知事記者会見の概要(平成26年10月24日(金))

最終更新日 2014年10月27日ページID 028125

印刷
平成26年10月24日(金曜日)
10:30~11:30
県庁 特別会議室

 
知事記者会見写真(10月)
  

【知事】

 冒頭、今日は後ろに、ちょうど今の季節ですが、菱田春草の「落葉」の屏風を飾らせていただきました。県立美術館が所蔵していますが、これは原寸大のレプリカで本物ではございません。

 菱田春草は、横山大観あるいは下村観山とともに、本県ゆかりの岡倉天心先生の弟子として、日本画の革新に貢献した明治期を代表する日本画家です。「落葉」をテーマにした作品を全部で5点お作りになっておられますが、県立美術館が所蔵するこの「落葉」については、従来は、その5点の中で順番としては途中に描かれた作品ではないかと言われていましたが、最近、そうではなくて、最後に制作されたということが判明し、いわば春草の画風の1つの到達点と言える作品であることが確認されました。

〔資料:「落葉」について福井県美と永青文庫の画像比較

 この菱田春草は、県立美術館が開館した昭和52年、40年近く前のことですが、約1億円で当時購入されたものです。

 県では、レプリカを作成し、子供たちに日本画の描写、構図なども学んでもらっていますが、12月には、本物の「落葉」を子供たちに見てもらう鑑賞会を県立美術館で開催しますので、この機会にまたぜひ本物に触れていただきたいと思います。

 

 今日は3点、私から申し上げます。まず、国体の結果です。

 このたびの長崎国体では、1018.5点を獲得し、天皇杯順位で17位と、まずは目標としていた10位台を確保することができました。本県は、他の競争している県と比べると人口の少ない県ですが、健闘しており、先催県の様子と比較しても、強化策については、現状ではほぼ計画どおり成果が表れていると思います。

〔資料:天皇杯順位

 私も大会初日に長崎に出向き、選手を激励しました。開催県も台風の影響をどうクリアするかということで大変なご苦労があり、実際、我々が今度主催するときに、そういうことがすこぶる参考になりました。選手についても、無事に皆さん競技をされて戻られて、成功であったと思います。

 内容を見ますと、昨年より得点を約80ポイント伸ばしましたが、本県のいわばお家芸である体操成年男子が3年ぶり2回目の優勝、ボート、ホッケー競技などは引き続き継続的な力を発揮したと思います。また、個人でも、馬術女子障害競技では政兼実佳選手、ライフル射撃では猪坂朋彦選手、陸上少年男子では北川貴理選手が優勝するなど、団体3種目、個人6種目で優勝、合計17競技で入賞を記録しました。

 特にバドミントン競技では、今年度からナショナルチームレベルの選手を「特別強化コーチ」として確保した結果、成年男子で10年ぶりの入賞を収めるなど、早速効果が形となっております。また、ライフル射撃競技、ゴルフ競技では、大会開催直前に、国体会場地での実戦練習を行い、大会コースでの環境に慣れてもらったことで、好成績につながったと思います。

 まだまだ活躍できた競技、また、今一歩で国体に参加できなかった競技もありますので、今回の結果を踏まえ、来週28日(火)から3日間に分けて、団体・個人など競技ごとに戦術、選手の育成状況などについて、問題点の聞き取りや分析をすぐにやり、こういったことを踏まえて、11月7日に開く「長崎国体結果検討会」において、総括的な「チームふくい」としての全体議論をして、まずはこの冬の強化策をどう行うかを検討してまいりたいと思います。

 特に屋外競技については、来シーズンからの強化事業を今年度に前倒しし、雪のない温暖な地域へ派遣し、強豪チームとの実戦練習を重ねたいと思います。

 一方、屋内競技については、強豪チームを招くなど県内合宿を強化し、来春早々良い成績が出るよう、冬の間に戦力強化を図ってもらいたいと思います。

 それから、特に成年種目については、バドミントン、ウエイトリフティングを見てもわかるように、国際級の選手がチームに加わることは、競技力向上に極めて重要です。

 本県では、既に、平成30年の国体に向けて、有力選手のU・Iターンを支援するシステム「スポジョブふくい」を進めていますが、その結果について以下申し上げます。

〔資料:スポジョブふくい

 現在、来年春の獲得を目指している選手は、22競技、41名です。30年春までの4年間で約200名の獲得を目標としていますが、国体本番に向けて人数を増やしていく方針です。まずは順当な人数ではないかと考えています。

 41名の中で勤務先が内定した選手は22名、面接を終え、内定を待っている選手が5名、それから、企業とのマッチングを継続している選手が9名、その他5名、全体で41名ということになります。

 競技別では、ボート競技で3名、ホッケー競技で4名の選手の獲得を目指しています。バレーボールで8名、バスケットボールで3名が獲得できる見込みです。そのうち、バスケットボール男子の1名は、bjリーグで活躍しているプロの選手で、福井国体後も選手あるいは指導者として貢献していただけるのではないかと思います。また、新体操では、日本代表経験もある若手指導者をIターンで獲得しています。これまで、新体操では国体での入賞が実現していませんが、国体を目がけて選手を育成し、チャレンジをしてまいりたいと思います。

 採用していただいている各企業の皆さん方には、この場をお借りして感謝を申し上げたいと思っております。また、引き続き企業を訪問しながら、一人でも多くの選手が、無理のない形で、将来とも福井県の企業で、スポーツのみならず社会人として頑張っていただくような方法で進めたいと思いますので、企業の皆さんのご支援をお願いしたいと思います。

 なお、昨日は、春江工業高校の栗原君あるいは敦賀気比高校出身の玉村君がプロ野球のドラフトで指名をされましたが、いろんなスポーツが頑張っていけるように我々も側面から応援をしてまいりたいと思っています。

 

 次に、陽子線による乳がん治療の臨床試験開始です。

 陽子線がん治療は、陽子線を集中的に照射することにより、外科的に切らずに高い治療効果が期待できる方法で、平成23年の「陽子線がん治療センター」のオープン以来、肝臓がん、食道がんの治療など、毎年利用者が増え、これまで560人を超える方の治療を行っています。

 しかし、乳がんについては、女性がかかりやすいがんの第1位であり、近年増加傾向にあるものの、手術による治療が一般的であり、また、陽子線の治療については、乳房の固定がなかなか難しいことから、本県のみならず、先行する他県、あるいは他の施設も含めて、陽子線治療の対象にはなっていなかったわけです。

 また、女性の年齢や合併症、心筋梗塞や肺疾患などをお持ちの方については、手術ができない場合もありますので、切らない治療法の期待が大きく、陽子線での治療法を提供できないか、23年度から研究を進めてまいりました。

 その結果、患者さんに、治療台にうつ伏せになってもらって、大手下着メーカーの協力で製作した乳房の固定具を着用することによって、精度よく固定ができるようになりました。

 また、今年3月に国内で初めて運用を開始した「CT自動位置決めシステム」によって、確実にがん部分に照射することが可能となったため、今週21日の県立病院倫理委員会で実施計画の承認を受け、今日から臨床試験を開始できる体制が整ったため、試験対象となる患者さんの受け入れを開始します。

 なお、固定用ブラジャーの製作に協力いただいた下着メーカーは、京都にあるワコール人間科学研究所です。

 今後、臨床試験の対象となる条件に適合する方が見つかり次第、早ければ年内にも試験を始めたいと思います。副作用や治療効果を段階的に見極め、治療方法として確立できるよう努めてまいりたいと思います。

〔資料:陽子線による乳がん治療の臨床試験について陽子線による治療方法

 今回の臨床試験は第1ステージですので、慎重に試験を進めていく必要があり、対象となれるケースや患者さんの数も限られますが、治療法を確立し、大きな一歩を歩みたいと思います。

 なお、本日午後5時30分から、県立病院の陽子線がん治療センターにおいて、山本センター長から詳細の説明の機会を持たせていただきますので、必要に応じてお聞き取りをお願いします。

 

 それから、3点目ですが、「ふくい味の祭典」、それから「コシヒカリ一族サミット」の開催です。

 福井県の食の魅力を発信し、その大切さの意識を高めるため、11月16日(日)から翌週23日(日)までを、第3回目となる「ふくい味の週間」として、食に関する活動を集中的に開催します。小中学校における「味覚の授業」、また中学3年生全員を対象に「セイコガニの食べ方授業」を行います。また、今年から新たに、ショッピングセンターや農家レストランなど約90店と協力して、県民の野菜摂取量を増やす「鍋で味わう野菜食運動」を実施するなど、全体で530のお店の協賛を得て、こうした事業を進めます。

 なお、この週間の最後の2日間、11月22日(土)、23日(日)には、福井市内の産業会館において、「ふくい味の祭典」を開催します。去年は、約3万3千人の方が来場されています。

〔資料:ふくい味の祭典

 味の祭典では、和食をテーマに、「ふくいの食育伝道師」である神田川俊郎さんと服部幸應さんに来県をいただき、食に関する対談、大学生を対象とした和食料理教室などを開きます。また、神田川氏プロデュースのカニ鍋を販売するほか、県内高校生が「食育・地産地消レストラン」を初めて開くなど、約120の団体が福井の旬の農林水産物をその場で提供します。

 同時に、第8回目になる「全国高校生食育王選手権大会」では、全国から過去最多となる280チームの中から予選を勝ち抜いた10チームが、鍋料理の実技コンテストを行います。

 展示コーナーでは、本県出身の「食育の祖」と言われる石塚左玄先生、また、天皇の料理番として活躍された秋山徳蔵氏の紹介コーナーを設けます。

 それから、もう1つの話題ですが、「コシヒカリを生んだ福井県」全国キャラバンのお話を申し上げます。

 今年は、福井県が開発したコシヒカリが全国作付面積日本一となって30周年です。これを記念して、9月からキッチンカーで「コシヒカリを生んだ福井県」をPRする全国キャラバンを行っており、これまで、西日本を中心に、25府県を走破し、今週は東北地方を巡っています。

 全国各地のショッピングセンターなどで、本県コシヒカリのご飯や味噌汁を提供する様子は、地元の新聞、テレビなどにも紹介されています。

 試食した方々からは、「コシヒカリの発祥が福井県であることがわかった」とか、「福井県のコシヒカリは何かを入れているのかと思うほど甘くておいしい」というような声があったという報告があります。

 これから東日本の各地を回り、11月22日には福井県に戻ってまいりますので、「ふくい味の祭典」の会場においてセレモニーを開催し、ゴールを出迎えます。

 またキャラバンが全国をPRし、戻ってくるタイミングに合わせまして、11月21日、22日に「コシヒカリ一族サミット」を開きます。

〔資料:コシヒカリ一族サミット

 「あきたこまち」、「ひとめぼれ」、「つや姫」などは、コシヒカリ一族の系統です。これらの品種を生産している全国の稲作農家の代表や研究者を本県に招いて、新たな米品種の育成と消費者の評価についてパネルセッションを行い、食べ比べなども行います。

 また、2日目の22日には、味の祭典の会場において、コシヒカリの生みの親である石墨慶一郎さんの研究室を再現するなど、福井の食文化を体験してもらいます。

 私からは以上です。

 

~質疑~

 

【記者】

 陽子線による乳がんの治療に関して、放射線治療というのは今までもエックス線などでなされていたと思いますが、今までのものと陽子線による治療というのはどう違うのか教えていただけますか。

 

【知事】

 今までは、治療すべき部分に照射すると途中の段階の生体にも影響を与えるのですが、陽子線の場合にはその陽子線の特殊な性質によって、一定の調整をすると、途中にはほとんど影響を与えず、治療すべき部分にだけダメージを与えてがん細胞をアタックできるということが違います。

 福井県の場合には、この部分について、大体この大きさというのではなくて、それぞれ薄い層で立体化して、複雑な形の部分のところだけを治療することができます。

 より局所的に、中間的な周辺にはほとんど影響を与えないので、治療効果が高いということです。

 

【記者】

 今回、乳房固定用ブラジャーを作って、その治療に当たれることになったということですが、これができるまでなかなか難しかったとなれば、全国で初めてということですが、世界的に見てもあまり例としてないのでしょうか。

 

【知事】

 日本にはありませんし、世界的にもないのではないかと思っています。振動したりいろいろな影響があって、乳房は治療しにくいというのがこれまでの専門家の知見なんですが、それを一定の固定によって数ミリ単位の精度で治療が可能だということだと思います。

 

【記者】

 昨日のドラフト会議で栗原選手と玉村選手の指名の一報をどういった状況で聞かれて、最初の感想はどうでしたか。また、今の段階で側面的に今後こんな形で応援したいというものがあれば教えてください。

 

【知事】

 2人とも地元のご出身ですし、小さいころから野球で頑張っておられて、希望が叶ったのではないかと思います。福井県はあまり人口は多くないですけれども、プロ野球選手が人口当たり非常にたくさん出ている県ですので、野球選手のメッカみたいになるといいと思います。県が大きいとたくさん選手がいらっしゃるところも多いと思いますが、非常に限られた地域でこういう野球能力の高い選手が次から次と出ているというのは大変うれしいです。また、夏の高校野球で敦賀気比高校が頑張りましたけれども、ぜひさらにその先を行ってほしいというのが私の希望です。野球ですから実力のほかにいろんなラックも必要だと思いますが。

 

【記者】

 福井国体で何位を目指すという目標を立てられているのでしょうか、もしくは今後、立てる予定があるのでしょうか。

 

【知事】

 県議会などでも議論がありましたが、今のところ「開催県としてふさわしい成績」と申し上げており、現段階では各競技ごとに選手、指導者がベストを尽くして頑張っていこうという状況です。今回10位台を確保しましたので、他県のいろんな動きなどを見ますと、大体一定のポジションに達したかなと思っています。今回の結果を受けて、いろんな競技上の議論を詰めて、新しい目標が設定できるかどうか考えていきたいと思います。

 

【記者】

 過去10年ぐらいを見ると国体の開催県で優勝できなかった県というのがありませんが、福井国体に向けて、ふさわしい成績というのは、イコール1位を指すのか、どのようにお考えでしょうか。

 

【知事】

 今の段階では今申し上げた答えであり、できるだけ自然な形で成果が出るということが大事ですので、先ほどの選手のUターンや将来の生活などを考えながら、福井らしいやり方で目標を達成したいと思っております。まだ4年間ありますので、まだというか、もうと言ったほうがよろしいのかもしれませんが、一定の段階ではさらに次の議論をしないといけないと思います。

 

【記者】

 原子力発電の関係で、今、高浜原発の3号機、4号機の再稼働に向けた審査が最終局面に入っていますが、現時点での受け止めと、少し先になりますが、規制委員会の審査に合格した後の、地元の同意に向けてどういう手続きを想定されているか、それから国にどういったことを求めていくかということを、改めてお考えを教えてください。

 

【知事】

 今、川内発電所がかなり最終局面に来ていると理解しており、福井県についてもこれから手続きが進んでいくと思いますが、鹿児島のいろんな状況も十分踏まえる必要もございますし、福井県の場合には原子力発電所が非常にたくさん立地しているという状況や周辺地域との広域性の問題、それから、廃炉の議論が出ているなどいろんなことがございますので、福井県として固有の課題をしっかり踏まえて、この問題に対応していくということが重要かなと思います。

 一方で、先般、原子力基本計画がつくられ、今、東京でいろんな安全問題あるいは廃炉問題など議論されていますが、そういうものも十分踏まえながら対応していくということになると思います。

 

【記者】

 周辺地域の広域性が、福井県としての固有の課題だとおっしゃいましたが、地元の同意ということを考えた場合、高浜の場合だと京都府になりますが、他府県の同意に関しては必要だと思われますか。それとも、これまで慣例的には立地自治体の同意を得ればいいというような流れがありましたが、そういうふうに思われますか。

 

【知事】

 これは従来から申し上げていますように、地元同意の範囲については立地県と立地の市町であるという認識です。

 

【記者】

 その理由があればお伺いしてもいいですか。

 

【知事】

 これはかねがね申し上げていますが、40年あるいは50年にわたって、日本全体のため、もちろん消費地もその恩恵を受けていますが、責任を持ってあらゆるいろんな問題を解決しながら、原子力の安全運転に貢献してきたわけです。そうした歴史的な経緯があり、そして原子力プラントに近い立地というのは最もさまざまなリスクに備えなければならないわけですので、おのずと他の地域とは異なる、当然の違いであると思います。

 

【記者】

 先日、小渕経済産業大臣と松島法務大臣がダブルで辞任され、小渕さんの後を継いだ宮沢経産大臣も、いろいろ疑惑があるようだという話も出ていますが、特に経産大臣に関していうと、エネルギー政策にも深く関わるわけで、福井県としても全く無関係ではない話だと思いますが、その辺の受け止めをお伺いできますか。

 

【知事】

 小渕前経産大臣に対しては、就任早々、我々の考え方を要請したところですが、新大臣についても、既にさまざま記者会見なども行い、あるいは川内発電所のさまざまな課題について見解を述べておられますが、私どもも早々に我々の状況をお伝えして、福井県の問題を解決してまいりたいと思います。

 

【記者】

 高浜原発再稼働の同意手続きに関して、2年前の大飯の再稼働のときのように、まず立地町が判断して、その後、県議会での議論や県の安全専門委員会の検証などを踏まえて、最終的に知事が判断するという考えで変わりはないでしょうか。

 

【知事】

 もちろんそうなのですが、例のいわゆる「吉田調書」、福島原発事故当時の状況を聞き取ったドキュメントが出ておりますけれども、そういうことを考えますと、もちろん規制委員会の主にハードを中心にした安全審査であるわけですが、実際の事故が起こったときの制圧体制については、そのレポートにいろんなことが書いてあるのですが、言えることは、電力事業者の本社機能といいますか、中枢部分の働き具合、そういうものができていなかったということがうかがえますので、そこを再稼働などのときには、関西電力がしっかりした体制を組んでいるかということが大事な部分としてあると思います。

 あのレポートからは、特にいざというときの人材や特別な専門家、あるいは機材の投入が、福島の事故の場合には役割が果たせていなかったようにうかがえますし、所長は一生懸命頑張られたのだと思いますけれども、所長お一人の努力では十分な対応ができないわけであり、実際、所長の活動についてもさまざま課題があったように思いますから、そういう問題が、今回のレポートでわかる限りで、また、関連する事柄もあわせて、電力事業者として対応が必要だと思います。

 いずれにしても、冒頭言いましたように、津波の防潮堤がどうだとか、免震棟がどうだとか、そういうことがありますが、実際にいろんな制圧体制をこなすのは人間の問題ですので、そこをしっかり押さえて大事にしなければならないということかと思います。国においてもこのことを十分、あのレポートからどの程度具体化しているのか、そういうこともあると思います。

 

【記者】

 再稼働の条件として、今おっしゃった事故制圧に対する人的体制などを関西電力から報告を受けることも条件の1つとお考えでしょうか。

 

【知事】

 条件というか、当然、今いろいろ電力会社も既に進められた部分もありますが、最終的にそういうこともクリアする必要があるだろうし、クリアする体制をつくってもらえると思いますが、そういう状況です。確認する必要があると思います。

 

【記者】

 鹿児島の川内原発では、原子力規制庁が住民説明会を開いて、その上で、住民が避難計画について知りたいということで、県が主催して住民説明会を開くのですが、高浜原発の再稼働のときに福井県として住民説明会を開く考えがありますか。また、原子力規制庁が住民説明会を開くといった場合、それを受け入れる可能性はありますか。

 

【知事】

 原子力発電所の安全性や再稼働の必要性については、国や事業者が住民に対して責任を持って説明・説得して、理解を得るべき事柄であり、県が主催して実施することは考えてはおりません。もちろん高浜町がどういうふうにお考えかというのはまた別にあると思います。

 

【記者】

 鹿児島県の場合は県が主催して避難計画について住民説明会を開きますが、避難計画について説明を住民から求められることがあったとしても、そのようなことは福井県としてはしないのですか。

 

【知事】

 住民説明会の必要については、一義的に市や町が判断すべき事柄であると考えており、国は、さらに開催希望がある場合には責任を持って対応するということだと思います。

 それから、避難については、いつも言っておりますが、まずは原発のプラントの安全、それから、制圧、避難ということで、避難については、さまざまな条件、環境、それから熟度ですね。範囲がありますので、毎回毎回いろんな意見を聞きながら充実して年々進化させる、そういうタイプのものかと思います。ですから、一定の段階でこれがどうだということについては、ある程度、次の段階でこれを直していくというタイプの話かなと思います。

 

【記者】

 地元同意の話で、知事は先ほど、福井県は40年、50年にわたって日本全体にも貢献してきたという歴史的な経緯があるとおっしゃいましたが、東京電力福島第一原発事故というのも相当大きな局面の変化があったということで、歴史的には状況は変わったと思います。そういう中で川内原発でも30キロ圏内の自治体が、鹿児島県に地元合意の権限を持たせてくれるように求めたり、京都府でも舞鶴市が、先日の記者会見でも、高浜原発、大飯原発の再稼働について、立地自治体並みの安全協定がない限り同意しないということを改めて表明されていますが、そういった声についてはどのように対処されるおつもりでしょうか。

 

【知事】

 いろんなお気持ちがあるのかもしれませんが、原子力の安全やいろんなリスクを考えますと、全体性を理解するときに、おのずと立地とその他の地域は違うというのが、いわば当然のことでありましょうし、全てのものを同じにするわけにはいかないということではないでしょうか。

 

【記者】

 規制委員会の田中委員長が、規制委員会としては、安全性に関しては評価するけども、再稼働するかどうかは政治とか国の判断であって、規制委員会は一切関与しないということを表明されていますが、そのことに関してはどうお考えでしょうか。

 

【知事】

 川内原子力発電所で再稼働までに最終的にどういうプロセスになるかはこれからのことだと思いますが、再稼働に当たっては、規制委員会、また政府といいますか、政治の問題が関係しますが、いろいろ程度の問題はありますけれども、原子力発電所が日本にとって必要であるということが明示されることが重要です。稼働できるようになったから動かすのだということではいけないわけです。それから、国はどういう責任を持っているのだということが、はっきり説明されなければならないと思いますし、我々立地地域にしっかりした協力要請というのももちろん必要ですので、そういういろんな意味でのことを全て含めた事柄について、国民全体にメッセージが出されることが重要だと思います。

 

【記者】

 エネルギー基本計画の中では、原子力規制委員会の判断を尊重して再稼働を進めると記載されている。一方で、規制委員会は、自分たちは関与しないと、責任の所在が中間になっているような状況…。

 

【知事】

 だから、そのすき間は政治や国が埋めなければならないだろうと。そして、規制委員会も事業者もできるだけそういうすき間がないようにしなければならない。

 

【記者】

 県民の代表である知事としては、そこに関して判断をするという必要はないという立場ですか。

 

【知事】

 いや、これは最終的には政府が全責任をもって行う立場にあるだろうということです。そして、規制委員会も、行政庁として最大の責任を果たすべきだろうと思います。

 

【記者】

 廃炉の問題の話で、今月17日に経産大臣が電事連に対して、老朽原発の廃炉判断という要請をしましたけれども、知事として受け止めはどう思われて、再稼働の同意までに何らかの、例えば国の廃炉交付金の方向性とか、そういうものを示してもらいたいというお考えはありますか。

 

【知事】

 この廃炉については、簡単に考えてもらうと困るのです。普通のいろんなエネルギープラントは半年とか1年で、あるものはすぐクリアにして、更地になるわけですが、原子力発電所の場合には何十年もかかる。つくるときにも相当の期間がかかり、稼働期間も長いわけです。

 ですから、考え方として大事なのは、稼働と廃炉は一連のものだと思うべきだと思います。廃炉にしますと言ったら、そこで原子力発電所の稼働が終わったのではなくて、廃炉のいろんなことをやっている間は稼働しているのと同じ状態である、一連のものであると考えるべきだと思います。原発は普通のプラントと違いますから、特別なそういう性質を持っていると思います。

 それから、業者任せだけにしていては、安全でもなく、チェックが要りますし、地元としても、厳しい監視が必要ですので、今おっしゃった廃炉にも交付金を出してはどうかと、そういう発想は違うと思います。

 ですから、もちろん稼働のときにもありますが、廃炉の問題について、より一連の見方として、特別な安全の協定が必要なのかもしれませんし、別途、法令なども必要ではないかと思います。これはこれからいろいろ具体化をする必要があるだろうと思います。

 

【記者】

 特別な安全協定というのは、事業者と県が結ぶということですか。

 

【知事】

 それが基本でしょうが、廃炉問題は、どこに中間貯蔵を置くとか、最終処分地はどこだといういろんな課題がありますから、つくるときとは違って、国が深く関与する必要があります。そういうふうに思います。

 

【記者】

 廃炉のときの交付金は違うという話をおっしゃいましたが、今、国のほうでは、廃炉をする原発には一定の交付金という形で、地元経済への影響を和らげようということですけれども、交付金を出すということではなくて、どういうふうにしていったほうがいいという知事のお考えがあるのでしょうか。

 

【知事】

 今申し上げたいのは、廃炉だから何か要るかもしれないが、交付金も要るのではないかという発想ではいけないので、地域振興あるいはこれからの産業政策をしっかり進めないと廃炉は終わらないわけですので、その際に、いろいろな協定とか法令、そういうかなりベースとなるシステムが要るのではないかということを申し上げているわけです。廃炉が終わったから、あと交付金も要りますかねという議論ではないということです。

 

【記者】

 かねてから西川知事は、経済産業省の会議などで、原子力発電所の再稼働は、廃炉や中間貯蔵、最終処分場の問題は1つのまとまりで、セットとして議論することが必要だということをおっしゃっていたと思いますが、例えば高浜原子力発電所の再稼働に当たって、県内の老朽化した美浜原発や中間貯蔵施設について、国なり事業者からある程度の方向性が示されていることが、再稼働を考える上での必要な前提となるというお考えですか。

 

【知事】

 これは、今申し上げたように、多方面にわたりますし、非常に難しい課題もあり、時間のかかるものもありますから、そういう大きな方向性の中で、ある段階ではどこまでそれを具体化するかと、そういう議論かなと思います。

 

【記者】

 先ほど、原子力発電所の必要性や再稼働の必要性を、国民全体に政府がメッセージを出すことが必要だとおっしゃっていましたが、これはどういうタイミングでどなたがどういう形でするのが望ましいとお考えでしょうか。

 

【知事】

 当時とは政権は違い、また、安全基準や国の組織の変更もありますけれども、前回の大飯原子力発電所の例が参考にはなると思います。

 

【記者】

 あのときは、首相が記者会見で説明したわけですけれども、あれが参考になるのではないかと…。

 

【知事】

 そうですね。ただ、条件の違いとか、川内でのこれからの状況とかいろいろあり、まだ今の段階でそこまで手続きが進んでおりませんので、具体的にはこうだとは申し上げられませんが、今、申し上げたような状況かなと思います。

 

【記者】

 「もんじゅ」について、先日、多数の監視カメラの故障が発覚しました。今後、来年に向けてまた運転再開を目指す中で、原子力開発機構の安全対策について、どのようなご印象を持たれているのか、お願いします。

 

【知事】

 まず、集中改革期間が来年3月まで延長ということ自体が、残念で遺憾なことです。また、9月の保安検査で監視カメラの故障が判明したということですが、安全上の重要度、あるいはこれがプラントにどう影響するものか確認した上で議論をする必要があると思っており、規制委員会のいろんな評価が出る段階で、文部科学省からいろんな説明を受けられると思いますので、その段階での対応となると思います。

 

【記者】

 全体的な話かもしれないですが、以前、県としては文部科学省に考え方を聞くという意見を表明されていましたが、その時期や相手方のどういう立場の人といった想定はあるのでしょうか。

 

【知事】

 責任のある立場の方であり、今回の結果の中身によるのではないかと思います。

 

【記者】

 政府が責任を持って説明するという話が先ほどから何度か出ていますが、鹿児島県のケースですと、ひとまず経済産業大臣が鹿児島県入りする方向になっています。その経産大臣が、小渕さんから宮沢さんに代わったばかりで早々にまた問題が起きています。そういう大臣が本当に国民に信頼されるような説明ができるとお考えでしょうか。

 

【知事】

 具体的な状況をよく把握していませんので、それは経産大臣としてしっかりお仕事をされるというのが重要だと思います。我々としては、また別途、先ほど言ったようないろんな課題がありますから、そういうことを着実にやっていくということだと思います。

 

【記者】

 廃炉の問題で、エネルギー基本計画には最終処分場に国が関わるということが書かれていますが、中間貯蔵に関しても国が関わるべきだとお考えでしょうか。

 

【知事】

 当然、関わるべきだと思います。

 

【記者】

 関わり方としては、具体的にどういうふうに関わるべきだというのがありますか。

 

【知事】

 さらに具体化していかないといけないですから、そこで出てくると思います。これはもう全国的な課題でありますし。

 

【記者】

 えちぜん鉄道と福井鉄道福武線の相互乗り入れについて、先日の会議で、許認可権を持っている国が、再来年1月ごろに工事を終えて、そこからいろいろという話が出ました。県としては今後どうしていこうといいますか、日程を聞いて、どのようにお考えかお聞かせ願えればと思います。

 

【知事】

 えちぜん鉄道は過去にいろんな事故もあり、十数年前ですが、公のバックアップを得て再建し、全国にも誇れるような運営を、今しているわけですが、やはり根っこには県民のしっかりした利用と支持というのが必要です。安全性の確保は大事ですが、安全はもとより、できるだけ早く便利な鉄道にすることが県民の期待だと思っています。

 それで、もともと25年度、26年度の2か年でこの仕事を進めようということで、かなり時間的な余裕もあるわけですから、責任者には常に利用者を念頭に置いて、社内一丸となって事業が進むように、我々としては十分指導をしていきたいと思います。また、具体的な実務的なことを関係者から聞いたり、あるいは意見交換をして進めてまいりたいと思います。

 

【記者】

 一昨日の協議会の場では、国から安全対策ということを重ねて強調していたわけで、それにも関わらず利便性が大事ということで早めるというお考えというのがよくわからないのですが。

 

【知事】

 安全が第一で、そして、便利な鉄道にしなければならないだろうと。それで十分議論が要るだろうと申し上げたわけで、そんな逆なことを申し上げているわけではありません。

 

【記者】

 知事は、9月県議会で来春ということをおっしゃられていましたけれども、これについては、もう来春ということにはこだわらないと考えてよろしいでしょうか。

 

【知事】

 実務的に何が問題であったか、工程表というのをどう直せるのか、これを詰めていく必要があると思いますので、その仕事を早急にするということだと思います。

 

【記者】

 大体、どのぐらいまで早めたいというお考えはありますか。

 

【知事】

 協議会の場では急な話がいろいろ出たようですから、具体的にこれから詰めないとわからないと思います。早々に詰めて、工程表をはっきりしないといけないと思います。

 

【記者】

 国は、2016年1月以降と言いましたが、県としては早めたいというお気持ちは変わらないということでよろしいですか。

 

【知事】

 何が問題かをもう少し詰めていかないといけないと思います。2年間あったわけですから、どこでどのように遅れたか、そして、何を解決するとこの問題が安全に、そして、いつまでにできるかということ、それがはっきりしないと、さらにそのままになるといけませんから。

 

【記者】

 女性の活躍する社会という観点で質問させていただきます。先日、女性大臣が2人同時に辞任したことに関して知事の受け止め、見解をお願いします。また、知事は9月議会で福井の元気は女性の元気と強調していましたが、改めて女性活躍社会とか女性登用について、考え方をお願いします。

 

【知事】

 福井県は全国に先がけて、女性活躍社会をつくろうということで、キャリアアップのための研修や組織づくり、相談窓口など、いろんなことを進めているところであり、これはこれからも進める必要があると思います。むしろ最近、女性、女性と言っているのは、我々がもう前から言っているような事柄が急に出た感じがします。

 大臣の辞任については、それは女性だからどうだというのか、そういうことだったのか、ちょっとわかりかねます。

── 了 ──

アンケート
ウェブサイトの品質向上のため、このページのご感想をお聞かせください。

より詳しくご感想をいただける場合は、kouhoukoucho@pref.fukui.lg.jpまでメールでお送りください。

お問い合わせ先

知事公室広報広聴課

電話番号:0776-20-0220 ファックス:0776-20-0621メール:kouhoukoucho@pref.fukui.lg.jp

福井市大手3丁目17-1(地図・アクセス)
受付時間 月曜日から金曜日 8時30分から17時15分(土曜・日曜・祝日・年末年始を除く)