知事記者会見の概要(平成26年6月16日(月))
平成26年6月16日(月曜日)
14:00~15:00
県庁 特別会議室
【知事】
今日は、発表事項が3項目ありますので、よろしくお願いします。
1つは、「舞鶴若狭自動車道全線開通を活かした交流促進・誘客拡大」です。
いよいよ7月20日午後3時に「若狭さとうみハイウェイ」が全線開通します。これについては、日本海側の高速道路体系、観光・産業、あるいは防災などに有効な道路になると思います。これによって、来客促進を図ることはもとより、県内での嶺南・嶺北の一体化にもつなげていく必要があります。
折りしも、嶺南地域はさまざま課題を抱えていますが、タイミング的には1つの大きな転換点になると思いますので、これを機にさまざまな記念行事等々を行います。既に予算などで幾つかの項目についてはご承知かと思いますが、個別具体に、7月に入ってからのお話を申し上げます。
〔資料:全線開通記念行事〕
1つは、ちょうど開通1週間前の7月13日(日)に、沿線各市町において全線開通記念のプレイベントを実行します。沿線住民の皆さんが三方五湖パーキングエリアと若狭上中インターチェンジの間(往復14km)、ハイウェイ上をサイクリングします。それから、敦賀市と小浜市、美浜町では、それぞれのまちの中のハイウェイで、ウォーキングイベントを開きます。開通後はサイクリングをしたり歩くことは、よほどの条件がないとできませんから、ぜひこの機会に、特に地元の皆様を中心にご参加を願いたいと思います。
それから、7月20日(日)午前9時30分から開通式典を開きます。県、国、沿線市町、中日本高速道路で構成する実行委員会で行うことになります。
式典の後、通り初めを行うことになりますが、開通後の人と物の流れを象徴する、あるいは、逆に、これまでいろいろと頑張ってこられた皆さん方がいらっしゃいますので、観光バスとかコンテナトレーラーなどの車両が三方五湖パーキングエリアから美浜インターチェンジまで約9kmを初めて通るというセレモニーを行います。
それから、7月から11月までの5か月間、嶺南地域全体で「海湖(うみ)と歴史の若狭路」キャンペーンを実施します。
〔資料:海湖と歴史の若狭路キャンペーンパンフ(表紙、裏表紙、イベント、夏、秋)〕
これまで嶺南の各市町や観光団体がそれぞれの行事などをやっておりますけれども、今回は、この期間、集中的にそれぞれのまちが独自で行っていたイベントを衣替えしたり、あるいは新しいイベントをつけ加えて、まち自体として、まず、頑張っていただきます。それから、それぞれのまちがやるときには、他の嶺南のまちがそれぞれのまちを応援して盛り上げていくというやり方をとります。
それから、さらに、福井県としては、横串を入れるといいましょうか、それぞれのまちを結びつける、寺院や仏閣を周遊するプロジェクトを設けたり、あるいは、例えば美浜町ですと、勝山の恐竜の骨格を持ち込んで、全体的な結びつきを強めるというような方法をとっていきたいと思います。そして、「若狭歴史民俗資料館」や「海浜自然センター」、あるいは「里山里海湖研究所」など、福井県として、施設およびその運営を行っているもののリニューアル、あるいは事業の充実を図って、市町の事業と一緒に盛り上げていくというやり方をとります。
その間、民間の皆さんについては、観光業者あるいは飲食店、レストランなどさまざまあると思いますが、いろいろな食などを提供したり、あるいはお土産などを新しくつくって売っていくということで、総合的に進めていくということになります。
特にスタートとなるオープニングイベントとして、「若狭路さとうみフェスティバル」を若狭町の縄文ロマンパークで開きます。
7月20日は、午前中の開通式典の後、午後からオープニングセレモニー、それから福井出身のタレント、高橋愛さんによる「ふるさとトークショー」を実施します。さらには、「ふるさと芸能ステージ」、ご当地グルメなどのコーナーを設けます。食べ物としては、今年から売り出す「夏の若狭ふぐ」の試食、それから縄文の丸木舟の体験など、さまざまなこともやりたいということです。
県としては「若狭歴史民俗資料館」をリニューアルし、7月18日(金)にオープンします。
〔資料:若狭歴史博物館チラシ、主な展示資料〕
これまでは「歴史民俗資料館」という名前でしたが、博物館の法律上の資格を明らかにして、「若狭歴史博物館」という名前にします。施設展示を一新して、常設展では、若狭では最も古い平安後期の大日如来像、若狭で最も古い時代の王の舞のお面、小浜藩伝来の全体の長さが3mを超える国内最長級火縄銃開などが初めて公開されます。それから、杉田玄白先生関連の『解体新書』『ターヘル・アナトミア』『形影夜話』などです。
そのほか展示予定の重要文化財としては、千手観音菩薩立像、観音菩薩立像、世界及日本図屏風、孔雀鎗金経箱などがあります。
なお、館内では案内カウンターを設置し、観光ガイド機能を強化するとともに、木簡パスポートを発行するなどしたいと思います。
また、リニューアル記念として、若狭の仏教絵画、若狭の金製品、絵巻など、三部構成による特別展を7月以降、9月、10月と、それぞれやります。
関連して、「近代化遺産周遊バス」を運行します。昭和37年に現在の北陸トンネルが開通して、昔のトンネルは廃線になりました。こうした敦賀-南越前町間の隧道(トンネル)が11か所残っていますし、信号場跡のスイッチバックなどが残っております。周辺には今庄宿、海岸のほうへ行きますと北前船の右近家、敦賀に入りますと金ヶ崎赤レンガ倉庫などがありますので、こういうものを巡るツアーを7月22日(火)以降10月まで、12回程度運行します。
〔資料:近代化遺産周遊バスツアー〕
地元のボランティアがガイドとして同乗し、当時の日本で最も難所だった旧国鉄のさまざまな遺産などを見ていただきます。当時の駅弁の掛け紙を使った「復刻弁当」を提供するなどします。
なお、7月からの運行に先立ち、6月29日(日)にはモニターツアーを実施する予定です。報道機関の方もまだお生まれになっていない方がほとんどだと思いますので、ぜひ昔の様子を見ていただければと思っております。
2つ目は、「恐竜ブランドを活用した夏の誘客対策」です。
7月19日(土)に「野外恐竜博物館」をオープンします。ちょうど夏休みに入るという時期です。子供たち、大人も可能ですが、恐竜発掘現場の近くで発掘を直接体験できます。
恐竜博物館からは、恐竜のラッピングをした専用バスを走らせて、乗っている間はナビゲーターによる案内とか恐竜の勉強をしてもらおうということです。
4月から団体予約の受け付けを開始しており、これまで順調に申込みをいただいています。
なお、7月19日のオープン初日の午前中は、地元の子供たちに来ていただいて恐竜発掘体験や現地でのセレモニーを行い、午後1時に最初の専用バスが野外恐竜博物館へ向けて出発をするということです。
それから、恐竜博物館では、7月11日から10月13日まで、「スペイン 奇跡の恐竜たち」という特別展を行います。全てスペインの国外では初めて公開される恐竜化石です。羽毛がついた跡が残っている全長6mの肉食恐竜コンカベナトールという恐竜やダチョウ型の恐竜ペレカニミムスなど、200点を超える実物化石を見ていただきます。
〔資料:特別展「スペイン 奇跡の恐竜たち」チラシ〕
夏休み期間中、子供たちに発掘体験や奥越のいろんな自然を楽しんでいただきたいということで、2泊3日、あるいは3泊4日の滞在型ツアーを進めます。
また、昨年、関西、中京地域から運行して好評でした恐竜博物館への直行バスを、舞若道開通を活かして、今年は新たに中国地方、広島県からも運行します。
これに関連して、大野市の和泉地区で別の化石発掘体験もできるようになっておりますので、関連をさせながら進めてまいりたいと考えております。
なお、こうした問題については、来年、北陸新幹線金沢開業ということでキャンペーンをやる必要があります。7月9日から7月22日まで、東京・上野駅で大型フラッグ広告を掲出するほか、越前和紙でつくられた恐竜あるいは翼竜の中央コンコース天井からのつり下げ展示、また、県内観光事業者による観光PRステージ、あるいは恐竜全身骨格展示などの出向宣伝を実行します。
〔資料:首都圏での誘客プロモーション〕
あわせて、上野駅と秋葉原駅の地元産品ショップにおいて「福井のもの」を開催し、水産加工品やお菓子、農産物等170アイテムの展示販売を行います。
さらに、野外恐竜博物館のオープンに合わせて、東京の「すみだ水族館」、関西では「京都水族館」、東急ハンズ梅田店と渋谷店において、恐竜全身骨格を展示して、恐竜のアピールをしてまいります。
3点目は、「国体・オリンピック用品の販路拡大」です。
〔資料:国体・オリンピック用品販路開拓の進め方〕
4年後の平成30年、福井国体開催ということで今さまざまな準備をしております。これはいろいろな魅力ある品物を地元で使うとか売るという問題と関連するのですが、先月5月28日に副知事をトップとして、県下各市町の代表者とともに「県・市町国体準備推進会議」を開き、どんな方向でやっていくかということを決めたわけですが、今度は6月30日(月)、「国体商品等開発推進会議」を開きます。公共団体としては方針を統一しましたので、それに基づいていろんな団体や民間の人たちがどのような品物を売っていくか、また、公共的な契約について受注をどうするかという協議組織です。全国で国体が毎年行われるわけですが、こうしたやり方をするのは福井県が初めてです。
また、この会議に先立ち、今日16日から、「国体・オリンピック用品販路拡大ネットワーク」をつくり、参加者の募集を行います。商品を売り込みたいとか受注をしたいという皆さんの募集をすることになります。参加企業からは、福井県をイメージする商品、PRできる商品など、いろんな商品情報を提供していただき、これは国体も含めてオリンピック組織委員会などへの商品提案やスポーツ用品メーカーとの意見交換、商談会に活かしたいと思っています。
〔資料:ネットワーク参加企業募集チラシ、参加申込書、募集要項〕
以上3点、私のほうからご説明でございます。
【記者】
舞若道の全線開通で嶺南と嶺北の一体化を進めることになるというお話がありました。単に物理的な距離という意味だけではなく、社会的、文化的にもやはり壁があると思いますが、舞若道の開通によってどの程度、嶺南と嶺北の一体化が進むとお考えでしょうか。また、その一体化の進め方の課題はあるとお考えでしょうか。
【知事】
今回の舞若道の開通により、文字どおり、越前・若狭、嶺南・嶺北が、全国の高速道路網の1つとして結ばれて、しかもループ状に展開が可能である。間もなく京都縦貫自動車道も開通しますので二重の輪になるということです。
若狭地域、嶺南地域は関西に近いということでしたが、これは、若狭の皆さんが関西に行きやすいという近さだけであって、関西の人たちが、嶺南・若狭地域のいろんな観光や、そこを通ってさらに嶺北に行くとか、あるいは北陸へ行く、逆に北陸の他の2県あるいは中京等々行くようなルートがこれまでなかったわけですので、これによって大いに交流が深まるかなと思います。
もちろん我々がいろんな工夫をしなければなりませんし、従来型の来てくださいと言うだけではいけませんから、相当、営業行為が必要です。観光営業部というのもそういう意味で数年前につくったわけですから、相当粘り強く福井のことをまず知っていただく。知っていただくことによって、来ていただくと同時にまた宣伝もするといいますか。来てくださいと言う前に、福井ではこんなことをしているんだとまず知っていただく、そういうことを粘り強くやろうということで、みんな気持ちを合わせているという状況です。
【記者】
知事は、恐竜を活かした体験型・滞在型の観光客の誘致ということを以前からおっしゃってきましたが、いよいよ野外恐竜博物館のオープンが夏に迫ってきて、改めて期待するところをお伺いしたい。
【知事】
恐竜博物館については、全国の公共的な博物館の中では一、二を争う誘客といいますか、10年近くで入館者数客が20万人から70万人に増えているわけですから、非常に成績の良い魅力的な博物館だと思います。ですから、今回、従来の恐竜博物館の展示施設だけではなくて、新しく野外の現場で本式の体験ができることを加えたわけですが、非常に有意義だと思っています。
ただ、これは、勝山市、大野市も含めて奥越全体で子供たちがもっと長くいろいろ勉強してもらったり、大人も一緒に来ていただくという方向に展開する1つのスタート台になるわけですので、なおこれからの工夫が要ります。「ダイノソーバレー構想」といいますか、恐竜渓谷構想の本格的なスタートということになるのではないかと思います。
【記者】
嶺南と嶺北を一体化する中で、物理的に近くなりますが、文化的、精神的にもっと近づけていくための課題は何でしょうか。
【知事】
今回の開通で30分とか40分とかかなりの時間短縮になりますので、特に嶺北の方が嶺南地域にほとんど行っていないということはかなり解消されると思います。ただ、それだけではまだ不足かもしれませんから、先ほど申し上げたようないろんなキャンペーンなどをやって、こういう地域なのだと知っていただくことによって、もっと行き来ができると思います。特に子供たちの遠足やいろんな体験旅行について学校や幼稚園などとも協力し、両方が行き来する。もちろん嶺南の皆さんも福井とか敦賀とか、いろんなところへ行かれますが、そんなに割合は多くありませんので、増える可能性がかなりあると思います。
【記者】
先週、コウノトリのヒナが半世紀ぶりに県内で誕生しましたが、改めて知事の受けとめをお願いします。
【知事】
これまでいろんな皆さんの努力によって、ようやくここまでこぎつけたわけで、兵庫県の皆さんの数年にわたるバックアップがあり、実際、地元の方や獣医師さんなど、いろいろお手伝いの人がいらっしゃいますけれども、かなり神経を使ってやっておられたことですので、そういう成果が実って、大変ありがたく、お礼を申し上げたいと思いますし、よかったなと思っているところです。
一方で、誕生した直後というのは、育てる場合のリスクも非常に高いようです。ここ1、2週間、そして巣立つまで2か月ぐらいの間はいろんな厳しい状況があるかもしれませんので、みんなで力を合わせて元気に育ってほしいと思います。
ちょうど昨日、現場には近づけませんが、遠隔で監視している公民館で、ヒナの様子や餌をあげている様子などを見て、現場を激励してきましたけれども、天候にも影響されると思いますが、静かな環境で、ぜひうまく育ってほしいなと思っています。
【記者】
知事ご自身は、ヒナの様子はご覧になりましたか。
【知事】
画面で。
【記者】
どのように感じられましたか。
【知事】
かなり巣を高くしてありますので、ヒナの頭が動くと、きゅっきゅっと顔が見えるわけです。今日はおそらく3羽の顔が上がったり下がったりしているか、ずっと見えるのではないかと思います。そこで、お母さんかお父さんかわかりませんが、羽を広げて、日が当たらないようにしながら、甲斐甲斐しく世話をしているということで、やはり子育てのシンボルのコウノトリだなという感じがして、鳥に頑張れというのも変ですけれども、ちゃんとやってほしいなと思います。
【記者】
先日、原子力規制委員会の委員の国会同意人事案が承認されて、これまで事業者に厳しい態度で臨んでいた島崎委員が退任し、原子力学会の会長も務め、原子力界との関わりが深いとも言われる田中委員が新しく委員として承認をされましたが、この人事について、知事ご自身はどのように受けとめていますか。また、今後の審査を含めて、期待をするところをお聞かせください。
【知事】
原子力規制委員会について、かねがね申し上げておりますが、法律に基づいて、どういうミッションがあり、その運用に当たってはどういう事柄について注意し、配慮しながら進めるかというのは、もうこれは繰り返しませんけれども、あるわけですので、それに従ってぜひやってほしいわけです。
これまで、ともすると、時間的な感覚が必ずしも明瞭かつフィックスされていないところがありますし、合議制であるはずなのですが、組織的な機能が十分発揮できないということが見られますから、ぜひとも自らを律されて、いつまでに何をどういうことをするのかということを、事業者にも、また自治体側にも言って、これをクリアしていく、これが国民の信頼につながりますから、メンバーの方がお代わりになるということですから、ぜひともそういう基本に立ってやっていただきたいと思います。
【記者】
田中委員は、これまで電力事業者とのコミュニケーションが不足していた部分があって、それは深めていきたいというような趣旨のことをおっしゃっているようですが、その点に関してはいかがでしょうか。
【知事】
電力事業者というのは、規制委員会に対して事業者としてのいろんな書類あるいは技術的な準備をして説明をし、そしてクリアしていくということでしょうから、そういう企業に対する対応をしっかりされるということが大事だと思います。特別の人たちに何かしているわけではありませんから。お互い、企業であり、国民であり、日本の原子力をどう安全に持っていくかということですので、そういう精神でやってほしいと思います。
【記者】
経済産業大臣が先日、エネルギー基本計画の具体化に向けて総合資源エネルギー調査会を始めると発表して、その原子力小委員会に知事も委員として入られていますが、知事として、この小委員会の中でどういうような考え、態度で臨まれるか教えてください。
【知事】
前回、エネルギー基本計画をつくりました委員会は、基本的な方向を明らかにしたわけですが、なお先送りされているといいますか、まだ結論なり方向づけが出ていない項目がありますので、国として早急に対応することを主張してまいりたいと思います。
例えば、エネルギーのベストミックスが決まっていないですね。これは他の小委員会で自然再生エネルギーあるいは新エネルギーの議論がある程度進まなければ、原子力とのバランスもないかもしれませんが、それを早く進めて道筋を明らかにしてほしいということです。これが1つ。
それから、廃炉とか新型炉の転換の問題です。これについてなおはっきりした方針がないわけで、これは中間貯蔵の問題も含めて、具体的な協議会もつくらなければなりませんし、そういう方針の明瞭化です。
3つ目は、今、廃炉というと、福島型の廃炉の対応の問題もありますが、より世界的に言いますと、福井県などでこれから直面していくことになる健全な炉の廃炉、そしてさまざまな利用の問題、これは福井、日本全体、世界的に必要な分野であり、まさに日本が先頭を走らなければならない分野でしょうから、そういうための技術研究や人材育成、また、状況が変わりますからその間の地域振興、こういうことについての方向づけをぜひとも進めるべきではないかと思います。
その進めるべき背景といいましょうか、心構えとして、基本計画をつくられた段階では計画はつくりましたが、政府、国が、この問題について、特に原子力の問題について、しっかり腹を決めて腰を入れてやるといいましょうか、そういうところがなおなお見えないところがあります。そこをやらないと、地元の原子力の安全にも差し支えますから、そこは全体の環境問題としては強くこの委員会でも申し上げなければなりませんが、一方、委員会の外でも必要な働きかけをしてまいりたいと思います。
【記者】
昨日の自民党の政経文化セミナーに知事も来賓として挨拶をされましたが、その中で、「私も3期4年目に入りました。皆様のご支持を得ながら、全力で日々取り組んでいくつもりでございます。自由民主党のご支持とともに、引き続き、温かいご叱咤を賜ればありがたく存じます」という挨拶をされていますが、これは、来春の統一地方選に向けた示唆というか、意欲を示すご挨拶であったのかどうか教えてください。
【知事】
一般的な、ああいう会の場で申し上げるご挨拶です。
【記者】
先月、大飯原発3、4号機の運転差止め判決が出て、今後、2審が始まりますが、関西電力と国は、裁判が続いていた場合でも、適合審査が終わった場合は、裁判にとらわれずに再稼働するという方針を示していますけれども、福井県はいかがでしょうか。
【知事】
裁判は裁判として議論していただかなければなりませんし、また、裁判の経過の中でいろんな議論があるいは出るかもしれません。出ないかもしれませんが、今の段階でははっきりわかりません。
いずれにしても、我々としては、まだ規制委員会がこの問題の具体的な結論を出していませんから、それを早急にしっかりやっていただいて、それに基づいて我々地元として、県民の安全を第一に判断をするということになると思います。
判決については、控訴審というのがありますから、それはその司法の場で、民事案件として、もちろん原子力の安全に影響がないわけではないとは思いますけれども、そういう議論を進めて、されるということになると思います。
【記者】
2審の係争中に適合審査が終わって、国は係争中であってもそれにはとらわれないという方針ですから、それで、関西電力と国が動かしたいと福井県に同意を求めた場合、裁判というのが同意のための要因になるのか、それとも、それに関してはまた別で分けて考えられるのか、どちらでしょうか。
【知事】
法理論というのでしょうか、直接、両方の問題が理論上、当然に関係するものではないと思います。いずれにしても、その段階で全体を見て判断するということになると思います。
【記者】
拉致問題について、先日、コメントもいただいていますが、改めて期待することを伺います。また、県として実務的に何か対応等々は検討されているでしょうか。
【知事】
拉致問題について、政府でさまざまお進め願っていることについては、先日、コメントを出させていただきましたし、一方で、民間団体からもさまざま努力されて情報も出ているようですが、いずれにしても、福井県にも戻っていただきたい特定失踪者の方がいらっしゃいますので、あらゆる機会をとらえて必要な要請もし、努力もしたいというのが今の我々の態度です。
【記者】
直ちに今どうこうというわけではなくて、そのための体制…。
【知事】
これから各省庁へのさまざまな要請のタイミングがありますので、そういう中でこの問題について申し上げたいと思いますし、その他の機会にも必要なことをしたいと思います。
【記者】
新幹線について、先日、麻生財務大臣にお会いされて、大臣が前向きな姿勢を示されたということですが、具体的にどんなことをおっしゃっていたのですか。
【知事】
早くすれば早くするだけ新幹線としての効果が経済的にも発現するわけだから、可能な限り早くするのは必要だろうということはおっしゃいました。
それから、リニアとかいろんな動きもありますが、こちらのほうが先行しているプロジェクトですから、それが遅れるということがあってはいけないという認識を示しておられたと思います。
それから、通常ですといろいろ問題点を指摘されるような印象を持っていましたが、今回はそういうことがないので、ご理解をしていただいているのだなという印象を受けました。
【記者】
3年前倒しした場合、フリーゲージトレインの開発が開業に間に合わなくなるというJRからの説明があり、必要ないのではないかという声も上がっているようですが、改めてフリーゲージのお考えを。
【知事】
新幹線が早くできるというのが優先課題で、フリーゲージが遅れるから新幹線が遅くなってもいいということではないということは、まずしっかり押さえておかなければいけないと思います。
フリーゲージはフリーゲージとして、これから3年なら3年、あるいはそれ以上になるか、ならないかとありますが、年末までに決められた段階でまたJRのいろんな状況をよくお聞きして、必要な対応をするということになると思います。
【記者】
今までと考え方は変わられていないと考えてよろしいでしょうか。
【知事】
今すぐどうだというわけではありません。先日、プロジェクトチームで長崎県に対してJR九州がご説明しておられましたが、あそこでもかなり時間がかかるようです。つまり、雪もあまり降らないし、交通量も少ないし、車両的にも長崎新幹線は4両ぐらいで、北陸新幹線だと12両ぐらいと全然条件が違いますが、その4両レベルのところでいろんな時間がかかるだろうという議論ですので、これからいろんな技術的なことを十分聞いた上で、いろんな相談をするということになると思いますね。
【記者】
コウノトリの孵化に当たって托卵という手段を選択されましたが、改めてその考え方と、これからの展望や期待を伺えたらと思います。
【知事】
有精卵を4年目以降ずっと待つという考えももちろんありますし、来年以降どんなふうに展開するかというのもありますけれども、やはり一昨年からのいろんな経緯を見ますと、せっかく兵庫県が、そんなに有精卵がたくさんあるわけではなくて、協力をしようということですし、コウノトリだって有精卵か無精卵かわかっているわけではないと思いますから、できるだけその気持ちに合ったほうがいいのかなということで、できるだけ早く白山地区の自然になじむといいますか、そこをふるさととするようなコウノトリが飛び立ったほうが、コウノトリにもいいし、地元の期待にも添うのかなということで、みんなで考えてそういう対応をしたということです。
またそのこと自体が、これからコウノトリが、福井のみならずいろんなところで育っていく1つの実地体験になるのかなと思ったということです。
【記者】
ヒナが誕生して、今後の期待とか展望は。
【知事】
まず育たないといけないですね。ここ1週間、かなりよく注意しないといけませんし、あと2か月ですね。人間と同じだと思います。肥立ちというのが大事ですから、昨日の様子でも、技術者の人たちも神経をすり減らしてやっているように見えましたので、そこをまずしっかりやった上でいろんなことを考えていくと。
【記者】
2か月後に巣立つということで、その後、飼育するために、新たな飼育ゲージなどの施設をつくらなければいけないということもあるようですが、そういった方針については、どうお考えでしょうか。
【知事】
それは、今申し上げました新しい体験ですので、鳥の気持ちに合うようにしないといけないということでしょうね。鳥だけの気持ちだけではないのでしょうが、人間の気持ちもありますけれども、まずはちゃんと育って、この辺りで飛び交うといいましょうか、ここが自分の古巣である、ふるさとだという、そういう鳥にしないといけないですから、そのために何をするかということになると思います。具体的に何をどうして、どうやるのかというのは、そんなにまだ十分わかっていませんから、これから兵庫県のいろんな経験も教えてもらってやるということだと思います。
【記者】
原子力の関係で、再稼働の同意の話ですが、この夏にも川内原発の適合審査が終わって、同意の際に、大臣のメッセージや国民への説明を求められている首長もいらっしゃったり、あるいは粛々と淡々と、セレモニー化するのを批判されている方もいらっしゃいます。高浜原発が第2グループに入っていますけれども、福井県としてはどういうセレモニーを求めるのか、あるいは求めないのか、どういう手続きがしかるべきなのかという部分について、知事のお考えを伺いたいのがまず1つ。
2点目が、廃炉対策の交付金について、具体的に期間や額のイメージがありましたらお聞きしたい。
3点目が、美浜町は一時期、中間貯蔵を誘致したいと話をされていましたが、県議会等々でも表明されていると思いますけれども、改めて知事のお考えを伺いたい。
【知事】
再稼働に関連して、福井県が一昨年、大飯3、4号機で行ったいろいろなやり方というのは、他の県もモデルにするということはあると思いますけれども、それぞれの条件が異なりますから、どんなやり方で県民の納得というか理解が得られ、また、国としての責任の表明といいますか、そういうものがなされるかというのがポイントだと思います。ですから、セレモニーとおっしゃいましたが、セレモニーではないのです。全くセレモニーとか手続きではなくて、実際、実態。安全そのものに関係しますので、そういうのをどんなふうにやっていくかということで、一概には言えませんし、これから具体的に審査をし、どうするかということになりますので、そういう中で、我々としても、市町と相談しながら、また、国に対してもいろんなことを申し上げる中で決まってくるものだと思います。
それから、中間貯蔵ですが、これについては、電力を消費している地域が責任を負うべきものであろうと我々が思っていることについては全く変わっておりませんし、美浜町も同じかなと思います。
【記者】
廃炉交付金について、例えば期間的にいつまでに求めるのかという部分、額的な部分とか、なかなかまだ…。
【政策幹】
法律では特にどこまでということではないと思いますが、我々としては、今、止まっているけれども、動いているときと同じような適用がなされていますので、それをきちんとやってほしいということと、廃炉になって、きちんと元に戻してもらうまでは、きちんとした考え方で国に責任をとっていただくシステムを入れないといけないという考え方だけで、いつまでとか幾らとか、そういうことではないと思います。
【杉本副知事】
今までの原子力の問題というのは、いろいろな交付金はありますが、誘致する、誘致を促すとか、もしくは、動いていること、動かすことについての地元の了解を得るとか、そういうような関係の交付金までは今まで検討されているのですけれども、国の制度として、その後、これからなくなっていくというときに、どういうふうに原発の立地地域の、例えば経済的な転換を図るのか。ちょうど石炭などがなくなったときの特措法がありますけれども、そういった意味で、循環の最後の出口のところが、まだ国の制度としてないことについて、我々は、国に対して、そういうことを考える必要があるでしょうということを提言しているわけで、何かこれだけお金が要るからこれだけくれとかいう趣旨で言っているわけではありません。まずは国のほうでも、我々が言っている、国のほうの制度で欠けているものをどう考えるかということをお示しいただく必要があると思っています。
【記者】
来月7月18日で福井豪雨から10年になります。先日、足羽川ダムの着工式などもありましたが、10年を迎えるに当たって、教訓を活かして今後の災害に強いまちづくりをどのように進めていきたいかという今のお考えをお聞かせ願えますか。
【知事】
先日の足羽川ダムの付け替え道路の着工式の際にも、福井豪雨を経験された人の体験談と、ダムへの期待のお話をしていただきましたが、ダムは一方で着実に進める、できるだけ早く整備するということでありますけれども、そのほか、これからそれぞれの河川について、もちろん堤防の強化、あるいは、いざというときの避難だとか、情報はどうだということはありますけれども、河川の浚渫が十分行き渡っていない部分が多くて、これによってかなり解決できる部分もあると思います。
ただ、この事柄については、国の制度がそんなに充実しているわけではないのです。かつ、技術的にも、浚渫すると土砂が取れますが、その土砂をうまく工事に利用すると、浚渫のコストも下がってくるわけです。大体、木屑とかそういうものが混じっているので、使いにくいと。土木技術というか、こういうものを国土交通省と一緒にぜひやるべきだということで、先日、太田国土交通大臣に、「命と生活(くらし)を守る新国土づくり研究会」という全国の知事の集まりがありますので、岐阜県知事などと一緒にその要請をして、これから、浚渫とかそういう新しい技術を進めていくというのが重要だと思います。そうすると、山をあまり崩さなくてもいいとか、そういう話になると思うのです。ダムだけで物事を解決することも割合としては少なくなると思います。
── 了 ──
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