを立ち上げたいのですが、今は福井市の出方をどうするか、そこのところが正直いって頭が痛いです。

(記者)

やはり7月ごろになるのでしょうか。6月の補正後の対応ということになりますか。

(知事)

いや、できるだけ早くやりたいですが。遅れると、10月の何日かに来ている廃線届をどうするかという問題が出てきます。もちろん第三セクターがいつスタートするかという方向が出れば、それを前提として。

 

以上

〈 総務部広報広聴課 編集

 〉

 

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