知事記者会見の概要(平成14年10月29日(火))
平成14年10月29日(火)
10:00~10:35
県庁 特別会議室
○知事
来年の知事選挙のことですが、熟慮の結果、立候補しないという結論にいたしました。
少し経緯をお話しさせていただきたいと思います。
9月6日だったと思いますが、前回の定例記者会見の際に「前向きに考えている。いずれにしても12月県議会で表明したい。」ということを申し上げました。
そのときの考え方は、今、課題が山積しておりますので、その課題の解決に向けて、4期から5期へという流れの中で、私自身が考えておりました。もちろん、5期目をやるかどうかということは非常に大事な問題ですので、私の頭の中には常にそのことはありましたが、9月の定例記者会見のときにはそういう気持ちでお話をさせていただきました。
9月県議会を乗り切らなければならないということで、この期間は議会に集中いたしました。
9月県議会が終わりましてから、親族で5期目についていろいろ相談をいたしました。親族の大方の意見は「4期16年、言わば大過なくやってきて、6期以降ということは考えられませんから、5期をどうするかということについて慎重に考えた方がいい。特に選挙で負けるようなことがあったら意味がない。」、それから仮に当選しても「5期目の県政でつまずくようなことがあっても意味がない。」ということで、4期16年できちんとケリをつけるのがよいのではないかという意見が大勢を占めていました。
私自身がそういう親族の意見をもとにして、熟慮しました。
私がその熟慮の過程で考えましたのは、私は20世紀から21世紀への橋渡しの役割を果たしてきたという具合いに思っています。そこで、21世紀は新しい人に福井県の発展を担ってもらう、そのことがよいのではないか、というように考えるようになりました。
そして、正直申しまして70歳を過ぎておりますので、70歳を過ぎた年寄りよりも、もっと若い人に福井県政をリードし、引っ張っていってもらった方がよいのではないかというように私自身が考えるようになりました。
そういったことで、来年の知事選挙には立候補しないという決断をしたわけです。
私の5期目について期待をしておられた方々もおられるわけですので、その人たちには申し訳ないと思っております。
そして、まだ来年の4月まで半年ありますので、この半年、課題の解決に全力で立ち向かっていきたいという気持ちです。
私からは以上です。
○質疑応答
(記者)
知事は4期終わられて、5期目にかかられるときに大変な決断をされたと思います。15年半を振り返っていただいて、ご自身なりに、これは自分としてやり遂げたという成果みたいなものと、やり足りなかった、心残りだという点がありましたら、それぞれ3点ずつぐらい挙げていただけますでしょうか。
(知事)
1つは、何といいましても『県立大学』を立ち上げることができたということです。これは福井県の人づくりのいわば基礎を成すものです。大変苦労しましたが、県議会の非常に温かいご理解をいただき、地元の皆様方の協力も得て、私が知事に就任して平成4年(開学)ですから本当に短い期間に立ち上げることができました。その後、県立大学は学部の増設等充実発展していますし、このことは本当によかったと思っております。
2点目は、『県立音楽堂』です。音楽文化の拠点として県立音楽堂を建設することができました。あの音楽堂は演奏者からも非常に評判がよく、県民にも親しんでいただいているということです。ついこの間、5周年を迎えたわけですが、そのように評価をされてよかったと思っています。
3つということですので、もう1つ挙げさせていただきますと、『国際交流』について、中国浙江省、アメリカニュージャージー州、また、ドイツのハールブルク郡とヴィンゼン市、ロシアの沿海地方、これはあまり進みませんでしたが、それから、ブラジルは協定というよりは、福井県人の方々がブラジルにたくさんおられますからそういった意味での交流、そういうことで、国際交流を15年間の間に積極的に展開することができてよかったと思っています。
それから、課題として残された心残りのものですが、これはある程度の時間が必要ですので、これからも取り組まなければならないわけですが、『北陸新幹線』の問題についてです。
来年の秋がスキーム見直し時期に当っています。もちろん、平成15年度の予算獲得については全力を尽くしますが、来年の秋のスキーム見直しまで努力ができないというのは、非常に残念に思っています。
それから、『福井空港』について地元の理解が得られなかったこと、それから、政府の対応なり財政状況があのころと著しく変わってきて、当分の間、凍結せざるをえないという状況になっております。これは本当に残念に思っています。
それから、あと半年の任期中に、ぜひ取り組まなければならないと思っていますことは、1つは、『近畿自動車敦賀線』です。
これについては、民営化推進委員会が結論を出しますが、いつも我々が主張していますのは、民営化推進委員会の議論は国土の均衡ある発展という視点が欠けているのではないかということで、何としても近畿自動車道敦賀線の小浜西から敦賀までの50キロが予定どおり整備されるように、この半年、頑張っていきたいと思っています。
もう1つは、『市町村合併』です。市町村合併については、法定の合併協議会を作ってから22カ月かかると一般的にいわれています。そうしますと、来年春ぐらいまでには方向性を決めなければいけないわけですから、まさに、私の任期中に合併が進むように精力的に取り組んでいきたいと思っています。
もう1つは、喫緊の問題ですが、『拉致問題』の地村さん夫妻、特に子どもさんの帰国が実現して永住帰国が実現できるように、これは小浜市と連携して最大限の努力をしていきたいと思っています。
(記者)
先程の話の中で、21世紀は新しい人にやってもらうのがよいのではないかというご発言があったのですが、知事の心の中にはどなたか、特に、具体的な方というのはあるのでしょうか。
(知事)
次の知事を決めるのは県民の皆さんですので、どなたが立候補されるかわかりませんが、私は県民の皆さんがよい選択をしてほしいと願っております。
私自身は、私の16年間の県政をもとに、福井県を発展させてもらえるような人にぜひ知事になってもらいたいと思っていますが、それは私個人のことでして、公人としての知事が、どなたというようなことはすべきではないと思っています。
(記者)
16年間、県政をしてきた知事のお考えを発展させていくとなると、知事の下で行政をしてこられた副知事の名前がちらほら挙がっているのですが、それについても、公人としての知事は何もおっしゃらないということですか。
(知事)
はい、そういうことです。
(記者)
先程、残り任期半年の間にということで、いくつか挙げていただきましたが、原発を巡り、もんじゅ、プルサーマル、3・4号機増設の問題について、結論を出すべきか、先送りして次の人に渡すべきか、意見が分かれるところだと思いますが、その辺は知事としてどのように整理されますか。
(知事)
原子力発電所の問題は、それぞれの検討の過程で、一つ一つ結論を出していくことを考えていまして、敦賀3・4号機増設問題については、事業者からの報告をきちんと再確認し、その次にどう判断するかということで、その時点でどういう具合に判断するかを決めていきたいと思っています。
もんじゅについては、県自体の安全性確認の作業をしていますので、その結果を踏まえて判断するということです。それも、その時その時の状況で判断していくということです。
プルサーマルについては、新しく燃料を製造する段階で県と十分協議をしてもらうことになるわけですので、その時期がいつになるか、それによって判断することになると思っています。
(記者)
不出馬の判断は、ご親族とのお話し合いというのが最大の理由のようですが、来春知事選において、いろいろな方の出馬が言われていまして、栗田知事に対して支持するかどうか、という動きも水面下であったと聞いているのですが、その辺は判断の影響はされなかったのですか。
(知事)
親族の間では、そういうこともいろいろ言っていましたが、私自身はそうではなくて、私自身が5期目を務めることの是非というか、可否を判断したということです。
(記者)
親族の方は、出馬されることに対して、ほとんど否定的な意見だったのでしょうか。
(知事)
否定的な意見が多かったですね。いろいろな話が出ましたが。
(記者)
話し合いというのは、いつぐらいですか。
(知事)
9月県議会が終わった後です。
(記者)
親族以外の方には、相談されましたか。
(知事)
していません。
(記者)
実際に決断された日というのは、何日ですか。
(知事)
何日かと言われても困るのですが、16日に栗親会の会長にお会いしていますから、その前ということになりますね。15日に滋賀県知事と例の直流化の交渉をしました。あれがうまくいきましたし、それを受けてというような感じですね。
(記者)
今の率直な、お気持ちとか、ご感想を。
(知事)
先程お話ししましたように、この15年半の間に私自身、懸命に県政推進に取り組んできまして、いくつか実を結んだものもありまして、その点は大変うれしく思っています。しかし、今後の課題も残っているわけですので、それについては、非常に心残りだと思います。
ただ、考えてみますと、その時その時にいつも課題があるわけですから、その課題をずっと追っていって、4選、5選というわけにはいかないと思っています。
それから、正直にいって、いつも選挙を意識して行動しておりましたが、そういうものから解放されるということについては、ほっとしているというのが実感です。
(記者)
副知事から通算すれば、福井県に戻られて、県政のトップの役を30年近く務めてこられて、ご自身、長かったというような感じがあるのでしょうか。
(知事)
知事と副知事は全然違いますから、知事として16年充実した取り組みができたなと思っています。
それから、余談ですが、野球でいうと、1人のバッターをアウトにするには、ツースリーで、しかもボールを振らせて三振ということもあるのですが、私はどうも1球、2球、3球全部直球で進めてきましたので、もう少し余裕のある攻め方もあったのではないかと思います。
(記者)
期間中、原発のトラブルが結構ありましたが、それについてはどのように。
(知事)
原発については、何よりも事業者がきちんとした対応をするということで、県民の信頼を確保する、損なわないということが大原則ですが、今までの事故、故障を見ていますと、事故隠しがあったり、報告が遅かったり、ヒューマンエラーの事故があったりということで、県民に不安を与え、信頼を損ねたということがあるのではないかと思っています。
県も、事業者に対して厳しく対応しなければなりませんし、事業者もそのことをきちんとすることによって、県民の信頼を確保する、もちろん、安全性の確保もしてもらうということが、原子力発電所については大事ではないかと思っています。
(記者)
現在、15機の原子力発電所がありますが、それに対するプレッシャーについて、お聞きしたいのですが。
また、東電問題をきっかけに、原発に対する大きな流れができつつあると思うのですが、それについて、お聞きしたいのですが。
(知事)
15機の原子力発電所を有していることについては、いろいろな批判があったりしましたが、私は、国のエネルギー政策に協力してきたということで、そのエネルギー政策に協力していくには、今申しました安全性の確保が大前提になるわけですから、常に安全性の確保を念頭に置きながら、事業者に対する指導・取組みをしてきましたし、また、国のエネルギー政策に協力しているわけですから、地域振興もやってもらわなければならないということで、国に対して強く要請してきました。
それから、今回の東電の事故隠しに関連して、原子力発電所に対する取組みが大きく変わるのではないかという点ですが、これも先程申しましたように、何よりも国民、県民の信頼回復が大事です。信頼回復に向けて事業者がどういう努力をするかということが、これからの原子力発電所の進め方にかかわってくるのではないかと思っています。
国のエネルギー政策の中で、原子力発電所の立地や現在の原子力発電所の稼動の必要性は国も説いているわけですが、そういう必要性をいわば打ち消すような事故、故障が起こることが日本の原子力行政を遅らせることになっているわけですから、事業者にそういう対応をきちんとしてもらわなければならないと思っています。
(記者)
まず1点は、重大な決断だと思いますが、それはご親族の言葉が大きなウェイトを占めているのかということ。もう1点は、先程、70歳の年寄りも若い人にしてもらう方がいいということをおっしゃいました。私はそうは思いませんが、実際県政を運営にするのに当って、若い人がよいのではないかと実感するような局面があったのかどうか。
(知事)
1点目の親族の話は、それをきっかけとして私自身が熟慮したということです。
2点目は、正直にいって体力の問題がありますから、70を過ぎた体力よりも若い人の体力の方がいい。というのは、私が当選した頃と今と比べればですね、それからさらに4年ですからそれを考えると、気力は十分のつもりですが、そういう意味で、私より若い人がよいのではないかと思ったわけです。
(記者)
16年の県政をもとに発展させる人になってもらいたいという気持ちですね。
(知事)
個人的にはね。
(記者)
個人的に具体的に、特定の方をお持ちなのですか。
(知事)
それは個人的な問題ですから、ここで申し上げることではないと思っています。先程申しましたように、公人としての知事は、そういうことは言うべきではないというのが、私の意見です。
(記者)
知事は最初の時から、「私は県民党」という形で、県民の支持を広く受けてやりたいということで終始一貫されてきたと思います。今回、下馬評で、いろいろな方が出るのではないかと言われております。もし、次に出馬する場合、知事の理想とする「県民党」という形で戦えないかもしれないというような懸念はあったのでしょうか。
(知事)
いや、選挙のことは余り考えなかったですね。要するに、選挙に勝つ勝たないではなくて、5期をやることについての利害得失といいますか、そういことを親族との話し合いをきっかけにして、私自身が熟慮したということです。
(記者)
もし、よろしければ教えていただきたいのですが、知事が選挙に出ないということを奥さんに伝えたときの状況と、奥さんが何と言われたかを教えていただけますか。
(知事)
余り反応はなかったですね。
(記者)
2つお尋ねしたいのですが、一般的によくいわれる多選批判という言葉があるのですが、知事が今回判断するに当って、そういう批判めいたいものに配慮なさったのか。
もう1点は、親族というとかなり幅広いのですが、主に親族の中でもどなたの意見が判断のきっかけになったのか、お聞きしたいのですが。
(知事)
最初の多選の問題ですが、多選がいいかかどうかは県民が決める問題だと思っております。他の県でも5選、6選の人もいるわけですから、それは県民が決めることだと思っております。
今回、私自身が5選をやるべきではないと判断したのは、一般的に多選が悪いとか何とかいうことではなくて、私がやってきた16年、私の年齢等々を考慮して、私自身が5選をやるべきではない、という結論に達したわけです。
それから、親戚の意見というのはいろいろな意見が出たわけですが、その意見を聞いて持ち帰り、私自身が親族の意見をいわばきっかけにして5期目をどうするかということについて熟慮したということです。
(記者)
今、本格的な地方分権の時代だと言われる一方で、交付税や近畿自動車道敦賀線などの問題を見ていると、非常に地方受難というか、切り捨てのような風潮も見られるのですが、そういう中で、知事のご経験を踏まえて、これからの知事像というか、リーダーというのはこうあるべきだというものがありましたら。
(知事)
地方分権が今後ますます進んでくると思いますので、都市間競争ということがいわれておりますが、都道府県間の競争に打ち勝ち、福井県らしい特色を出してもらうことがこれから大事だと思っています。そういう県政運営をしてもらったらいいのではないかと期待しています。
(記者)
知事は生活満足度日本一ということを当初から掲げてやってこられまして、それが新長期構想の一番の柱だったと思いますが、その達成度は、知事自身が採点してみてどれくらいですか。
(知事)
当時の経済企画庁が、5年連続でしたか福井県が日本一ということで、評価の低い県があんなのはやめてくれということで、経済企画庁がやめたんですね。あれは確か平成10年までやったと思いますね。
そういう評価がされているということは大変喜ばしいことですし、県政の中で生活満足度がどれだけ達成されたかということについては、環境問題を初めまだまだ課題がありますから、何点とはつけられませんが、さらに生活満足度を目指して県政が発展することを期待しています。
(記者)
知事をやっていらっしゃって、これは眠れなかったとか、これを決断するのはとても苦しかったというのを1つ挙げていただければ。
(知事)
1つは、空港の当分の間の凍結。これは去年の夏、まさに眠れない日が何日も続きました。
2つ目は、今回の決断をするについてこの1週間、10日。この2つです。
(記者)
知事が言われたように、20世紀から21世紀の橋渡しをされてきたと思いますが、この4期を振り返って、ご自分はどういうタイプの知事だったと思われますか。
(知事)
私自身の今までの地方行政の経験を生かして進めてきましたから、実務型の知事であったと。そのことは、私自身は、福井県の県勢発展にいわばプラスになった、マイナスに働いたことはないと思っています。
(記者)
今後の政治活動としては、どういうことを考えておられますか。
(知事)
今のところ、全く考えておりません。
(記者)
もし生まれ変わって、45歳ぐらいで知事になられるチャンスがあったとしたら、もう一度やってみたいお仕事ですか。
(知事)
それはぜひやりたいです。やりがいのある仕事だと思いますね。
まあいろいろ制約もありますし、自由な時間もほとんどありませんが、人間の仕事としては本当にやりがいのある仕事だと思っています。
(知事)
あと半年ありますので、よろしくお願いします。
以上
〈 総務部広報広聴課 編集 〉
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