知事記者会見の概要(平成26年9月8日(月))
平成26年9月8日(月曜日)
11:00~12:15
県庁 特別会議室
【知事】
今日は9月補正予算案、それから、恐竜化石の第4次発掘調査の状況、後ほど恐竜博物館の東特別館長も同席をします。それから、順不同になりましたが、ふるさと納税制度について、これからの地方創生等々の議論の中で、この制度の活用促進いろいろ出ていますが、制度改善がなされていますので、そうした状況についてお話をしたいと思います。
まず冒頭、9月補正予算案についてお話を申し上げます。
〔資料:予算案の概要、主要事業、施策別・予算額一覧、発表要旨〕
今回の9月補正については、大きく柱は3つございます。1つは「人口減少対策」、2点目は「北陸新幹線の開業と誘客促進」、3点目は「福井新々元気宣言」、いわゆるマニフェストに基づく関係予算、この3点となります。
まず、「人口減少問題」ですが、この問題については出生率の低い東京への歯止めのない一極集中をやめさせ、出生率の高い全国の地方へ人が移っていくような政策を、国が責任を持って実行することが重要であるということです。
このため、現在、福井県としては「ふるさと企業減税」、今回、法人税減税の議論が出ていますが、全国的に、ある程度薄く減税をすると同時に、東京を除いた地方の道府県に対し、インセンティブを与えた減税をさらに加える。それにより、東京であればドイツやフランスの並みの税率に下がるし、地方の場合は韓国や中国に近い税率になる、そういう国際的な税率を考えた税率改正がよろしいのではないかと思っており、今、提案しています。
国の行う政策は政策として、より改善をしていかなければなりませんが、福井県としても自分たちでできることは着実に、スピード感を持って進める必要があります。また、将来に向けたいろんな調査も必要ですので、今回、さまざまな体制と予算の整備をしています。
まず、8月に杉本副知事をトップとする「人口減少対策推進本部」を設置し、具体的な検討を進めているところです。
一方、それぞれの市や町についても、市町長といろいろ相談をしていますが、それぞれの市町で事情は違います。例えば、池田町であれば、最もたくさん人口が減るというような状況で、町の大きさも数千人です。鯖江市であれば、町の大きさは数万人、十万人近い。人口減少は、減る中でも最も少ないという事情がありますので、市町ごとにいろいろやって、問題点を分け合っていただく、そういう動きがそれぞれ出ており、報道もしていただいていると思います。
さらに経済界、商工会議所等、それからJAなど、それぞれ主だったところも、その視点の中でそういう組織をつくられています。
そうした上で全体、あるいは団体ごとの特徴も考えながら、最後、共通的なものは福井県として共通して行うということを考えています。その意味で、福井県として8月に本部をつくったところです。
福井県は女性の就業率、出生率ともに高い水準を維持しており、これまで全国に先駆けて「ふくい3人っ子応援プロジェクト」や、子どもの医療費助成などに加え、結婚・出産、子育てなどにかかわる政策を進めておりますが、今後とも全国、地方をリードできるような政策を推進してまいりたいと思っております。
女性支援あるいは結婚応援というのは、初めはあまり行政がタッチしていなかった分野ですが、福井県が先駆けて行っております。最近は全国の自治体も同じように普通にこれをやっております。企業子宝率というのも福井県が提唱してやっています。これも、全国にかなり広まりつつあると思います。
一方で福井県の政策と全国の地方独自の政策に、あまりすき間がなくなっているので、さらに前へ行かなければならないと思っています。
そこで、9月補正では、1つは「来年度以降の本格的な対策につながるための基礎的な調査の予算」、もう1つは「緊急的に今、対応が必要な人口移動増加策」を行うということであり、2番目に申し上げたのは、行政のスピードといいますか、絶えず、時間をおくことなく、考えついたことは実行しながら行うということになると思います。
2点目の「北陸新幹線の開業・誘客」ですが、幸い、来年3月14日に金沢開業ということが決まり、折りしも敦賀までの開業前倒しの展望も見えつつあります。
事業用地の取得に必要な調査も可能なものから前倒ししたいということで、予算を計上していますし、観光などの事業も一部、計上しています。
3点目の「福井新々元気宣言の実現」の中身としては、国体に向けた競技力向上や国から新たに交付された基金を使って防災関係の事業などを進めるなど、いろいろ入っています。
この結果、9月補正予算の規模は40億円となり、これは昨年度の9月補正予算から、台風18号関係の予算を差し引いたものとほぼ同程度の大きさになるとご認識いただきたいと思います。9月現計予算総額は4,862億円となり、前年比で9月補正現計で1.1%増となります。
それでは、9月補正予算の具体的な事業内容について申し上げます。
大きく柱は3つあると申し上げましたが、「人口減少対策」が冒頭であります。
発表要旨の3ページ、主要事業の1ページですが、「人口減少対策調査事業」1,100万円余です。本県の人口移動を見ますと、10年前からごく近年まで、大学に3千人ぐらい出て、1千人戻るということでしたが、ここ数年は、出ていく人たちはあまり変わらないけれども、戻る人が1千人を切って500人程度ということになっており、その程度がきつくなっております。特に福井県の若い女性のUターン者数を調べますと、20代後半世代が30代後半世代に比べて大きく減少しています。つまり10年前ぐらいに就職した人たちは4割ぐらいUターンをしたけれども、直近では2割ぐらいしか就職時にUターンをしないということです。そこで、今回、東京大学等の希望学研究者と共同で、大都市に在住する20代、30代の本県出身の女性150名ぐらいを対象に、福井県に戻らないで首都圏で就職した具体的な事情や背景などについて、アンケートではなくてインタビューで細かく聴取する調査を初めて行いたいと思います。従来、こういう調査はアンケート形式が多いのですが、それではなかなか表面的なことしかわからないだろうということで、どこまでわかるのかはこれからやってみないとわからないですが、ぜひこれを一回やってみたいと思います。率直に聞いてみるということです。また、そのほかに、彼女たちに、東京なら東京でどんな将来設計をお持ちか、あるいは、福井でだったらどうか、そのようなことを現状では思っており、これから、できるだけ効果が上がる、政策につながるような生の意見を聞いてまいりたいと思います。また一方、福井県立大学の先生方にもお願いして、本県の地域別の人口減のいろんな要因などもデータ分析し、来年度以降の予算編成、そして組織づくりにつなげてまいりたいと思います。
一方、行政のスピード感といいますか、継続性ということで、今考えてやらなければいけないようなものについては、並行して実行しようということです。
主要事業の1ページ、発表要旨の4ページですが、「大学生の県内企業就職推進事業」720万円余りです。現在、大学3年生については企業へのインターンシップを行っていますが、そういう人たちからいろいろ聞くと、もっと早くからやっていただいたほうがありがたいという声が強いのです。これは、就活を早めにするという意味ではなくて、もっと早めに地元のことを知りたいという希望かと理解をして、1、2年生を対象に企業がインターンシップを行ってはどうかということです。いろんな地元企業に対するイメージというのは小さいころからあるかと思いますが、このイメージと実態がどう違うのかというのをよくわかってもらって、立派な企業がたくさんあるということも事実ですので、県内外の大学生1、2年生を対象にしたインターンシップを行うということです。
それから、「県外若年層誘致強化事業」350万円余りです。これは、「ふるさと帰住センター」が県のIターンの相談所になっておりますが、Iターン者は着実に、近年、増えており、世代的には20代、30代が多いので、都市圏に住んでおられる二、三十代の人たちを対象に、福井県に移住して来られたIターン者と、互いに一緒になって東京の南青山291で座談会などを開いて、いろんな議論をしていただくということです。また、来年春、ゴールデンウイークには、市町とも連携し、都市圏の皆さんに福井にも来ていただいて、幸福度日本一の福井の体験ツアーなどもやろうということです。
3点目の事業としては、「ふくい園芸カレッジ研修事業」8,700万円余です。今年6月にオープンした「ふくい園芸カレッジ」は坂井丘陵にありますが、現在、1期生として、県外からの11名を含む96人が研修生として勉強をしており、新規就農あるいは集落営農への参加を目指しています。そこで、来年度からは、県外からより多くの研修生を受け入れるために、新規就農コースを10名増やして30名とし、県外からの研修生を今年度の10名から20名とします。これによって28年度からは、県外からの研修生は2学年で40名になります。U・Iターンを増やすという予定で、今回はそのために必要な研修用ハウスの整備の予算が主なものです。
大きく2つ目ですが、発表要旨の5ページで、北陸新幹線の関連事業です。
「北陸新幹線埋蔵文化財発掘調査事業」6,600万円ですが、新幹線早期開業は年末が山場になると思いますが、工期短縮が決定されるよう、さまざまな対応が必要です。まずは足元、地元の埋蔵文化財の調査が大事です。昨年度は、福井市の土地区画整理事業の保留地地域にある寄安や開発、高柳の3つの遺跡において、表土の除去や矢板工事などを前倒しで実施し、発掘調査に着手していますが、今回は福井駅部の南部地域、豊島1丁目などに福井城の遺跡がありますが、延長約310m、調査面積4,300㎡のこの部分について前倒しして文化財調査を行い、高架橋の本体工事の着手時期を約1年半早めたいと思います。
また、用地取得についても前倒しをする必要があります。今年度は福井市中藤島地区の用地取得を計画しています。今後、スムーズな用地取得が必要ですが、その際、建物等の補償協議も円滑に進めていく必要があり、調査に長期を要する建物について調査の一部を前倒しして実施するもので、これは4,200万円余の「北陸新幹線建物等先行調査事業」となります。何階建てかのビルなどが幾つかありますので、そこを先にやってしまうということになります。
次に、新幹線の関係で、「開業を活かした誘客の促進」、これは新幹線そのものではなくて、観光的な事業になります。
発表要旨の6ページですが、1つは、新規事業になりますが、「福井駅舎外壁恐竜ラッピング事業」2,800万円余です。もう1つは、「『恐竜王国福井』宣伝強化事業」980万円余です。来年の金沢開業に向け、福井県のブランドである恐竜を活かした福井の認知度の向上と誘客拡大です。本年度は、福井駅の西口広場に、動く恐竜のモニュメント3体が間もなく設置されますが、今回、これに合わせて、JR福井駅の壁面に恐竜の図柄でラッピングをすることになり、モニュメントとラッピング双方で奥行きをつくってPRするということです。このような駅舎へのラッピングは、JR西日本管内では初めてということです。このラッピングは、まずは2018年福井国体まで設置します。なお、先ほどの宣伝強化については、恐竜ブランドキャラの「Juratic」を活用したプロモーションを強化します。
それから、もう1つの事業としては、260万円余りの「バスツアー造成促進事業」で、北陸新幹線金沢開業、あるいは今年度の夏の舞鶴若狭自動車道全線開通の関係で、首都圏からももちろん、中・四国からの観光客の誘致が必要ですが、その一方で、今年の8月から貸切バスの運賃制度が改定され、貸切料金が値上がりしていますので、バスツアーを企画する旅行会社に対し、支援を行って観光を呼びかけたいと思います。
大きく3点目は、マニフェストに基づく事業です。
産業関係ですが、主要事業の3ページ、発表要旨では7ページの「ふくいの逸品創造ファンド」の運用益活用事業と「ものづくり企業生産性向上支援事業」です。「ふくいの逸品創造ファンド事業」については平成19年からずっとやっており、現在、助成件数では約4億円近く、180件ぐらいありますが、今回、舞鶴若狭自動車道の開通により増加している観光客向けの販売を行う嶺南地域の事業者を対象に、販売拡大の支援策を行うというものです。
もう1つの「ものづくり企業生産性向上支援事業」150万円余は、企業の生産現場の実態や業務状況を把握するために、特別にこうした事情に詳しいインストラクターを設置して、企業の生産性向上、昔の言葉でいうと一種のカイゼンということになるかもしれませんが、いろいろなものづくりの工程、仕事の工程、時間、在庫管理等々、さまざまなことについて助言をしていただいて、今後の中小企業産業大学校あるいは産業支援センターにおける効果的な支援体制の事業にうまくつないでいくという事業です。
次に、地域農業の関係ですが、主要事業では4ページに書いてある160万円余りの「地域特産物応援団育成事業」です。これまで、米を中心に中山間地域については人手が足りないということで、お年寄りの農家の方などに、いきいき地域営農サポート事業というのをずっと続けており、効果を上げていますが、今回、野菜や果樹、薬草といった地域特産物の中山間地域の生産現場に対して、企業が応援して社内販売をやったり顧客へ農産物を提供したりする、企業と中山間の特産物の連携という予算です。
それから、教育力の向上について、発表要旨の8ページですが、「福井県きぼう応援奨学金の創設」です。現在、奨学金はありますが、これは貸与制度です。そういう中で、今回、福井出身者の方から多額のご寄付もいただきました。一生懸命勉強したり、新しい分野に取り組みたいけれども家庭の事情でなかなか大学に行くのが大変だという子どもたちを応援したいという旨のご寄付をいただきましたので、その趣旨に応じて、「きぼう応援奨学金給付金」という制度を設け、あわせて、ふるさと納税をここに加え、貸与型ではなくて、福井県初の給付型の奨学給付金制度を創設するというものです。これは制度をつくるということです。中学時代に勉強やスポーツなど優れた成績をおさめているというような選考も入っていたわけですが、高校の進学者に対し、年額約20万円程度を高校3年間にわたって給付をするという制度です。
次に、防災関係です。発表要旨9ページです。「土砂災害警戒区域等再調査事業」2,200万円。これは公共事業関係の予算になりますが、福井県ではこれまで平成13年度から21年度にかけて土砂災害警戒区域の対象となる1万1,660か所全てを指定し、住民避難に備えていますが、これは平成16年度前後の福井市南部の土砂災害などの教訓を踏まえて、警戒区域の指定などの体制が、日本一整っている状況にありますが、先般の広島市郊外の安佐地区でいろんな大きな災害がありました。あれは花崗岩が風化したマサ土質の場所なので、そういう場所を中心に調査をさらに加えて、警戒区域の見直しが必要かどうかをやりたいということです。その結果を活用しながらハザードマップの作成あるいは警戒避難体制の強化につなげ、一層充実を図ってまいりたいと思います。
それから、発表要旨の10ページですが、「再生可能エネルギー導入推進事業」です。再生可能エネルギーを導入し、災害に強い地域づくりを進めるため、国からの補助金13億5千万円を基金に積み立て、消防学校やいろんな防災拠点などに太陽光発電設備や蓄電池を導入し、いざというときに、停電あるいは避難した人たちへの支援ができるような事業です。
それから、次の「医療施設スプリンクラー等整備事業」については1億4,400万円余りですが、これは消防法の改正により、全ての病院、ベッドのある診療所に防火用設備、スプリンクラーの整備が必要となり、これに支援するものです。これについては国の補助制度が創設されており、これを使って行うものです。
最後に、発表要旨9ページですが、平成30年に予定されている国体に向けた競技力の向上です。福井国体に向けて、来年の和歌山国体では10位台、再来年の岩手国体では10位台前半を目標としています。となりますと、あと一歩の競技をいかに入賞させるかが鍵であります。このため、本国体での入賞が期待できる競技を「特別強化競技」に指定し、選手強化を図ります。具体的には、陸上、サッカー、ソフトボール。これは冬に雪が降りますと屋外での練習に影響が出ますので、今回新たに他県に出向いて強豪チームとの実戦練習を行うという場を設けます。一方、ボクシング、卓球などの屋内競技については、スーパーアドバイザーの指導のもと、他県の強豪チームを招聘するなど県内合宿を強化するということです。屋外競技については県外に出向く、屋内については特別のアドバイザーを置くというやり方です。
以上が予算です。
次に、ふるさと納税についてお話しします。
ふるさと納税については、平成18年に私が提唱し、現在の菅官房長官が総務大臣のときに生みの親といいますか、生んでいただいたものであり、平成20年に制度化され、全国的にはかなり普及し、いろいろ話題にもなっているというものです。この制度は、おかげをもちましてメディアの皆さんに取り上げていただく機会も多く、また、東日本大震災の義援金としてなども活用されているわけです。
ただ、最近、ふるさと納税については、お返しというか、お土産というか、寄付していただくと地元のおいしい物を気持ちとして差し上げるということもあります。このことが絶対にいけないということはないのですが、やはりこれは基本的にはふるさとに対する応援という心の問題であり、物が中心ではないという思想でつくりました。制度をつくったときにはあんまりぎしぎしとつくるわけにはいかないので、ふるさとという部分についてはやや弱くなった部分もありますが、やはり基本精神はふるさとであります。そして、これは長続きをしないといけないということです。大分長続きはし始めましたが。
ということで、最近はいろいろ立派な豪華な物が届くようですが、これはやはり程度の問題であり、全国競争になってもいけないわけです。今申し上げた心、ふるさと、長続き、そういうことをよくご理解願って、本来のふるさとをよくしたいという方面の寄付を増やしていくことが大事であり、福井県はそのような精神でやっていますが、そうでない部分もあり、今、制度拡充ということがあり、ここで1回、みんなで考えてほしいなと思います。また、メディアの皆さんにも、国民というのでしょうか、皆さんにそういうふうに言っていただくとありがたいなと思います。税金の信頼を損なうようでは困るということです。
それで、例えばどんなことをすると、さらにこの制度が進化するのかいうことです。完璧にどうだというふうにできてはいないかもしれませんが、一例としていくつか申し上げます。
1つは、「ふるさと応援ファンディグ」というものですが、これは、各市町と県、あるいは県内の団体が寄付を集めるときに、こんなことを自分たちがやりたいのだという事業を提案して、クラウドファンディングなどを活用して、目標額を定めて寄付集めを行う。その一例で申し上げますと、例えば福井城山里口御門の整備や4年後の福井国体などいろいろあると思います。こういうことで寄付者の心、共感を得て、応援してやろうということであればいいのではないか、そういうので増やすというのが1つあると思います。ただ物を送るという発想ではありません。
2つ目は、「ふるさと母校応援」です。同窓会と協力しながら母校を応援する、後輩を応援するということであり、寄付者が親近感を抱きやすいのではないかと思います。
3点目は、「ふるさとへの記念日納税」ですが、結婚や子どもの誕生などの機会にふるさとの山や川に感謝するという意味の寄付です。人生の一大イベントの日に幸せをおすそ分けするという例です。
いずれにしても、それぞれ自治体でまたいろんなことが考えられると思いますので、順に進化をさせる必要があるだろうと思います。
なお、ふるさと納税の拡充ですが、個人住民税の特別控除額の上限を、現在の税額の1割から2割に引き上げる、これはぜひともやっていただきたいと思います。また、退職手当が対象になっておりません。退職手当は30年なり40年の大都市での勤務に対して、最後リタイアするときにまとまっていただける手当であり、これに対して、一部を寄付するというのは全然おかしくないし、寄付しやすいわけですので、そういうのも税制として取り入れたいと国に要請しています。
一方で要望が強いのは、手続きです。これはちょっと実務的で詳しいご説明をしにくいところもありますが、今のふるさと納税は、大都市の皆さんが地方に寄付をすることが多いのですが、ご自身は税負担がほとんどなく、あわせて国の所得税からも一部、控除を受けられるということで、地方にとってはいい制度なのですが、今考えられているいろんな手続制度は、地方自治体だけでやろうという動きがあります。これはあまり地方自治体にとっては、財源的に思わしくありませんので、あまり急ぐのはどうか。急ぐ必要はあるのですが、平成28年度にマイナンバー制度が導入されますので、こういう制度をつくると、今言ったような弊害が、地方自治体の財源確保の面ではないものですから、そうしたほうがよろしいかなと思っています。
なお、こうした制度拡充の要望・動向、また、みんなでこの制度をいいものとして維持していこうということについては、福井県が全国の情報を集めてつくっている「ふるさと納税情報センター」のホームページ等で発信をより強化して、皆さんにわかってもらおうと思っています。
ぜひメディアの皆様方にも、今申し上げたこのふるさと納税の趣旨についてご賛同いただき、よろしくお願いしたいと思います。
~質疑~
【記者】
人口減少対策についてお伺いします。国の対策とは別に、できることはスピード感を持ってやっていくというお話でしたが、全国と比較して福井の現状をどう見ていらっしゃるのか、また、今後、市町や関係団体の連携をどのように進めていかれるのかを教えてください。
【知事】
特に若い人たちの出生率は全国上位にありますので、そこを特に活かす必要があるという認識は持っております。ここは優れた点だと思います。一方で、相変わらず社会減といいますか、最近、特に女性が戻っていただけないということであります。そこは大きな課題だと思います。そこを今回の予算でよくチェックをしてやりたいと思います。一方で、法人税の制度など、国でやるべきことを強く訴えると同時に、選挙制度などもいろいろこういうものに長期的に影響しますので、それについてもいろんな場で提案をしているわけですが、そうした上で福井県としての政策を進めたいと思います。
【記者】
土砂災害警戒区域等再調査事業ですが、福井県内の見直しなどの検討をいつごろまでに終えるとかいうスケジュール感があれば教えてください。
【知事】
これから雪が降ってきますが、これは補正予算ですので、できるだけ年度内に基本的なものは調査をある程度、終えないといけないと思っています。ただ、調査地域が四、五百か所はあるかもしれませんから、ちょっと時間はかかるかもしれません。できるだけ早くやりたいと思います。
【記者】
再生可能エネルギーの導入推進事業について、具体的に何か所でどれぐらいという数値目標があるのでしょうか。
【政策幹】
今年から3年間で整備していきますので、今年は一部だけ設計等にかかりますが、来年度以降が中心になると思います。市町とも協議して進めていきたいと思っていますので。箇所数はまだきちんとは出ておりません。これからです。
【記者】
設置場所数ではなくて、対象箇所数が今、県内何か所ぐらいあるかというのは。
【政策幹】
対象といいましても、国としても、防災拠点等と、幅広く認めている形なので、最終的な箇所がどれだけかというのは、市町と協議しながら決めていくということになると思います。
【記者】
太陽光パネルですが、普段使っても大丈夫なのですか。
【政策幹】
それは大丈夫です。
【記者】
例えば学校の体育館に設置して、学校のエネルギーとして使うことはできるのですか。
【政策幹】
災害のときだけ使用すると非常に無駄な形になるので、そうではなくて、いざというときは、防災的な仕事とか携帯が使えるようにするとか、そういう対応ができるようにして、普段はそういう資源を使っていくという、無駄のないような使い方をしていくということです。
【記者】
ふるさと納税のことで、新しいアイデアについては、いつどのような形で実際スタートされるとお考えでしょうか。また、日本では寄付文化が根づいていないというか、特典やお礼がないと、集めるのがなかなか大変ではないかなと思うのですが、どういう形で活かしていきたいとお考えですか。
【知事】
これは大もとの精神のお話は高邁なのですが、まだ出始めというか、初期段階ということで、どうしてもこういう傾向は出るのかなと思いますが、だんだん落ち着いてはくると思います。
特にメディアの皆さんが、よくこういう寄付文化とか国民の皆さんに対する気持ちといいますか、こういうものを、折々、絶えずやっていただくことが、日本がよくなる大事なポイントかと思っています。いろんな機会にそういうことを言っていただくと、国民の皆さんはメディアで書かれたことを大体はそうだと思われるのが普通ですので、そのあたり、お願いしたいと思います。
【杉本副知事】
できるものからと思っていますので、年内にも取りかかっていくものをつくっていきたいと思います。山里口御門などの話も動き始めていますので、こういうことをできるだけPRしながら、また、空き家対策もいろんなところで動いていますから、そういうのを応援できればということで、まず準備をしようと思います。「ふるさと母校応援」については、各同窓会などは常に、何かいい方法があればぜひやりたいというような思いも持っていますので。それから、給付型の奨学金財源にも充てていきたいと思っていますので、これは同窓会のほうで賛同いただければ、どんどん活用もしていきたいと思います。年内にも具体的な事例を次々と出せればとは思いますが、どの程度の勢いになるかは、まだこれからです。
【知事】
全国のいい例をどんどん知らせていただくと、こういうのはちょっと具合悪いかなとだんだん少し思っていただくようになると思います。ですから、福井県もそういうことで頑張りたいと思いますので、PRをお願いしたいと思います。
【杉本副知事】
ちょっとだけ申し上げると、これは一つひとつの何にやるかということはみんなで考えていただくこともできるわけです。仕組みをつくることです。同窓会なら同窓会が母校の何を応援したいというのをみんなで考えて、これを今年はやろうということを提案したら、同窓生がみんなで集まって募金したり寄付をしたり。「ふるさと応援ファンディング」も、地域づくりでこういうことをやろうと、地域で考えたことについて、行政としてもどう応援できるかということですので、一個一個の中身はできるだけ皆さんに考えていただくということも一緒に提案をしている。それは同じように、「ふるさとへの記念日納税」もそうですが、そういうところがちょっと新しいかなと思っております。
~東恐竜博物館特別館長入室~
【知事】
私から冒頭だけ申し上げますが、福井県では、平成元年以来、勝山市北谷町杉山地係において、恐竜発掘を実施しています。22年までに第3次の発掘調査が終わりましたが、その間、フクイラプトル、フクイサウルス、フクイティタンの新種が発見されています。その成果を受けて、昨年、25年から第4次発掘を行っており、今年7月から開始した2年目の発掘調査で、複数の恐竜や翼竜の足跡化石を発見しています。その中には、保存状態のよい竜脚類の足跡化石も含まれております。今回の発見は、白亜紀前期の勝山周辺の環境解明の上で貴重な資料になるということです。
【恐竜博物館特別館長】
簡単に足跡化石の説明をさせていただきます。資料にありますように、獣脚類の後足が1点、これは肉食恐竜です。それと、草食の恐竜で4足歩行の竜脚類の前足、後足が2組、4点見つかりました。
獣脚類も竜脚類も、いずれもこれまでにも発掘されておりますが、特に竜脚類に関しては、従来、保存状態があまりよくなかったのですが、今回の2点は従来のものよりは比較的保存がよくて、足跡の形もほぼわかるもので、現在、3Dデータをとって解析中です。
なお、この竜脚類の足跡は、骨の化石として出ているフクイティタンと関連した足跡ではないかと考えています。
翼竜の足跡化石は、20点ぐらいの岩石に30個ほどの前後の翼竜の足跡が発見されています。これは非常に小さな化石ですが、今日現場で説明会を行いますので、その際に本物を用意しておきます。
あわせて、次の写真を見ていただきたいのですが、土曜日まで発掘をやっていたのですけれども、これは金曜日に新たに見つかった足跡で、獣脚類です。110cm×90cmの面の中から8個の獣脚類の足跡が見つかっています。右左右という2つの連続歩行がこの中に保存されており、その中の1つ、ほぼ真ん中にある足跡の長さが11.8cm、幅が8.5cmの大きさです。これまで、勝山で獣脚類の足跡はたくさん見つかっておりますが、中でも保存の良好なものです。
概略は以上ですが、本日、午後2時半に見学会を行いたいと思います。今ご説明したものが現場に保存されているものもありますので、写真の撮影とか、説明が必要であれば説明をさせていただきます。
以上でございます。
~質疑~
【記者】
2種類の化石のうち、どちらがより貴重で重要なのでしょうか。
【特別館長】
どちらかといいますと、お勧めなのはこちら獣脚類のほうです。非常にわかりやすいと思います。竜脚類は大きな穴があいているので、それはわかりますが、細かい指の配置などはわかりにくいものですから。
【記者】
保存状態がよいということですが、保存状態がいいことで、生態についてどのようなことがわかってくる可能性があるのでしょうか。
【特別館長】
翼竜のほうで申し上げますと、今回見つかったのは、過去の例よりも比較的大きいものが出てきていて、大きさが違うというのは成長の段階を示していますので、もっと数を集めると、そういった足跡から見た成長の過程といったものが解析できると思います。
竜脚類のほうは、何せ後足が63cmもある大きなものですから、これが連続してもっと欲しいわけです。今、後ろと前だけですが、これがもっと連続してありますと、体の大きさなどもわかってきます。
それから、肉食恐竜の場合、3歩ありますと、歩いたスピード等も解析できますので、これは追ってまたご報告できると思います。それから、3歩ありますと、歩いて行った方向なども詳しくわかるようになります。
【記者】
竜脚類に関しては、フクイティタンとの関連性がうかがえるということですが、獣脚類のほうは、ラプトルとの関連性は一概には言えないのですか。
【特別館長】
否定はできないですが、一般的に足跡と骨の化石のリンクというのは非常に難しいのです。竜脚類の場合は、今、フクイティタンしか出ていないものですから、かなり確率は高いと思っているのですが。
【記者】
資料1ページ目の獣脚類の足跡と2ページ目の連続した足跡は、同一種ではないのですか。
【特別館長】
これは違うと思います。足跡の形が違いますので、別の種類だと思います。
【記者】
2ページ目は連続して歩いている様子がうかがえるということで、個体のサイズなどもうかがえますか。
【特別館長】
わかります。サイズ自身は獣脚類の場合は、足跡の長さの4倍が大体腰の高さになります。ということは、1枚目の1歩だけの足跡の28.5cm、約30cmなので、1m20cmぐらいに腰の高さがあります。ということは、大体2倍の3m前後ぐらいの大きさ、小型の肉食恐竜ということになりますね。2ページ目のほうになりますと、さらに小型になります。
【記者】
あわせて、竜脚類のサイズもできれば…。
【特別館長】
ちょっと竜脚類はこれだけではわからないです。
【記者】
では、2ページ目の獣脚類は、その計算方法でいくともっと小さい、1mから大きくても3mぐらいですか。
【特別館長】
四、五十cmのところに腰の高さがありますので、1m50cmぐらいの小型の肉食恐竜ということになります。
~東恐竜博物館特別館長退室~
【記者】
原子力についてお伺いします。
美浜1・2号機の廃炉を検討しているという報道が出ていますが、関西電力から何か説明等はありましたか。また、廃炉検討という状況をどのように受けとめていらっしゃいますか。
【知事】
いくつか問題がありまして、1つは、電力事業者がどのようなことを考えているのか確認する必要があると思っており、廃炉のみならず、原子力発電所の再稼働の問題などについて全体の経過を聞く必要があると思います。
それから、かねて数年前から言っていますが、中間貯蔵について、消費地での貯蔵、あるいは我々としては現場にこうした中間貯蔵施設を残さないといいますか、きれいにして返していただくというのが方針ですので、そういう問題について十分な答えといいますか、動きが見えないので、これをどのように考えていくかということです。
特に我々は、原子力発電に対して基本的に立地地域、地元として協力してきたわけですので、この現状のままで何となく廃炉という状態になりますと、これ自身安全の問題にも影響しますから、おっしゃったことについてどのように考えているのか。さらに我々は、昨年来、廃炉については廃炉・新電源対策室をもって事業を進めていますけれども、廃炉についてそもそもどう考えているのか。将来の産業化とかあるいは手続、工程、こういうさまざまな課題がありますので、そうしたことを今回、報道がなされていることもございますけれども、はっきり1回お聞きする必要があるだろうとは思います。
【記者】
原子力規制委員会が発足して間もなく2年になりますけれども、新体制に何を期待されるか、また、この2年間どのように見られてきたのか、お聞かせください。
【知事】
規制委員会については、それぞれ、さまざま課題があると思っています。
1つは、合議制の組織として機能を十分総合的に発揮していないところ。それから、かねて言っていますが、全体のある事柄をする際のスケジュール、そして、どういう基準で行うかということについて、明確にした上で規制行政を行う必要がありますので、なおなお、こうした課題の解決ができていないと思っております。特に科学性を十分確保しながら、スピード感を持って公正に職務を遂行してほしいと思います。そして、原子力施設の安全について、体を張って、これが安全なら安全ということで学問的にも明らかにすべきだと思います。
【記者】
政府の概算要求で北陸新幹線の前倒しの分が盛り込まれなかったのですが、県としては、今後、事項要求等々で改めて求めていくのですか。また、一部報道で石川県の森喜朗元首相が福井先行開業を考えるべきではないかということを言い出したのですが、福井県としては、やはり最後まで敦賀一括開業ということを求める方針に変更はないでしょうか。
【知事】
基本的には変更はありません。政府・与党のワーキンググループの第1回会合が間もなく開催されると思いますので、関係者と力を合わせて年末までに一日も早い整備計画の見直しが実現できるように努めてまいりたいと思います。幸い高木国土交通副大臣もいろいろ努力をずっとしていただいて、国土交通大臣と力を合わせて進めていただきました。また、後任の副大臣や政務官に十分な情報もお伝え願っているようですし、新しい政調会長をはじめ、福井県としては全体としてさらにパワーを発揮できる状態にあるかなと思います。財務大臣もお代わりになっておりませんし、新幹線にはご理解があるようですから。かつ、地方重視といいますか、もちろん地方の努力は必要ですが、努力してもどうしても地方としてはできないプロジェクトというのがあるわけで、協力はいたしますけれども、地方に本当に必要なもの、それが新幹線だと思いますので、条件は悪くありませんから、年末までそんなに時間はありませんが、全力で成果を上げていきたいと思います。先ほど申し上げた地元の対策は急いで進めるということになると思います。
【記者】
事項要求という形で概算要求されたということについては、知事はどのように評価されていらっしゃいますか。
【知事】
それは、事柄がそういう状態ですから、年末に方針が出れば十分だと思います。
【記者】
先日、高浜原発の防災訓練で、講評で知事は「反省を踏まえて今後改善していきたい」とおっしゃいました。訓練から1週間ほど経ち、現時点で見えてきている課題、あるいは反省点について教えていただけますか。
【知事】
これから議会も始まりますから、そういうようなことも十分議論が必要かとも思いますが、今回の原子力防災訓練のスケールは、関係者や組織体制が5割増しとか、場合によっては2倍ぐらいの規模のものがあり、大きなスケールで実行をしましたし、京都府、滋賀県、あるいは舞鶴市との連携、それから、学校や病院などについては、全国に先駆けて、学校や福祉施設、医療施設自身が自分のマニュアルを既につくって、それに従って避難を実行し、事柄としては大きな成果があったと思います。
避難というのは切りのない分野がかなりあって、具体的に個々の情報、通信、輸送、あるいは原子力特有のモニタリングや除染など、そういう個別の分野について、さらに実効性のある計画が大事かと思っています。かつ、今回は電力事業者である関西電力自体もほぼ同じタイミングでトップの責任者の方が大阪からヘリコプターで短時間で現場に急行し、かつ、被害想定に従って現場の責任者が自己決定をする、そういうことを並行してやっています。実際問題は、今申し上げた電力事業者のプラント自体に対する安全性の確保と制圧体制、それが一番大事なところであり、その周りに避難というものがあるわけで、そういう連携もしていますので、さらに電力事業者においてもそういう対策といいますか、制圧体制の強化をする。実際はそこでいろんな問題、あるいはその確率も高くなる事柄があるわけですので。
【記者】
先ほど、電力事業者の方に今後の全般的なことについてお話を聞きたいという話だったのですが、目処としていつごろ、どのクラスの方にお会いしてお聞きしたいのかと、こちらから求めるようなことがあれば教えてください。
【知事】
求めることは今申し上げましたが、責任ある方に聞く必要があると思いますので、できるだけ早くしたいと思います。
【記者】
来年3月14日に北陸新幹線が金沢開業になって、福井と金沢の間の特急も増便という話がありました。今、知事ご自身、東京へ直行される場合に、ほとんど小松空港から飛行機だと思いますが、3月14日以降、新幹線をご自身で使われる機会はどのぐらいあるでしょうか。
【知事】
ダイヤをよく見てやりたいと思います。3年ほど前に1回、どれくらいの経路、時間か、在来線の特急による感覚を試してみましたが、やはり福井県としては両方、東海道新幹線と北陸新幹線がそれぞれ使えますから、いろいろ条件をもって使ったらいいのかなと思います。周りの風景も、非常に変化に富んだルートですから、なかなかいいのではないかと思います。
【記者】
特に新幹線に乗ってPRや前倒しに向けた運動に使うというお気持ちはないですか。
【知事】
時間がどんなふうになるかです。大体決まっていますけれども、活用するときには活用させていただきたいと思います。
―― 了 ――
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