知事記者会見の概要(平成26年2月24日(月))
平成26年2月24日(月曜日)
10:30~12:15
県庁 特別会議室
【知事】
今日は平成26年度当初予算案と本年度の2月補正予算案について申し上げます。
その前に、越前和紙について、越前市の和紙の製品・用具等が、1月17日に国の文化審議会において重要有形民俗文化財指定の答申を受けました。今日は、和紙を展示しておりますので、ご紹介しておきます。
それでは、予算についてですが、資料をご覧いただきたいと思います。
〔資料〕平成26年度当初予算案の発表要旨
まず、来年度、平成26年度は、舞鶴若狭自動車道が全線開通し、中部縦貫自動車道も初めて北陸自動車道とつながりますので、嶺南・嶺北の相互交流を深め、県としての一体性をさらに高める、それから、関西・中国・四国地方からも人を呼び込む好機です。また、新年度末、来年春になると思いますが、北陸新幹線が金沢まで開業しますと、首都圏あるいは信越圏との北陸回りルートができますから、北関東や長野県などとの結び付きが強まり、非常に大きく人やモノの流れが、量的にも質的にも変わりますので、そういうことを踏まえての予算にしております。
私はこれまで、大きく2つの点に力を入れてまいりました。
1つは「県民の暮らしの質を高める」ということです。福井県はさまざまな優れたものを持っており、これをうまく発揮するということが大事だと思います。日本総研が先月発表した都道府県別幸福度ランキングにおいても、本県が1位になりましたが、大都市を抑えた格好での1位であります。これは、これまで進めてきた成果が認められたものと考えており、日本一の幸せという評価をさらに実感できるように、また、それに満足することなく、次のレベルに高めていくというのが、私の政策としての1つ目の大きな動きであります。
2つ目は、これをもとに「全国に福井のよさをアピールし、人を呼び込む」ということです。福井県には恐竜博物館や一乗谷朝倉氏遺跡、里山里海湖、年縞等々、また、和食においても23件の世界文化遺産登録の材料の中で福井県の3件を使っていただいていますので、本物の資源があるわけです。これを磨き上げて、観光に活かして人を呼び込む。併せて、我々の生活自体の中でそれを活かしていく。こういう2つの流れを重視し、地域間のいろんな競争にも打ち勝ってまいりたいと思います。
今年はマニフェスト「福井新々元気宣言」の仕上げの年です。予算だけでこういうことができるわけではありませんが、ぜひとも「希望」につながる新しい扉を外へ向けて開いて、実質的にも扉が開いた格好になるように努めてまいりたいと思います。
こういうことですから、予算に「ふるさと福井の新しい扉を開く」という名前をつけております。柱は5つ書いてあり、ちょっと言葉が走っているかもしれませんが、こういう状況ですので、その点はご理解をお願いしたいと思います。
1つは「ふるさと福井が放つ『本物』戦略」です。それから、「活気を導く高速交通時代のまちづくり」。活気をみずからもつくり、導かなければならないということです。3つ目は、「新たな挑戦を生む産業政策」。4つ目は「『幸福共感』、楽しむ福井の暮らし」。これは我々も感じ、観光やいろんなことで来ていただいた人たちもそれとなく、あるいはそれらしく感じる、そういう福井の暮らしを訴えるということです。5番目は、「未来に希望の人づくり」ということです。この5つの柱で予算を組ませていただきました。
○当初予算の特徴
まず、当初予算の特徴ですが、予算規模は4,823億円であります。これは、前年度比で52億円、1.1%の増で、2年連続の増です。
予算については、さまざまな性質に分けることができますが、公債費や人件費など、計算上、それぞれ毎年どうしても必要な経費が出てくるわけですが、これをできるだけ抑制しながら、投資的な、あるいは戦略的な経費を伸ばしたということです。
特に投資的な経費については、新幹線建設が県内でもいよいよ本格化しますので、北陸新幹線の建設促進に36億円、昨年に比べると倍増ということになりますし、国体についても、運動公園の整備は県営体育館など増加しています。その他さまざまな理由で、トータルで投資的経費は1,045億円。前年度に比べると159億円、18%増ということになります。これは、いわゆる公共事業で何かやるというような経費とはまた性質が違い、できるだけ厳選をして、福井県の基本的な高速交通体系あるいは国体など、これからの我々の方向づけをする建設的な経費だと思って予算を組ませていただきました。
一方、公債費、これまでの事業による借金を返す経費ですが、前年度から66億円、7.3%減の836億円を計上しています。公債費の割合は、全体に対して何%かという実質公債費比率という観念で絶えずコントロールをしているインデックス指標ですが、これを18%以下に抑えており、これによって福井県として県の起債を自由に発行ができる、その枠の中に収めてあるということです。そういうことですので、既に23年度から県債を本来返す期間よりも前倒して返していっているというわけです。23年度から3年間でトータル192億円を前もって期限以前に返すことで借金の総量を減らし、実質公債費比率を18%以下にコントロールしているという状態にして予算を組んでいるということです。ですので、公債費が減ってきているということになるわけです。
もちろんこれから新幹線や国体などの借金は増える部分もありますが、借りたものを返すということはできているということです。
それから、人件費については職員の経費であり、極力、職員数の削減等によって人件費を前年度以下に抑えるということで、約9億円抑えています。
それから、高齢化に伴う扶助費、介護や福祉施設をつくるような事業なども、よく査定をした上で、義務的経費全体で2.7%の減としています。これは、地方財政計画の3.0%増を下回るものです。
こういうことで行財政改革を進め、財源を確保しながら、将来に必要な社会基盤の整備を進めるための予算などを中心に計上しています。
歳入ですが、県税については913億円です。以前は1,000億円を超えていることもありましたが、ここ何十年間で経済の低迷などいろんなことがありまして、現在は913億円です。これは、前年度から3.6%の増です。これは国の経済政策の効果が地方にも現れ始めて、化学や機械など製造業の業績回復が見込まれ、聞き取り調査などからもこれくらいはできるかなということです。県税の内訳としては、個人県民税と法人県民税、法人事業税が伸びるだろうということです。その結果が全体で3.6%の増です。
なお、地方消費税は、平年ベースでは110億円入る予定ですが、我々の会計に入ってくるのは法人の決算ごとになりますので、本年度は18億円、初年度的な予算になるということです。27年度に、実質的に110億円余が入るようになります。
地方交付税については、臨時財政対策債も加え、実質ベースで1,631億円であり、ほぼ前年と同額としています。
県債は、591億円で、7.7%の減となっています。
こうしたことで、今回の予算は昨年3月に策定した県の「長期の財政収支見通し」における県債残高の見込み5,400億円に対して5,331億円なので、それを下回っているということになります。
それから、財政調整基金残高を135億円と見込んでいますが、実際、予算を計上した結果、138億円ということで、そのラインをクリアした予算にしているということです。
また、行財政改革については約500件の事務事業を見直し、一般財源ベースで17億円を生み出しており、この生み出した財源を44億円の政策枠として活用したということです。
23年度からの4年間のマニフェストの期間では、全体で160億円の財源を確保したことになります。マニフェストで、いろいろ工夫して150億円を政策的なお金に使おうとしていましたが、それを10億円上回る160億円ということです。
○主要事業
それでは、主な事業について申し上げます。
〔ふるさと福井が放つ「本物」戦略〕
まず、「ふるさと福井が放つ『本物』戦略」の中の「『恐竜王国』を新たなステージへ」ということです。
1つは、野外恐竜博物館の開館です。今年度の恐竜博物館の入場者が、70万人を超える見込みで、記録更新ということになります。そういう背景の中で、野外恐竜博物館をこの夏休みに合わせて開館できるようにしたいと思います。恐竜博物館から野外恐竜博物館まで専用バスを走らせ、バスの中では、ナビゲーターによる案内、解説などがなされ、子供たちにワクワクした気持ちを持ってもらうということです。そして、実際の発掘現場に行って、本物の足跡化石の見学ができる。それから、現在行われている第4次発掘調査の様子も眺められる。自分たちも発掘した石の一部で実体験ができるという、3つのことができることになります。
「恐竜王国福井」体験ツアー(約800万円)ですが、これは恐竜博物館のみならず、他の奥越地域のいろんな見学をしたり、場合によっては嶺南まで足を伸ばして「年縞」の採取現場も見学するなど、これまで日帰りや一泊であったものを、もう少し長く滞在して、自然体験学習ができるツアープログラムを開発したいと思います。
恐竜ブランドビジネス化推進事業(約2,200万円)ですが、今月14日に姉妹王国協定を結んだ「Juratic王国」からやってきた恐竜チックな「ラプト、サウタン、ティッチー」の協力も得て、「恐竜王国」を新たなステージに進めます。
このほか、恐竜研究については、この12月、県立大学恐竜学研究所とタイの国立付属研究機関が協定を結んでおりますが、今後、タイや中国の研究機関と連携し、アジアにおける恐竜研究の拠点化をさらに進めてまいります。
福井駅西口広場には、最大で体長10m余りの動く恐竜のモニュメントを3体置き、スマートフォン等による恐竜解説、立体映像の提供なども併せ、福井の顔といいますか、富山県や石川県と異なる雰囲気の駅前を演出したいと思います。
また、小松空港から誘客を促進する一環として、JAL、ANAと連携し、新たな旅行商品も開発します。それから、小松空港の到着口にも恐竜モニュメントを置くことになります。
次に、「『和食』を活かしたブランド戦略の強化」です。冒頭申し上げましたように、12月にユネスコの世界無形文化遺産に和食が登録されました。その際、全国の23の推薦事例のうち、福井県から「食育」、「食守」、「和膳」の3事例が全国最多で紹介されています。福井県の「本物」の和食文化が、この登録に大きく寄与したものと考えています。
そうしたことから、もともと進めているものではありますが、和食教育推進事業(約4,000万円)は、主に学校給食において、子供たちがまずは和食を味わう、楽しむ、あるいは知るということです。給食のメニューに福井出身の石塚左玄先生が唱えられた「一物全体食」を取り入れて、例えば、ハタハタであれば頭から尻尾まで全部食べてしまう。それから、大根も葉っぱから根っこの先まで食べるということです。そういう「まるごと給食」を実施します。また、全ての小学5年生が家庭科で和食の基本「昆布だし」の取り方などを学んでいただきたいと思います。
給食の食材については、これまで、越前ガニやコシヒカリを全ての生徒が食べているわけですが、里芋など地場産野菜を積極的に取り入れ、郷土料理として提供します。それから、学校給食畑というのを今進めています。それぞれの小学校に自分たちの学校給食の畑があり、子供たちがそこでナスビやキュウリ、トマトを栽培し、給食に使うわけですが、平成28年度までに全ての小学校でそれができるように、26年度は学校給食畑をさらに10校分増やす予定です。
さらに、給食の食器に伝統工芸の箸や和膳、お椀等々、それぞれまちごとに特徴がありますので、協力しながら、給食に器やいろんな用具を取り入れて使いたいと思います。併せて、漆塗りの箸を全ての小学1年生にお渡しします。鯖江市は産地としてまたいろんな応援をして、お椀を使うということになると思います。
和食教育推進事業が約4,000万ということですが、これは我々が応援する金額で、私たちが5分の1を応援しますが、5分の4は市町村でやるとか、我々が5分の4応援するけれども、和紙組合など産地が5分の1を合わせてやるということで、事業費は2倍ぐらいの大きさになるかと思います。そこを念頭に置いていただきたいと思います。その他の事業についても、これは主に県側の予算額が書いてありますので、実際は現場では2倍ぐらいになるものが今回非常に多いわけです。
それから、「福井の和食」継承・発展事業ということで、本県の四季の食材や年中行事との結びつきなど、「食の歳時記」として体系的にまとめます。ある時期にはカレイを食べるとか、ある時期になると水ようかん、夏になると葛まんじゅう、あるときにはゴボウを山盛り食べるなど、いろんな伝統や地域の行事などがありますから、そういうものを歳時記として体系的にまとめて、実際、その時期にその地域で、あるいは県全体で、そういう食体験といいますか、食生活をより深めてまいります。
「福井の和食」発信事業(約400万円)は、東京・銀座の「食の國福井館」などにおいて、大都市圏に向けて「旬のふくい食彩フェア」を展開し、福井の和食のよさをPRします。また観光面では、永平寺の本物の精進料理を本山や門前において体験するプレミアムツアーなどを行います。
次に、3つ目ですが、「『里山里海湖』や水月湖『年縞』の保全・活用」です。
環境については、昨年9月にSATOYAMA国際会議がありましたが、これを承継してまいりたいと思います。
まず、「里山里海湖」研究活用推進事業(約5,600万円)ですが、去年10月に設置した里山里海湖研究所を中心に、地域ごとの特性に応じた「研究」、「教育」、「実践」を進める予算です。研究員の出前講座や保育園・幼稚園の体験、自然観察、さらには、各学校の先生が子供たちとそれぞれの地域でメダカの数を毎年数えたり、あるいは雪の深さを測ったり、こういう調査をこの里山里海湖研究所に持ち込み、またそこでいろんな議論をし、それがまた学校の授業に循環して戻っていく、こういう学校、子供、里海湖里山の地域、そしてこの研究所がぐるぐる回るような格好の活動を進めます。
もう1つは、水月湖「年縞」採取活用推進事業(5,600万円)です。水月湖の「年縞」は地質学において年代特定の世界標準になりましたので、この夏に新しく水月湖で年縞を採取するというものです。採取した年縞のコアを加工、保存するとともに7万年間に及ぶ年縞の研究にも使います。
また、年縞の移動展示や展示用の映像を製作し、年縞の価値を国内外にアピールし、学校教育にも活用する。まだ具体的に展示場所までは決めておりませんので、年縞展示方法なども検討するということになります。
次に、4点目の「舞若道開通を好機とした嶺南・嶺北の一体化と観光戦略」です。この舞若道の県内区間の愛称を、今回「若狭さとうみハイウェイ」に決定しました。
全国各地から2,116件の応募がありましたが、嶺南地域の特徴を端的に表現しているかどうか、県民が親しみやすく、読みやすいか等々を考えながら決めました。これから県民や観光客の方々から愛称で呼んでもらい、気軽に訪問してほしいと思います。また、パンフレット、ホームページでも舞鶴若狭自動車道と併せて「若狭さとうみハイウェイ」にしてまいりたいと思います。「街道」という名前もありましたが、梅街道という名前がありますし、こちらはハイウェイということでハイウェイになったのだと思います。「さとやまさとうみ」といいますと少し長くなりますし、海が主なものかなということで「さとうみ」ということ、若狭というのはすばらしい響きと、漢字も美しいですから、こういう名前になったのかなと思われます。
それから、ふるさと交流による嶺南・嶺北の一体化事業です。今回の開通によって嶺南・嶺北の時間的、心理的距離が近くなりますし、本県が福井県として嶺南・嶺北一体として誕生してから133年目ということで、これをきっかけに小・中学生が嶺南・嶺北を互いに行き来をするということです。
具体的には秋の遠足などで開通による時間短縮を利用し、嶺南の風土や歴史に触れる体験学習を行うための経費を支援します。25年度は遠足で800人ぐらいの嶺北の子供が嶺南に行っているのですが、26年度は1万5,000人にしたいと思います。
「海湖と歴史の若狭路」発信事業は、いわゆる舞若道キャンペーン事業です。誘客目標は、延べ100万人。現在420万人ですので、これを100万人増やして520万にするものです。これも先ほど申し上げましたが、福井県側の予算が主に書いてありますが、市町の予算もあります。民間の事業もあり、大体グロスでは5億5,000万円ぐらいのプロジェクトを、夏から秋にかけて「海湖と歴史の若狭路」発信事業という形で展開します。
以下、主に本県から見た事業が書いてありますが、7月から11月までのキャンペーン事業です。去年の9月補正から開催の準備や広報を進めていますが、県と嶺南の市町が連携して統一感を持ったキャンペーンにしたいと思っており、開通記念イベント、中国・四国・東海地方での誘客宣伝を積極的に行ってまいります。
それから、若狭路恐竜展2014開催事業。キャンペーン期間中に、今の事業のほかに「若狭路恐竜展2014」(2,900万円)を行います。恐竜博物館が所蔵する本物の復元骨格の恐竜化石を嶺南地域に持っていき、見てもらうという事業です。
次に、若狭歴史博物館開館事業です。これまで、この博物館は若狭歴史民俗資料館という名前でしたが、若狭の歴史・文化・観光の拠点となるようリニューアルをしています。そして、今回、若狭歴史博物館として皆さんに見ていただく予定です。開館に合わせ、常設展示を一新し、「若狭の仏教絵画の華」やゆかりの仏像、それぞれの神社・仏閣と連携をし、記念特別展を開催するものです。
嶺南消費喚起キャンペーン(1億円余り)は、この12月に先行して実施した消費喚起キャンペーンを本格実施します。嶺南地域の小売店や飲食店、民宿等の消費を促し、消費額の1割分の特産品をお渡しすることで、多くの人を呼びたいと思います。今年度は1,000万円の予算を組んでいましたが、3,400万円の買い増し効果があったという計算ができており、26年度はこれを9,000万円として、今年度分を合わせて総額1億円の大型キャンペーンとなります。
それから、近代化遺産周遊バス運行事業(600万円)です。今回、近代化遺産として、敦賀市と南越前町間に残る貴重な旧国鉄の北陸本線隧道(トンネル)をメインに、その周辺観光地を併せ、いわば「『越の国』峠のトンネル群」を巡るツアーをやりたいと思います。敦賀から今庄、南越前のこの峠は、日本史の古代からごく最近に至るまで最も歴史がいろいろ残っている街道筋であり、これをJRのトンネルのツアーという形でやりたいと思います。ちょうど昨年、旧河野村と南越前町を結ぶホノケ山トンネルも開通しています。旧河野村の右近邸や中村邸など北前船の立派な船主の館がありますので、そういうものと連携して、昔の難所のところを観光地として、いろんな食べ物を食べていただいてやりたいと思います。
このキャンペーンをきっかけに、嶺南を訪れた多くの方々がこの地に来ていただくことを期待しています。
「北陸新幹線開業を活かす誘客の拡大」で、まず、恐竜関係ですが、特に首都圏の東京スカイツリーや上野駅において恐竜を中心とした独自の誘客活動を行います。また、出向宣伝や旅行業者への営業も併せてやっていきます。
それから、JR金沢駅内に福井県観光案内コーナーを設けます。これは石川県と連携し、本県の観光コンシェルジュ、案内人が常駐し、石川県と共同で観光情報を金沢駅で発信をします。
北陸デスティネーションキャンペーンは27年秋ですが、北陸3県とJRとの開催です。これは継続的な事業となります。
一乗谷朝倉氏遺跡については福井市と共同でやっておりますが、まず、復元町並周辺から上城戸跡までの400mの電線の地中化を行います。それから、遺跡を立体的に体感していただくために月見山に「月見やぐら」を展望所として整備し、また、山城までの登山道整備を行って、上から立体的に見ていただく事業を強めてまいります。
〔活気を導く高速交通体系のまちづくり〕
次に、大きく「活気を導く高速交通体系のまちづくり」です。
北陸新幹線の敦賀までの一日でも早い開業については、政治的に要請を、今進めているところですが、一方で、今月3日には福井市の森田北東部、市場周辺の新幹線予定地の用地取得契約が、金沢-敦賀間の先陣を切って締結されました。引き続き、早期開業の実現を図ってまいります。
まず、北陸新幹線の早期開業ですが、これについては、具体的なプロジェクトの予算である埋蔵文化財発掘事業の予算もあります。新幹線の県内事業費は全体で約108億円になりますが、その建設負担金36億円を計上するわけです。主な事業としては、道路と鉄道の一体橋となる九頭竜川橋りょう、あるいは3月に5つあるうちの3つ目の工区の契約が予定されている新北陸トンネルなどの工事ということになります。
2つ目の「快適で利用しやすい鉄道の整備」で、主にこれはまちなかの事業になりますが、えちぜん鉄道・福井鉄道相互乗り入れ推進事業(10億円)です。25年度、26年度の間に、田原町ほか6つの駅のホームの改善を行っていますが、既にきれいになっていると思います。また、えちぜん鉄道低床車両の2編成の購入も支援します。
次に、路面電車走行空間快適化事業です。福井鉄道の市内の路面軌道は60年近く経っていると思いますから、相当石畳もゆがんでいたり、レールとか周辺の部分も傾いたりしている部分がありますので、今回直したいということです。1億3,500万円ですが、これは国の予算などいろんなものが入りますので、実際の事業費は2億7,000万円ぐらいになると思います。
路面電車定時走行システム整備事業は、電車が来た場合に信号待ちをしないような信号処理をする、過ぎたら信号を変えて、クロスする自動車の信号も変えていくというシステムに9,900万円であります。
それから、福井駅前・大名町交差点の結節機能の向上で、今はデパートの前まで行っていますが、これを西口駅前広場まで延伸する事業、それから大名町交差点の2か所の線路整備を行うというものです。今、フェニックス通りでは北のほうから駅に入るようになっていますが、南からも出入りできるように、両方から駅前に行けるという工事の設計なども入っています。これは4,400万円とありますが、実際は補助率や国のお金などあり6,700万円になると思います。
次に、「まちなかの魅力アップ」です。
主に福井市が中心ですが、福井市中心部において福井初の洋館である江戸末期のグリフィス館の復元整備の事業です。これも市や国のお金が入って事業費としては20億円ぐらいの事業になるということです。
それから、県民や県外からの観光客がいろいろまち歩きしたくなるような魅力づくりということで、26年度は福井市のほかに小浜市西組周辺、今庄宿、永平寺門前の整備を新たに行うことになります。それから、25年度からのあわら温泉街、敦賀・金ヶ崎周辺などについてもやりますので、全体としては、14億円の事業になります。
なお、「おもてなし商業エリア創出事業」は、まちなかの整備であり、今回、専門家の意見も聞きながら、中心地の民間店舗の改修や新築経費を支援するというやり方をしたいと思います。
それから、県都デザイン戦略で、まず、御廊下橋とこの県庁とをつなぐ部分の入口の門、山里口御門の復元(2億2,500万円)です。26年度は、この門の実施設計と石垣の解体調査を行います。また、併せていろんなフォーラムなども開催する予定で、復元のための民間寄付金募集も開始をします。
福井駅西口の再開発ビルと駅前広場整備の事業は、福井市と共同で行います。
〔新たな挑戦を生む産業政策〕
次に大きく3つ目で、「新たな挑戦を生む産業政策」です。産業労働部、あるいは農林水産部の予算などがあります。
まず、「『売り方改革』と新成長産業の支援」ですが、これは東京オリンピックや福井国体のための用品等の販路獲得事業です。ニーズの聞き取りとともに、製品の売り買いの機会を設けたいと思います。これが200万円ぐらい。
それから、県産品売る力強化事業ということで、専門家の直接指導による販売力の強化、セールスなどのノウハウを勉強してもらって、福井にはいいものがあるけれどもなかなかアピールができないという弱点を直してまいりたいと思います。
次に、本県医療産業の創出支援事業です。福井の繊維、眼鏡、機械など、医療との連携がこれから出てくるところであり、国内外の医療機器メーカーに対する販路開拓支援、また、新たな医療分野に参入する企業のセミナーなどを開催します。
それから、炭素繊維の世界市場獲得事業(1億円余)です。これまで長年にわたって福井県の炭素繊維複合材料の開発を進めており、航空機や自動車等に徐々に利用され始めています。今回、パリで開催される炭素繊維複合材料の世界最大級の展示会であるJECヨーロッパに福井ブースをつくり、自動車、航空機、エネルギー関連の大手ユーザーに対し売り込みを行います。
「新たなアジアビジネス戦略」ですが、タイについては今、さまざま国内事情もございますが、何といっても産業面でこれから中心となる地域であり、福井県からも多くの企業が既に立地しています。ベトナム、カンボジアなどの広域的な営業展開もにらみ、ここに福井銀行と共同で「ふくいバンコクビジネスサポートセンター」を今回設けます。
東アジア観光客誘致拡大事業(2,000万円)ですが、タイからのツアー誘致を強化すると同時に、周辺地域へのいろんな誘客促進の活動を行います。
それから、「ふるさと産業の新展開」です。
越前ものづくりの里プロジェクトは新規事業で、越前和紙や昨年、伝統的工芸品に指定された越前箪笥をはじめ、非常にコンパクトな地域に立派なものが丹南地域に集積していますし、若狭も同様です。そういうことで職人の育成や産地の魅力の向上を図りたいという、産地の活性化を総合的に推進するための事業です。
このほかに、越前陶芸村の古民家を活用した展示施設の整備、さらには、越前瓦の市場開拓のための支援などもあります。いずれにしても、すばらしいデザイン力を持った専門家にどんどん現場に入っていただいて、人材の育成を中心に伝統産業を盛り上げるという事業です。
次に、農業については、TPPなどさまざまな課題もありますが、これまで何年かにわたって「五月半ばの適期田植え」などを行って、福井県産米のランキングが上がってきましたが、より経営規模を広げ、また、品質を向上させなければならないと思っています。また、お米だけではいけませんので、いろいろな特産物の生産やいろんなバックアップが要るわけです。現在40haぐらいの営農組織の規模を100ha以上のメガファームにするとか、小さいものは20ha台のものを40ha台に拡大する、あるいは農地中間管理事業ということで、担い手農地の集積・集約、あるいは「秋の田起こし運動」、「福井発コシヒカリ」全国作付面積日本一30周年記念事業など、いろんなことをやりたいと思います。
「嶺南地域の大規模園芸支援」については、既に高浜町でミディトマトの事業が去年から進んでいますが、今回、通年出荷型の大規模園芸を進めており、3か所目となる施設整備の支援(1億2,000万円)で、実際は事業者の負担がこの中にさらに加わって2億円の事業です。
それから、「次世代大規模施設園芸整備事業」です。これは生産から加工、出荷まで一体的に行う次世代型の大規模施設園芸です。2ha規模のメガハウスや大規模な加工施設を併せて整備するもので、団地全体で新たに100名以上の新規雇用を産み出します。そして、大手スーパーへの直接販売などもやりますし、もちろん地元への販売も行うというものです。7億5,000万円ですが、これは事業費ベースでは12億5,000万円ぐらいの事業になると思います。
「獲って儲かる水産業」で、漁業については、魚が一度にたくさん獲れると値崩れする。また、一つ一つは美味いけれども、これだけではなかなか売れないということで、貯蔵したり加工することがずっと課題でしたが、今回、福井県一円の魚を加工や貯蔵ができる水産加工施設の整備を、県漁連が中心となって敦賀市に整備します。27年度から稼働しますので、これによって魚の値段の安定や漁業生産額の向上につなげたいと思います。また、学校給食にも提供する仕組みをつくりたいと思います。8億円ですが、事業者の負担などを入れますと12億2,000万円ぐらいの事業になります。
〔「幸福共感」、楽しむ福井の暮らし〕
4点目の「『幸福共感』、楽しむ福井の暮らし」は、幸福といいますか、希望に関係する分野です。女性や高齢者等々、いろいろあります。これについては、幸福度ランキング1位ということですが、今後さらに、女性や子供など福井の優れたファクターを高めていく必要があると思います。
まず、「女性がさらに輝く社会の推進」です。
ふくい女性活躍支援センターの強化については、再就職支援の充実、また、リーダー人材の育成を強化してまいります。
それから、働く女性のがん検診推進事業です。今、女性も男性も、がん検診率を少しでも上げようとしていますが、女性のがん検診が割合低いところもありますので、これを上げる応援をするのと、特に、土日祝日のがん検診を女性が受けられるようにしてまいります。
さらに、県立病院に陽子線がん治療センターがあります。目標に比べて利用者も増えていますが、女性のがん、特に乳がんについては、技術的に見ると、ピンポイントで治療する方法はまだ十分開発されていませんので、ワコールなどいろんな企業と連携をしながら、どういうやり方で治療ができるかということを今やっており、できるだけ早く福井で完成できるように、数年でできるようにやりたいと思っております。
それから、ゼロ歳とか1歳のころには、家でお母さんが育児をし、子供が3歳とか4歳になったら、元の職場にできるだけ復帰できるようにということで、既に、企業への応援や保育料の軽減等々をやっておりますが、今回、企業数の拡大や育児休業給付の上乗せをします。福井県の制度を基に国もいろんな制度をつくっておられますが、それにさらに、福井県としては上乗せして、お母さん方の経済負担がより少なくなるようにしたいという予算です。
「次の世代を育む結婚・子育て対策」です。今、地域のお母さんたちが結婚相談員として熱心に結婚の応援をして、増えています。今年は参加者73名で15組のカップルが成立していますが、こうしたことをやっておられる女性の活動をさらに応援しながら、結婚相談をやりたいということです。そこで、現在37名いる地域の縁結びさんを300人に増やして、縁結びさん同士の情報交換会の開催や電話代、交通費など、バックアップすると必ず成果が上がるという部分だと認識していますので、そういうことをしてまいります。
「高齢者の生きがいづくりと在宅ケアの推進」です。福井県は元気高齢者が多いわけですが、元気でいろんな社会貢献をしていくことが重要です。
在宅ケアは特に坂井地域において、模範となるシステムが数年かけてできましたので、他の地域にこれを広げる。拠点病院や開業医など、あらゆる種類の医療や福祉に携わる関係者がうまくコーディネートして動けるような事業の応援ということになります。
次に、「国体開催に向けたスポーツ振興」で、いよいよ開催まで5年を切りましたので、競技力向上費に約4億円。特に、カヌー、レスリング、セーリングの3種目について、専門指導者がいない強化校に対する特別コーチの派遣、また陸上、ソフトボール、自転車など、10種目に対し、新たに日本代表選手などの指導実績を持つ優秀なトレーナーを招いて、選手の体力、あるいは心理面のトレーニングを行う予算です。
ハード面では、福井運動公園整備事業(31億円)ですが、これはメイン会場である福井運動公園における体育館、陸上競技場の改修、水泳場の工事に着手します。国の経済対策の予算も受けながら、25年度の2月補正に一部前倒しを行うことにより、完成時期も早めてまいりたいと思います。
「原子力防災の充実強化」ですが、これは、今、原子力防災計画、避難等々いろいろやっていますが、複合災害の際に道路が寸断されることに備えて、臨時ヘリポートを27年度までに8か所整備するもので、これにより、自衛隊、海上保安庁等々、ヘリによる輸送等を可能にしたいと思います。さらに、より大規模な輸送など、今、自衛隊といろんな相談をしておりますが、そういう議論も並行的に進めてまいりたいと思います。
また、原子力防災センターの代替施設の整備事業(約8,000万円)ですが、これは、おおい町、高浜町、美浜町、敦賀市のいわゆる原子力防災センターがうまく機能しなくなった場合のバックアップセンターです。原子力発電所からかなり遠い、30km圏外で相応の規模ということで、生活学習館を選定し、非常用の発電機器や通信機器等を整備してまいります。
原子力防災における住民避難対策補助金(3億円)は、避難する際の伝達体制の整備、資機材の購入、受け入れ側の避難所のバリアフリー化などの事業です。
〔未来に希望の人づくり〕
最後は、5点目ですが、「未来に希望の人づくり」です。これは、未来なのか、希望なのかと、いろいろありますが、そういうような意味の教育ということになります。
まず、「世界に通じる英語教育・サイエンス教育」です。英語力の向上については、既に23年度から、高校生100名を海外語学研修等に出していますし、先生方にも行っていただいておりますが、何といっても、話したり聞くことが重要です。本県独自の英語教材の活用、特に職業系高校生向けのオリジナル教材の開発などを今、進めており、抜本的な英語授業の改善を進める時期です。特に、英語キャンプを見直し、「FUKUI英語ランド」として英語を公用語とする仮想空間を設けて、中高生を対象にALTや留学生とともに、朝から晩まで英語漬けの合宿を行うなどいろんなことを考えております。
福井テクノロジーアカデミー事業(700万円)ですが、これは日本を代表するものづくり企業の技術者や企業家、科学者などを招いて、県内の普通高校において講習会を開催します。併せて、高校1年生を対象に、一流エンジニアからその分野の特別講義を受けたり、大学やグローバル企業を訪問して講義や実習を行うというものです。
そのほか、小・中学校の学校規模の適正化を図るために、小学校3年生に35人学級を導入し、これまで進めてきた「元気福井っ子新笑顔プラン」と併せ、全国有数の少人数教育を行う。併せて、小規模学校の統合についても教育委員会で検討を進めることになっています。
「人や企業の誘致と次世代を担う人材育成」は、東京や大阪で働いているIT企業が、より良い職場環境を求めて地方への本社移転やサテライトオフィスの設置を行う事例が増えています。一方で、最先端のIT技術によって小型化、軽量化したウエアラブル、身に着けられるいろんなコンピュータ機器の開発が進んでいますので、こうしたことからIT企業と、伝統工芸等福井の産業と一体化して開発するための事務所開設の経費や通信回線の使用料への補助制度を設け、IT産業の集積や地場産業との融合を図ってまいります。これは400万円を上げてあります。
それから、越前ものづくりの里プロジェクトです。これは、丹南地域に伝統工芸が集積していますが、伝統工芸分野に携わりたい若者が技術を勉強する、デザインを勉強する、経営を学ぶことができる「伝統工芸職人塾」を開設します。2,100万円ですが、地元の市町と合わせますと約3,500万円の事業になります。先ほど伝統工芸のお話をした事業と重複しています。
園芸経営者誘致事業(1,400万円)ですが、これからはお米ももちろん必要ですが、園芸が大事かと思っております。誘致セミナーを東京や大阪で開き、就農を希望する人に対し、就農セットプランとして相談から研修、あるいは住む家の紹介、技術習得まで一貫した支援を強化します。26年度からは、国が行っている青年就農給付金に加え、県外出身の研修生に対し、研修中の奨励金(月5万円、借家経費相当)の創設を行う予定です。
それから、ふくい園芸大学校の研修事業(5,100万円)。あわら市にある園芸振興センターの機能を見直して、園芸研修に特化した「ふくい園芸大学校」とし、県内外から約20名の新規就農者を受け入れて、よりきめ細やかでレベルの高い就農支援を行います。
養殖業振興対策事業(3,000万円)は、養殖業へ就業を希望する里親研修制度を設けるわけです。フグとかタイの養殖の研修を受けながら、独立を目指す新規就業者に生簀などの設備を購入する経費を支援します。約3,000万円ですが、実際は地元の負担もありますから4,900万円ぐらいの事業の大きさになります。
併せて、ハタ類やトラウトサーモンなど、新たな魚種の養殖を始める意欲的な業者の支援、あるいは高い収益が見込まれる魚種の生産技術を開発し、養殖生産額を増やしていきたいと思います。ですから、水産については先ほどの県下全体の水産加工施設をつくって、魚価の安定、生産額の向上を図るとともに、養殖、そして、昨年からやっている定置網との組み合わせによって水産業の振興を図りたいと思います。
それから、「ふるさと文化・教育施設の整備」です。
ふるさと文学館は、県立図書館内に27年2月に開設します。約1年後になりますが、現在、整備工事を進めており、26年度予算は、展示のための工事費や展示資料の収集費です。
次に、青少年体験活動施設整備事業です。芦原青年の家を改修し、新しく28年10月から開所を予定しています。北潟湖畔にありますが、いよいよ実施設計を行い建設工事に着手するものです。実際、整備ができますと、小・中学生の野外体験や長期の集団宿泊などの体験の活動に用いられるものです。
この4月に坂井地区の総合産業高校として坂井高等学校が開校します。カリキュラムに合わせて、工業実習棟(テクノラボ)の新築などを行うものです。
以上が全体の予算の説明です。
なお、2月補正予算案については、国の補正に伴う経済対策として、公共事業141億円、国体に向けた運動公園の整備、放射線防護など原子力防災対策、基金の積み増しなどです。
以上です。
~質疑~
【記者】
北陸新幹線の金沢開業まであと1年に迫っていますが、金沢開業が福井県にとってどのような意味を持つものになるか、もしくは、金沢開業で福井の何がどう変わるか、知事ご自身はどのように思っておられますか。
【知事】
かなり理念的なご質問ですが、まず、北陸全体が便利になるということになると思います。しかし、福井まで来ているわけではないですから、極力差が出ないように。そのためには、福井県内への新幹線延伸を早く短縮しないといけないという政治的な課題がありますので、それを一方で努力しますが、それはそれとして、その間、福井県が全体には良くなるけれども、北陸全体での差ができないように努力しなければならないという予算になっています。そのために、例えば、JR金沢駅に石川県と一緒に観光案内所をつくるとか、さらには新幹線とは別の交通手段ですが、小松空港の役割が変化しますので、この際、福井県は小松空港を別途ターゲットにしながら、恐竜を設置したり、あるいはJAL、ANAの皆さんとより親密に議論をして、福井方面へのルートを開発したいと思います。
それから、観光など多くの予算を組んでいますが、それぞれの観光地の整備も進めています。これはなぜかというと、福井県のほんとうのよさを高めて、わかってほしいという予算であり、金沢まで新幹線が来ても、その先、いずれ整備がされる福井がおもしろいところだ、いいものがある、行ってみようよというような方向に、極力、力を注ぎ、皆さんにそんな気持ちになってほしいと思います。
福井県としては、新幹線もありますが、西のほうからは舞若道などの整備が進んできているわけですから、両側からいい影響を受けるようにしたいという気持ちです。
【記者】
この金沢開業は、敦賀の延伸にとってどんな意味を持つものにしていかなければならないか…。
【知事】
それは、金沢が早くなった、金沢まで来ないと敦賀まで来ないという構造になっておりますので、このことはいいことだと思います。
【記者】
さまざまな分野でハード整備が目立つ積極的な予算ではないかと思いますが、3期目の仕上げということもあるのでしょうが、ハードを拡充させたことに対する知事の思いをお聞かせください。
【知事】
今、新幹線のお話もありましたし、舞鶴若狭自動車道のお話もございましたが、福井県の優れた実力を発揮するためには、今まであるものに追加的な改善や投資を加えなければその魅力は上がりません。無駄をしてはいけませんが、恐竜関係で野外恐竜博物館、あるいは国体などについてはどうしても要るものがありますから、そういうこれまで頭の中で考えてきたものがより具体化するといいますか。新幹線そのものもそうです、新幹線建設が本格化してきているわけですので、そういうものが現実になったということだと思います、急に加えたというものではなくて。
観光などについては、多少それぞれの足元に物がないと話になりませんから、過去の歴史や文化を考えたら、こういうものをぜひ加えなければいけないだろうというものに投資しようということで、いずれも市や町、事業者と連携した事業になっていると思います。県だけで何か考えているということではなくて。
【記者】
長期財政収支見通しの数値が、県債残高、基金残高をクリアしているというお話ですが、現状の県の財政状態を、知事はどのようにご覧になっているのでしょうか。
【知事】
財政状況というのは、ABCDとありますと、絶えずAの中ぐらいに入っていないと具合が悪いかなと思います。Aの一番という必要はないわけで、それはその県のそれぞれの事情がありますし、いろんなものが重なると財政負担が重なりますから、AからBのほうへちょっと行ってしまうことがありますけれども、やはりその辺にいないと財政は健全になりませんから、まあまあ上位のところにいつもいてうまくいかないといけないというのが、財政運営の気の持ちようだと思っております。何番目というような話は難しいですが。
【記者】
Aの中にいるという…。
【知事】
Bになると、これはいけませんし。ただ、瞬間、動くことはありますが、将来どんなふうに動くかというのをいつも頭に入れてやりたいと思っています。
【記者】
知事は北陸新幹線の敦賀延伸を前倒しすることをおっしゃっておられたと思うのですが、今回の予算でそれを促すような措置はとっているのですか。
【知事】
特に地元の用地買収や新幹線が通る地域の振興のための予算を組んでいます。スムーズに用地を買収しなければなりませんし、九頭竜川橋りょうや新北陸トンネルの工事はしっかり組んでやらなければならないだろうし、また、これは新幹線の工事が始まって以来、福井県だけが初めて鉄道・運輸機構と協議体をつくりました。何が問題か、工事がどうだということを組織的にやっていくことによって、お互いの意思疎通を図り、齟齬がないようにしたいということです。
【記者】
新幹線の2月の与党PTでは、県の短縮案に対して国土交通省側は難しいという意見を言っていたようですが、今の政府の対応についてどう思っておられますか。また、今後の政治的努力というのは具体的にどういうことをしていくのか、政府・与党に期待することを教えていただけますか。
【知事】
我々はいろんな主張もし、異例のことであるけれども、我々だけで事務的に考えて、3年ぐらいは短縮できるようになると提案しました。新幹線のいろんな要望の歴史の中で初めてそういうことを地方から出しているわけですから、専門のお立場だったら、財源や技術でもっと早められるかどうかというのを検討してほしいわけです。我々のものが出発点というか、その範囲で何か考えるということではなくて、それをベースにもっと、なるほどというような案をつくってほしいと思って出しているわけであり、いかに政治的にできるかということで、特に国会議員の皆さんにご奮闘願いたいと、先日も、県議会の皆さんあるいは経済界等も強く申し入れたということです。ただ、だんだん声を上げる人の数が減ってきているのは事実ですから、そこは厳しい中ではありますが、進めてまいりたいと思います。
【記者】
観光振興に関連して、今回の予算編成の中で、恐竜の新キャラクターなど、かなり恐竜ブランドを前面に押し出した編成が目立ちますが、このあたりについての知事の予算編成にかけた思いをお聞かせいただきたい。
【知事】
恐竜は、今、パワーといいますかエネルギーを持っているブランドだと思いますので、これがどれだけエネルギーを持っているかというのを最大限発揮する局面であろうかと思います。併せて、恐竜だけではなくて、それぞれの地域の伝統産業や和食、あるいは福井県民の暮らし、年縞など、わりと専門的なところもありますけれども、実力を持った中身のものをうまくアピールし、知っていただきたいということで、扉を開くと言いましたが、そういう状態です。
【記者】
恐竜キャラクターの新年度の展開ですが、今後どのようにキャラクターを活用されていこうとお考えなのか、改めて具体的に説明していただきたい。
【知事】
恐竜の仲間が増えるとか、自分で動くようなやり方は可能です。私がどう動かすということでなく、恐竜のあのキャラたちが動き始めるように、そういうことかなと思います。僕らが前に出るのではなくて、ドラえもんが動くとか、ちびまる子ちゃんが走るとか、そういう話ではないでしょうか。
【記者】
例えば熊本県のくまモンのように、ああいう形でキャラクターがどんどんと先行するというイメージもあるかと思うのですが、福井県の場合は、あのキャラクターと福井県がどういうふうにこれから関係づけられて進めていくのか。
【知事】
あのキャラクターは福井県のブランドキャラクターですので、彼らが動くことが、福井県が動くようになるのではないかということでしょうか。そうするような方向でしょうか。勝手に動いてもらってもいいんです。あれは福井だということをお願いする。
【記者】
今回の予算は、人を福井県に呼び込む、定着させるとかいうようなものが目立ちますが、例えば入り込み客数など、この効果を図る指標などは、持っておられますか。
【知事】
かなり永遠の課題なところがあるのですが、この事業でどれぐらい増えるという割合、即物的な計算や効果の協議は可能だと思いますので、やらなければならないと思います。一方で、もうちょっとより深いそういうやり方は研究課題だと思いますので、予算の段階でも、いろいろそういうことをどうやってやろうかと、それは総合政策部を中心にその議論を深めていかなければいけないと思います。例の希望学などに深く関わってきますので、そう思います。ご指摘ありがとうございます。
【記者】
「若狭さとうみハイウェイ」は、非常にいい名称だと思いますが、いつ開業予定ですか。
【知事】
NEXCO中日本にお願いをしているのですが、まだちょっとわからない。ただ、一番問題となる笙の川の高架橋がつながりましたので、早くに発表できるとは思うのですけれども。というのは、大体わかると、観光業者の方など、いろんな人がそれによって商品をつくりますので、工夫をして、できるだけ早目に明らかになるように要請しておりますので、年度内にどれくらいこういう話が進むのか進まないのかというふうに思います。
【記者】
まだ、目処としても7月とか…。
【知事】
我々はそう思っているのですが、まだ申し上げられない状況です。
【記者】
新幹線の金沢開業で北陸全体がベースアップするという期待はあるのですけれども、一方で、金沢の知名度とか終着駅効果等で、金沢のひとり勝ちになってしまうという心配もあるかと思いますが、そのあたりの危機意識というのは、知事はどう思っていらっしゃいますか。
【知事】
いろいろ考えておりますが、なかなかそうはならないと思います。福井県もあり富山県もあり、北陸それぞれいろんなものがあり、立地条件もそれぞれにいいものを持っていると思いますので、よく言われるような感じには、私はならないようにしたいと思っています。
【記者】
恐竜などのブランドもあるので、福井まで足を伸ばしてもらって…。
【知事】
それぞれの地域で持ち味が違うでしょう。金沢も、金沢は何が持ち味であるのか、ああいう持ち味とまた福井とも違います。富山とも違いますよね。お見えになった方は、金沢だけで全てのものが完結できないではないかと思います。だから、違うものも見たい、あるいは体験したいということになると、少し地域も広がるし、福井の役割があるとも思います。また、あそこに行ってまた戻るというわけでもないでしょうから、こちらへ来るのか、違う交通手段を使うとか、いろんなことが考えられますから、やってみないとわからないところもありますけれども、そのやってみなければわからないところを、できるだけおもしろくしたいと思っています。
【記者】
核燃料税について、原子力の安全対策のために、今回初めて新年度予算でヘリポート整備事業などに充てられていますが、創設してから初めて、この時期に充当したことについて、知事の中での決断の理由と意味合いをお伺いしたい。
【政策幹】
23年11月に、税率を17%に上げたときに、2%は全県的な防災対策に使うということでした。ただ、その時点では、国の防災のあり方や原子力の関係がはっきりしていなかったので、少し先延ばしして基金に積ませていただいておりました。今回、ある程度方向性が出てきている中で、一部を使って、まずやれることをやるという構えにしていますので、今回で終わりということではなくて、今後また必要に応じて、その場合は使っていくというやり方を考えているところです。
【知事】
核燃料税は交付金と違い、福井県としての固有の財源ですので、これにこうだという、ひもがつくという話とも違うのです。総合的な需要によって、これくらいの核燃料税を創設したということですので、交付金的な対応はないのです。
【記者】
その自由度がある中で今回決められたというのは、再稼働とかそういったことに…。
【知事】
だから、そういうような結びつきのものではないのです。我々の固有の税であるということです。
【記者】
今回の予算でも電源三法交付金は増額になったりしていますが、一方で、嶺南振興について、原子力だけに頼らないような強いまちづくりをしていかなければいけないという思いは込められているのでしょうか。
【知事】
これは、以前からエネルギー源の多元化ということで、エネルギー源の研究については、LNGやバイオマスという議論をしておりますし、産業へのいろんな移転などの予算も組んでいます。嶺南地域の水産業や農業などがありますが、ある程度そういうエネルギー源を使いながら、新しい産業に動いていく、そういう状況かと思います。
―― 了 ――
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