知事記者会見の概要(平成26年7月24日(木))

最終更新日 2014年7月25日ページID 027362

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平成26年7月24日(木曜日)
10:30~11:40
県庁 特別会議室

 
知事記者会見写真(7月)
  

 

【知事】

 今日は7月の定例記者会見ということで、私からは5点、発表いたします。

 1つは人口減に対する対策、2つ目は国体に向けた準備、里山に関するフォーラムの開催、由利公正に関する企画展の開催、それから、県道福井今立線戸口トンネルの開通について発表します。

 

 はじめに、先週末、7月20日に舞鶴若狭自動車道が全線開通し、嶺南地域と嶺北地域が一本の高速道路でつながりました。午後3時からの開通でしたが、どのインターチェンジでも列をつくって、通行しようという皆さんの様子が見えて、大きな期待を感じました。

 開通式典のときには、ほんの数km走っただけでしたが、感じたことは、速く走れるというのは当然ですが、これまで全然走ったことのない高速道路のルートですので、全く視点、角度が違うということと、走っている位置が非常に高いですね。敦賀あたりでは70mという高い場所もあると思いますが、三方五湖や日本海、集落、市街地も高いところから見えるということで、気持ちもいいですし、観光的にもすばらしいハイウェイではないかと実感しました。車のナンバーからは、大体、県内・県外が半数ずつのような感じですが、これから我々福井県はもとより、関係県とも連携をとりながら、できるだけ多くの人たちが「若狭さとうみハイウェイ」を走っていただけるように努めてまいりたいと思います。

 なお、開通に合わせて三方五湖の縄文ロマンパークで開いた「若狭路さとうみフェスティバル」では1万2千人の方に楽しんでいただきました。

 また、2日前の18日(金)にリニューアルオープンした「若狭歴史博物館」では、3連休中に、昨年の約6倍の約2千名の来館があり、これからも多くの人に見ていただきたいと思います。

 一方、嶺北地方では、19日(土)に「野外恐竜博物館」がオープンして、連休中、ほぼ定員いっぱいの約1千人の子供たちなどに利用していただいています。こうした野外恐竜博物館の開館が追い風となり、恐竜博物館の入館者も、この3連休全体で2万人を超え、例年以上の観光客を迎えました。

 

 前置きはそのあたりにして、人口減対策の話を申し上げます。

 本格的な人口減少社会については、これまでもさまざまな人たちが、また、我々もさまざまな場所で、そのつもりで仕事を進めてきましたが、かなり具体的ないろんな調査統計なり、あるいは警告というも出ていたり、国の骨太の方針にも初めて将来人口目標が設定されるなど、人口という1つの観念というのか、人口は統計ですが、あたかも我々に何かを語るという、あるいは強要する、強制するというような面もあり、あるいは、夢も与えてくれるのかもしれませんが、1つの人口というものが動き始めたということです。

 先週の全国知事会議でも、「少子化非常事態宣言」が採択をされて、日本全体の喫緊の課題になっているわけです。

 人口減少についてはさまざまな原因があると思います。社会的な要因もあると思いますが、しかし、すぐに気がつくことが1つあり、出生率の低い大都市、特に東京にいろいろなものが集まっていることによって、むしろ出生率の高い地方、田舎に人があまりいないという、大きな日本の矛盾、これは世界的にも特異な現象だと思います。この問題を解決するのが、その大きな問題への近づき方であろうと思います。

〔資料:人口減対策

 配付資料1を参考にご覧願いたいと思います。今、東京に20代、30代の若い女性が185万人いらっしゃるようですが、仮に、そのうちの半分が、福井県のような出生率の高い地方で働いていると仮定したのが1頁の左側です。福井(b)というのは、福井に90万人が来るという意味ではありませんが、そういう例を計算し、移住するだけで出生率数は24%増加するということで、非常にわかりやすい形で、地方でみんなが働いたり生活ができると、大分、日本の姿も変わるのではないかということです。

 東京では結婚、出産を機に仕事をやめる女性が多いわけですし、また、独身の方が意外と多いわけです。1頁の右側のいわゆるM字カーブと言われるものです。青いM字カーブは福井県で、オレンジは東京のM字カーブですが、東京のM字カーブは下にぐっと、福井に比べて下がっている。かつ、一番低いピーク、最も労働力の低いところが、福井で30歳からちょっと過ぎたころで77.7ですが、東京の場合は、さらに5歳ぐらい右に移動して67.9です。結婚が遅くて、職場を離れるタイミングも遅いという状況ですので、やはり東京での仕事と子育ての両立は地域的に厳しい問題がある。もちろん東京でいろんな問題を解決するという手もありますが、かなり難しいようですので、地方で暮らすというのが重要だと思います。外国であれば、大体そういう極端なことは起こっていませんから、地方でずっと住むということです。

 先日の全国知事会議でも申し上げましたが、2ページをご覧ください。先進的モデル地域の重点支援ということが書いてありますが、これは、全国47都道府県の女性の就業率と合計特殊出生率をグラフに落としたものですが、第1象限がいろんな意味で望ましいと言われる方向かと思いますし、第1象限をできるだけ右上にシフトして、ほかの象限も段々そっちへ行くというのが1つの方向ですね。いろんな考え方がありますが。福井県は、その三角形の外にさらに出ているわけで、両立型のモデルだと思います。いろんな制度も先駆けて行っておりますし、国もそういう制度を国の制度として全国に適用していく。だから、福井はさらに上乗せをする、そのように思います。東京は第4象限、右下の状況であり、独身者が多いからある程度就業はしているのですが、出生率が低いという状況です。第2象限でぐっと上に行っているのは、沖縄でないかと思います。第3象限でずっと左側に行っているのは、どこかベッドタウンの多い県ですが、こういうばらつきがあるということです。

 そこで、以前にもよく似たことを申し上げているのですが、全国知事会議の際にも「ふるさと企業減税」を提案しています。これは、今回、法人税の減税が大きな課題になっていて、この秋以降、具体的な議論になると思いますが、法人税の減税を行う際に、今35%の法人実効税率を一律に全国、例えば6%下げて20%台にするということなのでしょうが、一律にやらないで、東京は例えば3%ぐらい。それから、地方はさらにプラス5%減にすることによって減税は確保されますし、地方に企業がシフトするインセンティブが働く、そして人もそちらに動くのではないかという提案をしているわけです。これによって、東京はフランスやドイツ並みの実効税率になりますし、地方は中国や韓国並みの25%という実効税率に近くなるということです。こういう方法をとってはどうかということを提案しています。今まさにチャンスであり、これは何でもないときにはできません。みんなが、どの企業も減税の恩恵を受けるというときに可能であると思いますし、それから、今まさに人口の問題が国家的な大課題になっているというのも環境としてはよろしいですし、オリンピックとかいろんなことがあると、全体に日本の首都として東京のことも考えるけれども、地方のこともいろいろ考えなければならないだろうという立場といいますか、お互いに理解ができるような絶好の機会だと思っているということです。

 日本創成会議の増田座長にもそういうことを申し上げて、こういうことは1つのいい案ではないかという考えもしておられますし、菅内閣官房長官にもお示しをし、前向きな意見もいただいているわけで、これは税金の話ですから、なかなか難しい問題はあると思いますが、ぜひ実行できればいいと思います。

 今後の展開ですが、政府は、地方の人口減少対策を本格的に進めるために、安倍総理大臣が本部長となる「まち・ひと・しごと創生本部」を設置し、年明けには長期ビジョン、総合戦略を策定すると表明しています。来年度の予算においては、農業、医療などの成長分野、人口減少対策など地方への4兆円の重点配分など、さまざまなことを考えていますが、国がこうした人口問題に本腰を入れ始めたように見えるこの時期に、ふるさと知事13県ネットワークなども通じて、こういうことが実現できるようにやらせていただきたいと思います。

 なお、本県独自に、副知事をトップに庁内に実務的な対策検討チームを設けています。そして、希望学で5年近く福井県のことをよくリサーチしていただいている東京大学の玄田先生を中心とした希望学グループに、県外に進学したり、東京で就職している本県女性を中心に、単なるアンケートではなくて、詳しいインタビューなども加えて、何がこれからそのほかの鍵になるのかというようなことをやりたいと思います。

 人口減少問題は、あらゆる政策分野の全ての具体的な手段に関わりますので、さらに、来月8月1日からは、庁内に部局横断的な検討組織である「人口減少対策推進本部」を設けて、副知事をトップに、各部の次長クラス、課長クラスをメンバーにして、具体的な政策に落とし込んでいきたいと考えます。

 県内の各市町、それから経済団体、農業団体等において、人口減少問題をまさに自らの市や町、あるいは団体・業種の問題として、主体的に行動しながら考えることが重要であると考えますので、今後、市町と意見交換をしながら、それぞれの市町や団体がいろんなことを考えられるように進めていくということが重要だと思います。みんなで集まるというのも大事ですが、その前にみんなで独立して考えていくというやり方がいいかなと思います。各市町長さんたちもそのお気持ちをお持ちのようですし、これから各市町長とお話しする機会がありますので、そんな議論も含めてやりたいと思っております。

 7月31日には三重県で13県のふるさと知事ネットワークがありますので、こういったものにも取り上げて、まとめてまいります。

 

 次に、2つ目のテーマですが、「福井しあわせ元気国体」に向けた準備です。

 競技力の向上に関することですが、平成30年の「福井しあわせ元気国体」に向けて、福井国体に出場を目指すスポーツ選手を、県内にUターン、Iターンで戻っていただき、県内企業で就職できるよう支援するシステム「スポジョブふくい」を本日開設しますので、お知らせします。

〔資料:スポジョブふくい

 福井国体の選手団は、通常の国体の倍を超える約900名を想定しており、特に成年の選手については、県外からのU・Iターンにより、有望選手を今後4年間で200名程度の参画を願いたいと思っておりますが、人口減少の問題は先ほど申し上げたように都会に行っている方も多いわけです。福井国体を機会に若い選手に福井に戻っていただいて、企業などで能力を発揮し、働きながら活躍していくことが大切だと思います。

 この「スポジョブふくい」については、競技力向上対策本部を5月27日に開いており、ここで既に了解を得て準備を進めてきたわけです。これは県が行っている「ふるさと帰住政策」の一環として、スポーツ分野でこうしたサイトなどを開きながら具体的なさまざまな連携をして、企業とのまとめ役を担うものです。本県に就職を希望するスポーツ選手のこれまでの競技歴、年齢、希望する勤務地などの情報をホームページで広く公開し、企業に知っていただきながら、一方で、県職員が企業を草の根的に訪問しながら、選手と企業のマッチングというか、掘り下げをしていきたい。

 国体選手の確保策として、専用のホームページを開設し、選手情報を公開するのは、全国で初めての試みになるのではないかということであります。

 この「スポジョブふくい」に直ちにサイトに載りたいと希望される人は、現在、35名の選手がいらっしゃいますが、徐々に増やしていく必要があると思います。

 この問題は、8月4日に開く国体準備委員会総会でご報告するほか、東京方面の関係者にも選手の紹介依頼など、さまざまな機会を取り上げて広めてまいりたいと思っております。

 なお、「スポジョブふくい」ホームページは、福井国体で活躍が期待されるアスリートからの応援メッセージを掲載しております。会見に当たり映像を用意したので、ご覧いただきたいと思います。

(映像放映)

 

 それから、福井国体では、開会式や競技会場などさまざまな場面で「福井県民歌」を県民の皆様に歌っていただくことになるわけで、この県民歌を国体までに広く知っていただいて歌ってほしいわけですが、親しみやすく歌いやすいように、新しく別の曲をつくることにしましたので、お知らせします。

〔資料:県民歌

 現在の県民歌は、約60年前の昭和29年につくられたもので、作詞は有名な三好達治さんに依頼しました。それから作曲は、当時、文部省の職員で作曲家、音楽評論家でもありました諸井三郎さんにより作曲されました。

 この県民歌は、歌詞など、曲調も荘重なもので、いろんなところで使用していますが、ただ、最近のいろんな歌の調子から見ますとなかなか歌いにくいところがありますので、もう少し曲調の違う歌として、みんなに歌っていただく曲も必要だろうということです。本県出身で世界的な音楽家、指揮者であります小松長生氏に作曲を依頼しました。

 新しい県民歌は、年内に完成をしてもらって、12月にサンドーム福井で開くスポーツ祭典イベント「スポーツフェスタ2014」で発表したいと思っております。新しい県民歌は、歌いやすく親しみやすい曲調となる予定であり、学校行事や県民を対象としたイベントなど、さまざまな場面で活用し、国体の総合開会式でも使用することになります。

 また、現在の県民歌は格調が高く、県を象徴する歌として、式典などで使用するには適していますので、今後は2つの曲を使い分け、歌い分けていくことになります。

 

 次に、里山保全に関するフォーラムの開催です。

 昨年9月に「SATOYAMA国際会議」が開かれましたが、1周年を前に、夏休み期間に里山保全に関する活動を行います。

〔資料:里山関係フォーラム

 まず、コウノトリですが、先月6月14日から16日にかけて、本県で50年ぶりにコウノトリのヒナ3羽が誕生しました。誕生から2か月後の8月中旬になりますと、いよいよ巣立ちの時期になります。巣から離れて親から餌をもらわず、自分で餌を求め始めるという時期だそうです。このヒナの雄雌の性別が間もなく判明するわけですが、この時期に合わせて「コウノトリこどもフォーラム」を8月17日(日)に開き、愛称、ニックネームを募集することにしました。フォーラムではヒナの性別発表、愛称募集のほか、福井出身でコウノトリをはじめ身近な生き物に詳しい葛西臨海水族園の田端直樹園長をお迎えし、講演をお願いする予定です。また、コウノトリに関しては、さまざまな環境学習を進めている越前市の白山・坂口地区や小浜市の国富、兵庫県豊岡市の小学生による活動発表なども行う予定です。

 次が「里山里海湖研究所」の活動です。昨年10月に研究所を開設し、「福井ふるさと学びの森」を先月6月にオープンしました。学びの森については年間を通して活動を行うわけですが、第1回目として、この7月26日(土)に森の遊び場づくりの体験をしていただくことになります。

 それから、8月30日(土)、31日(土)に、日本とドイツの研究者による「日独SATOYAMA研究フォーラム」を開きます。このフォーラムを通じて、昨年の国際会議でも高い評価を受けた福井県の里山里海湖を世界的にもアピールしたいと思います。

 

 4点目は、由利公正に関する企画展の開催です。

 幕末・維新期に活躍した福井藩の偉人の1人、由利公正に関する未公開資料を紹介する企画展を開催し、あわせて今年、新たに発見され、話題となった坂本龍馬の書簡の展示もします。

〔資料:由利公正展

 今回の企画展は、9月11日から10月5日まで約1か月間、県立歴史博物館で開きます。福井藩士の時代から新政府の財政担当就任、そして、東京府知事、貴族院議員に至るまでの由利公正の業績、人物像を、後藤象二郎から由利公正に宛てた初公開の書簡を含め、数多くの資料により紹介します。あわせて今年2月に発見された坂本龍馬が書いた書簡を「高知県立坂本龍馬記念館」からお借りし、県内では初公開しますので、ぜひご覧をいただきたいと思います。

 

 それから、道路工事の完成が5点目です。

 県道福井今立線の戸口というところがあります。福井市と鯖江市の境界にありますが、その戸口トンネルを8月8日(金)に開通することを決定しました。

〔資料:戸口トンネル

 この道路は、両市の幹線道路になりますし、鯖江市の眼鏡や越前漆器、また、越前市の越前和紙など、伝統産業の振興にも役立つような道路です。平成19年度から総事業費約42億円を投じてトンネルを含めたバイパス工事を進めてきました。旧道は、かなり景色はいいのですが、急カーブで、冬などは大変であったと思いますので、その問題も解消したと思います。

 なお、この開通を記念して、8月8日(金)午前に開通式典を開催し、午後3時から供用が開始されます。

 

 以上、合計5点の発表ですが、県では園芸振興策の1つとしてブドウの産地化を進めています。水田農業などと組み合わせながら進めるものもあるのですが、夏に入り、県産の甘くて大粒の種なしブドウの本格的な出荷が始まります。県内のブドウ生産者43名で構成する「ふくいブドウネットワーク」の皆さんが、「ふくぷる」という愛称でスーパーや売店で販売しております。まず、8月上旬からは、大粒の赤いブドウ「サニールージュ」が出荷され、9月下旬までに「ブラックビート」、「シャインマスカット」、「藤稔」が順に出荷されます。今後はブドウの栽培面積7haを、平成32年には17haまで拡大し、県内市場流通の半分を供給できるようにしたいと思っています。

 本日は、8月1日(金)から店頭に並ぶ「サニールージュ」を一口先にといいましょうか、一足先に試食していただきますので、PRをお願いしたいと思います。

〔資料:ふくぷるチラシブドウの拡大目標

(ブドウ試食)

 

【記者】

 人口減対策の件で、8月1日に対策本部を立ち上げるというお話ですが、現在ある対策チームとの役割や関係性と、今つくる狙いをもう一度お聞かせください。

 

【杉本副知事】

 基本的にまず今度新しくつくろうと思うものは、ありとあらゆる政策を総動員しないとできませんので、こういうものを全庁的に取りまとめていく。元々置いてある検討チームは、若手中心でもありますし、実際に子育てなど実体験もしながら、しかも部局と関係なく、仕事と関係なく参加していただいて、機動性も生かすということで、いろんな人にも会ってもらったり、本を読んだりしてもらっていて、そういう意味で、とんがったといいますか、非常に先進的な提案をまず検討チームには求めつつ、それから、制度論的な話は今回の本部のほうで制度化していくのですが、いずれにしても最後は予算に向けて一本化をしていきますので、検討チームのほうは秋ぐらいをめどに何かいろいろ新しいアイデアみたいなものを考えて、それを推進本部のほうに段々引き取らせていって、これも各部横断ではありますけれども、予算とか制度、もしくは国に対する要請、こういう形にしていこうということで、最終的には予算なり制度のほうに来年度に向けて収斂していくという段取りを考えています。

 

【記者】

 当初予算に向けて最終的に…。

 

【杉本副知事】

 来年は選挙の年でもありますので、当初予算になるのか、その後になるのかわかりませんが、いずれにしても、来年度に向けて新規の政策を考えていく組織にはなっています。

 

【記者】

 政府が立ち上げる地方創生本部という組織について、知事はどのように評価されるのか、また、要望・注文などあれば、教えてください。

 

【知事】

 これは大変タイミングのいいことだと思いますから、ぜひともかけ声だけに終わらないで、地方のよく声を聞いて、人口問題は難しいですから、本当の意味で表面的な議論では解決できませんので、一番根っこのところまで議論をおろしてぜひともこの問題にアタックしてほしいと思います。かつ、時間がかかりますし、効果もかなりその先にあるだろうかというような、極めて挑戦しがいのある仕事だと思いますので、地方は地方でいろんな提案をやっておりますけれども、我々としてはまた組織などをつくって、さまざま自分らでできることは実行していくというやり方にしたいと思っています。

 

【記者】

 由利公正の企画展の件で、今回、初公開となっている後藤象二郎書簡は新たに購入されたことになるのですか。

 

【歴史博物館副館長】

 これは当博物館が開館当初に幕末・維新期の資料をかなり収集した中の1つで、今回新たに購入したものではございません。当館がこれまで保存していた中で公開していなかったものを、今回の企画に合わせて初公開するということです。

 

【記者】

 舞鶴若狭自動車道の今回開通したのは県内区間暫定2車線ですが、ドライバーの皆さんから話を聞いたりすると、やはり4車線を求める声が結構あって、まだ開通したばかりですが、今後、県としては早期に4車線化を国なり中日本高速に対して求めていく考えはありますか。

 

【知事】

 昨日、国土交通省の関係者の皆さんにも、これまで応援あるいは実行願ったということで、お礼も込めて、いろいろ地元の新聞やテレビの様子などをお伝えして、いろんな今後の問題も申し上げたのですが、ただ、これからの議論としては、まず1週間後にどんな様子か、それから一月後、3か月後、半年後に、それぞれ交通量、事故あるいは渋滞の情報、観光への影響、それから皆さんの受けとめ方などの調査を、中日本高速もやられますが、我々としても連携して一緒にやって、そういうものを受けながらどんなことをしたらいいか対応したいと思っています。この舞若道は暫定2車線ですが、待避線など幅の広いところの比較的多いタイプの2車線です。それでもいろんなご要請は出てくると思います。そういうのを検討しながらいきたいと思っています。まだ開通して数日ですので。

 

【記者】

 美浜3号機の事故から8月9日で丸10年になりますが、改めて、原発の安全対策の状況についてお聞かせ願いたい。また、事業者や規制当局に求めることについてもお話を伺えればと思います。

 

【知事】

 8月9日でちょうど10年目ということで、当時、亡くなられた方や負傷された方に対するさまざまな対応というのは、電力会社で全力を挙げるように要請し、現在も続いているわけですが、一方で、国および関西電力に対しては、ともかく立地、現地に軸足を置いた安全管理の確立を強く求めてきたところであり、関西電力は原子力事業本部を翌年、平成17年には美浜町に移転しましたし、地域共生本部を福井市に新設したわけです。県内の原子力の人員は、事故前の約1,750人に対し、平成25年度末現在では約2,000人と15%増加した体制にしています。この福井県が行ったやり方は、全国の他の原子力発電所でもモデルとなって、現場主義、現地主義ということで、北陸電力あるいは東京電力、四国電力、九州電力などにも広まっています。そして、福島事故を踏まえて、免振事務棟や防潮堤などの対策工事が進められており、ハード、ソフト両面で安全対策の向上を図っていくということです。

 いずれにしても、福井県は他の地域のプラントといいますか、立地と違って、多くの原子力発電所がありますし、10年前の美浜原発事故なども含めて、さまざまな事故やそれに類した出来事がありましたので、原発立地の福井には安全神話はないのだという覚悟で、昨日も原子力小委員会がありましたが、事業者、国に対し発電所の安全確保に万全を期すよう、絶えず具体的な施策を求めていく方法を講じてまいりたいと思います。

 

【記者】

 先日、県原子力環境安全管理協議会で杉本副知事が櫻田文部科学副大臣をお呼びしたい、説明を受けたいとおっしゃいましたが、その後の進展はどうですか。あわせて、ちょうど1年前ぐらいに、関西電力が中間貯蔵の推進チームをつくるという話がありましたが、その後、そのチームの活動状況等々について、県として何か把握はされているでしょうか。

 

【杉本副知事】

 櫻田副大臣の件は、要請ということはなくて、事情はどうなっているのですかということを問い合わせていますが、また近々そういう話になると思っております。

 それから、中間貯蔵のほうも、私も関西電力から話を聞いており、関西広域連合の中でもそういう話もされていることや、株主総会でそういったことを一生懸命前向きに進めているという報告もあったと聞いており、これからも当然、消費地のそういったものの立地についてもしっかりと我々として求めていくということを伝えてございます。

 

【知事】

 昨日、原子力小委員会がありましたが、その際にも廃炉の問題やリプレースの問題、あるいは中間貯蔵をどうするというのは、1本で考えなければならない議論で、一つ一つ別々に取り上げて部分的な解決方法を図るべき問題でないということを申し上げましたので、これからさまざまな、また再稼働の問題とかいろんなことが出てくるわけですけれども、それに備えて国や事業者が、これまで我々が申し上げていることの具体化を急ぐ必要がありましょうし、また議論も進めてまいりたいと思っております。

 

【記者】

 拉致の件で、具体的な話の進展はまだありませんが、福井県でも特定失踪者等々いらっしゃるので、具体的な対応について検討されているのでしょうか。

 

【知事】

 元々、地村さんご家族が戻ってこられたというのは、福井県にとっても大変幸いなことで、いろんなことが起こったときの対応というのはノウハウ、実績がありますので、何かあったときにはすぐ対応できるように準備もし、備えたいと思っている状況です。

 

【記者】

 情報収集の段階ということですか。

 

【知事】

 そうですね、情報収集もやらなければなりません。

 

【記者】

 滋賀県知事選で三日月さんが当選されて、卒原発という嘉田知事の路線は継承するということですが、その点についてはどう受けとめていらっしゃいますか。

 

【知事】

 直接お話をお伺いしていないのでわかりませんけれども、よくいろんなことをご存じだと思いますし、間接的に伺っている部分もありますけれども、滋賀県が電力消費地として福井県の原子力発電所から何十年にもわたって恩恵を受けているということについては、よくご理解をしておられるように承っておりますので、そういうことを前提にさまざま考えてもいただきたいし、行動もしていただきたいと思っております。

 

【記者】

 滋賀県の嘉田知事が、全国の知事会議の場で、事業者あるいは政府の責任で広域避難計画を策定すべきではないかという意見を言われていましたが、その点についてはどうお考えでしょうか。

 

【知事】

 避難については、国が定めるべきものは主に広域的なもののフレームですね、それから除染の問題など、そういういろんな課題、ヨウ素剤問題もありますが、なお不明なところがあるわけで、これは国としてしっかり進めないと、我々だけでできない部分がありますので、進めてもらいたいと思っております。いずれにしても、防災訓練などを重ねることによって、さらにその中で国のいろんな制度も段々具体化するでしょうから、入れながら対応していくという事柄になると思います。

 避難については、いつも申していますが、原子力プラントそのものの安全をいかにハード、ソフト両面で確保するかという一番根っこにある層があって、次の段階で何かそこでトラブルなどが発生したときに、そのトラブルをいかに早く最小限に制圧できるかというそのレベルの対応ですね。そして、あと幾つかありますが、最後に避難ということがあるわけで、避難については一番外側の課題ですし、想定もさまざまなのです。最初のプラントの事故やいろんな問題は、いろいろなことがある程度確定はできますが、避難についてはいろいろ考えると、いろんなことがあるということですから、これは訓練やいろんなことを重ねながらやらないといけないということですから、そういう中で我々がやるべきこと、国の対応も遅れているものが多いですから、早くやっていただいて、これを訓練の形で実行する。しかし、実際はそれとは違うことが起こりやすいということだと思っております。

 

【記者】

 川内原発の事実上の合格が決まった日の規制委員会の定例会見で、田中委員長が、「我々は基準の適合性を判断しただけだ。安全ということまで申し上げない」ということを言い、一方で、菅官房長官は同じ日の会見で、「規制委員会が安全性をチェックするから、我々はその判断に委ねる」と言っていて、お互いに安全を押しつけ合っているような状況になっていますが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。

 

【知事】

 どういう言葉で何を意味されたかがあると思いますけれども、原子力規制委員会というのは、法律で、原子力利用における安全の確保を図ることが使命ですから、そのために再稼働に当たっても安全審査をしておられるわけですから、その法律の指針で安全が確保されているというのであれば、いるというふうにお仕事を進められることが大事だと思います。

 それから、政府についても、規制委員会がどういう使命を持っているのだということをはっきりおっしゃらないといけないですし、その上で、政府としての次の判断といいますか、政治的な判断をやるということかと思います。両方、不明瞭なところがあります。そこはしっかりやっていただかないと、国民の信頼は得られないということになります。

 

【記者】

 核の最終処分の話ですが、敦賀市の河瀬市長がフィンランドのオンカロを10月に視察するという話があり、先月、テレビの取材で、「現実的には、立地地域以外で建設することに理解を得るのは難しいのではないか。仮に敦賀市が国からの調査の打診を受けた場合に、十分検討できるように理解を深めておきたい」というようなことをおっしゃられていたのですが、この話に関して、知事はどのようにお受けとめになられますか。

 

【知事】

 最終処分というのは最終処分地の議論だから、敦賀の話はちょっと違うね。

 

【記者】

 仮に国から調査の打診を受けた場合の話として。

 

【知事】

 話題の筋が不明だね。ご本人に聞いてもらったほうがいいな。ちょっと筋が違うのではないかな。ちょっと整理していただいて。

 

【記者】

 はい。

 

【記者】

 知事が「特別な監視体制」という言葉を使われる場面が、先日までに幾つか散見されますが、川内原発の動きが進んでいる中で、今後、実質二番手グループの高浜原発の再稼働も想定される中、国に対して、その「特別な監視体制」というのも含めて、姿勢として求めることを改めて説明していただけないでしょうか。

 

【知事】

 一昨年の大飯3・4号機のときには、野田総理大臣をはじめ、政府において、原子力発電所の稼働なかりせば、関西はもとより日本全体がやっていけないという政治的な決意をされて、大飯3・4号機の稼働を要請されたわけです。そのときには、規制委員会はできたかできないぐらいのときだったと思いますが、なお具体的な安全基準が定まっていたわけではありませんから、我々福井県がいろんな基準を考えて、これを適用し、さらに、ソフトといいますか、現場的にどういう安全管理を進めようということだったわけです。今の規制委員会の安全基準というものの、大方の筋は、我々がその当時申し上げたものが制度としていろんなものに変わっていると思いますが、つくられているということです。

 ですから、今回は、その安全基準というのは、1つの基準として明確に基準なりになっていると思いますから、その点は、今回は違うと思うけれども、しかし、長い間、3.11以降、正式の稼働はなかったわけですから、文字どおり、川内あるいは福井県の高浜も先駆けたグループに入っておるように見えますから、国民のいろんな原子力に対する賛否あるいは理解というのがどれだけ進んでいるかという問題もありますので、そこは、国民の理解なり信頼を得るためには、新しい安全基準で運転しても大丈夫なのだということを、何らかの格好で立地の現場で対応して安心していただかなければいけないですから、前回とは多少違うかもしれませんが、何らかの方法はいるであろうと。これはこれから、もちろん川内もお考えになるでしょうし、我々も我々として考えていく、そして具体的に実行するべきではないかなと、そういう意味で申し上げているということです。

 

【記者】

 原発の稼働・再稼働に関しては、国の議論などが二分するような場面があると思います。そういったことに対して、安全だという説明は、例えば、広く立地以外の地域に対しても国は説明する姿勢が必要だと考えられるかどうかをお願いします。

 

【知事】

 これは規制委員会も、まず今回の審査が、こういう考えで、先の言葉どおり、安全が確保されたという科学的な、あるいは技術的な説明を十分に挙げられてから、単に「そうです」というだけではいけないでしょうね。それから、政府だって、これを受けて、国民に、こういう状況ですから、十分なる説明と、むしろ説得ということが大事だと思いますから、これを続ける必要があるだろう、重ねる必要があるだろうと。そうした上で、一自治体が、先ほど申し上げたようなことでどう考えるかということになる。さらに、その後で、特別の監視体制と、そういう議論になるかなということです。

 

【記者】

 「特別な監視体制」というのは、政府に対して求めていくか、それとも、規制委員会がきっちり監視体制を強化していくと言っているのか、実際、どちらを想定されているのか。

 

【知事】

 今回は規制委員会ができましたから、彼らの仕事の分野だと思うけれども、ただ、具体的な局面の中でどういうことが一番大事かというのは、安全について、また、国民の安心というか信頼について何が大事かということが、これからは議論になるのではないかと思います。まだその局面には至ってないのです。

 

【記者】

 具体的に、「特別な監視体制」で前回とは違うものになるかもしれないとおっしゃっていますが、具体的な監視のイメージがありましたら…。

 

【知事】

 まだ、今申し上げた以外は。また違うことが起こるかもしれませんし、いろいろ進めていただきたいですね。

── 了 ──

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